JP4105457B2 - 安定化された香料組成物および香料の安定化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は安定化された香料組成物および香料の安定化方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、香料は保存中はもとより、飲食品その他香気を付与したいものに添加され、その製品の品質の向上のために使用されてきたが、その後の製造工程、保存工程、流通工程などにおいて熱や光、空気、酵素などの作用を受け、酸化、還元、加水分解、重合、揮発などの作用によりその香気香味成分が劣化すると製品の品質は低下してしまう。
【0003】
特に、粉末化された粉末香料はその表面積が非常に大きくなるため粉末化の工程や保存中の劣化が特に起こりやすい。また、乳化された乳化香料においても、水が介在するため乳化工程や保存中に劣化を起こしやすくなるなどの問題がある。
【0004】
そこで、香料の安定化をはかるため多くの提案がなされている。例えば天然物を起源とする抗酸化剤を利用した特開平8−23940号公報、特開2000−236860号公報や糖質のパラチノースやラフィノースを利用した特開2001−186858号公報、トレハロースを利用した特開2000−217538号公報、サイクロデキストリンを利用した特開平11−222455号公報などを挙げることができる。
【0005】
しかし、これらの提案では香料の劣化を十分に防止することができない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は未加工又は加工された香料の劣化はもとより、香料の添加された飲食物の香気香味の劣化を防止できる方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、香料の製造工程中又は/及び飲食物などに香料と1,5−D−アンヒドロフルクトースをともに含有させることにより、それらの加工工程、製造工程、保存工程、流通工程などにおいて香気香味の劣化が防止できることを見出し本発明に達した。
【0008】
すなわち、本発明は下記のとおりである。
1)1,5−D−アンヒドロフルクトースを含有することを特徴とする安定化された香料組成物、
2)香料がシトラス由来の香料であることを特徴とする前記1)記載の安定化された香料組成物、
3)香料がフルーツ由来の香料であることを特徴とする前記1)記載の安定化された香料組成物、
4)香料が茶由来の香料であることを特徴とする前記1)記載の安定化された香料組成物、
5)香料が水産、畜肉由来の香料であることを特徴とする前記1)記載の安定化された香料組成物、
6)香料がデイリー由来の香料であることを特徴とする前記1)記載の安定化された香料組成物、および
7)1,5−D−アンヒドロフルクトースを含有させることを特徴とする香料の安定化方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の対象となる香料はその種類、形状の如何を問わず、例えば精油、エクストラクト、オレオレジン、回収フレーバー、単離香料などの天然香料素材やアルコール、エステル、アルデヒド、アセタール、ラクトン類などの合成香料素材の一種以上を混合したものがある。食品香料の代表的な分類法に基づいて、本発明において安定化される香料としては、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツなどのシトラス系香料、アップル、メロン、グレープ、パイナップル、バナナ、ピーチ、ストロベリーなどのフルーツ由来の香料、紅茶、緑茶、ウーロン茶などの茶由来の香料、サーモン、エビ、カニ、ビーフ、ポーク、チキンなどの水産・畜肉由来の香料、ミルク、チーズなどのデイリー由来の香料、ペパーミント、スペアミントなどのミント系香料、ペパー、シナモン、ナツメグ、クローブなどのスパイス由来の香料、ヘーゼルナッツ、コーヒー、ココアなどのナッツ由来の香料、バニラ由来の香料などを挙げることができ、本発明はこれらの香料の安定化に有効であるが、これらに限定されるものではない。香料の形状としては粉末、乳化、ペースト、溶液などの形態のいずれであってもよい。
【0010】
本発明で用いる1,5−D−アンヒドロフルクトース(以下、アンヒドロフルクトースと略称する)の形態及び純度には限定されない。例えば、形態として水溶液、水溶液を濃縮した水あめ状の高粘度溶液、乾燥した粉末などがあり、アンヒドロフルクトースの含有量としては40重量%の高粘度溶液、吸湿性を低減した50%粉末などを挙げることができる。特に好ましくは液状、粉状を問わずアンヒドロフルクトースとして10重量%以上が含有されるものである。
【0011】
アンヒドロフルクトースの香料への添加方法には限定されない。例えば、香料が液状の場合にはその溶液に溶解する方法、香料が粉末の場合には、粉末化原料を一度溶解しその溶液に添加し、乾燥する方法、粉末原料に液状のアンヒドロフルクトースを吸着する方法、吸着したものをさらに乾燥する方法、粉末化原料に粉末のアンヒドロフルクトースを混合する方法、香料が乳化状態の場合には、乳化溶液に添加する方法、アンヒドロフルクトース高濃度溶液に香料を直接添加又は練り込む方法などの方法を挙げることができる。
【0012】
本発明の香料組成物においてアンヒドロフルクトースの含有量は限定されない。例えば、使用される香料に対し0.05重量%以上を添加することにより劣化防止効果を発現する。また、劣化防止に対する上限の添加量はない。
【0013】
また、本発明の飲食品においては、前記したアンヒドロフルクトースを含有する香料組成物を食品に添加する方法以外に、アンヒドロフルクトースと香料を食品の製造時に別々に添加する方法であっても本発明の目的は達成することができる。好ましくは、前もって香料にアンヒドロフルクトースを含有させる方法である。
【0014】
本発明の香料の安定化方法は飲食品中の香料に限定されない。例えば、消臭剤、芳香剤、化粧品などに含有される香料に対しても効果を奏し、このような製品に含まれる香料の安定化も本発明の範囲に含まれる。
【0015】
本発明のアンヒドロフルクトースを含有する香料組成物において、アンヒドロフルクトース、香料以外の組成には限定されない。例えば、それ以外の組成としてグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、レシチン、酵素処理レシチンなどの乳化剤類、粘度を調整するグアガム、キサンタンガム、タマリンド種子ガム、ペクチン、寒天、カラギーナン、アラビノキシラン、アラビノガラクタン、水溶性ヘミセルロース、アラビアガムなどの増粘多糖類、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、炭酸、燐酸などの有機酸類及びナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどその塩類、油脂類、グリセリン、エタノール、水、プロピレングリコール、澱粉及び化工澱粉類、デキストリン、カゼイン、ビタミンC、グルタチオン、グルタチオン含有酵母エキス、システイン、シスチンなどの還元剤類、ビタミンE、ビタミンC脂肪酸エステル、茶カテキン、ポリフエノールなどの抗酸化成分などを含有していてもよい。
【0016】
本発明の組成物の各種形態を製造する製造方法においては限定されるものではない。例えば、液やペースト状に関しては攪拌機やニーダーを挙げることができ、粉末状物の製造方法としては噴霧乾燥方法、熱風乾燥方法、真空凍結乾燥方法、真空乾燥方法、ドラム乾燥方法などの各種乾燥方法を挙げることができ、乳化状物にはホモミキサー、ホモゲナイザー、コロイドミルなどを使用する方法を挙げることができる。
【0017】
【実施例】
以下に各種香料を用いた実施例を示すが、本発明はそれらに限定されるものではない。実施例中、特に断らない限り、%は重量基準である。
【0018】
実施例1、比較例1
水1600gにアラビアガム500gとAFシラップ(アンヒドロフルクトース40%含有シラップ、日本澱粉工業(株)製造、アサマ化成(株)販売)300g、DE8のデキストリン200gを溶解し、85〜90℃で15分間加熱殺菌を行なったのち、40℃まで冷却して、レモンオイル100gを入れ、TKホモミキサーで10分間乳化を行なった。この乳化液を噴霧乾燥機で乾燥し、約980gの粉末レモン香料を得た(実施例1)。
また、AFシラップのかわりに砂糖を使用して同様に粉末レモン香料を得た(比較例1)。
【0019】
それぞれの粉末レモン香料をビニール袋に入れ、40℃で3月間保存し、各粉末レモン香料0.02gを100gの水に溶解し、10人の専門パネラーで香気香味の官能試験を行なった。その結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
ただし、評価は香味、香気、劣化臭の発現状態について、非常に強く発現したものを10とし、まったく発現しないものを0として10段階で評価し、10人のパネラーの評価値の平均値で示した。
【0021】
結果からわかるように、実施例は保存による香気、香味の低減も劣化臭も認められなかったのに対し、比較例は保存により、香気、香味の低下と著しい劣化臭が認められた。
【0022】
実施例2、比較例2
水2000gに砂糖肪酸エステル(HLB17)30g、DE10のデキストリン2000gとカゼイン酸ナトリウム20g、AFシラップ200gを溶解し、85〜90℃で15分間加熱殺菌を行なったのち、40℃まで冷却し、オレンジオイル110gを入れ、TKホモミキサーで乳化を行なった。この乳化液を噴霧乾燥機で乾燥し、粉末オレンジ香料1050gを得た(実施例2)。
【0023】
また、AFシラップのかわりにDE20のデキストリンを使用して同様に粉末オレンジ香料を得た(比較例2)。
【0024】
それぞれの粉末オレンジ香料をビニール袋に入れ、40℃で3月間保存したのち、各粉末オレンジ香料0.03gを100gの水に溶解し、10人の専門パネラーで香気、香味の官能試験を行ない、実施例1と同様に評価した。その結果を表2に示す。
【0025】
【表2】
【0026】
結果からわかるように、実施例は保存による香気、香味の低減も劣化臭も認められなかったのに対し、比較例は保存により、香気、香味の低下と著しい劣化臭が認められた。
【0027】
実施例3、比較例3
50容量%のエタノール水溶液600gに分岐型サイクロデキストリン200gとAFシラップ150gを60℃で加温溶解した中にグレープフルーツオイル50gを入れ、TKホモミキサーで乳化を行いながら25℃まで冷却してグレープフルーツ乳化香料を得た(実施例3)。
【0028】
また、AFシラップのかわりに砂糖を用いて同様にグレープフルーツ乳化香料を得た(比較例3)。
【0029】
それぞれのグレープフルーツ乳化香料をガラス瓶に入れ、40℃で3月間保存し、各グレープフルーツ乳化香料0.02gを、クエン酸酸味を付けた10%砂糖液100gに溶解し、10人の専門パネラーで香気、香味の官能試験を行ない、実施例1と同様に評価した。その結果を表3に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
結果からわかるように、実施例は保存による香気、香味の低減も認められず、香気の保留性がよく、劣化臭も認められなかったのに対し、比較例は保存により、香気、香味の低下と著しい劣化臭が認められた。また、比較例の乳化香料が多少分離したのに対し、実施例は分離しなかった。
【0032】
実施例4、比較例4
水300gにグリセリン250g、乳化剤(ポリグリセリンモノオレート)25g、AFシラップ400gを溶解し、60〜70℃で30分間加熱殺菌を行った後、40℃まで冷却後、グレープオイル50gを入れ、TKホモミキサーで乳化を行いながら25℃まで冷却してグレープ乳化香料を得た(実施例4)。
【0033】
また、AFシラップのかわりにD−ソルビットを用いて同様にグレープ乳化香料を得た(比較例4)。
【0034】
それぞれのグレープ乳化香料をガラス瓶に入れ、40℃で3月間保存したのち、各グレープ乳化香料0.03gを、クエン酸酸味を付けた10%砂糖液100gに溶解し、10人の専門パネラーで香気、香味の官能試験を行ない、実施例1と同様に評価した。その結果を表4に示す。
【0035】
【表4】
【0036】
結果からわかるように、実施例は保存による香気、香味の低減も劣化臭も認められなかったのに対し、比較例は保存により、香気、香味の低下と著しい劣化臭が認められた。
【0037】
実施例5、比較例5
水950gにアラビアガム300gとAFシラップ120g、ビタミンE0.2gを溶解し、85〜90℃で15分間加熱殺菌を行なったのち、50℃まで冷却、メロンフレーバー20gを入れ、TKホモミキサーで20分間乳化を行なった。この乳化液を噴霧乾燥機で乾燥し、約400gの粉末メロン香料を得た(実施例5)。
また、AFシラップのかわりにパラチノースを使用して同様に粉末メロン香料を得た(比較例5)。
【0038】
それぞれの粉末メロン香料をビニール袋に入れ、50℃で1月間保存し、各粉末メロン香料0.05gを100gの水に溶解し、10人の専門パネラーで香気、香味の官能試験を行ない、実施例1と同様に評価した。その結果を表5に示す。
【0039】
【表5】
【0040】
結果からわかるように、実施例は保存による香気、香味の低減も劣化臭も認められなかったのに対し、比較例は保存により、香気、香味の低下と劣化臭が認められた。
【0041】
実施例6、比較例6
水1600gにアラビアガム500gとAFシラップ300g、DE8のデキストリン200gを溶解し、85〜90℃で15分間加熱殺菌を行なったのち、40℃まで冷却して、紅茶フレーバー100gを入れ、TKホモミキサーで10分間乳化を行なった。この乳化液を噴霧乾燥機で乾燥し、約980gの粉末紅茶香料を得た(実施例6)。
また、AFシラップのかわりに砂糖を使用して同様に粉末紅茶香料を得た(比較例6)。
【0042】
それぞれの粉末紅茶香料をビニール袋に入れ、50℃で2月間保存し、各粉末紅茶香料0.05gを100gの水に溶解し、10人の専門パネラーで香気香味の官能試験を行ない、実施例1と同様に評価した。その結果を表6に示す。
【0043】
【表6】
【0044】
結果からわかるように、実施例の粉末紅茶香料は保存による香気、香味の低減も劣化臭も認められなかったのに対し、比較例のそれは保存により、香気、香味の低下と著しい劣化臭が認められた。
【0045】
実施例7、比較例7
冷凍すり未100部、食塩2.5部、バレイショでんぷん5部、グルタミン酸Na1部、砂糖1部、みりん1部、氷水10部、カニフレーバー(ジメチルサルファイドをベースにした香料製剤)0.1部、AFシラップ0.5部の処方で常法によりカニ風味カマボコを造った(実施例7)。
また、AFシラップの代わりにソルビトールを用いて同様にカニ風味カマボコを造った(比較例7)。
【0046】
両者のカマボコを10人のパネラーで官能評価したところ、表7に示すとおり、AFシラップ添加品の実施例7は無添加品(比較例7)に比べてカニの風味が格段に優っていた。
【0047】
【表7】
【0048】
実施例8、比較例8
醤油28部、糖類31部、発酵調味料15部、食塩2部、調味料0.3部、カラメル0.1部、水25部、ビーフフレーバー0.1部、AFシラップ2部の処方で98℃、20分加熱して、すき焼きダレを造った(実施例8)。同様に、AFシラップの代わりに水あめを用いたすき焼きダレを造り(比較例8)、両者をパネラー10人に香りの良い方を選んでもらった。
【0049】
その結果、表8のとおり、実施例8は比較例8に比べて、ビーフの香りが強く、加熱によるフレーバーの劣化を抑えているとして、全員が良い方に選んだ。
【0050】
【表8】
【0051】
実施例9、比較例9
市販のコーヒー用ミニカップミルクにAFシラップを2%添加し、密閉して冷蔵庫に3日間放置した(実施例9)。同様に3日間保存したAFシラップ無添加品(比較例9)とミルクのフレーバーについて10人のパネラーで比較したところ、表9のとおり、AFシラップ添加品である実施例9の方が優れていた。
【0052】
【表9】
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、アンヒドロフルクトースを香料に含ませることにより、香料の劣化を防止できるとともにそれらを添加した飲食品における香気、香味を長く維持でき、劣化臭も抑制できる。
Claims (7)
- 1,5−D−アンヒドロフルクトースを含有することを特徴とする安定化された香料組成物。
- 香料がシトラス由来の香料であることを特徴とする請求項1記載の安定化された香料組成物。
- 香料がフルーツ由来の香料であることを特徴とする請求項1記載の安定化された香料組成物。
- 香料が茶由来の香料であることを特徴とする請求項1記載の安定化された香料組成物。
- 香料が水産、畜肉由来の香料であることを特徴とする請求項1記載の安定化された香料組成物。
- 香料がデイリー由来の香料であることを特徴とする請求項1記載の安定化された香料組成物。
- 1,5−D−アンヒドロフルクトースを含有させることを特徴とする香料の安定化方法。
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