JP4076206B2 - 遊星歯車装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車や産業機械等の動力伝達系に使用される遊星歯車装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、遊星歯車装置は、モータやエンジン等の動力源から伝達される回転を他の装置(自動車のエンジンの付属装置やその他の産業機械等)の駆動のために都合が良い回転に変えるものである。このような遊星歯車装置は、ギヤケースの内部に、太陽歯車と、この太陽歯車に噛み合う遊星歯車と、この遊星歯車が太陽歯車の周囲を公転できるように支持するキャリアとが収容され、外部動力源から伝達された動力をこれら歯車やキャリアに連繋された出力軸を介して他の被動装置側へ出力するようになっている。
【0003】
このような遊星歯車装置においては、動力伝達効率を向上するため、従来から様々な工夫が施されている。例えば、遊星歯車とキャリアとの摺接部や遊星歯車とギヤケースとの摺接部に低摩擦係数の摺動プレート(フッ素樹脂シート等)を介装し、遊星歯車の回転時に生じる摩擦抵抗を小さくして、動力伝達時のエネルギーロスを減らし、これによって動力伝達効率を向上させるようにした技術が知られている。また、ギヤケース内に十分な量のグリースを収容し、太陽歯車と遊星歯車の噛み合い部や遊星歯車と他部材との摺接部等にグリースを供給して、遊星歯車と太陽歯車の噛み合いを円滑にすると共に、各摺接部の摩擦抵抗を小さくしてエネルギーロスを減らし、これによって動力伝達効率を向上させ、かつ、各構成備品(太陽歯車、遊星歯車、キャリア等)の耐久性を向上させるようになっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、遊星歯車とキャリアとの摺接部や遊星歯車とギヤケースとの摺接部に低摩擦係数の摺動プレートを介装して、動力伝達効率を向上させるようにした遊星歯車装置は、部品点数が増えてしまい、生産工程での部品管理の煩雑化を招来するという問題を有していた。
【0005】
また、ギヤケース内に十分な量のグリースを収容し、太陽歯車と遊星歯車の噛み合い部や遊星歯車と他部材との摺接部等にグリースを供給して、各摺接部の摩擦抵抗を小さくして動力伝達効率を向上させるようにした遊星歯車装置は、作動時に粘性流体であるグリースを攪拌・移動させることによって運動エネルギーが消費されるため、各構成部品の耐久性を向上させる点において優れた効果を発揮するが、動力伝達効率を向上させる効果が不十分であった。
【0006】
そこで、本発明は、摺動プレートやグリースを使用しないで動力伝達効率を向上させることができる部品点数の少ない遊星歯車装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ギヤケースの内部に、太陽歯車と、この太陽歯車に噛み合う遊星歯車と、この遊星歯車が前記太陽歯車の周囲を公転できるように支持するキャリアと、を収容した遊星歯車装置に関するものである。この遊星歯車装置において、前記遊星歯車を、前記ギヤケースの内側面と前記キャリアの側面との間に収容すると共に、前記キャリアの前記側面から突出する支持軸で回動可能に支持するようになっている。また、前記遊星歯車の摩擦係数を、前記太陽歯車及び前記キャリアの摩擦係数よりも小さくしてある。また、前記遊星歯車の一側面が前記ギヤケースの前記内側面に摺接し、前記遊星歯車の他側面が前記キャリアの前記側面に摺接した状態において、前記キャリアの前記支持軸が前記ギヤケースの前記内側面に摺接せず、前記太陽歯車の両側面が前記ギヤケースの前記内側面及び前記キャリアの前記側面に摺接しないように、前記遊星歯車の前記一側面から前記他側面までの最大幅寸法を前記キャリアの前記支持軸の長さ及び前記太陽歯車の前記両側面間の最大幅寸法よりも大きくしたことを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、前記太陽歯車及び前記キャリアの摩擦係数をαとし、前記遊星歯車の摩擦係数をβとした場合、前記遊星歯車の摩擦係数βが0.3〜0.6αであることを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明は、前記請求項1又は2の発明において、前記遊星歯車の側面の少なくともキャリアに対向する側面には、前記支持軸と同心状で且つ前記遊星歯車の全歯たけよりも幅寸法が小さな環状突起を形成したことを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。
【0012】
[第1の実施の形態]
図1〜図3は、本実施の形態に係る遊星歯車装置1を示すものである。
【0013】
これらの図に示すように、本実施の形態の遊星歯車装置1は、大別すると、入力軸2に接続される第1の歯車ユニット3と、この第1の歯車ユニット3と出力軸4とに接続される第2の歯車ユニット5とを備え、これら第1の歯車ユニット3及び第2の歯車ユニット5がギヤケース6の内部に収容されるようになっている。以下、本実施の形態に係る遊星歯車装置1の詳細を順次説明する。
【0014】
(第1の歯車ユニット)
モータやエンジン等の駆動源に接続される入力軸2の端部がギヤケース6の内部に挿入され、この入力軸2の端部に第1の太陽歯車7が取り付けられている。この第1の太陽歯車7の外周には、この第1の太陽歯車7に噛み合う3個の第1の遊星歯車8が等間隔で配置され、これらの第1の遊星歯車8が第1の太陽歯車7の回りに公転できるように第1のキャリア10で支持されている。この第1のキャリア10は、略円板形状に形成されており、第1の遊星歯車8を回転できるように支持する支持軸11が3個の第1の遊星歯車8に対応するように図1中の左側面12に突出形成されている。そして、3個の第1の遊星歯車8は、ギヤケース6の内周面に形成された内歯車13にも噛み合うようになっている。
【0015】
上述の第1の太陽歯車7の回転中心部には、セレーションの穴14が形成されており、この穴14に嵌合される入力軸2の端部がセレーションの軸2aになっている。そして、第1の太陽歯車7と入力軸2がセレーション嵌合させられて一体回動する。また、第1のキャリア10は、その回転中心が3個の第1の遊星歯車8の公転中心と一致するため、回転中心部や外周部が他の部材(例えば、出力軸4やギヤケース6の内周面)で支持されるようになっていない。その結果、作動時の摩擦抵抗を小さくすることができ、動力の伝達効率を向上させることができる。
【0016】
(第2の歯車ユニット)
第1のキャリア10の回転中心部で且つ図1中の右側面15側には、第2の太陽歯車16が形成されており、この第2の太陽歯車16に噛み合う3個の第2の遊星歯車17が等間隔で配置され、これらの第2の遊星歯車17が第2の太陽歯車16の周囲に公転できるように第2のキャリア18で支持されている。この第2のキャリア18は、略円板形状に形成されており、図1中の左側面20に第2の遊星歯車17を回転できるように支持する支持軸21が突出形成されている。また、この第2のキャリア18は、その外周面22がギヤケース6の内周面に形成された軸受け面23によって回動できるように支持されている。そして、3個の第2の遊星歯車17は、ギヤケース6の内周面に形成された内歯車13にも噛み合うようになっている。
【0017】
第2のキャリア18の回転中心部には、セレーションの穴24が形成されており、この穴24に係合される出力軸4の端部にもセレーションの軸4aが形成されており、第2のキャリア18の穴24に出力軸4がセレーション嵌合させられ、第2のキャリア18と出力軸4が一体に回動するようになっている。また、ギヤケース6の図1中右側端部には、軸受け取付用の凹部25が形成されており、この凹部25には、出力軸4を回動できるように支持する軸受け26が係合されている。これにより、出力軸4は、第2のキャリア18を介してギヤケース6の軸受け面23で支持されるとともに、第2のキャリア18と出力軸4との嵌合部の近傍に配置された軸受け26によって支持されることになる。すなわち、出力軸4は、その軸線方向に沿った位置の2箇所が回動できるように支持されることになり、軸芯CLの傾きや軸振れを生じることなく、円滑に回動する。このように構成することにより、軸受け26を2個並べて出力軸を支持する場合よりも、軸受け26を1個減らすことができる分だけ遊星歯車装置1の全長を短くすることができ、遊星歯車装置1の小型化を図ることができる。
【0018】
また、第2のキャリア18の外周端の側面27には、ギヤケース6の内側面28に摺接する略環状の突起30が形成されている。これにより、第2のキャリア18とギヤケース6との接触面積を小さくし、第2のキャリア18の回転時に生じる摩擦抵抗を小さくすることができる。なお、第1の遊星歯車8及び第2の遊星歯車17の両側面にも略環状の突起31,32が形成されており、各遊星歯車の回転時に生じる摩擦抵抗を小さくするように工夫されている。また、第2のキャリア18及び各遊星歯車8,17の略環状の突起30,31,32は、周方向に連続したものに限られず、周方向に複数分割したものであってもよい。また、第1及び第2の遊星歯車8,17の略環状の突起31,32は、各遊星歯車8,17の歯の全歯たけよりも幅寸法が小さく、且つ、各支持軸11,21のそれぞれに対して同心状に形成されている。
【0019】
なお、ギヤケース6は、ギヤケース本体6aとエンドカバー6bとに分割されており、ギヤケース本体6a内に上述の第1の太陽歯車7から第2のキャリア18までの各構成部品を収容した後、エンドカバー6bをギヤケース本体6aの開口部に固定するようになっている。
【0020】
(遊星歯車装置の各部材間の関係)
上述の第1の太陽歯車7、第1の遊星歯車8、第1のキャリア10、第2の太陽歯車16、第2の遊星歯車17及び第2のキャリア18がギヤケース6の内部に収容されている。そして、第1〜第2の遊星歯車8,17の最大幅寸法W1,W2が、それぞれ第1〜第2の太陽歯車7,16の最大幅寸法W3,W4よりも大きく、また、第1〜第2のキャリア10,18の支持軸11,21の長さL1,L2よりも大きく形成されている。その結果、第1の遊星歯車8の両側面の突起31がそれぞれエンドカバー6bの内側面と第1のキャリア10の側面に摺接した状態において、第1の太陽歯車7の両側面がそれぞれエンドカバー6bの内側面と第1のキャリア10の側面に摺接せず、また、第1のキャリア10の支持軸11がエンドカバー6bの内側面に摺接しないようになっている。また、第2の遊星歯車17の両側面の突起32がそれぞれ第1のキャリア10の側面と第2のキャリア18の側面に摺接した状態において、第2の太陽歯車16の側面が第2のキャリア18の側面に摺接せず、また、第2のキャリア18の支持軸21が第1のキャリア10の側面に摺接しないようになっている。
【0021】
そして、第1〜第2の太陽歯車7,16、第1〜第2のキャリア10,18及びギヤケース6がプラスチック(例えば、PPS、PA等)で形成されている。また、第1〜第2の遊星歯車8,17は、上述の第1〜第2の太陽歯車7,16、第1〜第2のキャリア10,18及びギヤケース6よりも低摩擦係数のプラスチックで形成されている。なお、遊星歯車装置1の全ての構成部品を第1〜第2の遊星歯車8,17と同一の低摩擦係数のプラスチックで形成した場合と、上述のように第1〜第2の遊星歯車8,17のみを低摩擦係数のプラスチックで形成した場合とを比較した結果、動力伝達効率がほぼ同様であることが実験により確かめられている。
【0022】
これは、第1の歯車ユニット3において、第1の遊星歯車8が、第1の太陽歯車7及び内歯車13に噛み合い、第1のキャリア10及びギヤケース6のエンドカバー6bに摺接するようになっていることによる。換言すれば、第1の歯車ユニット3において、第1の遊星歯車8のみが他の構成部品の全てに接しているため、第1の遊星歯車8のみを低摩擦係数のプラスチックで形成すれば所望の目的を達成できるのである。同様に、第2の歯車ユニット5において、第2の遊星歯車17が、第2の太陽歯車16及び内歯車13に噛み合い、第1のキャリア10及び第2のキャリア18に摺接するようになっていることによる。換言すれば、第2の歯車ユニット5において、第2の遊星歯車17のみが他の構成部品の全てに接しているため、第2の遊星歯車17のみを低摩擦係数のプラスチックで形成すれば所望の目的を達成できるのである。
【0023】
ここで、第1〜第2の太陽歯車7,16、第1〜第2のキャリア10,18及びギヤケース6の摩擦係数をαとし、第1〜第2の遊星歯車8,17の摩擦係数をβとした場合、β=0.3〜0.6αとなるように、プラスチックが選択されるのが好ましい。このようなプラスチックを選択すれば、容易に入手できる材料によって第1〜第2の遊星歯車8,17を形成でき、優れた動力伝達効率で円滑な動力伝達が可能になる。なお、第1〜第2の遊星歯車8,17の材料としては、摩擦抵抗を低減させる材料成分を混入したPPSやPA等が使用されたり、含油樹脂やフッ素樹脂等が適宜使用される。
【0024】
(作動状態)
このような構成の遊星歯車装置1は、ギヤケース6(内歯車13)が固定されるようになっており、入力軸2と一体になって第1の太陽歯車7が回転すると、第1の遊星歯車8が第1の太陽歯車7で回転させられながら第1の太陽歯車7の回りを公転する。この第1の遊星歯車8の公転の回転数が、第1のキャリア10及びこの第1のキャリア10に形成された第2の太陽歯車16の回転数となる。次いで、第2の太陽歯車16に噛み合う第2の遊星歯車17が、第2の太陽歯車16に回転させられながら第2の太陽歯車16の回りを公転する。この第2の遊星歯車17の公転の回転数が、第2のキャリア18及びこの第2のキャリア18と一体になって回動する出力軸4の回転数となる。なお、入力軸2と出力軸4の回転比は、第1の太陽歯車7、第1の遊星歯車8、内歯車13、第2の太陽歯車16、及び第2の遊星歯車17の歯数比に応じて決定される。
【0025】
(第1の実施の形態の効果)
以上のように、本実施の形態に係る遊星歯車装置1は、第1〜第2の遊星歯車8,17を他の構成部品よりも低摩擦係数のプラスチックで形成することにより、各歯車の噛み合い(第1の太陽歯車7と第1の遊星歯車8の噛み合い及び第1の遊星歯車8と内歯車13の噛み合い、第2の太陽歯車16と第2の遊星歯車17の噛み合い及び第2の遊星歯車17と内歯車13の噛み合い)を円滑にすることができ、また、各構成部品の摺接部(エンドカバー6bと第1の遊星歯車8の摺接部及び第1の遊星歯車8と第1のキャリア10の摺接部、第1のキャリア10と第2の遊星歯車17の摺接部及び第2の遊星歯車17と第2のキャリア18の摺接部)の摩擦抵抗を低減することができる。従って、本実施の形態に係る遊星歯車装置1によれば、従来例において使用されていた摺動プレートが不要になり、部品点数を削減することができるため、部品管理が容易化し、また、グリースが不要になるため、グリースの粘性抵抗に起因するエネルギーロスを防止でき、動力伝達効率がより一層向上する。
【0026】
また、上述のように、本実施の形態に係る遊星歯車装置1は、第1〜第2の遊星歯車8,17のみを他の太陽歯車等よりも低摩擦係数のプラスチックで形成するようになっており、第1〜第2の遊星歯車8,17を除く他の構成部品を一般のプラスチックで形成することができるため、全ての構成部品を低摩擦係数のプラスチックで形成する場合に比較して安価に生産することが可能になる。
【0027】
また、本実施の形態において、エンドカバー6bを使用しないような場合、第1の遊星歯車8の突起31は、第1のキャリア10に対向する側面にのみ形成すればよい。
【0028】
[第2の実施の形態]
上述の第1の実施の形態は、第1の遊星歯車8及び第2の遊星歯車17をそれぞれ3個設置する態様を例示したが、これに限られるものではなく、第1の遊星歯車8及び第2の遊星歯車17をそれぞれ1個又は2個設置するようにしてもよく、また、第1の遊星歯車8及び第2の遊星歯車17をそれぞれ3個以上設置するようにしてもよい。
【0029】
ただし、第1の遊星歯車8を2個以下にした場合には、第1のキャリア10の回転中心が第1の遊星歯車8の公転中心と一致するように、第1のキャリア10を他の部材で回転できるように支持する必要がある。
【0030】
図4〜図5は、第1の遊星歯車8を1個だけ使用した遊星歯車装置1を例示するものである。これらの図に示すように、本実施の形態に係る遊星歯車装置1は、第1のキャリア10(第2の太陽歯車16)の回転中心部分に軸受け穴33が形成されており、この軸受け穴33に出力軸4の先端4bが係合され、第1のキャリア10が出力軸4で回転可能に支持されるようになっている。また、第1のキャリア10の回転中心部で且つ図4中左側面側には支持突起34が形成されており、この支持突起34のテーパ部35が第1の太陽歯車7の穴14のテーパ部36で回転可能に支持されるようになっている。
【0031】
本実施の形態の遊星歯車装置1によれば、上述の第1の実施の形態と同様の効果を得ることができることはもちろんのこと、さらに部品点数(第1の遊星歯車8)を削減でき、装置の軽量化を図ることが可能になる。
【0032】
なお、本実施の形態において、第1のキャリア10は、出力軸4及び第1の太陽歯車7に支持されるようになっているが、出力軸4と第1の太陽歯車7のいずれか一方のみで回転可能に支持してもよい。また、第1のキャリア10は、略円板状に形成されているため、その外周面をギヤケース6の内周面で回転可能に支持するようにしてもよい。
【0033】
[その他の実施の形態]
なお、上述の各実施の形態は、第1のキャリア10を略円板状に形成し、回転中心部に第2の太陽歯車16を形成する態様を例示したが、これに限られず、図6(a)や図6(b)に示すように、第2の太陽歯車16から径方向外方へ向けてアーム37を延出させて、そのアーム37に第1の遊星歯車8を回転可能に支持する支持軸11を突出形成するようにしてもよい。これによっても、上述の各実施の形態と同様の効果を得ることができることはもちろんのこと、第1のキャリア10の軽量化を図り、遊星歯車装置1の軽量化を図ることができる。
【0034】
また、上述の各実施の形態は、第2のキャリア18を略円板状に形成し、その外周面22をギヤケース6の軸受け面23で回転可能に支持する態様が例示されているが、これに限られず、図7に示すように、出力軸4に係合されるボス部38と、このボス部38から径方向外方へ向けて延出する複数のアーム40と、このアーム40に形成される支持軸41とで第2のキャリア18を構成し、アーム40の外周面42をギヤケース6の軸受け面23で回転可能に支持するようにしてもよい。これによっても、第2のキャリア18の回転中心と第2の遊星歯車17の公転中心とを一致させ、円滑な動力伝達を可能にすることができ、上述の各実施の形態と同様の効果を得ることができることはもちろんのこと、第2のキャリア18の軽量化を図ることができ、遊星歯車装置の軽量化を図ることができる。ここで、アーム40の数は、第2のキャリア18の回転中心を第2の遊星歯車17の公転中心とを一致させることができる限り、適宜変更することができる。
【0035】
また、上述の各実施の形態において、第1の太陽歯車7の入力軸2との係合部に金属部材を配置したり、第2のキャリア18の出力軸4との係合部に金属部材を配置し、それら金属部材に入力軸2や出力軸4のセレーションに係合する穴のセレーションを形成するようにしてもよい。このようにすれば、セレーション嵌合部の強度を向上させることができる。
【0036】
また、上述の各実施の形態において、第1の太陽歯車7と入力軸2及び第2のキャリア18と出力軸4がセレーション嵌合されて一体回動するようになっているが、本発明はこれに限られず、第1の太陽歯車7と入力軸2及び第2のキャリア18と出力軸4を、スプライン、キー、圧入等の手段によって一体回動させるようにしてもよい。
【0037】
また、上述の各実施の形態において、軸受け26としてボールベアリングを例示したが、これに限られず、ブッシュやニードルベアリング等の各種軸受けを使用条件等に応じて適宜変更使用するようにしてもよい。
【0038】
また、上述の各実施の形態において、ギヤケース6、第1の太陽歯車7、第1の遊星歯車8、第1のキャリア10、第2の太陽歯車16、第2の遊星歯車17及び第2のキャリア18をプラスチックで形成する態様を例示したが、これに限られず、それら各構成部品を金属で形成し、第1〜第2の遊星歯車8,17の摩擦係数を他の構成部品の摩擦係数よりも小さくなるように形成してもよい。
【0039】
また、上述の各実施の形態は、ギヤケース6の内部に第1の歯車ユニット3と第2の歯車ユニット5を収容する態様を例示したが、本発明はこれに限られず、第1の歯車ユニット3の第1の遊星歯車8と第1のキャリア10とを省略し、第1の太陽歯車7で第2の遊星歯車17を直接回転させるようにしてもよく、さらに、第1の歯車ユニット3と第2の歯車ユニット5との間に単数又は複数の中間歯車ユニットを配置し、第1の歯車ユニット3と第2の歯車ユニット5とを中間歯車ユニットを介して接続するようにしてもよい。これらのいずれの態様の場合も、第2の歯車ユニット5の第2のキャリア18(出力軸4にセレーション嵌合されるキャリア)の外周面22,42がギヤケース6の軸受け面23で回動可能に支持される。
【0040】
また、上述の各実施の形態において、内歯車13は、同一の寸法に形成する態様を例示したが、設計条件に応じて適宜変更することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の遊星歯車装置は、遊星歯車の摩擦係数を太陽歯車やキャリアの摩擦係数よりも小さくすることにより、遊星歯車と太陽歯車との噛み合いを円滑にすることができ、また、遊星歯車とキャリアとの摺接部の摩擦抵抗を低減することができる。従って、本発明の遊星歯車装置によれば、従来例において使用されていた摺動プレートが不要になり、部品点数を削減することができるため、部品管理が容易化し、また、グリースが不要になるため、グリースの粘性抵抗に起因するエネルギーロスを防止でき、動力伝達効率がより一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る遊星歯車装置の縦断面図である。
【図2】図1の遊星歯車装置の構造を説明するスケルトン図である。
【図3】図3(a)は図1のA−A線に沿って切断して示す断面図であり、図3(b)は図1のB−B線に沿って切断して示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る遊星歯車装置の縦断面図である。
【図5】図4のC−C線に沿って切断して示す断面図である。
【図6】図6(a)は、第1の遊星歯車が1個の場合の第1のキャリアの他の実施の形態を示す正面図であり、また、図6(b)は、第1の遊星歯車が3個の場合の第1のキャリアの他の実施の形態を示す正面図である。
【図7】第2のキャリアの他の実施の形態を示す正面図である。
【符号の説明】
1……遊星歯車装置、7……第1の太陽歯車(太陽歯車)、8……第1の遊星歯車(遊星歯車)、10……第1のキャリア(キャリア)、11,21……支持軸、16……第2の太陽歯車(太陽歯車)、17……第2の遊星歯車(遊星歯車)、18……第2のキャリア(キャリア)、31,32……突起

Claims (3)

  1. ギヤケースの内部に、太陽歯車と、この太陽歯車に噛み合う遊星歯車と、この遊星歯車が前記太陽歯車の周囲を公転できるように支持するキャリアと、を収容してなる遊星歯車装置において、
    前記遊星歯車を、前記ギヤケースの内側面と前記キャリアの側面との間に収容すると共に、前記キャリアの前記側面から突出する支持軸で回動可能に支持し、
    前記遊星歯車の摩擦係数を、前記太陽歯車及び前記キャリアの摩擦係数よりも小さくし、
    前記遊星歯車の一側面が前記ギヤケースの前記内側面に摺接し、前記遊星歯車の他側面が前記キャリアの前記側面に摺接した状態において、前記キャリアの前記支持軸が前記ギヤケースの前記内側面に摺接せず、前記太陽歯車の両側面が前記ギヤケースの前記内側面及び前記キャリアの前記側面に摺接しないように、前記遊星歯車の前記一側面から前記他側面までの最大幅寸法を前記キャリアの前記支持軸の長さ及び前記太陽歯車の前記両側面間の最大幅寸法よりも大きくした、
    ことを特徴とする遊星歯車装置。
  2. 前記太陽歯車及び前記キャリアの摩擦係数をαとし、前記遊星歯車の摩擦係数をβとした場合、前記遊星歯車の摩擦係数βが0.3〜0.6αであることを特徴とする請求項1記載の遊星歯車装置。
  3. 前記遊星歯車の側面の少なくともキャリアに対向する側面には、前記支持軸と同心状で且つ前記遊星歯車の全歯たけよりも幅寸法が小さな環状突起を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊星歯車装置。
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