携帯電話の通信システムには、規格によってアクセス方式や無線伝送周波数が異なっている。そのため、世界の様々な地域で携帯電話機を使用するためには、サービスを利用する国・地域に応じて各々の規格に準拠した携帯電話機を携帯するか、もしくは、複数の通信システムに対応した1台のマルチバンド対応携帯電話機を携帯する必要がある。
後者の場合、1台で複数の通信システムを利用可能とするためには、通信システム毎に製造された部品を用いて携帯電話機を構成すればよい。ところが、対応可能なシステム数に比例して容積、重量ともに増加する。そのため、携帯用としては適さない。そこで、複数のシステムに対応した小型軽量の高周波部品が必要となっている。
携帯電話等の移動通信端末では、通信時にGHz帯の電波が使用される。その際、アンテナの切り替え回路や送受信切り替え回路などに、高周波での周波数特性の優れたガリウム・砒素(GaAs)を用いた電界効果トランジスタ段をスイッチング素子として使用している。
この電界効果トランジスタ段は、例えば、ゲート電圧端子にピンチオフ電圧よりも十分に高いゲートバイアス電圧として、Hレベル(例えば3V)の電圧を印加してドレインーソース間を低インピーダンスにすることにより、電界効果トランジスタ段をオン状態に制御することができる。逆に、ゲート電圧端子にピンチオフ電圧よりも十分に低いゲートバイアス電圧として、Lレベル(例えば0V)の電圧を印加してドレインーソース間を高インピーダンスにすることにより、電界効果トランジスタ段をオフ状態に制御することができる。
図13は、このようなスイッチング素子を用いた先行技術の第1の構成に係る高周波スイッチ回路装置の一例の回路図を示す。この高周波スイッチ回路装置は、例えばアンテナスイッチ部として使用される。ここでは、高周波スイッチ回路装置の1つである高周波用SP3T(Single−Pole Triple−Throw)スイッチを例として示す。
高周波用SP3Tスイッチは、たとえば入力された高周波信号の出力経路を切り替えるものであり、その入力側には、第1高周波信号端子RF1が配置されている。また、出力側には、第2高周波信号端子RF2、第3高周波信号端子RF3、および第4高周波信号端子RF4が配置されている。第1高周波信号端子RF1へ入力された高周波信号は、第2高周波信号端子RF2、第3高周波信号端子RF3および第4高周波信号端子RF4のいずれか一つから出力される。スイッチの入出力関係を上記とは逆にしても良い。
第1高周波信号端子RF1と第2高周波信号端子RF2との間には、高周波信号経路のスイッチングを行うスイッチ回路である第1電界効果トランジスタ段FET1が設けられている。また、第1高周波信号端子RF1と第3高周波信号端子RF3との間には、同様のスイッチ回路である第2電界効果トランジスタ段FET2が設けられている。第1高周波信号端子RF1と第4高周波信号端子RF4との間には、同様のスイッチ回路である第3電界効果トランジスタ段FET3が設けられている。以下、電界効果トランジスタ段は、電界効果トランジスタ段をスイッチング素子として用いたスイッチ回路を意味するものとする。
そして、第1制御電圧入力端子CTL1、第2制御電圧入力端子CTL2および第3制御電圧入力端子CTL3に与えられる制御電圧により、それぞれの電界効果トランジスタ段FET1、FET2、FET3がオン・オフ制御される。これにより、第1高周波信号端子RF1は、第2高周波信号端子RF2、第3高周波信号端子RF3および第4高周波信号端子RF4のいずれか一つに電気的に接続される。なお、記号R1、R2およびR3は、第1電界効果トランジスタ段FET1、第2電界効果トランジスタ段FET2および第3電界効果トランジスタ段FET3の各々の電界効果トランジスタのゲートに接続された抵抗を示す。
一方、このようなGaAsFETをスイッチング素子として用いる場合、低挿入損失、高アイソレーションの両立は難しいという問題がある。FET単体において高アイソレーションを得るにはFETのゲート電圧端子幅を小さくすれば良い。ところが、ゲート電圧端子幅を小さくすると、オン抵抗が増大するため、挿入損失が悪化するという問題がある。したがって、低挿入損失、高アイソレーションの両立は難しい。このようにFET単体では低挿入損失、高アイソレーションの両立は難しいが、FETを組み合わせることによりこの問題の解決が図られている。
図14に、上記のような構成の先行技術の第2の構成に係る高周波スイッチ回路装置の例の回路図を示す。ここでは、例として、信号経路に対してシリーズFETとシャントFETをそれぞれ1個ずつ組み合わせてなる、高周波用SP3Tスイッチを示す。
この構成により、オフ状態のシリーズFETの容量成分を介して漏れるRF信号をオン状態にあるシャントFETがグランドに引き込むことができ、高アイソレーションが得られるようになる。
この高周波スイッチ回路装置においては、第2高周波信号端子RF2と接地端子GNDとの間には第4電界効果トランジスタ段FET4が配置されている。これによって、第1高周波信号端子RF1と第2高周波信号端子RF2との間が遮断状態のときに、第1高周波信号端子RF1から第2高周波信号端子RF2へ第1電界効果トランジスタ段FET1を介して漏れ出してくる信号をグラウンドに引き込む。同様に、第3高周波信号端子RF3と接地端子GNDとの間には、第5電界効果トランジスタ段FET5が配置されている。さらに、第4高周波信号端子RF4と接地端子GNDとの間には、第6電界効果トランジスタ段FET6が配置されている。
以上のように、このスイッチ回路では、第4電界効果トランジスタ段FET4、第5電界効果トランジスタ段FET5、および第6電界効果トランジスタ段FET6からなるシャント回路が形成されている。記号R4、R5およびR6は、第4電界効果トランジスタ段FET4、第5電界効果トランジスタ段FET5、および第6電界効果トランジスタ段FET6の各電界効果トランジスタのゲートに接続された抵抗を示す。記号C1、C2およびC3は、第4電界効果トランジスタ段FET4、第5電界効果トランジスタ段FET5、および第6電界効果トランジスタ段FET6と直列に接続されたコンデンサを示す。
これら電界効果トランジスタ段FET1〜FET6は、第1制御電圧入力端子CTL1ないし第6制御電圧入力端子CTL6に与えられる制御電圧によりオン・オフ制御される。
具体的には、図15の制御論理表に示すように、第1制御電圧入力端子CTL1がハイ状態となるときは、第5制御電圧入力端子CTL5および第6制御電圧入力端子CTL6がハイ状態となる。同様に、第2制御電圧入力端子CTL2がハイ状態となるときは、第4制御電圧入力端子CTL4および第6制御電圧入力端子CTL6がハイ状態となる。また、第3制御電圧入力端子CTL3がハイ状態となるときは、第4制御電圧入力端子CTL4および第5制御電圧入力端子CTL5がハイ状態となる。これによって、各高周波信号間のアイソレーション特性を良好に保っている。
しかしながら、このようなアイソレーション確保用のシャントFETを有した高周波用SP3Tスイッチ回路の構成を採用するためには、各シャントFETのゲート電圧端子に印加する制御電圧を独立に制御するためだけに3系統の制御電圧入力端子が必要となる。したがって、シリーズFETの制御用も含めると6系統の制御電圧入力端子が必要になる。その結果、高周波スイッチ回路装置のパッケージのピン数の増加およびパッケージサイズの大型化につながるという問題があり、装置の小型化が要求される携帯端末には不適であった。
上記のような制御電圧入力端子数の増加を避けるための最も簡単な方法である第1の方法は、図16に示すように、先行技術の第3の構成に係る高周波スイッチ回路装置の構成を採用することである。すなわち、各信号経路について、シリーズFET1個に対してシャントFETをそれぞれ2個ずつ組み合わせることである。
具体的に言えば、上記で示したSP3Tスイッチ構成において、第2高周波信号端子RF2と接地端子GNDとの間に第7電界効果トランジスタ段FET7を追加する。また同様に第3高周波信号端子RF3と接地端子GNDとの間に第8電界効果トランジスタ段FET8を追加する。さらに第4高周波信号端子RF4と接地端子GNDとの間に第9電界効果トランジスタ段FET9を追加する。
そして、第1制御電圧入力端子CTL1により第1電界効果トランジスタ段FET1、第5電界効果トランジスタ段FET5および第6電界効果トランジスタ段FET6をオン・オフ制御する。同様に、第2制御電圧入力端子CTL2により第2電界効果トランジスタ段FET2、第4電界効果トランジスタ段FET4および第9電界効果トランジスタ段FET9をオン・オフ制御する。さらに、第3制御電圧入力端子CTL3により第3電界効果トランジスタ段FET3、第7電界効果トランジスタ段FET7および第8電界効果トランジスタ段FET8をオン・オフ制御する。
これによって、3系統の制御電圧入力端子でアイソレーションを良好に保つことができる。記号R7、R8およびR9は、第7電界効果トランジスタ段FET7、第8電界効果トランジスタ段FET8および第9電界効果トランジスタ段FET9の各々のゲートに接続された抵抗を示す。記号C4、C5およびC6は、第7電界効果トランジスタ段FET7、第8電界効果トランジスタ段FET8、および第9電界効果トランジスタ段FET9と各々直列に接続されたコンデンサを示す。
また、それ以外にも、差動増幅回路、およびインバータ回路による対称制御電圧発生回路を高周波スイッチ回路装置に内蔵することによりSPDTスイッチの制御電圧入力端子を削減する第2の方法が特許文献1に開示されている。また、シリーズFETの制御電圧入力端子をグラウンド端子に接続し、シャントFETのドレインまたはソースを電源端子に接続し、シャントFETの制御電圧をシリーズFETのドレインまたはソースに印加することで制御電圧入力端子を削減する第3の方法が特許文献2に開示されている。
特開平6−85641号公報
特開平11−150464号公報
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る高周波スイッチ回路装置の一例を示す回路図であり、具体的には高周波用SP3Tスイッチの回路構成を示す。
図1において、第1高周波信号端子RF1から第4高周波信号端子RF4まで、第1電界効果トランジスタ段FET1から第6電界効果トランジスタ段FET6まで、制御電圧入力端子CTL1〜CTL3は先行技術と同じものである。第1ダイオードD1から第6ダイオードD6までは、ダイオードロジック回路OR1を構成するダイオードであり、金属−半導体FETのゲート電極と同一材料により金属−半導体ショットキー接合として作成されたダイオードである。このダイオードは、FET作製工程で同時に作製することができる。
第1ダイオードD1は、第3制御電圧入力端子CTL3にアノードが接続され、そのカソードが第4電界効果トランジスタ段FET4のゲート電圧端子に接続されるとともに、抵抗R101を介して接地端子GNDに接続されている。第2ダイオードD2は、第2制御電圧入力端子CTL2にアノードが接続され、そのカソードが第1ダイオードD1のカソードに接続されている。
第3ダイオードD3は、第3制御電圧入力端子CTL3にアノードが接続され、そのカソードが第5電界効果トランジスタ段FET5のゲート電圧端子に接続されるとともに、抵抗R102を介して接地端子GNDに接続されている。第4ダイオードD4は、第1制御電圧入力端子CTL1にアノードが接続され、そのカソードが第3ダイオードD3のカソードに接続されている。
第5ダイオードD5は、第2制御電圧入力端子CTL2にアノードが接続され、そのカソードが第6電界効果トランジスタ段FET6のゲート電圧端子に接続されるとともに、抵抗R103を介して接地端子GNDに接続されている。第6ダイオードD6は、第1制御電圧入力端子CTL1にアノードが接続され、そのカソードが第5ダイオードD5のカソードに接続されている。
次に動作について説明する。例えば、第1高周波信号端子RF1と第2高周波信号端子RF2の経路をオン状態にしたいときは以下のように動作する。第1制御電圧入力端子CTL1にHレベル電圧(例えば3V)を入力し、第2制御電圧入力端子CTL2および第3制御電圧入力端子CTL3にLレベル電圧(例えば0V)を入力する。それによって、第1電界効果トランジスタ段FET1がオン状態、第2電界効果トランジスタ段FET2および第3電界効果トランジスタ段FET3がオフ状態となる。
このとき、第4電界効果トランジスタ段FET4のゲート電圧端子には、アノードが第3制御電圧入力端子CTL3に接続されている第1ダイオードD1のカソードと、アノードが第2制御電圧入力端子CTL2に接続されている第2ダイオードD2のカソードとが接続されている。そのため、第1ダイオードD1および第2ダイオードD2ともにアノードはLレベル電圧の電位となる。第1ダイオードD1および第2ダイオードD2のカソードはLレベル電位の接地端子GNDに抵抗R101を介して接続されている。したがって、第1ダイオードD1および第2ダイオードD2の各々のカソードとアノードの電位差がダイオードの閾値Vf以下であるので、第1ダイオードD1および第2ダイオードD2には電流が流れない。そのため、第4電界効果トランジスタ段FET4のゲート電圧端子には、第2制御電圧入力端子CTL2と第3制御電圧入力端子CTL3とへ与えられる2つの制御電圧のOR電位、すなわちLレベルの電圧が入力される。したがって、第4電界効果トランジスタ段FET4はオフ状態となる。
また、第5電界効果トランジスタ段FET5のゲート電圧端子には、アノードが第3制御電圧入力端子CTL3に接続されている第3ダイオードD3のカソードと、アノードが第1制御電圧入力端子CTL1に接続されている第4ダイオードD4のカソードとが接続されている。そのため、第3ダイオードD3のアノードはLレベルの電位となり、第4ダイオードD4のアノードはHレベルの電位となる。第3ダイオードD3および第4ダイオードD4のカソードはLレベル電位の接地端子GNDに抵抗R102を介して接続されている。したがって、第4ダイオードD4のカソードとアノードの電位差がダイオードの閾値Vfを超えるので、第4ダイオードD4に電流が流れる。その結果、第4ダイオードD4のカソードにはHレベル電圧よりダイオードの電圧降下分(0.7V以下)を差し引いた電位が現れる。また、このとき第3ダイオードD3は、カソードとアノードの電位差がダイオードの閾値Vf以下(逆バイアス状態)であるので、第3ダイオードD3には電流が流れない。そのため、第5電界効果トランジスタ段FET5のゲート電圧端子には、第1制御電圧入力端子CTL1と第3制御電圧入力端子CTL3とに与えられる2つの制御電圧のOR電位、正確にはHレベル電圧よりダイオードの電圧降下分を差し引いた電位が加わる。つまり、電界効果トランジスタのピンチオフ電圧よりも十分に高いゲートバイアス電圧が第5電界効果トランジスタ段FET5に印加されることとなる。したがって、第5電界効果トランジスタ段FET5はオン状態となる。
同様に、第6電界効果トランジスタ段FET6のゲート端子には、アノードが第2制御電圧入力端子CTL2に接続されている第5ダイオードD5のカソードと、アノードが第1制御電圧入力端子CTL1に接続されている第6ダイオードD6のカソードとが接続されている。そのため、第5ダイオードD5のアノードはLレベルの電位となり、第6ダイオードD6のアノードはHレベルの電位となる。第5ダイオードD5および第6ダイオードD6のカソードはLレベル電位の接地端子GNDに抵抗R103を介して接続されている。したがって、第6ダイオードD6のカソードとアノードの電位差がダイオードの閾値Vfを超えるので第6ダイオードD6に電流が流れる。その結果、第6ダイオードD6のカソードにはHレベル電圧よりダイオードの電圧降下分を差し引いた電位が現れる。また、このとき第5ダイオードD5は、カソードとアノードの電位差がダイオードの閾値Vf以下(逆バイアス状態)であるので、第5ダイオードD5には電流が流れない。そのため、第6電界効果トランジスタ段FET6のゲート電圧端子には、第1制御電圧入力端子CTL1と第2制御電圧入力端子CTL2とに与えられる2つの制御電圧のOR電位、正確にはHレベル電圧よりダイオードの電圧降下分を差し引いた電位が加わる。つまり、電界効果トランジスタのピンチオフ電圧よりも十分に高いゲートバイアス電圧が第6電界効果トランジスタ段FET6に印加されることとなる。したがって、第6電界効果トランジスタ段FET6はオン状態となる。
同様に、第1高周波信号端子RF1と第3高周波信号端子RF3の経路をオン状態にしたいとき、および第1高周波信号端子RF1と第4高周波信号端子RF4の経路をオン状態にしたいときには、第1制御電圧入力端子CTL1、第2制御電圧入力端子CTL2および第3制御電圧入力端子CTL3へ図2の制御論理表に示すような制御電圧を与えればよい。その際、ダイオードロジック回路OR1は図2に示す制御論理表に示すように動作する。
本実施の形態1の高周波スイッチ回路では、先行技術の高周波スイッチ回路と比較して以下のような差がある。すなわち、図14に示す先行技術の第2の構成では、アイソレーション特性を確保するため、6つの電界効果トランジスタ段の制御に6系統の制御電圧入力端子が必要である。また図15に示す先行技術の第3の構成では、3系統の制御電圧入力端子でアイソレーションを確保するため、シャントFETの数を増やしていた。ところが、本実施の形態1の高周波スイッチ回路では、シャントFETの数を増やすことなく3系統の制御電圧入力端子で6つの電界効果トランジスタ段の制御が可能となる。このため、パッケージのピン数の減少およびパッケージサイズの小型化および操作性の向上につながり、携帯電話機の小型化に貢献することができる。
また、図3A、3Bにダイオードロジック回路OR1中のダイオードをGaAs基板上スイッチ要素と一体的に作製するときの回路図とパターン構造の一例を示す。図3A、3Bでは、2つのダイオードD11,D12を用いてダイオードロジック回路を構成する場合の例を示している。第1入力端子IN1および第2入力端子IN2は、2つのダイオードD11,D12のアノードに対応しており、各々図1の制御電圧入力端子に接続されている。第1出力端子OUT1は、この2つのダイオードD11,D12の共通のカソードに対応している。つまり、第1出力端子OUT1には、第1入力端子IN1および第2入力端子IN2に接続される制御電圧入力端子に与えられる制御電圧のOR電圧が出力されることとなる。
これら2つのダイオードをFET作製工程で同時に作製する場合、この第1入力端子IN1および第2入力端子IN2からの信号を入力する2つのダイオードのアノードは、GaAs基板S1上に形成される活性層A1と、この活性層A1上に形成されるゲート電極GT1とによって形成される。また、2つのダイオードに共通のカソードは、この活性層A1上にゲート電極GT1に対して櫛形に形成されるソース・ドレイン用オーミック電極SD1によって形成される。
このとき、GaAs基板上に作製されるダイオード形成用のゲート長は高周波信号を通過させる電界効果トランジスタ段のゲート長と比較して1/10以下のゲート長でよく、半導体基板内の占有面積も1/10以下で済む。また、3つ以上のダイオードを用いてダイオードロジック回路を形成する場合においても、同様に、入力端子分の本数のゲート電極を形成し、さらにソース・ドレイン共通オーミック電極を櫛形に形成することで作製が可能である。なお、ソース・ドレイン共通オーミック電極は、櫛形に形成する必要はない。
本発明の実施の形態1によれば、ダイオードは、図3A、3Bに示すように化合物半導体基板上に形成される金属−半導体FETのゲート電極と同一材料によりFET作製工程で同時に作製することのできるショットキー接合よりなるダイオードであり、さらにFET形成と比較して1/10以下の占有面積で作製が可能である。このため、先行技術と比較して大幅なチップサイズの縮小、並びに製造コストの低廉化を実現することができる。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2に係る高周波スイッチ回路装置の一例を示す図である。具体的には、高周波用SP3Tスイッチの回路構成を示す。
図4において、第1高周波信号端子RF1から第4高周波信号端子RF4まで、第1電界効果トランジスタ段FET1から第6電界効果トランジスタ段FET6まで、制御電圧入力端子CTL1〜CTL3は先行技術と同じものである。第1ダイオードD1から第6ダイオードD6までは、実施の形態1と同じものである。第1ダイオードD1ないし第9ダイオードD9はダイオードロジック回路OR2を構成するダイオードであり、金属−半導体FETのゲート電極と同一材料によりFET作製工程で同時に作製することのできるショットキー接合よりなるダイオードである。
第7ダイオードD7、第8ダイオードD8および第9ダイオードD9は、それぞれ第1制御電圧入力端子CTL1、第2制御電圧入力端子CTL2および第3制御電圧入力端子CTL3にアノードが接続されている。それらのカソードは、抵抗R104を介して接地端子GNDに接続されている。さらに、それらのカソードは、第1電界効果トランジスタ段FET1から第6電界効果トランジスタ段FET6までの各々の電界効果トランジスタ段を構成する複数の電界効果トランジスタの中間接続点、すなわちソースまたはドレインに抵抗R201ないしR206を介して接続されている。
次に動作について説明する。図5に本実施の形態のダイオードロジック回路の制御論理表を示す。第1高周波信号端子RF1と第2高周波信号端子RF2、第3高周波信号端子RF3および第4高周波信号端子RF4との経路が各々オン状態にあるとき、各々の電界効果トランジスタ段FET1〜FET6は、実施の形態1と同様に動作する。
また、第7ダイオードD7、第8ダイオードD8および第9ダイオードD9は、アノードが制御電圧入力端子CTL1、CTL2、CTL3にそれぞれ接続されており、カソードが抵抗R104を介して接地端子GNDに共通に接続されている。そのため、第7ダイオードD7、第8ダイオードD8および第9ダイオードD9のいずれか一つは、カソードとアノードの電位差がダイオードの閾値Vf以上であるので電流が流れ、カソードにはHレベルの電圧よりダイオードの電圧降下分を差し引いた電位が現れる。
したがって、第1電界効果トランジスタ段FET1ないし第6電界効果トランジスタ段FET6の各々の電界効果トランジスタ段を構成する複数の電界効果トランジスタの中間接続点、すなわちソースまたはドレインが、制御電圧入力端子CTL1、CTL2およびCTL3のOR電圧、正確にはHレベルの電圧よりダイオードの電圧降下分を差し引いた電圧で固定されることとなる。
本実施の形態2の高周波スイッチ回路では、実施の形態1と同様の効果に加えて、複数の電界効果トランジスタの中間接続点をHレベルの電圧よりダイオードの電圧降下分を差し引いた電圧で固定する。これに対し、電界効果トランジスタがオン状態のときは、ゲート端子電圧としてはHレベルの電圧、またはHレベルの電圧よりダイオードの電圧降下分を差し引いた電圧が与えられる。そのため、確実に0V以上の順バイアスで動作が可能となる。
また、電界効果トランジスタがオフ状態のときは、ゲート端子電圧としてはLレベルの電圧が与えられる。したがって、(Lレベル電圧)−(Hレベルの電圧よりダイオードの電圧降下分を差し引いた電圧)の逆バイアスで電界効果トランジスタを確実に遮断できる。つまり、オン・オフ制御を確実に行うことができ、オフ状態の信号経路へのリークの抑制につながり、高アイソレーション、低歪といった良好な特性を有する高周波スイッチ回路装置を実現することができる。しかも、複数の電界効果トランジスタの中間接続点の電位を固定するための特別な電源が不要であり、電源供給のための端子も不要である。したがって、電位固定のために端子数が増加することもない。
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3に係る高周波スイッチ回路装置の一例を示す図である。具体的には、高周波用SP3Tスイッチの回路構成を示す。
図6において、第1高周波信号端子RF1から第4高周波信号端子RF4まで、第1電界効果トランジスタ段FET1から第6電界効果トランジスタ段FET6まで、制御電圧入力端子CTL1〜CTL3は先行技術と同じものである。第1ダイオードD1から第6ダイオードD6までは、ダイオードロジック回路OR1を構成するダイオードであり、実施の形態1と同じものである。
本実施の形態3に係る高周波用SP3Tスイッチの回路構成では、第1電界効果トランジスタ段FET1のゲート電圧端子が、第4電界効果トランジスタ段FET4を構成する複数の電界効果トランジスタの中間接続点に抵抗R204を介して接続されている。同様に、第2電界効果トランジスタ段FET2のゲート電圧端子が、第5電界効果トランジスタ段FET5を構成する複数の電界効果トランジスタの中間接続点に抵抗R205を介して接続されている。さらに、第3電界効果トランジスタ段FET3のゲート電圧端子が、第6電界効果トランジスタ段FET6を構成する複数の電界効果トランジスタの中間接続点に抵抗R206を介して接続されている。
また、第4電界効果トランジスタ段FET4のゲート電圧端子が、第1電界効果トランジスタ段FET1を構成する複数の電界効果トランジスタの中間接続点に抵抗R201を介して接続されている。同様に、第5電界効果トランジスタ段FET5のゲート電圧端子が、第2電界効果トランジスタ段FET2を構成する複数の電界効果トランジスタの中間接続点に抵抗R202を介して接続されている。さらに、第6電界効果トランジスタ段FET6のゲート電圧端子が、第3電界効果トランジスタ段FET3を構成する複数の電界効果トランジスタの中間接続点に抵抗R203を介して接続されている。
次に動作について説明する。ダイオードロジック回路OR1の各ダイオードの動作は、実施の形態1と同様であり、図2に示す制御論理表のとおりである。本実施の形態の回路によれば、シリーズの電界効果トランジスタ段の中間接続点が常にシャントの電界効果トランジスタ段のゲート端子電圧で電位固定されており、シャントの電界効果トランジスタ段の中間接続点が常にシリーズの電界効果トランジスタ段のゲート端子電圧で電位固定されている。そのため、オン状態の電界効果トランジスタ段は、ソースおよびドレインがLレベルの電圧で固定されることになり、確実に高い順バイアスで動作する。一方、オフ状態の電界効果トランジスタ段は、ソースおよびドレインがHレベルもしくはHレベルの電圧よりダイオードの電圧降下分を差し引いた電圧で固定されることになり、確実に高い逆バイアスで動作する。
本実施の形態3の高周波スイッチ回路によれば、実施の形態2と同様の効果に加えて、さらに電界効果トランジスタ段のオン・オフ制御を確実に行うことができるという効果がある。つまり、オン状態では、確実に順バイアスで動作することができ、オフ状態では、確実に高い逆バイアスにすることができる。そのため、実施の形態2と比較してさらに低挿入損失、高アイソレーション、低歪といった良好な特性を有する高周波スイッチ回路装置を実現することができる。
(実施の形態4)
図7は、本発明の実施の形態4に係る高周波スイッチ回路装置の一例を示す図である。具体的には、高周波用SP3Tスイッチの回路構成を示す。
本実施の形態4は、アンテナに対して送信受信切替えを行うというような、大小異なる2つ以上の電力を扱う通信端末装置に有効な回路構成である。この実施の形態における通信端末装置は通信帯域として準マイクロ波帯を用いるものとする。
図8にこの実施の形態を用いた通信端末のRF信号処理部分を示す。この通信端末装置では、アンテナANTに対して少なくとも第1高周波信号と第2高周波信号と第3高周波信号とをそれぞれスイッチングする高周波スイッチ回路装置を有する。第1高周波信号が送信部TXの第1送信回路TX1に接続され、第2高周波信号および第3高周波信号が受信部RXの第1受信回路RX1および第2受信回路RX2に接続されている。
信号経路を構成する電界効果トランジスタで大電力を扱う場合、オフ状態にある電界効果トランジスタ段において歪を発生しやすい。このことから、複数の電界効果トランジスタを直列接続し、多段化することにより取り扱い電力を拡大している。本実施の形態によれば、図8の通信端末のRF信号処理部分で示すように、経路間で取り扱い電力が異なり、受信側経路が複数あった場合、受信を扱う経路のオン・オフ動作を行うシリーズの電界効果トランジスタ段の複数段のうち、何段かの電界効果トランジスタ段をアンテナ側端子に共通FETとして接続する。これにより、先行技術と同等の歪特性を有するアンテナスイッチ回路を小型化することが可能となる。
例えば、高周波用SP3Tスイッチの第1高周波信号端子RF1をアンテナ接続端子ANTとして使用し、第2高周波信号端子RF2を第1送信回路側端子TX1、第3高周波信号端子RF3を第1受信回路側端子RX1、第4高周波信号端子RF4を第2受信回路側端子RX2としてそれぞれ使用した場合において、本発明の実施の形態4を適用した回路構成について以下に説明する。
図7の回路構成において、第1高周波信号端子RF1ないし第4高周波信号端子RF4、第1電界効果トランジスタ段FET1および第4電界効果トランジスタ段FET4、制御電圧入力端子CTL1ないしCTL3は先行技術と同じものを示す。第1ダイオードD1ないし第6ダイオードD6は、ダイオードロジック回路OR1を構成するダイオードであり、実施の形態1と同じものを示す。
アンテナ接続端子ANT(RF1)と第1受信回路側端子RX1(RF3)との間のオン・オフ切替えを行うシリーズの電界効果トランジスタ段、すなわち実施の形態1における4段の電界効果トランジスタ段FET2が、2段の電界効果トランジスタ段FET21と2段の電界効果トランジスタ段FET22とで構成される。また、アイソレーション確保用のシャントの電界効果トランジスタ段、すなわち実施の形態1における4段の電界効果トランジスタ段FET5が、2段の電界効果トランジスタ段FET24で構成される。
電界効果トランジスタ段FET21のゲート端子電圧は、第2制御電圧入力端子CTL2と第3制御電圧入力端子CTL3とのOR電圧により制御される。また、電界効果トランジスタ段FET22のゲート端子電圧は第2制御電圧入力端子CTL2により制御される。さらに、電界効果トランジスタ段FET24のゲート端子電圧は第1制御電圧入力端子CTL1と第3制御電圧入力端子CTL3とのOR電圧によって制御される。
また、同様に、アンテナ接続端子ANT(RF1)と第2受信回路側端子RX2(RF4)との間のオン・オフ切替えを行うシリーズの電界効果トランジスタ段、すなわち実施の形態1における4段の電界効果トランジスタ段FET3が、2段の電界効果トランジスタ段FET21と2段の電界効果トランジスタ段FET23とで構成される。電界効果トランジスタ段FET21が受信回路側経路共通の電界効果トランジスタ段となる。また、アイソレーション確保用のシャントの電界効果トランジスタ段、すなわち実施の形態1における4段の電界効果トランジスタ段FET6が、2段の電界効果トランジスタ段FET25で構成される。
電界効果トランジスタ段FET23のゲート端子電圧は第3制御電圧入力端子CTL3により制御される。また、電界効果トランジスタ段FET25のゲート端子電圧は第1制御電圧入力端子CTL1と第2制御電圧入力端子CTL2とのOR電圧によって制御される。
次に動作について説明する。アンテナ接続端子ANT(RF1)と第1送信回路側端子TX1(RF2)との経路をオン状態にするとき、第1制御電圧入力端子CTL1にHレベル電圧が与えられ、第2制御電圧入力端子CTL2および第3制御電圧入力端子CTL3にLレベル電圧が与えられる。これによって、ダイオードロジック回路OR1を通して出力される制御信号およびそれらのOR電圧により、電界効果トランジスタ段FET1、FET24、FET25がオン状態となり、その他の電界効果トランジスタ段FET4、FET21、FET22、FET23がオフ状態となる。
このとき、歪特性は、オン経路(ANT−TX1間)に対応して、オフ経路となるアンテナANTと接地端子GND、第1受信回路側端子RX1(RF3)および第2受信回路側端子RX2(RF4)との間にある、記号FET4、FET21とFET22、FET21とFET23で示すオフの状態の電界効果トランジスタ段によって決定される。オフ経路は、4段以上のオフ状態の電界効果トランジスタにより構成される。つまり、大電力を取り扱う送信状態のときは、本実施の形態4の回路の回路構成によれば、全ての電界効果トランジスタ段を4段にしたときと同様の歪特性を得ることができる。
次に、アンテナ接続端子ANT(RF1)と第1受信回路側端子RX1(RF3)との経路をオン状態にするとき、第2制御電圧入力端子CTL2にHレベル電圧が与えられ、第1制御電圧入力端子CTL1および第3制御電圧入力端子CTL3にLレベル電圧が与えられる。これによって、ダイオードロジック回路OR1を通して出力される、制御信号およびそれらのOR電圧により、電界効果トランジスタ段FET4、FET21、FET22、FET25がオン状態となり、その他の電界効果トランジスタ段FET1、FET23、FET24がオフ状態となる。
このとき、歪特性は、オン経路(ANT−RX1)に対応して、オフ経路となるアンテナANTと接地端子GND、第1送信回路側端子TX1(RF2)および第2受信回路側端子RX2(RF4)との間にある、記号FET24、FET1、FET23で示すオフの状態の電界効果トランジスタ段によって決定される。オフ経路は、2段以上のオフ状態の電界効果トランジスタで構成される。
同様に、アンテナ接続端子ANT(RF1)と第2受信回路側端子RX2(RF4)の経路をオン状態にするときも、オン経路(ANT−RX2)に対応して、オフ経路となるアンテナANTと接地端子GND、第1送信回路側端子TX1(RF2)および第2受信回路側端子RX1(RF3)との間にある、記号FET25、FET1、FET22で示すオフの状態の電界効果トランジスタ段によって決定される。オフ経路は、2段以上のオフ状態の電界効果トランジスタで構成される。
つまり受信状態のときは、送信状態に対して小電力を取り扱うため、電界効果トランジスタの段数を少なくすることが可能であり、本実施の形態4の回路構成では、2段の電界効果トランジスタで歪特性を確保していることとなる。
本実施の形態4の高周波スイッチ回路装置では、送受信の切替えのように経路間の取り扱う電力が異なる場合において、受信時のような小電力を扱う経路の電界効果トランジスタ段を一部共通にすることができる。したがって、先行技術の高周波スイッチ回路装置と比較して、チップサイズの縮小が可能である。さらに、本実施の形態では、実施の形態1と同様のダイオードロジック回路を用いることで、各経路のシリーズのFETを制御する3つの制御系により全ての電界効果トランジスタ段の制御が可能である。そのため、先行技術の第2の構成に係る高周波スイッチ回路および本実施の形態1の高周波スイッチ回路と比較して、さらにパッケージサイズの小型化を実現できる。したがって、携帯電話機の小型化に貢献することができる。
(その他の変形例)
なお、本発明を上記の実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限定されないのはもちろんである。以下のような場合も本発明に含まれる。
(1) 実施の形態1、2、3、4では、高周波スイッチ回路装置の例として1入力3出力のSP3Tスイッチをあげたが、高周波スイッチ回路装置の入力端子および出力端子の数はこれに限定されない。また半導体回路装置が、多入力多出力の高周波スイッチ回路装置を構成する場合も勿論、本発明に含まれる。
図9に実施の形態1の構成を1入力4出力のSP4Tスイッチに適用した場合の回路構成図を示す。また、図10にこのダイオードロジック回路の制御論理表を示す。図9において、記号FET10〜FET17はそれぞれ電界効果トランジスタ段を示す。記号R10〜R17はそれぞれ抵抗を示す。記号RF5〜RF9はそれぞれ高周波信号端子を示す。記号C5〜C8はそれぞれコンデンサを示す。記号OR3はダイオードロジック回路を示す。記号D10〜D21はそれぞれダイオードを示す。記号R105〜R108はそれぞれ抵抗を示す。記号CTL7〜CTL10はそれぞれ制御電圧入力端子を示す。
(2) 実施の形態1、2、3、4では、アイソレーション確保用のシャントFETを全経路に接続している形としたが、シャントFETの数はこれに限定されない。すなわち、全ての経路にシャントFETが接続されていない場合、また特定の経路だけにシャントFETが接続されている場合も勿論、本発明に含まれる。
図11に実施の形態2の構成を、アイソレーション確保用シャントFETの接続されていないSP3Tスイッチに適用した場合の回路構成を示す。
図12に実施の形態3の構成をアイソレーション確保用シャントFETの接続されていないSP3Tスイッチに適用した場合の回路構成を示す。
(3) 実施の形態1、2、3、4では、各高周波信号経路に設けられたスイッチ回路である電界効果トランジスタ段が、4個のFETの直列回路により構成されるとしたが、電界効果トランジスタ段の構成は、これに限らない。電界効果トランジスタ段が1個ないし複数のFETにより構成される場合も、本発明に含まれる。
(4) 実施の形態4では、受信回路側の電界効果トランジスタ段のうち、2段を共通としたが、電界効果トランジスタ段の構成は、これに限らない。複数の電界効果トランジスタ段が1個ないし複数のFETを共通としている場合も、本発明に含まれる。
(5) 実施の形態4では、SP3Tスイッチにおいて、2つの受信用経路について一部の電界効果トランジスタ段を共通としたが、共通にする経路の数は、これに限らない。SP4Tスイッチないし多入力多出力の高周波スイッチ回路装置を構成する場合において、3つ以上の経路で一部の電界効果トランジスタ段を共通としている場合も勿論、本発明に含まれる。
(6) 上記実施の形態、および上記変形例をそれぞれ組み合わせて実施する場合も、本発明に含まれる。