JP4046263B2 - 2通路排気管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用エンジンの排気系を構成する排気管に関し、詳しくは、エンジンの高速回転域におけるエンジン出力の確保と低速回転域における排気騒音の低減とを両立できるように開発された2通路排気管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に車両においては、加速走行時や高速走行時の性能を向上させるため、エンジンの高速回転域の出力を十分に確保することが要求される。また、アイドリング時や低速走行時の静粛性を確保するため、排気騒音を低減することが要求される。すなわち、エンジンの高速回転域の出力を十分に確保しつつ、少なくともエンジンの低速回転域では排気騒音を低減することが要求されている。
【0003】
ここで、エンジン出力および排気騒音は、車両用エンジンの排気系を構成する排気管の通路断面積によって大きく影響されることが知られている。すなわち、排気管の通路断面積を増大すれば、排気抵抗の減少によりエンジン出力を十分に確保することができる反面、排気抵抗の減少によって排気騒音が増大し、反対に排気管の通路断面積を減少すれば、排気抵抗の増大により排気騒音を低減できる反面、排気抵抗の増大によってエンジン出力が低下することが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の排気管は、一般に通路断面積が可変に構成されていないため、エンジンの高速回転域での出力の確保と、エンジンの低速回転域での排気騒音の低減との両立が困難である。すなわち、エンジンの高速回転域の出力を十分に確保するように排気管の通路断面積を大きく設定すると、排気抵抗の減少によって排気騒音が増大し、静粛性が要求される車両のアイドリング時や低速走行時などにおいて、排気騒音により静粛性が損われるという問題がある。もっとも、排気管の通路断面積を小さく設定すれば、排気抵抗の増大によって排気騒音が低減するため、車両の静粛性を確保することができるが、この場合には、エンジンの高速回転域の出力を十分に確保することができなくなり、車両の加速走行時や高速走行時の性能が低下するという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、エンジンの低速回転域では排気騒音を十分に低減でき、エンジンの高速回転域ではエンジン出力を十分に確保できる車両用の2通路排気管を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決する手段として、本発明に係る2通路排気管は、車両用エンジンの排気系を構成する排気管であって、内部が2通路に区画されており、その一方の通路には、排気圧力の上昇に応じて通路を開く開閉弁が設けられている2通路排気管において、前記開閉弁は、板状に形成されて前記一方の通路に排気ガスの流通方向に沿う傾斜状態で設置される弁座と、この弁座に排気ガスの流通方向上流側の端部が固定されて揺動可能に添設される板状の弁体と、この弁体に斜交する状態で弁体の先端部を閉弁方向に付勢する板バネ部材とを備えて構成されていることを特徴とする。
【0007】
このように構成した本発明の2通路排気管によれば、排気圧力が低いエンジンの低速回転域では、開閉弁が排気管の一方の通路を閉じて排気管の有効通路断面積を他方の通路のみに減少させるため、排気抵抗が増大して排気騒音が低減される。また、排気圧力が高いエンジンの高速回転域では、開閉弁が前記一方の通路を開いて排気管の有効通路断面積を増大させるため、排気抵抗が減少してエンジン出力が十分に確保される。
また、このように開閉弁を構成した場合、排気ガスの流通方向に沿って弁体が円滑に開閉動作できるため、弁体の開弁時の排気抵抗を減少させることができる。また、板バネ部材が排気圧力に応じて瞬時に弁体を開閉動作させることができ、応答性が良い。なお、このような構成の開閉弁は、制御装置などを要することなく自律的に作動する簡素な構造であるため、排気管内に無理なく設置することができ、排気管のレイアウトを妨げることがない。また、前記開閉弁は排気管の外部に全く露出しないため、雨水の飛散や石跳ねなどによって損傷することもない。
【0010】
本発明の2通路排気管において、前記開閉弁は、排気管内の排気圧力や排気温度に対する耐性の高い材料、例えばステンレス鋼などで構成するのが好ましい。また、開閉弁を構成する弁体は、閉弁方向に自己復帰して弁座の開口を塞ぐ習性のある板バネ製とすることができる。この場合、弁体の他端部を付勢する板バネ部材が不要となり、開閉弁の構造をより簡素化することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る2通路排気管の実施の形態を説明する。参照する図面において、図1は一実施形態に係る2通路排気管が適用されるエンジン排気系の斜視図、図2は図1に示した2通路排気管の内部構造および作用を示す断面図である。
【0012】
一実施形態に係る2通路排気管は、図1に示すエンジン排気系に適用される。このエンジン排気系は、触媒コンバータ1、副消音器2、主消音器3を備えており、触媒コンバータ1は、図示しないエンジンの排気マニホールドに接続される排気管4と、その下流側の排気管5との間に介設されている。また、前記副消音器2は、前記排気管5に接続される排気管6と、その下流側の排気管7との間に介設されている。そして、この排気管7にインレットパイプ3Aを介して前記主消音器3が接続されている。すなわち、このエンジン排気系においては、図示しないエンジンの排気マニホールドに排出される排気ガスが排気管4を介して触媒コンバータ1に流入することでCO,HC,NOXが処理される。また、排気ガスが排気管5、排気管6を介して副消音器2に流入し、さらに排気管7、インレットパイプ3Aを介して主消音器3に流入することで、排気騒音が消音処理される。そして、CO,HC,NOXが処理された排気ガスが主消音器3のアウトレットパイプ3Bから排出される。
【0013】
ここで、一実施形態に係る2通路排気管は、前記エンジン排気系の排気管5に接続される排気管6として適用される。この2通路排気管からなる排気管6は、図2に示すように、前記排気管5の後端部に接続される大径の外管6Aと、この外管6A内に配設される小径の内管6Bとを備えており、排気管6の内部には、内管6Bの内側のメイン通路6Cと、内管6Bの外側のサブ通路6Dとの2つの排気通路が区画されている。そして、一方の通路である内管6Bと外管6Aとの間のサブ通路6Dには、排気圧力の上昇に応じてサブ通路6Dを開く開閉弁8が設けられている。
【0014】
前記外管6Aの前端部は、図3に拡大して示すように、下半部が円形断面のまま、上半部のみが扁平な上壁部6A1および左右の側壁部6A2を有する角型断面に塑性加工されている。そして、この外管6Aの前端部は、これと相似の断面形状に塑性加工された前記排気管5の後端部の内側に嵌合して気密に溶接されている(図2参照)。また、内管6Bの前端部は、前記外管6Aの下半部の円形断面部分に接合する半円形断面に塑性加工されている。この内管6Bの前端は、外管6Aの前端より所定寸法だけ後退した位置に設定されている。そして、この内管6Bは、軸方向に沿って外管6Aの底部に線接触する部分がレーザ溶接によって外管6Aに固定されている。この固定状態において、前記内管6Bの前端上部の扁平な上壁部6B1と前記外管6Aの上壁部6A1とが相互に平行している(図3参照)。
【0015】
ここで、図2および図4に示すように、前記開閉弁8は、排気圧力の上昇に応じバネ付勢力に抗して弁座8Aの開口8Bを開く弁体8Cを備えている。前記弁座8Aは、例えばステンレス鋼鈑の打抜き加工により長方形の開口8Bを有する概略長方形の板状に形成されている。この弁座8Aは、長手方向の一端部が前記外管6Aの上壁部6A1の前端内面に溶接され、他端部が前記内管6Bの上壁部6B1の前端内面に溶接されており、両側縁部が前記外管6Aの左右の側壁部6A2の内面に当接することで、排気ガスの流通方向に沿う傾斜状態で前記一方のサブ通路6Dを仕切るように設置されている。なお、前記開口8Bの形状は、長方形に限らず、円形や楕円形としてもよい。
【0016】
前記弁体8Cは、例えば可撓性のある薄肉のステンレス鋼鈑からなり、前記弁座8Aの開口8Bを塞ぎ得る大きさの概略長方形に形成されている。この弁体8Cは、図2の左側から右側に向かって黒矢印のように流出する排気ガスの流れに沿って開口8Bを開き得るように、前記弁座8Aのサブ通路6D側に面する傾斜した上面側に添設されている。すなわち、弁体8Cは、排気ガスの流通方向上流側に臨む基端部がストッパ部材8Dの基端部と共に、これに挟持された状態で弁座8Aの一端部側に締結固定されており、先端側が排気ガスの流れに沿って上方に揺動可能に構成されている。
【0017】
前記ストッパ部材8Dは、弁体8Cの揺動を規制する部材であり、弁体8Cが所定量揺動して開口8Bを十分に開き得るように、基端部を除く中間部分から先端部が前記弁座8Aから離間して上方に反り上がっている。そして、このストッパ部材8Dの先端部には、板バネ部材8Eの基端部が固定されている。
【0018】
前記板バネ部材8Eは、排気ガスの圧力に抗して前記弁体8Cを弁座8A側へ弾性的に付勢する部材であり、弁体8Cと略同幅の概略長方形に形成されている。この板バネ部材8Eは、前記ストッパ部材8Dから弁体8C側へ向かって弁体8Cとは逆向きの傾斜状態で突出しており、その先端部が弁体8Cの先端部に斜めに当接している。この板バネ部材8Eの先端部は、円弧状に屈曲されて弁体8Cに摺動自在に当接しており、弁体8Cが円滑に開閉動作できるようにしている。そして、この板バネ部材8Eは、排気圧力が図示しないエンジンの高回転域に対応した所定の圧力を超えると弁体8Cに押動されて瞬時に上方に撓むように構成されている。
【0019】
以上のように構成された一実施形態の2通路排気管である排気管6を備えたエンジン排気系において、図示しないエンジンの始動に伴い排気マニホールドに排出される排気ガスは、排気管4、触媒コンバータ1、排気管5、排気管6、副消音器2、排気管7、インレットパイプ3A、主消音器3、アウトレットパイプ3Bの経路で排出される。そして、排気ガスは、前記触媒コンバータ1によりCO,HC,NOXが処理され、副消音器2および主消音器3により消音処理される。
【0020】
ここで、車両のアイドリング時や低速走行時など、排気管6に流入する排気ガスの圧力が低いエンジンの低速回転域では、図2の(a)に示すように、開閉弁8の板バネ部材8Eの付勢力により弁体8Cが弁座8Aに当接してその開口8Bを塞いでいる。すなわち、開閉弁8が排気管6内の一方の通路であるサブ通路6Dを閉じている。このため、排気ガスは排気管6内の他方の通路であるメイン通路6Cのみを流通する。このように、排気ガスの流通する通路がメイン通路6Cに限定されて排気管6の有効通路断面積が減少するため、排気抵抗が増大し、排気騒音が低減される。その結果、車両のアイドリング時や低速走行時などにおける車両の静粛性が十分に確保される。
【0021】
一方、車両の加速走行時や高速走行時など、排気管6に流入する排気ガスの圧力が所定の圧力を超えるエンジンの高速回転域では、図2の(b)に示すように、開閉弁8の弁体8Cが板バネ部材8Eの付勢力に抗して瞬時に弁座8Aの開口8Bを開く。すなわち、開閉弁8が排気管6内のサブ通路6Dを開く。このため、排気ガスは排気管6内のメイン通路6Cおよびサブ通路6Dの両方を流通する。このように、排気ガスの流通する通路がメイン通路6Cおよびサブ通路6Dの両方となって排気管6の有効通路断面積が増大するため、排気抵抗を減少し、エンジン出力が十分に確保される。その結果、車両の加速走行時や高速走行時の性能が向上する。
【0022】
一実施形態の2通路排気管が適用された排気管6において、開閉弁8は、弁座8Aおよび弁体8Cが排気ガスの流通方向に沿う傾斜状態でサブ通路6Dに設置されるため、弁体8Cは排気ガスの流通方向に沿って円滑に開弁動作することができ、開弁時の排気抵抗を減少させることができる。また、板バネ部材8Eは弁体8Cの先端部に斜交状態で当接しているため、弁体8Cを瞬時に開閉動作させることができ、応答性が良い。なお、開閉弁8は、制御装置などを要することなく自律的に作動する簡素な構造であるため、排気管6内に無理なく設置することができ、排気管6のレイアウトを妨げることがない。また、開閉弁8は排気管6の外部に全く露出しないため、雨水の飛散や石跳ねなどによって損傷することもない。
【0023】
なお、開閉弁8を構成する弁体8Cは、閉弁方向に自己復帰して弁座8Aの開口8Bを塞ぐ習性のある板バネ製とすることができる。この場合、弁体8Cの他端部を付勢する板バネ部材8Eが不要となり、開閉弁8の構造をより簡素化することができる。
【0024】
一実施形態においては、図1に示す排気管6に本発明の2通路排気管を適用したが、この2通路排気管は、排気管7や排気管5に適用してもよいし、排気管6と排気管7との両方に適用してもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る2通路排気管によれば、排気圧力が低いエンジンの低速回転域では、開閉弁が排気管の一方の通路を閉じて排気管の有効通路断面積を他方の通路のみに減少させ、排気抵抗を増大させるため、排気騒音を低減することができる。その結果、車両のアイドリング時や低速走行時などにおける車両の静粛性を十分に確保することができる。また、排気圧力が高いエンジンの高速回転域では、開閉弁が排気管の一方の通路も開いて排気管の有効通路断面積を増大させ、排気抵抗を減少させるため、エンジン出力を十分に確保することができる。その結果、車両の加速走行時や高速走行時の性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る2通路排気管が適用されるエンジン排気系の斜視図である。
【図2】図1に示した2通路排気管の内部構造および作用を示す断面図である。
【図3】図3は図2の(a)に白抜き矢印IIIで示した方向の矢視図である。
【図4】図4は図3に示した開閉弁の構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
6 :排気管(2通路排気管)
6A:外管
6B:内管
6C:メイン通路
6D:サブ通路
8 :開閉弁
8A:弁座
8B:開口
8C:弁体
8D:ストッパ部材
8E:板バネ部材
Claims (1)
- 車両用エンジンの排気系を構成する排気管であって、内部が2通路に区画されており、その一方の通路には、排気圧力の上昇に応じて通路を開く開閉弁が設けられている2通路排気管において、
前記開閉弁は、板状に形成されて前記一方の通路に排気ガスの流通方向に沿う傾斜状態で設置される弁座と、この弁座に排気ガスの流通方向上流側の端部が固定されて揺動可能に添設される板状の弁体と、この弁体に斜交する状態で弁体の先端部を閉弁方向に付勢する板バネ部材とを備えて構成されていることを特徴とする2通路排気管。
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