JP4098536B2 - パターン転写層を設けた有機el転写体、有機el被転写体および有機el素子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機EL転写体、有機EL被転写体と、この有機EL転写体、被転写体を用いた有機EL素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機EL素子は自発光型の素子であり、視野角が広く、低電圧駆動、高輝度であること、構成層が液晶素子と比べて少なく製造が容易であり、薄形化できる等の長所を有している。このような有機EL素子は液晶ディスプレイの次の表示素子として注目されており、カラー表示素子を作成するにあたり、各色に発光する有機EL材料を微細パターンで選択的に形成することが重要な技術課題となっている。
【0003】
現在、このような有機EL素子を用いたカラー表示素子の作製方法としては、3種の方式が知られている。第1は白色に発光する有機EL材料とカラーフィルターを組み合わせて用いる方法である。第2は青色発光の有機EL素子と前記素子の青色を赤色、緑色に変換する色変換層を用いる色変換方式である。第3は赤、青、緑それぞれに発光する有機EL材料をそれぞれ独立に配置する方式である。この3種の方式で、有機EL素子の発光を効率良く利用できる方法は第3の方法であり、第1,2の方法では発光の利用効率は3分の1程度と非常に低利用率である。
【0004】
しかしながら、この第3の方式では、有機EL材料が一般にウエットプロセスに非常に弱いため、フォトリソ技術を用いた高精細化が困難である問題がある。このため、第3の方式でR,G,Bを独立に配置させるには、シャドウマスクを用いた蒸着方法が一般に行われている。しかしながら、この方式ではシャドウマスクの微細加工が困難なこと、またシャドウマスクのパターンが微細であれば微細であるほどシャドウマスクが薄くならざるを得ず、シャドウマスクの伸び縮み歪みや、蒸着の回り込みなどによって、正確な蒸着成膜が困難であること、等の多くの問題点がある。
【0005】
この第3の方式のうち、特に転写法を用いた作成方法が特開平12−011216号公報、特開平12−077182号公報、特開平11−307246号公報、特開平10−208881号公報、特開平11−054275号公報、特開平9−167684号公報等に開示されている。しかしながら、これらの方法は基本的に発光材料を昇華させて転写させる昇華転写方法である。昇華転写は材料を昇華させるほどの高温を必要とするので、その高温に耐えられかつ転写に適した支持体を用いる必要があるが、その選定は困難である。またこのような材料の転写体への形成には、通常は転写が用いられるので、生産性にも問題点がある。また昇華した材料が発散して非形成部にまで及んでしまう問題もある。また特開平12−011216号公報に開示の方法は、転写体作製に高熱伝導性シートに凸状突起を形成し、その上に有機材料を蒸着させるという転写体作製に手間がかかる問題がある。さらに特開平12−077182号公報も、転写体が格子状または帯状の低熱伝導部とその内部の高熱伝導部からなることより、転写体作製が非常に困難であることなど、満足な転写方法が得られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、比較的低い温度で簡易に高精細のパターン転写が可能な有機EL転写体、被転写体と、この有機EL転写体または被転写体を用いた高品質の有機EL素子好適にはフルカラーの有機EL素子の製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、溶融転写用の有機EL転写体または有機EL被転写体の表面に、接着性および/または濡れ性の違いによるパターンが形成される層を設けることにより、比較的低温で簡易に高精細のパターン転写が可能な有機EL転写体、有機EL被転写体を提供することができることを見いだし本発明を完成させた。
【0008】
したがって、本発明の有機EL転写体は、支持体と、前記支持体上に形成された剥離層と、前記剥離層上に形成された有機EL転写層から少なくともなる有機EL転写体であって、前記有機EL転写層側の表面である転写表面が接着性および/または濡れ性の違いによるパターンを形成しうるパターン転写層からなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の有機EL被転写体は、基体と、前記基体上に形成された電極から少なくともなる有機EL被転写体であって、前記電極側の表面である転写表面が接着性および/または濡れ性の違いによるパターンを形成しうるパターン転写層からなることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
有機EL転写体
(支持体)
本発明において、有機EL転写体に用いられる支持体は、有機EL転写体に強度を付与する部材であり、転写後に被転写体から剥がされる部材である。
【0011】
支持体は熱に強い材料が求められる。具体的には支持体のTgが転写温度以上であるのが好ましいが、耐熱性処理をした支持体、例えばPETフィルムであってもよい。また、支持体は好ましくは剥離層をコーティングしやすい性質のものとするが、支持体上にプライマー層を形成することにより剥離層をコーティングしやすいものとすることもできる。
【0012】
(プライマー層)
本発明の有機EL転写体に好ましくは設けることのできるプライマー層は、支持体と剥離層との間に設けることのできる層であり、支持体とも剥離層とも相性が良く、支持体上に剥離層がコーティングしやすい材料からなるものであればよい。このようなプライマー層は、例えば、剥離層形成時に、塗布均一性等の塗布性を向上させるなどの効果を有する。
【0013】
(剥離層)
本発明の有機EL転写体には、好ましくは剥離層を設けることができる。この剥離層としては、通常の転写に用いるものを用いることができる。例えば、有機EL層転写層が溶剤系の材料である場合には、有機EL転写体製造において剥離層上に有機EL層をコーティングするために、水溶性ポリマーから選ばれるものである材料とすることができる。このようなものとしては、具体的には例えばPVA(ポリビニルアルコール)を含むものが挙げられる。しかしながら、溶剤系のポリマーも可能である。
【0014】
このように、剥離層に有機EL転写層との剥離性のよい材料を用いることによって、比較的低温で有機EL転写層を転写させEL素子を作製することができる。
【0015】
剥離層には、好ましくは以下の光を熱に変換する光熱変換物質を含有させることができる。
【0016】
光熱変換物質としては、用いる光源に応じ、光を吸収し効率良く熱に変換する物質が挙げられる。例えば近赤外線の半導体レーザーを光源として用いる場合は近赤外線に吸収帯を有する物質が好ましく、具体的にはカーボンブラック、グラファイト、フタロシアニン系色素、スクアリウム系色素、クロコニウム系色素、アズレニウム系色素、ニトロソ化合物及びその金属錯塩、ポリメチン系色素、ジチオール金属錯塩系色素、トリアールメタン系色素、インドアニリン金属錯体色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素等が挙げられる。
【0017】
光熱変換物質とともに用いることのできるバインダーとしては、例えばPVAが挙げられる。その他に、ガラス転移点が高く、熱伝導率の高い樹脂、例えばポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリスチレン、エチルセルロース、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、アラミドなどの一般的な耐熱性樹脂を使用することもできる。この中でも水溶性ポリマーは有機EL転写層との剥離性もよく好ましい。
【0018】
このような光熱変換物質を含む層を設けることにより、例えばレーザー転写を容易に行うことができるようになる。また、独立の光熱変換物質含有層を設けてもよい。
【0019】
(有機EL転写層)
本発明の有機EL転写体には、有機発光材料を含む発光層を少なくとも有し、他に任意の層を有する転写可能な層(これらの層をまとめて有機EL転写層とよぶ)が設けられる。このような層としては、例えば好ましくは加熱によって溶融または軟化する有機発光材料からなる層が挙げられる。
【0020】
本発明における有機EL転写層の最上層には、好ましくは接着性向上物質を混入し、好ましくは加熱によって軟化する層とする。これにより転写温度を低下させ、界面の密着性が向上することにより、有機EL素子の発光特性を向上させることができる。
【0021】
また、発光層に加えさらに正孔輸送層、電子輸送層等を適宜組み合せて、多層構造にすることも好ましい。この場合、最上層は発光層の他に正孔輸送層などであることができる。
【0022】
この転写体の最上層と被転写体の最上層の組合せにより転写温度が変化するが、有機EL材料およびEL素子は比較的高温に弱いので、材料のTg以上、溶融点以下で転写することが好ましい。
【0023】
(パターン転写層)
本発明の有機EL転写体に用いられるパターン転写層は、接着性および/または濡れ性の違いによるパターンが形成しうる層または形成した層である。
【0024】
このような層としては、発光層、正孔輸送層に熱により接着性が変化する材料を混合した層や、光により濡れ性が変化する光触媒含有層などの層、光により接着性が変化する層が挙げられる。特に有機EL発光層は、不純物による発光劣化があるため、正孔輸送層に接着性が変化する材料を混合するか、光触媒含有層を用いることが好ましい。好ましい態様は後述する。
【0025】
有機EL被転写体
(基体)
本発明において有機EL被転写体に用いられる基体は、有機EL被転写体に強度を付与する部材であり、製造後の有機EL素子においても、強度付与その他の機能を有する部材である。有機EL素子製造後の基体は、その上に電極やEL層が設けられるものであり、所望により透明材料からなることができるが、不透明材料であってもよい。本発明の方法において製造される有機EL素子では、基体は電極そのものであってもよいが、通常は強度を保持する基体の表面に電極が、直接または中間層を介して設けられる。
【0026】
(電極)
有機EL素子においては、電極が対向して設けられるが、本発明においてはそのうち一方の電極が有機EL被転写体に設けられる。他方の電極は、典型的には有機EL転写体を転写した後に形成されるが、有機EL転写体の側に予め形成することもできる。
【0027】
これらの電極は通常の有機EL素子に用いられるものであれば限定されず、これらの電極の一方または双方がパターニングされていることが好ましい。また、これらの電極は、陽極と陰極からなり、陽極と陰極のどちらか一方が、透明または、半透明であり、陽極としては、正孔が注入し易いように仕事関数の大きい導電性材料が好ましく、逆に陰極としては、電子が注入し易いように仕事関数の小さい導電性材料が好ましい。また、複数の材料を混合させてもよい。いずれの電極も、抵抗はできるだけ小さいものが好ましく、一般には、金属材料が用いられるが、有機物あるいは無機化合物を用いてもよい。
【0028】
具体的な好ましい陽極材料としては、例えば、ITO、酸化インジウム、金が挙げられる。好ましい陰極材料としては、例えばマグネシウム合金(MgAg他)、アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMg他)、金属カルシウムおよび仕事関数の小さい金属が挙げられる。
【0029】
(パターン転写層)
本発明の有機EL被転写体に用いられるパターン転写層は、接着性および/または濡れ性の違いによるパターンが形成しうる層または形成した層である。
【0030】
このような層としては、発光層、正孔輸送層に熱により接着性が変化する材料を混合した層や、光により濡れ性が変化する光触媒含有層などの層、光により接着性が変化する層が挙げられる。特に有機EL発光層は、不純物による発光劣化があるため、正孔輸送層に接着性が変化する材料を混合するか、光触媒含有層を用いることが好ましい。好ましい態様は後述する。
【0031】
光触媒含有層
(光触媒含有層)
本発明において、パターン転写層として、好ましくは光触媒含有層を用いることができる。この光触媒含有層は、他の層の機能を兼備すること、例えば正孔輸送層などを兼ねることができる。
【0032】
本発明の好適態様において光触媒含有層とは、広く光照射によって濡れ性が今後変化し得る層および既に変化した層を意味する。また、光触媒とは、このような変化を引き起こすものであれば、どのような物質であってもよい。光触媒含有層はパターン状に露光することにより、濡れ性の変化によるパターンを形成することができる。典型的には光照射しない部位は撥水性であるが、光照射した部位は高親水性となる。
【0033】
光触媒含有層の膜厚は、薄すぎると濡れ性の違いが明確には発現しなくなりパターニングが困難になること、厚すぎると正孔または電子の輸送を阻害しEL素子の発光に悪影響を及ぼすため、好ましくは50〜2000Å、より好ましくは300〜1000Åとする。
【0034】
(濡れ性変化の原理)
本発明の好適態様においては、光の照射によって近傍の物質(バインダーなど)に化学変化を起こすことが可能な光触媒を用いて、光照射を受けた部分に濡れ性の違いによるパターンを形成する。光触媒による作用機構は、必ずしも明確なものではないが、光の照射によって光触媒に生成したキャリアが、バインダーなどの化学構造を直接変化させ、あるいは酸素、水の存在下で生じた活性酸素種によってバインダーなどの化学構造を変化させることにより、表面の濡れ性が変化すると考えられる。
【0035】
(光触媒材料)
本発明の好適態様に用いられる光触媒材料としては、例えば光半導体として知られている酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化すず(SnO2)・チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)・酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化鉄(Fe2O3)のような金属酸化物を挙げることができるが、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタンは、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定であり、毒性もなく、入手も容易である点で有利である。
【0036】
光触媒としての酸化チタンにおいては、アナターゼ型とルチル型のいずれも使用することができるが、アナターゼ型酸化チタンが好ましい。具体的には例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)、STS−02、平均結晶子径7nm)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学、TA−15、平均結晶子径12nm)を挙げることができる。
【0037】
光触媒含有層中の光触媒の量は、5〜60重量%であることが好ましく、20〜40重量%であることがより好ましい。
【0038】
(バインダー成分)
本発明の好適態様の光触媒含有層に用いることのできるバインダーは、好ましくは主骨格が前記光触媒の光励起により分解されないような高い結合エネルギーを有するものであり、例えば、(1)ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサン、あるいは(2)撥水性や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
【0039】
前記(1)の場合、一般式YnSiX4−n(n=1〜3)で表される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解化合物が主体であることができる。前記一般式では、Yは例えばアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基またはエポキシ基であることができ、Xは例えばハロゲン、メトキシル基、エトキシル基、またはアセチル基であることができる。
【0040】
具体的には、メチルトリクロルシラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン;エチルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン;n−プロピルトリクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシラン;n−ヘキシルトリクロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリイソプロポキシシラン、n−ヘキシルトリt−ブトキシシラン;n−デシルトリクロルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt−ブトキシシラン;n−オクタデシルトリクロルシラン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン;フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリt−ブトキシシラン;テトラクロルシラン、テトラブロムシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン;ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン;ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン;フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン;トリクロルヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリイソプロポキシヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン;ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン;トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリt−ブトキシシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン;および、それらの部分加水分解物;およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0041】
また、バインダーとして、特に好ましくはフルオロアルキル基を含有するポリシロキサンを用いることができ、具体的には、下記のフルオロアルキルシランのの1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物が挙げられ、また、一般にフッ素系シランカップリング剤として知られているものを使用してもよい。
CF3(CF2)3CH2CH2Si(OCH3)3
CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH3)3
CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH3)3
CF3(CF2)9CH2CH2Si(OCH3)3
(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2Si(OCH3)3
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2Si(OCH3)3
(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2Si(OCH3)3
CF3(C6H4)C2H4Si(OCH3)3
CF3(CF2)3(C6H4)C2H4Si(OCH3)3
CF3(CF2)5(C6H4)C2H4Si(OCH3)3
CF3(CF2)7(C6H4)C2H4Si(OCH3)3
CF3(CF2)3CH2CH2SiCH3(OCH3)2
CF3(CF2)5CH2CH2SiCH3(OCH3)2
CF3(CF2)7CH2CH2SiCH3(OCH3)2
CF3(CF2)9CH2CH2SiCH3(OCH3)2
(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2SiCH3(OCH3)2
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2SiCH3(OCH3)2
(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2SiCH3(OCH3)2
CF3(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2
CF3(CF2)3(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2
CF3(CF2)5(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2
CF3(CF2)7(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2
CF3(CF2)3CH2CH2Si(OCH2CH3)3
CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH2CH3)3
CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH2CH3)3
CF3(CF2)9CH2CH2Si(OCH2CH3)3
CF3(CF2)7SO2N(C2H5)C2H4CH2Si(OCH3)3
【0042】
上記のようなフルオロアルキル基を含有するポリシロキサンをバインダーとして用いることにより、光触媒含有層の非光照射部の撥水性および撥油性が大きく向上する。
【0043】
前記(2)の反応性シリコーンとしては、下記一般式で表される骨格を持つ化合物を挙げることができる。
−(Si(R1)(R2)O)n−
ただし、nは2以上の整数、R1、R2はそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリールあるいはシアノアルキル基であることができる。好ましくは全体の40モル%以下がビニル、フェニル、ハロゲン化フェニルであることができる。また、R1および/またはR2がメチル基であるものが表面エネルギーが最も小さくなるので好ましく、好ましくはメチル基が60モル%以上であり、鎖末端または側鎖には、分子鎖中に少なくとも1個以上の水酸基などの反応性基を有する。
【0044】
また、前記のオルガノポリシロキサンとともにジメチルポリシロキサンのような架橋反応を起こさない安定なオルガノシリコン化合物をバインダーに混合してもよい。
【0045】
(光触媒含有層に用いるその他の成分)
本発明の好適態様に用いられる光触媒含有層には、未露光部の濡れ性を低下させるため界面活性剤を含有させることができる。この界面活性剤は光触媒により分解除去されるものであれば限定されないが、具体的には、好ましくは例えば日本サーファクタント工業製:NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系の界面活性剤、デュポン社製:ZONYL FSN、FSO、旭硝子製:サーフロンS−141、145、大日本インキ製:メガファックF−141、144、ネオス製:フタージェントF−200、F251、ダイキン工業製:ユニダインDS−401、402、スリーエム製:フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることができる。また、カチオン系、アニオン系、両性界面活性剤を用いることもできる。
【0046】
また、本発明に好適に用いられる光触媒含有層には、他の成分、例えば、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ナイロン、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリロニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマーを含むことができる。
【0047】
さらに、本発明に好適態様に用いられる光触媒含有層には、光触媒の光活性を増感させる成分である増感色素を含んでいてもよい。このような増感色素の添加により、低い露光量で濡れ性を変化させるあるいは異なる波長の露光で濡れ性を変化させることができる。また、光触媒含有層には、EL材料を添加することもでき、例えば、電荷注入材料、電荷輸送材料または発光材料を混合することによりEL素子の発光特性を向上させることができる。
【0048】
(光触媒含有層の形成方法)
光触媒含有層の形成方法は特に限定されないが、例えば光触媒を含んだ塗布液を、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコート、スピンコートなどの方法により基材に塗布して形成することができる。
【0049】
光触媒等を含む塗布液を用いる場合に、塗布液に使用することができる溶剤としては、特に限定されないが、例えばエタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤を挙げることができる。
【0050】
(光触媒を作用させる照射光線)
光触媒を作用させるための照射光線は、光触媒を励起することができれば限定されない。このようなものとしては紫外線、可視光線、赤外線の他、これらの光線よりもさらに短波長または長波長の電磁波、放射線であることができる。
【0051】
例えば光触媒として、アナターゼ型チタニアを用いる場合は、励起波長が380nm以下にあるので、光触媒の励起は紫外線により行うことができる。このような紫外線を発するものとしては水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマレーザー、その他の紫外線光源を使用することができる。
【0052】
熱または光による接着性変化層
本発明においては、パターン転写層として好ましくは熱による接着性変化層または(紫外線などの)光による接着性変化層を用いることができる。
【0053】
この熱や、光による接着性変化層は、他の層の機能、例えば正孔輸送機能などを兼ねることができる。これは正孔輸送層を形成する材料に熱または光により接着性を変化させる材料を混合して層を形成することで得られる。
【0054】
(熱による接着性変化層)
熱により接着性を変化させる材料のうち、熱を加えることで接着性が大きくなる材料は、有機EL素子の転写工程から一般に好ましい。
【0055】
熱により接着性を変化させる材料は、例えば、接着性を持ったバインダー樹脂(ポリメタアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニルまたはその加水分解物、ポリブタジエン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリルニトリル、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル等)にエポキシ化合物例えばデナコールEX−313(ナガセケムテックス(株)製)と潜在性熱硬化触媒を混ぜたものが挙げられる。
【0056】
ここで、潜在性熱硬化触媒とは、常温では反応せず、転写時の加熱工程で活性になる熱硬化触媒をいう。潜在性熱硬化触媒としては、例えばブロック化ポリカルボン酸化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物が挙げられる。
【0057】
ブロック化カルボン酸化合物は、色材,69〔11〕735頁(1996年)や、ネットワークポリマー,Vol.19,No.231頁(1998年)等に記載の方法で合成できる。熱硬化性化合物であるカルボン酸化合物は、難溶解性、高反応性といった問題がある。しかしながら、カルボキシル基をブロックすることで、室温で硬化反応を起すことなく化学的に安定する。しかも、カルボキシル基またはイソシアネート基をブロック化した熱硬化触媒は、ブロック化する前の化合物が固体であったものが、液状の形態をとるものが多く好ましい。
【0058】
ブロック化カルボン酸化合物の製造に使用可能なカルボン酸化合物には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,3,5−トリメシン酸、1,2,4−トリメリット酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、コハク酸、アジピン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族カルボン酸、これらのオリゴマー、ポリマータイプのものが挙げられる。これらのカルボン酸化合物のカルボキシル基をブロック化するためのブロック化剤には、ビニルエーテル化合物として、アルキルビニルエーテル、例えば、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等が挙げられる。
【0059】
ブロック化イソシアネートとして市販されているものは、例えば、コロネート2503、コロネート2507、コロネートAPステーブル、ミリオネートMS−50(日本ポリウレタン工業(株)製)、デスモジュールCTステーブル(住友バイエルウレタン(株)製)等が挙げられる。
【0060】
また、ブロック化イソシアネート化合物を製造するに使用可能なイソシアネート化合物には、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられ、これらのイソシアネート化合物をブロック化するための、ブロック化剤には、アルコール類、ラクタム類、オキシム類、活性メチレン類が挙げられる。
【0061】
これらのブロック化熱硬化型触媒は、転写時の加熱工程での加熱で、ブロック化剤が外れ、触媒活性となる。例えば100〜150℃加熱により触媒活性が発揮される。
【0062】
具体的には例えば、熱による接着性変化層としては、バインダー樹脂として、アクリル系共重合樹脂(アクリル酸−n−ブチルと、アクリル酸との共重合体:重量平均分子量300,000)100重量部に対して、潜在性熱硬化触媒としてコロネート2507を0.05〜50重量部好ましくは0.5〜15重量部、および、エポキシ化合物としてデナコールEX−313を1〜200重量部好ましくは10〜100重量部配合したものを用いることができる。
【0063】
(光による接着性変化層)
紫外線などの光により接着性を変化させる材料では、光が照射された部位の接着性が上昇する材料も低下する材料も用いることができるが、低下させる材料が、有機EL素子の転写工程から一般に好ましい。
【0064】
このようなものとしては粘着性を持ったバインダー樹脂(ポリメタクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニルまたはその加水分解物、ポリブタジエン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリルニトリル、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸2−エチルエキシル等)に光重合性化合物と光重合開始剤を混合したものが挙げられる。
【0065】
光ラジカル重合性化合物としては、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレートなどが例示できる。このうちウレタンアクリレートは、例えば新中村化学工業(株)製U−6HAが挙げられる。
【0066】
光カチオン重合性化合物としては、エポキシ、オキセタン、ビニルエーテル類が例示できる。
【0067】
光ラジカル重合開始剤としては、例えば1,3−ジペンゾフェノン、N−フェニルグリシン、2,4,6−トリス−s−トリアジン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2−メルカプトベンズイミダゾール、イミダゾール2量体類等が挙げられる。
【0068】
光カチオン重合開始剤としては、トリアリールスルホニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、鉄フェロセン塩等が挙げられる。このうち、ジアリールヨードニウム塩としては、みどり化学(株)製BI−105等が挙げられる。
【0069】
その他の光重合開始剤としては、イルガキュア184、イルガキュア817等が挙げられる。
【0070】
具体的には、例えば、光による接着性変化層としては、バインダー樹脂としてアクリル系共重合樹脂(アクリル酸−n−ブチルと、アクリル酸との共重合体:重量平均分子量300,000)100重量部に対して、光重合性化合物ウレタンアクリレート(新中村化学工業(株)製U−6HA)1〜300重量部、より好ましくは10〜100、および、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバスペシャルティーケミカルズ(株)製)を0.01〜70重量部、より好ましくは0.2〜20重量部配合したものを用いることができる。
【0071】
接着性向上物質
本発明においては、好ましくは有機EL転写体または被転写体の最上層の少なくとも一層に、接着性向上物質を混入することによって転写温度を低下させることができ、有機EL素子の発光特性、素子寿命を熱により劣化させることなく、有機EL素子を作成できる。
【0072】
好ましくは、有機EL発光材料に不純物が混入すると発光特性劣化が起ることがあるので、最上層が有機EL発光層である場合には、接着性向上物質を有機EL発光層には添加せずに、他方の最上層に添加することが好ましい。例えば▲1▼有機EL転写体が支持体/剥離層/電子注入層/有機EL発光層、有機EL被転写体が基体/第1電極/正孔輸送層である場合、および▲2▼有機EL転写体が支持体/剥離層/有機EL発光層、有機EL被転写体が基体/第1電極/正孔輸送層との構成であるならば、被転写体の最上層である正孔輸送層に接着性向上物質を添加し、転写体の最上層である有機EL発光層には添加しないことが好ましい。
【0073】
このような接着性向上物質としては、粘接着性を発現し、有機EL転写層、被転写層のガラス転移温度(Tg)よりも低いTgを発現する材料であれば、特に限定されない。このTgは低いほど好ましい。好ましくはこのTgは、−50℃〜50℃である。
【0074】
また、本発明における接着性向上物質は、分子量が低いほうが、一般に粘接着性が増すので好ましいが、低すぎると例えば上記▲1▼において正孔輸送層にのみ接着性向上物質を添加した場合にも、転写の加熱時に、有機EL発光層にまで接着性向上物質が移動してしまい、発光特性を劣化させる原因にもなることがある。そのため接着性向上物質の分子量は、1000〜10万が好ましい。
【0075】
また、接着性向上物質としては、溶剤系に可溶な材料、水分散材料、水溶性材料のいずれも用いることができる。水分散材料を用いる場合には、材料の粒径が粗いと有機EL材料の膜面が粗くなり、素子寿命の劣化が起ることがあるので、材料の粒径は細かい方が好ましい。この場合、接着性向上物質の粒径は10μm以下が好ましい。
【0076】
このような接着性向上物質として用いられる材料としては例えば以下のものが挙げられる。
【0077】
水分散系の材料
ポリエステルのエマルジョン:(東洋紡(株) バイロナールシリーズ)
アイオノマーのエマルジョン:(三井化学(株) ケミパールシリーズ)
エチレンと酢酸ビニル共重合体のエマルジョン:(中央理化工業(株) アクアテックスシリーズ)
溶剤系の材料
エチレンと酢酸ビニル共重合体系材料:(三井デュポン(株)ポリケミカルEVA150、EVA250)
アクリルポリオール系材料:(綜研化学(株)U230−T、SU−28)
このような接着性向上物質を添加して形成した転写体の最上層や被転写体の最上層を組み合わせることにより転写温度を低下できる。特に高分子の有機EL材料を用いる場合、有機EL材料はTg以上の温度を加えることで発光特性、素子寿命が劣化、ゴム弾性領域以上で更に劣化することがあるので、有機EL材料のゴム弾性領域以下で転写できるような組み合わせを選ぶことが好ましい、さらに有機EL材料のTg以下で転写できるように選択することがより好ましい。
【0078】
有機EL素子の製造方法
(用いる有機EL転写体と被転写体)
本発明の有機EL素子の製造方法においては、(1)本発明の有機EL転写体と本発明外の有機EL被転写体との組み合わせ、(2)本発明外の有機EL転写体と本発明の有機EL被転写体との組み合わせ、(3)本発明の有機EL転写体と本発明の有機EL被転写体との組み合わせのいずれかの組み合わせを用いた工程が採用される。
【0079】
具体的には例えば、本発明の有機EL転写体の転写表面と、少なくとも基体と前記基体上に形成された電極を有する有機EL被転写体の電極形成面とを密着加熱して、前記有機EL転写層とパターン転写層を前記有機EL被転写体に転写する工程が挙げられる。
【0080】
また、支持体と前記支持体上に形成された剥離層と前記剥離層上に形成された有機EL転写層から少なくともなる有機EL転写体の転写表面と、本発明の有機EL被転写体の転写表面とを密着加熱して、前記有機EL転写層を前記有機EL被転写体に転写する工程も挙げられる。
【0081】
この工程においては、接着性および/または濡れ性の高い部分のみを転写し、その他の部分を転写しないことができるので、容易にパターン転写を行うことができる。
【0082】
この転写工程以外は、一般的なEL素子の製造方法を用いて製造することができる。なお、ここで、この方法に用いられる本発明外の有機EL転写体は、少なくとも、支持体と前記支持体上に形成された剥離層と前記剥離層上に形成された有機EL転写層を有する。この方法に用いられる本発明外の有機EL被転写体は、少なくとも、基体と基体上に形成された電極を有する。
【0083】
(パターン露光)
本発明に用いられるパターン転写層が、光触媒含有層である場合には、シャドーマスクやフォトマスクを用いて、所望のパターンに光を照射することにより、照射部の濡れ性が向上し、その部位への高精細なパターン転写層の形成が容易となる。
【0084】
また、紫外線などの光による接着性変化層を用いた場合は、紫外線照射部の接着性が低下し、紫外線非照射部への高精細なパターン転写層の形成が容易となる。
【0085】
(パターン加熱)
本発明においては好ましくは、パターン加熱、例えば、レーザー等の光と光熱変化層の組み合わせによるパターン加熱により、光照射部位が加熱され、その部位のみ接着性が向上して、加熱部位への高精細なパターン転写層の形成が容易になる。
【0086】
また、パターン加熱と加圧を同時に行うこと、例えば、電流発熱性の金属によって作成された開口マスクに電流を流して、金属部を加熱し、その金属マスクで加圧することで、同一部に加圧と過熱を行うことで、その部位への高精細な転写を容易にすることができる。
【0087】
(密着加熱)
本発明の有機EL素子の製造にあたっては、好ましくは転写時に密着加熱を行う。この密着加熱にあたっては、全体を密着したうえで転写したい領域のみを部分的に加熱する方法、全体を加熱したうえで転写したい領域のみを部分的に密着する方法、転写したい領域のみを部分的に密着しかつ加熱する方法、全体を加熱密着させる方法のいずれの方法を採用することもできる。
【0088】
密着加熱手段としては、例えば、サーマルヘッド、熱光源、レーザー光、ヒートロール、熱プレス、パターニングしたマスクを用い部分加熱する手段などが挙げられる。
【0089】
転写時の加熱温度は、有機EL転写体と被転写体に用いる材料によるが、一般に200℃以上とすると有機EL素子の発光層と陰極の界面付近で白濁してしまい好ましくない。また、130℃付近で発光特性が悪化する材料も多い。そして、発光材料のTgより50℃高い温度以下で転写できることが好ましく、Tg以下で転写することがより好ましい。
【0090】
なお、有機EL発光層は一般に水分、酸素によって劣化することから、転写は、湿度の極力少ないドライルームや、チッソ雰囲気中に制御されたグローブボックス内で行うことが好ましい。
【0091】
(転写方法の具体例)
本発明においては、具体的には例えば以下のような転写を行うことができる。
【0092】
1.被転写体:基体/ITO/熱による接着性変化層兼正孔輸送層
転写体 :支持体/プライマー層/剥離層兼光熱変換層/発光層
真空引き出来るよう吸着穴のついた治具に被転写体を置き、その上に吸着穴で転写体を吸着させることで、被転写体と転写体とを密着加圧する。その後プログラムで制御されたレーザー光を、転写したい部位のみに照射する。この照射により、剥離層兼光熱変換層に熱が発生し、その下にある発光層、またその下に密着されている、熱による接着性変化層兼正孔輸送層が加熱され、特に熱による接着性変化層の接着性が熱により接着性が増し、レーザー光が照射された部位のみ発光層が接着性変化層兼正孔輸送層に転写される。
【0093】
2.被転写体:基体/ITO/紫外線による接着性変化層兼正孔輸送層
転写体 :支持体/プライマー層/剥離層兼光熱変換層/発光層
真空引き出来るよう吸着穴のついた治具に被転写体を置き、その上に吸着穴で転写体を吸着させることで、被転写体と転写体とを密着加圧する。開口マスクを用いて、発光層形成領域外に紫外線を照射させ、その部位の接着性を低下させる。それからプログラムで制御されたレーザー光を、転写したい部位のみに照射する。この照射により、剥離層兼光熱変換層が加熱され、レーザー光が照射された部位のみ発光層が接着性変化層兼正孔輸送層に転写される。
【0094】
また、発光層形成領域外も熱伝導により加熱されるが、領域外は紫外線照射による接着性が低下しているので、その部位は転写されない。
【0095】
このように熱伝導が起こったとしても、高精細な転写が可能である。また、紫外線照射によりEL層の特性が劣化することがあるが、この方法では被転写領域のみに紫外線を照射するので、素子を作製した場合には劣化の問題は生じない。
【0096】
2′被転写体:基体/ITO/紫外線による接着性変化層兼正孔輸送層
転写体 :支持体/プライマー層/剥離層/発光層
上記2と同様に転写を行う。
【0097】
3.被転写体:基体/ITO/光触媒含有層兼正孔輸送層
転写体 :支持体/プライマー層/剥離層兼光熱変換層/発光層
被転写体に開口マスクなどで、転写形成したい領域のみに紫外線を照射する。このとき紫外線照射部は濡れ性が高まり、被照射部は濡れ性が低いままである。
【0098】
次に被転写体に転写体を重ねて、例2と同様に密着させて、レーザー照射を行う。同様に、レーザー照射部位が加熱され転写できる。転写させたくない領域にも熱伝導が起こるが、紫外線を照射してない光触媒含有層兼正孔輸送層は濡れ性が低いままであるので、転写されない。これにより、熱伝導が起こっても、高精細な転写が可能となる。
【0099】
4.被転写体:基体/ITO/光触媒含有層兼正孔輸送層
転写体 :支持体/プライマー層/剥離層/発光層
被転写体に開口マスクなどで、転写形成したい領域のみに紫外線を照射する。このとき紫外線照射部は濡れ性が高まり、被照射部は濡れ性が低いままである。
【0100】
次に、この被転写体に転写体を重ねその上から、ホットプレス機で加熱しながらプレスして加圧する。すると全面に熱、圧が加わるが、光触媒含有層兼正孔輸送層の紫外線照射前後の濡れ性の違いが大きな場合は、濡れ性の高い部位(転写領域)しか発光層が転写されない。
【0101】
(フルカラー有機EL素子の製造方法)
本発明の有機EL素子の製造方法においては、R、G、Bの3色の有機EL転写層をそれぞれ有する3種類の有機EL転写体を被転写体に転写することによりフルカラー有機EL素子を製造することができる。
【0102】
例えば、前述の1〜4のいずれかの方法を適宜用いて、R、G、Bにつき任意の順番で積層して、フルカラーパネルを製造することができる。
【0103】
本発明の方法により製造される有機EL素子
本発明の方法により製造される有機EL素子は、例えば電極と、電極上に形成された有機EL層と、前記有機EL層上に形成された別の電極から少なくともなることができる。有機EL層は、発光層単層でもよいが、さらにバッファー層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層等を適宜組み合せて、多層構造にすることが好ましい。また、ブラックマトリクスなど、画素間に遮光層を設けることもできる。
【0104】
【実施例】
実施例1
(被転写体の作製)
イソプロピルアルコール3重量部とアナターゼ型チタニアゾル2重量部を混合し、90℃で10分間撹拌した後、フルオロアルコキシラン、0.42重量部を更に混合し、90℃で10分間撹拌し、さらにイソプロピルアルコールで2.5倍に希釈した溶液を得た。この溶液をITO電極付き基板上に2500rpmでスピンコートを行い正孔輸送層を兼ねる光触媒含有層を形成し、被転写体を得た。
【0105】
この被転写体ヘ、100μmのラインアンドスペースのマスクを用いて所望のパターン状に紫外線を積算で4.5J照射した。
【0106】
(転写体の作製)
PETフィルムに、プライマー層としてCAN OHPプライマー(ザ・インクテック(株)製)をワイヤーバーで塗布、90℃で1分間乾燥後、剥離層としてTMRS04クリアー液(ザ・インクテック(株)製)を同じくワイヤーバーで塗布、90℃で1分間乾燥させた。その後有機EL発光層形成溶液であるポリフルオレンをキシレンで溶解した溶液(固形分2重量%)をスピンコートにより塗布し、90℃で1時間乾燥し転写体を得た。有機EL発光層の膜厚は80nmのものが得られた。
【0107】
(転写工程)
被転写体の被転写面と転写体の転写面を重ね密着させ、230℃に加熱した熱プレスで圧着転写し、被転写、転写体を冷却してから剥離した。剥離すると、マスクパターン露光により紫外線が照射された部分(親水性となった部分)のみ転写された。
【0108】
その後、Agをカソード電極として300nm成膜し、有機EL素子を作成し、電圧を5V印加したところ、発光が確認できた。
【0109】
実施例2
(被転写体の作製)
BAYER(株)製のBaytron−P CH8000を、UV洗浄を行ったITO電極付きの基板に、3000rpmでスピンコートして正孔輸送層として機能する80nmの膜を形成し被転写体を作成した。
【0110】
(転写体の作製)
PETフィルムに、プライマー層としてCAN OHPプライマー(ザ・インクテック(株)製)をワイヤーバーで塗布、90℃で1時間乾燥後、剥離層としてTMRS04クリアー液(ザ・インクテック(株)製)を同じくワイヤーバーで塗布、90℃で1分間乾燥させた。その後有機EL発光層形成溶液であるポリフルオレンをキシレンで溶解した溶液(固形分2重量%)を10000重量部に対して、アクリル系共重合樹脂(アクリル酸−n−ブチルとアクリル酸の共重合体、重量平均分子量30万)100重量部、デナコールEX−313(ナガセケムテックス(株)製)30重量部、コロネート2507(日本ポリウレタン工業(株)製)1重量部を混合した溶液を作製し、転写体フィルム上にスピンコートにより塗布し、70℃(コロネート2507のブロック化が外れる温度より低い温度である)で1時間乾燥して転写体を得た。有機EL発光層の膜厚は80nmのものが得られた。
【0111】
(転写工程)
被転写体の被転写面と転写体の転写面を重ね密着させ、その上に金属製の開口マスクを置き、マスク上から熱プレスで圧着加熱を10分間行い、開口マスクの凸部との接触部分を加熱した。転写体に用いたコロネート2507は130℃以上でブロック化が外れて接着性が向上することから、加熱温度は150℃とした。
【0112】
冷却後、転写体と被転写体とを剥離したところ、開口マスクの凸部状のパターンに対応する部分のみの転写が確認できた。
【0113】
その後Caを8nm、Alを150nmカソード電極として蒸着し、有機EL素子を作成し、電圧を6V印加したところ、発光が確認できた。
【0114】
実施例3
(被転写体の作製)
BAYER(株)製のBaytron−P CH8000を、UV洗浄を行ったITO電極付きの基板に、3000rpmでスピンコートして正孔輸送層として機能する80nmの膜を形成し被転写体を作成した。
【0115】
(転写体の作製)
PETフィルムに、プライマー層としてCAN OHPプライマー(ザ・インクテック(株)製)をワイヤーバーで塗布、90℃で1時間乾燥後、剥離層としてTMRS04クリアー液(ザ・インクテック(株)製)を同じくワイヤーバーで塗布、90℃で1分間乾燥させた。その後有機EL発光層形成溶液であるポリフルオレンをキシレンで溶解した溶液(固形分2重量%)を10000重量部に対して、アクリル系共重合樹脂(アクリル酸−n−ブチルとアクリル酸の共重合体、重量平均分子量30万)100重量部、U−6HA(新中村化学工業(株)製)40重量部、イルガキュア(チバスペシャルティケミカルズ(株)製)0.5重量部を混合した溶液を作製し、転写体フイルム上にスピンコートにより塗布し、130℃で1時間乾燥して転写体を得た。有機EL発光層の膜厚は80nmのものが得られた。
【0116】
転写体の転写しない部分に、マスクを介して紫外線を積算で100mJ照射した。照射後、照射した領域の粘着性が弱まった。
【0117】
(転写工程)
被転写体の被転写面と 被転写体の被転写面と転写体の転写面を重ね密着させ、転写体の転写面を重ね密着させ、その上から熱プレスで全面に圧着加熱を150℃で1分間行った。
【0118】
冷却後、転写体と被転写体とを剥離したところ、紫外線照射部以外の領域のみの転写が確認できた。
【0119】
その後LiFを1nm、Alを200nmカソード電極として蒸着し、有機EL素子を作成し、電圧を6V印加したところ、発光が確認できた。
【0120】
【発明の効果】
本発明によって、比較的低温(例えば200℃以下)で簡易にパターン転写可能な有機EL転写体、有機EL被転写体と、これらを用いた有機EL素子の製造方法が提供できる。特に接着性および/または濡れ性変化層、光触媒含有層の導入により、簡易な工程で、より高精細なパターン転写が可能となる。
【0121】
そして、本発明においては、従来の昇華転写法の代わりに溶融転写法を用いて有機EL素子を製造できるので、転写体への有機EL層の形成に塗布法を用いることができ、また比較的低温で転写できるので、プラスチックフィルムなどの一般的支持体を用いることができるので、生産性を高めることができる。
Claims (16)
- 支持体と、前記支持体上に形成された剥離層と、前記剥離層上に形成された有機EL転写層から少なくともなる有機EL転写体であって、
前記有機EL転写層側の表面である転写表面が、接着性および/または濡れ性の違いによるパターンを形成しうるパターン転写層からなり、
前記パターン転写層が、光による接着性変化層であることを特徴とする、有機EL転写体。 - 前記パターン転写層が、接着性向上物質を含むものである、請求項1に記載の有機EL転写体。
- 前記有機EL転写層が、前記パターン転写層を兼ねるものである、請求項1または請求項2に記載の有機EL転写体。
- 前記剥離層が、光熱変換物質を含有する、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の有機EL転写体。
- 基体と、前記基体上に形成された電極から少なくともなる有機EL被転写体であって、
前記電極側の表面である転写表面が、接着性および/または濡れ性の違いによるパターンを形成しうるパターン転写層からなり、
前記パターン転写層が、光による接着性変化層であることを特徴とする、有機EL被転写体。 - 前記パターン転写層が、接着性向上物質を含むものである、請求項5に記載の有機EL被転写体。
- 前記パターン転写層が、正孔輸送層を兼ねるものである、請求項6に記載の有機EL被転写体。
- 請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の有機EL転写体のパターン転写層にパターン露光を行い、前記パターン転写層表面に接着性の違いによるパターンを形成する工程、および、
前記有機EL転写体の転写表面と、少なくとも基体と前記基体上に形成された電極を有する有機EL被転写体の電極形成面とを密着加熱して、前記有機EL転写層とパターン転写層を前記有機EL被転写体に転写する工程を有する、有機EL素子の製造方法。 - 請求項5から請求項7までのいずれかの請求項に記載の有機EL被転写体のパターン転写層にパターン露光を行い、前記パターン転写層表面に接着性の違いによるパターンを形成する工程、および、
支持体と前記支持体上に形成された剥離層と前記剥離層上に形成された有機EL転写層から少なくともなる有機EL転写体の転写表面と、前記有機EL被転写体の転写表面とを密着加熱して、前記有機EL転写層を前記有機EL被転写体に転写する工程を有する、有機EL素子の製造方法。 - 前記有機EL転写層が、加熱によって溶融または軟化する有機発光材料からなる、請求項8または請求項9に記載の有機EL素子の製造方法。
- 前記有機EL転写層が、接着性向上物質を含むものである、請求項9に記載の有機EL素子の製造方法。
- 前記有機EL被転写体の転写表面を形成する層が、接着性向上物質を含むものである、請求項8に記載の有機EL素子の製造方法。
- 前記密着加熱にあたり、全面密着加熱しつつ、有機EL転写層の一部のみの転写を行う、請求項8から請求項12までのいずれかの請求項に記載の有機EL素子の製造方法。
- 前記密着加熱にあたり、転写したい領域のみを部分加熱することにより、有機EL転写層の一部のみの転写を行う、請求項8から請求項12までのいずれかの請求項に記載の有機EL素子の製造方法。
- 前記密着加熱にあたり、転写したい領域のみを部分密着することにより、有機EL転写層の一部のみの転写を行う、請求項8から請求項12までのいずれかの請求項に記載の有機EL素子の製造方法。
- 請求項8から請求項15までのいずれかの請求項に記載の有機EL素子の製造方法であって、R、G、Bのそれぞれの色に発光する有機発光材料を有機EL転写層とした3種類の有機EL転写体を、前記1つの被転写体に転写する工程を有する、フルカラー表示の有機EL素子の製造方法。
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