JP4109727B2 - アミノ酸系界面活性剤含有口腔用組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アミノ酸系界面活性剤を配合した、ステイン形成阻害効果を有する口腔用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ステインは、クロルヘキシジンなどの殺菌剤、茶などに含まれるタンニン系物質、鉄などの金属が原因で起こると考えられている歯牙への色素沈着物であり、審美上の大きな問題である。これを解決するための手段としては、ステインを除去する方法とステインの形成を阻害する方法とが考えられる。ステインを除去するためには、一般に研磨剤や漂白剤が用いられているが、これらにはそれぞれ歯牙を損傷する、刺激が強いという問題点がある。
【0003】
また、ステインの形成を阻害するものとしては、特開平1−125315号公報にタンニン系物質によるステインをポリスチレンスルホン酸が阻害すること、特開平2−56413号公報には非酵素的褐変反応の進行を阻止してステイン形成を阻害する方法が示されているが、これらは特定のステイン物質のみを考えたものであり、全てのステインに対して効果を持つものではない。さらに、特開平2−200618号公報、特開平2−209805号公報、特開平2−223512号公報に示されたアミノアルキルシリコーンや、特開平3−38517号公報、特開平5−163126号公報に示されたフルオロアルキルリン酸エステルは、歯牙の表面に被膜を形成して、歯の耐酸性を向上し、プラークの形成を阻害すると共にステインの形成も阻害するとしている。しかし、そのステイン形成阻害効果は充分に満足できるものでなく、その改善が望まれている。
【0004】
一方、従来からアミノ酸系界面活性剤は、口腔用組成物の成分として用いられており、その効果としては、特開昭56−97215号公報、特開平3−200714号公報に使用感の向上が示されている。また、特開昭56−123910号公報ではデキストラナーゼの活性の保持、特開平2−233607号公報では水酸化アルミニウムと併用した場合のフッ素の活性保持が開示されている。
しかし、これらのアミノ酸系界面活性剤をステイン抑制の目的に用いることについては知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、安全性に優れ、歯牙を損傷することなく様々なステイン原因物質によるステイン形成を効果的に阻害する、アミノ酸系界面活性剤を配合する口腔用組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような現状を鑑み、本発明者らは、様々なステイン原因物質に対して効果を有し、かつ、安全性に優れたステイン形成阻害物質に関して鋭意研究を行った結果、アミノ酸系界面活性剤にその優れた効果を見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明はアミノ酸系界面活性剤を配合して、ステイン形成阻害効果を有する口腔用組成物を提供するものである。
本発明によれば、安全性に優れて刺激が少なく、歯牙を損傷することなく、様々な原因物質によるステイン形成を阻害する口腔用組成物が提供できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるアミノ酸系界面活性剤は、炭素数8〜18の飽和または不飽和のアシル基を有するアミノ酸およびその塩で、そのアミノ酸としては、グルタミン酸、グリシン、アスパラギン酸、アラニン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、プロリン、トリプトファン、バリン、セリン、サルコシン、N−メチル−β−アラニンなどであり、その塩としてはナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、またはモノエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン塩などが例示できる。
【0009】
これらのアミノ酸系界面活性剤としては、ヤシ油脂肪酸グリシンカリウムなどのN−アシルグリシンおよびその塩、ラウロイルサルコシンナトリウム、ミリストイルサルコシントリエタノールアミンなどのアシルサルコシンおよびその塩、N−ラウロイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、N−パルミトイル−N−メチル−β−アラニンナトリウムなどのN−アシル−N−メチル−β−アラニンおよびその塩、N−ラウロイル−N−メチルタウリンナトリウム、N−パルミトイル−N−メチルタウリンなどのN−アシル−N−メチルタウリンおよびその塩、N−ミリストイル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ココイル−L−グルタミン酸カリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸トリエタノールなどのN−アシル−L−グルタミン酸およびその塩などが例示でき、とりわけ、N−アシルグリシンおよびその塩、N−アシルサルコシンおよびその塩、ならびにN−アシル−N−メチル−β−アラニンおよびその塩が好ましく、特にヤシ油脂肪酸グリシンカリウムなどのN−アシルグリシンおよびその塩が好ましい。N−アシルグリシンおよびその塩などのアミノ酸系界面活性剤は商業的に入手でき、例えばヤシ油脂肪酸グリシンカリウムはアミライト(味の素(株)製)として入手できる。これらはその1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0010】
これらのアミノ酸系界面活性剤の配合量は、組成物全体に対して0.01〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。配合量が0.01重量%に満たないと十分な効果が得られず、また5重量%を超えると香味を損なう。
【0011】
本発明のステイン形成阻害用口腔剤組成物は、常法により粉歯磨、練歯磨、ジェル、パスタ、液体歯磨、洗口剤、チューイングガム、デンタルフロス、貼付剤、シーラント、タブレットなどの剤形に製造できるが、使用性から歯磨剤、液体歯磨または洗口剤が好ましい。
【0012】
本発明の口腔用組成物では、アミノ酸系界面活性剤に加えて、それぞれの剤形に応じて、適宜、研磨剤、発泡剤、香味剤、甘味剤、粘結剤、pH調整剤、湿潤剤などの基材、さらに薬効成分などを、発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0013】
例えば、歯磨剤では、研磨剤として、第2リン酸カルシウム・2水和物および無水和物、リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、無水ケイ酸、シリカゲル、ケイ酸アルミニウム、沈降性シリカ、不溶性メタリン酸ナトリウム、第3リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ポリメタクリル酸メチル、ベントナイト、ケイ酸ジルコニウム、ハイドロキシアパタイト、合成樹脂などを用いることができる。これらの研磨剤は単独で用いても2種以上を併用してもよく、その配合量は、通常、組成物全体に対して5〜90重量%、練歯磨の場合には5〜60重量%である。
【0014】
発泡剤としては、主に非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤(アミノ酸系界面活性剤を除く)が挙げられ、非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステルなどが挙げられる。なお、これらの非イオン性界面活性剤は単独で用いても2種以上を併用してもよく、その配合量は、通常、組成物全体に対して0.01〜40重量%、好ましくは0.05〜10重量%である。
【0015】
また、アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウムなどのアルキル基の炭素数が8〜18である高級アルキル硫酸エステル塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレン高級アルキルスルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホネート塩、高級脂肪酸ナトリウムモノグリセライドモノサルフェートなどを配合することができ、これらのアニオン性界面活性剤は単独で用いても2種以上を併用してもよく、その配合量は、通常、組成物全体に対して0.001〜5重量%、好ましくは0.001〜1重量%である。
【0016】
粘結剤としては、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、アルギン酸ナトリウムなどのアルカリ金属アルギネート、アルギン酸プロピレングリコールエステル、キサンタンガム、トラガカントガム、カラヤガム、アラビアガム、カラギーナンなどのガム類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドンなどの合成粘結剤、シリカゲル、アルミニウムシリカゲル、ビーガム、ラポナイトなどの無機粘結剤などを単独で用いても2種以上を併用してもよく、その配合量は、通常、組成物全体に対して0.3〜5重量%である。
【0017】
さらにメントール、カルボン、アネトール、オイゲノール、サリチル酸メチル、リモネン、オシメン、n−デシルアルコール、シトロネロール、α−テルピネオール、メチルアセテート、シトロネリルアセテート、メチルオイゲノール、シオネール、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、チモール、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、桂皮油、ピメント油、珪藻油、シソ油、冬緑油、丁子油、ユーカリ油などの香味剤を単独で用いても2種以上を併用してもよく、その配合量は、通常、組成物全体に対して0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。
【0018】
また、サッカリンナトリウム、アセスルファームK、ステビオサイド、ネオヘスポリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、タウマチン、アスパルチルフェニルアラニンメチルエステル、p−メトキシシンナミックアルデヒドなどの甘味剤を、単独で用いても2種以上を併用してもよく、その配合量は、通常、組成物全体に対して0.01〜5重量%である。
【0019】
さらに、歯磨剤または洗口剤などの場合には、ソルビット、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリット、マルチット、ラクチットなどの湿潤剤を単独で用いても2種以上を併用してもよく、その配合量は、通常、組成物全体に対して5〜70重量%である。
【0020】
また、リン酸水素ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウムなどのpH調整剤、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム、トリクロサンなどの殺菌剤、デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、溶菌酵素(リテックエンザイム)などの酵素、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウムなどのアルカリ金属モノフルオロホスフェート、フッ化ナトリウム、フッ化第一スズなどのフッ化物、トラネキサム酸およびイプシロンアミノカプロン酸、アルミニウムクロルヒドロキシルアラントイン、ジヒドロコレステロール、ビタミンE誘導体、グリチルリチン塩類、グリチルレチン酸、グリセロホスフェート、クロロフィル、塩化ナトリウム、カロペプタイド、水溶性無機リン酸化合物などの有効成分を単独で用いても併用してもよい。
【0021】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、特に断らない限り、[%]は[重量%]を示す。
【0022】
まず、表1に示す種々のアミノ酸系界面活性剤および対照被検成分のステイン阻害効果を色差(ΔE)および目視にて評価した。
【0023】
【表1】
Figure 0004109727
【0024】
評価方法
(ステイン阻害効果)
1.ステイン阻害率
直径1cmのハイドロキシアパタイトディスクを、ヒト全唾液、0.2%クロルヘキシジングルコネート水溶液、被検成分の0.5%水溶液、0.3%クエン酸鉄(III)アンモニウム水溶液、紅茶に順番に浸漬することを10回繰返し、実験前ディスクとの色差を測定する(ΔEとする)。被検成分の水溶液の代わりに蒸留水を用いた場合の色差(ΔE0とする)をコントロールとし、次式によりステイン阻害率を算出した。なお、色差の測定には色彩色差計CR−241(ミノルタ製)を用いた。
ステイン阻害率(%)=(ΔE0−ΔE)÷ΔE0×100
ステイン阻害率が大きいほど、効果が高いことを表し、50%以上を有効とした。
【0025】
2.着色度
同時に、上記で評価したディスクを以下の評価基準にて目視判定した。
<評価基準>
1・・・非常に着色している
2・・・着色している
3・・・やや着色している
4・・・白い
これらの各被検成分の評価結果をあわせて表1に示す。
【0026】
アミノ酸系界面活性剤は、様々な原因物質によって形成されるステインに対し阻害効果を示した。特に、ヤシ油脂肪酸グリシンカリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイル−β−メチル−アラニンナトリウムは汎用界面活性剤と比べて明らかに効果が大きかった。被膜形成剤であるパーフルオロアルキルリン酸エステル、アミノ変性シリコーンは逆の効果を示した。
【0027】
実施例1
次の処方により、常法に従って洗口剤を調製した。
Figure 0004109727
本品のステイン阻害率は87.31%であった。
【0028】
実施例2
次の処方により、常法に従って液体歯磨を調製した。
Figure 0004109727
本品のステイン阻害率は90.49%であった。
【0029】
実施例3
次の処方により、常法に従って練歯磨を調製した。
Figure 0004109727
本品の4倍水希釈スラリーを遠心分離し、得られた上清のステイン阻害率を検討したところ、84.35%であった。
【0030】
実施例4
次の処方により、常法に従って練歯磨を調製した。
Figure 0004109727
本品の4倍水希釈スラリーを遠心分離し、得られた上清のステイン阻害率を検討したところ、64.99%であった。
【0031】
実施例5
次の処方により、常法に従って口腔用パスタを調製した。
Figure 0004109727
本品の4倍水希釈スラリーを遠心分離し、得られた上清のステイン阻害率を検討したところ、88.72%であった。
【0032】
実施例6
次の処方により、常法に従って口腔用パスタを調製した。
Figure 0004109727
本品の4倍水希釈スラリーを遠心分離し、得られた上清のステイン阻害率を検討したところ、85.41%であった。
【0033】
実施例7
次の処方により、常法に従って口腔用タブレットを調製した。
Figure 0004109727
本品の4倍水希釈スラリーを遠心分離し、得られた上清のステイン阻害率を検討したところ、54.42%であった。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、生体への安全性に優れ、かつ様々な原因物質によるステイン形成を効果的に阻害し、よって審美的に優れた歯牙を維持できる口腔用組成物が提供できる。

Claims (2)

  1. 炭素数8〜18の飽和または不飽和のアシル基を有するグリシンの塩から選択されるアミノ酸系界面活性剤1種または2種以上配合することを特徴とするステイン形成阻害用口腔用組成物(但し、N−リノレオイルグリシンまたはデキストラナーゼを配合する口腔用組成物を除く)
  2. アミノ酸系界面活性剤がカリウム塩である請求項1記載の口腔用組成物。
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