JP4100823B2 - 物体判定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車などの車両に搭載されたカメラによる撮像手段を用いて、前方の物体を検出する光学式の物体判定装置に関し、より具体的には、撮像された画像における複数のウィンドウを用いて、物体かどうか判定する物体判定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両走行の安全性を向上させるため、自車両の前方にある物体の距離や大きさを判断し、これに応じて車両を適切に制御する装置が提案されている。
【0003】
2つの受光素子からなる光学式距離計測装置を使用し、距離検出された被写体が物体か道路領域(路面上の文字/白線を含む)かを判断する手法に関連するものとして、特開平7−225126号公報には、車両前方の物体を正しく認識することができる路上物体判定装置が記載されている。この装置は、車両の走行路面上を撮像するステレオカメラを備え、カメラで得られた画像を複数のウィンドウに分割して、ウィンドウごとに被写体までの距離を算出する。この被写体までの距離と、ウィンドウの行レンジごとに決まる基準距離とを比較して車両前方の物体を認識する。
【0004】
また、特開平7−083655号公報には、一対の受光素子を鉛直方向に設けて距離を測定し、測定される距離の領域が鉛直方向であるので路面文字が複数の領域に及ぶことが少ないこと、および複数の領域に及んだとしても領域間で距離に差があることを利用して、立体物か否かを判定する装置が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特開平7−225126号公報や特開平7−083655号公報のものでは、路面が自車両の前に水平に存在しているものとして、カメラで撮像した被写体が物体か道路領域かの判断を行うので、自車両がピッチングやローリングで傾いたり、坂道を走行する場合には、車両が路面に平行な状態にあることを前提にカメラの取り付け位置や俯角等のパラメータによって決まる推定される路面と実際の路面との間にずれが生じ、計測された距離値が路面までの距離値かどうか正確に判断することができず、誤って物体を判定することがあった。
【0006】
また、画像を非常に細かいウィンドウに分割すると、立体物であっても、路面上の文字や白線であっても、複数のウィンドウにまたがってしまうこと、検知する対象物が車両である場合にはリヤウィンドウ部とリヤバンパー部との間で距離差があること、さらには測定された距離値にばらつきがあることから、隣接するウィンドウの距離値の差で立体物か否かを判断するのは困難であった。
【0007】
そこでこの発明は、自車両がピッチングやローリングで傾いても、正確に前方にある物体を判定することのできる装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明の物体判定装置は、所定の間隔をおいて配置された少なくとも2つの撮像手段と、前記少なくとも2つの撮像手段で得られ、複数のウィンドウに分割された画像に基づいて、ウィンドウごとに対象物までの距離を計測する計測手段と、前記計測手段により計測された距離の差が所定範囲内にあり、隣接するウィンドウをクラスタリングしてクラスタを定めるクラスタリング手段と、前記撮像手段の位置、前記クラスタを構成するウィンドウの画像上の位置、および前記計測手段により計測された該ウィンドウ上の対象物までの距離に基づいて、該クラスタを3次元情報で表す3次元表示手段と、前記3次元情報で表されたクラスタの高さまたは厚みを算出し、該算出された高さまたは厚みに基づいて該クラスタの対象物が物体かどうか判定する物体判定手段とを備える。
【0009】
この発明によると、計測された距離値に基づいてクラスタリングされたウィンドウのクラスタを3次元情報で表し、クラスタの高さまたは厚みに基づいて物体を判定するので、自車両の挙動による相対的な実際の路面の変動があっても物体を正確に判定することができる。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の物体判定装置において、前記3次元情報で表されたクラスタの近くにある他のクラスタを結合するクラスタ結合手段を備え、該結合されたクラスタの高さまたは厚みに基づいて、該結合されたクラスタの対象物が物体かどうか判定する。
【0011】
請求項2の発明によると、同一の物体を含む可能性が高いクラスタを結合して物体かどうか判定するので、より正確に物体の判定を行うことができる。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の物体判定装置において、前記計測手段により計測されたウィンドウ上の対象物までの距離と、前記撮像手段の位置および該ウィンドウの画像上の位置に基づいて定まる路面までの距離とを比較し、該ウィンドウ上の対象物が路面かどうか判断する手段を備える。
【0013】
請求項3の発明によると、予め決められた路面までの推定距離と実際に計測された距離とに基づき対象物が路面と判断されたウィンドウについては、その後の物体判定処理を行う必要がなくなるので、より効率よく物体判定を行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明の一実施例の物体判定装置の全体的なブロック図である。図2は、この実施例で用いる三角計測法による距離の計測原理を説明する図である。まず図2を参照して1対の撮像装置を用いた距離の測定方法を説明する。
【0015】
一対の撮像装置の一方を構成するラインセンサ21およびレンズ23は、他方の撮像装置を構成するラインセンサ22およびレンズ24と所定の間隔すなわち基線長Bだけ左右方向または上下方向に間隔をおいて配置されている。ラインセンサ21および22は、典型的には1次元のCCDであり、直線的に配列されたフォトセンサのアレイであってもよい。夜間の使用を考慮すると赤外線を用いた撮像装置にするのがよい。この場合、レンズ23、24の前に赤外線透過性のフィルタを置き、赤外線の光源を用いて一定の周期で対象物20を照射し、対象物20から反射する赤外線をラインセンサ21、22が感知するようにするのがよい。
【0016】
ラインセンサ21、22は、それぞれレンズ23、24の焦点距離fに配置されている。レンズ23、24のある平面から距離aにある対象物の像が、ラインセンサ21ではレンズ23の光軸からX1ずれた位置に形成され、ラインセンサ22ではレンズ24の光軸からX2だけずれた位置に形成されるとすると、レンズ23、24の面から対象物20までの距離aは、三角計測法の原理により、a=B・f/(X1+X2)で求められる。
【0017】
この実施例では画像はデジタル化されるので、距離(X1+X2)は、ディジタル的に算出される。ラインセンサ21および22で得られる画像の片方または両方をシフトさせながら両画像のそれぞれ対応する画素の輝度を示すディジタル値の差の絶対値の総和を求め、これを相関値とする。相関値が最小値になるときの画像のシフト量が両画像の間の位置ずれ、すなわち(X1+X2)を示す。観念的には図2に示すようにラインセンサ21および22から得られる2つの画像を重なり合わせるために2つの画像を相対的に移動させねばならない距離が(X1+X2)である。
【0018】
ここでは、簡単のため撮像装置が1次元のラインセンサ21、22であるものとして説明したが、以下に述べるようにこの発明の一実施例では2次元のCCDまたは2次元のフォトセンサ・アレイを撮像装置として使用する。この場合、2つの撮像装置から得られる2次元の画像を相対的にシフトさせて上述したのと同様の相関計算を行い、相関値が最小となるときのシフト量を求めると、このシフト量が(X1+X2)に相当する。
【0019】
図1の撮像手段3は、図2のレンズ23およびラインセンサ21からなる一方の撮像手段に対応し、撮像手段3’は、図2のレンズ24およびラインセンサ22からなる他方の撮像手段に対応する。この実施例では、図3の(b)に示すように撮像領域を複数のウィンドウ(小領域)W11、W12、・・・に分割し、ウィンドウごとに距離の計測を行うので、対象物全体の2次元の画像が必要になる。このため撮像手段3、3’は、2次元のCCDアレイまたは2次元のフォトセンサ・アレイで構成される。
【0020】
図3の(a)は、撮像手段3または3’により自車両の前方を走行する他車両を撮像した画像の例を示し、図3の(b)は、図3の(a)の画像を概念的に複数のウィンドウに分割したものを示す。図3の(b)は、縦方向に行および横方向に列をとり、簡単のため10行×15列のウィンドウに分割して示す。それぞれのウィンドウには番号が付されており、たとえばW12は、1行2列にあるウィンドウを示す。
【0021】
撮像手段3、3’で撮像された対象物の画像はアナログ・デジタル変換器(A/D変換器)4、4’でデジタルデータに変換され、画像メモリ5、5’に格納される。ウィンドウ切り出し部13によって、ウィンドウW11に対応する画像部分が画像メモリ5および5’からそれぞれ切り出されて相関計算部6に送られる。相関計算部6は、切り出された2つの画像を所定の単位ずつシフトさせて前述した相関計算を行い相関値が最小になるときのシフト量を求めると、このシフト量が(X1+X2)である。相関計算部6は、こうして求めた(X1+X2)の値を距離計算部7に送る。
【0022】
距離計算部7は、前述したa=B・f/(X1+X2)の式を用いて、ウィンドウW11にある対象物までの距離a11を求める。こうして求められた距離a11は、距離記憶部8に記憶される。同様の計算処理がそれぞれのウィンドウについて順次実行され、距離a11、a12、・・・が距離記憶部8に記憶される。以下、あるウィンドウについて計算された対象物までの距離を、そのウィンドウの計測距離という。
【0023】
上の相関計算で用いる画像データは、撮像素子アレイの素子のピッチによって分解能が定まるので、フォトセンサ・アレイなど比較的ピッチの大きい受光素子を用いるときは、ピッチ間の補間計算を行って画像データの密度を高める処理を行い、こうして密度を高められた画像データについて相関計算を行うのが好ましい。
【0024】
また、温度による撮像素子アレイの特性変化を補正するため、温度センサを撮像素子アレイ付近に配置し、温度センサから得られる温度情報に基づいて距離計算を補正するようにすることもできる。
【0025】
次に、以上のようにして求められたウィンドウの計測距離を使用して物体の判定を行う方法について説明する。図1の路面除去部31は、予め決められた推定距離と上記のようにして実際に計測された距離とをウィンドウごとに比較し、推定距離に近い計測距離および推定距離以上の計測距離をもつウィンドウについての計測距離値を距離記憶部8から削除する。推定距離とは、車両が傾くことなく路面に平行な状態にある場合の路面までの距離をいい、このときの路面を推定路面という。この推定距離は、たとえばCCDアレイにより実現される撮像手段3および3’の取り付け位置、俯角、基線長、焦点距離およびサイズと、画像におけるウィンドウの位置とにより予め算出され、ウィンドウごとに推定距離記憶部32に記憶されている。
【0026】
計測距離が推定距離に近い値または推定距離以上の値ならば、ウィンドウの対象物が路面であって物体ではないと判断することができ、路面除去部31は、路面と判断されたウィンドウの計測距離値を距離記憶部8から削除する。これにより、計測距離値が削除されたウィンドウについては以降の物体判定処理を進める必要がなくなり、より効率よく他のウィンドウについて物体判定を行うことができる。路面と判断されたウィンドウの計測距離値を距離記憶部8から削除するかわりに、たとえば路面と判断されたことを識別するフラグを使用し、路面と判断されたウィンドウに識別フラグをたてて距離記憶部8に記憶することもできる。
【0027】
または、たとえば車両が下り坂を走行し始めるという場合も考えられるので、計測距離と推定距離とを比較してほぼ等しければ、その計測距離値を削除するようにすることもできる。たとえば、計測距離と推定距離との差が0.5メートル以内ならば、路面と判断して計測距離値を削除し、差が0.5メートルより大きければ、実質的に路面ではないと判断して物体判定処理を進める。
【0028】
クラスタリング部33は、路面除去部31により路面と判定されなかったウィンドウ、すなわち撮像された対象物が物体の可能性があるウィンドウの計測距離に基づいて、クラスタリングを行う。最初に、クラスタリング部33におけるラベル付与部34が、隣接するウィンドウの計測距離を比較し、ほぼ等しければ、その隣接するウィンドウに同一のラベルを付与し、クラスタを定める。隣接するウィンドウの計測距離を比較するのは、隣接していなければ、計測距離が同じでも物体が異なる場合があるからである。
【0029】
例として、図3の(b)の路面上の文字「60」が撮像されているウィンドウについて説明する。「60」の文字は、ウィンドウW75、W7B、WA5およびWABに囲まれた領域(斜線がほどこされた領域)に撮像されている。この画像領域に含まれるウィンドウのそれぞれについて計測された距離の例を、図4の(a)に示す。数字の単位はメートルである。ここで、計測距離が示されていないウィンドウは、コントラストがなかったために距離が計算できなかったウィンドウを示す。図4の(a)において、隣接するウィンドウの計測距離を比較し、所定範囲内ならば(たとえば、計測距離の差が0.5メートル以内ならば所定範囲内とすることができる)、その隣接する2つのウィンドウに同じラベルを付与する。この処理を、計測距離をもつすべてのウィンドウについて行う。
【0030】
図4の例では、ウィンドウW76の計測距離5.8と、W77の計測距離6.0との差は0.2であり、計測距離がほぼ等しいと判断され、ウィンドウW76およびW77に同じラベル「1」を付与する。このような処理を、画像の左側部分で隣接するウィンドウについて行うと、図4の(b)の左側部分のように、それぞれのウィンドウにラベル「1」が付与される。同様に、図4の(a)の画像の右側部分では、たとえばウィンドウW89の計測距離5.5とW8Aの計測距離5.6との差は0.1であり、計測距離がほぼ等しいと判断され、それぞれのウィンドウにラベル「2」を付与する。ここで、ウィンドウW89およびW8Aの両方とも、ラベル「1」が付与されたウィンドウとは隣接していないので、異なるラベルを付与する。なお、ラベルは数字である必要はなく、たとえばアルファベット文字など識別できる符号を用いてもよい。
【0031】
こうして、計測距離値をもつウィンドウのそれぞれにラベルを付与すると、図4の(b)に示されるように、ラベル「1」でクラスタリングされた領域51と、ラベル「2」でクラスタリングされた領域52とが定められる。このクラスタリングされた領域をクラスタと呼ぶ。
【0032】
次に、3次元表示部35は、上記のようにクラスタリングされたウィンドウのクラスタを3次元情報で表す。図5に示すように、3次元情報は、この例では、水平位置(x)、垂直位置(y)および路面距離(z)の3座標を使用する。水平位置を示すx座標はウィンドウの列方向(図3の(b)を参照)に対応し、垂直位置を示すy座標は路面からの高さ方向に対応し、路面距離を示すz座標はウィンドウの行方向(図3の(b)を参照)に対応する。また、路面距離を示すz座標は計測距離dに比例する。これらの座標を使用してクラスタを3次元情報で表し、3次元上のクラスタの位置を特定する。
【0033】
図5を参照して、クラスタを構成するウィンドウを3次元情報で表す方法を説明する。原点Oは車両が位置する路面を示し、x、yおよびz軸は原点Oで互いに直交する。x軸は車両から見て左右に伸びており、y軸は路面に垂直に伸びており、z軸は車両の進行方向に伸びている。撮像カメラ53は、原点Oからy軸方向の高さHのところにある。物体54は、高さhおよび幅gを持ち、z軸方向のiの場所にある。撮像カメラ53で撮像された画像上の複数のウィンドウのうち、あるウィンドウには、物体54が存在しなければ点55で表される路面が対象物として撮像され、物体54が存在すれば、点56で表される物体54の一部が対象物として撮像される。推定距離Dは、撮像カメラ53と点55との間の距離であり、物体54が存在しない場合に撮像された点55までの計測距離に等しい。計測距離dは、撮像カメラ53と点56との間の距離であり、図2を参照して前述した方法により計算される。(x,y,z)座標系を使用すると、撮像カメラ53の位置は(0,H,0)で表される。点56の位置は、(g,h,i)で表される。
【0034】
ウィンドウごとの推定距離Dおよび撮像カメラの推定路面からの高さHは固定値であるので、予め計算して推定距離記憶部32に記憶しておくことができる。図5から明らかなように、ウィンドウの対象物の高さhは以下の式(1)から求められ、対象物の路面距離iは式(2)から求められる。
【0035】
【数1】
【0036】
別の実施形態では、たとえば路面距離を示すz座標の代わりに計測距離dを使用することもでき、上記の座標系とは異なる座標系によりクラスタの3次元上の位置を特定することもできる。
【0037】
次に、図6から図8を参照して、クラスタを3次元情報で表してクラスタの3次元上の位置を特定し、クラスタを直方体で近似する例を3通りに分けて説明する。
【0038】
図6は、路面上に物体が存在せず、車両が傾くことなく路面に平行に走行している例を示す。図6の(a)は、撮像カメラが前方の路面を撮像しているのを横から見た状態を示す。図6の(b)は、ウィンドウごとに予め定められた推定距離65と、図6の(a)の状態でウィンドウごとに計測された計測距離66の例を示す。図6の(c)は、算出されたウィンドウごとの3次元情報を示す。なお、撮像カメラの路面からの高さHを1.3メートルとして、3次元情報を算出した。わかりやすく説明するため、この例では、図6の(d)に示されるように、撮像した画像領域の一部である3行×3列のウィンドウを使用し、この9個のウィンドウが1つのクラスタを構成するとする。それぞれのウィンドウを識別するため、図6の(d)に示されるように、ウィンドウにはW11、W12、、の番号が付されている。
【0039】
図6の例では、車両は路面に平行に走行しており、路面上に物体が存在しないので、推定路面と実際の路面とが一致し、推定距離と計測距離とが一致する。したがって、すべてのウィンドウの対象物の高さhはゼロである。カメラの位置、ウィンドウの画像における位置、計測距離から、それぞれのウィンドウを3次元情報(x,y,z)で表すことができる(図6の(c))。ここで、図6の(c)のx座標に示されるx1〜x3は、図6の(d)に示される1列目〜3列目のウィンドウの列ごとに予め決められる距離にそれぞれ対応し、カメラの位置、画像におけるウィンドウ数などにより変化する。たとえば、ウィンドウの3列目は、車両の中心から左に1メートルの位置を示すというように定めることができる。
【0040】
図6の(a)に示される点P1、P2およびP3は、ウィンドウW11、W21およびW31のそれぞれの3次元情報を3次元上にそれぞれ投影した点である。図6の(c)に示される9個のウィンドウのすべてを、3次元上に投影して点P1〜P9を定め、点P1〜P9すべてを含む最小の直方体を定める。この例では、ウィンドウの対象物の高さがゼロなので、点P1〜P9をすべて含む直方体は、路面に平行に広がる面63となる。面63は、図6の(a)から明らかなように、実際の路面61と一致する。このように、クラスタを3次元情報で表して、クラスタを直方体(この例では平面)で近似することができる。
【0041】
図7は、前方に物体71が存在する場合を示す。物体71が存在するために、ウィンドウW11〜W13およびW21〜W23の計測距離76の値は、対応する推定距離75より小さい。図6の例と同様に、前述の式(1)および(2)を用い、それぞれのウィンドウを3次元情報で表す(図7の(c))。これらの3次元情報に基づいて、それぞれのウィンドウを3次元上に投影し、点P1〜P9を定める。面73は、これらの点をつなぎあわせたものを横から見たものである。9個の点P1〜P9をすべて含む最小の直方体74を定め、クラスタを直方体で近似する。図7の(a)から明らかなように、この直方体は、撮像した部分の物体の大きさを表している。
【0042】
図8は、自車両がピッチングなどの影響で傾いて実際の路面と平行でないために、推定路面82と、距離を計測した実際の路面81との間にずれが生じている場合を示す。撮像カメラから見ると、図8の実際の路面81は物体のように見えるので、図6および図7で説明したのと同様の方法で、それぞれのウィンドウを3次元情報で表し、クラスタを直方体で近似することができる。前述の式(1)および(2)を用いてそれぞれのウィンドウを3次元情報で表し(図8の(c))、3次元上に投影して点P1〜P9を定める。面83は、これらの点をつないで横から見たものである。投影された点P1〜P9を含む最小の直方体84を定め、クラスタを直方体で近似する。図7の直方体74と比較して明らかなように、ピッチングなどで車両が傾いたとしても通常走行において車両が大きく傾くことは起こり得ず、また実際には物体が存在しないので、直方体の厚みが非常に薄いものとなる。
【0043】
こうして、3次元情報表示部35は、直方体でクラスタを近似することにより(直方体で近似されたクラスタを近似クラスタという)、クラスタの位置および大きさを容易に認識することができる。具体的には、クラスタを構成するウィンドウの3次元情報に基づいて、距離、位置、高さ、厚みなど近似クラスタが持つ属性を算出し、クラスタ記憶部48に記憶する。図8の例では、近似クラスタの高さは、対応する直方体の上面87に含まれる点P1(すなわち、投影された点P1〜P9のうち最大のy座標値をもつ点)のy座標から求められ、近似クラスタの厚みは、対応する直方体の上面87に含まれる点P1のy座標と、下面88に含まれる点P3(すなわち、投影された点P1〜P9のうち最小のy座標値をもつ点)のy座標との差から求められる。また、近似クラスタの幅は、対応する直方体に含まれる投影された点のうち、最大のx座標値をもつ点のx座標と、最小のx座標値をもつ点のx座標との差から求められる。
【0044】
クラスタを直方体で近似するのは、クラスタの距離、位置、幅および高さを容易に算出して、クラスタに含まれる対象物の大きさおよび位置を正確に認識することができるためである。別の実施形態では、クラスタを他の立体(たとえば、車両の形状をした立体)で近似し、クラスタのさらに細かい属性(たとえば、下面の幅と上面の幅、左側の高さと右側の高さなど)を算出して記憶することもできる。また、最小の直方体で近似するのは、すべての投影された点を含むがそれより大きい(または小さい)直方体で近似すると、近似クラスタが正確に物体の大きさおよび位置を表さなくなるからである。
【0045】
次に、図1のクラスタ結合部36は、近似クラスタが複数ある場合、クラスタ記憶部48に記憶された近似クラスタに関する情報に基づいて、任意の数のクラスタを結合する。この実施例では、ある近似クラスタと他の近似クラスタとの距離、水平位置および垂直位置の差がしきい値以下ならば、この2つの近似クラスタを結合する。これは、近似クラスタに近い場所にある他の近似クラスタは、同じ対象物を表す可能性が高いからである。
【0046】
しきい値は、車両からの距離に応じて異なる値を設定するのが好ましい。この実施形態では、距離および位置の差を求める2つの近似クラスタの距離に応じて、しきい値を設定する。2つの近似クラスタの距離は、それぞれの近似クラスタに含まれるウィンドウ数と、それらウィンドウの計測距離とに基づいて算出する。たとえば、2つの近似クラスタC1およびC2があり、近似クラスタC1およびC2の距離をそれぞれd1およびd2とし、それぞれの近似クラスタC1およびC2に含まれるウィンドウ数をw1およびw2とすると、以下の式(3)に基づいて2つの近似クラスタの距離を算出することができる。ここで、近似クラスタの距離d1およびd2は、それぞれのクラスタに含まれるウィンドウの計測距離を平均した値を用いる。
【0047】
【数2】
2つの近似クラスタの距離 = (d1×w1+d2×w2)/(w1+w2)
...式(3)
【0048】
別の実施形態では、式(3)のように近似クラスタのウィンドウ数に基づいて加重平均を計算する代わりに、単純にそれぞれの近似クラスタの距離d1およびd2を平均した値を、2つの近似クラスタの距離とすることもできる。さらに、近似クラスタC1およびC2のそれぞれの中心位置における距離を平均した値を、2つの近似クラスタの距離とすることもできる。なお、計測距離と前述のz座標で示されるウィンドウの対象物の路面距離とは比例するので、路面距離を用いてもよい。
【0049】
2つの近似クラスタの距離の差は、上記の近似クラスタの距離d1およびd2の差で表される。また、2つの近似クラスタの水平位置および垂直位置の差は、2つの近似クラスタ間の間隔で表される。図9を参照すると、x−y平面から見た2つの近似クラスタC1およびC2が示されている。近似クラスタC1およびC2の水平位置の差は、x軸方向の差dxで表され、垂直位置の差は、y軸方向の差dyで表される。水平および垂直位置の差dxおよびdyは、クラスタ記憶部48に記憶された近似クラスタC1およびC2に関する位置および大きさから算出することができる。
【0050】
別の実施形態では、近似クラスタ間の間隔を位置の差とする代わりに、たとえば近似クラスタの中心位置の差を用いることもできる。近似クラスタの中心位置は、クラスタが直方体で近似されているので、クラスタ記憶部48に記憶された近似クラスタに関する情報から容易に求めることができる。
【0051】
しきい値は、上記の式(3)を用いて計算された2つの近似クラスタの距離に基づいて、たとえば、距離の差については以下の表1のように、水平位置および垂直位置の差については以下の表2のように設定することができる。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
表1において、2つの近似クラスタの距離が大きくなるほど距離の差のしきい値が大きくなっているのは、自車両からの距離が遠くなるほど計測距離の誤差が大きくなるためである。表2において、2つの近似クラスタの距離が大きくなるほど水平および垂直位置の差のしきい値が小さくなっているのは、たとえば他の車両が自車両から近い距離に存在するような場合には、コントラストが低いために計測距離を算出することのできないウィンドウが多く発生し、クラスタとクラスタとの間の間隔が広くなることがあるからである。
【0055】
こうして、距離、水平位置および垂直位置の差がいずれもしきい値以下ならば近似クラスタを結合し、1つの結合クラスタとする。図4を参照すると、2つのクラスタが存在し、これらの近似クラスタの距離および位置の差がしきい値以下ならば、2つのクラスタを結合することができる。
【0056】
なお、クラスタの結合条件に、近似クラスタの大きさ(幅および高さ)を加えることもできる。たとえば、検出すべき物体が他の車両である場合には、結合されたクラスタの幅および高さが通常の車両の幅および高さより大きくならない場合に、クラスタを結合することができる。
【0057】
さらに、これらの条件に加え、前回認識された物体の情報(物体記憶部39に記憶されている)を用いて、クラスタの結合条件とすることができる。この場合には、前回認識された物体の位置と大きさから、物体に対する相対速度(同じく、物体記憶部39に記憶されている)を用いて、今回の物体の位置と大きさを推定する。推定された物体との距離の差がしきい値以下であり、水平および垂直位置において重なりを持つ近似クラスタを選択する。選択されたクラスタが複数ある場合には、推定された物体の位置および大きさに最も近い値の位置および大きさを持つよう、選択されたクラスタのうちの1または複数のクラスタを結合する。
【0058】
その後、クラスタ結合部36は、結合されたクラスタ(以下、クラスタ群という)に含まれるクラスタの3次元情報に基づいて、クラスタをすべて含む最小の直方体を定めてクラスタ群を直方体で近似する。新たに定められた近似クラスタ群の位置、大きさ、距離などの情報を求め、クラスタ記憶部48に記憶する。クラスタ結合部36は、近似クラスタ群をそれぞれ物体候補に指定する。結合されなかった近似クラスタは、単独で物体候補に指定される。
【0059】
図1の物体判定部37は、抽出された物体候補の高さまたは厚みに基づいて、クラスタの対象物が物体かどうか判断する。物体候補である近似クラスタまたは近似クラスタ群の高さおよび厚みがクラスタ記憶部48に記憶されているので、物体判定部37はこれらの値を読み出し、物体候補のうち、上面の推定路面からの高さが低いもの、および上面と下面との差(厚み)が小さいものを物体ではないと判定して物体候補から除外する。
【0060】
たとえば、検知対象を他の車両とする場合には、推定路面から物体候補の上面までの高さが90センチメートル以下であり、かつ上面と下面との差が80センチメートル以下の物体候補と、上面までの高さが70センチメートル以下の物体候補とを、物体ではないと判定して物体候補から除外する。高さおよび厚みにこのようなしきい値を設けることにより、たとえば図8に示すように物体候補が路面である場合には、物体候補である近似クラスタの厚みが非常に薄いものとなるため、近似クラスタ84が物体と判定されることはない。
【0061】
このように、車両がピッチングなどの影響で傾いて路面が物体候補となり、画像上でこの物体候補が広い領域を占めても、クラスタを3次元情報で表して厚みを算出することにより、クラスタの対象物が薄いということがわかるので、路面を物体と誤って判定することがなくなる。
【0062】
物体認識部38は、物体判定部37により物体と判定された近似クラスタの距離、位置および大きさなどの情報をクラスタ記憶部48から読み出し、物体を認識する。認識された物体にかかわる情報は、物体記憶部39に記憶される。物体記憶部39には、前回認識された物体にかかわる情報も記憶されており、前述したようにクラスタ結合部36は、この情報を利用してクラスタを結合することができる。さらに、物体認識部38は、前回認識された物体の距離(前回距離)および今回認識された物体の距離(今回距離)を用い、(今回距離−前回距離)/検出時間間隔、の計算式から物体に対する自車の相対速度を算出し、物体記憶部39に記憶する。ここで、検出時間間隔は、前回の計測と今回の計測との時間差であり、たとえば100ミリ秒とすることができる。
【0063】
車両制御部45は、物体記憶部39に記憶された物体の距離、位置および相対速度などの情報、および自車速度検出装置46やヨーレート検出装置47などの装置からの情報に基づいて、物体までの距離が適切であるよう自車両を制御する。たとえば、運転者に音声やアラームで警告を発したり、自車のエンジンを制御して強制的に減速させたりなどの制御をすることができる。
【0064】
図1に示した相関計算部6、距離計算部7、距離記憶部8、ウィンドウ切り出し部13、路面除去部31、推定距離記憶部32、クラスタリング部33、クラスタ結合部36、クラスタ記憶部48、物体判定部37、物体認識部38、物体記憶部39および車両制御部45は、中央演算処理装置(CPU)、制御プログラムおよび制御データを格納する読み出し専用メモリ、CPUの演算作業領域を提供し様々なデータを一時記憶することができるランダムアクセスメモリ(RAM)で構成することができる。距離記憶部8、推定距離記憶部32、クラスタ記憶部48および物体記憶部39は、1つのRAMのそれぞれ異なる記憶領域を使用して実現することができる。また、各種の演算で必要となるデータの一時記憶領域も同じRAMの一部分を使用して実現することができる。
【0065】
また、この発明の物体判定装置をエンジンの電子制御ユニット(ECU)、ブレーキ制御ECUその他のECUとLAN接続して物体判定装置からの出力を車両の全体的な制御に利用することができる。
【0066】
【発明の効果】
請求項1の発明によると、計測された距離値に基づいてクラスタリングされたウィンドウのクラスタを3次元情報で表し、クラスタの高さまたは厚みに基づいて物体を判定するので、自車両の挙動による相対的な実際の路面の変動があっても物体を正確に判定することができる。
【0067】
請求項2の発明によると、同一の物体を含む可能性が高いクラスタを結合して物体かどうか判定するので、より正確に物体の判定を行うことができる。
【0068】
請求項3の発明によると、予め決められた路面までの推定距離と実際に計測された距離とに基づき対象物が路面と判断されたウィンドウについては、その後の物体判定処理を行う必要がなくなるので、より効率よく物体判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例の全体的な構成を示すブロック図。
【図2】三角計測法による距離の計測原理を説明するための図。
【図3】この発明による、(a)撮像された画像、(b)距離および道路領域判定のため小領域(ウィンドウ)に分割された画像を示す図。
【図4】この発明によるウィンドウのクラスタリングを示す図。
【図5】この発明によるウィンドウを3次元情報で表す方法を示す図。
【図6】車両が路面に平行に走行している場合の、物体を含まないクラスタを3次元情報で表して直方体で近似する方法を示す図。
【図7】物体を含むクラスタを3次元情報で表して直方体で近似する方法を示す図。
【図8】車両が傾いて走行している場合の、物体を含まないクラスタを3次元情報で表して直方体で近似する方法を示す図。
【図9】この発明による、2つのクラスタの水平および垂直位置の差を示す図。
【符号の説明】
3、3’ 撮像部
7 距離計算部
31 路面除去部
33 クラスタリング部
36 クラスタ結合部
37 物体判定部
Claims (2)
- 所定の間隔をおいて配置された少なくとも2つの撮像手段と、
前記少なくとも2つの撮像手段で得られ、複数のウィンドウに分割された画像に基づいて、ウィンドウごとに対象物までの距離を計測する計測手段と、
前記計測手段により計測された距離の差が所定範囲内にあり、隣接するウィンドウをクラスタリングしてクラスタを定めるクラスタリング手段と、
前記クラスタを構成するウィンドウのそれぞれについて、前記撮像手段の位置、該ウィンドウの画像上の位置、および前記計測手段により計測された該ウィンドウ上の対象物までの距離に基づいて、該ウィンドウの対象物の位置を3次元情報で表す3次元表示手段と、
前記3次元情報で表した位置を、車両が位置する路面を原点として該路面に垂直な方向をy軸とする3次元座標系上に点として投影し、前記クラスタを構成するすべてのウィンドウの該投影された点を含むよう最小の直方体を定めることにより、該クラスタを直方体で近似するクラスタ近似手段と、
前記直方体で近似されたクラスタの近くにある他のクラスタを結合するクラスタ結合手段と、
前記結合されたクラスタを含む最小の直方体を定めることにより、該結合されたクラスタを直方体で近似する結合クラスタ近似手段と、
前記結合クラスタ近似手段によって前記結合されたクラスタを近似する前記直方体の高さおよび厚みに基づいて、該結合されたクラスタの対象物が物体かどうか判定する物体判定手段であって、該高さは、該直方体の上面に含まれる点のy座標値により表され、該厚みは、該直方体の上面に含まれる点のy座標値と該直方体の下面に含まれる点のy座標値との差により表される、物体判定手段と、
を備える物体判定装置。 - 前記計測手段により計測されたウィンドウ上の対象物までの距離と、前記撮像手段の位置および該ウィンドウの画像上の位置に基づいて定まる路面までの距離とを比較し、該ウィンドウ上の対象物が路面かどうか判断する手段を備えた請求項1に記載の物体判定装置。
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