JP4057724B2 - 押出し工法における橋桁の支持構造 - Google Patents

押出し工法における橋桁の支持構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレストレストコンクリート橋の架設工法の一つとして一般に知られている押出し工法において、押出し架設時に橋桁に生ずる曲げ応力に抵抗する目的で用いられる橋桁の支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の橋桁の支持構造としては、例えば、押出し架設されるべき橋桁の支間の中央部に立設される支柱と、一方の端部を支柱の頂部に定着し、他方の端部を橋桁の支間方向の前部に定着して張架してなる前部斜材、及び一方の端部を支柱の頂部に定着し、他方の端部を橋桁の支間方向の後部に定着して張架してなる後部斜材からなる仮設斜材と、支柱の頂部を上下に移動して仮設斜材の引張力を調整するジャッキとを含むものが知られている。
【0003】
かかる橋桁の支持構造によれば、ジャッキを用いて支柱の頂部を上下に移動させて仮設斜材にあらかじめ設定された値の引張力を導入することにより、橋桁の片持ち張り出し部に上昇力を与えることが可能となることから、隣接する製作ヤードで製作した橋桁を押出し装置を用いて片側から順次押出して大スパンの架設を行うことができる。
【0004】
ところで、仮設斜材に導入された引張力は、押出し架設に伴う、橋桁の片持ち張り出し部の長さ寸法の変化、橋脚による橋桁の支持位置の変化、仮設斜材から本設斜材への引張力負担の一部盛り替えなどにより複雑に順次変動する。このため、従来における押出し架設では、仮設斜材の引張力の変動をリアルタイムで測定し管理しながら、支柱の頂部の上下移動を行い、これによって仮設斜材の引張力を調整することとしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の橋桁の支持構造では、押出し架設時に仮設斜材の引張力が複雑に順次変動する結果、前後で異なる値となりアンバランスになっても、当該引張力の調整が支柱の上下移動のみによってしか行えず、前後で別個に行えないため、かかるアンバランスの解消が実際上かなり困難であり、片持ち張り出し部が上又は下へと撓んでしまう等、ひびわれの発生ひいては落橋の虞が生じてしまう。
【0006】
一方、従来の橋桁の支持構造において、前後に二列に配置したジャッキを用いてかかるアンバランスを解消しようとすると、上記複雑に順次変動する引張力を瞬時に的確に調整することは事実上不可能であり、かかるアンバランスが解消されるまでに相当の時間が経過してしまうことから、ひびわれの発生ひいては落橋の虞を除去できない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、押出し架設時に斜材の引張力が複雑に順次変動しても、前後でアンバランスにならず、ひびわれの発生ひいては落橋の虞の生じない、押出し工法における橋桁の支持構造を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る押出し工法における橋桁の支持構造は、押出されるべき橋桁の支間の中央部に立設される支柱と、この支柱の頂部に設けられるサドルと、両端部の夫々を前記橋桁の支間方向の前後に対して定着し、中央部を前記サドルに対して滑動自在に張架してなる斜材と、前記サドルを上下に移動させて前記斜材の引張力を調整する前後で一対に配置された引張力調整手段と、を含み、前記サドルが、前記一対の引張力調整手段により前後で吊下支持されていることを特徴としている。
【0009】
即ち、本発明は、中央部を支柱頂部のサドルに対して滑動自在に張架した斜材によって橋桁の前後を吊下支持し、サドルの上下移動による斜材の引張力の意識的調整及びサドル上での斜材の滑動による斜材の引張力の無意識的調整を重畳的に行いながら橋桁の押出し架設をすることにより、斜材の引張力が複雑に順次変動しても、前後でアンバランスにならず、ひびわれの発生ひいては落橋の虞の生じない、押出し工法における橋桁の支持構造の実現をするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る押出し工法における橋桁の支持構造の全体概略を示す側面図、図2は、当該押出し工法における橋桁の支持構造の支柱近傍の部分詳細を示す正面図(図2a)及び側面図(図2b)、図3は、当該押出し工法における橋桁の支持構造のサドルの詳細を示す斜視図、である。
【0011】
図1及び図2において、符号Hは、押出されるべきプレストレストコンクリート製の橋桁、符号Kは、当該橋桁H及び将来構築する橋桁を連続的に支持する橋脚、符号Yは、鉄筋の組立、コンクリートの打設等を行って橋桁Hの分割製作をする製作ヤード、符号Dは、現に供用されている既設道路、を示している。
【0012】
また、符号1は、この橋桁Hの支間の中央部に立設される支柱、を示している。これは、本設である主塔1aと、この主塔1aの頂部に一体に立設される仮設であるピロン柱1bとから構成されている。尚、本実施の形態に係る橋桁Hは、供用開始後は既設道路D上を高架する高速道路の架道橋として利用されるものである。
【0013】
更に、符号2は、このピロン柱1bの頂部に設けられるサドル、符号3は、両端部の夫々を前記橋桁Hの支間方向の前後に対して定着し、中央部を前記サドル2に対して滑動自在に張架してなる仮設斜材、を示している。
【0014】
更にまた、符号4は、前記サドル2を上下に移動させて前記仮設斜材3の引張力を調整する引張力調整手段たるリフティングジャッキ、を示している。これは、定着具4aを用いてサドル2を一体に吊下支持する鉛直鋼材4bと、この鉛直鋼材4bを介してサドル2を上下に移動させるジャッキ本体4cと、ピロン柱1bの頂部において当該ジャッキ本体4cを受けて支持するジャッキ受桁4dとから構成されている。
【0015】
また、符号5は、橋桁Hの片持ち張り出し部の実質長さを短くし、押出し架設時に生ずる曲げ応力を低減する手延べ桁、符号6は、手延べ桁5に上昇力を与え、押出し架設時に生ずる曲げ応力を低減する仮設水平材、符号7は、橋桁Hの押出し架設の過程において順次張架される本設斜材、を示している。
【0016】
本実施の形態において、サドル2は、図3に示すように、前後で放射状に列状配置され、上端部でもって仮想の曲面を形成している板状部材11と、これらの板状部材11と一体になって強靱な構造の実現をする構造部材12と、リフティングジャッキ4の構成要素たる鉛直鋼材4bが挿通され、前後で一対となっている鋼管13と、上記仮想の曲面に沿う曲率を有していると共に仮設斜材3が滑動自在に張架され、左右で一対となっている半割ベント管14とから構成されている。
【0017】
次に、本実施の形態に係る押出し工法における橋の支持構造の作用について図1〜図3を用いて説明する。
【0018】
まず、準備作業として、製作ヤードYにおいてコンクリートを打ち継ぎながら製作された橋桁Hの支間の中央部において主塔1a及び頂部にサドル2を有するピロン柱1bを立設する。そして、仮設斜材3の両端部の夫々を前記橋桁Hの前後に対して定着し、中央部をサドル2に対して滑動自在に張架し、更に橋桁H及び手延べ桁5の間において仮設水平材6を張架する。
【0019】
続いて、一方では、仮設斜材3に対してあらかじめ設定された値の引張力が導入されると、橋桁Hの片持ち張り出し部に上昇力が与えられ、他方では、仮設水平材6に対してあらかじめ設定された値の引張力が導入されると、手延べ桁5に上昇力が与えられる。これにより、橋桁H及び手延べ桁5は本実施の形態に係る押出し工法における橋桁Hの支持構造によって安定的に支持された状態におかれる。
【0020】
このような状態において橋桁Hの押出し架設が行われる。即ち、仮設斜材3の引張力の変動をリアルタイムで測定し管理しながら押出し装置(図示外)を用いて橋桁Hを片側から順次押出してゆき、仮設斜材3から本設斜材7への引張力負担の一部盛り替え、手延べ桁5架設後における本設水平材の引張力の解放等のプロセスを経た後に、最終的には既設道路D上への橋桁Hの架設が完結するのである。
【0021】
このとき、押出し架設に伴う、橋桁Hの片持ち張り出し部の長さ寸法の変化、橋脚Kによる橋桁Hの支持位置の変化、及び仮設斜材3から本設斜材7への引張力負担の一部盛り替えなどにより、仮設斜材3に導入された引張力が複雑に順次変動する結果、当該引張力が前後で異なる値となりアンバランスが生じようとする。
【0022】
しかし、本実施の形態では、サドル2の上下移動により仮設斜材3の引張力が意識的に調整されるというだけでなく、サドル2の上下移動の有無に関係なく、仮設斜材3がサドル2上において自己修正的に滑動し、当該引張力が無意識的に瞬時にバランス調整されるから、当該引張力は前後で異なる値となってアンバランスが生ずる事態は未然に回避されることになる。
【0023】
従って、本実施の形態によれば、中央部を支柱1頂部のサドル2に対して滑動自在に張架している仮設斜材3によって橋桁Hの前後を吊下支持し、仮設斜材3の引張力の意識的調整及び無意識的調整を重畳的に行いながら橋桁Hの押出し架設を行うことができるので、仮設斜材3の引張力が複雑に順次変動することとなっても、前後でアンバランスになることはなく、橋桁Hの片持ち張り出し部が上又は下へと撓んでしまうことにはならない。よって、ひびわれの発生の虞がないし、落橋の虞も勿論生じない。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、以上のように構成したため、押出し架設時に斜材の引張力が複雑に順次変動しても、前後でアンバランスにならず、ひびわれの発生ひいては落橋の虞の生じない、押出し工法における橋桁の支持構造の実現が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る押出し工法における橋桁の支持構造の全体概略を示す側面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る押出し工法における橋桁の支持構造の支柱近傍の部分詳細を示す正面図及び側面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る押出し工法における橋桁の支持構造のサドルの詳細を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…支柱
1a…主塔
1b…ピロン柱
2…サドル
3…仮設斜材
4…リフティングジャッキ
4a…定着具
4b…鉛直鋼材
4c…ジャッキ本体
4d…ジャッキ受桁
5…手延べ桁
6…仮設水平材
7…本設斜材
11…板状部材
12…構造部材
13…鋼管
14…半割ベント管
H…橋桁
K…橋脚
Y…製作ヤード
D…既設道路

Claims (1)

  1. 押出されるべき橋桁の支間の中央部に立設される支柱と、この支柱の頂部に設けられるサドルと、
    両端部の夫々を前記橋桁の支間方向の前後に対して定着し、中央部を前記サドルに対して滑動自在に張架してなる斜材と、
    前記サドルを上下に移動させて前記斜材の引張力を調整する前後で一対に配置された引張力調整手段と、を含み、
    前記サドルが、前記一対の引張力調整手段により前後で吊下支持されていることを特徴とする、押出し工法における橋桁の支持構造。
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