JP4096575B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、燃料電池システム、特に燃料電池に備えた電解質膜の加湿手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子型燃料電池を運転する際には、電解質膜の水分管理が重大な問題となる。電解質膜が乾燥するとイオン伝導度が下がるために、抵抗過電圧が増加して発電効率が低下する。その反面、電解質膜を狭持するガス拡散層内の水が過剰に多くなると、電極への反応ガスの拡散が妨害されるので拡散過電圧が増加して発電効率が低下する。
【0003】
そこで、電解質膜の加湿用水量を最低限に抑えるために、排出ガスに含まれていた加湿水と反応生成水を水交換機によって回収し、回収した水によって再び反応ガスを加湿するという方法が提案されている。しかしこの方法では、水交換専用の複雑なセルが必要となるので、燃料電池システムの体積と重量が増大するという問題がある。
【0004】
そこで、例えば特開2000―32315号公報では、イオン交換樹脂膜(電解質膜)/電極接合体の少なくとも一面、または外縁に額縁形状の吸水性シートを配置して、吸水性シートに含まれる水分によって反応ガスを加湿することが提案されている。この加湿システムは、ガス供給側マニホルド内に露出する第1の吸水性領域と、ガス排出側マニホルド内に露出する第2の吸水性領域と、第1および第2の吸水性領域を連結する第3の吸水性領域とを単位セル内に備えたものである。第2の吸水性領域において排出ガスに含まれる水分を吸収し、第3の吸水性領域を介して第1の吸水性領域に拡散することにより、低加湿または乾燥した状態で供給される反応ガスの加湿を行い、触媒層およびイオン交換樹脂層の乾燥を防いでいる。
【0005】
【発明が解決しようとしている問題点】
しかしながら、特開2000−32315号公報のような構成では、ガス排出側の第2の吸水性領域からガス供給側の第1の吸水性領域に水分が拡散するまでに時間がかかるという問題がある。第2の吸水性領域から第1の吸水性領域に水分が移動するのは、第3の吸水性領域内の含水率に勾配が生じるためであり、このような拡散現象は含水率の勾配がよほど大きくないと充分な拡散速度を得ることができない。そのため、第1の吸水領域において効率のよい発電を行うのに充分な水分を得ることが難しい。
【0006】
また、ガス排出側の第2の吸水性領域の含有率が飽和に近づくと吸水効率が低下し、多くの水分が排出ガスと一緒に燃料電池システム外に排出される。このため、供給側で加湿水として利用するのに充分な水を、排出側で回収するのが難しいという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、排出側で回収した水を供給側の反応ガスの加湿に効率よく利用できる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
複数の単位セルを積層することにより形成し、供給された反応ガスを用いて発電を行う燃料電池を備えた燃料電池システムにおいて、前記単位セルに反応ガスを供給するマニホルドと、前記単位セルで発電に利用した後の排出ガスを回収するマニホルドと、それぞれの前記マニホルド内のガス流路に設けた吸水材と、前記単位セルの反応ガス出入口に配置され、反応ガスの湿度を測定し、反応ガスの湿度状態が所定範囲であるかどうかを判断する湿度測定手段と、反応ガスの湿度が所定範囲外であると判断されたときに、前記単位セルに供給する反応ガスの流れ方向を切換える切換え手段と、を備え、前記湿度測定手段で測定した反応ガスの湿度に基づき、前記切換え手段により反応ガスの流れ方向を切換えることで、水分を多く含んでいる排出側の吸水材を、反応ガスを加湿する供給側の吸水材とし、排出ガスに含まれた水分を反応ガスの加湿水として使用する。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、三方弁を組み合わせることにより前記切換え手段を構成する。
【0018】
【作用及び効果】
第1の発明によれば、反応ガスの湿度が所定範囲外であると判断されたときに、供給される反応ガスの流れ方向を切換えることで、排出側の吸水材により回収した水分を供給側で反応ガスの加湿に効率よく利用することができる。また、反応ガスの湿度を測定する湿度測定手段を備え、測定された反応ガスの湿度に基づき、少なくとも供給側の反応ガスの湿度が所定値より低いと判断されたとき、もしくは、排出側の反応ガスの湿度が所定値よりも高いと判断されたときに、切換え手段により反応ガスの流れ方向を切換えることで、反応ガスを効率的に加湿することができる。また、湿度測定手段を前記単位セルの反応ガス出入口付近に配置することで、発電が行われる位置の湿度状態を正確に判断することができる。
【0019】
第2の発明によれば、三方弁を組み合わせることにより切換え手段を容易に、また低コストで構成することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
第1の参考例の燃料電池システムにおける燃料電池6の加湿システムの構成を図1、図2に示す。燃料電池6には、アノード極には水素含有ガスが、カソード極には酸素含有ガスが反応ガスとして供給され、発電に利用された後に排出ガスとして排出される。
【0027】
燃料電池6を、電解質膜を狭持する電極を単位セル3とし、それを積層することにより形成した積層体2と、各単位セル3に反応ガスを供給、または各単位セル3で発電に利用した後の排出ガスを回収するマニホルド1a、1bと、から構成する。ここで、マニホルド1内のガス流路にはそれぞれ吸水材を配置する。吸水材は、吸水性高分子樹脂や繊維状の紙または布等の有機系吸水材、シリカゲル、アルミナゲル等の無機系吸水材のどちらを用いることもできる。また、吸水材は少なくともマニホルド1の一部、ここではマニホルド1内のガス流路全域に配置する。ガス流路全域に吸水材を配置することで、吸水材が反応ガスまたは排出ガスに接触する時間が長くなるので、後述するような反応ガスの加湿や排出ガスからの水分の回収を充分に行うことができる。
【0028】
燃料電池6の周囲には、改質システムまたは水素タンク等からの反応ガスの供給部となる三方弁20と、三方弁20とマニホルド1aまたは排出口7aを連通する三方弁21と、マニホルド1bと三方弁20または排出口7bを連通する三方弁22と、を配置する。それぞれの三方弁20、21、22の開閉は、燃料電池6からの信号を用いた制御演算ユニット8における演算により得られた切換え信号により制御する。
【0029】
図1に、マニホルド1aがガス供給側マニホルドである場合の三方弁20、21、22の開閉状態を示す。
【0030】
三方弁20については、反応ガス供給部側のポート20aおよび三方弁21側のポート20cを開き、三方弁22側のポート20bを閉じる。また、三方弁21については、三方弁20側のポート21aおよびマニホルド1a側のポート21bを開き、排出口7a側のポート21cを閉じる。このように、三方弁20及び21の開閉を制御することで、反応ガスを三方弁20から三方弁21を介してマニホルド1aに供給する。
【0031】
マニホルド1aに供給した反応ガスは、マニホルド1a内に備えた吸水材に含まれた水分により加湿された後、積層体2内の単位セル3に分配されて発電に利用される。発電後には、加湿水および生成水を含んだ排出ガスとしてマニホルド1bに排出される。マニホルド1bにおいて、マニホルド1b内に備えた吸水材により、この排出ガスに含まれた水分を回収する。
【0032】
水分を回収された排出ガスは、三方弁22を介して排出口7bからシステム外部に排出される。このとき、三方弁22については、マニホルド1b側のポート22aおよび排出口7b側のポート22cを開き、三方弁20側のポート22bは閉じておく。それぞれの三方弁20、21、22の開閉をこのように制御することにより、反応ガスをマニホルド1a側から供給し、マニホルド1b側から排出することができる。
【0033】
一方、図2にはマニホルド1aがガス排出側マニホルドである場合の三方弁20、21、22の開閉状態を示す。
【0034】
ここでは、三方弁20については、反応ガス供給部側のポート20aおよび三方弁22側のポート20bを開き、三方弁21側のポート20cを閉じる。また、三方弁22については、三方弁20側のポート22bとマニホルド1b側のポート22aを開き、排出口7b側のポート22cを閉じる。このように、三方弁20及22の開閉を制御することで、三方弁20から三方弁22を介して反応ガスをマニホルド1bに供給できる。
【0035】
反応ガスは、マニホルド1bに備えた吸水材の含有する水分により加湿されてから積層体2に供給される。積層体2において発電に用いられた後、加湿水および生成水を含んだ状態でマニホルド1aに排出される。マニホルド1aにおいては、この排出ガス中に含まれた水分を、マニホルド1aに備えられた吸水材により回収する。
【0036】
その後、排出ガスは三方弁21に供給され排出口7aよりシステム外部に排出される。このとき、三方弁21については、マニホルド1a側のポート21bおよび排出口7a側のポート21cを開き、三方弁20側のポート21aは閉じておく。このように、それぞれの三方弁20、21、22の開閉を制御することにより、反応ガスをマニホルド1b側から供給して、マニホルド1a側から排出することができる。
【0037】
以上のように三方弁20、21、22を組み合わせてその開閉を制御することにより、燃料電池6に供給する反応ガスの流れ方向を容易に切換えることができる。ポンプやファン等を用いることにより反応ガスの流れ方向を切換えることもできるが、ここでは、三方弁20、21、22を用いることでコストを抑えることができる。
【0038】
次に、このような反応ガスの流れ方向の切換えの制御方法を説明する。第1の参考例においては、図3に示すように、それぞれのマニホルド1a、1bに、特にマニホルド1a、1bのガス供給口および排出口付近に湿度センサ9a、9bを配置する。
【0039】
ここで図4に、ガスの流れ方向を一定とした場合のマニホルド1のガス供給口および排出口付近における湿度特性を示す。
【0040】
燃料電池6に供給される反応ガスは、まず供給側マニホルド1a(1b)のガス供給口付近の吸水材に含まれた水分により加湿される。加湿が進み、入口付近の吸水材の含水率が低くなると、マニホルド1a(1b)の入口から離れたところの吸水材に含まれた水分によって加湿される。この様に、マニホルド1a(1b)の入口付近に配置された吸水材の含水率は他の部分に比べて短時間のうちに低下する。その結果、ガス入口付近(すなわち吸水材の上流付近)の湿度の時間変化が大きくなるので、湿度センサ9a(9b)の測定値を吸水材による加湿効果の指標とすることで、反応ガスの加湿状態に敏感な制御を行うことができる。そこで、供給側マニホルド1a(1b)のガス入口に配置した湿度センサ9a(9b)により測定した値が、所定の下限値に達したら、制御演算ユニット8から切換え信号を出力して、反応ガスの流れ方向を切換える。
【0041】
一方、排出側のマニホルド1b(1a)に備えた吸水材は、排出ガスに含まれる水分を吸水するので時間が経つにつれて含水率は増加する。ここで、吸水材はその含水率が大きくなると吸水性能が低下する。そのため、単位セル3から排出される排出ガスに含まれる水分は、初め単位セル3の出口付近の吸水材により吸水され、含水率が増加するにつれてマニホルド1b(1a)の出口付近の吸水材によっても吸水されるようになるが、最終的に含水率が所定値より大きくなると、排出ガスと一緒に多くの水分が排出されてしまうので、図4に示したように排出側のマニホルド1b(1a)の排出口(すなわち吸水材の下流付近)における湿度が上昇する。そこで、排出ガスとともに水分が排出されるのを防ぐために、排出ガスの湿度が所定の上限値に達したら反応ガスの流れ方向を切換える。その結果、水分を多く含んでいる排出側の吸水材が反応ガスを加湿する供給側の吸水材となり、排出ガスに含まれた水分を反応ガスの加湿水として利用することができる。また、無駄にシステム外部に排出される水分量を低減することができるので、水の利用効率を向上することができる。
【0042】
このように、供給側の湿度の下限値と、排出側の湿度の上限値を設定し、少なくともどちらか一方が限界値まで達したら、制御演算ユニット8から各三方弁20、21、22へ切換え信号を出力して反応ガスの流れ方向を切換える。供給側のマニホルド1a(1b)の湿度が低下した時にガスの流れ方向を切換えることで、排出側で回収した排出ガス内に含まれていた水分を加湿に利用することができるので、電解質膜が乾燥するのを防ぐことができる。一方、排出側のマニホルド1b(1a)の排出ガスの湿度が所定上限値となった時にガスの流れ方向を切換えることで、吸水材の吸水性能低下により排出ガス中に含まれる水分をシステム外に排出するのを抑えることができる。このように制御することで、電解質膜の乾燥による抵抗過電圧の増大や水詰まりによる拡散過電圧の増大を抑えることができ、効率のよい発電を行うことができる。
【0043】
また、ガスの流れ方向を切換えることで単位セル3内のガスの流れ方向も切換えることができる。ここで、反応ガス濃度は単位セル3内の流路に沿って減少するので、セル面内電流密度分布および温度分布が発生する。しかし、反応ガスの流れ方向を切換えることでこれらの分布を緩和することができ、燃料電池6の発電効率を向上することができ、また、燃料電池6の熱管理も容易になる。さらに、マニホルド1に吸水材を配置するとともに、三方弁20、21、22の開閉を組み合わせて反応ガスの加湿および水分の回収を行うので、セル構造およびガスの流れ方向の切換え手段を簡単に構成でき、またコストを抑えることができる。
【0044】
なお、反応ガスの加湿量が多すぎて水詰まりが起こり易いと判断されたときにも、反応ガスの流れ方向を切換えることでフラディングの発生を防ぎ、燃料電池6の信頼性を高めることができる。
【0045】
次に、本発明の第1の実施形態の燃料電池システムにおける燃料電池6の加湿システムを説明する。ここでは、第1の参考例と同様に三方弁20、21、22によりガスの流れ方向を切換える。
【0046】
本実施形態では図5に示すように、湿度センサ10a、10bを積層体2のガス流路の出入口付近、ここではマニホルド1と積層体2との間に配置する。
【0047】
反応ガスが一定の方向に流れる時の、マニホルド1と積層体2の間の湿度特性を図6に示す。
【0048】
ここに示すように、供給側の吸水材に含まれた水分により反応ガスの加湿を行った場合、吸水材の含水量が低下するにつれて積層体2付近の湿度も低下する。そのため、供給側の湿度センサ10a(10b)の測定値が所定の限界値まで低下したら、制御演算ユニット8から三方弁20、21、22に切換え信号を出力してガスの流れ方向を切換える。
【0049】
このように、ガスの流れ方向の切換えを積層体2付近に配置した供給側の湿度センサ10a(10b)で判断することにより発電に直接かかわるセルの情報をより正確に得ることができる。そのため、電解質膜の加湿が充分かどうかを正確に判断することができる。ここで、さらに正確に判断するために単位セル3内に湿度センサを配置することも考えられるが、電圧低下の原因となるのを避けるために本実施形態では積層体2のガス入口付近に配置した。また、反応ガスの流れ方向が切替わっても同じ条件で測定が行えるように、ガスの入口と出口付近の両方に湿度センサ10a、10bを配置した。
【0050】
次に、第2の実施形態について図7を用いて説明する。
【0051】
本実施形態では、第1の参考例で用いた湿度センサ9a、9bと第1の実施形態で用いた湿度センサ10a、10bを併用し、供給側の湿度センサ9a、10a(9b、10b)の差と、排出側の湿度センサ9b、10b(9a、10a)の差によりガスの流れ方向の切換えを行う。
【0052】
ガスの流れ方向を一定とした場合の供給側の湿度センサ9a、10a(9b、10b)の差を図8の(a)に、排出側の湿度センサ9b、10b(9a、10a)の差の特性を図8の(b)に示す。
【0053】
図8(a)に示すように、まず湿度センサ9a(9b)を配置したマニホルド1a(1b)の反応ガス供給口付近の湿度が急激に低下することにより、マニホルド1a(1b)の反応ガス供給口付近の湿度と、積層体2のガス入口付近の湿度との差が大きくなる。その後、積層体2のガス入口付近の湿度も下がり、またマニホルド1a(1b)の反応ガス供給口付近の湿度は一定となるのでその差が急に小さくなる。このため、積層体2付近の湿度が下がる時に、湿度センサ9a(9b)と湿度センサ10a(10b)の湿度差が急激に減少する。この積層体2付近の湿度が低下する時点を切換えのタイミングとすることで、判断を容易にまた確実にすることができ、また電解質膜の乾燥を防ぐことができる。
【0054】
一方、図8(b)に示すように、積層体2のガス出口付近の湿度と排出側マニホルド1b(1a)の排出口付近の湿度との差は徐々に小さくなる。これは、排出側マニホルド1b(1a)内に配置した吸水材の含水率が上昇するにつれて、排出ガス中の水分が吸水されずに、そのままマニホルド1b(1a)の排出口から排出される割合が増加することを示している。よって、所定の下限値を設定し、その下限値に達したら反応ガスの流れ方向を切換えることにより、排出される水分を低減して効率のよい水分の回収を行うことができる。
【0055】
このように、電解質膜に供給される反応ガスの湿度が低下した場合に、反応ガスの流れ方向を切換えることで、排出側の吸水材に含まれた水を加湿に利用することができるので、抵抗過電圧を抑制することができる。また、排出側の吸水性能が低下したときにもガスの流れ方向を切換えるので、排出ガス中の水分を効率よく回収することができる。
【0056】
次に、第2の参考例に用いる燃料電池6を図9を用いて説明する。
【0057】
燃料電池6のマニホルド1a、1bに、湿度判断手段としての吸水材30の含水率を推定する含水率推定手段11a、11bを配置する。ここで、供給側および排出側に配置した吸水材30の含水率の時間変化を図10に示す。図10に示すように、供給側に配置した吸水材30の含水率は反応ガスの加湿に伴って減少し、排出側に配置した吸水材30の含水率は排出ガスからの水分回収に伴って増加する。よって、供給側の吸水材30の含水率が所定の下限値に達したら、もしくは排出側の吸水材30の含水率が所定の上限値に達したら、ガスの流れ方向を切換えて供給側と排出側を入れ替える。これにより、含水率の高い吸水材30が供給側に、含水率が低い吸水材30が排出側に配置されるので、再び反応ガスの加湿および排出ガスからの水分の回収を効率的に行うことができる。
【0058】
第2の参考例における吸水材30の含水率推定手段11を図11に示す。
【0059】
マニホルド1a、1bに配置したそれぞれの吸水材30の表面に歪みセンサ12を設置する。ここでは吸水材30として、含水率が高いほどその体積が増加するものを使用して、図12に示すような歪みセンサの出力と吸水材30の含水率の関係を予め測定しておく。図12を用いて歪みセンサの出力から含水率を推定し、供給側では所定の下限値に達したら、排出側では所定の上限値に達したらガスの流れ方向を切換える。
【0060】
このように、歪みセンサ12を用いて含水率を推定することにより、電解質膜の加湿状態を推測して加湿に必要な水分が吸水材30に含まれているかどうかを判断するとともに、排出側の吸水材30の吸水性能が低下していないかどうかを判断することができる。
【0061】
次に、第3の参考例について設明する。ここでは、第2の参考例と同様に、吸水材30の含水率を推定する含水率推定手段11を設ける。
【0062】
第3の参考例で用いる含水率推定手段11の構成を図13に示す。
【0063】
吸水材30の一端をマニホルド1に接続するための弾性パーツ13と、弾性パーツ13に設置した歪みセンサ14とを用いる。ここで、吸水材30の他端も同様に弾性パーツ13で固定してもよいが、ここではひも状等の支持部を介してマニホルド1と接続させる。吸水材30は吸水材30の重みの変化が弾性パーツ13に直接伝わるように、吸水材30は弾性パーツ13および支持部以外には接触しないように配置する。歪みセンサ14は、吸水材30の重みの増加による弾性パーツ13の弾性変形を測定するように、例えば、弾性パーツ13の上部表面に設置する。
【0064】
図14に示すように、吸水材30が排出ガス中の水分を回収して重くなり、弾性パーツ13にかかる荷重が大きくなった時には、弾性パーツ13の変形も大きくなるので歪みセンサ14の出力も大きくなる。反対に吸水材30中の水分が反応ガスの加湿に消費されて軽くなると、弾性パーツ13の変形が小さくなるので歪みセンサ14の出力が小さくなる。よって、歪みセンサ14の出力から含水率を推定することができ、この推定値が第2の参考例と同様に所定の限界値まで達したら反応ガスの流れ方向を切換える。
【0065】
次に、第4の参考例について説明する。第2の参考例と同様に、マニホルド1a、1bに含水率推定手段11を設ける。
【0066】
第4の参考例では、含水率推定手段11として、図15に示すような発光体15および光センサ16を配置する。吸水体の一端または一部をマニホルド1a、1bに固定し、固定されていない他端に一部の光が遮られるように発光体15を配置する。吸水材30を挟んで向かいに光センサ16を配置して、発光体15の光を検知する。つまり、発光体15の一部と光センサ16の一部とにより吸水材30を狭むように配置する。吸水材30の含水率が高くなると吸水材30の体積が増大して、特に固定されていない端部の位置が変化する。これにより、図16に示すように吸水材30によって遮られる発光体15の面積も増大するので、光センサ16の出力が小さくなる。一方、吸水材30の含水率が小さい時には、吸水材30の体積は小さくなり、発光体15が吸水材30によって遮られる面積は小さくなるので、光センサ16の出力は大きくなる。
【0067】
このように、光センサ16の出力から吸水材30の含水率を推定することができ、第2の参考例と同様に含水率の推定値が所定の限界値まで達したら反応ガスの流れ方向を切換えて、供給側と排出側を入れ替えることで効率的な加湿および水分回収を行うことができる。
【0068】
第5の参考例に用いる燃料電池6を図17を用いて説明する。第5の参考例では、燃料電池6の電圧により電解質膜の状態を判断する。
【0069】
ここでは、燃料電池6の単位セル3の電圧を測定するセル電圧計17または積層体2の電圧を測定する積層体電圧計18を設置する。
【0070】
反応ガスの流れ方向が一定であるときのセル電圧および積層体電圧の時間変化を図18に示す。セル電圧または積層体電圧は、吸水材の含水量が低下して電解質膜が乾燥すると図18に示すように低下する。そこで、セル電圧または積層体電圧の下限を設定し、その所定値に達したらガスの流れ方向を切換えて供給側と排出側を入れ替えることにより、電解質膜の加湿に必要な水分を回収・供給することができる。このような構成とすることで、特に含水率推定手段11等を設けずに電圧を測定するだけで、電解質膜を適度に加湿することができる。
【0071】
各実施形態は、水素含有ガスが供給されるアノード極と酸素含有ガスが供給されるカソード極のどちらか一方、あるいは両方で実施できるが、発電による生成物として水を生じるカソード極側においてより大きな効果を得ることができる。
【0072】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内で様々な変更が成し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】マニホルド1aを供給側としたときの三方弁の開閉状態を示す図である。
【図2】マニホルド1bを供給側としたときの三方弁の開閉状態を示す図である。
【図3】第1の参考例に用いる湿度センサの設置位置の説明図である。
【図4】第1の参考例に用いる湿度センサによる測定値の時間変化を示す図である。
【図5】第1の実施形態に用いる湿度センサの設置位置の説明図である。
【図6】第1の実施形態に用いる湿度センサによる測定値の時間変化を示す図である。
【図7】第2の実施形態に用いる湿度センサの設置位置の説明図である。
【図8】第2の実施形態に用いる湿度センサによる測定値の差の時間変化を示す図である。
【図9】第2の参考例に用いる含水率推定手段の設置位置の説明図である。
【図10】第2の参考例に用いる吸水材の含水率の時間変化を表す図である。
【図11】第2の参考例に用いる含水率推定手段の構成図である。
【図12】第2の参考例に用いる歪みセンサと吸水材の含水率の関係図である。
【図13】第3の参考例に用いる含水率推定手段の構成図である。
【図14】第3の参考例に用いる歪みセンサと吸水材の含水率の関係図である。
【図15】第4の参考例に用いる含水率推定手段の構成図である。
【図16】第4の参考例に用いる光センサと吸水材の含水率の関係図である。
【図17】第5の参考例に用いる電圧計の設置位置の説明図である。
【図18】第5の参考例に用いる電圧による測定値の時間変化を示す図である。
【符号の説明】
1 マニホルド
3 単位セル
6 燃料電池
9、10 湿度センサ(湿度測定手段)
11 含水率推定手段
12 歪みセンサ
13 弾性体
14 歪みセンサ
15 発光体
16 光センサ
17 セル電圧計(電圧測定手段)
18 積層体電圧計(電圧測定手段)
20、21、22 三方弁
30 吸水材
Claims (2)
- 複数の単位セルを積層することにより形成し、供給された反応ガスを用いて発電を行う燃料電池を備えた燃料電池システムにおいて、
前記単位セルに反応ガスを供給するマニホルドと、前記単位セルで発電に利用した後の排出ガスを回収するマニホルドと、
それぞれの前記マニホルド内のガス流路に設けた吸水材と、
前記単位セルの反応ガス出入口に配置され、反応ガスの湿度を測定し、反応ガスの湿度状態が所定範囲であるかどうかを判断する湿度測定手段と、
反応ガスの湿度が所定範囲外であると判断されたときに、前記単位セルに供給する反応ガスの流れ方向を切換える切換え手段と、を備え、
前記湿度測定手段で測定した反応ガスの湿度に基づき、前記切換え手段により反応ガスの流れ方向を切換えることで、水分を多く含んでいる排出側の吸水材を、反応ガスを加湿する供給側の吸水材とし、排出ガスに含まれた水分を反応ガスの加湿水として使用することを特徴とする燃料電池システム。 - 三方弁を組み合わせることにより前記切換え手段を構成する請求項1に記載の燃料電池システム。
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