JP4096468B2 - 車両用自動変速機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載される自動変速機に関し、特に、そのギヤトレインにおける各変速機構成要素の配置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に搭載させる自動変速機には、ドライバビリティの確保のみならず、省エネルギに不可欠な燃費の向上のために、多段化の要請がある。こうした要請に応えるには、ギヤトレインの変速段数当たりの変速要素数とクラッチやブレーキ数の一層の削減が必要となる。そこで、最小限の変速要素からなるプラネタリギヤセットを用い、それを操作する3つのクラッチと2つのブレーキとで、前進6速・後進1速を達成するギヤトレインが特開平4−219553号公報において提案されている。この提案に係るギヤトレインは、エンジン出力回転と、それを減速した回転とを3つのクラッチを用いて適宜変速機の4つの変速要素からなるプラネタリギヤセットへ2つの速度の異なる回転として入力させ、2つのブレーキで2つの変速要素を係止制御することで多段の6速を達成するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術の6速自動変速機は、その特徴として、減速プラネタリギヤを経て減速された入力をプラネタリギヤセットの異なる2つの変速要素にそれぞれ伝達する2つのクラッチを必要とする。このような構成にすることにより、良好な6速のギヤ比が得られる反面、減速により増幅されたトルクを伝達するため、これら2つのクラッチ及びその動力伝達部材、すなわち高トルク伝達系のトルク容量の確保が必要となる。
【0004】
また、これら2つの減速回転入力クラッチは、ギヤトレーンの特性上、変速段によって高速回転するので、上記の理由から高トルクを伝達させるためのみならず、高速回転に耐えるものとする面から更に高剛性にしなければならない。この点について従来技術では、プラネタリギヤセットに対して一方側にまとめて2つの減速回転入力クラッチを配置しているため、それらの一方のクラッチとプラネタリギヤセットとを連結する部材が他方のクラッチの外周を通る構造とされている。そして、そのような部材を他方のクラッチの外周に配置すると高速回転による遠心力が一層大きくなるため、一方のクラッチとプラネタリギヤセットとを連結する部材のより一層の剛性確保が必要となり、大きく、重くなってしまう。
【0005】
また、このように高トルクを伝達し、プラネタリギヤセットと共に回転する部材が、長く、重くなると、その分イナーシャトルクが大きくなるので変速制御性が悪化し、変速ショックに影響する。
【0006】
本発明は、こうした事情に鑑みなされたものであり、多段化に伴う機構の大型化を、プラネタリギヤセットに対する2つの減速回転入力クラッチの配置を工夫するこで、主として高トルク伝達系を軽量・コンパクト化することにより回避し、併せて変速制御性の向上を図った車両用自動変速機を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、減速回転と非減速回転を入力として複数の変速回転を出力するプラネタリギヤセットと、プラネタリギヤセットの内周側を通る入力軸と、該プラネタリギヤセットと軸方向に並べて配設され、入力軸の回転を減速した減速回転を出力する減速プラネタリギヤと、減速プラネタリギヤプラネタリギヤセットの2つの異なる変速要素とをそれぞれ係脱自在に連結し、減速プラネタリギヤの減速回転をプラネタリギヤセットの2つの異なる変速要素にそれぞれ入力する第1及び第3のクラッチとを備える車両用自動変速機において、前記プラネタリギヤセットの一方側に減速プラネタリギヤと第3のクラッチとを配置し、減速プラネタリギヤの減速回転を伝達する減速回転伝達部材をプラネタリギヤセットの内周側を通して該プラネタリギヤセットの他方側にて第1のクラッチに連結し、第3のクラッチとプラネタリギヤセットの1つの変速要素とを、プラネタリギヤセットの一方側にて連結部材により連結したことを特徴とする。
【0009】
更に、上記の構成において、前記プラネタリギヤセットは、少なくとも4つの変速要素を備え、第1の変速要素は、第1のクラッチにより減速プラネタリギヤに係脱自在に連結され、第2の変速要素は、第3のクラッチにより減速プラネタリギヤに係脱自在に連結されるとともに、第1の係止手段により変速機ケースに係止可能とされ、第3の変速要素は、第2のクラッチにより入力軸に係脱自在に連結されると共に、第2の係止手段により変速機ケースに係止可能とされ、第4の変速要素が出力部材に連結された構成を採るのが有効である。
【0010】
また、上記の構成において、前記第1のクラッチのクラッチドラムは、その開口側をプラネタリギヤセット側に向け、かつ、減速プラネタリギヤの出力要素に連結させて配置された構成とするのが有効である。
【0011】
また、上記の構成において、前記第3のクラッチの摩擦材は、減速プラネタリギヤの外周に配置され、第3のクラッチのクラッチドラムは、プラネタリギヤセットの1つの変速要素に連結部材により連結された構成を採るのが有効である。
【0012】
そして、前記減速プラネタリギヤは、その1要素を変速機ケースから延びたボス部で常時固定され、第3のクラッチの油圧サーボは、減速プラネタリギヤに対してプラネタリギヤセットとは反対側にあって該ボス部上に配置された構成を採るのが有効である。
【0013】
あるいは、前記第3のクラッチの油圧サーボは、減速プラネタリギヤに対してプラネタリギヤセット側にあって入力軸上に配置され、第3のクラッチのクラッチドラムは、減速プラネタリギヤの出力要素に連結された構成としてもよい。
【0014】
また、前記第3のクラッチの摩擦材は、第3のクラッチの油圧サーボの外周側に配置された構成とするのも有効である。
【0015】
更に、入力軸をプラネタリギヤセットの他の変速要素に係脱自在に連結する第2のクラッチは、プラネタリギヤセットに対して第1のクラッチ側に配置され、かつ第1のクラッチに対してプラネタリギヤセットとは反対側に配置された構成、あるいは、プラネタリギヤセットに対して第3のクラッチ側に配置され、かつ第3のクラッチに対してプラネタリギヤセットとは反対側に配置された構成を採るのが有効である。
【0016】
また、前記第1〜第3のクラッチの摩擦材は、減速プラネタリギヤ、プラネタリギヤセット、及び各クラッチの油圧サーボのいずれかの外周に配置された構成を採るのが有効である。
【0018】
更に、前記第2のクラッチの油圧サーボの外周に第2の係止手段である第2のブレーキの油圧サーボが配置された構成を採るのが有効である。
【0019】
また、前記車両用自動変速機が、ディファレンシャル装置を有する横置式の変速機とされる場合、ディファレンシャル装置は、そのデフリングギヤが第3のクラッチの油圧サーボの外周かつ第3のクラッチの摩擦材と軸方向にずらした位置に配置された構成を採るのが有効である。
【0020】
また、前記プレネタリギヤセットに対して、第3のクラッチと減速プラネタリギヤは前側、第1のクラッチと第2のクラッチは後側に配置され、第3のクラッチの外周に第1の係止手段である第1のブレーキが配置された構成を採るのも有効である。
【0021】
また、前記第1のブレーキは、バンドブレーキとするのも有効である。
【0022】
また、前記第3のクラッチの油圧サーボへの油路と潤滑油路は、一方のケース壁のケース内の油路に連通され、第1のクラッチと第2のクラッチの油圧サーボへの油路は、他方のケース壁のケース内油路にそれぞれ連通された構成を採るのも有効である。
【0023】
また、前記プラネタリギヤセットの出力を他軸に出力する出力部材であるカウンタギヤを備える場合、該カウンタギヤがプラネタリギヤセットと第3のクラッチの間に配置された構成を採るのが有効である。
【0024】
【発明の作用及び効果】
上記請求項1記載の構成では、プラネタリギヤセットの一方側に減速プラネタリギヤと第3のクラッチとを配置し、減速プラネタリギヤの減速回転を伝達する減速回転伝達部材をプラネタリギヤセットの内周側を通して該プラネタリギヤセットの他方側にて第1のクラッチに連結し、第3のクラッチとプラネタリギヤセットの1つの変速要素とを、プラネタリギヤセットの一方側にて連結部材により連結し、これにより第1のクラッチと第3のクラッチをプラネタリギヤセットの両側に配置したので、第1のクラッチと第3のクラッチからプラネタリギヤセットの変速要素までの伝達部材の長さを最短にすることができる。これにより、プラネタリギヤセットと共に回転する高トルクを伝達する部材が短くできるので、変速機の軽量化ができ、またイナーシヤを小さくできるので変速制御性が向上する。
【0026】
そして、請求項記載の構成では、上記の効果を達成する6速自動変速機を少ない変速要素数で実現することができる。
【0027】
次に、請求項記載の構成では、第1のクラッチのクラッチドラムを減速プラネタリギヤの出力要素に連結することで、入力軸上に他の部材を介さず第1のクラッチのクラッチドラムを配置できるので、該ドラム内の油圧サーボへの油圧の供給油路の漏止めに必須のシールリングを少なくすることができる。
【0028】
また、請求項記載の構成では、摩擦材を減速プラネタリギヤの外周に配置することで、変速機の軸長を短縮できる。
【0029】
更に、請求項記載の構成では、油圧サーボを変速機ケースのボス部上に配置することでシールリングを少なくすることができる。また、減速プラネタリギヤの1要素を固定するための部材と第3のクラッチへの油路の確保のための部材が共通化されるので、変速機を小型化することができる。
【0030】
次に、請求項記載の構成では、第3のクラッチの油圧サーボを入力軸上に直接配置できるので、入力軸から油圧サーボへの油圧の供給油路の漏止めに必須のシールリングを少なくできる。
【0031】
更に、請求項記載の構成では、摩擦材と油圧サーボを重ねて配置することで、変速機の軸長を短縮できる。
【0032】
次に、請求項及び記載の構成では、第1のクラッチ又は第3のクラッチとプラネタリギヤセットの間に第2のクラッチが介在しないので、第1のクラッチ又は第3のクラッチとプラネタリギヤセットとを連結する部材を短くすることができる。
【0034】
更に、請求項10記載の構成では、各クラッチの摩擦材をそれぞれの油圧サーボの近傍に配置しながら、変速機の軸長を短縮できる。
【0035】
そして、請求項11記載の構成では、第2のブレーキの油圧サーボを第2のクラッチの外周側に、実質上軸方向配設スペースを要せずに配置することができるので、変速機軸長の一層の短縮が可能となる。
【0036】
次に、請求項12記載の構成では、ディファレンシャル装置を備える変速機を構成する場合に、大径のデフリングギヤと変速機構との干渉を防いで、デフ比設定の自由度を高くすることができる。
【0037】
また、請求項13記載の構成では、第3のクラッチの外周に第1のブレーキを配置できるので、第1のブレーキの取り回しを複雑にする必要がないので、変速機をコンパクトにできる。
【0038】
そして、請求項14記載の構成では、第1のブレーキをバンドブレーキとすることで、変速機を小径化できる。
【0039】
更に、請求項15記載の構成では、変速機ケースにバランス良く油路を配置できるので、ケース内の油路の集中を回避でき、油路の設計自由度が向上する。
【0040】
次に、請求項16記載の構成では、変速機をカウンタギヤ出力とする場合において、カウンタギヤをプラネタリギヤセットと第3のクラッチの間に配置することで、第1のクラッチをプラネタリギヤセットに隣接して配置することができる。第1のクラッチは第3のクラッチと比べて高速回転するので、その高速回転する部材を最短にすることで変速機の軽量化ができ、変速制御性も向上する。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿い、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明を具体化した車両用自動変速機の第1実施形態のギヤトレインを、軸間を共通平面内に展開してスケルトンで示す。また、図2は上記自動変速機を端面からみて実際の軸位置関係を示す。この自動変速機は、互いに並行する主軸X、カウンタ軸Y、デフ軸Zの各軸上に各要素が配設された3軸構成の横置式トランスアクスルとされている。主軸X上の変速機構は、減速回転と非減速回転を入力として複数の変速回転を出力するプラネタリギヤセットGと、プラネタリギヤセットGと軸方向に並べて配設された減速プラネタリギヤG1と、プラネタリギヤセットGの内周側を通る入力軸11と、入力軸11を減速プラネタリギヤG1を介してプラネタリギヤセットGの2つの異なる変速要素S3,S2にそれぞれ係脱自在に連結する第1及び第3のクラッチ(C−1,C−3)と、入力軸11をプラネタリギヤセットGの他の変速要素C2(C3)に係脱自在に連結する第2のクラッチ(C−2)とを備える。
【0042】
プラネタリギヤセットGは、4つの変速要素S2,S3,C2(C3),R2(R3)を備え、第1の変速要素S3は、第1のクラッチ(C−1)により減速プラネタリギヤG1に係脱自在に連結され、第2の変速要素S2は、第3のクラッチ(C−3)により減速プラネタリギヤG1に係脱自在に連結されるとともに、第1の係止手段(B−1)により変速機ケース10に係止可能とされ、第3の変速要素C2(C3)は、第2のクラッチ(C−2)により入力軸11に係脱自在に連結されるとともに、第2の係止手段(B−2)により変速機ケース10に係止可能とされ、第4の変速要素R2(R3)が出力部材19に連結されている。なお、図に示すギヤトレインでは、ブレーキ(B−2)に並列させてワンウェイクラッチ(F−1)を配しているが、これは、後に詳記する1→2変速時のブレーキ(B−2)とブレーキ(B−1)の掴み替えのための複雑な油圧制御を避け、ブレーキ(B−2)の解放制御を単純化すべく、ブレーキ(B−1)の係合に伴って自ずと係合力を解放するワンウェイクラッチ(F−1)を用いたものであり、ブレーキ(B−2)と同等のものである。
【0043】
以下、この実施形態のギヤトレインを更に詳細に説明する。主軸X上には、図示しないエンジンの回転を入力軸11に伝達するロックアップクラッチ付のトルクコンバータ4が配置されている。カウンタ軸Y上には、カウンタギヤ2が配置されている。カウンタギヤ2は、カウンタ軸20に固定され、カウンタドライブギヤ19に噛合する大径のカウンタドリブンギヤ21と、同じくカウンタ軸20に固定され、デフリングギヤ31に噛合する小径のデフドライブピニオンギヤ22とが配設されており、これらにより主軸X側からの出力を減速するとともに、反転させてディファレンシャル装置3に伝達する機能を果たす。デフ軸Z上には、ディファレンシャル装置3が配設されている。ディファレンシャル装置3は、デフリングギヤ31に固定してデフケース32が設けられ、その中に配置された差動歯車の差動回転が左右軸30に出力され、最終的なホイール駆動力とされる。
【0044】
プラネタリギヤセットGは、大小径の異なる一対のサンギヤS2,S3と、互いに噛合して一方が大径のサンギヤS2に噛合するとともにリングギヤR2(R3)に噛合し、他方が小径のサンギヤS3に噛合する一対のピニオンギヤP2,P3を支持するキャリアC2(C3)からなるラビニヨ式のギヤセットで構成されている。そして、この形態では、小径のサンギヤS3が第1の変速要素、大径のサンギヤS2が第2の変速要素、キャリアC2(C3)が第3の変速要素とされ、リングギヤR2(R3)が第4の変速要素とされている。減速プラネタリギヤG1は、サンギヤS1と、それに噛合するピニオンギヤを支持するキャリアC1と、ピニオンギヤに噛合するリングギヤR1の3要素からなるシンプルプラネタリ構成とされている。
【0045】
プラネタリギヤセットGの第1の変速要素すなわち小径のサンギヤS3は、第1のクラッチ(C−1)に連結され、第2の変速要素すなわち大径のサンギヤS2は、第3のクラッチ(C−3)に連結されるとともに、バンドブレーキで構成される第1のブレーキ(B−1)により自動変速機ケース10に係止可能とされている。また、第3の変速要素であるキャリアC2(C3)は、第2のクラッチ(C−2)を介して入力軸11に連結され、かつ、第2のブレーキ(B−2)により変速機ケース10に係止可能とされるとともに、ワンウェイクラッチ(F−1)により変速機ケース10に一方向回転係止可能とされている。そして、第4の変速要素すなわちリングギヤR2(R3)がカウンタドライブギヤ19に連結されている。また、減速プラネタリギヤG1は、そのサンギヤS1を変速機ケース10に常時固定とされ、リングギヤR1を入力要素として入力軸11に連結され、キャリアC1を出力要素として第1のクラッチ(C−1)及び第3のクラッチ(C−3)を介してプラネタリギヤセットGに連結されている。
【0046】
こうした構成からなる自動変速機は、図示しない電子制御装置と油圧制御装置とによる制御で、運転者により選択されたレンジに応じた変速段の範囲で車両負荷と車速に基づき、変速を行う。図3は各クラッチ及びブレーキの係合及び解放(○印で係合、無印で解放を表す)で達成される変速段を図表化して示す。また、図4は各クラッチ及びブレーキの係合(●印でそれらの係合を表す)により達成される変速段と、そのときの各変速要素の速度比との関係を速度線図で示す。図において、縦軸はそれぞれ減速プラネタリギヤG1の各要素及びプラネタリギヤセットGの各変速要素を示し、それら各軸間の横方向幅がギヤ比の関係、縦方向位置が速度比を示す。ちなみに、減速プラネタリギヤG1のサンギヤS1を固定(速度比0)とし、リングギヤR1に入力(速度比1)を与えることで、キャリアC1に減速回転(サンギヤS1の速度比0の点とリングギヤR1の速度比1の点とを結ぶ直線とキャリアC1を表す縦線との交点の速度比)が出力され、この減速回転を第1のクラッチ(C−1)の係合でプラネタリギヤセットGのサンギヤS3に入力させ、かつ、第2のブレーキ(B−2)の係止でキャリアC2(C3)を係止(速度比0)した場合に、リングギヤR3(R2)に第1速(1ST)の減速回転が出力され、サンギヤS2はサンギヤS3とリングギヤR3(R2)に対して逆回転(速度比−)で空転する。
【0047】
両図を併せ参照してわかるように、第1速(1ST)は、クラッチ(C−1 )とブレーキ(B−2)の係合(本形態において、作動表を参照してわかるように、このブレーキ(B−2)の係合に代えてワンウェイクラッチ(F−1)の自動係合が用いられているが、この係合を用いている理由及びこの係合がブレーキ(B−2)の係合に相当する理由については後に詳述する。)により達成される。この場合、図1を参照して、入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がクラッチ(C−1)経由で小径サンギヤS3に入力され、ワンウェイクラッチ(F−1)の係合により係止されたキャリアC2,C3に反力を取って、リングギヤR2(R3)の最大減速比の減速回転がカウンタドライブギヤ19に出力される。
【0048】
次に、第2速(2ND)は、クラッチ(C−1 )とブレーキ(B−1)の係合により達成される。この場合、入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がクラッチ(C−1)経由で小径サンギヤS3に入力され、ブレーキ(B−1)の係合により係止された大径サンギヤS2に反力を取って、リングギヤR2(R3)の減速回転がカウンタドライブギヤ19に出力される。このときの減速比は、図4にみるように、第1速(1ST)より小さくなる。
【0049】
また、第3速(3RD)は、クラッチ(C−1)とクラッチ(C−3)の同時係合により達成される。この場合、入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がクラッチ(C−1)とクラッチ(C−3)経由で同時に大径サンギヤS2と小径サンギヤS3に入力され、プラネタリギヤセットGが直結状態となるため、両サンギヤへの入力回転と同じリングギヤR2(R3)の回転が、入力軸11の回転に対しては減速された回転として、カウンタドライブギヤ19に出力される。
【0050】
更に、第4速(4TH)は、クラッチ(C−1)とクラッチ(C−2)の同時係合により達成される。この場合、一方で入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がクラッチ(C−1)経由でサンギヤS3に入力され、他方で入力軸11からクラッチクラッチ(C−2)経由で入力された非減速回転がキャリアC3に入力され、2つの入力回転の中間の回転が、入力軸11の回転に対しては僅かに減速されたリングギヤR2(R3)の回転としてカウンタドライブギヤ19に出力される。
【0051】
次に、第5速(5TH)は、クラッチ(C−2)とクラッチ(C−3)の同時係合により達成される。この場合、一方で入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がクラッチ(C−3)経由でサンギヤS2に入力され、他方で入力軸11からクラッチクラッチ(C−2)経由で入力された非減速回転がキャリアC2に入力され、リングギヤR2(R3)の入力軸11の回転より僅かに増速された回転がカウンタドライブギヤ19に出力される。
【0052】
そして、第6速(6TH)は、クラッチ(C−2)とブレーキ(B−1)の係合により達成される。この場合、入力軸11からクラッチクラッチ(C−2)経由で非減速回転がキャリアC2にのみ入力され、ブレーキ(B−1)の係合により係止されたサンギヤS2に反力を取るリングギヤR2(R3)の更に増速された回転がカウンタドライブギヤ19に出力される。
【0053】
なお、後進(REV)は、クラッチ(C−3)とブレーキ(B−2)の係合により達成される。この場合、入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がクラッチ(C−3)経由でサンギヤS2に入力され、ブレーキ(B−2)の係合により係止されたキャリアC2に反力を取るリングギヤR2(R3)の逆転がカウンタドライブギヤ19に出力される。
【0054】
ここで、先に触れたワンウェイクラッチ(F−1)とブレーキ(B−2)との関係について説明する。上記の第1速と第2速時の両ブレーキ(B−1,B−2)の係合・解放関係にみるように、これら両ブレーキは、両変速段間でのアップダウンシフト時に、一方の解放と同時に他方の係合が行われる、いわゆる掴み替えされる摩擦要素となる。こうした摩擦要素の掴み替えは、それらを操作する油圧サーボの係合圧と解放圧の精密な同時制御を必要とし、こうした制御を行うには、そのためのコントロールバルブの付加や油圧回路の複雑化等を招くこととなる。そこで、本形態では、第1速と第2速とで、キャリアC2(C3)にかかる反力トルクが逆転するのを利用して、ワンウェイクラッチ(F−1)の係合方向を第1速時の反力トルク支持方向に合わせた設定とすることで、ワンウェイクラッチ(F−1)に実質上ブレーキ(B−2)の係合と同等の機能を発揮させて、第1速時のブレーキ(B−2)の係合に代えて(ただし、ホイール駆動の車両コースト状態ではキャリアC2(C3)にかかる反力トルクの方向がエンジン駆動の状態に対して逆転するので、エンジンブレーキ効果を得るためには、図3に括弧付きの○印で示すようにブレーキ(B−2)の係合を必要とする)、キャリアC2(C3)の係止を行っているわけである。したがって、変速段を達成する上では、ワンウェイクラッチを設けることなく、ブレーキ(B−2)の係合により第1速を達成する構成を採ることもできる。
【0055】
このようにして達成される各変速段は、図4の速度線図上で、リングギヤR2(R3)の速度比を示す○印の上下方向の間隔を参照して定性的にわかるように、各変速段に対して比較的等間隔の良好な速度ステップとなる。この関係を具体的に数値を設定して、定量的に表すと、図3に示すギヤ比となる。この場合のギヤ比は、減速プラネタリギヤG1のサンギヤS1とリングギヤR1の歯数比λ1=44/78、プラネタリギヤセットGの大径サンギヤ側のサンギヤS2とリングギヤR2(R3)の歯数比λ2=36/78、小径サンギヤ側のサンギヤS3とリングギヤR3の歯数比λ3=30/78に設定すると、入出力ギヤ比は、
第1速(1ST):(1+λ1)/λ3=4.067
第2速(2ND):(1+λ1)(λ2+λ3)/λ3(1+λ2)=2.354
第3速(3RD):1+λ1=1.564
第4速(4TH):(1+λ1)/(1+λ1−λ1・λ3)=1.161
第5速(5TH):(1+λ1)/(1+λ1+λ1・λ2)=0.857
第6速(6TH):1/(1+λ2)=0.684
後進(REV):−(1+λ1)/λ2=−3.389
となる。そして、これらギヤ比間のステップは、
第1・2速間:1.73
第2・3速間:1.51
第3・4速間:1.35
第4・5速間:1.35
第5・6速間:1.25
となる。
【0056】
図1に戻って、本発明の特徴とするところに従い、このギヤトレインでは、プラネタリギヤセットGの一方側に減速プラネタリギヤG1と第3のクラッチ(C−3)、他方側に第1のクラッチ(C−1)がそれぞれ配置されている。このように第1のクラッチ(C−1)と第3のクラッチ(C−3)をプラネタリギヤセットGの両側に分散配置しているため、第1のクラッチ(C−1)と第3のクラッチ(C−3)からプラネタリギヤセットGの変速要素S2,S3までの伝達部材の長さを最短にすることができる。したがって、プラネタリギヤセットGと共に回転する高トルクを伝達する部材が短くできるので、変速機の軽量化ができ、またイナーシヤを小さくできるので変速制御性が向上する。
【0057】
更に、減速プラネタリギヤG1の出力要素であるキャリアC1は、プラネタリギヤセットGの内周を通って第1のクラッチ(C−1)に連結されている。このようにすることで、減速プラネタリギヤG1の出力要素と第1のクラッチ(C−1)をコンパクトに連結できる。また、高トルク伝達部材が大径化されないので、遠心力が小さくなる分軽量化できると共に、イナーシヤを小さくできるので変速制御性が向上する。
【0058】
更に、この変速機では、プラネタリギヤセットGの出力を他軸に出力するカウンタドライブギヤ19を備えることから、カウンタドライブギヤ19がプラネタリギヤセットGと第3のクラッチ(C−3)の間に配置されている。このように配置することで、第1のクラッチ(C−1)をプラネタリギヤセットGに隣接して配置することができる。こうした配置は、第1のクラッチ(C−1)が第3のクラッチ(C−3)と比べて高速回転することを考慮して、それにより高速回転する部材を最短にすることで変速機の軽量化するのに役立ち、変速制御性も向上する。
【0059】
次に、図5は自動変速機の構成を更に具体化した模式的断面で示す。先にスケルトンを参照して説明した各構成要素については、同じ参照符号を付して説明に代えるが、スケルトンから参照し得ない細部、主として入力軸11、プラネタリギヤセットG、減速プラネタリギヤG1に対する各クラッチ及びブレーキの関係について、ここで説明する。なお、本明細書を通じて、クラッチ及びブレーキという用語は、それらが多板構成のものである場合、係脱部材としてのディスクとセパレータプレートからなる摩擦材と、摩擦材をスプライン係合で支持する動力伝達部材としてのドラム及びハブと、ドラムに内包されるシリンダとピストンとリターンスプリングからなる油圧サーボを総称するものとする。また、バンド構成のブレーキにしては、係脱部材としてのバンドと、シリンダとピストンとリターンスプリングからなる油圧サーボを総称するものとする。
【0060】
入力軸11は、その内部にサーボ圧の給排油路と潤滑油路11rを形成された中空軸とされ、前端側と後端側とを変速機ケース10から延びる前側ボス部10aと後側ボス部10bにベアリングを介して回転自在に支持され、支持部に隣接させて形成されたそれぞれのフランジ11a,11bと両ボス部先端との間に介装されたスラストベアリングにより軸方向支持されている。
【0061】
減速プラネタリギヤG1、プラネタリギヤセットG及び3つのクラッチの油圧サーボ7,6,5は、それぞれ入力軸11の軸周における外周側に軸方向に並べて配置され、各クラッチ及びブレーキの摩擦材73,63,53,93は、それらに径方向に重合させて外周側に配置されている。この配置により、摩擦材配設スペース分の軸方向寸法の短縮が図られている。しかも、外周側への配置により、各クラッチ及びブレーキの摩擦材径が大きくなることで、それらのトルク容量を稼げる分だけ、減速プラネタリギヤG1及びプラネタリギヤセットGの外周側に重合させる摩擦材73,63については、構成枚数を減らして軸方向寸法を小さくし、また、摩擦材53が外周側に重合させて配置される油圧サーボ6については、摩擦材63が外周側に配置され、トルク容量を稼いでいるので受圧面を小さくでき、それによる油圧サーボの小径化で、結果的にそれらの外周側に重合する摩擦材53の小径化も可能となる。したがって、この構成によれば、径方向寸法の増大を抑えながら、軸方向寸法を最大限に短縮することができる。
【0062】
更に、この形態では、変速機構における前側に減速プラネタリギヤG1、後側にプラネタリギヤセットGが配置され、第3のクラッチ(C−3)の油圧サーボ7は、減速プラネタリギヤG1の前方、第1のクラッチ(C−1)の油圧サーボ6は、プラネタリギヤセットGの後方、第2のクラッチ(C−2)の油圧サーボ5は、第1のクラッチ(C−1)の油圧サーボ6の後方に配置され、第1のクラッチ(C−1)の摩擦材63は、プラネタリギヤセットGの外周側に、第3のクラッチ(C−3)の摩擦材73は、減速プラネタリギヤG1の外周側に、第2のクラッチ(C−2)の摩擦材53は、第1のクラッチ(C−1)の油圧サーボ6の外周側にそれぞれ重合配置されている。この配置により、トルク増幅された減速回転を伝達するため大容量を必要とする第1及び第3のクラッチの摩擦材63,73を、径方向寸法の制約が比較的ゆるやかな軸方向位置に配置されたプラネタリギヤセットGと減速プラネタリギヤG1の外周側に配置することで、トルク容量に合わせて大径化し、入力回転をそのまま伝達するため相対的にトルク容量が小さくてよい第2のクラッチ(C−2)の摩擦材53を、プラネタリギヤセットGの後方に位置して摩擦材63の大径化に伴い小径化した第1のクラッチ(C−1)の油圧サーボ6の外周側に重合配置することで、第2のクラッチ(C−2)の油圧サーボ5の外周側には摩擦材がない配置となるため、第2のクラッチ(C−2)の油圧サーボ5が小容量で足りることで小径であることと相まって、変速機構後部の外径が大幅に小径化されている。したがって、この構成によれば、軸方向寸法を最大限に短縮しながら、更に変速機後端部の外径を小さくして、車両側部材Bとの干渉を避けることができ、多段化された変速機の車両搭載性が一層向上している。
【0063】
また、この変速機は、図1のスケルトンを参照して前述したように、変速機構に駆動連結されたデフリングギヤ31を、入力軸11と並行するデフ軸Z上に備えるところから、第3のクラッチ(C−3)の油圧サーボ7は、デフリングギヤ31と径方向に重なる位置に配置され、第3のクラッチ(C−3)の摩擦材73は、デフリングギヤ31に対して軸方向にずらして配置されている。この構成により、デフリングギヤ31の外周が変速機構内に入り込んでいるにも拘わらず、変速機構の大径部と干渉しない配置となるため、変速機の主軸Xとしての入力軸11と、それと並行するデフ軸Zとの軸間距離の設定に自由度を与えることができ、車両の要求に合わせた良好なデフギヤ比の設定が可能となる。
【0064】
一方、入力軸11の周りに配置されるシンプルプラネタリ構成の減速プラネタリギヤG1は、前側ボス部10aの先端外周に反力要素としてのサンギヤS1を固定し、入力要素としてのリングギヤR1を入力軸11のフランジ11aに連結させて、変速機構の前側に配置されている。出力要素としてのキャリアC1は、減速回転伝達部材13の筒状部に連結され、筒状部は、第3のクラッチ(C−3)のハブ74を構成している。
【0065】
次に、プラネタリギヤセットGは、入力軸11のほぼ中間部に両サンギヤS2,S3を、ベアリングを介して入力軸11に支持された減速回転伝達部材13の外周にベアリングを介して支持された形態で位置決め支持されている。プラネタリギヤセットGの第2の変速要素としてのサンギヤS2は、連結部材14により第3のクラッチ(C−3)のドラム72に連結されている。また、第1の変速要素としてのサンギヤS3は、第1のクラッチ(C−1)のハブ64に連結されている。そして、第3の変速要素としてのキャリアC2(C3)は、ワンウェイクラッチ(F−1)のインナレースを介して第2のクラッチのドラム52と、第2のブレーキ(B−2)のハブ94に連結されている。更に、第4の変速要素としてのリングギヤR2(R3)は、連結部材を介してカウンタドライブギヤ19にスプライン結合されている。
【0066】
第3のクラッチ(C−3)の油圧サーボ7は、減速プラネタリギヤG1の前側に配置され、変速機ケースの前側ボス部10aの外周に回転自在に支持されたシリンダ70と、それに内包されたピストン71とを備えており、シリンダ70の外周側が拡径延長されたクラッチドラム72を構成している。この油圧サーボ7の油圧の給排は、前側ボス部10aに形成されたケース内油路10xを介して行われる。なお、図において符号75は、ピストン71の背面に油圧かけて遠心油圧を相殺するためのキャンセルプレート、76はリターンスプリングを示す。
【0067】
第3のクラッチ(C−3)の摩擦材73は、内周側をハブ74にスプライン係合させ、外周側をドラム72にスプライン係合させた多板の摩擦材ディスクとセパレータプレートから構成され、ドラム72の先端に固定されたバッキングプレートと、油圧サーボ7内への油圧の供給によりシリンダ70から押し出されるピストン71とで挟持されるクラッチ係合作動により、ハブ74からドラム72にトルクを伝達する構成とされている。
【0068】
第1のクラッチ(C−1)の油圧サーボ6は、プラネタリギヤセットGの後側に配置され、減速回転伝達部材13に連結されたシリンダ60と、それに内包されたピストン61とを備えている。この場合もシリンダ60の外周側が拡径延長されたクラッチドラム62を構成している。したがって、第1のクラッチ(C−1)のクラッチドラム62は、その開口側をプラネタリギヤセットG側に向けて配置されている。この油圧サーボ6の油圧の給排は、入力軸11に形成された油路11cを介して行われる。この油圧サーボ6も符号65で示すキャンセルプレートと、66で示すリターンスプリングを備えている。
【0069】
第1のクラッチ(C−1)の摩擦材63は、内周側をハブ64にスプライン係合させ、外周側をドラム62にスプライン係合させた多板の摩擦材ディスクとセパレータプレートから構成され、ドラム62の先端に固定されたバッキングプレートと、油圧サーボ6内への油圧の供給によりシリンダ60から押し出されるピストン61とで挟持されるクラッチ係合作動により、ドラム62からハブ64にトルクを伝達する構成とされている。
【0070】
第2のクラッチ(C−2)の油圧サーボ5は、ピストン51を内包するシリンダ50の内周筒状部50aを入力軸11のフランジ部11bに固定支持し、背面部50b及び外周筒状部50cを変速機ケース10の後端壁10c及び周壁10dに対向させて、第1のクラッチ(C−1)の油圧サーボ6の後側、すなわち変速機構の最後部に配置されている。この油圧サーボ6の油圧の給排は、変速機ケースの後側ボス部10bに形成されたケース内油路10yを介して行われる。この油圧サーボでは、キャンセル室を画定するキャンセルプレート55の外周側にクラッチハブ54が形成され、ハブ54とキャリアに連結するドラム52との間に摩擦材53を支持した構成が採られている。この構成により、変速機の制御のために必要な入力回転の検出を第2のクラッチ(C−2)の油圧サーボ5のシリンダ50の回転から変速機ケース10に設けたセンサSにより直接行うことができるため、センサSを変速機構の内部に配設し、あるいは特別な検出手段を用いて間接的に検出する等の複雑な手段を用いずに、容易に入力回転を検出することができる。
【0071】
第2のクラッチ(C−2)の摩擦材53は、内周側をハブ54にスプライン係合させ、外周側をドラム52にスプライン係合させた多板の摩擦材ディスクとセパレータプレートから構成され、ハブ54の先端に固定されたバッキングプレートと、油圧サーボ5内への油圧の供給によりシリンダ50から押し出されるピストン51とで挟持されるクラッチ係合作動により、ハブ54からドラム52にトルクを伝達する構成とされている。
【0072】
第1のブレーキ(B−1)はバンドブレーキとされ、そのブレーキバンド8は、第3のクラッチ(C−3)のドラム72の外周に配置され、ドラム72をブレーキドラムとする構成とされている。これにより、第1のブレーキ(B−1)は、軸方向スペースを要せず、しかも径方向寸法をほとんど増加させずに配置されていることになる。なお、このバンドブレーキの油圧サーボは、ブレーキバンド8と同じ軸方向位置で、ドラム73に対して接線方向に延びるものであるため、図示を省略している。
【0073】
第2のブレーキ(B−2)は、各クラッチと同様に多板構成とされ、その摩擦材93は、プラネタリセットGの外周側に、ワンウェイクラッチ(F−1)と並べて配置されている。第2のブレーキ(B−2)の油圧サーボ9は、変速機ケース10のほぼ中央に設けられたサポート10eに、ピストン91を内包するシリンダを内蔵させた形態で設けられている。
【0074】
そして、カウンタドライブギヤ19の支持に関しては、該ギヤ19は、上記サポート10eの内周にベアリング12を介して支持されており、詳しくは、カウンタドライブギヤ19の内周を軸方向に延びるボス部の外周がベアリング12を介して、第2のブレーキ(B−2)の油圧サーボシリンダを兼ねる変速機ケース10のサポート10eの内周に支持されている。
【0075】
かくして、この実施形態では、その変速機構の絶対的なコンパクト化のために軸周における可能な限り内径側に配設することを必須とする減速プラネタリギヤG1とプラネタリギヤセットG、及び油圧供給の容易性とシールリングの摺動摩擦の軽減の面で、可能な限り小径の相対回転部を介して油路を連結することが望ましい各クラッチの油圧サーボ7,6,5を軸周の内径側に、カンウンタドライブギヤ19と共に軸方向に並べて配置し、有効径と摩擦材枚数の兼ね合いから大径とする方が有利な各クラッチの摩擦材73,63,53を外径側に重合配置し、そうして得られる中間スペースに両ブレーキ(B−1,B−2)とワンウェイクラッチ(F−1)を合理的に配置した構成により、最大限の軸方向寸法の短縮効果が得られている。
【0076】
ところで、上記第1実施形態では、主として変速機構としてのギヤ比とギヤ比ステップを良好とすることに重点を置いて、減速プラネタリギヤG1をシンプルプラネタリギヤ構成としたが、プラネタリギヤセットGとの連結関係を単純化することに重点を置く場合は、減速プラネタリギヤG1をダブルピニオン構成とするのも有効である。図6はこのようにした第2実施形態の変速機構を模式化した断面で示す。この場合の相違点のみ説明すると、第1実施形態において出力要素とされていたキャリアC1が入力要素として入力軸11に連結され、入力要素とされていたリングギヤR1が出力要素として減速回転伝達部材13に連結されている。こうした連結関係を採ると、減速プラネタリギヤG1の後側からの入力に対して、出力を外周から後側に導く形態となるため、減速回転伝達部材13を減速プラネタリギヤG1の前側まで回し込む必要がなくなる分だけ短縮することができる。
【0077】
こうした連結関係の変更に伴い、第3のクラッチ(C−3)の油圧サーボ7は、そのシリンダ70を内周側で減速プラネタリギヤG1のキャリアC1に連結し、ドラム72は油圧サーボ7から切り離した構成とされている。したがって、この場合、クラッチ係合作動は、ハブ74のバッキングプレートとピストン71との間での摩擦材73の挟持によりなされ、減速回転伝達部材13にスラスト荷重がかかることになるが、この荷重は、減速回転伝達部材13の後端から入力軸11の後側のフランジ11bにスラストベアリングを経て伝達され、キャリアC1を介して前側のフランジ11aに固定された油圧サーボ7のシリンダ70に入力軸11を経て戻る閉ループとなって、変速機ケース10に負荷されることなく均衡する。
【0078】
次に、図7は変速機の軸長を全体として短縮した第3実施形態を模式断面で示す。この形態では、第2のブレーキ(B−2)の油圧サーボ9が第2のクラッチ(C−2)の油圧サーボ5の外周側に変速機ケースの後壁10cに内蔵させた形態で設けられている。これに伴い、ブレーキ(B−2)の摩擦材93とワンウェイクラッチ(F−1)の位置が第1実施形態に対して逆配置とされ、位置的に離れた摩擦材93に向かって油圧サーボ9のピストン91の押圧部が第1のクラッチ(C−1)の外周を通って延長されている。
【0079】
また、上記油圧サーボ位置の変更により、サポート壁10eの後側の外周側空間が自由となるのに合わせて、カウンタドライブギヤ19は、サポート壁10eの内周側を後方に延びるボス部の外周にベアリングを介して直接支持する構成が採られている。これによりリングギヤR2とカウンタドライブギヤ19の連結構造は極めて単純化され、一層の変速機軸長の短縮が実現されている。この他の構成については、第1実施形態と実質的に同様である。
【0080】
次に、図8は第1実施形態に対して減速プラネタリギヤG1と第3のクラッチ(C−3)の油圧サーボ7の配置を逆転させた第4実施形態を模式断面で示す。この形態では、第3のクラッチ(C−3)の油圧サーボ7が入力軸上支持とされている。これに伴い、入力軸11にはケース内油路10xと油圧サーボ7を連通させる軸内油路11dが形成されている。また、減速プラネタリギヤG1の出力は、クラッチドラム72に連結され、クラッチハブ74が連結部材14に連結され、それらに連結された第1のブレーキ(B−1)のブレーキドラムは、クラッチドラム72の外周に被さる専用のドラムとして構成されている。
【0081】
また、この第4実施形態では、変速機ケース10の外周壁に第2のブレーキ(B−2)の油圧サーボシリンダ90を別途取り付ける構成を採り、カウンタドライブギヤ19の支持に関しては、第3実施形態と同様に、サポート壁10eの内周側を後方に延びるボス部の外周にベアリングを介して直接支持する構成が採られている。この他の構成については、第1実施形態と実質的に同様である。
【0082】
次に、図9は第1実施形態に対して全ての構成要素を前後(図面上で左右)逆配置とした第5実施形態を模式断面で示す。
【0083】
なお、この第5実施形態では、カウンタドライブギヤ19の支持と、第2のブレーキ(B−2)並びにワンウェイクラッチ(F−1)の構成に関しては、第3実施形態と同様の支持構成と採り、サポート壁10eの内周側を前方に延びるボス部の外周にベアリングを介して直接支持する構成が採られている。
【0084】
次に、図10は第4実施形態に対して全ての構成要素を前後(図面上で左右)逆配置とした第6実施形態を模式断面で示す。この場合の各要素の配列は、第4実施形態を示す図8との対照で自ずと明らかであるので、説明を省略する。
【0085】
上記6つの実施形態は、本発明を横置式の変速機に適用したものであるが、本発明は、フロントエンジン・リヤドライブ(FR)車用の縦置式の変速機に適用することもできる。図11はこうした形態を採る第7実施形態をスケルトンで示し、その場合の各係合要素と達成される変速段、ギヤ比及びギヤ比ステップの関係を図12に、また速度線図を図13に示す。この形態における変速機構も本質的には、前記各形態を同様のものであるが、縦置化したことに伴う2つの相違点がある。その第1は、横置式の場合に比べて軸長の制約が緩やかであるため、変速過渡時、特に掴み替え変速時の油圧制御を簡略化すべく、先行実施形態における第2のブレーキ(B−2)に対するワンウェイクラッチ(F−1)の併設と同様の意味を持つワンウェイクラッチとブレーキの組み合わせを第1のブレーキ(B−1)に対しても設けている点である。そして、第2は、出力要素としてのリングギヤR2を入力軸11と同軸の出力軸19Aに連結している点である。
【0086】
こうした構成要素の付加に伴い、第2のブレーキとワンウェイクラッチの呼称が各先行形態に対してずれているので、冗長とはなるが、混乱を避ける意味で、ギヤトレイン構成から改めて説明する。
【0087】
図11を参照して、この自動変速機では、その機構の最前部に、図示しないエンジンに連結されるロックアップクラッチ付のトルクコンバータ4が配置され、その後部に前進6速・後進1速を達成する変速機構が配置された構成が採られている。
【0088】
変速機構の主体をなすプラネタリギヤセットGは、先の各実施形態と同様に、大小径の異なる一対のサンギヤS2,S3と、互いに噛合して一方が大径のサンギヤS2に噛合するとともにリングギヤR2(R3)に噛合し、他方が小径のサンギヤS3に噛合する一対のピニオンギヤP2,P3を支持するキャリアC2(C3)からなるラビニヨ式のギヤセットで構成されている。そして、プラネタリギヤセットGの第1の変速要素すなわち小径のサンギヤS3は、第1のクラッチ(C−1)に連結され、第2の変速要素すなわち大径のサンギヤS2は、第3のクラッチ(C−3)に連結されるとともに、バンドブレーキで構成される第1のブレーキ(B−1)により自動変速機ケース10に係止可能とされ、更にこれと並列するワンウェイクラッチ(F−1)とブレーキ(B−2)によっても自動変速機ケース10に係止可能とされている。また、第3の変速要素であるキャリアC2(C3)は、第2のクラッチ(C−2)を介して入力軸11に連結され、かつ、第2のブレーキ(B−3)により変速機ケース10に係止可能とされるとともに、ワンウェイクラッチ(F−2)により変速機ケース10に一方向回転係止可能とされている。そして、第4の変速要素すなわちリングギヤR2(R3)が出力軸19Aに連結されている。
【0089】
また、減速プラネタリギヤG1についても同様に、シンプルプラネタリギヤで構成され、その入力要素としてのリングギヤR1を入力軸11に連結され、出力要素としてのキャリアC1を第1のクラッチ(C−1)を介して小径サンギヤS3に連結されるとともに、第3のクラッチ(C−3)を介して大径のサンギヤS2に連結され、反力を取る固定要素としてのサンギヤS1を変速機ケース10に固定されている。
【0090】
この自動変速機の場合の各クラッチ、ブレーキ及びワンウェイクラッチの係合・解放と達成される変速段との関係は図12の係合図表に示すようになる。係合表における○印は係合、無印は解放、△印はエンジンブレーキ時のみの係合、●印は変速段の達成に直接作用しない係合を表す。また、図13は各クラッチ及びブレーキの係合(●印でそれらの係合を表す)により達成される変速段と、そのときの各変速要素の回転数比との関係を速度線図で示す。
【0091】
両図を併せ参照してわかるように、第1速(1st)は、クラッチ(C−1 )とブレーキ(B−3)の係合(本形態において、作動表を参照してわかるように、このブレーキ(B−3)の係合に代えてワンウェイクラッチ(F−2)の自動係合が用いられているが、この係合を用いている理由及びこの係合がブレーキ(B−3)の係合に相当する理由については、それらの呼称がだけで、先の実施形態においてブレーキ(B−2)とワンウェイクラッチ(F−1)との関係で述べた通りである。)により達成される。この場合、入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がクラッチC−1経由で小径サンギヤS3に入力され、ワンウェイクラッチF−2の係合により係止されたキャリアC2に反力を取って、リングギヤR2(R3)の最大減速比の減速回転が出力軸19Aに出力される。
【0092】
次に、第2速(2nd)は、クラッチ(C−1 )とブレーキ(B−1)の係合に相当するワンウェイクラッチ(F−1)の係合とそれを有効にするブレーキ(B−2)の係合(これらの係合がブレーキ(B−1)の係合に相当する理由については後に詳述する。)により達成される。この場合、入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がクラッチ(C−1)経由で小径サンギヤS3に入力され、ブレーキ(B−2)及びワンウェイクラッチ(F−1)の係合により係止された大径サンギヤS2に反力を取って、リングギヤR2(R3)の減速回転が出力軸19Aに出力される。このときの減速比は、図13にみるように、第1速(1st)より小さくなる。
【0093】
また、第3速(3rd)は、クラッチ(C−1)とクラッチ(C−3)の同時係合により達成される。この場合、入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がクラッチ(C−1)とクラッチ(C−3)経由で同時に大径サンギヤS2と小径サンギヤS3に入力され、プラネタリギヤセットGが直結状態となるため、両サンギヤへの入力回転と同じリングギヤR2(R3)の回転が、入力軸11の回転に対しては減速された回転として、出力軸19Aに出力される。
【0094】
更に、第4速(4th)は、クラッチ(C−1)とクラッチ(C−2)の同時係合により達成される。この場合、一方で入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がクラッチ(C−1)経由でサンギヤS3に入力され、他方で入力軸11からクラッチ(C−2)経由で入力された非減速回転がキャリアC3に入力され、2つの入力回転の中間の回転が、入力軸11の回転に対しては僅かに減速されたリングギヤR2(R3)の回転として出力軸19Aに出力される。
【0095】
次に、第5速(5th)は、クラッチ(C−2)とクラッチ(C−3)の同時係合により達成される。この場合、一方で入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がクラッチ(C−3)経由でサンギヤS2に入力され、他方で入力軸11からクラッチ(C−2)経由で入力された非減速回転がキャリアC2に入力され、リングギヤR2(R3)の入力軸11の回転より僅かに増速された回転が出力軸19Aに出力される。
【0096】
そして、第6速(6th)は、クラッチ(C−2)とブレーキ(B−1)の係合により達成される。この場合、入力軸11からチクラッチ(C−2)経由で非減速回転がキャリアC2にのみ入力され、ブレーキ(B−1)の係合により係止されたサンギヤS2に反力を取り、リングギヤR2(R3)の更に増速された回転が出力軸19Aに出力される。
【0097】
なお、後進(R)は、クラッチ(C−3)とブレーキ(B−3)の係合により達成される。この場合、入力軸11から減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がクラッチ(C−3)経由でサンギヤS2に入力され、ブレーキ(B−3)の係合により係止されたキャリアC2に反力を取り、リングギヤR2(R3)の逆転が出力軸19Aに出力される。
【0098】
ここで、先に触れたワンウェイクラッチ(F−1)と両ブレーキ(B−1,B−2)との関係について説明する。この場合は、サンギヤS2に連結したワンウェイクラッチ(F−1)の係合方向をサンギヤS2の第2速時の反力トルク支持方向に合わせた設定とすることで、ワンウェイクラッチ(F−1)に実質上ブレーキ(B−1)の係合と同等の機能を発揮させることができる。ただし、このサンギヤS2は、キャリアC2(C3)とは異なり、第2速時のエンジンブレーキ効果を得るために係合するだけでなく、第6速達成のためにも係止される変速要素であるため、ブレーキ(B−1)が必要となる。また、サンギヤS2は、図13の速度線図でも分かるように、第1速(1st)達成時には入力回転方向に対して逆方向に回転するが、第3速以上の変速段の場合は、入力回転方向と同じ方向に回転する。したがって、ワンウェイクラッチ(F−1)は、直接固定部材に連結することができないため、ブレーキ(B−2)との直列配置により係合状態の有効性を制御可能な構成としている。
【0099】
このようにして達成される各変速段は、図13の速度線図上で、リングギヤR2(R3)の速度比を示す○印の上下方向の間隔を参照して定性的にわかるように、各変速段に対して比較的等間隔の良好な速度ステップとなる。この関係を具体的に数値を設定して、定量的に表すと、図12に示すギヤ比及びギヤ比間のステップとなる。この場合のギヤ比は、減速プラネタリギヤG1のサンギヤS1とリングギヤR1の歯数比λ1=0.556、プラネタリギヤセットGの大径サンギヤ側のサンギヤS2とリングギヤR2(R3)の歯数比λ2=0.458、小径サンギヤ側のサンギヤS3とリングギヤR3の歯数比λ3=0.375に設定した場合であり、ギヤ比幅は6.049となる。
【0100】
次に、図14は自動変速機の構成を更に詳細に断面で示す。先にスケルトンを参照して説明した各構成要素については、同じ参照符号を付して説明に代えるが、スケルトンから参照し得ない細部について、次に説明する。まず、入力軸11は、この形態では、前端側を変速機ケースのボス部10aにベアリングを介して支持し、後端側は同軸の出力軸19Aを介して変速機ケースの後側ボス部10bに支持する構成が採られている。そのため、入力軸11の後端部は小径化され、出力軸19Aの軸穴に嵌合させてベアリング支持され、出力軸19Aを介して変速機ケース10の後端壁部10cから延材された後側ボス部10bに回転自在に支持されている。
【0101】
出力軸19Aは、その前端部をローラベアリングを介して変速機ケース10の後側ボス部10bに回転自在に支持され、後端部を変速機ケース10の最後部に固定されたエクステンションハウジング10Aにボールベアリグを介して回転自在に支持されている。そして、プラネタリギヤセットGの出力要素としてのリングギヤR2(R3)への連結部は、出力軸前端のフランジとされ、ドラム状部材を介してリングギヤR3に連結されている。
【0102】
この変速機では、変速機ケース10の中間部にサポートを設けない構成が採られているため、第2のブレーキ(B−3)を構成する油圧サーボ9は、変速機ケース10の後側の外周壁と後端壁部10cと後側ボス部10bとで囲まれる環状スペースをシリンダとして、そこに内蔵される配置とされている。この油圧サーボ配置により、プラネタリギヤセットGの外周前側に配置された摩擦材93に対して遠い位置となるため、油圧サーボ9のピストン91は、その押圧部を第1及び第2のクラッチ(C−1,C−2)並びにプラネタリギヤセットのリングギヤR2(R3)の外周を延びて、摩擦材93の端部に達するように延材されている。
【0103】
上記プラネタリギヤセットGのリングギヤR2(R3)の出力軸19Aへの連結部と、第2のブレーキ(B−3)の油圧サーボ9を変速機ケース10の後側の環状スペースに内蔵される配置との関連で、第2のクラッチ(C−2)の油圧サーボ5を後側ボス部10b上に配置できないことから、油圧サーボ5は、この形態では入力軸11の後端部の外周に直接支持する構成が採られている。そして、この構成変更に伴い、油圧サーボ5への油圧供給のために、入力軸11の後部にはサーボ圧用の軸内油路11eが形成され、この油路11eにボス部の油路10yが出力軸19Aを横断する油路を経て連通されている。
【0104】
この形態において付加されているワンウェイクラッチ(F−1)とブレーキ(B−2)については、ワンウェイクラッチ(F−1)は、そのインナレースを第3のクラッチ(C−3)のシリンダ70に固定され、アウタレースをブレーキ(B−2)のハブと一体化された構成とされ、第3のクラッチ(C−3)の前方、すなわち変速機構の最前部に配置されている。アウタレースを変速機ケース10に係止するブレーキ(B−2)は、アウタレースに係合支持された摩擦材と、変速機ケース10の内周スプラインに係合支持されたセパレータプレートを摩擦材とする多板構成のブレーキとされている。ブレーキ(B−2)の油圧サーボは、変速機ケース10の前端壁部をシリンダとし、それに摺動自在に嵌挿されたピストンと、変速機ケース10の前端壁部に軸方向止めされてピストンに当接するリターンスプリングとを備えた構成とされている。
【0105】
こうした構成かなる第7実施形態によれば、プラネタリギヤセットGのリングギヤを欠く外周側に、第2のブレーキ(B−3)の摩擦材93が配置されているので、プラネタリギヤセットG外周側の本来デッドスペースとなる部分をブレーキの摩擦材93の配置に有効に活用できるので、変速機の軸方向及び径方向の短縮に役立てることができる。
【0106】
更に、第2のブレーキ(B−3)は、その摩擦材93を多板の摩擦材とされ、その油圧サーボ9が変速機の最後部に配置されているので、自動変速機ケース10の後端壁部を油圧サーボシリンダとして利用でき、油圧サーボがバンドブレーキの場合のように変速機ケース外部に張り出すことがなくなり、車室のスペースを小さくすることがない。また、バンドブレーキの場合、その係合によって、バンドブレーキの配置されるキャリアに対して、ある方向への力がかかり、これがプラネタリギヤセットのセンタリングや支持、あるいはプラネタリギヤセットが支持されている入力軸の支持やセンタリングに悪影響を及ぼす。そのため、入力軸やプラネタリギヤセットを支持するためのブッシュやベアリング、あるいは入力軸自体を大型化する必要がある。しかし、この実施形態において、第2のブレーキ(B−3)は多板ブレーキであるため、上記のようなことがなく、コンパクトな自動変速機とすることができる。
【0107】
こうした縦置構成の変速機への適用においても、横置式の場合と同様に種々の変更が可能である。以下にこうした変更例を挙げる。まず、図15は第3のクラッチ(C−3)と減速プラネタリギヤG1の位置を逆転させた第8実施形態を模式断面で示す。この場合、第3のクラッチ(C−3)と減速プラネタリギヤG1の相互関係、それらの支持関係、プラネタリギヤセットGとの連結関係、第3のクラッチの油圧サーボ7への油圧の供給は、図8に示す第4実施形態の場合と同様である。
【0108】
次に、図16は上記第8実施形態と同様の配置としながら、第3のクラッチ(C−3)の油圧サーボ7をサポート10fに支持した第9実施形態を示す。この形態では、第3のクラッチの油圧サーボ7はサポート10fから前方に延びるボス部の外周にベアリングを介して支持され、それに伴い油圧サーボ7は前向きの配置に変更されている。そして、油圧サーボ7のシリンダ70の外周側に連設されたドラム72の前端を延長して、位置変更していないワンウェイクラッチ(F−1)のインナレースに連結している。この連結関係から、減速プラネタリギヤG1の外周側がクラッチドラム72により塞がれるため、減速プラネタリギヤG1のキャリアC1は、クラッチハブ74側に連結されている。
【0109】
こうした配置を採る場合、サポート10fの配置により、その分の変速機軸長の増加は避けられないが、油圧サーボ7のサポート10fへの支持で、入力軸11を介さずにサポート内油路10uから油圧サーボ7に油圧の供給が可能となるため、前側ボス部10aと入力軸内の油路配置が単純化される点にある。特に、この配置は、通常油路が錯綜するオイルポンプのボディの延材部として構成される前側ボス部10aの油路を削減することに役立ち、オイルポンプボディの油路構成の自由度を高めることができる点で有効である。
【0110】
次に、図17は上記第9実施形態と同様の配置としながら、第2のクラッチ(C−2)を減速プラネタリギヤG1と第3のクラッチ(C−3)の間に移設した第10実施形態を示す。この形態の場合に先行する各実施形態と本質的に異なるのは、第2のクラッチ(C−2)が入力軸11の途中に介挿された動力伝達となるため、入力軸11が2つに分割される点である。具体的には、入力軸11は第2のクラッチ(C−2)の油圧サーボ5の配設位置で前後に分割され、入力軸の前側部分11Aに後側部分11Bを嵌合させてベアリング支持する構成とされる。そして、第2のクラッチ(C−2)の油圧サーボ5は入力軸11を減速プラネタリギヤG1のリングギヤR1に連結するフランジ11aの直後に、入力軸前側部分11Aの外周と連結部材をシリンダとして構成されている。自身の油圧サーボ5の外周に配置した摩擦材53は、その外周を連結部材に固定したドラム52に支持し、内周を支持するハブ54を入力軸後側部分11Bの前端に固定して配置されている。
【0111】
こうした第10実施形態による利点は、図12の係合図表を参照して明らかなように、第2のクラッチ(C−2)の係合による動力伝達を必要としな第1〜第3速の低速段側において、入力軸後側部分11Bが停止状態となることで、入力回転により連れ回る部材の質量と、その慣性力を小さくできる点にある。
【0112】
最後に、図18は第1及び第3のクラッチを可及的にプラネタリギヤセットに隣接配置した第11実施形態を示す。この形態では、減速プラネタリギヤG1と第2のクラッチ(C−2)を変速機構の最前部に配置している。具体的には、第2のクラッチ(C−2)を、その油圧サーボ5も前側ボス部10aに支持して配置し、減速プラネタリギヤG1をサポート10fから前方に延びるボス部の外周に支持した構成とされている。そして、第2のクラッチ(C−2)の油圧サーボ5は入力軸11のフランジ11aに連結され、クラッチドラム53の開口側先端側が減速プラネタリギヤG1のリングギヤR1に連結されている。第2のクラッチ(C−2)の摩擦材53は油圧サーボ5と減速プラネタリギヤG1のほぼ中間の軸方向位置に配置され、クラッチハブ54が油圧サーボ5と減速プラネタリギヤG1の間を通して入力軸後側部分11Bの前端に連結されている。
【0113】
第3のクラッチ(C−3)の油圧サーボ7とワンウェイクラッチ(F−1)はサポート10fの内周側を後方に延びるボス部の外周に支持されている。また、ブレーキ(B−2)の油圧サーボはサポート10fの外周側の環状スペースに内蔵されている。そして、減速プラネタリギヤG1の出力要素としてのキャリアC1は、サポート10fの内周を通して第3のクラッチ(C−3)のクラッチハブ74に連結されており、このハブ74は、減速回転伝達部材13を介して第1のクラッチ(C−1)の油圧サーボ6に連結されている。
【0114】
こうした第11実施形態による利点は、前記のように第1及び第3のクラッチをプラネタリギヤセットGに可及的に隣接させて配置することで、クラッチ出力側の高トルク伝達経路を最短に構成できる点に加えて、3つのクラッチへの油圧供給路をバランス良く分散させて、入力軸11に並列する複数の軸内油路を設けることなく各油圧サーボへの油圧供給と潤滑油の供給とを行うことができる点にある。
【0115】
以上、本発明を構成要素の形式及び配置並びに連結関係を変更した実施形態を挙げて詳説したが、これらは、代表例の例示であって、本発明は、これら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の個々の請求項に記載の事項の範囲内で種々に具体的な構成を変更して実施することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した車両用自動変速機の第1実施形態のギヤトレインを展開して示すスケルトン図である。
【図2】上記ギヤトレインの実際の3軸位置関係を示す軸方向端面図である。
【図3】上記ギヤトレインの作動及び達成されるギヤ比並びにギヤ比ステップを示す図表である。
【図4】上記ギヤトレインの速度線図である。
【図5】上記ギヤトレインの主軸部分のみを模式化した断面図である。
【図6】上記ギヤトレインの減速プラネタリギヤを変更した第2実施形態の主軸部分の模式化断面図である。
【図7】上記ギヤトレインの第2のブレーキの油圧サーボ配置を変更した第3実施形態の主軸部分の模式化断面図である。
【図8】上記ギヤトレインの第3のクラッチの油圧サーボと減速プラネタリギヤの配置を逆転させた第4実施形態の主軸部分の模式化断面図である。
【図9】第1実施形態に対してギヤトレインの前後関係を全て逆転させた第5実施形態の主軸部分の模式化断面図である。
【図10】第5実施形態に対して第3のクラッチの油圧サーボと減速プラネタリギヤの配置を逆転させた第6実施形態の主軸部分の模式化断面図である。
【図11】本発明を縦置式の車両用自動変速機として具体化した第7実施形態のギヤトレインを示すスケルトン図である。
【図12】第7実施形態のギヤトレインの作動及び達成されるギヤ比並びにギヤ比ステップを示す図表である。
【図13】第7実施形態のギヤトレインの速度線図である。
【図14】第7実施形態のギヤトレインを模式化した断面図である。
【図15】第7実施形態に対して第3のクラッチと減速プラネタリギヤの位置を逆転させた第8実施形態のギヤトレインの模式断面図である。
【図16】第8実施形態に対して第3のクラッチの油圧サーボをサポート支持に変更した第9実施形態のギヤトレインの模式断面図である。
【図17】第9実施形態に対して第2のクラッチを移設した第10実施形態のギヤトレインの模式断面図である。
【図18】第1及び第3のクラッチを可及的にプラネタリギヤセットに隣接配置した第11実施形態のギヤトレインの模式断面図である。
【符号の説明】
G プラネタリギヤセット
G1 減速プラネタリギヤ
11 入力軸
S1 サンギヤ(1要素)
C1(R1) 出力部材
S3 サンギヤ(第1の変速要素)
S2 サンギヤ(第2の変速要素)
C2,C3 キャリア(他の変速要素、第3の変速要素)
R2,R3 リングギヤ(第4の変速要素)
C−1 第1のクラッチ
C−2 第2のクラッチ
C−3 第3のクラッチ
B−1 ブレーキ(第1の係止手段)
B−2 ブレーキ(第2の係止手段)
3 ディファレンシャル装置
6,7,9 油圧サーボ
10 変速機ケース
10a ボス部
10x,10y,10z ケース内油路
11r 潤滑油路
13 出力部材
14 入力部材
19 カウンタドライブギヤ(出力部材)
31 デフリングギヤ
53,63,73 摩擦材
62,72 クラッチドラム

Claims (16)

  1. 減速回転と非減速回転を入力として複数の変速回転を出力するプラネタリギヤセットと、
    前記プラネタリギヤセットの内周側を通る入力軸と、
    前記プラネタリギヤセットと軸方向に並べて配設され、前記入力軸の回転を減速した前記減速回転を出力する減速プラネタリギヤと、
    前記減速プラネタリギヤ前記プラネタリギヤセットの2つの異なる変速要素とをそれぞれ係脱自在に連結し、前記減速プラネタリギヤの減速回転を前記プラネタリギヤセットの2つの異なる変速要素にそれぞれ入力する第1及び第3のクラッチとを備える車両用自動変速機において、
    前記プラネタリギヤセットの一方側に前記減速プラネタリギヤと前記第3のクラッチとを配置し、
    前記減速プラネタリギヤの減速回転を伝達する減速回転伝達部材を前記プラネタリギヤセットの内周側を通して該プラネタリギヤセットの他方側にて前記第1のクラッチに連結し、
    前記第3のクラッチと前記プラネタリギヤセットの1つの変速要素とを、前記プラネタリギヤセットの一方側にて連結部材により連結したことを特徴とする車両用自動変速機。
  2. 前記プラネタリギヤセットは、少なくとも4つの変速要素を備え、
    第1の変速要素は、前記第1のクラッチにより前記減速プラネタリギヤに係脱自在に連結され、
    第2の変速要素は、前記第3のクラッチにより前記減速プラネタリギヤに係脱自在に連結されるとともに、第1の係止手段により変速機ケースに係止可能とされ、
    第3の変速要素は、前記第2のクラッチにより前記入力軸に係脱自在に連結されると共に、第2の係止手段により前記変速機ケースに係止可能とされ、
    第4の変速要素が出力部材に連結された、請求項記載の車両用自動変速機。
  3. 前記第1のクラッチのクラッチドラムは、その開口側を前記プラネタリギヤセット側に向け、かつ、前記減速プラネタリギヤの出力要素に連結させて配置された、請求項1又は2記載の車両用自動変速機。
  4. 前記第3のクラッチの摩擦材は、前記減速プラネタリギヤの外周に配置され、前記第3のクラッチのクラッチドラムは、前記プラネタリギヤセットの1つの変速要素に前記連結部材により連結された、請求項1又は2記載の車両用自動変速機。
  5. 前記減速プラネタリギヤは、その1要素を変速機ケースから延びたボス部で常時固定され、
    前記第3のクラッチの油圧サーボは、前記減速プラネタリギヤに対して前記プラネタリギヤセットとは反対側にあって前記ボス部上に配置された、請求項記載の車両用自動変速機。
  6. 前記第3のクラッチの油圧サーボは、前記減速プラネタリギヤに対して前記プラネタリギヤセット側にあって前記入力軸上に配置され、
    前記第3のクラッチのクラッチドラムは、前記減速プラネタリギヤの出力要素に連結された、請求項1又は2記載の車両用自動変速機。
  7. 前記第3のクラッチの摩擦材は、該第3のクラッチの油圧サーボの外周側に配置された、請求項記載の車両用自動変速機。
  8. 前記入力軸を前記プラネタリギヤセットの第3の変速要素に係脱自在に連結する前記第2のクラッチは、前記プラネタリギヤセットに対して前記第1のクラッチ側に配置され、かつ前記第1のクラッチに対して前記プラネタリギヤセットとは反対側に配置された、請求項記載の車両用自動変速機。
  9. 前記入力軸を前記プラネタリギヤセットの第3の変速要素に係脱自在に連結する前記第2のクラッチは、前記プラネタリギヤセットに対して前記第3のクラッチ側に配置され、かつ前記第3のクラッチに対して前記プラネタリギヤセットとは反対側に配置された、請求項記載の車両用自動変速機。
  10. 前記第1のクラッチの摩擦材は、前記プラネタリギヤセットの外周に、
    前記第2のクラッチの摩擦材は、前記第1のクラッチの油圧サーボの外周に、
    前記第3のクラッチの摩擦材は、前記減速プラネタリギヤの外周に配置された、請求項記載の車両用自動変速機。
  11. 前記第2のクラッチの油圧サーボの外周に前記第2の係止手段である第2のブレーキの油圧サーボが配置された、請求項10記載の車両用自動変速機。
  12. 前記車両用自動変速機は、ディファレンシャル装置を有する横置式の変速機とされ、
    前記ディファレンシャル装置は、そのデフリングギヤが前記第3のクラッチの油圧サーボの外周かつ該第3のクラッチの摩擦材と軸方向にずらした位置に配置された、請求項10記載の車両用自動変速機。
  13. 前記プラネタリギヤセットに対して、前記第3のクラッチと前記減速プラネタリギヤは前側、前記第1のクラッチと前記第2のクラッチは後側に配置され、前記第3のクラッチの外周に前記第1の係止手段である第1のブレーキが配置された、請求項又は記載の車両用自動変速機。
  14. 前記第1のブレーキは、バンドブレーキとされた、請求項13記載の車両用自動変速機。
  15. 前記第3のクラッチの油圧サーボへの油路と潤滑油路は、一方のケース壁のケース内油路に連通され、
    前記第1のクラッチと前記第2のクラッチの油圧サーボへの油路は、他方のケース壁のケース内油路にそれぞれ連通された、請求項又は記載の車両用自動変速機。
  16. 前記プラネタリギヤセットの出力を他軸に出力する前記出力部材であるカウンタギヤを備え、
    該カウンタギヤが前記プラネタリギヤセットと前記第3のクラッチの間に配置された、請求項記載の車両用自動変速機。
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