JP4089087B2 - スピーカー用部材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スピーカー用部材に関する。より詳細には、本発明は、耐衝撃性、リサイクル性および内部ロスに優れ、かつ安価なスピーカー用部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
スピーカー用部材の1つであるフレームには、用途に応じて種々の材料(例えば、冷延鋼板、熱可塑性樹脂)が用いられる。例えば、車載用スピーカにおいては、軽量化および形状の自由度の観点から、熱可塑性樹脂が用いられることが多い。このような熱可塑性樹脂としては、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンポリマー)、PC(ポリカーボネート)、PPO(ポリフェニレンエーテル)またはこれらのアロイが挙げられる。
【0003】
しかし、上記アロイおよびABS樹脂(ターポリマー)は、リサイクル時の汎用性が不十分である。一方、ABS樹脂以外の上記熱可塑性樹脂は、単独では耐衝撃性が不十分であり、実用に耐えることができない。
【0004】
また、別のスピーカー用部材の代表例である振動板についても、用途に応じて種々の材料が用いられる。例えば、携帯電話または携帯用小型玩具のスピーカーの振動板について説明する。
【0005】
このようなスピーカーは、軽量かつ薄型であることが要求される。そのため、ダイナミック型または圧電型のスピーカーが代表的に用いられ、中でも、音質を考慮すると、浅いコーン型振動板を有するダイナミック型スピーカーが代表的に用いられる。携帯用途においては機器が屋外で使用されることが多いので、スピーカーに用いられる振動板には耐水性が要求される。耐水性の観点から、このような振動板には、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PEI(ポリエーテルイミド)樹脂などが用いられる。
【0006】
しかし、これらの材料は弾性率が大きいことに起因して内部ロスが小さいので、音質が不十分である(例えば、携帯電話においては、会話が聞き取りにくいという重大な問題がある)。
【0007】
以上のように、耐衝撃性、リサイクル性および内部ロスに優れるスピーカー用部材が強く望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、耐衝撃性、リサイクル性および内部ロスに優れ、しかも安価なスピーカー用部材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、スピーカー用部材の材料に関して種々の用途について鋭意検討した結果、脂肪族ポリケトンが安価に入手可能であり、かつ、この材料を用いることにより、耐衝撃性、リサイクル性および内部ロスに優れるスピーカー用部材が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明のスピーカー用部材は、脂肪族ポリケトンを主成分として含有する熱可塑性樹脂組成物から形成されている。
【0011】
好ましい実施態様においては、上記熱可塑性樹脂組成物は、上記脂肪族ポリケトン100重量部に対して微粉末マイカ5〜20重量部をさらに含有する。
【0012】
好ましい実施態様においては、上記スピーカー用部材は、フレームとして用いられる。
【0013】
好ましい実施態様においては、上記スピーカー用部材は、振動板として用いられる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のスピーカー用部材は、脂肪族ポリケトンを主成分として含有する熱可塑性樹脂組成物から形成されている。
【0015】
脂肪族ポリケトンは、下記化学式で表される。
【0016】
【化1】
Figure 0004089087
【0017】
ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル基であり、好ましくは、水素、メチル基、エチル基、n-プロピル基またはn-ブチル基であり、さらに好ましくは、水素またはメチル基であり、最も好ましくは、Rが水素、Rがメチル基である。
【0018】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂組成物は、上記脂肪族ポリケトンを主成分として含有する。本明細書において、「主成分」とは、組成物中に50重量%以上含有される成分を意味する。従って、本明細書において、熱可塑性樹脂組成物というときは、脂肪族ポリケトンを50重量%以上含有する組成物だけでなく脂肪族ポリケトン自身をも包含する。
【0019】
熱可塑性樹脂組成物は、脂肪族ポリケトン100重量部に対して、好ましくは5〜20重量部、さらに好ましくは15〜20重量部の微粉末マイカをさらに含有し得る。微粉末マイカを含有することにより、ヤング率、比弾性率および内部損失がさらに改善され得る。しかも、脂肪族ポリケトンを用いる場合には、他の樹脂を用いる場合に比べて微粉末マイカによる改善効果が大きいことが確認されている。さらに、熱可塑性樹脂組成物は、目的に応じて、任意の適切な添加剤(例えば、着色剤、酸化防止剤、離型剤、老化防止剤、光安定剤)を含有し得る。
【0020】
本発明のスピーカー用部材は、任意の適切な用途に用いられ得るが、特に、フレームおよび振動板として好適に用いられる。
【0021】
本発明のスピーカー用部材は、上記熱可塑性樹脂組成物を任意の適切な方法で成形することにより得られる。例えば、本発明をフレームに適用する場合には、上記熱可塑性樹脂組成物を所定の形状に射出成形すればよい。また例えば、本発明を振動板に適用する場合には、上記熱可塑性樹脂組成物をTダイ押出法でフィルム成形した後、熱プレス成形すればよい。
【0022】
以下、本発明の作用について説明する。
本発明によれば、脂肪族ポリケトンを主成分として含有する熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、耐衝撃性、リサイクル性および内部ロスに優れるスピーカー用部材が得られる。脂肪族ポリケトンは、直鎖状で、かつ、繰り返し単位中にカルボニル基を有するので、非常に極性が高い。その結果、脂肪族ポリケトンは、ポリオレフィン等に比べて分子間力が格段に大きくなるので、エンジニアリングプラスチックと同等の性能(例えば、弾性率、耐衝撃性)を有する。特に、汎用樹脂に比べて、内部ロスが大きいことが確認されている。さらに、脂肪族ポリケトンは、構造的にホモポリマーに近似したコポリマーであるので、リサイクル時の汎用性にも優れる。しかも、脂肪族ポリケトンは、安価で容易に入手可能であるので、コスト面においても有利である。
好ましい実施態様においては、上記熱可塑性樹脂組成物は、微粉末マイカをさらに含有する。脂肪族ポリケトンと微粉末マイカとを組み合わせて用いることにより、ヤング率、比弾性率および内部ロスが顕著に改善される。脂肪族ポリケトンを用いる場合には、他の樹脂を用いる場合に比べて、微粉末マイカによる改善効果が格段に大きい。これは、上記のように、脂肪族ポリケトンが直鎖状でかつ強い極性を有することに由来すると考えられる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例には限定されない。なお、特に示さない限り、実施例中の部およびパーセントは重量基準である。
【0024】
(実施例1)
脂肪族ポリケトン樹脂組成物(シェルケミカル社製、CARILON;D26HM100(ナチュラル))を用いて、通常の条件および手順で射出成形を行い、口径16cm用スピーカーフレームを成形した。
【0025】
得られたフレームを、以下の▲1▼〜▲3▼の評価に供した。評価結果を、後述の実施例2および比較例1〜4の結果と併せて下記の表1に示す。
▲1▼耐衝撃性(圧縮破壊強度)
得られたフレームの振動板面を下にしてプレート取付面から鉄製円盤で圧縮し、フレームが破壊したときの強度と、その際の変位率(初期フレーム高さに対する破壊時の変形量)を測定した。
▲2▼耐溶剤性
得られたフレームをガソリンに6時間浸漬し、重量変化がない場合を「良」、重量変化がある場合を「不良」として評価した。
▲3▼リサイクル性
得られたフレームを粉砕してペレット化し、このペレットから同一形状のフレームを成形した。得られた再成形フレームの圧縮強度を▲1▼と同様の手順で測定した。さらに、同様の手順を繰り返して、再成形フレームから再々成形フレームを成形し、圧縮強度を測定した。再成形フレームおよび再々成形フレームの強度保持率を、リサイクル性の指標とした。
【0026】
【表1】
Figure 0004089087
【0027】
(実施例2)
脂肪族ポリケトン樹脂組成物(シェルケミカル社製、CARILON;D86FIG30(繊維強化型、ガラス繊維30%含有))を用いて、通常の条件および手順で射出成形を行い、口径16cm用スピーカーフレームを成形した。得られたフレームを実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表1に示す。
【0028】
(比較例1)
ポリカーボネート樹脂組成物(帝人化成社製、パンライト;L-1250(ナチュラル))を用いて、通常の条件および手順で射出成形を行い、口径16cm用スピーカーフレームを成形した。得られたフレームを実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表1に示す。
【0029】
(比較例2)
ポリカーボネート樹脂組成物(帝人化成社製、パンライト;G-3130(繊維強化型、ガラス繊維30%含有))を用いて、通常の条件および手順で射出成形を行い、口径16cm用スピーカーフレームを成形した。得られたフレームを実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表1に示す。
【0030】
(比較例3)
ABS樹脂組成物(電気化学社製、デンカABS;GR-3000S(ナチュラル))を用いて、通常の条件および手順で射出成形を行い、口径16cm用スピーカーフレームを成形した。得られたフレームを実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表1に示す。
【0031】
(比較例4)
ABS樹脂組成物(電気化学社製、デンカABS;GR-1000(繊維強化型、ガラス繊維30%含有))を用いて、通常の条件および手順で射出成形を行い、口径16cm用スピーカーフレームを成形した。得られたフレームを実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表1に示す。
【0032】
表1から明らかなように、本発明のスピーカーフレームは、圧縮強度および変位率が大きく、耐衝撃性および靭性に優れている。また、本発明のフレームは、耐溶剤性も良好である。さらに、本発明のフレームは、同グレードの比較例と比較すると明らかなように、成形を繰り返した後の強度保持率が高く、リサイクル性に優れている。
【0033】
一方、比較例においては、ABS樹脂は、ガラス繊維強化グレードの圧縮強度が優れているが、耐溶剤性は、強化グレードおよび通常グレードのいずれにおいても劣悪であり、特に車載用スピーカーフレームとしては重大な問題を有している。ポリカーボネート樹脂は、良好な変位率を有するが、ABS樹脂と同様に耐溶剤性が劣悪である。加えて、リサイクル性について同グレードで比較すると、比較例はいずれも本発明のフレームに比べて強度保持率が低く、リサイクル性が不十分である(特に、ターポリマーであるABS樹脂のリサイクル性が劣悪である)。
【0034】
(実施例3)
脂肪族ポリケトン樹脂組成物(シェルケミカル社製、CARILON;D26HM100(ナチュラル))を用いて、Tダイによる押出成形によって、厚さ50μmのフィルムを作製した。得られたフィルムを、マッチドダイ金型(ドーム形状、金型温度160℃)で約30秒間熱プレス成形し、ドーム型振動板(φ25)を得た。得られた振動板について、通常の方法で、ヤング率、密度、比弾性率および内部損失を測定した。結果を、後述の実施例4〜5および比較例5〜8の結果と併せて下記の表2に示す。
【0035】
【表2】
Figure 0004089087
【0036】
(実施例4)
脂肪族ポリケトン樹脂100重量部に対してマイカ微粉末(コープケミカル社製;ミクロマイカ MK100DS(平均粒径4μm))を10重量部添加したこと以外は実施例3と同様にして、ドーム型振動板(φ25)を得た。得られた振動板を、実施例3と同様の評価に供した。結果を上記表2に示す。
【0037】
(実施例5)
脂肪族ポリケトン樹脂100重量部に対してマイカ微粉末(コープケミカル社製;ミクロマイカ MK100DS(平均粒径4μm))を20重量部添加したこと以外は実施例3と同様にして、ドーム型振動板(φ25)を得た。得られた振動板を、実施例3と同様の評価に供した。結果を上記表2に示す。
【0038】
(比較例5)
PET樹脂を用いたこと以外は実施例3と同様にして、ドーム型振動板(φ25)を得た。得られた振動板を、実施例3と同様の評価に供した。結果を上記表2に示す。
【0039】
(比較例6)
PET樹脂100重量部に対してマイカ微粉末(コープケミカル社製;ミクロマイカ MK100DS(平均粒径4μm))を20重量部添加したこと以外は比較例5と同様にして、ドーム型振動板(φ25)を得た。得られた振動板を、実施例3と同様の評価に供した。結果を上記表2に示す。
【0040】
(比較例7)
PEI樹脂を用いたこと以外は実施例3と同様にして、ドーム型振動板(φ25)を得た。得られた振動板を、実施例3と同様の評価に供した。結果を上記表2に示す。
【0041】
(比較例8)
PEI樹脂100重量部に対してマイカ微粉末(コープケミカル社製;ミクロマイカ MK100DS(平均粒径4μm))を20重量部添加したこと以外は比較例7と同様にして、ドーム型振動板(φ25)を得た。得られた振動板を、実施例3と同様の評価に供した。結果を上記表2に示す。
【0042】
表2を参照すると、本発明の振動板は、比較例に比べて内部ロスが大きく、音質が良好であることがわかる。マイカを添加すると、本発明の振動板の優れた内部ロスがさらに顕著になることがわかる。しかも、脂肪族ポリケトンを用いる本発明の振動板は、比較例に比べて微粉末マイカによる改善効果が大きいことがわかる。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、脂肪族ポリケトンを用いることにより、安価で、かつ、耐衝撃性、リサイクル性および内部ロスに優れるスピーカー用部材が得られる。

Claims (3)

  1. 脂肪族ポリケトンおよび微粉末マイカからなる熱可塑性樹脂組成物から形成されるスピーカ用部材であり、該微粉末マイカの含有割合が該脂肪族ポリケトン100重量部に対して5〜20重量部である、スピーカー用部材。
  2. フレームとして用いられる、請求項1に記載のスピーカー用部材。
  3. 振動板として用いられる、請求項1に記載のスピーカー用部材。
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