JP4064018B2 - フィルム積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマー(以下、これを熱可塑性液晶ポリマーと称する)からなるフィルム(以下、これを熱可塑性液晶ポリマーフィルムと称する)を成分とする積層体の製造方法に関する。本発明によれば、熱可塑性液晶ポリマーフィルムとその被着体を被覆材に挟んだ状態でロール間で熱圧着させるので、該フィルムをその被着体に短時間に強固に圧着させることが可能となる。また本発明によれば、熱可塑性液晶ポリマーフィルムを局部的に被着体に圧着させることが可能であり、しかも圧着速度の制御が容易であり、また圧着速度の変化に容易に対応できる。
【0002】
【従来の技術】
近年、マイクロエレクトロニクス分野の技術の進歩は目ざましいものがあり、携帯用電子機器などにおいて小型・軽量化の要求は強く、高密度実装に対する期待は大きい。これに伴い、配線板の多層化、配線ピッチの狭幅化、バイアホールの微細化など、より集積化に耐える材料が要求されている。
【0003】
このため、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキサイドなどの耐熱性樹脂が注目され、かかる樹脂よりなるフィルムが銅箔などの金属箔と積層されて、プリント配線基板として利用されている。最近、この分野において液晶ポリマーフィルム、とりわけ熱接着が可能な熱可塑性液晶ポリマーフィルムが注目されはじめた。
【0004】
前記の耐熱性樹脂よりなるフィルムと金属箔との接着または該フィルム相互の接着は、通常接着剤を使用して行うか、熱プレス法により行うのが一般的である。熱プレス法により熱可塑性液晶ポリマーフィルムを接着する方法は、その接着部分にエポキシ系接着剤などを使用しないので、得られる積層体は熱可塑性液晶ポリマーフィルムに由来する優れた低吸湿性、低ガス透過性および耐薬品性を保持していることから好ましいとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、熱可塑性液晶ポリマーフィルムを熱的に接着する方法は、充分加熱された金属板の間で、接着すべき部分のみに熱か伝わるように意図したスペーサーを介して行われる。このスペーサーは、加熱により軟化または溶融した熱可塑性液晶ポリマーフィルムの金属板への粘着を防止するためにも必要である。スペーサーとして、例えばテフロンコートアルミ箔を使用する場合、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの溶融温度より20℃低い温度が接着に使用できる最高温度である。かかるスペーサーを使用しない場合には、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの軟化温度が接着に使用できる最高温度となる。
【0006】
しかして、本発明の目的は、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの接着に使用できる最高温度を高めることにより、該フィルムをその被着体に短時間に強固に圧着させ得る方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、熱可塑性液晶ポリマーフィルムを局部的に被着体に圧着させることが可能であり、しかも圧着速度の制御が容易であり、また圧着速度の変化に容易に対応できる方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、上記の方法を実施することによって熱可塑性液晶ポリマーフィルムとその被着体との積層体を製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記の目的は、熱可塑性液晶ポリマーフィルムとその被着体を重ね合わせ、次いで両者を被覆材に挟んだ状態でロール間で超音波ウエルダー処理によって熱処理しながら圧着させ、得られた積層体を被覆材と分離することを特徴とする該積層体の製造方法を提供することにより達成される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に使用される熱可塑性液晶ポリマーフィルムの原料は、特に限定されるものではないが、その具体例として、以下に例示する(1)から(4)に分類される化合物およびその誘導体から導かれる公知のサーモトロピック液晶ポリエステルおよびサーモトロピック液晶ポリエステルアミドを挙げることができる。但し、光学的に異方性の溶融相を形成し得るポリマーを得るためには、各々の原料化合物の組み合わせには適当な範囲があることは言うまでもない。
【0009】
(1)芳香族または脂肪族ジヒドロキシ化合物(代表例は表1参照)
【0010】
【表1】
Figure 0004064018
【0011】
(2)芳香族または脂肪族ジカルボン酸(代表例は表2参照)
【0012】
【表2】
Figure 0004064018
【0013】
(3)芳香族ヒドロキシカルボン酸(代表例は表3参照)
【0014】
【表3】
Figure 0004064018
【0015】
(4)芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシアミンまたは芳香族アミノカルボン酸(代表例は表4参照)
【0016】
【表4】
Figure 0004064018
【0017】
これらの原料化合物から得られる熱可塑性液晶ポリマーの代表例として表5に示す構造単位を有する共重合体(a)〜(e)を挙げることができる。
【0018】
【表5】
Figure 0004064018
【0019】
本発明に使用される熱可塑性液晶ポリマーフィルムを構成する熱可塑性液晶ポリマーは、1種類であっても2種類以上の組成物であってもよく、また他の電気絶縁性材料、例えば、酸化アルミニウムなどのセラミックス粉体;ポリアリレート、ポリエーテルケトン、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ三フッ化塩化エチレン等の熱可塑性ポリマーとの組成物であってもよい。また、かかる組成物はアロイ化されたものでもよい。さらに、熱可塑性液晶ポリマーには、例えば滑剤、酸化防止剤などの添加剤が配合されていてもよい。
【0020】
また、熱可塑性液晶ポリマーとしては、フィルムの所望の耐熱性および加工性を得る目的においては、約200〜約400℃の範囲内、とりわけ約250〜約350℃の範囲内に融点を有するものが好ましいが、フィルム製造の観点からは、比較的低い融点を有するものが好ましい。したがって、より高い耐熱性や融点を有する熱可塑性液晶ポリマーフィルムを使用する必要がある場合には、一旦得られたフィルムを、熱処理によって所望の耐熱性や融点にまで高めて使用するのが有利である。熱処理の一例を説明すれば、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの融点が283℃である場合、該フィルムを260℃で5時間熱処理することにより、融点は320℃に上昇する。
【0021】
本発明に使用される熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、熱可塑性液晶ポリマーを押出成形して得られる。任意の押出成形法が適用できるが、周知のTダイ法、ラミネート体延伸法、インフレーション法などが工業的に有利である。特にインフレーション法やラミネート体延伸法では、フィルムの機械軸方向(以下、MD方向と略す)だけでなく、これと直交する方向(以下、TD方向と略す)にも応力が加えられるため、MD方向とTD方向における機械的性質および熱的性質のバランスのとれたフィルムが得られる。
【0022】
上記の熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、分子配向度SORを1.3以下とすることが好ましい。かかる熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、MD方向とTD方向における機械的性質および熱的性質のバランスが良好であるので、より実用性が高い。
【0023】
ここで、分子配向度SOR(Segment Orientation Ratio)とは、分子を構成するセグメントについての分子配向の度合いを与える指標をいい、従来のMOR(Molecular Orientation Ratio)とは異なり、物体の厚さを考慮した値である。この分子配向度SORは、以下のように算出される。
【0024】
まず、周知のマイクロ波分子配向度測定機において、熱可塑性液晶ポリマーフィルムを、マイクロ波の進行方向にフィルム面が垂直になるように、マイクロ波共振導波管中に挿入して、該フィルムを透過したマイクロ波の電場強度(マイクロ波透過強度)を測定する。そして、この測定値に基づいて、次式により、m値(屈折率と称する)が算出される。
m=(Zo/△z)×[1−νmax/νo]
ただし、Zoは装置定数、△zは物体の平均厚、νmax はマイクロ波の振動数を変化させたとき、最大のマイクロ波透過強度を与える振動数、νoは平均厚ゼロのとき(すなわち物体がないとき)の最大マイクロ波透過強度を与える振動数である。
【0025】
次に、マイクロ波の振動方向に対する物体の回転角が0°のとき、つまり、マイクロ波の振動方向と、物体の分子が最もよく配向されている方向であって、最小マイクロ波透過強度を与える方向とが合致しているときのm値をm0 、回転角が90°のときのm値をm90として、分子配向度SORはm0 /m90により算出される。
【0026】
熱可塑性液晶ポリマーフィルムの適用分野によって、必要とされる分子配向度SORは当然異なるが、SOR≧1.5の場合は熱可塑性液晶ポリマー分子の配向の偏りが著しいために配向方向に裂け易い。加熱時の反りが殆どないなどの形態安定性が必要とされる用途分野の場合には、SOR≦1.3であることが望ましい。特に加熱時の反りを無くす必要がある用途分野の場合には、SOR≦1.03であることが望ましい。
【0027】
本発明に使用される熱可塑性液晶ポリマーフィルムの被着体の材質としては、例えば、上記の熱可塑性液晶ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンなどの熱可塑性ポリマー;銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金などの金属などが挙げられる。被着体の形状としては、フィルム状、シート状、板状などの少なくとも熱可塑性液晶ポリマーフィルムと積層する面が概して平面状(微少な凹凸を有してもよい)であるものが、熱処理時における熱可塑性液晶ポリマーフィルムの流動を防止できる点から望ましい。
【0028】
本発明により得られる積層体は、上記の熱可塑性液晶ポリマーフィルムと被着体とを重ね合わせて熱圧着させてなるものである。熱可塑性液晶ポリマーフィルムおよび被着体は、任意の厚みであってもよい。熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、0.5mm以下の板状またはシート状のものをも包含する。但し、本発明により得られる積層体が回路配線板として使用される場合には、電気絶縁材料である熱可塑性液晶ポリマーフィルムの膜厚は、20〜150μmの範囲内にあることが好ましく、20〜50μmの範囲内にあることがより好ましい。フィルムの厚さが薄過ぎる場合には、フィルムの剛性や強度が小さくなるため、回路配線板に電子部品を実装する際に加圧により変形して、配線の位置精度が悪化して不良の原因となる。また、本発明により得られる積層体がフレキシブルプリント配線板(FPC)として使用される場合には、導電性材料である銅箔等の被着体の膜厚は、10〜1000μmの範囲内にあることが好ましい。
【0029】
また、本発明により得られる積層体が回路配線板として使用される場合、その接続信頼性を示す指標として、ヒートサイクル試験における電気抵抗の安定性をより高めるためには、熱可塑性液晶ポリマーフィルム上に形成する導電体(本発明における被着体)の熱膨張係数をP×10-6cm/cm/℃としたときに、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの熱膨張係数が、(P−10)×10-6cm/cm/℃から(P+10)×10-6cm/cm/℃の範囲内になるように調節することが好ましい。この範囲から外れると、導電体と熱可塑性液晶ポリマーフィルムとの間の界面剥離の発生が多くなる。ここで、銅、アルミニウムなどの代表的な導電体のP値は11〜30である。
【0030】
本発明において使用される被覆材は、熱可塑性液晶ポリマーフィルムおよび被着体とロールとの粘着を防止するものであり、非粘着性表面を有する成形体が使用される。成形体の形状としては、フィルム状、シート状、板状などの少なくとも熱可塑性液晶ポリマーフィルムおよびその被着体と接触する面が概して平面状(微少な凹凸を有してもよい)であるものが好ましい。被覆材としては、例えば、アルミ箔などの成形体の表面に剥離処理を施したものが挙げられる。剥離処理は、シリコン系ポリマーを塗布して乾燥させて塗膜を形成することにより達成される。かかる塗膜は、熱処理前の接着力が0.05Kg/cmで、熱処理後の接着力が0.4Kg/cm以下、特に0.2Kg/cm以下とすることが好ましい。この接着力は、熱処理前の値が高い程、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの形態安定性がよく、値が低い場合には、熱処理時に剥離、破損などが生じ易い。また熱処理後の接着力が低い程、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの剥離安定性がよく、値が高い場合には、僅かなキズなどで剥離時に破断する傾向にある。
【0031】
上記の被覆材としては、最大粗さ(Rmax ;JIS B0601)が1.0〜10μmの凹凸表面を有する成形体の表面に離型剤としてシリコン系ポリマーが0.1〜1μmの厚みでコートされたものが好ましい。凹凸の最大粗さが1.0μm未満の場合には、熱処理時にシリコン系ポリマーが流れ出すおそれがある。また、凹凸の最大粗さが10μmを越える場合、特に薄い熱可塑性液晶ポリマーフィルムを使用した際に、該フィルムが厚さ方向に破損し易く、また被覆材を除去する際に、フィルムの破断を招くことがある。上記の凹凸は、例えば円錐状の突起、クレーター状の窪み、キズ状の線状凹凸などでもよく、シリコン系ポリマーが十分に付着する形状であればよい。
【0032】
上記のシリコン系ポリマーは、化学構造の基本骨格が−(CH32Si−O−であればよく、かかるポリマーは特に金属との結合力が非常に強固であり、熱可塑性液晶ポリマーなどの樹脂との親和力が非常に小さい。シリコン系ポリマーのコート層の厚みは上記のとおり0.1〜1μmの範囲が好ましい。厚みが0.1μm未満の場合、熱可塑性液晶ポリマーフィルムが被覆材から剥離し難い傾向にあり好ましくない。一方、厚みが1μmを越える場合、両者の剥離は容易となるが、シリコン系ポリマーが無駄になるばかりか、該ポリマーが熱可塑性液晶ポリマーフィルムに付着して被覆材から剥離することがあり、被覆材を再利用できなくなり好ましくない。
【0033】
例えば、金属箔の表面に最大粗さ1.0〜10μmの凹凸を形成し、この凹凸にシリコン系ポリマーを厚さ0.1〜1μmでコートすることにより、熱可塑性液晶ポリマーフィルムと被覆材との熱処理前の接着力が0.05Kg/cm以上で、熱処理後の接着力が0.4Kg/cm以下となる。これにより、熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、熱処理時に剥離、破損などを生じることがなく、その形態は安定に保持される。また、かかる場合には、熱処理後には、熱可塑性液晶ポリマーフィルムを破断させることなく、被覆材から安定して容易に剥離することができる。
【0034】
本発明においては、重ね合わせた熱可塑性液晶ポリマーフィルムとその被着体を被覆材に挟んだ状態でロール間で熱処理しながら圧着させる。ロールとしては、金属製ロールやゴム被覆ロールが使用される。ロール自体を加熱できるように加工して使用することもできる。この際には熱を伝達し易い金属製ロールを使用するのが、接着速度向上が期待できるので好ましい。一方、ゴム被覆ロールを使用する場合には、被覆層が変形するので加圧面積が広くなり、熱可塑性液晶ポリマーフィルムとその被着体との圧着面積が増大し、接着速度向上が期待できる。
【0035】
上記のロール間での熱処理は、超音波ウエルダー処理により行うのが必要である。かかる処理は、超音波振動を発生する装置を使用し、発振機より供給される高周波電力を磁歪型ニッケル振動子で超音波振動エネルギーに変換させる。磁歪型振動子の端面の振動振幅は僅かであるために円錐型の金属製ホーンで増幅させる。このような装置の荷重装置は下部受台を下側加圧ロールとし、上記のホーンを上側加圧ロールとして空気圧シリンダーで上下させる。したがって、上側加圧ロールから下側加圧ロールへそれらの接着面において振動を伝達することができる。上側加圧ロールと下側加圧ロールとの間に挟まれた熱可塑性液晶ポリマーフィルムとその被着体とは、両者の接着面において、超音波ウエルダー処理によって加熱されて接着する。上記のホーンを上側加圧ロールとするが、形状を選択することによって、局部的に加熱することが可能となり、さらに連続的または断続的に加熱することも可能となる。
【0036】
上記の超音波ウエルダー処理において、超音波発振出力は500〜2000ワットの範囲が好ましく、800〜1500ワットの範囲がより好ましい。発振出力が500ワット未満の場合、加熱が不十分となって接着力が不十分となるおそれがある。一方、2000ワットを越える場合、発振出力が高い割に接着力の向上が殆ど望めないので効率的でない。また、超音波周波数は特に制限されるものではないが、通常15〜35KHzの範囲が好ましく、15〜30KHzの範囲がより好ましい。ロール間の圧力は1〜50Kg/cm2 の範囲が好ましく、1〜20Kg/cm2 の範囲がより好ましい。加圧時間は0.1〜10秒の範囲が好ましく、この加圧時間内に超音波振動を行う。したがって、超音波振動による加熱時間は加圧時間と同様に0.1〜10秒の範囲とすることが好ましい。
【0037】
以上のようなロール間で熱圧着処理を行った後、積層体と被覆材を分離する(被覆材を除去する)。上記のとおり、積層体と被覆材との接着強度が0.4Kg/cm以下、好ましくは0.2Kg/cm以下であれば、積層体を破断させることなく、容易に剥離することができる。上記の接着強度が大きい場合には、剥離時に積層体の破れが発生することがある。このようにして、被着体によっては接着強度が十分高く、かつ寸法安定性に優れた積層体が得られる。かかる積層体は、その複数枚を熱圧着により接合一体化して多層積層板とすることもできる。このとき、接合一体化される各積層体の被着体が金属箔であり、それらが互いに対向する場合、これら両者の間にはシ−ト状物を介装させることができる。シ−ト状物としては、積層体に用いられた熱可塑性液晶ポリマ−フィルムと同種または異種の熱可塑性液晶ポリマ−からなるものが好ましい。そして、かかる多層積層板は、電子部品などが搭載されて多層実装回路基板とされる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例などにより具体的に説明するが、本発明はそれにより何ら制限されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの膜厚および接着強度の測定は次のようにして行った。
【0039】
(1)膜厚
デジタル厚み計(株式会社ミツトヨ製)を用い、得られたフィルムをTD方向に1cm間隔で測定し、中心部および端部から任意に選んだ10点の平均値を膜厚とした。
【0040】
(2)接着強度
熱可塑性液晶ポリマーフィルムと被着体との積層体から1.0cm幅の剥離試験片を作成し、そのフィルム層を両面接着テープで平板に固定し、JIS C 5016に準じ、180°法により、被着体を50mm/分の速度で剥離したときの強度を測定した。
【0041】
参考例1
p−ヒドロキシ安息香酸単位75モル%と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸単位25モル%とからなり、融点が283℃である熱可塑性液晶ポリエステルを単軸押出機を用いて加熱混練し、直径40mm、スリット間隔0.6mmのインフレーションダイより押出し、膜厚が51μm、分子配向度SORが1.05のフィルムを得た。これを熱可塑性液晶ポリマーフィルムAとする。
【0042】
参考例2
p−ヒドロキシ安息香酸単位80モル%と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸単位20モル%とからなり、融点が330℃である熱可塑性液晶ポリエステルを単軸押出機を用いて加熱混練し、直径40mm、スリット間隔0.6mmのインフレーションダイより押出し、膜厚が48μm、分子配向度SORが1.03のフィルムを得た。これを熱可塑性液晶ポリマーフィルムBとする。
【0043】
実施例1〜4および比較例1〜2
参考例1で得られた熱可塑性液晶ポリマーフィルムAとその被着体として該フィルムと同一の熱可塑性液晶ポリマーフィルムAおよび厚さ18μmの銅箔(電解法による0.5オンス銅箔)を用い、それらを被覆材としてシリコン系離型剤をコートしたアルミニウム箔(サンアルミ工業株式会社製、セパニウム50B1)の間に挟んだ状態で、240℃に加熱したステンレススチール製の下側加圧ロールを受台とし、無加熱のステンレススチール製の上側加圧ロールをホーンとするように製造された超音波加熱シール機(超音波工業株式会社製、超音波発振機USWP−600z20s型を発振源として使用)を用いて、表6に示した条件で超音波ウエルダー処理を行った。なお、被着体として熱可塑性液晶ポリマーフィルムAを用いた際の加圧時間は0.5秒、銅箔を用いた際の加圧時間は2.0秒とした。得られた積層体の接着強度を測定し、結果を表6に示す。
【0044】
【表6】
Figure 0004064018
【0045】
実施例5〜8および比較例3〜4
参考例2で得られた熱可塑性液晶ポリマーフィルムBとその被着体として該フィルムと同一の熱可塑性液晶ポリマーフィルムBおよび厚さ18μmの銅箔(電解法による0.5オンス銅箔)を用い、それらを被覆材としてのシリコン系離型剤をコートしたアルミニウム箔(サンアルミ工業株式会社製、セパニウム40M2)の間に挟んだ状態で、290℃に加熱したステンレススチール製の下側加圧ロールを受台とし、無加熱のステンレススチール製の上側加圧ロールをホーンとするように製造された超音波加熱シール機(超音波工業株式会社、製超音波発振機USWP−600z20s型を発振源として使用)を用いて、表7に示した条件で超音波ウエルダー処理を行った。なお、被着体として熱可塑性液晶ポリマーフィルムBを用いた際の加圧時間は1.5秒、銅箔を用いた際の加圧時間は4.0秒とした。得られた積層体の接着強度を測定し、結果を表7に示す。
【0046】
【表7】
Figure 0004064018
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、熱可塑性液晶ポリマーフィルムをその被着体に短時間に強固に圧着させることが可能となる。また本発明によれば、熱可塑性液晶ポリマーフィルムを局部的に被着体に圧着させることが可能であり、しかも圧着速度の制御が容易であり、また圧着速度の変化に容易に対応できる。しかして、本発明により、熱可塑性液晶ポリマーフィルムとその被着体との積層体を工業的に製造し得る方法が提供される。

Claims (1)

  1. 光学的異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマーからなるフィルムとその被着体を重ね合わせ、次いで両者を被覆材に挟んだ状態でロール間で超音波ウエルダー処理によって熱処理しながら圧着させ、得られた積層体を被覆材と分離することを特徴とする該積層体の製造方法。
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