JP4034367B2 - 水性インク受理コート用水性樹脂分散液 - Google Patents

水性インク受理コート用水性樹脂分散液 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性ペン、判子、ラインマーカー、印刷、インクジェット記録等の水性インクに対して、濡れ性、乾燥性、定着性、発色性、印刷適性、耐水性が良好でかつ滲みの少ない表面を形成するための水性インク受理コート用水性樹脂分散液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に水性ペン、判子、ラインマーカー、印刷、インクジェット記録等の水性インクを紙、フィルム等の基材に直接筆記又は、印刷する際、表面処理をしていない場合は、はじき、乾燥が遅い、滲み、発色性が悪い等、いずれかの問題が生じる事が多い。これに対し、従来からこれら基材の表面処理として、コロナ処理や水性インク受理コート等を行っている。この水性インク受理コートとは、インクジェット等の水性インクによる印刷、水性ペンによる筆記、判子による捺印等の際の水性インクの濡れ性、滲み、乾燥性、定着性、発色性を制御するために被印刷基材の表面に塗布されるコーティング処理の事である。この水性インク受理コートに用いられている水性インク受理コート剤としては、一般に、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、澱粉等をはじめとする水溶性樹脂やスチレン−ブタジエンラテックス、アクリルエマルション等をはじめとする疎水性樹脂等がある。これらの樹脂を単独あるいは混合して使用したり、また、これらの樹脂をバインダーとして、カオリンクレー、炭酸カルシュウム等の吸油性能を持つ顔料を多量に配合して使用する。
【0003】
しかし、これら一般の水性インク受理コ−ト剤では、濡れ性、滲み、乾燥性、定着性、発色性等のすべての性能を満足することは難しく、未だに全ての性能において良好なものは無い。例えば、水性インクの乾燥性が良好で比較的はじきの少ない、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子は耐水性が悪い場合が多い。これを改良するために架橋剤を使用したり、疎水性樹脂をブレンドすると、架橋剤量や樹脂のブレンド比率が高くなるほど耐水性は向上するが、水性インクの乾燥性が低下したり、疎水性樹脂エマルションに使用される乳化剤等が、滲みや変色の原因となることが多い。また、吸油性顔料を併用する方法についても、顔料を多量に使用するため、滲みや水性インクの発色性の問題が生じる場合が多い。このように、全ての性能を満足することは難しく、これら組み合わせによりバランスをとりながら、それぞれの用途にようやく適用させているのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のごとき事情に鑑みなされたもので、水性ラインマーカー等の水性ペン、判子、水性インクによる印刷、インクジェット記録等の水性インクに対して、濡れ性、乾燥性、定着性、発色性、印刷適性、耐水性が良好でかつ滲みの少ない表面を形成するための水性インク受理コート用の水性樹脂分散液を提供するものである。また、感熱記録紙についても最近印刷をしたり、マーカーペンや判子を使用しても、被りや滲み、はじきが無く、インクの乾燥性の良いものの要求が高まっており、本発明はこの感熱記録紙用の水性インク受理コート用の水性樹脂分散液としても特に好適に使用できるものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、数平均分子量1000〜100000の高分子乳化剤を用い、N−ビニルピロリドン及びそれ以外の重合性単量体を乳化重合して得られる事を特長とする、水性インク受理コート用水性樹脂分散液である。
【0006】
一般に水性インクの溶媒には、水以外にアルコール類、エチレングリコール、グリセリン、N−メチル−2−ピロリドン等の水溶性の溶剤が含まれており、これらの溶剤が、水性インクの乾燥性を遅くしている原因となっている。また、感熱記録紙においても印刷、筆記、捺印時に水性インクの乾燥性とともに、これらの溶剤によって感熱発色層が発色してしまうこと(以降これを被りという)が問題となっている。これに対し、感熱発色層の上に保護層を設けることが一般に行われているが、耐水性、耐スティッキング性、耐被り性、水性インクの乾燥性、水性インクの濡れ性等のバランスをとることはかなり難しく、これらの性能を満足するコート剤の要求が高まっている。これらの問題を解決するには、樹脂自体が、これら水性インクに含まれる溶剤を素早く吸収し、保持しなければならないため、樹脂組成中にN−ビニルピロリドンを共重合することが必須である事を本発明者は鋭意検討の末見いだした。よって、本発明は樹脂中にこのN−ビニルピロリドンを共重合することによって、速やかに水性インクの溶剤を吸収、保持し、水性インクの乾燥性、定着性を良好なものとする事を実現している。また、この吸収性能は、N−ビニルピロリドンの共重合量に比例して高くなるが、共重合するN−ビニルピロリドンの量が共重合される全重合性単量体の5重量%未満になると溶剤吸収性能の低下が発生する場合があり、50重量%を越えると、乳化重合時の安定性が低下し、凝集物が次第に増え、収率が悪くなる場合があり好ましくない。
【0007】
本発明の水性インク受理コート用水性樹脂分散液に使用される、N−ビニルピロリドン以外の重合性単量体成分としては、特に制限はないが例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルメチルスチレン等のスチレン誘導体類;(メタ)アクリルアミド、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸とC1 〜C18のアルコールのエステルである(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコールとのモノエステル等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル等;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の塩基性重合性単量体類;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の架橋性(メタ)アクリルアミド類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン等の珪素原子に直結する加水分解性珪素基を有する重合性単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、アクリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性単量体類;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニルオキサゾリン等のオキサゾリン基含有重合性単量体類;(メタ)アクリル酸−2−アジリジニルエチル、(メタ)アクロイルアジリジン等のアジリジン基含有重合性単量体;およびフッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等を挙げることができ、また、これらの重合性単量体以外に重合性多官能単量体も併せて用いることができ、例えば、(メタ)アクリル酸とエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとのエステル化物等の分子内に重合性不飽和基を2個以上有する多官能(メタ)アクリル酸エステル類;メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の分子内に重合性不飽和基を2個以上有する多官能(メタ)アクリルアミド類;ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレート等の分子内に重合性不飽和基を2個以上有する多官能アリル化合物;(メタ)アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
【0008】
これらの1種または2種以上の重合性単量体、重合性多官能単量体を混合して使用することができる。
【0009】
感熱記録紙用の水性インク受理コート剤として使用する場合は、溶剤の吸収性能とは別に、耐スティッキング性、耐地発色性、印字発色性等の性能が必要となるため、重合性単量体のあらゆる組み合わせが感熱記録紙性能に良好であるとはいえず、N−メチルピロリドンを5〜30重量%、エチルアクリレート及びそれ以外の上記モノマーを用い、計算上のガラス転移点が0℃以上100℃以下のものが、溶剤吸収性、耐スティッキング性のバランスの良いものであった。
【0010】
乳化重合に際し乳化剤を用いるが、数平均分子量1000未満の乳化剤を用いた乳化重合により得られた水性樹脂分散液を、水性インク受理コートとして用いた場合、この乳化剤が水性インクに速やかに溶解し、水性インクの表面張力を下げ滲みの原因となる。しかし、数平均分子量が1000以上の乳化剤を使用すると、この滲みが押さえられ、良好な印刷適正を示す。しかし、数平均分子量が100000を越える乳化剤は、単位重量当たりの乳化活性が低下するため大量に乳化剤を使用しなければならなくなり、結果的に耐水性が低下する。
【0011】
ここでの数平均分子量は、GPCを用いて測定したものである。
【0012】
数平均分子量1000以上の乳化剤とは、乳化活性を持つ水溶性高分子のことを言い、使われ方によっては、分散剤といわれることもある。この水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール及び、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、疎水基変性ポリビニルアルコール、SH基変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール系樹脂;スチレン−マレイン酸樹脂等のマレイン酸共重合体及びその誘導体;ポリビニルピロリドン及びその誘導体;ポリエチレングリコール及びポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル等のポリエチレングリコール誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸系共重合体及びその誘導体;ポリアクリルアミド及びその誘導体;ポリビニルメチルエーテル及びその誘導体;ポリビニルスルホン及びその誘導体;ポリビニルアミン及びその誘導体;ポリエチレンイミン及びその誘導体等の乳化活性を持つ水溶性高分子及びその誘導体を挙げることができる。
【0013】
これらの1種または2種以上の乳化剤を混合して使用することができる。
【0014】
感熱記録紙においても、低分子の乳化剤は地被りの原因となるため、好ましくなく、ポリアクリル酸共重合体の一種である一般式(1)
【0015】
【化1】
Figure 0004034367
【0016】
(一般式(1)において、R1は炭素数6〜18のアルキル基を示し、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立して水素、メチル基、カルボキシル基、カルボキシメチル基、またはカルボキシル基もしくはカルボキシメチル基の塩を示し、Xは水素、アンモニウム基、アミン塩基、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を示し、これらが同一分子内に任意の割合で存在しても良い、Yは重合性不飽和基を有すると共にエーテル結合、エステル基、アミド基またはアミノ基を有する炭化水素基を示し、Zはニトリル基または置換基を有してもよいフェニル基、アミド基またはカルボン酸アルキルエステル基を示し、aは1〜500、bは1〜100の整数であり、cは0または1〜250の整数である。また、これらの単量体ユニットは分子内でランダムに結合しているものとする。)
で示される乳化剤を用いた乳化重合で得られる、本発明の水性樹脂分散液は、耐水性、耐スティッキング性、溶剤吸収性において良好でかつ、地被りが少ないので好適に使用できる。
【0017】
また、本発明の水性樹脂分散液を得るための乳化重合方法は、一般の乳化重合で用いられるあらゆる方法を用いることができ、例えば、モノマー一括添加法、モノマー滴下法、プレエマルション法、パワーフィード法、シード法、モノマー多段添加法等の方法を用いることができる。
【0018】
本乳化重合に用いることのできる重合開始剤は特に限定されるものではなく、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ系化合物;過酸化水素等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を混合して使用することができる。
【0019】
重合温度としては、0〜100℃、好ましくは50〜80℃、重合時間は3〜15時間である。乳化重合の際、親水性溶媒を加えること及び添加剤を加えることは、各用途の物性に悪影響を及ぼさない範囲において可能である。
【0020】
本発明の水性インク受理コート用水性樹脂分散液を使用した水性インク受理層は、該水性樹脂分散液を単独で用いても良いが、用途、要求物性により一般のコーティング剤に添加される添加剤を著しく性能を低下させない範囲で添加することができる。これらの添加剤としては、顔料、消泡剤、レベリング剤、湿潤剤、増粘剤、架橋剤、耐水化剤、防腐剤、防かび剤、分散剤、濡れ性調整剤、成膜助剤、潤滑剤、ワックス、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、染料、顕色剤等が挙げられる。
【0021】
顔料については、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム,水酸化アルミニウム、ケイ藻土、ケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸マグネシウム、二酸化チタン、ロウ石、ケイ酸アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、焼成カオリン、カオリン、ケイ酸カルシュウム、表面処理された炭酸カルシウムやカオリン等の無期顔料の他、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、フッ素系樹脂、スチレン−無水マレインサン共重合体、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニリデン樹脂、高級アルキレン−無水マレイン酸共重合体等の有機微粒子及びこれらの中空粒子等が挙げられ、特に吸油量が、50ml/100g以上のこれらの粒子を用いると水性インクの乾燥性が更に向上し良好であるが、多量に添加すると、滲みの原因となったり、発色性が悪くなることがある。
【0022】
【発明実施の形態】
本発明の水性インク受理コート用水性樹脂分散液は単独か一般の添加剤をさらに加えて、水性インク受理コート剤として、筆記、捺印、印刷等をする基材に塗工して使用できる。その用途としては、板紙、洋紙をはじめとする普通紙の印刷適正改良、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムの印刷性改良、樹脂の成形体、インクジェット用紙、OHP用のインクジェット用フィルム、ワープロ用感熱記録紙、切符用の感熱記録紙、印刷がかけてあるキャッシュディスペンサー、チケット、領収書、請求書用の感熱記録紙、繊維、布、セラミックタイル、無機繊維等があり、水性インクによって印刷、筆記、捺印等をされる基材にコーティングされその乾燥性、定着性、耐水性、濡れ性、発色性、印刷適性を良好にするものである。
【0023】
【実施例】
以下に本発明の特に感熱記録紙用についての実施例を示すが、これらは例示の目的で挙げたもので本発明の範囲を制限するものではない。また、以下において部、%はそれぞれ重量部、重量%を表す。
【0024】
〈参考例1〉
滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却器を備えたフラスコにイソプロピルアルコール757部を仕込み、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃に加熱した。そこにアクリル酸518部、アクリル酸ラウリル121部、n−ドデシルメルカプタン102部、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNと略す)0.4部からなる重合性混合物を2時間かけて滴下した。滴下中は温度を82℃に保持し、さらに滴下終了後同温度で1時間撹拌して重合を終了させた。続いて、窒素ガスの導入を停止し、イオン交換水2700部、25%アンモニア水500部加え13330Paまで減圧し、バスの温度を80℃一定にして、残存のイソプロピルアルコールがガスクロマトグラフィーを用いた測定で2%未満となるまでイソプロピルアルコールを留出させ、脱溶剤し、化学式(2)
【0025】
【化2】
Figure 0004034367
【0026】
(化学式(2)において、Rはn−ドデシル基、Xは水素、Yはアンモニウム基、Zはラウリル基を示し、aとbの合計は平均約20であり、cは1〜2である。また、これらの単量体ユニットは分子内でランダムに結合しているものとする。)不揮発分20% pH8.2のポリアクリル酸共重合体系の乳化剤水溶液を得た。この乳化剤の数平均分子量は2300(東ソー(株)製の東ソー高速GPCシステム8000シリーズを用いた実測値)であった。
【0027】
次に、滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却器を備えたフラスコにイオン交換水600部、上記の20%乳化剤水溶液45部、25%アンモニア水1部仕込み、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら70℃に加熱した。滴下ロートにアクリル酸エチル138部、メタクリル酸メチル90部、N−ビニルピロリドン60部、トリメチロールプロパントリメタクリレート6部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン6部からなる重合性単量体混合物を調整し、その内の1%量をフラスコに滴下した。続いて2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の5%水溶液12部を注入した。30分後、残りの重合性単量体混合物の滴下を始め、3時間で完全に滴下を終了した。滴下中は温度を68〜72℃に保持し、さらに滴下終了後同温度で1時間撹拌して重合を終了させ、不揮発分32.3% pH8.8、計算上のガラス転移点が約39℃の水性樹脂分散液〔1〕を得た。
【0028】
〈参考例2〉
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計及び冷却器を備えたフラスコにイオン交換水600部、数平均分子量77000、鹸化度98.5%のクラレ(株)製ポリビニルアルコールPVA-117を27部仕込み、攪拌下、80〜90℃に加熱してポリビニルアルコールを完全に溶解させる。内温を75℃まで冷却した後、過硫酸カリウムの5%水溶液11部を投入し、次いで滴下ロートより、あらかじめ調製しておいたアクリル酸ブチル140部、スチレン92部、N−ビニルピロリドン27部、メタクリル酸ヒドロキシエチル6部、ジビニルベンゼン5部からなる重合性単量体混合物を調整し、内温を73〜77℃に保持したまま3時間にわたって滴下した。滴下終了後、2時間攪拌を続けた後冷却して重合を完了し、不揮発分32.7% pH6.8、計算上のガラス転移点が約0℃の水性樹脂分散液〔2〕を得た。
【0029】
〈参考例3〉
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計及び冷却器を備えたフラスコにイオン交換水600部、数平均分子量13000、鹸化度95%のクラレ(株)製アルキル基、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールHL-1203を9部仕込み、攪拌下、80〜90℃に加熱してポリビニルアルコールを完全に溶解させる。内温を75℃まで冷却した後、過硫酸アンモニウムの5%水溶液12部を投入し、次いで滴下ロートより、あらかじめ調製しておいたアクリル酸ブチル57部、メタクリル酸メチル78部、N−ビニルピロリドン150部、グリシジルメタクリレート9部、アクリロニトリル6部からなる重合性単量体混合物を調整し、内温を73〜77℃に保持したまま3時間にわたって滴下した。滴下終了後、2時間攪拌を続けた後冷却して重合を完了し、不揮発分33.6% pH6.2、計算上のガラス転移点が約80℃の水性樹脂分散液〔3〕を得た。
【0030】
〈参考例4〉
滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却器を備えたフラスコにイオン交換水500部、数平均分子量2000の三洋化成工業(株)製ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル系の乳化剤ノニポール400を9部仕込み、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら70℃に加熱した。滴下ロートにアクリル酸2エチルヘキシル175部、メタクリル酸メチル110部、N−ビニルピロリドン15部からなる重合性単量体混合物を調整し、その内の1%量をフラスコに滴下した。続いて亜硫酸水素ナトリウムの1%水溶液6部及び過硫酸カリウムの2%水溶液6部を注入した。30分後、残りの重合性単量体混合物及び亜硫酸水素ナトリウムの1%水溶液54部、過硫酸カリウムの2%水溶液54部をそれぞれ3時間に渡って滴下した。滴下中は温度を68〜72℃に保持し、さらに滴下終了後同温度で1時間撹拌して重合を終了させ、不揮発分33.4% pH6.5、計算上のガラス転移点が約-20℃の水性樹脂分散液〔4〕を得た。
【0031】
〈比較参考例1〉
滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却器を備えたフラスコにイオン交換水600部、数平均分子量574の第一工業製薬(株)製ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテルスルホン酸アンモニウム系の乳化剤ハイテノールN-08を6部仕込み、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら70℃に加熱した。滴下ロートにアクリル酸エチル136部、メタクリル酸メチル92部、N−ビニルピロリドン60部、トリメチロールプロパントリメタクリレート6部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン6部からなる重合性単量体混合物を調整し、その内の1%量をフラスコに滴下した。続いて2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の5%水溶液12部を注入した。30分後、残りの重合性単量体混合物の滴下を始め、3時間で完全に滴下を終了した。滴下中は温度を68〜72℃に保持し、さらに滴下終了後同温度で1時間撹拌して重合を終了させ、不揮発分33.3% pH7.7、計算上のガラス転移点が約40℃の比較用水性樹脂分散液〔1’〕を得た。
【0032】
〈比較参考例2〉
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計及び冷却器を備えたフラスコにイオン交換水600部、数平均分子量110000、鹸化度88%のクラレ(株)製ポリビニルアルコールPVA-224を50部仕込み、攪拌下、80〜90℃に加熱してポリビニルアルコールを完全に溶解させる。内温を75℃まで冷却した後、過硫酸カリウムの5%水溶液10部を投入し、次いで滴下ロートより、あらかじめ調製しておいたアクリル酸エチル114部、メタクリル酸メチル76部、N−ビニルピロリドン50部、トリメチロールプロパントリメタクリレート5部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5部からなる重合性単量体混合物を調整し、内温を73〜77℃に保持したまま3時間にわたって滴下した。滴下終了後、2時間攪拌を続けた後冷却して重合を完了し、不揮発分32.9% pH6.5、計算上のガラス転移点が約40℃の比較用水性樹脂分散液〔2’〕を得た。
【0033】
〈比較参考例3〉
滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却器を備えたフラスコにイオン交換水600部、参考例1に記載の20%乳化剤水溶液45部、25%アンモニア水1部仕込み、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら70℃に加熱した。滴下ロートにアクリル酸エチル118部、メタクリル酸メチル170部、トリメチロールプロパントリメタクリレート6部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン6部からなる重合性単量体混合物を調整し、その内の1%量をフラスコに滴下した。続いて2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の5%水溶液12部を注入した。30分後、残りの重合性単量体混合物の滴下を始め、3時間で完全に滴下を終了した。滴下中は温度を68〜72℃に保持し、さらに滴下終了後同温度で1時間撹拌して重合を終了させ、不揮発分32.3% pH8.7、計算上のガラス転移点が約40℃の水性樹脂分散液〔3’〕を得た。
【0034】
〈比較参考例4〉
滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却器を備えたフラスコにイオン交換水629部、参考例1に記載の20%乳化剤水溶液45部、25%アンモニア水1部仕込み、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら70℃に加熱した。滴下ロートにアクリル酸エチル121部、メタクリル酸メチル158部、N−ビニルピロリドン9部、トリメチロールプロパントリメタクリレート6部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン6部からなる重合性単量体混合物を調整し、その内の1%量をフラスコに滴下した。続いて2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の5%水溶液12部を注入した。30分後、残りの重合性単量体混合物の滴下を始め、3時間で完全に滴下を終了した。滴下中は温度を68〜72℃に保持し、さらに滴下終了後同温度で1時間撹拌して重合を終了させ、不揮発分32.2% pH8.9、計算上のガラス転移点が約40℃の比較用水性樹脂分散液〔4’〕を得た。
【0035】
〈比較参考例5〉
滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却器を備えたフラスコにイオン交換水600部、参考例1に記載の20%乳化剤水溶液45部、25%アンモニア水1部仕込み、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら70℃に加熱した。滴下ロートにアクリル酸エチル78部、N−ビニルピロリドン210部、トリメチロールプロパントリメタクリレート6部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン6部からなる重合性単量体混合物を調整し、その内の1%量をフラスコに滴下した。続いて2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の5%水溶液12部を注入した。30分後、残りの重合性単量体混合物の滴下を始め、3時間で完全に滴下を終了した。滴下中は温度を68〜72℃に保持し、さらに滴下終了後同温度で1時間撹拌して重合を終了させたが、凝集物が多く100メッシュの金網でろ過できなっかったため、比較用水性樹脂分散液は得られなかった。
【0036】
以上の参考例1〜4、比較参考例1〜5の結果及び、それぞれの感熱記録用水性樹脂分散液〔1〕〜〔4〕、比較用水性樹脂分散液〔1’〕〜〔4’〕の不揮発分、pH、重合結果、を表1、表2に示した。
【0037】
【表1】
Figure 0004034367
【0038】
【表2】
Figure 0004034367
【0039】
〈実施例1〉
[A液]
重合度1750、鹸化度96.0%のクラレ(株)製ポリビニルアルコールPVA-CSTの2%水溶液70部に、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン30部を加えサンドミルを使用して分散粒子径が1μmになるまで分散を行った。
【0040】
[B液]
重合度1750、鹸化度96.0%のクラレ(株)製ポリビニルアルコールPVA-CSTの2%水溶液70部に、ビスフェノールA24部、ステアリン酸アミド6部を加えサンドミルを使用して分散粒子径が1μmになるまで分散を行った。
【0041】
[C液]
重合度1750、鹸化度96.0%のクラレ(株)製ポリビニルアルコールPVA-CSTの3%水溶液100部に、JISK-5101によるアマニ油吸油量43.5ml/100gの白石工業(株)製炭酸カルシウムBrilliant-15を100部加え、サンドミルを使用して粒子径が1μmになるまで分散を行った。これに、12.1%PVA-CST水溶液を800部添加した。
【0042】
[D液]
参考例1〜4で得た水性樹脂分散液〔1〕〜〔4〕または比較参考例1〜5で得た比較用水性樹脂分散液〔1’〕〜〔4’〕をそれぞれイオン交換水を加えて不揮発分30%に調整した。
【0043】
[E液]
重合度1750、鹸化度96.0%のクラレ(株)製ポリビニルアルコールPVA-CSTの2%水溶液70部に、JISK-5101によるアマニ油吸油量230ml/100gの水沢化学工業(株)製炭酸カルシウムのミズシカルP-78D 30部を加えサンドミルを使用して粒子径が1μmになるまで分散した。
【0044】
[F液]
(株)日本触媒製、合成高分子ワックスエマルションCX-ST200(固形分41.5%)
A液10部、B液50部、C液60部及び架橋剤として40%グリオキザール水溶液を1部混合して感熱発色層用塗工液を調製し、これを坪量50g/m2の上質紙の片面に乾燥後の塗布量が5g/m2となるようにバーコーターを用いて塗布し、40℃で3分乾燥して、試験用ベース感熱記録紙を得た。
【0045】
D液33部、E液65部、F液1部、及び架橋剤として40%グリオキザール水溶液を1部混合して感熱発色層用塗工液を調製し、これを乾燥後の塗布量が3g/m2となるように上記で得られた試験用ベース感熱記録紙の感熱発色層面上へバーコーターを用いて塗布、乾燥して保護層を形成した後、熊谷理機工業(株)製スーパーカレンダー30FC-200Eを用いて表面平滑度を3000sec以上となるように処理し、感熱記録材料[I]〜[IV]及び比較用感熱記録材料[I’]〜[IV’]を得た。また、重合度1750、鹸化度96.0%のクラレ(株)製ポリビニルアルコールPVA-CSTの10%水溶液100部、E液65部、F液1部、及び架橋剤として40%グリオキザール水溶液を1部混合したもの及び、PVA-CSTの10%水溶液50部、比較用水性樹脂分散液〔3’〕をイオン交換水を加えて不揮発分30%に調整したもの17部、E液65部、F液1部、及び架橋剤として40%グリオキザール水溶液を1部混合したものを、それぞれ乾燥後の塗布量が3g/m2となるように上記で得られた試験用ベース感熱記録紙の感熱発色層面上へバーコーターを用いて塗布、乾燥して保護層を形成した後、熊谷理機工業(株)製スーパーカレンダー30FC-200Eを用いて表面平滑度を3000sec以上となるように処理し、比較用感熱記録材料[V’]及び[VI’]を得た。
【0046】
得られた感熱記録材料[I]〜[IV]及び比較用感熱記録材料[I’]〜[VI’]の塗工時の白色度、耐スティッキング性、印字発色濃度、耐水性、水性インクへの適性として判子を押したとき及びラインマーカーで筆記したときの被り、乾燥性、はじき、滲みを以下の装置、条件を用いて測定した。その結果を表3に示した。
【0047】
・耐スティッキング性:(株)大倉電機感熱紙印字装置を用いて各印字エネルギーで印字し、スティッキングを起こし始めた所の印字エネルギーをスティッキングエネルギーとした。数字が大きいほど高エネルギーでもスティッキングせずに良好である。
【0048】
・耐地発色性:塗工時の白色度を日本電色工業(株)測色色差計ND-1001を用いて次式より計算し、これで示した。白色度=100-[(100-L)2+a2+b2]0.5
数値が大きいほど地発色が少なく良好である。
【0049】
・印字発色濃度:(株)大倉電機感熱紙印字装置を用い、印字エネルギー0.5mJ/dotで印字したときの印字発色濃度をKollmorgen Co.ノMacbeth反射濃度計RD-914を用いて測定した。数字が大きいものほど印字濃度が高く良好である。
【0050】
・耐水性:感熱発色層面に水を1滴落とし指の腹で軽く擦り、感熱発色層面が剥がれ始めるまでの擦った回数で示した。回数が大きいほど耐水性は良好である。
【0051】
・水性インク適性:水性インクの適性として感熱記録紙のコート面をシャチハタ工業(株)製の簡易型印鑑であるシャチハタXスタンパーネーム9で捺印及びゼブラ(株)製蛍光ラインマカーのZEBRA蛍光PEN2の黄色で筆記したときの感熱発色層の被り、水性インクの乾燥状態、はじきの程度、滲みの程度を目視で評価し、◎:優、○:良、△:可、×:不可で示した。
【0052】
【表3】
Figure 0004034367
【0053】
【発明の効果】
本発明は、数平均分子量1000〜100000の水溶性高分子を乳化剤とし、N−ビニルピロリドン及びそれ以外の重合性単量体を乳化重合して得られる、水性インク受理コート用水性樹脂分散液である。
【0054】
この水性インク受理コート用水性樹脂分散液を、基材にコーティングすることにより、水性ペン、判子、ラインマーカー、印刷、インクジェット記録等の水性インクに対して、濡れ性、乾燥性、定着性、発色性、印刷適性、耐水性が良好でかつ滲みの少ない表面が得られる。
【0055】
よって、その用途は、板紙、洋紙をはじめとする普通紙の水性インクによる印刷性向上剤、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムの水性インクのはじき防止及び定着剤、樹脂の成形体の水性インクのはじき防止及び定着剤、インクジェット用紙、OHP用のインクジェット用フィルムの水性インクのはじき防止及び定着剤、感熱記録紙の印刷適性、捺印性、筆記性向上剤、繊維、布、セラミックタイル、無機繊維等の水性インクによって印刷、筆記、捺印等を受けるありとあらゆる基材に、乾燥性、定着性、耐水性、濡れ性、発色性、印刷適性を改良するためにコーティングする水性インク受理コート剤等に用いられる。
【0056】
また、乳化剤とモノマー組成を限定することにより、一般の感熱記録紙用オーバーコート剤としての性能を兼ね備えることもでき、なおかつ水性インクに含まれる溶剤による被りを防ぎ、水性インクの乾燥性が良好な感熱記録紙が得られる。よって、ワープロ、切符、キャッシュディスペンサー、チケット、領収書、請求書用等の感熱記録紙の水性インク受理コート剤としても好適に用いられる。

Claims (2)

  1. 数平均分子量1000〜100000の乳化剤を用い、全重合性単量体の5〜50重量%のN−ビニルピロリドン及びそれ以外の重合性単量体を乳化重合して得られる、水性インク受理コート用水性樹脂分散液。
  2. N−ビニルピロリドンの量が、全重合性単量体の5〜20重量%である、請求項1記載の水性インク受理コート用水性樹脂分散液。
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