JP4063151B2 - 多孔質の球状ニッケル粉末とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質の球状ニッケル粉末とその製造方法に関し、さらに詳しくは、電極形成用の導電粉末として好適な、所望の平均粒径と比表面積を有する多孔質の微細構造の球状ニッケル粉末とその製造方法に関する。特に、溶融塩型燃料電池やアルカリ2次電池用の電極材料分野、及び積層セラミックスコンデンサ内部電極等の厚膜導電体用導電ペースト分野で利用される球状ニッケル粉末として好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来、各種フィルター、燃料電池やアルカリ2次電池の電極基板等には、スポンジ状多孔質ニッケル金属板が使用されている。前記多孔質ニッケル金属板の製造方法としては、カーボニル法ニッケル粉を焼結する方法、ポリウレタン樹脂板にニッケルメッキ法で発泡状態を形成させる方法、酸化ニッケル粉末、ニッケル粉末、水溶性樹脂バインダー、可塑材、界面活性剤、揮発性有機溶剤及び水からなるスラリーを成形し、発泡させる方法等があり、その用途に応じてこれらの中から選ばれて用いられている。
【0003】
しかしながら、近年アルカリ2次電池や燃料電池の性能の向上に伴ない、導電性の向上に対する要求がある。このために、スポンジ状多孔質ニッケル金属板の製造方法に対する新たな提案等がなされているが、この代替技術として導電性を有し、かつバラバラに崩れないで形状を維持できる機械的強度を有する多孔質の球状ニッケル粉末を用いた圧粉体又は焼結体が注目されている。この用途として、上記のような電極形成用の導電粉末として好適な、例えば平均粒径が50μm以下で、多孔質の微細構造を有する球状ニッケル粉末が求められている。
【0004】
従来、微粒のニッケル粉末の製造方法として、気相還元法、湿式還元法等が提案されており、代表的なニッケル粉末とその製造方法としては、以下のようなものが挙げられる。
(1)平均粒径が0.1〜1.0μm、タップ密度が所定のニッケル粉末で、塩化ニッケル蒸気の気相還元法によって製造する(例えば、特許文献1参照)。
(2)平均粒径が0.1〜1.0μm、硫黄含有率が0.02〜1.0%のニッケル球状粒子で、塩化ニッケル蒸気の気相水素還元法で製造する(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
(3)粒径が0.1〜1.0μm、硫黄含有率が0.05〜0.2%、かつ硫黄が主として表面部分に存在する球状ニッケル粉末で、硫黄を含有する雰囲気にて、塩化ニッケルの蒸気に気相還元反応を行わせることにより製造する(例えば、特許文献3参照)。
(4)平均粒径が0.2〜0.6μm、かつ平均粒径の2.5倍以上の粗粒子の存在率が個数規準で0.1%以下であるニッケル超微粉で、塩化ニッケル蒸気の気相水素還元法で製造する(例えば、特許文献4参照)。
(5)SEM観察により測定した平均粒子径が1μm以下、特定の粒子密度、結晶子径であるニッケル粉末で、塩化ニッケル蒸気の気相水素還元法で製造する(例えば、特許文献5参照)。
【0006】
(6)平均粒径が0.1〜2μmの球状ニッケル粉末で、ニッケル化合物粉末とアルカリ土類金属化合物粉末を含む混合物を水素還元し、得られた還元生成物を湿式処理してニッケル粉末を製造する方法であり、さらに、混合工程でニッケル水溶液とアルカリ土類金属化合物の水溶液か粉末を混ぜアルカリで沈殿させ、固液分離して用いることもできる(例えば、特許文献6参照)。
(7)金属塩粉末とアルカリ金属、アルカリ土類金属又は希土類のハロゲン化物のうち少なくとも1種とを混合し、水素還元した後、前記ハロゲン化物の融点以上まで昇温し、得られた反応物を湿式処理してハロゲン化物を除去して、金属粉を製造する方法であり、さらに、混合において、アルカリ金属、アルカリ土類又は希土類の酸化物、水酸化物、炭酸化物等を添加することができる(例えば、特許文献7参照)。
【0007】
これらの提案により、それぞれの用途に応じた分散性の良い球状ニッケル粉末を得ることができるが、これらの提案を含む従来技術では、上記の圧粉体又は焼結体に好適な、導電性を有し、かつバラバラに崩れないで形状を維持できる機械的強度を有する多孔質の球状ニッケル粉末を得ることができない。
以上の状況から、焼結体や圧粉体を形成してなる電極用の導電粉末として好適な、所望の平均粒径と比表面積を有する多孔質の微細構造の球状ニッケル粉末とその製造方法が求められている。
【0008】
【特許文献1】
特開平08−246001号公報(第1頁、第2頁)
【特許文献2】
特開平11−80817号公報(第1〜3頁)
【特許文献3】
特開平11−80816号公報(第1〜3頁)
【特許文献4】
特開平11−189801号公報(第1頁、第2頁)
【特許文献5】
特開2001−220608号公報(第1頁、第2頁)
【特許文献6】
特開平11−140513号公報(第1頁、第2頁)
【特許文献7】
特開平11−21603号公報(第1頁、第2頁)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、電極形成用の導電粉末として好適な、所望の平均粒径と比表面積を有する多孔質の微細構造の球状ニッケル粉末が高収率で得られる製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために、焼結体や圧粉体の原料として好適な球状ニッケル粉末の製造方法について、鋭意研究を重ねた結果、特定のニッケル化合物を特定の条件で加熱処理した後、水素還元したところ、所望の平均粒径と比表面積を有する多孔質の微細構造の球状ニッケル粉末が高収率で得られることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、一次粒子が凝集して球状粒子を形成しているニッケル化合物を還元して多孔質の球状ニッケル粉末を製造する方法であって、
(1)前記ニッケル化合物を、中性又は酸化性雰囲気下300〜500℃、次いで800〜1300℃の二段階で加熱処理して酸化ニッケル粉末を生成する第1の工程、及び
(2)前記酸化ニッケル粉末を水素還元して金属ニッケル粉末を生成する第2の工程、を含むことを特徴とする球状ニッケル粉末の製造方法が提供される。
【0012】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記ニッケル化合物が、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル又は塩基性炭酸ニッケルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする球状ニッケル粉末の製造方法が提供される。
【0013】
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明の製造方法により得られる、平均粒径が1〜50μm及び比表面積が0.1〜5.0m2/gの範囲の所定値に制御される多孔質の微細構造を有する球状ニッケル粉末が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の多孔質の球状ニッケル粉末とその製造方法を詳細に説明する。本発明の多孔質の球状ニッケル粉末の製造方法は、一次粒子が凝集して球状粒子を形成しているニッケル化合物を、中性又は酸化性雰囲気下300〜500℃、次いで800〜1300℃の二段階で加熱処理して酸化ニッケル粉末を生成する第1の工程、及び前記酸化ニッケル粉末を水素還元して金属ニッケル粉末を生成する第2の工程を含む製造方法であり、これによって一次粒子からなる多孔質の微細構造が形成され、かつ所望の平均粒径及び比表面積に制御することができるので、例えば、平均粒径が1〜50μm及び比表面積が0.1〜5.0m2/gの範囲の所定値に制御された、多孔質の微細構造を有する球状ニッケル粉末が高収率で得られる。
【0015】
1.ニッケル化合物
本発明では、ニッケル原料として、一次粒子が凝集して球状粒子を形成している形態のニッケル化合物を用いることに重要な意義がある。これによって、一次粒子からなる多孔質の微細構造と同時にニッケル粉末の焼結性に大きく影響する粉末の粒径と形状の制御が行える。すなわち、所定の平均粒径と粒度分布の上記形態のニッケル化合物を用いて、所定条件での処理方法を行うことによって、所望の平均粒径、粒度分布、比表面積等の特性を有する、焼結体や圧粉体を形成してなる電極用として好適な球状粒子を得ることができる。
これに対して、例えば、上記の形態を持たない通常のニッケル化合物を用いた場合、微細構造が得られる低温度での還元では、粒径が微細で焼結性に問題が生ずる。一方粒径の制御が行える高温度での還元では、良好な微細構造が実現できない。
【0016】
上記形態のニッケル化合物としては、ニッケル水素電池正極材料用水酸化ニッケル等、市販の多孔質の球状ニッケル化合物を用いることができる。上記形態のニッケル化合物の製造方法としては、特に限定されるものではなく、形態として一次粒子が凝集した球状粒子を形成できるニッケル化合物の製造方法が用いられる。例えば、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル又は塩基性炭酸ニッケルの場合には、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、硝酸ニッケル等の各種ニッケルを含む水溶液と、カ性アルカリ水溶液、炭酸アルカリ水溶液、又はアンモニウム水溶液から選ばれる少なくとも1種とを、液の供給速度、液の供給場所、液温度、pH、撹拌等を適正化した条件で反応させることによって所定の平均粒径と粒度分布の球状粒子が調製できる。
【0017】
上記ニッケル化合物としては、特に限定されるものではなく、本発明の第1の工程での加熱温度で分解し、その特性上許容できる範囲内での不純物を含有する酸化ニッケルが得られる水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、塩基性炭酸ニッケル、硝酸ニッケル等のニッケル化合物が使用されるが、その中で、特に多孔質の微細構造が得られる水酸化ニッケル、炭酸ニッケル又は塩基性炭酸ニッケルから選ばれる少なくとも1種が好ましく、水酸化ニッケル及び/又は塩基性炭酸ニッケルが特に好ましい。すなわち、水酸化ニッケル及び/又は塩基性炭酸ニッケルを用いた場合には、加熱過程での脱水や脱炭酸による微細孔の形成効果がより顕著になるからである。
【0018】
これらの中で、特に、球状の水酸化ニッケルあるいは塩基性炭酸ニッケルとしては、0.05〜0.1μmの一次粒子を凝集させて、1〜100μmの平均粒径に調製されることが好ましく、5〜50μmの平均粒径に調製されることがさらに好ましい。
【0019】
2.製造方法
(1)第1の工程
本発明の製造方法の第1の工程は、上記ニッケル化合物を、中性又は酸化性雰囲気下300〜500℃、次いで800〜1300℃の二段階で加熱処理して酸化ニッケル粉末を生成する工程である。
【0020】
第1の工程では、上記ニッケル化合物を用いて、これを中性又は酸化性雰囲気下所定の温度で二段階で加熱処理することが重要である。しかも、前段の加熱処理で上記ニッケル化合物の分解反応を十分に行い、後段の加熱処理で通常水素還元が行われる温度よりも高い加熱温度を用いることが重要な意義がある。これによって、ニッケル化合物が熱分解して酸化物を生成する際に、多孔質の微細構造を有し、強固な球状の外郭構造の酸化ニッケル粉末が高収率で得られる。このため、次工程の水素還元に際しても強固な球状の外郭構造が維持できる。
すなわち、加熱処理において一気に高温まで昇温する方法では、昇温途中でニッケル化合物が急激に熱分解して、球状の外郭構造及び内部の微細構造が壊れ、微粉化し飛散する等で収率が低下する。そこで、前段の加熱処理でニッケル化合物を十分に熱分解した後、後段の高温での加熱処理で強固な球状の外郭構造の酸化ニッケル粉末を形成するようにする。
【0021】
これに対して、通常の水素還元方法においては、昇温過程で原料のニッケル化合物を分解して、あるいは酸化して生成される酸化ニッケルを経て、それから還元してニッケル粉末を得る。しかし、この方法では、一次粒子が凝集して球状粒子を形成しているニッケル化合物を原料として用いても、生成される酸化ニッケルの外郭が脆弱であるので、水素還元に際して割れたり、崩れたりして外郭構造が壊れ、原料の球状粒子構造を維持した金属ニッケル粉末を形成できない。
【0022】
上記加熱処理の前段の温度は、300〜500℃である。すなわち、前段の温度が300℃未満では、ニッケル化合物が分解して酸化ニッケルを生成する反応が不十分であり、一方500℃を超えるとニッケル化合物が急激に熱分解して球状の外郭構造及び内部の微細構造が壊れる。
【0023】
上記加熱処理の後段の温度は、800〜1300℃であり、好ましくは800〜900℃である。すなわち、後段の温度が800℃未満では、強固な球状の外郭構造の形成ができない。一方、1300℃を超えると、比表面積が低下するので、高比表面積で多孔質の酸化ニッケル粉末が得られない。
【0024】
ここで、使用するニッケル化合物の種類及び加熱処理装置に応じて、上記加熱処理の前段及び後段の温度範囲の中で所定の温度及び処理時間を選ぶことによって、平均粒径、粒度分布、比表面積等の特性を制御できる。また、加熱処理の前段から後段への昇温パターンは、特に限定されるものではなく、連続して、又は一旦冷却してから行ってもよい。すなわち、第1の工程では上記の各段階の加熱処理で各々所定の温度範囲で所定の処理時間を保持することが不可欠である。
【0025】
上記加熱処理の雰囲気としては、中性又は酸化性雰囲気で行う。すなわち、還元性雰囲気では、金属ニッケルが生成するからである。
上記加熱処理で使用する加熱装置としては、特に限定されるものではなく、中性又は酸化性雰囲気に調整されたマッフル炉、ポット炉、管状炉、転動炉などが用いられる。
以上、本発明の製造方法の第1の工程により、所望の平均粒径と粒度分布、比表面積等の特性を有する一次粒子からなる多孔質の微細構造の球状酸化ニッケル粉末が得られる。
【0026】
本発明の製造方法では、特に限定されるものではないが、必要によっては第2の工程に先立って、第1の工程によって得られる球状酸化ニッケル粉末を微粉砕処理できる。これによって、球状酸化ニッケル粉末の粒径を調整することができるので、得られる球状ニッケル粉末の粒径を制御することができる。上記微粉砕処理においては、特に限定されるものではないが、ボールミル、ビーズミル、アトライターミル、ジェットミル、スタンプミルなど市販の各種粉砕装置が用いられる。
【0027】
(2)第2の工程
本発明の製造方法の第2の工程は、上記工程で得られる球状酸化ニッケル粉末を、水素雰囲気で加熱して水素還元し、球状の金属ニッケル粉末を生成する工程である。
第2の工程において、水素還元の加熱温度は、特に限定されるものではなく、350〜700℃が好ましく、450〜650℃がさらに好ましい。すなわち、温度が350℃未満では、未還元の酸化ニッケルが残留し金属ニッケル粒子の酸素濃度が上昇する。一方700℃を超えると、生成された金属ニッケル粒子同士の凝集によって粗大粒子が形成される。
ここで、第1の工程で得られる球状酸化ニッケルの性状及び使用する還元装置に応じて、前記加熱温度の範囲内で所定の温度及び処理時間を選ぶことによって、平均粒径、粒度分布、比表面積等の特性を制御できる。
【0028】
第2の工程において用いる還元装置としては、特に限定されるものではなく、所定の濃度の水素雰囲気に調整されたマッフル炉、ポット炉、管状炉、転動炉などが用いられる。
以上、本発明の製造方法により、平均粒径、粒度分布、比表面積等の特性が所望値になるように制御された一次粒子からなる多孔質の微細構造の球状ニッケル粉末が得られる。
【0029】
3.球状ニッケル粉末
上記製造方法で得られるニッケル粉末は、一次粒子からなる多孔質の微細構造を有する球状ニッケル粉末であって、平均粒径、粒度分布、比表面積等の特性が所望値になるように制御されて生成できるので、焼結体や圧粉体を形成してなる電極用の導電粉末として好適なニッケル粉末である。
【0030】
本発明の球状ニッケル粉末と従来技術によるニッケル粉末の微細構造の違いを明確にするため、本発明の代表的な球状ニッケル粉末の形状と微細構造の一例と従来技術によるニッケル粉末の微細構造を図を用いて説明する。図1は、本発明の製造方法で得られる球状ニッケル粉末の走査型電子顕微鏡写真の一例を示す。また、図2は、本発明の製造方法で得られる代表的な球状ニッケル粒子(直径約10μm)断面の電子顕微鏡写真を示す。また、図3は、不規則形状の粉末状水酸化ニッケル(平均粒径0.5μm)を水素還元して得た不規則形状ニッケル粒子(直径0.2〜1μm)断面の電子顕微鏡写真を示す。また、図4は、気相水素還元法で得られた球状ニッケル粒子(直径約0.5μm)断面の電子顕微鏡写真を示す。
【0031】
図1より、本発明では1〜50μmの球状粒子が非常に優れた分散状態で存在することが分る。なお、本発明の球状ニッケル粉末の平均粒径と粒度分布は、原料のニッケル化合物に大きく依存する。また、図2〜4より、本発明の球状粒子内部は微細な1次粒子からなる多孔質の微細構造が形成され、均一組織である従来のニッケル粉末と大きく異なることが分る。
【0032】
例えば、多孔質の度合を断面画像を2階調化して画像解析装置で面積分析して得られた空隙率で表すと、従来のニッケル粉末が10%以下であるのに対して、本発明の球状ニッケル粉末の空隙率は20〜80%、好ましくは30〜70%、さらに好ましくは40〜60%である。
【0033】
上記ニッケル粉末の中で、特に、平均粒径が1〜50μm及び比表面積が0.1〜5.0m2/gの範囲の所定値に制御された、微細な1次粒子からなる多孔質の球状ニッケル粉末が、上記電極形成用として好ましく用いられる。
【0034】
【実施例】
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた酸素の分析方法と粉末収率、粒子形状、平均粒径、粉末の微細構造、及び比表面積の評価方法は、以下の通りである。
(1)酸素の分析:抵抗加熱伝導度分析法で行った。
(2)粉末収率の測定:使用原料のNi量に対して回収されたNi粉末量から算出した。
(3)粒子形状の評価:走査型電子顕微鏡観察で行った。
(4)平均粒径の測定:走査型電子顕微鏡観察で行った。
(5)粉末の微細構造の評価:断面の電子顕微鏡観察で行った。
(6)比表面積の測定:BET法で行った。
【0035】
また、実施例及び比較例で用いたニッケル化合物は、以下の通りである。
[ニッケル化合物]
[A]:球状水酸化ニッケル粉末(住友金属鉱山(株)製、ニッケル水素電池正極材料用水酸化ニッケル、平均粒径8μm)。
[B]:球状塩基性炭酸ニッケル粉末(住友金属鉱山(製)、G−炭酸ニッケル、平均粒径10μm)
[C]:硫酸ニッケル水溶液と水酸化ナトリウム水溶液を反応させて得た水酸化ニッケルを粉砕して得た不規則形状の粉末状水酸化ニッケル(平均粒径0.5μm)。
【0036】
(実施例1)
ニッケル化合物[A]を用いて、まず、この950gを石英製ボートに入れて、割型管状炉にて空気気流中(流量:2.0L/min)で昇温して下記の所定温度で各2時間加熱処理を行った。
次いで、前記の炉の温度を室温まで冷却した後、窒素ガスを2.0L/minの流量で装入しながら昇温して所定温度で水素ガスに切り替えて、下記の条件で水素還元を行った。還元終了後、装入ガスを再度窒素ガスに切り替えて冷却を行ない、石英製ボートを前記の炉から取り出しニッケル粉末を得た。その後、ニッケル粉末の酸素濃度の分析、粒子形状の評価並びに粉末収率、平均粒径、粉末の微細構造及び比表面積を測定した。結果を表1に示す。なお、断面画像から求めた空隙率は49.6%であった。
【0037】
[加熱処理の温度条件]
二段階加熱処理で前段は加熱温度500℃、後段は加熱温度900℃。
[水素還元条件]
(1)還元温度:600℃、(2)還元時間:3時間、及び(3)水素ガス流量:3.6L/min。
【0038】
(実施例2)
ニッケル化合物の装入量を980gとし、下記の加熱処理の温度条件及び水素還元条件で行った以外は実施例1と同様に行い、ニッケル粉末を得た。その後、ニッケル粉末の酸素濃度の分析、粒子形状の評価並びに粉末収率、平均粒径、粉末の微細構造及び比表面積を測定した。結果を表1に示す。
【0039】
[加熱処理の温度条件]
二段階加熱処理で前段は加熱温度300℃、後段は加熱温度900℃。
[水素還元条件]
(1)還元温度:600℃、(2)還元時間:3時間、及び(3)水素ガス流量:3.9L/min。
【0040】
(実施例3)
ニッケル化合物[B]を用いて、下記の加熱処理の温度条件及び水素還元条件で行った以外は実施例1と同様に行い、ニッケル粉末を得た。その後、ニッケル粉末の酸素濃度の分析、粒子形状の評価並びに粉末収率、平均粒径、粉末の微細構造及び比表面積を測定した。結果を表1に示す。
【0041】
[加熱処理の温度条件]
二段階加熱処理で前段は加熱温度300℃、後段は加熱温度800℃。
[水素還元条件]
(1)還元温度:600℃、(2)還元時間:3時間、及び(3)水素ガス流量:3.0L/min。
【0042】
(比較例1)
ニッケル化合物の装入量を115gとし、下記の加熱処理の温度条件及び水素還元条件で行った以外は実施例1と同様に行い、ニッケル粉末を得た。その後、ニッケル粉末の酸素濃度の分析、粒子形状の評価並びに粉末収率、平均粒径、粉末の微細構造及び比表面積を測定した。結果を表1に示す。
【0043】
[加熱処理の温度条件]
一段階の加熱処理で、加熱温度は900℃。
[水素還元条件]
(1)還元温度:450℃、(2)還元時間:3時間、及び(3)水素ガス流量:0.8L/min。
【0044】
(比較例2)
ニッケル化合物の装入量を723gとし、下記の加熱処理の温度条件及び水素還元条件で行った以外は実施例1と同様に行い、ニッケル粉末を得た。その後、ニッケル粉末の酸素濃度の分析、粒子形状の評価並びに粉末収率、平均粒径、粉末の微細構造及び比表面積を測定した。結果を表1に示す。
【0045】
[加熱処理の温度条件]
一段階の加熱処理で、加熱温度は900℃。
[水素還元条件]
(1)還元温度:600℃、(2)還元時間:2時間、及び(3)水素ガス流量:4.4L/min。
【0046】
(比較例3)
ニッケル化合物[C]を用いた以外は実施例1と同様に行い、ニッケル粉末を得た。その後、ニッケル粉末の酸素濃度の分析、粒子形状の評価並びに粉末収率、平均粒径、粉末の微細構造及び比表面積を測定した。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
表1より、実施例1〜3では、ニッケル化合物として一次粒子が凝集して球状粒子を形成している球状ニッケル化合物粉末を用い、かつ第1の工程での特定の加熱温度による二段階の加熱処理及び第2の工程で本発明の方法に従って行われたので、平均粒径が1〜50μm及び比表面積が0.1〜5.0m2/gの範囲で特性が制御され、焼結体や圧粉体を形成してなる電極用の導電粉末として好適な多孔質の球状ニッケル粉末が高収率で得られることが分かる。
【0049】
これに対して、比較例1〜3では、ニッケル化合物の粒子形態と加熱処理の温度条件のいずれかがこれらの条件に合わないので、粉末の収率、粒子形状、又は粉末の微細構造によって満足すべき結果が得られないことが分かる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の多孔質の球状ニッケル粉末とその製造方法は、電極形成用の導電粉末として好適な、所望の平均粒径と比表面積を有する多孔質の微細構造の球状ニッケル粉末、及びそれが高収率で得られる製造方法であり、その工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法で得られる球状ニッケル粉末の走査型電子顕微鏡写真の一例である。
【図2】本発明の製造方法で得られる代表的な球状ニッケル粒子(直径約10μm)断面の電子顕微鏡写真である。
【図3】不規則形状の粉末状水酸化ニッケルを水素還元して得た不規則形状ニッケル粒子(直径0.2〜1μm)断面の電子顕微鏡写真である。
【図4】気相水素還元法で得られた球状ニッケル粒子(直径約0.5μm)断面の電子顕微鏡写真である。
Claims (3)
- 一次粒子が凝集して球状粒子を形成しているニッケル化合物を還元して、多孔質の球状ニッケル粉末を製造する方法であって、
(1)前記ニッケル化合物を、中性又は酸化性雰囲気下300〜500℃、次いで800〜1300℃の二段階で加熱処理して酸化ニッケル粉末を生成する第1の工程、及び
(2)前記酸化ニッケル粉末を水素還元して金属ニッケル粉末を生成する第2の工程、を含むことを特徴とする球状ニッケル粉末の製造方法。 - 前記ニッケル化合物が、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル又は塩基性炭酸ニッケルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の球状ニッケル粉末の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の製造方法により得られる、平均粒径が1〜50μm、及び比表面積が0.1〜5.0m2/gの範囲の所定値に制御される多孔質の微細構造を有する球状ニッケル粉末。
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