JP4056880B2 - 細菌性宿主株 - Google Patents
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Description
1.発明の分野
本発明は、タンパク質分解性が欠如した細菌性宿主株を使用することに関する。より特別には、本発明は異種のポリペプチドの分解を回避し、かかるポリペプチドの収量を改善するような宿主株に関する。
プロテアーゼ又はプロテアーゼの制御の遺伝子コントロールにおいて欠損を持つ大腸菌株は、既知のものである。例えば、Beckwith及びStrauch、WO88/05821、1988年8月11日公開;Chaudhury及びSmith, J. Bacteriol., 160:788-791 (1984);Elish等, J. Gen. Microbiol., 134:1355-1364 (1988);Baneyx及びGeorgiou, "Expression of proteolytically sensitive polypeptides in Escherichia coli", In:Stability of Protein Pharmaceuticals, Vol. 3:Chemical and Physical Pathways of Protein Degradation, Ahern及びManning, eds.(Plenum Press, New York, 1992), p.69-108。
これらの株の幾つかは、タンパク質分解に感受性なタンパク質で、特に潜在的に医薬となるか又は商業的に重要なものを効率的に生産するための試みにおいて用いられてきた。米国特許第5,508,192号(Georgiou等)は、多くのプロテアーゼ欠損及び/又は熱ショックタンパク質欠損の細菌性宿主について記載している。このような宿主には、単一の、二重の、三重の、四重のプロテアーゼ欠損細菌及びrpoH遺伝子にも変異を持つ単一のプロテアーゼ細菌が含まれる。プロテアーゼ欠損株の例には、degP, ompT, ptr3, 及び/又はprc(tsp), 及び大腸菌内で高力価の組換えタンパク質を産生することが報告されるdegP rpoH株が含まれる。また、Park等, Biotechnol. Prog., 15:164-167 (1999) も2つの細胞包膜プロテアーゼ(degP, prc)における欠損株(HM114)は、より多くのプロテアーゼを欠損する他の株よりわずかに速く増殖し、より多くの融合タンパク質を産生した。彼らは、該株はpH-スタット、流加培養を用いて29時間で47.86 g/Lの乾燥重量の細胞にまで増殖したことを主張した。産生されたタンパク質は、タンパク質A-β-ラクタマーゼ融合タンパク質で、その親株KS272から得られる活性より30%高いβ-ラクタマーゼ活性を示した。
prcホモログは、多岐に渡る原核生物の集団において同定されており、幾つかのラン藻類(Brand等, Plant Mol. Bio., 20:481-491 (1992);Shestakov等, J. Biol. Chem., 269:19354-19359 (1994))、淋菌(Black等, J. Bacteriol., 177:1952-1958 (1995))、インフルエンザ菌(Fleischmann等, Science, 269:496-512 (1995))、及びバルトネラ・バシリホルミス(GenBank登録番号L37094)が含まれる。Prcファミリータンパク質中のドメインは、レチノール結合タンパク質中のドメインと類似であり、疎水性基質に対するこれらのタンパク質中の結合ポケットを形成する共通の折り畳みドメインを示す(Silber等, 上掲;Shestakov等, 上掲)。
また、3つのマルチコピーprcサプレッサーも大腸菌のprc(tsp)の完全欠失(null)条件致死突然変異を用いて単離されている(Bass等, J. Bacteriol., 178:1154-1161 (1996))。それらの中でspr遺伝子に関連するものは一つも無い。これらのサプレッサーの1セットは、染色体上72.5分にマップされるタンデムに並んだ2つの推定上のプロテアーゼ遺伝子である。これら2つの遺伝子はhtrAホモログであり、各々HtrA(DegP)セリンプロテアーゼと58%及び35%の同一性を持つタンパク質をコードする。同定された他のタイプのサプレッサーは、dksA(dnaKサプレッサー)遺伝子であり、熱ショック遺伝子dank, dnaj及びgrpEにおける欠損のマルチコピーサプレッサーでもある。また、dksA遺伝子もmukB変異のマルチコピーサプレッサーとして独立に同定され、染色体分配に必要である。3つ目の型は切断されたリポタンパク質A(rlpA)遺伝子である。
従って、本発明は特許請求の範囲に記載された通りである。一態様において、本発明はプロテアーゼDegP及びPrcを各々コードする染色体上のdegP及びprc中に欠損を持ち、その遺伝子産物がprc変異を有する株によって示される成長表現型を抑制する変異spr遺伝子を有するか又は含む大腸菌株を提供する。好ましくは、その株は、プロテアーゼIIIをコードする染色体上のptr3及び/又はプロテアーゼOmpTをコードする染色体上のompTに欠損を持たない。好ましくは、その大腸菌株は、高い細胞密度の発酵過程の定常増殖状態における生存のために、変異spr遺伝子をdegPΔprcΔ株に導入することにより設計することができる。
他の実施態様において、その株にとって異種性のポリペプチド、好ましくはタンパク質分解に感受性なポリペプチド、より好ましくは真核生物のポリペプチドをコードする核酸を含む。
他の実施態様において、本発明は異種のポリペプチド、すなわちその株にとって異種なものを生産するための方法を提供する。この方法は、プロテアーゼPrcをコードする染色体上のprcに欠損を持ち、その遺伝子産物がprc変異を有する株によって示される成長表現型を抑制する変異spr遺伝子を有するか又は含む大腸菌株を初めに培養することを含む。また、この株は異種性のポリペプチドをコードする核酸も含む。培養の結果核酸が発現される。本方法の第二のステップは、いずれにしてもサイトプラズム、ペリプラズム又は培地から、好ましくはペリプラズム又は培地、最も好ましくは発酵槽の全培養液から、該ポリペプチドがその株から回収される。好ましくは、該ポリペプチドはApo2リガンド又は抗体であり、抗体の断片を含む。
定義
ここで用いられる場合、一般に、「ポリペプチド」は約10アミノ酸より多くを有するペプチド及びタンパク質のことを意味する。「異種の」ポリペプチドは、大腸菌によって産生されるヒトタンパク質のような、利用される宿主細胞にとって外来のポリペプチドである。ポリペプチドは原核生物又は真核生物のものであるが、好ましくは、それは真核生物のものであり、より好ましくは哺乳類のものである。
「高い細胞密度」での発酵又は培養とは、典型的には最初に幾つかの栄養分がバッチ中に添加され、細胞増殖を可能にし、測定が容易な、酸素消費と溶解酸素を利用するグルコース消費との間の関係をうまく利用し、グルコース添加をコントロールする過程のことを意味する。より高い細胞密度を達成するために、アンモニアを連続的に添加してもよく、以下の実施例中でさらに詳細に説明されるように、更なるマイナーな栄養分(例えば、P, K, S及びMg)が発酵のある段階で添加されてもよい。
「その遺伝子産物がprc変異を有する株によって示される成長表現型を抑制する遺伝子である、変異体spr遺伝子」とは、Hara等, 1996, 上掲によって報告された配列を持つ大腸菌のprcサプレッサー(spr)(Prcsupをコードする)、又は変異が導入され、該遺伝子産物がprc変異株の成長表現型のサプレッサーとして機能するものを意味する。好ましくは、該変異は一の点突然変異から成る。最も好ましくは、TGGコドンがCGGに置換され、その結果アミノ酸148のトリプトファンからアルギニンへの変化が生じる点突然変異W148Rである。
ここでの「抗体」なる用語は、所望の生物学的活性を示す限りにおいて、最も広い意味で用いられ、特に無傷のモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの無傷な抗体、及び抗体断片から形成される多特異的抗体(例えば、二価抗体)をカバーする。
ここでのモノクローナル抗体は、重及び/又は軽鎖の一部が特定の種に由来するか又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体中の対応配列と同一であるか又は相同であって、鎖の残部が他の種に由来するか又は他の抗体クラス又はサブクラス、並びに所望の生物学的活性示す範囲内においてそのような抗体の断片に属する対応配列と同一であるか又は相同である「キメラ」抗体を特に含む(米国特許第4,816,567号;及びMorrison等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855 (1984))。ここにおける対象のキメラ抗体には、非ヒト霊長類(例えば、旧世界モンキー、サルなど)由来の可変ドメイン抗原結合配列及びヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体を含む。
「無傷」の抗体は、抗原結合可変領域並びに軽鎖定常ドメイン(CL)及び重鎖定常ドメイン、CH1、CH2及びCH3を含むものである。定常ドメインは、天然配列の定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列変異体であり得る。好ましくは、無傷の抗体は一又は複数のエフェクター機能を持つ。
抗体の「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(アミノ酸配列の変異を持つ天然配列Fc領域又はFc領域)に起因するこれらの生物学的活性のことを意味する。抗体のエフェクター機能の例には、C1q結合、補体依存性細胞障害、Fcレセプター結合、抗体依存性細胞障害(ADCC)、食作用、細胞表面レセプターの下方制御(例えば、B細胞レセプター;BCR)などが含まれる。
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に依存して、無傷の抗体は異なる「クラス」に分類することができる。無傷な抗体について5つの主要なクラスが存在する:IgA, IgD, IgE, IgG,及びIgM,及びこれらの幾つかはさらに「サブクラス」(アイソタイプ)に分類され、例えば、IgG1, IgG2, IgG3, IgG4, IgA,及びIgA2である。抗体の異なるクラスに相当する重鎖定常ドメインは、各々、α、δ、ε、γ及びμである。イムノグロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元構造は周知である。
「ヒトエフェクター細胞」は、一又は複数のFcRsを発現し、エフェクター機能を実行する白血球である。好ましくは、該細胞は、少なくともFcRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を実行する。ADCCを媒介するヒト白血球の例には、末梢血単球細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞障害性T細胞、及び好中球で、好ましくはPBMCs及びNK細胞である。エフェクター細胞は、その天然のソース、例えば、ここで記載された血液又はPBMCsから単離されてもよい。
「可変」なる用語は、可変ドメインのある部分が抗体間で配列が広範囲に相違し、各特定の抗体のその特定抗原への結合及び特異性に使用されているという事実を意味する。しかし、可変性は抗体の可変ドメイン全体に均一に分布しているのではない。それは、軽鎖及び重鎖の可変ドメインの両方における高度可変領域と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、βシート構造を連結し、その一部を形成することもあるループを形成する、3つの高度可変領域により連結された、主としてβシート構造を採る4つのFR領域を含む。各鎖の高度可変領域はFR領域により近接して保持され、他の鎖からの高度可変領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(Kabatら, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ED. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991)を参照のこと)。定常ドメインは抗体の抗原への結合に直接は関係しないが、種々のエフェクター機能、例えば抗体依存性細胞障害(ADCC)への抗体の寄与を示す。
抗体のパパイン消化により、各々が単一の抗原結合部位を有する「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、その名称が容易に結晶化する能力を表す、残りの「Fc」断片が産生される。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位を有し、更に抗原を架橋させ得るF(ab')2断片が生じる。
「Fv」は、完全な抗原認識及び結合部位を含む最小抗体断片である。この領域は、堅固な非共有結合をなした一つの重鎖及び一つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。この構造では、各可変ドメインの3つの超可変領域が相互に作用してVH-VL二量体表面に抗原結合部位を形成する。集合的に、6つの超可変領域が抗体に抗原結合特異性を付与する。しかし、単一の可変ドメイン(又は抗原に対して特異的な3つの超可変領域のみを含むFvの半分)でさえ、全結合部位よりも親和性が低くなるが、抗原を認識して結合する能力を有している。
任意の脊椎動物種からの抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」には、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの明確に区別される型の一つを割り当てることができる。
「単鎖Fv」又は「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、ここで、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖中に存在する。好ましくは、FvポリペプチドはVH及びVLドメイン間にポリペプチドリンカーを更に含み、それはscFVが抗原結合に望ましい構造を形成することを可能にする。scFvの総説については、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編, Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)のPluckthunを参照のこと。抗ErbB2抗体scFv断片はWO93/16185;米国特許第5,571,894号;及び米国特許第5,587,458号中に記載されている。
「ダイアボディ(diabodies)」なる用語は、二つの抗原結合部位を持つ小型の抗体断片を指し、その断片は同じポリペプチド鎖(VH−VL)内で軽鎖可変ドメイン(VL)に結合した重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同鎖上の二つのドメイン間に対形成するには短すぎるリンカーを用いることにより、ドメインは強制的に他の鎖の相補的ドメインと対形成して二つの抗原結合部位を生成する。ダイアボディは、例えば、EP 404,097; WO 93/11161; 及びHollinger等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 6444-6448 (1993)においてより詳細に記載されている。
「単離された」抗体とは、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収されたものである。その自然環境の夾雑成分とは、その抗体の診断又は治療への使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。好ましい実施態様において、抗体は、(1)ローリー法で測定して抗体の95重量%を越え、最も好ましくは99重量%を越えるまで、(2)スピニングカップシークエネーターを使ったN末端又は内在するアミノ酸配列の少なくとも15残基を取り出すのに十分な程度まで、又は(3)クーマシーブルー又は好ましくは銀染色を用いた還元又は非還元状態の下でのSDS−PAGEにより均一になるまで、精製される。単離された抗体は、抗体の自然な環境の少なくとも一成分は存在しないことから、組換え細胞中にインサイツで存在する抗体を含む。しかしながら、通常は、単離された抗体は少なくとも1つの精製工程によって調製される。
核酸は、他の核酸配列と機能的な関係に配置されているときに「作用可能に結合され」ている。例えば、プレ配列あるいは分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現されるならば、そのポリペプチドのDNAに作用可能に結合しており;プロモーターは、配列の転写に影響を及ぼすならば、コード配列に作用可能に結合しており;又はリボソーム結合部位は、それが翻訳を容易にするような位置にあるなら、コード配列と作用可能に結合されている。一般的に、「作用可能に結合される」とは、結合されたDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合には近接していて翻訳枠にあることを意味する。結合は都合のよい制限酵素部位でのライゲーションにより達成される。そのような部位が存在しない場合は、通常の手法に従って、合成オリゴヌクレオチドアダプターあるいはリンカーが使用される。
ここで用いられるように、「細胞」、「株化細胞」及び「細胞培養」は相互に交換可能な意味で用いられ、その全ての用語は子孫を含むものと理解される。従って、「形質転換体」あるいは「形質転換細胞」という用語は、初代の対象細胞及び何度培養が継代されたかに関わらず最初のものから誘導された培養を含む。また、全ての子孫が、意図的な変異あるいは意図しない変異の影響で、正確に同一のDNAを有するわけではないことも理解すべきである。本来の形質転換細胞についてスクリーニングしたものと同じ機能又は生物活性を有する変異体子孫が含まれる。命名を区別することが意図されている場合は、文脈から明らかであろう。
本発明は、染色体上で各々DegP及びPrcをコードするdegP及びprcに欠損を持ち、変異spr遺伝子を有し、その遺伝子産物がprc変異を有する株によって示される成長表現型を抑制する、大腸菌株を提供する。場合によっては、この株はさらに染色体上でプロテアーゼIIIをコードするptr3及び/又は染色体上でOmpTをコードするompTに欠損を持つ。
他の実施態様において、該株は、該株にとって異種性のポリペプチドをコードする核酸を含む。該株は、好ましくは、組換体発現ベクターの使用などにより、好ましいDNA(cDNA又はゲノムDNA)である核酸で形質転換される。
さらなる側面において、本発明はそのような異種性のポリペプチドを産生するための方法を提供する。この方法において、ポリペプチドをコードする核酸も含む上記大腸菌株は、核酸が発現されるように培養される。次に、そのポリペプチドは該株から回収される。回収は該株のペリプラズム又は培地からでもよい。好ましくは、培養は発酵槽で行われ、より好ましくは高い細胞密度での発酵条件下にある。
培養変数が用いられ、ポリペプチドの産生は下記の方法のような通常の方法で行われる。
核酸が対象のポリペプチドをコードするならば、対象のポリペプチドをコードする核酸は、任意のソースに由来するRNA、cDNA、又はゲノムDNAが適当である。大腸菌中で、異種性のポリペプチド(その変異体を含む)の発現に適切な核酸の選択方法は周知である。
モノクローナル抗体を産生する場合、モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の方法を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)容易に単離され、配列決定される。ハイブリドーマ細胞はそのようなDNAの好ましいソースとして役に立つ。一度単離されると、DNAは発現ベクター中に配置され、次いで、組換体宿主細胞中でモノクローナル抗体の合成を行うためにここで示す細菌宿主細胞へ形質転換させる。抗体をコードするDNAの細菌中での組換体発現に関する総説には、Skerraら, Curr. Opinion in Immunol., 5:256-262 (1993)及びPluckthun, Immunol. Revs., 130:151-188 (1992)が含まれる。
非ヒト抗体をヒト化する方法はこの分野でよく知られている。好ましくは、ヒト化抗体には非ヒト由来の1つ又は複数のアミノ酸残基が導入される。これら非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、典型的には「移入」可変ドメインから得られる「移入」残基と称される。ヒト化は、超可変領域配列をヒト化抗体の対応配列と置換することによりWinter及び共同研究者(Jonesら, Nature, 321:522-525 (1986);Riechmannら, Nature, 332:323-327 (1988);Verhoeyenら, Science, 239:1534-1536 (1988))の方法に従って実施される。よって、このような「ヒト化」抗体は、無傷のヒト可変ドメインより実質的に少ない分が非ヒト種由来の対応する配列で置換されたキメラ抗体(米国特許第4,816,567号)である。実際には、ヒト化抗体は典型的には超可変領域残基及びおそらく幾つかのFR残基が齧歯類抗体の類似する部位からの残基によって置換されたヒト抗体である。
さらに、抗体を、抗原に対する高親和性や他の好ましい生物学的性質を保持してヒト化することが重要である。この目標を達成するべく、好ましい方法では、親及びヒト化配列の三次元モデルを使用して、親配列及び様々な概念的ヒト化産物の分析工程を経てヒト化抗体を調製する。三次元免疫グロブリンモデルは一般的に入手可能であり、当業者にはよく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の推測三次元立体配座構造を図解し、表示するコンピュータプログラムは購入可能である。これら表示を見ることで、候補免疫グロブリン配列の機能における残基のありそうな役割の分析、すなわち候補免疫グロブリンの抗原との結合能力に影響を及ぼす残基の分析が可能になる。このようにして、例えば標的抗原に対する親和性が高まるといった、望ましい抗体特性が達成されるように、FR残基をレシピエント及び移入配列から選択し、組み合わせることができる。一般的に、超可変領域残基は、直接かつ最も実質的に抗原結合性に影響を及ぼしている。
Fab'-SH断片は、大腸菌から直接回収され、F(ab')2断片(Carter等, Bio/Technology, 10:163-167 (1992))を形成するために化学的にカップルされる。他のアプローチによると、F(ab')2断片は組換体宿主細胞培養から直接単離することができる。抗体断片の産生のための他の技術は、熟達した技術者にとっては明白である。他の実施態様において、選択された抗体は、単鎖Fv断片(scFv)(WO93/16185;米国特許第5,571,894号及び5,587,458号)である。また、抗体断片は、例えば、米国特許第5,641,870号中に記載されているような「直鎖抗体」であってもよい。このような直鎖抗体断片は単一特異的又は二重特異的であってもよい。
二重特異的抗体は少なくとも2つの異なるエピトープに対して特異的に結合する抗体である。例示的な二重特異的抗体は、Dkk-1タンパク質の2つの異なるエピトープに結合してもよい。二重特異的抗体は、全長抗体又は抗体断片(例えば、F(ab')2二重特異的抗体)として調製することができる。
異なるアプローチによると、望ましい結合特異性を有する抗体の可変ドメインは(抗体−抗原結合部位)免疫グロブリン定常ドメイン配列と融合される。融合は、好ましくは、少なくともヒンジの一部、CH2及びCH3領域を含む、免疫グロブリン重鎖定常ドメインと行われる。軽鎖との結合に必要な部位を含む第一の重鎖定常領域(CH1)を有し、少なくとも融合の片方に存在することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合、必要ならば免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAを別々の発現ベクターに挿入し、安定細菌性宿主生物体に同時形質転換する。このことは、構築物中で用いられる3つのポリペプチド鎖の等しくない割合が至適な収量を提供する場合、実施態様中、3つのポリペプチド断片の相互の割合を調整する点に多大なる柔軟性を提供する。しかし、等しい割合の少なくとも2つのポリペプチドの発現により高い収量を生み出すか、その割合が特に有意でない場合、ある発現ベクターにおいて2又は全3つのポリペプチド鎖に対するコード配列を挿入する事は可能である。
米国特許第5,731,168号に記載された他のアプローチ法によれば、一対の抗体分子間の界面を操作して組換え細胞培養から回収されるヘテロダイマーのパーセントを最大にすることができる。好適な界面は抗体定常領域のCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第1抗体分子の界面からの一又は複数の小さいアミノ酸側鎖がより大きな側鎖(例えばチロシン又はトリプトファン)と置き換えられる。大きな側鎖と同じ又は類似のサイズの相補的「キャビティ」を、大きなアミノ酸側鎖を小さいもの(例えばアラニン又はスレオニン)と置き換えることにより第2の抗体分子の界面に作り出す。これにより、ホモダイマーのような不要の他の最終産物に対してヘテロダイマーの収量を増大させるメカニズムが提供される。
二重特異性抗体は、架橋した又は「ヘテロコンジュゲート」抗体もまた含む。例えば、ヘテロコンジュゲートの抗体の一方はアビジンに結合され、他方はビオチンに結合され得る。そのような抗体は、例えば、不要の細胞に対する免疫系細胞をターゲティングするため(米国特許第4,676,980号)、及びHIV感染の治療のために提案された(国際公開第91/00360号、同92/200373号、及び欧州特許第03089号)。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の簡便な架橋法を用いて作製することができる。好適な架橋剤は当該分野において良く知られており、幾つかの架橋技術と共に米国特許第4,676,980号に開示されている。
抗体断片から二重特異性抗体を産生する技術もまた文献に記載されている。例えば、化学結合を使用して二重特異性抗体を調製することができる。Brennanら, Science, 229:81 (1985) は無傷の抗体をタンパク分解性に切断してF(ab')2断片を産生する手順を記述している。これらの断片は、ジチオール錯体形成剤、亜砒酸ナトリウムの存在下で還元して近接ジチオールを安定化させ、分子間ジスルフィド形成を防止する。産生されたFab'断片はついでチオニトロベンゾアート(TNB)誘導体に転換される。Fab'-TNB誘導体の一つをついでメルカプトエチルアミンでの還元によりFab'-チオールに再転換し、他のFab'-TNB誘導体の等モル量と混合して二重特異性抗体を形成する。作製された二重特異性抗体は酵素の選択的固定化用の薬剤として使用することができる。
組換体の細胞培養物から直接二重特異的抗体断片を調製し、単離するための種々の方法も、記述されている。例えば、二重特異性抗体はロイシンジッパーを使用して産生されている(Kostelny等, J. Immunol. 148(5):1547-1553 (1992))。Fos及びJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドを遺伝子融合により二つの異なった抗体のFab'部分に結合させる。抗体ホモダイマーをヒンジ領域で還元してモノマーを形成し、ついで再酸化して抗体ヘテロダイマーを形成する。この方法はまた抗体ホモダイマーの産生に対して使用することができる。Hollingerら, Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)により記述された「ダイアボディ」技術は二重特異性抗体断片を作成する別のメカニズムを提供した。断片は、同一鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするには十分に短いリンカーにより軽鎖可変ドメイン(VL)に重鎖可変ドメイン(VH)を結合してなる。従って、一つの断片のVH及びVLドメインは他の断片の相補的VL及びVHドメインと強制的に対形成させられ、これにより2つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)ダイマーの使用により二重特異性抗体断片を製造する他の方策もまた報告されている(Gruberら, J.Immunol. 152:5368 (1994))。
二価より多い抗体も考えられる。例えば、三重特異性抗体を調製することができる(Tuttら J.Immunol. 147:60(1991))。
ポリペプチド変異体をコードする核酸分子は、この分野で知られた種々の方法によって調製される。これらの方法は、これらに限られないが、天然源からの単離(天然発生アミノ酸配列変異体の場合)又はオリゴヌクレオチド媒介(又は部位特異的)突然変異誘発、PCR突然変異誘発、又は該ポリペプチドの初期調製された変異体又は非変異体種のカセット突然変異誘発を含む。
抗体の血清半減期を増大させるために、例えば米国特許第5,739,277号に記載されたようにして、抗体(特に抗体断片)にサルベージレセプター結合エピトープが導入される。ここで使用される場合の「サルベージレセプター結合エピトープ」なる用語は、IgG分子のインヴィボ血清半減期を増加させる原因であるIgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)のFc領域のエピトープを意味する。
ここでは、抗体の他の修飾が考慮される。例えば、抗体は種々の非タンパク質様ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン、又はポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのコポリマーに結合してもよい。
異種の核酸(例えば、cDNA又はゲノムDNA)は、適切なプロモーターのコントロールの下、細菌中における発現のための複製可能なベクターへ適切に挿入される。多くのベクターは、かかる目的のために利用可能であり、適当なベクターの選択は、主として挿入されるべき核酸のサイズ、及びベクターにより形質転換される特定の宿主細胞に依存する。各ベクターは、それが適合する特定の宿主細胞に依存する種々の成分を含む。特定の宿主タイプに依存し、一般にベクター成分には、限定はしないが、以下の一又は複数が含まれる:シグナル配列、複製開始点、一又は複数のマーカー遺伝子、プロモーター、及び転写終結配列。
一般には、宿主細胞と適合性のある種に由来するレプリコン及びコントロール配列を含んでいるプラスミドベクターが、大腸菌宿主との関連で用いられる。そのベクターは、通常、複製部位、並びに形質転換細胞において表現型の選択を提供可能なマーキング配列を保持する。例えば、大腸菌は、典型的には、E.coli種由来のプラスミドであるpBR322を使って形質転換される(例えば、Bolivar等、Gene, 2: 95 (1977)参照)。pBR322は、アンピシリン及びテトラサイクリン耐性の遺伝子を含んでおり、よって形質転換細胞を同定するための簡単な手段を提供する。そのpBR322プラスミド、もしくは他の微生物プラスミド又はファージもまた、選択マーカー遺伝子の発現のために大腸菌宿主によって使用され得るプロモーターを含むか、又は含むよう改変される。
ここで対象となるポリペプチドをコードするDNAは、直接発現されるだけではなく、好ましくはシグナル配列あるいは成熟ポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチドである異種性ポリペプチドとの融合体としても産生される。一般に、シグナル配列はベクターの成分であるか、又はベクターに挿入されたポリペプチドDNAの一部であってもよい。選択された異種シグナル配列は、宿主細胞によって認識され加工される(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものである。
天然又は真核生物のポリペプチドシグナル配列を認識しない原核生物宿主細胞に対しては、シグナル配列は、例えばアルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lppあるいは熱安定なエンテロトキシンIIリーダーの群から選択される原核生物シグナル配列により置換される。
発現ベクターは、一又は複数の選択された宿主細胞においてベクターの複製を可能にする核酸配列を含む。そのような配列は様々な細菌に対してよく知られている。プラスミドpBR322に由来する複製開始点は大腸菌などの大部分のグラム陰性細菌に好適である。
(iii)選択遺伝子成分
通常、発現ベクターは、選択可能マーカーとも称される選択遺伝子を含む。この遺伝子は、選択培地中で増殖する形質転換された宿主細胞の生存又は増殖に必要なタンパク質をコードする。選択遺伝子を含むベクターで形質転換されない宿主細胞は、培地中で生存できない。この選択可能マーカーは、この発明で利用され、定義されるような遺伝学的マーカーとは区別される。典型的な選択遺伝子は、(a)例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセートあるいはテトラサイクリンのような抗生物質又はその他の毒素に耐性を付与し、(b)遺伝学的マーカーの存在によって誘導される欠陥以外の栄養要求性欠陥を補い、又は(c)例えばバチラス菌に対する遺伝子コードD-アラニンラセマーゼのような、複合培地から得られない重要な栄養素を供給する、タンパク質をコードする。
選択技術の一例においては、宿主細胞の増殖を抑止する薬物が用いられる。この場合、対象の核酸で首尾よく形質転換したこれらの細胞は、抗薬物性を付与し、選択療法を生存するポリペプチドを産生する。このような優性選択の例としては、薬物ネオマイシン(Southern等, J. Molec. Appl. Genet, 1:327 (1982))、ミコフェノール酸(Mulligan等, Science, 209:1422 (1980))又はハイグロマイシン(Sugden等, Mol. Cell. Biol., 5:410-413 (1985))が使用される。上述の3つの例は、各々、適当な薬剤であるG418又はネオマイシン(ジェネティシン)、xgpt(ミコフェノール酸)、又はハイグロマイシンに対する耐性を伝達するために、真核生物でのコントロールの下、細菌性遺伝子を利用する。
対象のポリペプチドを産生するための発現ベクターは、宿主生物によって認識され、対象のポリペプチドをコードする核酸と作用可能に連結される適切なプロモーターを含む。原核生物宿主での使用に好適なプロモーターはβ-ラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系(Chang等, Nature, 275:615 (1978); Goeddel等, Nature, 281:544 (1979))、アラビノースプロモータシステム(Guzman等, J. Bacteriol., 174:7716-7728 (1992))、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddel, Nucleic Acids Res., 8:4057 (1980); EP 36,776)、及びハイブリッドプロモーター、例えばtacプロモーター(deBoer 等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80:21-25 (1983))を含む。しかし、他の既知の細菌性プロモーターも適当である。それらのヌクレオチド配列は公表されており、それにより、任意の必要な制限酵素サイトを供給するためのリンカー又はアダプターを用いて、当業者は対象のポリペプチドをコードするDNAにそれらを作用可能に連結する(Siebenlist等, Cell, 20:269 (1980))ことが可能となる。
また、細菌のシステムで使用されるプロモーターも、通常、対象のポリペプチドをコードするDNAと作用可能に結合したシャイン・ダルガルノ(S.D.)配列を有する。該プロモーターは、制限酵素による切断により細菌性のもとになるDNAから取り外すことができ、所望のDNAを含むベクター中へ挿入することができる。
一又は複数の上に列挙した成分を含む適切なベクターの作成には標準的なライゲーション技術を用いる。単離されたプラスミド又はDNA断片を切断させ、整え、そして必要とされるプラスミドの生成のために望ましい型に再ライゲーションする。
構築されたプラスミド中において正しい配列であることを確認する解析のために、ライゲーション混合物を用いて、大腸菌K12菌株294(ATCC 31446)又は他の株を形質転換し、適当な場合にはアンピシリン又はテトラサイクリン耐性によって、成功した形質転換細胞を選択する。形質転換細胞からプラスミドを調製し、制限エンドヌクレアーゼ消化により解析し、及び/又はSanger等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 74:5463-5467 (1977)又はMessing等, Nucleic Acids Res., 9:309 (1981)の方法により、又はMaxam等, Methods in Enzymology, 65:499(1980)の方法により配列決定を行った。
C.宿主細胞の選択及び形質転換
ここでの発現プラスミドに親宿主として適する大腸菌宿主は、大腸菌W3110(ATCC 27,325)、大腸菌294(ATCC 31,446)、大腸菌B及び大腸菌X1776(ATCC 31,537)を含む。これらの例は、限定的なものではなく例示的なものである。また、上記に述べた株のいずれかの変異細胞もここで必要とされる少なくとも最少の遺伝型を含むように変異を導入する出発宿主として利用してもよい。組換えDNA産物の発酵のための通常の宿主である点から、大腸菌株W3110は、親宿主として望ましい。親宿主として使用される出発大腸菌宿主の例が、それらの遺伝子型とともに、下記の表に示されている:
本発明の株は、親株の染色体組込み、又は下記の実施例に示すものを含む他の技術によって作製されてもよい。
ポリペプチドをコードする核酸を宿主細胞へ挿入する。好ましくは、宿主細胞を上述の発現ベクターで形質転換し、種々のプロモーターを誘導するのに適するように変更された通常の栄養培地中で培養することにより達成される。
形質転換とは、染色体外成分又は染色体に挿入されたものとしてDNAが複製可能なように該DNAを生物体中へ導入することを意味する。使用される宿主細胞に依存して、形質転換はそれらの細胞に適する標準的な技術を用いて行われる。Sambrook等, Molecular Cloning:A Laboratory Manual(New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)のセクション1.82に記載されるように、塩化カルシウムを利用するカルシウム処理は、一般的に原核細胞又は実質的に細胞壁障壁を含む他の細胞へ用いられる。形質転換のための他の方法には、Chung及びMiller, Nuceic Acids Res., 16:3580 (1988)中で記載されるように、ポリエチレングリコール/DMSOが用いられる。さらに他の方法は、エレクトロポレーションと称される技術の使用である。
対象のポリペプチドを生産するために使用される原核細胞は、Sambrook等, 上掲中に一般的に記載されるように適当な培地中で培養される。温度、pHなどの培養条件は、発現のために選択される宿主についてすでに使用された条件であり、当業者にとって明らかである。
アルカリホスフェートプロモーターが使用される場合、本発明の対象のポリペプチドの生産のために使用される大腸菌細胞は、Sambrook等, 上掲中に一般的に記載されるようにアルカリホスフェートプロモーターが部分的に又は完全に誘導され得る適切な培地中で培養される。必要とされる培養は、無機リン酸塩の非存在下又はリン酸塩欠乏レベル下では、決して起こらない。第一に、培地は無機リン酸塩をタンパク質合成の誘導レベル以上であり、細菌の増殖に十分な量の無機リン酸塩を含む。細胞が増殖し、リン酸塩を利用する場合、培地中のリン酸塩レベルを低下させ、それによりポリペプチドの合成の誘導を引き起こす。
炭素、窒素及び無機リン酸塩ソース以外の任意で他に必要な培地成分には、単独又は他の成分との混合物又は複合窒素源のような培地から誘導される適切な濃度も含まれる。培地のpHは約5-9のいずれかのpHであって、主として宿主生物に依存する。
プロモーターが、起こるべき誘導に関し誘導可能なプロモーターである場合、典型的に細胞はある至適な濃度、例えば、高い細胞濃度過程を用い、点誘導が開始される(例えば、誘導因子の添加、培地成分の除去により)約200のA550が達成されるまで培養され、対象のポリペプチドをコードする遺伝子の発現を誘導する。
遺伝子の発現は、ここでポリペプチドの配列に基づき、適切に標識されたプローブを用い、例えば、従来のサザンブロット法、mRNAの転写を定量化するノーザンブロット法(Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. USA,77:5201-5205 (1980))、ドットブロット法(DNA分析)、又はインサイツハイブリッド形成法によって、直接的に試料中で測定することができる。種々の標識が使用され、最も一般的なものは、放射性同位体、特に32Pである。しかしながら、ポリヌクレオチドへの導入のためにビオチン修飾ヌクレオチドを用いるなど、他の技術も使用してよい。次いで、ビオチンはアビジンまたは抗体と結合するための部位として機能し、広範な種々の標識、例えば放射性核種、蛍光、酵素などで標識されてよい。あるいは、タンパク質の検出のためにアッセイ又はゲルが用いられてもよい。
発現された遺伝子産物の分泌に関して、宿主細胞は遺伝子産物の分泌に十分な条件下で培養される。そのような条件には、例えば、細胞による分泌を可能にする温度、栄養素及び細胞密度条件が含まれる。さらに、そのような条件は、細胞が、当業者にとって既知の、転写、翻訳、及び一の細胞内区画から他の区画へのタンパク質の通過に関する基本的な細胞機能を行うことができる条件下である。
以下の方法は、単独又は組合わせた形態で、ポリペプチドのタイプに依存して使用される特定の方法による、適切な精製方法の例示である:免疫親和性又はイオン交換カラムによる分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;疎水性相互作用クロマトグラフィー;シリカによるクロマトグラフィー;S-SEPHAROSETM及びDEAEなどのイオン交換レジンによるクロマトグラフィー;等電点電気泳動;SDS-PAGE;硫安沈殿;及び、例えば、SEPHADEXTMG-75を用いたゲルろ過。
モノクローナル抗体は、例えば、プロテインA−セファロース、ハイドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又はアフィニティークロマトグラフィーなどの従来の抗体精製方法などにより、培地から適切に分離される。
本発明は、以下の実施例を参照することにより、さらに十分に理解されるであろう。しかし、それらは、本発明の範囲を限定して解釈されるべきものではない。すべての文献及び特許の引例は出典によりここに取り込む。
材料及び方法
A.発現プラスミド
1.rhuFab'2LZ(xCD18)及びタグ化誘導体を発現するためのプラスミド
pS1130
プラスミドpS1130は、米国特許第6,180,367号及び6,258,560号に記載されるpBR322に基づくプラスミドである。rhuFab'2LZ(xCD18)の合成は、大腸菌アルカリホスファターゼ(AP)プロモーターによって制御される。APプロモーターが、リン酸塩の除去により誘導される場合、STIIシグナルκ軽鎖コード化配列;STIIシグナル重鎖コード化配列の順でジシストロニックメッセンジャーRNAを形成し、次いでロイシンジッパー配列を形成する。λ転写終結因子は、翻訳終止コドンの近傍に配置される。
pcyc34
プラスミドpcyc34は、tacIIプロモーターを有するpS1130の対応物である。
pxCD18-7T3
2つの分離した翻訳ユニット、pxCD18-7T3を包含するデュアルプロモータープラスミドは、重鎖の転写から軽鎖の転写の一時的な分離を可能ならしめる。pS1130の場合、軽鎖はphoAプロモーターのコントロール下にとどまる。しかし、pxCD18-7T3中では、λt0転写終結因子が軽鎖コード化配列の後に配置される。この終結因子の下流に、tacIIプロモーターが重鎖断片/C末端ロイシンジッパーの転写をコントロールするために付加された(DeBoer等, Proc. Natl. Acad. Sci.USA, 80:21-25 (1983))。第二のλt0転写終結因子はこのコード化配列の後に配置される。STIIシグナル配列のサイレントコドン変異は、両鎖の分泌を導くために使用された(Simmons及びYansura, Nature Biotechnology, 14:629-634 (1996))。特に、STIIシグナル配列中のヌクレオチドが、軽鎖が相対強度7のTIRを有し、重鎖が相対強度3のTIRを有するように変更され、軽鎖及び重鎖の両方に先行するシグナル配列の最後の3つのヌクレオチドは、GCTである。この2つのプロモーターシステムにおいて、phoAプロモーター配列と軽及び重抗体鎖に関するDNAはpS1130中のものと同一である。
プラスミドpAB3は、抗CD18F(ab')2を大腸菌のペリプラズム中でアルカリホスファターゼプロモーターのコントロール下で発現させるようにデザインされており(Kikuchi等, Nucleic Acids Res., 9 (21):5671-5678 (1981))、ロイシンジッパーを有し、Hisタグ化されている。熱安定性エンテロトキシンIIシグナル配列(Picken等, Infect. Immun., 42:269-275 (1983))が、軽及び重鎖に先行し、重鎖のC末端上にて酵母GCN4ロイシンジッパーと融合し、その後に6のヒスチジン残基が配置される。軽及び重鎖コード化配列は、重鎖遺伝子の後にλ0転写終結因子(Scholtissek及びGrosse, Nucleic Acids Res., 15:3185 (1987))を有するポリシストロニック構造中に存在する。
プラスミドpAB3は、3つのDNA断片を共にライゲートすることにより構築されたが、その最初の断片は、KpnI-SphI小断片が除去されたベクターpS1130であった。ライゲーション産物中の第2の部分は、pS1130由来のおよそ645塩基対のKpnI-HindIII断片であった。ライゲーション産物中最後の部分は、以下の配列を持つ合成DNA二重鎖であった:
5’-AGCTTGTCGGGGAGCGCCATCACCATCACCATCACTAAGCATG (配列番号:6)
ACAGCCCCTCGCGGTAGTGGTAGTGGTAGTGATTC-5’ (配列番号:7)
pAB21
プラスミドpAB21は、重鎖のC末端に存在する6のヒスチジン残基が6のリジン残基によって置換されているpAB21の誘導体である。プラスミドは、ライゲーション産物中に使用される合成DNAが以下のものである点を除いて、pAB3と同じ方法で構築された:
5’-AGCTTGTCGGGGAGCGCAAAAAGAAAAAGAAAAAGTAAGCATG (配列番号:8)
ACAGCCCCTCGCGTTTTTCTTTTTCTTTTTCATTC-5' 配列番号:9)
抗組織因子Fab'2ロイシンジッパー-6xhisの生産を導くように構築された、プラスミドD3H44-F(ab')2(pD3h44f2としても知られている)は、HC及びLCの可変領域がxCD18 VL/VHからxTF VL/VHへ変更された点を除いて、pAB3と厳密に同一のバックボーンDNAを有する。このプラスミドは、国際公開第01/70984号、2001年9月27日公開中に記載されている。
特に、まず、抗TF Fab(D3H44-F(ab))を発現するプラスミドは、以下のように調製された:変異導入と大腸菌中でのF(ab)sの発現に使用されたpEMX1は、Werther等, J. Immunol., 157:4986-4995 (1996)中に記載されている。簡単には、該プラスミドは、ヒトκサブグループIコンセンサス軽鎖(VLκI-CL)、ヒトサブグループIIIコンセンサス軽鎖(VHIII-CH1)をコードするDNA断片、及びアルカリホスファターゼプロモーターを含む。VL及びVHのコンセンサス配列の使用は、Carter等, Bio/Technology, 10:163-167 (1992);Carter等, Proc. Natrl. Acad. Sci. USA, 89:4285-4289 (1992)中に記載されている。
部位指向性突然変異誘発(Kunkel, Proc.Natl. Acad. Sci. USA, 82:488-492 (1985))は、pEMX1のデオキシウリジン含有テンプレート上で実施された。6のCDRsは、マウスD3配列と置換された;各CDR中に含まれる残基は、Kabatr等, 上掲とChothia等, Nature, 342:877-833 (1989)のCDR-H1の定義を組合わせて定義されたCDR-H1、即ち、CDR-H1が重鎖中のH26-H35残基から伸長するように定義された点を除いて、配列ベースのCDR定義(Kabat等, Sequence of proteins of immunological interst, Ed. 5, Public Health Service(National Institutes of Health, Bethesda, MD, (1991))によるものであった。従って、D3H44-F(ab)は、6の完全なマウスCDR配列を持つ完全ヒトフレームワーク(VLκサブグループI及びVHサブグループIII)から構成されるF(ab)をコードした。
D3H44-F(ab')2は、重鎖のヒンジ(CPPCPAPELLGG;配列番号:10)のD3H44-F(ab)のC末端への付加によって作製され、その後にGCN4ロイシンジッパー及び精製用の(his)6タグ(ロイシンジッパー及びhisx6タグに関する上述のpAB3の記述を参照のこと)が配置された。
pY0317
親和性成熟抗VEGF Fabタンパク質Y0317は、Chen等, J. Mol. Biol., 293:865-881 (1999)中に記載されている。それを産生するプラスミド、pY0317を構築するために、簡単には、発現カセットが大腸菌プラスミドpBR322のフレームワーク中のEcoRIサイトにクローン化された(Sutcliffe, Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol., 43:77-90 (1978))。発現カセットは少なくとも以下の基本的なコンポーネントを含んでいた:(1)転写のコントロールのためのphoAプロモーター;(2)λt0転写終結因子;及び(3)翻訳を促進する大腸菌trp又は熱安定性エンテロトキシンII(STII)遺伝子、又は両者の組合わせに由来するシャイン−ダルガルノ配列。細菌性発現カセットの基本的構成成分は、当該技術分野において既知であり、例えば、Kikuchi等, Nucleic Acids Res., 9(21):5671-5678(1981)(phoAプロモーターに関し);Scholtissek及びGrosse, Nucleic Acids Res., 15: 3185 (1987) (λt0 終結因子に関し);Yanofsky等, Nucleic Acids Res., 9: 6647-6668 (1981) (trpに関し); Picken等, Infect. Immun., 42: 269-275 (1983) (STIIに関し); 及びChang 等, Gene, 55: 189-196 (1987) (trp とSTII シャイン−ダルガルノ配列の組合わせた使用に関し)中に記載されている。さらに、そのSTII配列又はサイレントコドン変異体は、抗VEGF Fabの産生のためのpY0317中で、軽及び重両鎖のコード配列に先行し、ペリプラズム中へのタンパク質の分泌を誘導した。Picken等, Infect. Immun., 42: 269-275 (1983);Simmons及びYansura, Nature Biotechnology, 14: 629-634 (1996)。1952塩基対発現カセットに対するヌクレオチド及びアミノ酸配列は、組換えタンパク質の生産のためにEcoRIサイトへ挿入され、図1に示してある(各々配列番号:1及び2)。
プラスミドpY0317tet20は、大腸菌中でrhuFab V-2の生産を誘導するために構築された。図2A及び2Bは、プラスミド構築のフローチャートを示しており、pY0317から出発している。プラスミドpY0317tet20は、十分に性質が明らかにされているpBR322プラスミドの変更バージョンである。639塩基対のAvaI-PvuII断片はプラスミドのpBR322部分から除去された。この除去により、コピー数のコントロールに関与するrop遺伝子が除かれる(Cesareni等, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 79: 6313-6317 (1982))。結果的に、プラスミドはpBR322と比較して僅かに上昇したコピー数を持つ。1952塩基対の発現カセット(図1)は、組換えタンパク質の生産のためのEcoRIサイトへ挿入された。プラスミドpY0317tet20は、テトラサイクリンとβラクタム抗生物質の両方に耐性を示す。該発現カセットは、タンデムに結合した軽鎖及び重鎖の単一コピーを含む。各遺伝子の単一のジシストロニックmRNA への転写は、大腸菌のphoAプロモーターによって達成される (Chang等, Gene, 44: 121-125 (1986))。各鎖の翻訳開始シグナルは、大腸菌のSTII(熱安定性エンテロトキシン)シャイン−ダルガルノ配列によって提供される。各鎖の翻訳は、細胞質膜を通過してペリプラズム空隙へのペプチドの移行を導く23残基STIIシグナルペプチド(Picken等, Infection and Immunity, 42: 269-275 (1983))から始まる。その後、STIIシグナルペプチドは、大腸菌のリーダーペプチダーゼにより除去される。軽及び重鎖は、ペリプラズムへ分泌された後、天然の構造に折りたたまれ、分子間ジスルフィド結合によって共有結合される。
pAPApo2-P2RUは、2001年1月4日に公開されたWO01/00832号中に記載されている。簡単には、このプラスミドは、図3にそのコンストラクトが示してあるが、Apo2L(アミノ酸残基114-281)とpro2及びargUによってコードされるtRNAの共発現をコードし、この共発現はアルカリホスファターゼプロモーターによって制御される。pBR322ベースのプラスミド(Sutcliffe, Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol., 43:77-90 (1978))であるpAPApo2-P2RUが、大腸菌でApo-2Lを生産するのに使用された。Apo-2Lの発現に必要な転写及び翻訳配列は、プラスミドphGH1に関して記述されたように(Chang等, Gene, 55:189-196 (1987))、アルカリホスファターゼプロモーター及びtrpシャイン−ダルガルノにより提供された。Apo-2Lのコード化配列(114から281まで)は、プロモーターとシャイン−ダルガルノ配列の下流に位置し、開始メチオニンによって先行された。コード化配列は、残基Pro119をコードするコドンが潜在的な二次構造を除くために「CCT」の代わりに「CCG」で置換された点を除きApo-2L(図4(配列番号3及び4、各々、ヌクレオチド及びアミノ酸配列に関する))の残基114-281をコードするヌクレオチド(図4に示す)を含む。λt0転写終結因子(Scholtissek等, Nucleic Acids Res., 15:3185 (1987))をコードする配列がApo-2Lコード配列の後にくる。
さらにまた、このプラスミドはtRNAのpro2(Komine等, J. Mol. Biol., 212:579-598 (1990))とargU/dnaY(Garcia等, Cell, 45:453-459 (1986))の発現のための配列も含む。これらの遺伝子は、大腸菌W3110からPCRによってクローン化され、λt0転写終結配列の下流に配置された。このプラスミドは、テトラサイクリンとアンピシリン耐性の両方を産生宿主に付与する。
関係する株のコンピテント細胞を調製し、標準的な手順を用いて適切なプラスミドで形質転換し、うまく導入された形質転換体は、選択され、培地中で増殖させた。テトラサイクリン耐性のプラスミドに関し、形質転換体を20μg/mLのテトラサイクリンを含むLBプレート(LB+Tet20)からピックアップし、ストリークすることで単離し、DMSO中、-80℃で保存する前に、30℃のシェーカー/インキュベーター内、20μg/mLのテトラサイクリンを含むLBブロース中で増殖させた。
プラスミドpxCD18-7T3及びpcyc34の場合、更なるプラスミド、pMS421がpxCD18-7T3又はpcyc34と共に同時に形質転換された。pMS421は、lacIqを過剰発現するpSC101ベースのプラスミドであるが、IPTGが抑制解除のために添加されるまでtacIIプロモーターの誘導を抑制し、また、スペクチノマイシンとストレプトマイシン耐性も付与する。このプラスミドは、lacIqサプレッサー染色体遺伝子の更なるコピー数を、lacIq株由来のそれ自身のプロモーターのコントロール下で提供するが、該遺伝子は適合性のあるプラスミドpSC101中に挿入される。
C.抗体抽出
大腸菌細胞の可溶性画分は、20 μLの0.1 M EDTA (pH 8.0)及び10μLのリゾチーム(6mg/mL)を含む500μLの20 mM TRIS-HCL (pH8.0)中に、20 OD-mLの沈殿を懸濁することによって調製した。この混合物をボルテックスし、7-10パルスの超音波処理をし、その後、15,000 rpm、4℃で15分間遠心した。遠心後の上清画分は、高塩濃度抽出物(HSE)と称する。残りの沈殿は不溶性画分の解析に用いた。
Novex社の4-12%直線的濃度勾配アクリルアミド中で、一次元のSDS-PAGEゲル電気泳動を行った。特に、用いたシステムは、NuPAGE Bis-TRIS PreCast Gel(低から中位の分子量タンパク質のための)から構成されるNOVEX(登録商標)NuPageTMシステムであった。
二次元ゲル電気泳動は、Champion等, Elctrophoresis, 20 (4-5):994-1000(1999))に記載されているよう、Amersham Pharmacia Biotech社から購入した、一次元目が固定化pH勾配(pH3-10)、二次元目が直線的アクリルアミド濃度勾配(9-18%T)を用いて行った。タンパク質の同定は、銀/クマシー染色、NH2末端の配列決定及び質量スペクトル分析との組合わせを使用して行われた。分析ゲルに関して、大腸菌の細胞溶解物(〜40μgタンパク質)をChampion等, 上掲によって記載された再水和溶液と混合した。18cmのpH3-10の非直線的固定化pH勾配(IPG)ゲルストリップ(Amersham Pharmacia Biotech社)が、総電圧50,000Vhの等電点電気泳動に用いられた。
分離用に行われたゲルは、製造者の記載により、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)膜(ProBlott;Applied Biosystems社)にブロットされた。アミノ末端の配列決定は、20分間のエドマンサイクルとPVDF-電気的にブロットされたタンパク質の配列解析のための複数サンプル水平フローリアクターを用いて行われた(Henzel等, Analytical Biochemistry, 267:148-160 (1999))。軽鎖特異的なスポットの分子量は、ゲルから溶出したMALDI-TOFマススペクトロメトリー及びキャピラリーLC-MSから見積もった(Champion等, 上掲)。
AME5TM-逆相デュアルカラムアッセイ(AME5TM/RPデュアル-カラムアッセイ)が、後述の如く、抗CD18F(ab')2LZ力価測定に関して用いられた。
F.AME5TM/RPデュアル-カラムアッセイ
1.器具と設備
INTEGRALTMワークステーション(PerSeptive Biosystems社製)が、デュアル-カラム勾配の構成中に設定された。調整された細孔ガラス(CPG)に固定化された抗軽鎖(κ)Fab抗体AME5TMを含むアフィニティーカラムが、標的タンパク質の捕獲のために使用された。逆相カラムは、温度が60℃にコントロールされ、捕獲された抗体種をさらに分離するために用いられた。活性化されたアルデヒドイムノアフィニティーレジン(AL-20)、逆相POROSレジン(R220)、及びカラム充填装置は、PerSpective Biosytems,(Cambridge, MA, USA)から入手した。CPGが入っていないPEEKカラム、30 x 2.1 mm(100μl)は、Upchurch Scientific(Oak Harbor, WA, USA)から購入した。大腸菌サンプルはACRODISCTMPF suringe 5-micron filters(Gelman Sciences社製)を用いてろ過した。
2.AME5TM抗ヒトκFAb(his-gly)4his-(lys)の精製
ここでは9.4 mMリン酸ナトリウム, 136.9 mM 塩化ナトリウム、及び2.7 mM 塩化カリウムを含むリン酸緩衝溶液, pH7.2(PBS)が、装填バッファーとして言及される。モノクローナル抗体はマウスFAb、AME5TM抗ヒトκFAb(his-gly)4his-(lys)3を入手したが、これは大腸菌のペーストから精製され、ここでの目的のためにはAME5TMFAbhgkと称される。大腸菌のペーストは、27C7細胞の10リットル発酵から得られた。マイクロフリューダイザーは20 mM リン酸ナトリウム、0.25 M塩化ナトリウム、10 mM 塩化マグネシウム、及び2 mM イミダゾール pH7.0中に懸濁後細胞をホモジナイズするために用いた。その大腸菌の抽出物は、0.2%ポリエチレンイミン(PEI)の添加と遠心によって透明化した。透明化した抽出物は、イオン交換と固定化金属イオンキレーティング(IMAC)クロマトグラフィーステップの組合わせを用いて精製した。キレーティングSEPHAROSE FAST FLOWTMとSP SEPHAROSE FAST FLOWTMレジンは、Amersham Pharmasiaから入手した。
精製したFabは、親和性レジンを作るため、過ヨウ素酸で活性化したグリセリルコート化調整細孔ガラス(CPG)上に固定化された。AME5TMFAb hgk抗体は、活性化グリセリルコート化CPG上にRoy等, J. Chromatography, 303:225-228 (1984)の方法の変法を用いて固定化された。
乾燥CPGは精製水で湿潤化し、クロマトグラフィーカラム中に充填し、30分間、カラムに還元剤1%メタ過ヨウ素酸ナトリウム(Sigma S-1878TM)を再循環させることで活性化させた。その後、活性化されたレジンを、20 mM リン酸ナトリウム、0.15M塩化ナトリウム, pH7.2(カップリングバッファー)中で洗浄した。
1μg/mLの還元剤であるシアン化ホウ化水素ナトリウム(cyanoborohydride)(Sigma S8628)を含むカップリングバッファー中、AME5TMFAb hgk抗体は、およそ5 mg/mLの密度で活性化されたレジンベッドを通して再循環させた。抗体のレジンへのカップリングは、280 nmの吸収の減少によってモニターした。吸収がもはや減少しない場合、残存している全ての抗体はカップリングバッファーで洗浄し、回収した。カップリング密度は、出発量と反応が完了した後回収された量の間の差により決定し、mg/mL FAb レジンで報告した。
次に、レジン上に残る全ての活性部位は、1μg/mLのシアン化ホウ化水素ナトリウム(cyanoborohydride)の存在下で2時間1 Mエタノールアミン, pH8.0(ICN, カタログ#151078)を再循環させることにより反応させた。次いで、保存用に0.01%チメロサール(GDL International)を含むカップリングバッファー中で洗浄した。如何なるタンパク質も装填される前に、レジンは平衡化と溶出バッファー間で3回予備交換させた。
溶媒の貯留槽は:溶媒1A、アフィニティー装填バッファー;溶媒1B、逆相液体バッファー及びアフィニティー溶出バッファー、水中0.1% TFA;溶媒2A、水。溶媒2B、逆相有機溶出バッファー、0.09%TFA/80%アセトニトリル。大腸菌50μL(1:2に希釈)又は装填バッファー中の発酵ブロースの上清がインジェクトされた。発酵細胞抽出物中に見出される抗CD18の全ての形態は、ブランクの2Dゲル泳動、生成物の泳動、及び生成物の泳動から得られた親和性捕獲(AME5TM)された物質の比較によって決定されるように、このAME5TM抗体によって捕獲された。非特異的吸収は、(PBSによる洗浄により)減少し、親和性カラムは逆相カラムとインラインに配置され、捕獲成分は希釈酸の溶出によって移動された。これらの成分は、続いて、緩いアセトニトリルの勾配で逆相カラムを溶出することにより分離された。検出は280nmの吸収の測定により行われ、無傷の抗体は同様に処理したスタンダードのピークエリアと比較することにより定量した。
G.クロマトグラムのピークの同定
このアッセイにより、抗CD18断片が5つの抗体関連ピークに分類され、これらは以下の抗体断片を示す:
ピーク1:LC115(κ軽鎖の115アミノ酸分解産物)
ピーク2:未構築の遊離軽鎖及びグルタチオネート化軽鎖
ピーク3:軽鎖ダイマー
ピーク4:Fab様断片
ピーク5:Fab'2-LZ又はFab'2断片
精製された抗CD18F(ab)'2解離物の全体(5mb/mL)をスタンダードとして使用した。49A5/pS1130の高細胞密度発酵 に由来する大腸菌抽出物は、-70℃で凍結させ、ポジティブコントロールとして使用した。全てのサンプルとの比較のために等質量の細胞を装填した。
発酵により産生された軽鎖及び重鎖断片の全量を見積もるために、選択的な逆相HPLCアッセイ(RP-HPLC)が用いられた。全ブロース100μLの全抗体発現物に、100μLの0.2 M TRIS 8.0を添加した。10パルスで超音波処理した後、650μLのグアニジンHCL/50 mM TRIS, pH9及び50 μLの2 M DTTを添加し、室温で15分間インキュベートした。カラムに装填する前に、200μLのアセトニトリルが加えられ、サイズ排除スピンカラム(Pharmacia)を通してろ過した。この懸濁液5μLをPOROSTM逆相アッセイにより分析した。
逆相法については、HEWLETT-PACKARDTM1100HPLCがPespectivePOROSTMR-1逆相カラムと共に用いられた。分析は60℃に加熱されたカラムで行われ、278 nmでのUV吸収がモニターされた。カラムは0.1%トリフルオロ酢酸を含む28%アセトニトリル水溶液中で平衡化された。次に、25μLのサンプルがカラムに装填され、溶出は20分間の28%〜38%の直線勾配を使用して行われ、その後、95%アセトニトリルで17分間の再生を行い、28%アセトニトリルで平衡化した。軽鎖及び重鎖関連種のピークは、スタンダードとの比較及び確認のためのHEWLETT-PACKARDTM質量選択検出器による分析により同定された。プラスミドが重及び軽鎖の配列を含まないこと以外同じである宿主が使用された、ブランクランの発酵サンプルは、同様に調製され、分析のための適切なベースラインを決定するために分析された。ピーク面積の積分は、HEWLETT-PACKARDTM1100ソフトウェアーを用いて行い、スタンダードは、サンプル中の色々な種の相対量を決定するためのキャリブレーションカーブを作成するためにブランクの実施サンプルにスパイクした。
また、不溶性溶解サンプルも、100μLの0.2M TRIS 8.0中での細胞抽出後得られ、PBSで洗浄した不溶性沈殿を再懸濁し、十分に混合することにより同様に分析された。次いで、650μLの6 M グアニジン-HCl/50 mM TRIS-HCl, pH9, 50 μLの2MDTT及び200μLのアセトニトリルを添加した。次に、サンプルをろ過し、10μLのろ過したサンプルを可溶性溶解サンプルと同じ方法を用いて分析した。
抗CD18 Fab'2 LZの消化をカチオン交換クロマトグラフィーのHPLCにより分析した。特に、サンプルは、少なくとも1:1に希釈し、Hewlett-Packard 1090 HPLCシステム上に55℃に保温したBAKERBONDJTMカルボキシスルホン(CsX)50 x 4.6-mmカラム(J.T. Baker, Phillipsburg, NJ)へ250μl装填した。サンプルはだいたい5から50mMのリン酸ナトリウム(pH7.0)の勾配を用い14分間かけて溶出し、ピークは278 nmのUV吸収を用いてモニターした。抗CD18 Fab'2-ロイシンジッパーを含むピークが同定され、精製したスタンダードとの比較により定量化した。
rhuFab'2 LZ(xCD18)発酵に用いられた宿主は、大腸菌W3110に由来し(Bachmann, Cellular and Molecular Biology, vol.2 (Washington, D.C.:American Scociety for Microbiology, 1987), pp.1190-1219)、以下のようにデザインされる:49A5, 58B3, 59A7, 43H1, 58H2, 45F8, 41H1,及び33D3。図5は大腸菌株59A7, 49A5,及び43H1の誘導の模式図を示す。
1.49A5株
49A5の完全な遺伝子型は、ΔfhuA phoA ΔE15Δ(argF-lac)169 deoC2 degP41(Δpst1-Kanr) IN(rrD-rrE)1 ilvG2096(Valr) ΔfucP ΔmalEである。出発株である大腸菌W3110は、F'-及びλマイナスである大腸菌K-12の誘導体である。rrnDとrrnEとの間に染色体のインバージョンを持つことが示されていた(Bachmann, 上掲;Hill及びHarnish, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 78:7069-7072(1981))。fhuA遺伝子(前はtonAと称していた)は、Tn10の不正確な切り出しによりW3110から欠失され、その後にfhuA遺伝子中に挿入が施された。その結果得られた株である1A2は、バクテリオファージT1, T5及びφ80に対して耐性を示す。
2つの欠損変異体、phoA ΔE15(Sarthy A.等, J. Bacteriol., 145:288-292 (1981))とΔ(arg-lac)169(Schweizer等, Mol. Gen. Genet., 192:293-294 (1983))は、proC遺伝子へのTn5挿入とリンクしたP1の同時形質導入によって1A2株へ同時に導入された。トランスポゾンの正確な切り出しは、porC遺伝子を修復した。phoA ΔE15変異は、アルカリホスファターゼの発現が消失しており、Δ(argF-lac)169変異は、この株のlac-表現型の原因であり、7C1と称される。
deoC2変異は、デオキシリボースリン酸アルドラーゼの発現が消失しており、P1同時形質導入によって導入された。deoC遺伝子座は、遺伝学的にスレオニンの生合成遺伝子座とリンクしている。スレオニン栄養要求株は、Tn10の挿入及び不正確な切り出しによって作製された。次に、スレオニン栄養要求株は、P1ファージによって原栄養要求性へと形質導入され、deoC2変異へと生育させた。deoC2変異の存在は、出現した株、16C9の炭素源としての0.2%チミジン存在下での増殖不能性によって確認された。
degP41(ΔPst1-Kanr)変異は、ペリプラズムのプロテアーゼ遺伝子における変異であり、形質導入によって作製された。この変異体は、インビトロにおいてdegP遺伝子の部分をカナマイシン耐性遺伝子で置換することにより構築された(Strauch及びBeckwith, J. Bacteriol, 171:2689-2696 (1989))。これは、トランスポゾンではないが、カナマイシン耐性を用いて欠失の選択を可能にする。得られた株は、23E3と称する。
最後に、炭水化物の利用経路における2つの変異は、この宿主を簡単な炭水化物利用試験によって他の組換え宿主と区別することを可能にするために導入された。fucPとmalEの欠失変異は、PCRによって構築され、β−ラクタマーゼとレバンスクラーゼを含むプラスミドベクターに別個に導入された(Bass等, 上掲)。個々の全プラスミドは、プラスミドベクターの独立した複製をサポートしないW3110誘導体の染色体中に組換えられた。次に、33B6株は、P1ファージよってカルベニシリン耐性へと形質導入され、染色体に組込まれたfucP欠損プラスミドを持つW3110誘導体へと生育させた。もはやレバンスクラーゼを発現せず、スクロース耐性である誘導体が選択され、カルベニシリン耐性の消失とフコースの使用不能性によってスクリーニングされた。得られた49B2株は、PCRを用いて予定通りのfucP欠失を持つことを確認した。
これらのステップは、malE欠失を取り込むために繰り返された。49B2株は、P1ファージを用いてカルベニシリン耐性へと形質導入され、染色体中へ組込まれたmalE欠失プラスミドを持つ株へと生育させた。次に、スクロース耐性誘導体が選択され、カルベニシリン耐性の消失とマルトースの使用不能性によってスクリーニングされ、malE欠失の存在は、PCRによって確認された。
49A5株の重要な特徴は以下の点を含む:
・T1ファージに耐性である。
・リン酸塩を除去すると(産生物の合成を誘導するために使用される条件である)、アルカリフォスファターゼを過剰産生しない。
・プロテアーゼを欠いている。
・バリンの毒性の影響を受けない。
・炭水化物利用試験により他の宿主と区別することができる。
また、58B3株は、33B6株から誘導された。Δprc::pS1080遺伝子型(Bass等, 上掲;Metcalf等, Gene, 138:1-720(1994))は、P1形質導入により33B6株(56G4)のkans誘導体へ形質導入され、低塩濃度で半強度(halg-strength)のLB中であまり増殖しないコロニーを42℃で選択した。kans株はpKS16(Strauch及びBeckwith, 1989, 上掲)から誘導されるdegP欠失を保持し、その結果カナマイシン感受性表現型となる。従って、58B3株はdegP及びprc欠失の両方を保持するkans株である。
58B3株の完全な遺伝子型は、W3110ΔfhuA phoAΔE15 Δ(argF-lac)169 deoC degP41 IN(rrD-rrE)1 Kans ilvG2096(Valr)Δprcである。
3.59A7株
この株は、Prcサプレッサー(Spr変異)を58B3株へ導入することによって構築される。51B9株(tonA prc prc sup zeg722::Tn10)のP1ファージ溶解物は58B3株へと形質導入され、tet耐性コロニーについて選択し、Prcサプレッサー表現型(低塩濃度で半強度(halg-strength)のLB中、42℃で増殖するコロニー)をスクリーニングした。新しい株は58F1と呼ばれる。Δprc変異は42℃で生きられない。テトラサイクリン耐性遺伝子が、Malloyプレート上にプレーティングされることにより58F1株から除去され、その結果tets-感受性株が得られ、59A7と命名された。59A7株の完全な遺伝子型は、W3110ΔfhuA phoAΔE15 Δ(argF-lac)169 deoC degP41 IN(rrD-rrE)1 Kans ilvG2096(Valr)Δprc sprW148Rである。
オリジナルの51B9株は、43H1と59A7株のsprと同一の点突然変異W148Rを保持したPrcサプレッサーSprを持つ。
4.43H1株
43H1株の完全な遺伝子型は、49A5株の遺伝子型と非常に似ている:W3110ΔfhuA phoAΔE15 Δ(argF-lac)169 degP41 (Δpst1-Kanr)IN(rrD-rrE)1 ilvG2096(Valr) ptr3ΔompT prc::kanr sprW148R。49A5より3つ多いプロテアーゼマーカー、Ptr3 OmpT及びPrcを保持する。この株は、Spr中に点突然変異(W148R)を持つ。Kanrである。
5.58H2
43H1が、P1ファージでtetrに形質導入され、42E3株へと生育させた。この株(58F9)は、prc::kanr変異について修復された;その結果kansとなった。次に、この株をeda::Tn10を除くために最小グルクロン酸培地上へプレートした。新規に作成された株、58H2は、kansで、野生型prcを持つ三重のプロテアーゼ変異体となった。58H2株の完全な遺伝子型は、W3110ΔfhuA phoAΔE15 Δ(argF-lac)169 degP41(Δpst1-kanr) IN(rrD-rrE)1 ilvG2096(Valr) ptr3 ΔompT sprW148Rである。
6.45F8株
45F8株の完全な遺伝子型は、W3110ΔfhuA phoAΔ(argF-lac)169 degP41 kanS Δomp ptr3 ilvG2096(Valr) phoS*(T104)である。これは、三重のプロテアーゼマーカーを持つphoS株である。
7.41H1株
41H1株の完全な遺伝子型は、37℃において適用化されたW3110ΔfhuA phoS*(T104) Δ(argF-lac)169 degP41 (Δpst1-kanr) ptr3 ilvG2096(Valr)Tである。これは、二重のプロテアーゼマーカーを持つphoS株である。
8.33D3株
33D3株の完全遺伝子型は、W3110 ΔfhuA ptr3 lacIq lacL8 ΔompT degP41(ΔpstI-KanR)である。作成に関する記載は、米国特許5,789,199号中に見出すことができる。
振盪フラスコ実験に関して、Luria-Bertani(LB)ブロースとC.R.A.P.ミネラル培地を5μg/mlのAMPICILLINETM抗生物質と共に使用した。C.R.A.P.ミネラル培地は、以下のように調製した:3.57g (NH4)2SO4, 0.71g Na-Citrate-2H2O, 1.07g KCl, 5.36gイーストエキストラクト, 5.36g HYCASE SF-SHEFFIELDTMを混合し、pHを7.3にKOHで調整し、体積を脱イオン水で872mLに合わせた。次に、この混合物をオートクレーブし、55℃まで温度を下げた。110mL 1M MOPS緩衝液pH7.3, 11mL 50% グルコース, 及び7.0 mL 1M MgSO4を添加した。
ここで利用した大腸菌の発酵過程は、上述のように定義された高細胞密度過程であった。高い細胞密度に到達させるために、連続的にアンモニアを添加し、付加的に微量な栄養素(P, K, S及びMg)を細胞の生育をサポートするために発酵のある段階で添加した。栄養素の総量を低くすると、産生物の質は同一であってより低いブロースの最終的光学密度を持つ他の過程となり、ここでは低細胞密度過程として言及されている。
10-15% DMSOの1.5mlの培養物を含む単一のバイアルを、0.5mLのテトラサイクリン溶液(5mg/mL)と2.5mL 1Mリン酸ナトリウム溶液を添加したLB培地、500mLを含む1Lフラスコ中で解凍させた。この種培養は、およそ16時間、30℃で生育させ、次いで、10リットル発酵槽へ植菌するために用いた。
最初、発酵槽は、約4.4g グルコース, 100 mL 1M 硫酸マグネシウム, 10 mLの微量成分溶液(最終体積1L中、100mL 塩酸, 27g 塩化第二鉄6水和物, 8g 硫酸亜鉛7水和物, 7g 塩化コバルト7水和物, 7g モリブデン酸ナトリウム2水和物, 8g 硫酸銅5水和物, 2g ホウ酸及び5g 硫酸マグネシウム1水和物), 20 mL テトラサイクリン溶液(エタノール中5mg/mL), 10mL FERMAX ADJUVANT 27TM(又は何れかの同等な抗発泡剤), HCD塩1バッグ(37.5g 硫酸アンモニウム, 19.5g リン酸二塩基カリウム, 9.75g リン酸一塩基ナトリウム2水和物, 7.5g クエン酸ナトリウム2水和物,及び11.3g リン酸一塩基カリウム), 及び200g NZアミンA(タンパク質の加水分解産物)を含むおよそ6.5L培地から開始した。発酵は10 slpmの気流で30℃にて行い、pHを7.0±0.2(しばしばこの範囲を超える偏位が、ある場合に生じたが)にコントロールした。発酵槽の逆圧及び撹拌速度は、発酵槽への酸素移送率を操作し、その結果として細胞の呼吸率をコントロールするために変動された。
発酵の間、発酵に対する溶解酸素の設定点に達すると、濃縮されたグルコース溶液が、設定点における溶解酸素濃度をコントロールするために溶解酸素プローブシグナルに基づいて送り込まれた。従って、このコントロールの図式において、撹拌速度又は逆圧などの発酵槽操作変数は、発酵槽の酸素移送能に影響を与え、それに呼応して、細胞の酸素摂取速度又は代謝速度を操作した。
マススペクトル分光計は、発酵槽からのオフガス(off-gas)の組成をモニターし、発酵槽中の酸素摂取量と二酸化炭素の生成率の計算を可能ならしめている。
およそ220 OD550の細胞密度に培養物が達した場合、撹拌は最初の速度1000rpmから約725rpmに減少させ、およそ12時間が経過した。
pMS421とpcyc34(重及び軽鎖の両発現をコントロールするために、tacIIプロモーターが使用された)で形質変換された細胞又はpMS421及び二重プロモータープラスミドpxCD18-7T3(tacIIプロモーターが重鎖発現をコントロールするために使用された)で形質転換された細胞の発酵については、pcyc34に関する重鎖及び軽鎖合成を誘導するために、220 OD550の細胞密度に培養が到達したおよそ12時間後、50mlの200 mM IPTGが添加された。
A.見出され、同定されたκ軽鎖切断産物
大腸菌の可溶性抽出物(材料及び方法中のHSEを参照のこと)及びSDSサンプルバッファー(一般に入手可能なSDSゲルを泳動するための商品)中に懸濁された残りの沈殿をSDS-PAGEで解析した。サンプルは、rhuF(ab)'2LZ(xCD18)産物のためのpS1130プラスミドを保持する49A5株の、大腸菌の高細胞密度(HCD)発酵の間に回収された20 ODmLの沈殿に由来した。可溶性画分において、115アミノ酸長のκLC切断断片が同定された。不溶性画分において、182アミノ酸長のκLC切断断片が同定された。全ての断片はPVDF膜に転写され、配列決定された。それら両方とも、κLCのプロセスされた形態として正しいN末端を有していた。質量は、それぞれ、マススペクトロメトリー解析により、12488.5及び19857.2Daと決定された。タンパク質分解性の切断部位は、LC115に関してVal115とPhe116の残基間であり、LC182に関してSer182とLys183の残基間であった。唯一つのサイトが典型的なPrc切取り断片部位のようであった。
この発酵の終わりに、他の大腸菌の20 OD-mLの沈殿が二次元ゲル電気泳動によって解析された。沈殿の大腸菌細胞溶解物(〜40μgタンパク質)は、Champion等, 上掲によって記載されたように再水和溶液に混合した。49A5/pS1130発酵槽に由来する細胞の2-Dゲルのパターンにおいて、κ-軽鎖特異的なスポットは、同様の時点における(49A5/pBR322)の細胞沈殿に由来するブランクの2-Dゲルと産物のゲルとを比較することにより同定された。沈殿は、2つの発酵槽の同一時点から選ばれ、細胞は比較し得る代謝状態にあったと想定できる。全てのκLCスポットは、アルカリホスファターゼ結合抗ヒトκLC抗体を用いてイムノブロットにより同定された。
1-Dゲル解析により同定された2つの主な切取り断片の他に、2-Dゲルは、無傷のLC、無傷のLCのアイソフォーム、そして少なくとも5より多いマイナーなLC-切取り断片を示した(図6を参照のこと)。対応するスポットは溶出され、配列決定された。全てのLC特異的ペプチドは正しいN末端を有しており、それらは全て切断されたSTIIシグナルによってうまくプロセスされていた。これらのペプチドの全ては、マススペクトロメーターにより、およその質量を測定するために解析された。マイナー切取り断片が微量のため、これらの断片の切り取り部位を決定するための正確な質量は得られなかった。
3つのマイナーな切取り断片は、9付近のpIでκLC-115についてクラスターを形成した。4つ目は、6.5付近のpI値を有し、5つ目は、6付近のpIでLC-182切取り断片と同じpI値を有していた。これらのLC断片の可溶性を決定するために、同一の沈殿のHSEを2-Dゲルで泳動した。LC182断片は、不溶性画分にのみ存在した。
抗CD18 Fab'2LZ分子を発現する大腸菌のプロテアーゼ変異体である、49A5, 45F8, 41H1及び43H1の4つの異なる発酵に由来する不溶性細胞画分について、1-D SDS-PAGEゲルを行った。LC-182タンパク質分解性切断は、4つのサンプル中3つに存在しており、(prc欠失43H1株中にはない)このことはPrcプロテアーゼがκLC切断に関与することを示唆した。ピーク1は、LC-115切取り断片に相当し、49A5株(prc-プラス)に由来するサンプル中に存在し、また、AME5TM/RPデュアルカラムアッセイによって分離されたクロマトグラフを比較した場合、43H1由来のサンプルからは消失した。このアッセイは、κLCを含む抗体種を選択的に吸着し、次に、材料及び方法のセクション中、上述されるように、それらは5つのピークに分離された。
43H1由来の細胞沈殿の2-Dゲルが解析されると、LC-115及びLC-182断片がゲルから消失するばかりでなく、他のLC関連のマイナーな種も消失したことを見出した(図7を参照のこと)。この結果は、Prcがκ-LC切断の原因となる唯一の酵素であることを強く示唆する。この43H1細胞沈殿は、低細胞密度発酵に由来した。
1.prc-プラスになるためのprc欠損株
PrcがκLC切断に関与する唯一の酵素であるという証拠は、43H1株(四重のプロテアーゼマーカーを持つprc-マイナス宿主)が三重プロテアーゼ株(58H2)prc-プラスになるように修復することにより得られた。42E3株はeda-51::Tn10を保持し、prcと共に同時形質導入できる。43H1株は、P1ファージによりtetrへ形質導入され、42E3へと生育された。結果的に生じた株(58F9)は、prc::kanr変異について修復された;従って、kanSになった。この株は、次に、eda::Tn10を除去するために最小グルクロン酸培地上にプレートされた。新規に作成された株、58H2は、野生型prcに対して三重プロテアーゼ変異となった。この単離体は、形質導入体又は自発的Eda+単離体である。prc-プラス遺伝子型は、PCRによって確認された。この58H2株は、すでに、43H1に由来するprcサプレッサー(sprW148R)を保持しており、kansである。この58H2株においてLC切取り断片が再度出現したことがAME5TM/RPデュアルカラムアッセイによって検出された(図8を参照のこと)。
2.prc遺伝子はprc-マイナスになるように天然の株から欠失された。
49A5株は、上述のごとく、prc野生型株であった。prc欠失が、58B3株を構築するためにこの株のバックグラウンド中に導入され、細胞抽出物がAME5TM/RPデュアルカラム法によりアッセイされたとき、LC-115切取り断片(ピーク1)は消失した。58B3株は33B6株に由来し、プロテアーゼマーカー、DegPのみを保持する。Δprc::pS1080(Bass等, 上掲;Metcalf等, 上掲)は、degPΔprcデュアルプロテアーゼ株、59A7を作成するためにP1形質導入により33B6(56G4)のkans誘導体中へ導入された。
7つ全ての株に関する切断結果のまとめを表1に示す。
1.振盪フラスコの結果
rhuFab'2LZ(xCD18)を発現する3つの株(49A5, 43H1,及び58H2)は、最初、LBブロース+Amp中で30℃、一晩生育させた。次に、全ての培養物を、25mLのC.R.A.P.最小培地+Ampを含む振盪フラスコ中へ等しく植菌し、30℃で一晩振盪を続けた。20 OD-mLの沈殿を、可溶性抽出物(HSE)を調製するために回収した。530μl中25μl をAME5TM/ 逆相カラムにかけた。
図8は、このアッセイにより分離された5つのピークを示す棒グラフを示す。Y軸はピーク1から5の特異的なピーク領域である(材料と方法を参照のこと)。X軸は、rhuFab'2LZ(xCD18)産生株を示す。Δprc株(43H1)の、ほとんどないピーク1とより高いピーク5の産物と比較して、prc+株である49A5及び58H2は共に、ほぼ同量の産物を産生し、それら両方ともほとんど同量のLC-115断片(ピーク1)を示した。このグラフは、抗体断片の分配を示した。より多くの可溶性で、無傷のLC及びLCダイマーは、49A5及び58H2宿主中よりも43H1宿主中で観察された。振盪フラスコ中、prc-宿主は、天然のprc株よりほぼ5倍以上のrhuFab'2LZ(xCD18)産物を産生した。
標準的な高細胞密度(HCD)発酵によって得られた平均のrhuFab'2LZ(xCD18)の力価は、AME5TM/RPデュアルカラムアッセイに基づくと、野生型prc宿主中(49A5, n=6)で893 mg/Lであった。2倍近い力価の改善が、43H1/pS1130発酵から得られた。43H1と49A5宿主に関する振盪フラスコ(x5)と発酵(<又はほぼ2x)の力価の差は、それぞれ、なんら一つの理論に限定するわけではないが、おそらく産物の分泌効率の差によるものであった。振盪フラスコ沈殿の全抽出物を解析したとき、抗体断片の50%のみがprc-プラスのバックグラウンドにおいて正確にプロセスされたが、43H1の振盪フラスコ細胞又は全ての発酵由来細胞(prc-プラス及びマイナス)に由来する抽出物は、100%のプロセッシングを示した。Prcタンパク質のプロセッシングは、secY、secA依存性(Hara等, 1991, 上掲)であることが見出された。なんら一つの理論に限定するわけではないが、振盪フラスコの結果は、Prcタンパク質が、移行のために、抗体断片と競合したことを示すと考えられる。
全ブロース発酵サンプルのPOROSTMカラムアッセイは、抗体の折り畳み及び集合の効率を評価するために、材料と方法のセクションに記載されるように開発された。3つの抗CD18 HCD発酵由来の全ブロースサンプルの等しい量のインジェクションを、異なる宿主において比較した場合、43H1発酵は、49A5発酵とほぼ同量のHCを発現するが、より多くの無傷のκ-LCであることが見出された(表2を参照のこと)。rhuFab'2LZ(xCD18)の力価は、49A5の887.8mg/Lと比較すると、43H1について1830 mg/Lであった。59A7の発酵は、余分な抗体断片を発現させるだけでなく、結果として2403mg/Lのより高いrhuFab'2LZ(xCD18)の力価を生じた。
degPとprc欠失を持つ58B3株は、抗CD18 Fab'2LZ分子を発現するHCD発酵の長期の定常状態の間に溶菌を示すことが見出された。細胞溶解は、植菌後50時間で開始した。それは、rhuFab'2LZ(xCD18)の320mg/Lのみを産生したが、59A7/pS1130発酵は、高細胞密度(約300 OD550-mL)に達するためのHCDの72時間まで、定常状態において良好な生育を維持した。図9はこれら2つの発酵の生育比較を示す。また、この株のバックグラウンドにおいて、HCとLC断片の余分な高発現が見出され、rhuFab'2LZ(xCD18)分子の収量が2403mg/Lまで増大した。また、κLC切取り断片は、58B3及び59A7prc-欠損株の両方に由来するサンプル中には見出されなかった。
prcサプレッサー(spr)(Prcsupをコードする)は、元々ここで、自発突然変異、即ちprc欠損変異体の温度抵抗性復帰変異体として、40A6株(prc::kan spr)から単離された。遺伝子は配列決定され、結合マップされたのち、大腸菌染色体上のおよそ48分に位置することが見出された。そのPCR産物のヌクレオチド配列は、TGGコドンがCGGに置換され、結果的にトリプトファン残基からアルギニンへの置換となる(W148R)アミノ酸148における一つの点突然変異を除いて、Hara等, 1996, 上掲によって報告される大腸菌spr遺伝子の配列と一致した。このprcサプレッサーは、59A7株中に導入された場合に、W148R変異を有した。野生型spr遺伝子は、膜画分中でリポタンパク質をコードすることが報告され、ペプチドグリカン加水分解酵素であると思われる(Hara等, 1996,上掲)。
prcサプレッサーは、このサプレッサーとリンクしたTn10によって59A7株中に導入され、同時形質導入体がテトラサイクリン耐性及び42℃の半強度(half strength)LB低塩プレート上で生育可能であることの両方に関して選択された。Tn10がMlloyプレートによって除去されたとき、新規点突然変異が生じた。
59A7株に対する58B3の抗CD18 Fab'2発酵の結果に基づいて、Prcサプレッサーは、首尾良く生育するにはΔPrc変異が、特に高細胞密度の大腸菌発酵中で必要であることが示された。58B3と称される株は、spr(W148R)を除いて59A7と厳密に同一である遺伝子型を保持し、標準的な50時間後のHCD発酵中では、生存可能な状態ではなかった。
図10はヒト化κLC配列(配列番号:5)を示す。潜在的なPrc切取り断片の計算上のpI値は表3に示してある。
図11は、prc欠損株(43H1)は、抗VEGF Fab、抗CD18Fba'2LZ、抗CD18Fab'2-LZ-6xHis分子及び抗組織因子Fab'2-LZ-6xHis分子を発現する細胞由来のLC-182切取り断片を除去することを示す。cab2826(33B6/D3H44-F(ab')2)及びcab2847(43H1/D3H44-F(ab')2)由来の発酵サンプルは、抗組織因子Fab'2LZ-6xhis分子を発現することを目的とする高細胞密度発酵であった。発酵過程は、抗CD18 Fab'2LZ発酵に関し上述されるような同一の標準的なHCD過程であった。Cab2793は、抗CD18Fab'2-LZ-6xHis分子を発現することを目的とする49A5/pAB3発酵であった。Cab2846は、抗CD18Fab'2-LZ分子を発現することを目的とする41H1/pS1130発酵であった。JJ81(43H1/pY0317)及びJJ67(43E7/pY0317)発酵は、抗VEGF Fabを作成することを目的とした。Cab2814は(49A5/pBR322)で、ブランクの発酵であり、抗体発現遺伝子を持たない類似のプラスミド骨格を含む。
G.59A7株は、抗CD18 His-及びLys-タグ化Fab'2 LZ及びApo2L細胞質タンパク質に関し、振盪フラスコで優れた発現を示す
表4中に示される更なる振盪フラスコに関するデータは、59A7株が43H1及び49A5よりpAB3(抗CD18 His-タグ化Fab'2 LZ)を多く発現することを示す。59A7株は、33B6よりpAB21(Lys-タグ化Fab'2 LZ)を2.4倍多く発現した。59A7及び43H1株は、49A5株よりpS1130(タグ化の無いFab'2 LZ)を2.9倍多く発現した。しかし、発酵槽の結果は、常に、59A7株が43H1株よりpS1130の発現において優れていることを示した。
抗体ではない細胞質タンパク質であるApoL2に関し、59A7株中で発現される場合、43E7株より比活性が約20-30%高い(振盪フラスコにおいて)。43E7株はより高いOD550値まで生育したため、総発現量は同等であった。43E7株は、prc及びsprを保持しないompT ptr3 degP株である。
表5は、59A7株がデュアルプロモータープラスミドpxCD18-7T3由来の抗CD18 Fab'2 LZの発現に関し33D3よりも優れており、プラスミドpcyc34由来の抗CD18 Fab'2 LZの発現に関し49A5よりも優れていたことを示す。
この研究において、抗CD18 Fab'2-LZ分子を発現する大腸菌細胞中のκLCの分解について詳細に調べられた。すでに行われた研究により、多くの潜在的なPrc基質が示されていたが、確認されるかぎりでは、このプロテアーゼの基質としての抗体断片の発見について報告した者はいなかった。ここにおいて、Prcは大腸菌細胞内においてκLC切断に関与する唯一のプロテアーゼであることが示されている。Prcタンパク質は、分離した位置において選択的にκLCを切断するようであり、2-Dゲルの結果に示されるように、2つの主要な切取り断片(LC-115及びLC-182)と、5つの更なるマイナーな切断産物を生じさせた。主要な切取り断片の一つは、S/K断片産物であり、Prc切取り部位(Keiler等, 上掲)の特徴に一致しなかったため、さらに詳細に調べられた。現段階において、大腸菌細胞中でのκ軽鎖の分解は、大腸菌のペリプラズムプロテアーゼ(Prc/Tsp)に関係することが見出された。κ軽鎖切断産物は、抗CD18F(ab)'2ロイシンジッパー分子を発現する種々のタンパク質分解欠損性株由来の大腸菌抽出物の分析的な方法(1-D/2-D SDS PAGE, マススペクトロメトリー、及びN末端配列決定解析)によって同定され、Prc/Tspはκ軽鎖断片の原因である唯一のプロテアーゼであることが見出された。
prcサプレッサー(spr突然変異)とdegP prc欠失との特定の組合わせは、Apo2リガンドと活性のある抗体によりここで例示されるように、かなり多量な組換えタンパク質又はタンパク質の高い比活性を産生することができる唯一の大腸菌株であることが見出された。
ここでのdegP prc spr株を用いた発酵槽は、高細胞密度増殖(300 ODまたはそれより高い値まで)で、野生型株又は他のタンパク質分解欠損性株中での抗体の発現と比較して、rhuxCD18 Fab'2ロイシンジッパー産物に関して高い収量を産生することになる。
従って、この結果により、prcサプレッサー(spr)の存在は、degP prc欠損株中、低細胞密度発酵過程ではなく、特に、高細胞密度発酵過程において良好な生育及び高いレベルでの抗体の産生に必須であることが明らかとなった。
DegPΔ単一プロテアーゼ変異とdegPΔを含む他の多重性プロテアーゼ欠損株は、さらに高いレベルの組換え産物を産生することはなかった。以前から言及されていた2つの株、degP rpoHとdegP prcは、それらと比較される他の多くの株より多くの産物を発現したが、59A7株ほどではなかった。より特別には、sprサプレッサーなしで、degP prcの組合わせを持つ58B3株は、抗CD18 Fab'2 LZ分子によって例示されるように、抗体断片の産生においてなんら利点を示さなかった。
分析結果から、ヒト化抗CD18 F(ab')2ロイシンジッパー分子を発現する大腸菌細胞κLCの切断は、ペリプラズムでのC末端プロセッシングタンパク質(Prc)に関係することが証明された。Prcタンパク質はκ軽鎖の切断に原因となる唯一のプロテアーゼであり、このことは、二次元ゲル電気泳動と抗体産生株の遺伝学的操作の両方により証明された。Prcプロテアーゼが真にκLC切断に関与する唯一の酵素であることを確認するために、Δprc株が天然prc株へ修復されたとき、κLC切断産物が再度生じた。同様に、prc遺伝子が天然prc株から欠失されたとき、LC切断産物は消失した。両方の株の構築は、P1形質導入によって実施された。
Prcプロテアーゼは、広い配列特異性というよりは、多くの別々の部位においてその基質を切断することが報告されていた(Keiler等, 上掲)。ここで、κLC断片中のPrc切断部位は、異なるヒト化抗体発現プラスミドを構築するために一般的に用いられる骨格配列である定常領域中に配置されることが見出された。ここでの結果に基づいて、Prc欠失変異は、大腸菌細胞内で発現される、全長抗体を含むFab, Fab', Fab'2(ロイシンジッパーを有する又は有さない)などの種々の抗体断片の力価を改善するであろうことが期待できる。HCのC末端において、Hisタグ又はLysタグ配列に隣接される抗体断片が有益であることも期待される。
59A7株は、pAB3を発現する49A5株より優れており、振盪フラスコ中でのApo2L細胞質タンパク質の特異的な発現において43E7株より優れており、発酵槽によるpS1130及びpcyc34(pS1130のtacIIプロモーター対応物)の発現において43H1及び49A5より優れている。さらに、それは、デュアルプロモータープラスミドpxCD18-7T3を発現する33D3株より優れていた。
材料と方法
A.発現プラスミド
プラスミドD3H44-F(ab')2は、実施例1中に記載されている。
プラスミドpY0317tet20は、実施例1中に記載されている。
B.株
xVEGF Fabの発現に使用される株は、実施例1に記載される他の株に類似する。それは、大腸菌W3110から誘導されたもので、60C1株と命名されている。60C1株の完全な遺伝子型は、W3110ΔfhuAΔ(argF-lac)169 ptr3 degP41 Kans ΔompT ilvG2096(Valr)Δ(nmpc-fepE)ΔssrAである。45F8株と同様に、それはprcを持たない三重プロテアーゼマーカーを保持する。
株43H1, 59A7,及び33B6は全て実施例1中に記載されている。
C.培養方法
振盪フラスコ中での培養は、実施例1に記載されているように実施された。xTF Fab'2LZ-6x his分子を発現する振盪フラスコ培養の増殖は、30℃で42時間まで延長され、2
セットのサンプルが比較のために異なる成長段階の時点で採取された。xVEGF Fab発現との比較のため、二連の培養を増殖させ、24時間の時点でのみ採取された。
2-Dゲル電気泳動は、実施例1に記載されるように行われた。
結果
振盪フラスコ培養のデータは、以下の表6中に示されている。rhuFab'2LZ(xCD18)産生に関しては、実施例1中において明確であるように、Prc-43H1及び59A7株がPrc+株60C1及び33B6よりも、産生される産物(抗VEGFFab'及び抗組織因子 Fab'2 LZ-6xhis)の量において優れていた。
図12は、抗VEGF Fabを発現する(pY0317tet20)prc欠失(59A7株, prc-マイナス株)は、分解された抗VEGF LCの全てと2つの分解されたxVEGF HC断片(prc-プラス株中で見出された)を除去するが、OmpT又はPtr3切断産物である2つの別々のHC切取り断片は59A7中に認められた。図13は、異種のポリペプチドとして、抗VEGF Fab(pY0317tet20)を発現する60C1株(prc-プラス株)は、複数分解された抗VEGF LCと2つの分解されたHC断片を含んでいたことを示す2-Dゲルである。
Claims (24)
- プロテアーゼ DegP 及び Prc を各々コードする染色体上の degP 及び prc に欠損を持ち、変異 spr 遺伝子を有する大腸菌株であって、前記欠損は各々コードされたプロテアーゼ DegP 及び Prc のプロテアーゼ活性を減少又は消失させ、前記変異 spr 遺伝子産物は prc 変異を有する株によって示される成長表現型を抑制する、大腸菌株。
- プロテアーゼIIIをコードする染色体上のptr3又はプロテアーゼOmpTをコードする染色体上のompTに欠損を持たない請求項1に記載の株。
- その株に対して異種のポリペプチドをコードする核酸を有する請求項1に記載の株。
- ポリペプチドがタンパク質分解に感受性である請求項3に記載の株。
- ポリペプチドが真核生物のポリペプチドである請求項3に記載の株。
- ポリペプチドが哺乳類のポリペプチドである請求項5に記載の株。
- 核酸で形質転換される請求項3に記載の株。
- ポリペプチドを生産する方法において、
(a)プロテアーゼPrcをコードする染色体上のprcに欠損を持ち、変異 spr 遺伝子を有し、その株にとって異種のポリペプチドをコードする核酸を有する大腸菌株であって、前記欠損が各々コードされたプロテアーゼ DegP 及び Prc のプロテアーゼ活性を減少又は消失させ、前記変異 spr 遺伝子産物が prc 変異を有する株によって示される成長表現型を抑制する大腸菌株を、前記核酸が発現されるように培養し、
(b)前記株から異種のポリペプチドを回収する
ことを含む方法。 - 異種のポリペプチドがタンパク質分解に感受性である請求項8に記載の方法。
- 培養が発酵槽中で行われる請求項8に記載の方法。
- 高い細胞密度の発酵条件下で培養が行われる請求項10に記載の方法。
- 低い細胞密度の発酵条件下で培養が行われる請求項10に記載の方法。
- ポリペプチドが該株のペリプラズム又は培地から回収される請求項8に記載の方法。
- ポリペプチドが抗体又はApo2リガンドである請求項8に記載の方法。
- ポリペプチドが抗体である請求項14に記載の方法。
- 抗体がヒト化抗体である請求項15に記載の方法。
- 抗体が完全長の抗体である請求項15に記載の方法。
- 抗体が抗-CD18、抗-VEGF、抗-組織因子、2C4、抗-Her-2、抗-CD20、抗-CD40、又は抗-CD11a抗体である請求項15に記載の方法。
- 抗体が抗体断片である請求項15に記載の方法。
- 抗体断片が軽鎖を有する請求項15に記載の方法。
- 軽鎖がκ軽鎖である請求項20に記載の方法。
- 抗体断片がFab、Fab'、Fab'2、又はFab'2-ロイシンジッパー融合体である請求項19に記載の方法。
- 抗体断片が、ヒスチジン又はリジンタグを持つか又は持たない、抗-CD18 Fab'2-ロイシンジッパー融合体、抗-組織因子 Fab'2-ロイシンジッパー融合体、又は抗-VEGF Fabである請求項22に記載の方法。
- 抗体断片が、抗-CD18 Fab'2-ロイシンジッパー融合体、6-ヒスチジンタグを持つ抗-組織因子 Fab'2-ロイシンジッパー融合体、抗-VEGF Fab、6-ヒスチジンタグを持つ抗-CD18 Fab'2-ロイシンジッパー融合体、及び6-リジンタグを持つ抗-CD18 Fab'2-ロイシンジッパー融合体である請求項22に記載の方法。
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