JP4054504B2 - クラッチ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クラッチ装置、特に、エンジンのクランクシャフトからトランスミッションの第1及び第2入力シャフトに対して別々にトルク伝達・遮断の操作をすることが可能なクラッチ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
クラッチ装置は、エンジンのクランクシャフトからトランスミッションにトルクを伝達するとともに必要に応じてトルク伝達を遮断するための装置であり、クランクシャフトに固定されたフライホイールと、フライホイールの摩擦面に近接した摩擦連結部を有するクラッチディスク組立体と、フライホイールに固定され摩擦連結部をフライホイールの摩擦面に付勢するとともに必要に応じて付勢を解除するクラッチカバー組立体とから構成されている。
【0003】
クラッチ装置には、トランスミッションから延びる2本の入力シャフトに対してそれぞれ別々にトルクを伝達又はトルク伝達を遮断することが可能なダブルクラッチがある。このようなダブルクラッチは、エンジンのクランクシャフトからトルクが入力される摩擦駆動板を有している。摩擦駆動板の軸方向エンジン側には第1摩擦面が形成され、軸方向トランスミッション側には第2摩擦面が形成されている。さらに、第1摩擦面の近傍には第1クラッチディスク組立体の第1摩擦連結部が配置されている。第1クラッチディスク組立体は第1入力シャフトに連結されている。第2摩擦面の近傍には第2クラッチディスク組立体の第2摩擦連結部が配置されている。第2クラッチディスク組立体は第2入力シャフトに連結されている。さらに、第1摩擦連結部の摩擦駆動板と反対側には第1プレッシャープレートが配置されている。さらに、第1摩擦連結部の摩擦駆動板と反対側には第2プレッシャープレートが配置されている。
【0004】
米国特許4,966,270に示すダブルクラッチでは、第1プレッシャープレートと第2プレッシャープレートは、それぞれ、クラッチハウジング内に形成された別々の油路から供給される油圧によって各摩擦連結部を摩擦駆動板側に付勢するようになっている。第1プレッシャープレートを駆動する第1油圧作動室はクラッチハウジングのトランスミッション側部分に形成され、第2プレッシャープレートを駆動する第2油圧作動室はクラッチハウジングのエンジン側部分に形成されている。
【0005】
さらに、米国特許4,710,147に示すダブルクラッチでは、クラッチハウジングのトランスミッション側部分内に形成された第1及び第2環状油圧室内に第1及び第2環状ピストンが配置されている。第1ピストンは複数のピンによって第1プレッシャープレートを駆動可能となっている。また、第2環状ピストンは複数のピンによって第2プレッシャープレートを駆動可能である。
【0006】
以上のように、プレッシャープレート、特に、第1プレッシャープレートを駆動するための油圧室をクラッチハウジング内に形成する構造では、クラッチハウジングの軸方向長さが長くなり、さらに構造が複雑になってしまう。本発明の目的は、簡単な構造でダブルクラッチのクラッチ装置を実現することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のクラッチ装置は、エンジンのクランクシャフトからトランスミッションの第1及び第2入力シャフトに対して別々にトルク伝達・遮断の操作をすることが可能なものであり、摩擦連結部材と、フライホイールと、第1クラッチディスク組立体と、第2クラッチディスク組立体と、第1プレッシャープレートと、弾性部材とレリーズ機構と、第2プレッシャープレートと、クラッチ機構と、クラッチカバーとを備えている。摩擦連結部材は、軸方向エンジン側の第1摩擦面と軸方向トランスミッション側の第2摩擦面とを有している。摩擦連結部材にはクランクシャフトからトルクが入力される。フライホイールはクランクシャフトに連結されている。第1クラッチディスク組立体は、第1摩擦面に近接して配置された第1摩擦連結部を有しており、第1入力シャフトにトルクを伝達可能である。第2クラッチディスク組立体は、第2摩擦面に近接して配置された第2摩擦連結部を有し、第2入力シャフトにトルクを伝達出力可能である。第1プレッシャープレートは第1摩擦連結部材の軸方向エンジン側に近接して配置されている。弾性部材は、フライホイールに支持され、第1プレッシャープレートを第1摩擦連結部側に付勢するための部材である。レリーズ機構は、レバー部材を有し、レバー部材を移動させることで第1プレッシャープレートを第1摩擦連結部から引き離すための機構である。第2プレッシャープレートは第2摩擦連結部の軸方向トランスミッション側に近接して配置されている。クラッチ機構は、ダイヤフラムスプリングを有し、前記レリーズ機構の近傍に配置され、ダイヤフラムスプリングを駆動することで第2プレッシャープレートを第2摩擦連結部に付勢・離反させるための機構である。 前記摩擦連結部材と一体回転するようになっており、前記第2摩擦面に対して軸方向トランスミッション側に間隔を空けて対向するように配置されており、環状部と、前記環状部と一体に形成され環状部から軸方向に延びる第1延長部と、前記環状部と一体に形成され環状部から前記第1延長部よりも内周側に延びる第2延長部と、前記第1延長部の先端に固定された環状の第2部材と、前記2部材に形成され前記レバー部材と接触して前記レリーズ機構を支持する第1支持部と、前記第2延長部に形成され前記ダイヤフラムスプリングと接触して前記クラッチ機構を支持する第2支持部とを有するクラッチカバーと、
このクラッチ装置では、第1プレッシャープレートは弾性部材によって第1摩擦連結部側に付勢されている。このため、第1プレッシャープレートを駆動するための油路や油圧作動室を設ける必要がなくなり、クラッチ装置全体の構造が簡単になる。また、このクラッチ装置では、クラッチカバーの第1支持部がレリーズ機構を支持し、第2支持部がクラッチ機構を支持しているため、部品点数が少なくて済む。
【0008】
請求項2に記載のクラッチ装置では、請求項1において、クラッチカバーは環状部分と、環状部分から軸方向トランスミッション側に延び第1支持部を有する第1部分と、環状部分から軸方向トランスミッション側に延び第2支持部を有する第2部分とを有する。
【0009】
このクラッチ装置では、第1支持部を有する第1部分と、第2支持部を有する第2部分と、環状部とは一体の部材からなるため、構造が簡単である。
【0010】
請求項3に記載のクラッチ装置では、請求項2において、第1部分は、環状部分から軸方向トランスミッション側に延びる複数の第1延長部と、第1延長部に固定され第1支持部を形成する環状部材とを有している。第2部分は、環状部分から軸方向トランスミッション側に延び第2支持部を形成する複数の第2延長部を有する。
【0011】
このクラッチ装置では、第1支持部は環状部材によって形成されているため、レリーズ機構をより安定的に支持することができる。
【0012】
請求項4に記載のクラッチ装置では、請求項3において、第2延長部は第1延長部に比べて半径方向内側に延びており、それにより第2支持部は第1支持部より軸方向エンジン側に位置している。
【0013】
このクラッチ装置では、第2支持部と第1支持部は軸方向位置が異なるため、その軸方向間に他の部材を配置することが可能である。
【0014】
請求項5に記載のクラッチ装置では、請求項4において、レリーズ機構は、レリーズ部材とレバー部材とを有している。レリーズ部材は一端が第1プレッシャープレートに軸方向トランスミッション側から当接し他端が第1部分の近傍に位置している。レバー部材は第1支持部と他端とに当接しレリーズ部材を軸方向エンジン側に移動させることが可能である。レリーズ部材は駆動部材を有している。駆動部材は、第1プレッシャープレートに支持される環状部と、環状部から軸方向トランスミッション側に延び摩擦連結部材を貫通する複数の軸方向延長部分とを有している。複数の軸方向延長部分は、複数の第2延長部の回転方向間かつ第2延長部の半径方向内側に延びている。
【0015】
このクラッチ装置では、レリーズ部材を複数の軸方向延長部分が第1延長部の半径方向内側に延びているため、クラッチカバーに特に貫通孔を設ける必要がない。
【0016】
請求項6に記載のクラッチ装置は、請求項1〜4のいずれかにおいて、レリーズ機構はレリーズ部材とレバー部材とを有している。レリーズ部材は、一端が第1プレッシャープレートに軸方向トランスミッション側から当接し、他端が第2部分の近傍に位置している。レバー部材は、第1支持部と他端とに当接し、レリーズ部材を軸方向エンジン側に移動させることが可能である。
【0017】
このクラッチ装置では、レバー部材がレリーズ部材を駆動することで第1プレッシャープレートが第1摩擦連結部から離れることができる。
【0018】
請求項7に記載のクラッチ装置では、請求項6において、レリーズ部材は駆動部材を有している。駆動部材は、第1プレッシャープレートに支持される環状部と、環状部から軸方向トランスミッション側に延び摩擦連結部材を貫通する複数の軸方向延長部分とを有する。
【0019】
このクラッチ装置では、駆動部材は環状部が第1プレッシャープレートに支持されているため、姿勢が安定しやすい。
【0020】
請求項8に記載のクラッチ装置では、請求項5又は7において、駆動部材は、軸方向延長部分の先端に固定されレバー部材が当接する環状当接部をさらに有する。
【0021】
このクラッチ装置では、環状当接部を設けることでレバー部材との接触が安定する。
【0022】
請求項9に記載のクラッチ装置では、請求項8において、環状当接部は軸方向延長部分から軸方向に着脱可能である。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の一実施形態としてのクラッチ装置1の縦断面概略図を示す。
【0024】
クラッチ装置1は、エンジンのクランクシャフト2からトランスミッションの第1及び第2入力シャフト3,4にトルクを伝達及び遮断するための装置である。図1の左側にエンジン(図示せず)が配置され、図1の右側にトランスミッション(図示せず)が配置されている。第1入力シャフト3はトランスミッション側から延びる円柱状のシャフトである。第1入力シャフト3の先端はクランクシャフト2の先端近傍まで延びている。第2入力シャフト4はトランスミッション側から第1入力シャフト3の回りを延びる概ね筒状のシャフトである。第2入力シャフト4の先端は第1入力シャフトより軸方向トランスミッション側に位置している。両入力シャフト3,4の外周面には軸方向に延びる複数のスプライン歯が形成されている。
【0025】
クラッチ装置1は、主に、フライホイール7と、摩擦駆動板8と、クラッチカバー9と、第1クラッチディスク組立体13と、第2クラッチディスク組立体14と、第1クラッチ機構16と、第2クラッチ機構17とを備えている。
【0026】
フライホイール7はクランクシャフト2の先端に固定された円板状かつ環状の部材である。フライホイール7は比較的に軸方向の肉厚が大きい部材である。フライホイール7の内周部は複数のボルト31によってクランクシャフト2に固定されている。
【0027】
ボルト31はフライホイール7に形成された孔を延びクランクシャフト2に形成されたボルト孔32に螺合している。さらに、フライホイール7の外周部には、軸方向トランスミッション側に延びる外周筒状部34が形成されている。外周筒状部34の軸方向トランスミッション側端には複数のボルト孔36が形成されている。また、フライホイール7の外周面にはエンジン始動用リングギア35が固定されている。
【0028】
摩擦駆動板8はフライホイール7の軸方向トランスミッション側に間隔をあけて配置された円板状かつ環状の部材である。摩擦駆動板8の外径はフライホイール7の外径とほぼ等しい。但し、摩擦駆動板8の内径はフライホイール7の内径より大きい。摩擦駆動板8は、軸方向エンジン側に第1摩擦面8aを有しており、軸方向トランスミッション側に第2摩擦面8bを有している。また、摩擦駆動板8の外周部はフライホイール7の外周筒状部34に当接しており、さらにボルト孔36に対応する位置に孔8cを有している。
【0029】
クラッチカバー9は板金からなる概ね環状の部材である。クラッチカバー9は図示しないボルトにより摩擦駆動板8及びフライホイール7に一体回転するように固定されている。図示しないボルトは、具体的には、摩擦駆動板8に形成された孔8cを貫通してフライホイール7のボルト孔36に螺合している。クラッチカバー9は、第1部材37と第2部材41とから構成されている。第1部材37は、環状部38と、環状部38から軸方向トランスミッション側に延びる第1延長部39及び第2延長部40とから構成されている。環状部38は摩擦駆動板8の外周部軸方向トランスミッション側に当接している。また、環状部38には前述のボルトが貫通する孔38aが形成されている。図2及び図4に示すように、第1延長部39と第2延長部40とは回転方向に交互に形成されている。第1延長部39は概ね軸方向にストレートに延びている。また、第1延長部39の先端には第2部材41が固定されている。第2部材41は板金部材からなる概ね環状の部材であり、第1延長部39から軸方向トランスミッション側に延びる概ね筒状部分41aと、その先端から内周側に延びる円板状部分41bとを有している。円板状部分41bの内周側には、軸方向エンジン側に突出する環状の突出部56が形成されている。第2延長部40は、第1延長部39に比べて内周側に延びている。これにより、第2延長部40は第2部材41より軸方向エンジン側に位置している。また、第2延長部40には、軸方向エンジン側に突出する支持部58が形成されている。
【0030】
第1クラッチディスク組立体13は、第1入力シャフト3に対してトルクを出力するための機構である。第1クラッチディスク組立体13は第1摩擦連結部44をその外周側に有している。第1摩擦連結部44は摩擦駆動板8の第1摩擦面8aに近接して、すなわち摩擦駆動板8の軸方向エンジン側に配置されている。さらに、第1クラッチディスク組立体13は複数のばねや摩擦発生機構等からなる捩じり振動を吸収・減衰するためのダンパー機構を有している。さらに、第1クラッチディスク組立体13の内周面は第1入力シャフト3に対してスプライン係合している。
【0031】
次に、第1クラッチ機構16について説明する。第1クラッチ機構16は前述の第1摩擦連結部44を摩擦駆動板8に対して付勢するとともに必要に応じてその付勢力を解除するための機構である。第1クラッチ機構16は、主に、第1プレッシャープレート19と、コーンスプリング20と、レリーズ機構21とから構成されている。第1プレッシャープレート19は、第1摩擦連結部44の軸方向エンジン側に配置された環状の部材である。第1プレッシャープレート19は図示しないプレート等によってフライホイール7又は摩擦駆動板8に一体回転するようにかつ軸方向に移動可能に固定されている。コーンスプリング20は第1プレッシャープレート19とフライホイール7との軸方向間に配置された付勢用弾性部材である。コーンスプリング20の外周端は第1プレッシャープレート19の環状支持部61に支持され、内周端はフライホイールに形成された環状の支持部62に支持されている。また、コーンスプリング20の内周面はフライホイール7に形成された周面33によって支持され半径方向の位置決めがされている。この状態でコーンスプリング20は、軸方向に圧縮され、その結果第1プレッシャープレート19に対して軸方向トランスミッション側への付勢力を与えている。
【0032】
レリーズ機構21は、主に、レリーズ部材22と、レバー部材23とから構成されている。レリーズ部材22は軸方向に延びる駆動部材24と、支持部形成部材25とから構成されている。駆動部材24は、図3に示すように、概ね筒状の部材であり、環状の着座部48と、着座部48から軸方向トランスミッション側に延びる複数の軸方向延長部49とから構成されている。着座部48の軸方向エンジン側端は、第1プレッシャープレート19の軸方向トランスミッション側の外周縁に形成された溝19aに当接している。また、着座部48の先端側内周面は溝19aの外周面に当接して半径方向の位置決めがされている。このように環状の着座部48を設けることによってレリーズ部材22の第1プレッシャープレート19に対する姿勢が安定している。軸方向延長部49は、図1及び図2に示すように、摩擦駆動板8の軸方向貫通孔47内を軸方向に貫通し、先端は摩擦駆動板8の軸方向トランスミッション側の端部よりさらに突出している。軸方向延長部49の先端は、半径方向内側に折り曲げられさらに軸方向に延びる折り曲げ部50となっている。支持部形成部材25は、レリーズ部材22に環状の支持部を形成するための部材であり、レリーズ部材22に対して軸方向トランスミッションから容易に着脱可能である。支持部形成部材25は、概ね環状の板金部材であり、円板状部51と、その外周端から軸方向トランスミッション側に延びる筒状部52とから構成されている。円板状部51には軸方向トランスミッション側に突出する環状の突出部54が形成されている。突出部54は突出部56の外周側に位置している。筒状部52の先端は折り曲げ部50の外周側に突出している。また、筒状部52には、切り曲げられて折り曲げ部50の内周側に当接する屈曲部53が形成されている。屈曲部53は折り曲げ部50の回転方向中間に位置している。このようにして、筒状部52と屈曲部53との半径方向間に折り曲げ部50が挟まれており、これにより支持部形成部材25は各軸方向延長部49の先端に対して軸方向トランスミッション側には取り外し可能であるが、半径方向その他の方向には移動不能に係合している。
【0033】
レバー部材23は環状かつ円板状のプレート部材である。レバー部材23は例えば円板状プレートに内周縁及び外周縁から交互に形成されたスリットによって弾性機能をほとんど有さず単にレバーとして機能するようになっていることが好ましい。レバー部材23の外周端は支持部形成部材25の突出部54に軸方向トランスミッション側から当接してさらにその内周側の部分がクラッチカバー9の突出部56に軸方向エンジン側から当接している。以上に述べた構造において、レバー部材23の内周端が軸方向トランスミッション側に移動させられると、クラッチカバー9の突出部56を支点としてレバー部材23の外周端が軸方向エンジン側に回動し、レリーズ部材22を軸方向エンジン側に移動させる。この結果、第1プレッシャープレート19はコーンスプリング20からの付勢力に打ち勝って第1摩擦連結部44から離れていく。
【0034】
第1駆動機構64はレバー部材23を駆動することで第1クラッチディスク組立体13に関してクラッチレリーズ動作を行うための機構である。第1駆動機構64は主にレリーズベアリング67と油圧シリンダ68と第1油圧回路69とから構成されている。レリーズベアリング67は、主にインナーレースとアウターレースとその間に配置された複数の転動体とからなり、ラジアル荷重及びスラスト荷重を受けることが可能となっている。レリーズベアリング67のアウターレースには、筒状のリティーナ71が装着されている。リティーナ71は、アウターレースの外周面に当接する筒状部と、筒状部の軸方向エンジン側端から半径方向外側に延びる第1フランジと、筒状部の軸方向トランスミッション側端から半径方向内側に延びアウターレースの軸方向トランスミッション側面に当接する第2フランジとを有している。第1フランジにはレバー部材23の半径方向内側端に軸方向エンジン側から当接する環状の支持部が形成されている。
【0035】
油圧シリンダ68は、油圧室構成部材79と、ピストン72とから主に構成されている。油圧室構成部材79はその内周側に配置された筒状のピストン72との間に油圧室を構成している。油圧室内には第1油圧回路69から油圧が供給可能となっている。ピストン72は概ね筒状の部材であり、その内周面は後述する油圧シリンダ77によって支持されている。さらに、ピストン72はレリーズベアリング70のインナーレースに対して軸方向エンジン側から当接するフランジを有している。この状態で、第1油圧回路69から油圧室の作動油がドレンされると、ピストン72はレリーズベアリング70を軸方向トランスミッション側に移動させる。
【0036】
第2クラッチディスク組立体14はトランスミッションの第2入力シャフト4にトルクを出力するための機構である。第2クラッチディスク組立体14はその外周部に第2摩擦連結部45を有している。第2摩擦連結部45は摩擦駆動板8の第2摩擦面8bに近接して、すなわち摩擦駆動板8の軸方向エンジン側に配置されている。第2クラッチディスク組立体14は、複数のばねや摩擦発生機構からなるダンパーを有している。さらに、第2クラッチディスク組立体14の内周部は第2入力シャフト4にスプライン係合している。
【0037】
次に、第2クラッチ機構17について説明する。第2クラッチ機構17は第2クラッチディスク組立体14の第2摩擦連結部45を摩擦駆動板8に対して付勢するとともにその付勢を解除するための機構である。第2クラッチ機構17は、主に、第2プレッシャープレート27と、ダイヤフラムスプリング28とから構成されている。第2プレッシャープレート27は第2クラッチディスク組立体14の第2摩擦連結部45の軸方向トランスミッション側に近接して配置された環状の部材である。第2プレッシャープレート27は図示しないプレート等によってクラッチカバー9又は摩擦駆動板8に一体回転するようにかつ軸方向に移動可能に固定されている。ダイヤフラムスプリング28は、概ね円板状かつ環状のプレート部材であり、外周側の弾性部28aとその内周端から内周側に延びる複数のレバー部28bとを有している。弾性部28aは外周端がクラッチカバー9の支持部58に支持され、内周端が第2プレッシャープレート27の支持部59に支持されている。弾性部28aは軸方向に圧縮されており、それにより第2プレッシャープレート27に対して軸方向エンジン側への付勢力を与えている。また、プレッシャープレート27の軸方向トランスミッション側にはボルト43によって止めプレート42が固定されている。止めプレート42は、複数のレバー部28b間から延び、弾性部28aの内周端に軸方向トランスミッション側から当接している。これにより、レバー部28bの内周端が軸方向トランスミッション側に移動させられると、それに伴い弾性部28aの内周端が軸方向トランスミッション側に移動し、プレッシャープレート27への付勢力を解除するとともにプレッシャープレート27を軸方向トランスミッション側につれて移動させる。
【0038】
第2駆動機構65はダイヤフラムスプリング28を駆動することで第2クラッチディスク組立体14に関してクラッチレリーズ動作を行うための機構である。第2駆動機構65は、主に、レリーズベアリング76と、油圧シリンダ77と、第2油圧回路78とから構成されている。レリーズベアリング76は、主にインナーレースとアウターレースとその間に配置された複数の転動体からなり、ラジアル荷重及びスラスト荷重を受けることが可能となっている。レリーズベアリング76のアウターレースには筒状のリティーナ80が装着されている。リティーナ80は、アウターレースの外周部に当接する筒状部と、筒状部の軸方向エンジン側端から半径方向外側に延びる第1フランジと、筒状部の軸方向トランスミッション側端から半径方向内側に延びアウターレースの軸方向トランスミッション側の面に当接する第2フランジとを有している。第1フランジには、レバー部28bの半径方向内側端に軸方向エンジン側から当接する環状の支持部が形成されている。油圧シリンダ77はピストン81と油圧室構成部材82とから構成されている。油圧室構成部材82はその内周側に配置されたピストン81との間に油圧室を構成している。油圧室内には第2油圧回路78から油圧が供給可能となっている。ピストン81は筒状の部材であり、その内周面はトランスミッション側から延びる図示しない部材の外周面に支持されている。さらに、ピストン81はレリーズベアリング76のインナーレースに対して軸方向エンジン側から当接するフランジを有している。この状態で第2油圧回路78から油圧室の作動油がドレンされると、ピストン81は軸方向トランスミッション側に移動してレリーズベアリング76を移動させる。以上に述べたように、第1クラッチ機構16と第2クラッチ機構17は、それぞれ独立した第1及び第2駆動機構64、65によって駆動される。
【0039】
また、第1クラッチ機構16において第1第1プレッシャープレート19への付勢力はばね部材であるコーンスプリング20によって与えられているため、フライホイール7やクラッチカバー9に相当する構造に油路や作動油室などを形成する必要がない。そのため、クラッチ装置1全体の構造が簡単になり、部品点数が少なくなるとともに全体のサイズを小型化できている。
【0040】
特に、クラッチカバー9は全体として一体の部材であるにもかかわらず、第1クラッチ機構16のための突出部56と、第2クラッチ機構17のための支持部58とを有しているため、構造が簡単であり、さらに部品点数の増加を押さえることができ、省スペース化に貢献している。
〔変形例〕
本発明は前記実施形態に限定されない。
【0041】
例えば、第1クラッチ機構及び第2クラッチ機構においてクラッチレリーズ動作はレバー部材との内周側を軸方向トランスミッション側に引き出すプルタイプ動作を行う構造であるが、これらをプッシュ型に変えてもよい。
【0042】
また、第2クラッチ機構17において、弾性部材及びレバー部材の両方の機能を有するダイヤフラムスプリングを用いていたが、両機能を別の部材に持たせる構造としても良い。
【0043】
また、第2クラッチ機構のダイヤフラムスプリングを第2プレッシャープレートに対して自らの弾性力を与えないレバー部材とすることで第2駆動機構からの軸方向への力によってプレッシャープレートの付勢する構造としてもよい。さらに、フライホイールは一体の部材でなくたとえば円板状部材とその外周側に固定されたイナーシャ部材との組み合わせであってもよい。
【0044】
ばねやレバーを支持するための突出部等は環状ではなく、円周方向に複数に分割された形状であってもよい。
【0045】
【発明の効果】
本発明に係るクラッチ装置では、第1プレッシャープレートは弾性部材によって第1摩擦連結部側に付勢されているため、第1プレッシャープレートを駆動するための油路や油圧作動室を設ける必要がなくなり、クラッチ装置全体の構造が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態が採用されたクラッチ装置の縦断面概略図。
【図2】クラッチカバーの構成を説明するための一部断面平面図。
【図3】レリーズ部材を説明するための、図1におけるIII矢視図。
【図4】クラッチカバーの部分斜視図。
【符号の説明】
1 クラッチ装置
2 クランクシャフト
3 第1入力シャフト
4 第2入力シャフト
7 フライホイール
8 摩擦駆動板
9 クラッチカバー
13 第1クラッチディスク組立体
14 第2クラッチディスク組立体
16 第1クラッチ機構
17 第2クラッチ機構
39 第1延長部
40 第2延長部
41 第2部材
Claims (9)
- エンジンのクランクシャフトからトランスミッションの第1及び第2入力シャフトに対して別々にトルク伝達・遮断の操作をすることが可能なクラッチ装置であって、
前記クランクシャフトに連結されるフライホイールと、
軸方向エンジン側の第1摩擦面と軸方向トランスミッション側の第2摩擦面とを有し、前記クランクシャフトからトルクが入力される摩擦連結部材と、
前記第1摩擦面に近接して配置された第1摩擦連結部を有し、前記第1入力シャフトにトルクを伝達可能な第1クラッチディスク組立体と、
前記第2摩擦面に近接して配置された第2摩擦連結部を有し、前記第2入力シャフトにトルクを伝達可能な第2クラッチディスク組立体と、
前記第1摩擦連結部の軸方向エンジン側に近接して配置された第1プレッシャープレートと、
前記フライホイールに支持され前記第1プレッシャープレートを前記第1摩擦連結部側に付勢するための弾性部材と、
レバー部材を有し、前記レバー部材を移動させることで前記第1プレッシャープレートを前記第1摩擦連結部から引き離すためのレリーズ機構と、
前記第2摩擦連結部の軸方向トランスミッション側に近接して配置された第2プレッシャープレートと、
ダイヤフラムスプリングを有し、前記レリーズ機構の近傍に配置され、前記ダイヤフラムスプリングを駆動することで前記第2プレッシャープレートを前記第2摩擦連結部に付勢・離反させるためのクラッチ機構と、
前記摩擦連結部材と一体回転するようになっており、前記第2摩擦面に対して軸方向トランスミッション側に間隔を空けて対向するように配置されており、環状部と、前記環状部と一体に形成され環状部から軸方向に延びる第1延長部と、前記環状部と一体に形成され環状部から前記第1延長部よりも内周側に延びる第2延長部と、前記第1延長部の先端に固定された環状の第2部材と、前記2部材に形成され前記レバー部材と接触して前記レリーズ機構を支持する第1支持部と、前記第2延長部に形成され前記ダイヤフラムスプリングと接触して前記クラッチ機構を支持する第2支持部とを有するクラッチカバーと、
を備えたクラッチ装置。 - 前記クラッチカバーは、環状部分と、前記環状部分から軸方向トランスミッション側に延び前記第1支持部を有する第1部分と、前記環状部分から軸方向トランスミッション側に延び前記第2支持部を有する第2部分とを有する、請求項1に記載のクラッチ装置。
- 前記第1部分は、前記環状部分から軸方向トランスミッション側に延びる複数の第1延長部と、前記第1延長部に固定され前記第1支持部を形成する環状部材とを有し、
前記第2部分は、前記環状部分から軸方向トランスミッション側に延び前記第2支持部を形成する複数の第2延長部を有する、請求項2に記載のクラッチ装置。 - 前記第2延長部は前記第1延長部に対して半径方向内側に延びており、それにより前記第2支持部は前記第1支持部より軸方向エンジン側に位置している、請求項3に記載のクラッチ装置。
- 前記レリーズ機構は、一端が前記第1プレッシャープレートに軸方向トランスミッション側から当接し他端が前記第1部分の近傍に位置するレリーズ部材と、前記第1支持部と前記他端とに当接し前記レリーズ部材を軸方向エンジン側に移動させることが可能なレバー部材とを有しており、
前記レリーズ部材は駆動部材を有し、
前記駆動部材は、前記第1プレッシャープレートに支持される環状部と、前記環状部から軸方向トランスミッション側に延び前記摩擦連結部材を貫通する複数の軸方向延長部分とを有し、
前記複数の軸方向延長部分は、前記複数の第2延長部の回転方向間かつ前記第1延長部の半径方向内側に延びている、請求項4に記載のクラッチ装置。 - 前記レリーズ機構は、一端が前記第1プレッシャープレートに軸方向トランスミッション側から当接し他端が前記第1部分の近傍に位置するレリーズ部材と、前記第1支持部と前記他端とに当接し前記レリーズ部材を軸方向エンジン側に移動させることが可能なレバー部材とを有している、請求項1〜4のいずれかに記載のクラッチ装置。
- 前記レリーズ部材は駆動部材を有し、
前記駆動部材は、前記第1プレッシャープレートに支持される環状部と、前記環状部から軸方向トランスミッション側に延び前記摩擦連結部材を貫通する複数の軸方向延長部分とを有する、請求項6に記載のクラッチ装置。 - 前記駆動部材は、前記軸方向延長部分の先端に固定され前記レバー部材が当接する環状当接部をさらに有する、請求項5又は7に記載のクラッチ装置。
- 前記環状当接部は前記軸方向延長部分から軸方向に着脱可能である、請求項8に記載のクラッチ装置。
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