JP4017743B2 - カメラ用シャッタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のシャッタ羽根が、円形をした露光用の開口部を、その往復作動によって開閉するようにしたカメラ用シャッタに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のシャッタは、一般にレンズシャッタと言われているものであって、露光作動に際して、複数のシャッタ羽根が、露光用の開口部を、光軸中心から開いて行き、その後、光軸中心に向けて閉じて行くようにしたものである。そして、その作動中は、複数のシャッタ羽根によって、常に円形に近い開口形状を保てるようにするのが理想とされている。そのため、古くは、3枚以上のシャッタ羽根を露光用の開口部の周辺位置に等間隔に配置し、それらを、光軸を中心にして往復回転する駆動リングによって作動させていた。
【0003】
しかしながら、そのようなシャッタは、駆動リングが、シャッタ地板面に対して全周にわたって形成されている溝の中に配置されていたため、加工コストが高くなり、また、平面摩擦抵抗はともかくとして、極めて大きな周面摩擦抵抗が生じ、高速化には自ずと限界があった。そのため、最近においては、上記した開口形状を満足させ、且つ小型化,高速化にも対応できるものとして、薄い板材で製作したリンク部材と称する作動部材に3枚以上のシャッタ羽根を連結させ、そのリンク部材を、光軸を横切る方向に往復作動させ、シャッタ羽根に開閉作動を行わせるようにした構成のシャッタが注目されるようになってきた。
【0004】
他方、シャッタ羽根の駆動源としては、古くからコイルばねが使用されているが、最近では、撮影ごとにシャッタの駆動機構をセットしなくて済むという観点から、駆動源にモータを使用するものが増えてきた。そして、モータの種類としては、当初はステッピングモータの使用が注目されていたが、ステッピングモータは、小型化しにくく、高価であるという問題点があるため、現在では、コイルへの通電方向によって永久磁石(通常、2極)の回転子を所定の角度範囲内で往復作動させるようにした低コストであって小型化し易いムービングマグネット型モータと称されているモータの使用が注目されるようになっている。
【0005】
このような状況から、これまでにも、3枚以上のシャッタ羽根を連結したリンク部材を、ムービングマグネット型モータの作動に連動して、光軸を横切る方向に往復作動させるようにしたカメラ用シャッタが提案されている。しかし、ムービングマグネット型モータは、上記したような利点がある反面、起動性はステッピングモータより劣り、通電を開始してから所定の駆動力が得られるまでに要する時間が長く、且つ駆動力が負荷の僅かなバラツキによって左右され易いという問題点を有している。また、その駆動力は電圧の変化によっても左右され易い。そのため、本出願人は、それらの問題点を解決するための構成を、特開平10−96974号公報で提案している。
【0006】
この公報に記載された発明(以下、従来例という)によれば、リンク部材は、その開き作動方向(シャッタ羽根に開き作動を行わせるために作動する方向)の端面が、モータの回転子と一体化されている作動部材のピン(作動ピン)に接触し、ばねによって開き作動方向へ付勢されているため、作動ピンが開き作動方向に作動を開始すると、ばねの力がリンク部材の端面を介して作動ピンに加わり、作動ピンは、ピン・スロット結合によるモータの駆動力だけによって作動される場合よりも早く作動されることになる。そして、このばねの力は、モータの作動開始の初期段階で効果的に作用し、モータの起動性の悪さを補うようになっている。そして、シャッタ羽根の閉じ作動は、作動ピンが上記のばねの力に抗してリンク部材の端面を押すことによって行われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の従来例によれば、シャッタ羽根の閉じ作動は、リンク部材が、シャッタ地板に設けられたストッパに当接し、停止されたとき終了する。そして、このリンク部材の停止状態は、次の撮影まで、モータの回転子の磁力によって維持されるようになっている。しかし、リンク部材の停止状態は維持されても、シャッタ羽根の停止状態は維持されることがない。即ち、各シャッタ羽根は、支点部をシャッタ地板に立設された軸に回転可能に取り付けられ、動点部をリンク部材に回転可能に取り付けられているため、それらの取付部における公差分だけ自由に動けるようになっているからである。そのため、次の撮影時における各シャッタ羽根の姿勢がまちまちとなり、開き作動が安定せず、所謂切りむらが生じてしまうという問題点があった。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ムービングマグネット型モータによって往復作動する作動ピンに連動し、環状又は円弧状をしたリンク部材が、光軸を横切る方向へ往復作動することによって、3枚以上のシャッタ羽根が開閉作動を行うようにした形式のシャッタにおいて、各シャッタ羽根に対し、夫々、開き作動方向へ付勢するばねを掛けることによって、従来、リンク部材に、開き作動方向へ付勢するように掛けていたばねを設けることなく同等の機能が得られ、且つ、撮影開始時には、シャッタ羽根を常に所定の位置から安定した開き作動が行えるようにしたカメラ用シャッタを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のカメラ用シャッタは、各々が支点部と動点部とを有し所定の間隔で露光用開口部の周りに配置されており該支点部で往復回動することにより露光用開口部の開閉作動を行う3枚以上のシャッタ羽根と、連動部を有していると共に前記各動点部と回転可能に連結していて露光用開口部を囲むように環状又は円弧状に形成されており光軸を横切る方向へ往復作動することによって各シャッタ羽根に開閉作動を行わせるリンク部材と、所定の角度範囲で往復作動するムービングマグネット型モータと、前記モータによって往復作動を行い且つ前記リンク部材の連動部の端面に光軸を横切る方向から接していて一方向への作動時において該端面を押し各シャッタ羽根に閉じ作動を行わせる作動ピンと、夫々のシャッタ羽根を別々に開き作動方向へ付勢していて前記作動ピンの他方向への作動時において前記リンク部材の端面が前記作動ピンに接触した状態で作動するようにした複数のばねと、各シャッタ羽根が閉じ作動の最終段階において夫々当接する複数のストッパとを備えていて、前記作動ピンの前記一方向への作動は各シャッタ羽根が夫々のストッパに当接することによって停止され、前記モータへの通電を断った後も各シャッタ羽根がその当接状態を維持されているようにする。
【0010】
また、本発明のカメラ用シャッタは、前記ストッパの数が、前記シャッタ羽根の枚数より少なく、シャッタ羽根の閉じ作動の最終段階においては、一部のシャッタ羽根だけがストッパに当接するようにしてもよい。
また、本発明のカメラ用シャッタにおいては、前記各シャッタ羽根は、夫々の支点部に形成された孔を夫々の枢着軸に回転可能に嵌合させており、前記ストッパに当接するシャッタ羽根のうち少なくとも1枚のシャッタ羽根は、異なるシャッタ羽根の枢着軸を前記ストッパにしているようにすると好適である。
また、本発明のカメラ用シャッタには、シャッタ羽根の開き作動位置を検出するための光電センサが設けられていて、前記シャッタ羽根の1枚は、該光電センサによって位置検出される部位が前記ストッパに当接するように構成すると好適である。
【0011】
更に、上記の目的を達成するために、本発明のカメラ用シャッタは、各々が支点部と動点部とを有し所定の間隔で露光用開口部の周りに配置されており該支点部で往復回動することにより露光用開口部の開閉作動を行う3枚以上のシャッタ羽根と、連動部を有していると共に前記各動点部と回転可能に連結していて露光用開口部を囲むように環状又は円弧状に形成されており光軸を横切る方向へ往復作動することによって各シャッタ羽根に開閉作動を行わせるリンク部材と、所定の角度範囲で往復作動するムービングマグネット型モータと、前記モータによって往復作動を行い且つ前記リンク部材の連動部の端面に光軸を横切る方向から接していて一方向への作動時において該端面を押し各シャッタ羽根に閉じ作動を行わせる作動ピンと、夫々のシャッタ羽根を別々に開き作動方向へ付勢していて前記作動ピンの他方向への作動時において前記リンク部材の端面が前記作動ピンに接触した 状態で作動するようにした複数のばねと、前記シャッタ羽根の閉じ作動の最終段階において、前記リンク部材が当接する一つのストッパとを備えていて、前記作動ピンの前記一方向への作動は前記リンク部材が前記ストッパに当接することによって停止され、前記モータへの通電を断った後も該リンク部材がその当接状態を維持されているようにしてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図示した二つの実施例によって説明する。図1〜図4は本発明の第1実施例を示したものであって、図1はシャッタ閉鎖状態を示した羽根室内の平面図である。また、図2は図1の背面図であり、図3は羽根室を補助地板によって覆っている状態を図1と同じ方向から視た平面図であって、いずれの図面もシャッタ羽根の図示を省略されている。更に、図4はシャッタ全開状態を示した羽根室内の平面図である。また、図5及び図6は本発明の第2実施例を示したものであって、図5はシャッタ閉鎖状態を示した羽根室内の平面図であり、図6はシャッタ全開状態を示した羽根室内の平面図である。尚、図2及び図3は第2実施例においても援用される。また、各実施例において、共通する部材,部位には、同じ符号を付けてある。
【0013】
〔第1実施例〕
先ず、図1〜図4に示した第1実施例の構成から説明する。シャッタ地板1は合成樹脂製であって、光軸を中心にした円形の開口部1aを有している。シャッタ地板1の外周縁に沿って、図1の手前側に張り出した壁1bが形成されている。また、取り付け構成については図示を省略しているが、シャッタ地板1には、図1の手前側に合成樹脂製の補助地板2が取り付けられている。この補助地板2の全体形状は、図3に示されているように、シャッタ地板1と略同じ平面形状をしていて、シャッタ地板1との間に羽根室を形成しており、中央部には開口部1aと同様な開口部2aを有しているが、シャッタとしての露光用開口部は、開口部1aによって規制されている。
【0014】
羽根室内には、環状をしたリンク部材3と、3枚のシャッタ羽根4,5,6が配置されているが、その配置順序は、紙面から手前側に向けてリンク部材3,シャッタ羽根4,シャッタ羽根5,シャッタ羽根6となっている。そして、組立状態においては、補助地板2に設けられた図示していない部位が、シャッタ羽根6を軽くシャッタ地板1の方へ押すようにしている。また、リンク部材3には、凹部3a、三つの張出部3b,3c,3d、三つの長孔3e,3f,3gが形成されているが、そのうち凹部3aの形成されている領域が本発明における連動部である。
【0015】
また、リンク部材3に形成された張出部3b,3c,3dは、夫々、シャッタ地板1に形成されている棚状の受け部1c,1d,1eに載置されている。更に、長孔3e,3f,3gは、夫々、シャッタ地板1に立設された軸1g,1f,1hに緩く嵌合され、それらの軸によってリンク部材3の作動が制限されないようになっている。尚、本実施例においては、作動中において、リンク部材3がシャッタ地板1に対して面接触して摺動するのは受け部1c,1d,1eに対してだけであるため、リンク部材3は、極めて摩擦抵抗力が小さく、スムーズに作動させられるようになっているが、本発明は、この構成に限定されるものではなく、必要に応じて最小限の支承面をシャッタ地板1や補助地板2に設けることを妨げるものではない。
【0016】
更に、シャッタ羽根4,5,6は、夫々、それらの孔を上記の軸1f,1g,1hに回転可能に嵌合させ、それらの軸1f,1g,1hを支点にして開口部1aの開閉作動を行い得るようになっている。また、それらのシャッタ羽根4,5,6の先端部には、突起部4a,5a,6aが形成されており、基部には、ばね掛け部4b,5b,6bが形成されている。このうち、ばね掛け部4bはシャッタ羽根4に形成された孔である。更に、各シャッタ羽根4,5,6は、夫々、連結軸7,8,9によってリンク部材3に取り付けられているが、各連結軸7,8,9はリベット部品であって、リンク部材3側から挿入され、各シャッタ羽根4,5,6にかしめられている。そして、リンク部材3と各連結軸7,8,9との間は可動になっており、それらの連結軸7,8,9が各シャッタ羽根4,5,6の動点部となっている。
【0017】
シャッタ地板1の背面には、図2に示すようにフォトリフレクタ10が取り付けられている。周知のようにフォトリフレクタ10には、発光部と受光部が設けられていて、発光部から出射された光は、シャッタ地板1に形成されたスリット1iから羽根室内に入り、補助地板2に貼付された図示していない反射シートで反射され、受光部に入射するようになっている。また、シャッタ羽根6の先端部に形成されている突起部6aは、開き作動の初期段階において、そのフォトリフレクタ10の光路を遮断できるようになっている。
【0018】
また、シャッタ地板1の背面側には、図示していないモータ枠が取り付けられていて、そのモータ枠とシャッタ地板1との間には、ムービングマグネット型モータを配置するためのモータ室が形成されている。そのムービングマグネット型モータの構成は周知であるため、各図面には、本実施例の説明に必要と思われる最小限の部材だけを示している。回転子11はシャッタ地板1と上記したモータ枠に回転可能に軸支されていて、それと一体に構成されている作動部材12の作動ピン12aは、シャッタ地板1に形成された窓部1jを貫通して羽根室内に臨み、図1においては、リンク部材3の凹部3aの端面に接触している。
【0019】
回転子11は、永久磁石(通常2極)で製作されているが、作動部材12と作動ピン12aは、通常の場合、回転子11の回転軸と共に合成樹脂で製作されていることが多い。しかし、磁性体材料であるネオジウムの粉末体をナイロン系の樹脂材料に混入し、回転子11,作動部材12,作動ピン12aを、金型で一体成形し、その後、回転子11を2極の永久磁石体となるように着磁する場合などもある。
【0020】
また、図3に示すように、補助地板2には、羽根室外に軸2b,2c,2dが設けられていて、ばね13,14,15が巻回されている。そして、ばね13の一端は、補助地板2に設けられたばね掛け2eに掛けられ、他端は、折り曲げられて窓部2fから羽根室内に挿入され、シャッタ羽根4のばね掛け部4bに掛けられている。また、ばね14の一端は、補助地板2に設けられたばね掛け2gに掛けられ、他端は、折り曲げられて窓部2hから羽根室内に挿入され、シャッタ羽根5のばね掛け部5bに掛けられている。更に、ばね15の一端は、補助地板2に設けられたばね掛け2iに掛けられ、他端は、折り曲げられて窓部2jから羽根室内に挿入され、シャッタ羽根6のばね掛け部6bに掛けられている。
【0021】
そのため、各シャッタ羽根4,5,6は、図1において、ばね13,14,15によって、反時計方向へ回転するように付勢されており、且つそれによって、リンク部材3は、上方へ作動するように付勢されていることになる。尚、本実施例においては、シャッタ地板1に、シャッタ羽根4,5,6が全開したときに当接する三つのストッパ1k,1m,1nが形成されている。
【0022】
次に、本実施例の作動を説明する。図1はシャッタ閉鎖状態である。このとき、ムービングマグネット型モータは非通電状態であるが、周知のようにして、永久磁石製の回転子11の磁力により、回転子11には時計方向への回転力が付与されている。そのため、リンク部材3は、作動ピン12aによって、凹部3aの端面を下方へ押されている。他方、シャッタ羽根4,5,6は、ばね13,14,15によって反時計方向へ回転するように付勢されている。そして、その力は、連結部材7,8,9を介して、リンク部材3を上方へ移動させるように働いている。しかし、その力は、上記した作動ピン12aによって押される力よりも小さいため、リンク部材3は押し下げられ、シャッタ羽根4,5,6の突起部4a,5a,6aが軸1h,1f,1gに当接した状態を維持している。
【0023】
この状態においてシャッタがレリーズされると、先ず電源スイッチが閉じ、フォトリフレクタ10が通電状態になる。それによって、フォトリフレクタ10の発光部から羽根室内に出射された光は、補助地板2に取り付けられた図示していない反射シートで反射され、フォトリフレクタ10の受光部に入射する。このような準備状態を経た後、ムービングマグネット型モータのコイルに順方向への通電が行われると、回転子11の永久磁石による閉鎖状態の維持力が失われ、且つ回転子11は、図1において所定の角度だけ反時計方向へ回転する。そのため、作動ピン12aは上方へ作動していく。
【0024】
既に述べたように、ムービングマグネット型モータの場合には、当初、この作動は緩慢且つ不安定なものであるが、本実施例の場合には、ばね13,14,15の付勢力がシャッタ羽根4,5,6を介してリンク部材3を上方へ押しているので、リンク部材3は、単に作動ピン12aに追従するというよりも、作動ピン12aを積極的に押すようにして作動する。そのため、ムービングマグネット型モータを用いていても、リンク部材3の当初の作動、即ちシャッタ羽根4,5,6の当初の作動は、比較的速く且つ安定したものとなる。尚、このリンク部材3の上方への作動は、シャッタ羽根4,5,6の支点部(軸1f,1g,1hの位置)と動点部(連結軸7,8,9の位置)との距離が不変であることから、厳密には円弧を描くようにして行われることになる。
【0025】
このようにして、リンク部材3とシャッタ羽根4,5,6が作動を開始すると、ピンホール状態となる前にシャッタ羽根6の突起部6aがフォトリフレクタ10の光路を遮断する。従って、その出力信号によって露光時間制御回路が始動する。その後、シャッタ羽根4,5,6は、開口部1aをピンホール状態とし、光軸を中心にして開口部1aを開いていくが、全開後に、作動方向の端面を、夫々、ストッパ1k,1m,1nに当接させて停止する。しかし、作動部材12は、その後も僅かに作動を続け、図示していないストッパに当接して停止する。その状態が図4に示されている。尚、作動部材12のストッパを窓部1jの上端縁にし、そこに作動ピン12aを当接させるようにしても差し支えない。
【0026】
その後、所定の時間が経過すると、露光時間制御回路からの出力信号によって、ムービングマグネット型モータのコイルに、上記とは逆方向への通電が行われ、回転子11を図4において時計方向へ回転させる。そのため、作動ピン12aは下方へ作動して、リンク部材3の凹部3aの端面に当接し、以後、リンク部材3を、ばね13,14,15の付勢力に抗して下方へ作動させ、シャッタ羽根4,5,6を、夫々、軸1f,1g,1hにおいて時計方向へ回転させる。そして、シャッタ羽根4,5,6が開口部1aを閉鎖した後、それらの突起部4a,5a,6aが軸1h,1f,1gに当接することによって停止し、図1の状態に復帰する。
【0027】
このようにして、各部材が図1の状態に復帰した後、ムービングマグネット型モータのコイルへの通電が断たれるが、通電が断たれても回転子11が永久磁石であるため、周知の構成によってその回転位置を保ち、次の撮影が行われるまで、開口部1aの閉鎖状態を維持している。即ち、コイルへの非通電状態においては、回転子11の磁力の平衡位置が、図1に示す回転位置よりも更に時計方向へ回転した位置に設定されているからである。故に、図1の状態においては、コイルに通電していなくても、リンク部材3は、ばね13,14,15の力に抗して下方へ押されており、シャッタ羽根4,5,6は、その突起部4a,5a,6aを、軸1h,1f,1gに押し付けられていることになる。
【0028】
従って、シャッタ羽根4,5,6は、カメラの不使用時における振動によっても、撮影に先立ってカメラをどのように構えても、既に述べたような公差の範囲内でがたつくことがなく、この状態を維持されている。そのため、シャッタ羽根4,5,6は、撮影に際しては、常に、この状態から開き作動を開始することになり、安定した露光制御が可能になる。また、ばね13,14,15は、上記したように、このような状態を維持するためのみならず、シャッタ羽根4,5,6の開き作動特性を良くするように働くので、従来のように、リンク部材3にばねを掛ける必要がない。
【0029】
尚、本実施例においては、シャッタ羽根4,5,6の閉じ作動時におけるストッパを、シャッタ羽根4,5,6を枢着している軸1h,1f,1gで兼用させているが、独立したストッパを、シャッタ地板1や補助地板2に別に設けるようにしても差し支えない。また、それらのストッパは、3枚のシャッタ羽根4,5,6の全てに設ける必要はなく、一部のシャッタ羽根だけに設けるだけであっても差し支えない。更に、シャッタ羽根6の突起部6aが、軸1gに対する当接部と、フォトリフレクタ10による位置検出部の両方を兼ねるようにしているが、それらの機能を別の部位で行うようにしても構わないし、フォトリフレクタ10を備えていないシャッタにおいては、突起部6aは当接専用の部位となる。
【0030】
〔第2実施例〕
次に、図5及び図6を用いて本発明の第2実施例を説明するが、この図5及び図6は、上記した図1及び図4に対応させて描いたものである。また、本実施例の構成は、第1実施例と比較して、シャッタ羽根の形状が異なることと、リンク部材のストッパが新たに設けられただけであるから、他の構成部材及び部位には、第1実施例と同じ符号を付け、詳細な説明を省略する。
【0031】
本実施例においては、第1実施例の場合と同様に、3枚のシャッタ羽根17,18,19が、それらの孔を軸1f,1g,1hに回転可能に嵌合させ、それらの軸1f,1g,1hを支点にして開口部1aの開閉作動を行い得るようになっている。また、リンク部材3との連結関係は第1実施例の場合と同じである。しかし、シャッタ羽根19の先端部には、突起部19aが形成されているが、他のシャッタ羽根17,18の先端部には突起部が形成されていない。シャッタ羽根17,18,19の基部には、ばね掛け部17a,18a,19bが形成されていて、それらに、ばね13,14,15の一端が掛けられている点は第1実施例の場合と同じである。更に、シャッタ地板1には、ストッパ1pが形成されている。
【0032】
次に、本実施例の作動を説明するが、第1実施例の説明と重なる部分については簡略化して説明する。図5はシャッタ閉鎖状態であって、モータは非通電状態であるが、回転子11には時計方向への回転力が付与されているため、リンク部材3は、作動ピン12aによって下方へ押されている。他方、シャッタ羽根17,18,19は、ばね13,14,15によって反時計方向へ回転するように付勢されているが、その力は上記した作動ピン12aによって押される力よりも小さいため、リンク部材3は押し下げられ、ストッパ1pに当接した状態を維持されている。従って、シャッタ羽根17,18,19は、第1実施例のように軸1h,1f,1gには当接していない。
【0033】
シャッタがレリーズされると、先ず電源スイッチが閉じ、フォトリフレクタ10が通電状態になる。次に、ムービングマグネット型モータのコイルに順方向への通電が行われると、回転子11は反時計方向へ回転し、作動ピン12aは上方へ作動していく。このとき、ムービングマグネット型モータの起動性は余り良くないが、本実施例の場合にも、ばね13,14,15の付勢力がリンク部材3を上方へ押すように働くので、シャッタ羽根17,18,19の当初の作動は、比較的速く且つ安定したものとなる。
【0034】
リンク部材3とシャッタ羽根17,18,19が作動を開始し、ピンホール状態の直前になると、シャッタ羽根19の突起部19aがフォトリフレクタ10の光路を遮断し、露光時間制御回路を始動させる。その後、シャッタ羽根17,18,19は、開口部1aを開いて行き、全開後にストッパ1k,1m,1nに当接して停止する。作動部材12は、その後も僅かに作動を続け、図示していないストッパに当接して、図6の状態で停止する。
【0035】
その後、露光時間制御回路からの出力信号によって、ムービングマグネット型モータのコイルに逆方向への通電が行われ、回転子11を図6において時計方向へ回転させる。そのため、作動ピン12aは、凹部3aの端面に当接し、リンク部材3を、ばね13,14,15の付勢力に抗して下方へ作動させる。そして、この作動は、シャッタ羽根17,18,19が開口部1aを閉鎖した後に、リンク部材3がストッパ1pに当接することによって停止し、図5の状態に復帰する。
【0036】
図5の状態に復帰した後、ムービングマグネット型モータのコイルへの通電が断たれるが、第1実施例において既に説明した理由により、次の撮影までこの状態が維持される。本実施例の場合には、この状態においてシャッタ羽根17,18,19がストッパに当接していない。しかし、リンク部材3がストッパ1pに当接した状態において、シャッタ羽根17,18,19には、ばね13,14,15によって反時計方向への回転力が付与されているので、既に述べたような公差の範囲内でのがたつき(遊び)はなく、撮影に際しては、常に、この状態から開き作動を開始することになり、安定した露光制御が可能になる。また、ばね13,14,15は、上記したように、このような状態を維持するためのみならず、シャッタ羽根17,18,19の開き作動特性を良くするように働くので、本実施例の構成の場合にも、従来のように、リンク部材3にばねを掛ける必要がない。
【0037】
尚、上記の各実施例の説明においては、シャッタ羽根が、一旦全開状態になってから閉じ作動を開始するタイプのカメラ用シャッタとして説明したが、図示していない部材によって、リンク部材か、シャッタ羽根のうちの1枚を、開き作動の途中において停止させるように構成すれば、絞りを兼用したカメラ用シャッタとすることが可能であり、そのように構成したものも本発明に含まれる。
【0038】
また、上記の各実施例においては、リンク部材が環状であることを前提にしているが、本発明はこのような形状に限定されるものではない。例えば、図1においてシャッタ羽根5との連結部と、シャッタ羽根6との連結部を残し、それらの間を欠落させた円弧状としても構わない。その場合には、開口部1aを約240度に亘って囲んだ形状になる。また、シャッタ羽根は4枚以上であっても差し支えない。仮に、4枚にした場合には、リンク部材は、開口部を約270度に亘って囲んだ形状にしてもよいことになる。但し、本発明は、シャッタ羽根を等間隔に配置する場合だけに限定されるものではない。
【0039】
更に、上記の各実施例においては、ばね13,14,15を羽根室外に取り付けているが、本発明は、特にそのような構成に限定されるものではなく、羽根室内において、シャッタ地板1か補助地板2に取り付けてもよいし、羽根室外においてシャッタ地板1に取り付けるようにしても構わない。また、各実施例においては、作動部材12を回転子11と一体的に構成しているが、作動部材12をシャッタ地板1に取り付け、それを回転子11の回転に連動させて往復作動させるようにしても構わない。
【0040】
【発明の効果】
上記のように、本発明によれば、露光用の開口部を囲むようにして配置された環状又は円弧状に形成されたリンク部材が、ムービングマグネット型モータによって往復作動する作動ピンに連動し、光軸を横切る方向へ往復作動するように構成したことによって、3枚以上のシャッタ羽根が開閉作動を行うようにしたシャッタにおいて、各シャッタ羽根に対し、開き作動方向へ付勢するばねを夫々掛けるようにしたから、主にリンク部材とシャッタ羽根との連結部におけるがたつきがなくなって、シャッタ羽根が、常に所定の位置から、安定した開き作動を行えるようになり、また、従来のように、リンク部材に、開き作動方向へ付勢するようにして掛けていたばねが、不要になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例の羽根室内を示した平面図であって、シャッタ閉鎖状態を示している。
【図2】 図1の背面図である。
【図3】 羽根室を補助地板によって覆っている状態を図1と同じ方向から視た平面図である。
【図4】 第1実施例の羽根室内を示した平面図であって、シャッタ全開状態を示している。
【図5】 本発明の第2実施例の羽根室内を示した平面図であって、シャッタ閉鎖状態を示している。
【図6】 第2実施例の羽根室内を示した平面図であって、シャッタ全開状態を示している。
【符号の説明】
1 シャッタ地板
1a,2a 開口部
1b 壁
1c,1d,1e 受け部
1f,1g,1h,2b,2c,2d 軸
1i スリット
1j,2f,2h,2j 窓部
1k,1m,1n,1p ストッパ
2 補助地板
2e,2g,2i ばね掛け
3 リンク部材
3a 凹部
3b,3c,3d 張出部
3e,3f,3g 長孔
4,5,6,17,18,19 シャッタ羽根
4a,5a,6a,19a 突起部
4b,5b,6b,17a,18a,19b ばね掛け部
7,8,9 連結軸
10 フォトリフレクタ
11 回転子
12 作動部材
12a 作動ピン
13,14,15 ばね

Claims (5)

  1. 各々が支点部と動点部とを有し所定の間隔で露光用開口部の周りに配置されており該支点部で往復回動することにより露光用開口部の開閉作動を行う3枚以上のシャッタ羽根と、連動部を有していると共に前記各動点部と回転可能に連結していて露光用開口部を囲むように環状又は円弧状に形成されており光軸を横切る方向へ往復作動することによって各シャッタ羽根に開閉作動を行わせるリンク部材と、所定の角度範囲で往復作動するムービングマグネット型モータと、前記モータによって往復作動を行い且つ前記リンク部材の連動部の端面に光軸を横切る方向から接していて一方向への作動時において該端面を押し各シャッタ羽根に閉じ作動を行わせる作動ピンと、夫々のシャッタ羽根を別々に開き作動方向へ付勢していて前記作動ピンの他方向への作動時において前記リンク部材の端面が前記作動ピンに接触した状態で作動するようにした複数のばねと、各シャッタ羽根が閉じ作動の最終段階において夫々当接する複数のストッパとを備えていて、前記作動ピンの前記一方向への作動は各シャッタ羽根が夫々のストッパに当接することによって停止され、前記モータへの通電を断った後も各シャッタ羽根がその当接状態を維持されているようにしたことを特徴とするカメラ用シャッタ。
  2. 前記ストッパの数が、前記シャッタ羽根の枚数より少なく、シャッタ羽根の閉じ作動の最終段階においては、一部のシャッタ羽根だけが一つ又は二つ以上のストッパに当接するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のカメラ用シャッタ。
  3. 前記各シャッタ羽根は、夫々の支点部に形成された孔を夫々の枢着軸に回転可能に嵌合させており、前記ストッパに当接するシャッタ羽根のうち少なくとも1枚のシャッタ羽根は、異なるシャッタ羽根の枢着軸を前記ストッパにしていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ用シャッタ。
  4. シャッタ羽根の開き作動位置を検出するための光電センサが設けられていて、前記シャッタ羽根の1枚は、該光電センサによって位置検出される部位が前記ストッパに当接するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のカメラ用シャッタ。
  5. 各々が支点部と動点部とを有し所定の間隔で露光用開口部の周りに配置されており該支点部で往復回動することにより露光用開口部の開閉作動を行う3枚以上のシャッタ羽根と、連動部を有していると共に前記各動点部と回転可能に連結していて露光用開口部を囲むように環状又は円弧状に形成されており光軸を横切る方向へ往復作動することによって各シャッタ羽根に開閉作動を行わせるリンク部材と、所定の角度範囲で往復作動するムービングマグネット型モータと、前記モータによって往復作動を行い且つ前記リンク部材の連動部の端面に光軸を横切る方向から接していて一方向への作動時において該端面を押し各シャッタ羽根に閉じ作動を行わせる作動ピンと、夫々のシャッタ羽根を別々に開き作動方向へ付勢していて前記作動ピンの他方向への作動時において前記リンク部材の端面が前記作動ピンに接触した状態で作動するようにした複数のばねと、前記シャッタ羽根の閉じ作動の最終段階において、前記リンク部材が当接する一つのストッパとを備えていて、前記作動ピンの前記一方向への作動は前記リンク部材が前記ストッパに当接することによって停止され、前記モータへの通電を断った後も該リンク部材がその当接状態を維持されているようにしたことを特徴とするカメラ用シャッタ。
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