JP4131091B2 - 熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二酸化炭素の存在下に、2種以上の熱可塑性樹脂を溶融状態で混合して熱可塑性樹脂組成物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、熱可塑性樹脂材料に要求される性能が高度化・多様化し、これらのニーズを単一の熱可塑性樹脂材料で満足させることが困難となってきた。そこで、異なる性質を有する数種の熱可塑性樹脂を複合化させ、多成分系熱可塑性樹脂材料として、種々のニーズに応えるべく、研究開発が盛んに行われてきた。これらの技術は、ポリマーブレンド、ポリマーアロイ、ポリマーコンポジット等と呼ばれている。なかでも、2種以上の熱可塑性樹脂を押出機内で溶融混合して、熱可塑性樹脂組成物を製造する方法は周知技術であり、この方法を用いて工業的に実施されている。上記方法は、比較的容易に実施でき、また、連続生産で、低コストという大きなメリットがある。
【0003】
しかしながら、上記方法には、下記のいくつか問題点がある。
(a)異種熱可塑性樹脂間の溶融温度、および溶融粘度が著しく異なる場合、均一に相溶、分散させることができない。
(b)異種熱可塑性樹脂間の相溶性が乏しい場合、界面張力を低下させるために、ブロック共重合体、グラフト共重合体のような相溶化剤を添加することが一般的に行われているが、相溶化剤の設計、および選択が難しい上に、相溶化剤添加の影響で、性能劣化に繋がる例が多い。
(c)高温での溶融ブレンドが必要な場合、分解等により性能劣化の可能性があり、また可塑剤添加の影響により、性能劣化に繋がる例が多い。
以上のことから、押出機による溶融混合技術は、容易に実施できる反面、使用する熱可塑性樹脂材料等に大きく制約を受けることが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、異種の熱可塑性樹脂を溶融、混合する際に、使用する熱可塑性樹脂材料に制約をほとんど受けずに、製品物性に悪影響を及ぼす相溶化剤や可塑剤を使用しなくても良好な微分散構造を達成することができ、従来溶融混合法では不可能とされてきた異種非相溶性の熱可塑性樹脂からなる微分散した構造を有する樹脂組成物を低コストで容易に効率よく製造することができる熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の熱可塑性樹脂組成物の製造方法である。
(1) 押出機内で2種以上の熱可塑性樹脂を溶融状態で混合して、熱可塑性樹脂組成物を製造するに当たり、
押出機が3台以上繋がった多段押出機を用い、
第1押出機で上記熱可塑性樹脂の合計量100重量部に対して、超臨界状態にある二酸化炭素を2〜200重量部の割合で添加し、
第2押出機で溶融混合物の微分散化を進行させ、
第3押出機で二酸化炭素を脱気する
ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(2) 第1押出機でさらに、熱可塑性樹脂の合計量100重量部に対して、アルコール類、アルカン類、カルボン酸類、エーテル類、ケトン類およびベンゼンからなる群から選択される少なくとも1種の炭素数1〜6の低分子有機化合物を0.01〜50重量部の割合で添加することを特徴とする上記(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(3) 低分子有機化合物がエタノールであることを特徴とする上記(2)に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(4) 第1押出機で2種以上の熱可塑性樹脂を加熱溶融して混合する工程と、
第1押出機で二酸化炭素を3〜50MPaの圧力で2種以上の熱可塑性樹脂の溶融混合物に添加する工程と、
第2押出機でさらに二酸化炭素の存在下で2種以上の熱可塑性樹脂を溶融状態で混合する工程と、
第3押出機で二酸化炭素を脱気する工程と
を含む上記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(5) 押出機が、単軸押出機であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【0006】
本発明の熱可塑性樹脂樹脂の製造方法の最大の特徴は、押出機が3台以上繋がった多段押出機を用い、第1押出機内で2種以上の熱可塑性樹脂を溶融混合時に、媒体として超臨界状態にある二酸化炭素を混合する熱可塑性樹脂の合計量100重量部に対して2〜200重量部、好ましくは3〜150重量部、さらに好ましくは5〜100重量部の割合で添加し、第2押出機で溶融混合物の微分散化を進行させ、第3押出機で二酸化炭素を脱気することである。
二酸化炭素を上記割合で添加することにより、溶融、混合する際に、熱可塑性樹脂の溶融物の溶融粘度が全体的に低下する。この結果、異種熱可塑性樹脂間の溶融粘度差が低減し、均一分散性が大幅に向上する効果と、より低温での溶融ブレンドが可能になり、分解等による製品の性能劣化の可能性が小さくなる効果が得られる。また、相溶化剤や可塑剤を添加する必要がないので、製品の物性低下の心配がない。更に、溶融、混合後に添加した二酸化炭素を除去する際に、場合によっては、樹脂中の不純物が除去される効果もある。
以上の相乗効果から、従来溶融混合で不可能とされてきた異種非相溶性の熱可塑性樹脂が均一に微分散したポリマーブレンドの製造が可能になり、低コストで、不純物の少ない高品質・高機能熱可塑性樹脂組成物を得ることが可能となる。
【0007】
また、本発明の他の態様として、二酸化炭素とともに低分子有機化合物を添加する態様がある。即ち、二酸化炭素とともに低分子有機化合物を助剤として添加することで、得られる熱可塑性樹脂組成物の分散状態がさらに均一かつ微細になる場合がある。これは低分子有機化合物が一種の相溶化剤的効果を発揮するものと推定される。
低分子有機化合物を添加する場合、その添加量は、熱可塑性樹脂の合計量100重量部当たり、0.01〜50重量部が好ましく、0.1〜20重量部であることがより好ましい。また、二酸化炭素との合計量のうち、50重量%以下であることが好ましく、0.01〜30重量%であることがより好ましい。
【0008】
本発明で用いられる二酸化炭素の添加時の状態は、超臨界状態とする。超臨界状態で添加することは、溶融混合に用いる 1 押出機中に定量的、安定的、かつ多量に二酸化炭素を添加し得る観点から好ましい。添加される二酸化炭素は、熱可塑性樹脂の溶融混合物中に溶解拡散した状態であると考えられる。
【0009】
本発明で用いられる低分子有機化合物としては、アルコール類、アルカン類、カルボン酸類、エーテル類、ケトン類およびベンゼンからなる群から選択される少なくとも1種の炭素数1〜6の低分子有機化合物が使用される。特に人体や食品などへの安全性の観点からエタノールが好ましい。更にエタノールのなかでも、低コスト化の観点から、工業用として通常用いられているそれ自体公知の変性エタノールが好ましい。変性エタノールの変性剤としては、メタノール、乳酸、ベンゼン、エーテル等公知のものが挙げられる。
【0010】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、特に制限無く使用できる。なお、ここで、熱可塑性樹脂は硬質のものに限らず、軟質のものをも含む概念である。熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−ブテンコポリマー、プロピレン−ブテンコポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸エチルコポリマー、アイオノマー樹脂(例えばエチレン−メタクリル酸コポリマーアイオノマー樹脂等)、ポリプロピレン、超高分子量ポリプロピレン、ポリブテン、4−メチルペンテン−1樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、エチレン−スチレンコポリマー、スチレン系樹脂(ポリスチレン、ブタジエン−スチレンコポリマー(HIPS)、アクリロニトリル−スチレンコポリマー(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS樹脂等))、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、酢酸セルロース、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等)、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、生分解性ポリマー(例えば、ポリ乳酸のようなヒドロキシカルボン酸縮合物、ポリブチレンサクシネートのようなジオールとカルボン酸の縮合物等)等が挙げられる。
【0011】
本発明では、既に述べたように、2種以上の熱可塑性樹脂が用いられる。この場合、本発明の樹脂組成物を構成する2種以上の熱可塑性樹脂からなる各成分の組成割合は任意の割合である。本発明では、任意割合で配合する各成分を、二酸化炭素を媒体として混合することにより、たとえば良好な微分散構造を達成することができる。
【0012】
また、本発明においては、課題の達成を損なわない範囲で、樹脂組成物中に、必要に応じて、顔料、染料、滑剤、抗酸化剤、充填剤、安定剤、難燃剤、帯電防止剤、紫外線防止剤、架橋剤、抗菌剤、結晶核剤、収縮防止剤、発泡核剤、発泡助剤等を添加することができる。
【0013】
本発明では、熱可塑性樹脂の溶融、混合方法については、押出成形、射出成形等の成形方法に用いられる多段押出機を採用することができる。なかでも押出成形に用いられる多段押出機の使用が好ましい。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、第1押出機で一度押出機等の装置により2種以上の熱可塑性樹脂を二酸化炭素の存在下に溶融、混合し、第2押出機で溶融混合物の微分散化を進行させ、第3押出機で二酸化炭素を除去後、冷却して、例えばペレット状に成形して一度熱可塑性樹脂組成物を得た後、所望の成形法により成形して成形品を得ることができる。別法として、所望の成形法に用いられる成形機内で2種以上の熱可塑性樹脂を二酸化炭素の存在下に溶融、混合し、二酸化炭素を除去して熱可塑性樹脂組成物とし、その後冷却することなく溶融状態の熱可塑性樹脂組成物をそのまま成形機で成形して成形品とすることもできる。いずれにせよ、2種以上の熱可塑性樹脂の溶融、混合は、押出機が3台以上繋がった多段押出機を用い、第1押出機で上記熱可塑性樹脂の合計量100重量部に対して、超臨界状態にある二酸化炭素を2〜200重量部の割合で添加し、第2押出機で溶融混合物の微分散化を進行させ、第3押出機で二酸化炭素を除去すること以外は、従来の溶融、混合する方法と同じ方法を採用して行うことができる。
【0014】
また、熱可塑性樹脂の溶融、混合は、多量の二酸化炭素が熱可塑性樹脂に溶解拡散するような高圧状態下で行われることが好ましい。そのような高圧状態は、溶融した熱可塑性樹脂が多段押出機内に充填されることで形成され、例えば単軸押出機等の多段押出機の使用により容易に実現される。
【0015】
熱可塑性樹脂組成物の好ましい製造方法として次の方法を例示することができる。まず第1押出機で2種以上の熱可塑性樹脂を押出機に供給して加熱溶融した後、二酸化炭素を3〜50MPa、好ましくは10〜30MPaの圧力で押出機中の溶融状態の熱可塑性樹脂に添加し、第2押出機で二酸化炭素存在下で2種以上の熱可塑性樹脂を溶融、混合し、溶融混合物の微分散化を進行させて熱可塑性樹脂組成物を形成し、その後第3押出機で熱可塑性樹脂組成物から二酸化炭素を、場合によっては熱可塑性樹脂中の不純物と共に脱気する。
溶融、混合する温度および時間は、主に熱可塑性樹脂の種類、組み合わせ、混合比率、二酸化炭素の添加量、目的とする熱可塑性樹脂組成物の所望の物性、使用する装置等により適宜設定されるが、熱可塑性樹脂が溶融しかつ分解しない温度範囲が選択され、2種以上の熱可塑性樹脂が十分に均一に分散するような時間が選択される。そのような温度および時間は、上記因子が決まれば、実験的に決めることができる。
【0016】
本発明で、二酸化炭素と共に除去し得る不純物は、熱可塑性樹脂に含有されるモノマー残留物、溶剤、水等であり、例えばポリエチレンの場合、エチレンモノマー等である。
【0017】
二酸化炭素と共に、低分子有機化合物を助剤として添加する場合は、二酸化炭素供給ラインに低分子有機化合物供給ラインを接続して二酸化炭素と共に溶融している熱可塑性樹脂に供給してもよいし、二酸化炭素とは別に供給してもよい。供給した低分子有機化合物は、二酸化炭素の除去と共に除去することができる。
【0018】
使用される押出機は、押出機が3台以上繋がった多段押出機であれば特に制限はなく、樹脂加工方法に使用される公知の多段押出機を使用することができる。例えば、スクリューが1本の単軸押出機、スクリューが2本の二軸押出機、スクリューが3本以上の多軸押出機等、特に限定されない。
なかでも単軸押出機が好ましい。単軸押出機は、押出機内が溶融した熱可塑性樹脂で完全に充填されるため、二軸押出機に比べて樹脂圧力が高圧状態に維持し易い。多量の二酸化炭素を熱可塑性樹脂に完全に溶解拡散するためには、高圧状態を必要とするので、本発明の製造方法には樹脂圧力を高圧状態に維持し易い単軸押出機が好ましい。また、二酸化炭素を供給する供給口、および二酸化炭素を除去するための脱気口を有するものが好ましい。
【0019】
超臨界状態で二酸化炭素の供給方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができる。ここで、超臨界状態であるとは、圧力および温度が臨界点以上であることを意味し、二酸化炭素の場合、圧力が7.4MPa以上、温度が31.35℃以上である状態を指す。
【0020】
本発明の方法で製造された熱可塑性樹脂組成物は、二酸化炭素を媒体として各成分を混合することにより得られるものであって、海相と島相からなる相構造(海島構造)、あるいはスピノーダル分解の初期過程で形成される連続構造(各々の熱可塑性樹脂が網目状に入り交じった連続構造)であることが好ましい。海島構造の場合、島相部分の平均粒径が5μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。この場合、例えば機械物性等に優れる。
【0021】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、種々の成形体に成形して使用することができる。適用することができる成形法としては、従来公知の成形法いずれもが制限なく適用することができ、例えば押出成形(シート成形、インフレーション成形、発泡成形、異形成形、多層成形、中空成形、パイプ成形等)、射出成形等が挙げられる。成形体の形状についてもパウダー状、ペレット状、フィルム状、ネット状、シート状、ロッド状、フィラメント状、パイプ状、チューブ状、板状、角材状、円柱状等、特に限定されない。
また、本発明の方法で得られた熱可塑性樹脂組成物は異種の熱可塑性樹脂が均一に微分散しているので、強度を損なわずに異種の熱可塑性樹脂の各々の特長を具備することができ、異種の熱可塑性樹脂の組み合わせにより、各種の分野の新しい素材として用いられる。
【0022】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法によれば、押出機内で異種の熱可塑性樹脂を溶融、混合する際に、押出機が3台以上繋がった多段押出機を用い、第1押出機で上記熱可塑性樹脂の合計量100重量部に対して、超臨界状態にある二酸化炭素を2〜200重量部の割合で添加し、第2押出機で溶融混合物の微分散化を進行させ、第3押出機で二酸化炭素を脱気することにより、物性に悪影響を及ぼす相溶化剤や可塑剤を使用しなくても良好な微分散構造を達成することができ、従来溶融混合法では不可能とされてきた異種非相溶性の熱可塑性樹脂からなる良好な微分散構造を有する樹脂組成物を低コストで容易に効率よく製造することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法の一つの実施形態(第1の実施形態)を図1を用いて説明する。
図1において、1は混合機、2は押出機、3は水槽、4はカッター、5は液化二酸化炭素ボンベ、6は二酸化炭素用定量ポンプ、7は保圧弁であり、二酸化炭素が押出機2に設けられた添加剤供給部8から押出機2内に供給できるように構成されている。
【0024】
図1の装置により熱可塑性樹脂組成物を製造するには、海島構造の海相となる熱可塑性樹脂(A)9、島相となる熱可塑性樹脂(B)10を混合機1により非溶融下で混合した後、ホッパー11から押出機2中へ供給し、加熱混練し、溶融する。
【0025】
一方、液化二酸化炭素ボンベ5中の二酸化炭素を液体状態に維持したまま、バルブV1を介して二酸化炭素用定量ポンプ6に注入し、二酸化炭素用定量ポンプ6の吐出圧力を二酸化炭素の臨界圧力(7.4MPa)〜50MPaの範囲内で一定圧力となるよう保圧弁7で制御して吐出した後、ヒーター12で加熱し、超臨界状態で、バルブV2を介して押出機2に設けられた添加剤供給部8から押出機2内に供給する。二酸化炭素の添加量は熱可塑性樹脂の合計量100重量部に対して2〜200重量部の割合である。このようにして二酸化炭素を供給することにより、溶融した熱可塑性樹脂組成物と二酸化炭素とが混合され、熱可塑性樹脂組成物中に二酸化炭素が溶解拡散する。
【0026】
二酸化炭素を3〜50MPaの圧力で添加するとの観点から、このとき二酸化炭素を供給するゾーンの樹脂圧力(圧力ゲージ13で測定される)は3〜50MPaの範囲が好ましい。樹脂圧力を3MPa以上とすることは二酸化炭素を熱可塑性樹脂組成物中に溶解拡散させる観点から好ましい。また樹脂圧力を50MPa以下にすることは製造における安全性の観点から好ましい。
【0027】
押出機2のスクリュー形状は、添加剤供給部8に至るまでに熱可塑性樹脂組成物が既に溶融してしまうような形状であれば特に制限されるものではない。特に、添加剤供給部8手前に、バレルとのクリアランスを小さくしたリングや、ユニメルト等を設けているスクリューが好ましい。添加した二酸化炭素は添加量が適量で、熱可塑性樹脂組成物が完全に溶融状態であれば、溶融樹脂自身のメルトシールにより、二酸化炭素のホッパー11側へのバックフローは生じない。
【0028】
二酸化炭素が溶解拡散した溶融熱可塑性樹脂組成物は、溶融混合に適した温度に設定された押出機2下流部で熱可塑性樹脂(A)9への熱可塑性樹脂(B)10の微分散化を進行させる。この押出機2での温度については、熱可塑性樹脂の種類、熱可塑性樹脂の組み合わせ、混合比率、二酸化炭素の添加量、目的とする熱可塑性樹脂組成物の所望物性、使用する装置等により異なるが、温度は50〜400℃の範囲とするのが望ましい。
【0029】
押出機2内で溶融混合され生成した熱可塑性樹脂組成物から、該組成物がダイ15を通って押し出される前に、二酸化炭素を脱気口14から脱気する。
【0030】
二酸化炭素が脱気、除去された熱可塑性樹脂組成物は、押出機2出口に接続されたダイ15を通じてストランド状に押し出す。押し出された熱可塑性樹脂組成物は水槽3で冷却した後、カッター4で切断し、熱可塑性樹脂組成物のペレット16を得ることができる。
【0031】
図1では、ダイ15から押し出す前に二酸化炭素を除去しているが、完全に除去せず、一部を発泡剤として利用し、熱可塑性樹脂組成物を発泡体として得ることもできる。
また図1では添加剤供給部8は1個図示されているが、複数設けることもできる。また脱気口14も複数設けることもできる。さらに図1では1台の押出機を使用しているが、押出機が2台繋がったタンデム押出機、押出機が3台以上繋がった多段押出機を使用することもできる。例えば、第1押出機で二酸化炭素を供給し、第2押出機で溶融混合物の微分散化を進行させ、第3押出機で二酸化炭素を脱気する等、それぞれの押出機に機能を持たせることも可能である。
【0032】
本発明の製造方法の別の実施形態(第2の実施形態)を図2を用いて説明する。
図2において、1は混合機、2は押出機、3は水槽、4はカッター、5は液化二酸化炭素ボンベ、6は二酸化炭素用定量ポンプ、7は保圧弁、17は低分子有機化合物槽、18は低分子有機化合物用定量ポンプであり、二酸化炭素と低分子有機化合物が押出機2に設けられた添加剤供給部8から押出機2内に供給できるように構成されている。
【0033】
図2の装置により熱可塑性樹脂組成物を製造するには、まず海相となる熱可塑性樹脂A9、島相となる熱可塑性樹脂B10を混合機1により非溶融下で混合した後、ホッパー11から押出機2中へ供給し、加熱混練し、溶融させる。
【0034】
一方、液化二酸化炭素ボンベ5中の二酸化炭素を液体状態に維持したまま、バルブV1を介して二酸化炭素用定量ポンプ6に注入し、二酸化炭素用定量ポンプ6の吐出圧力を二酸化炭素の臨界圧力(7.4MPa)〜50MPaの範囲内で一定圧力となるよう保圧弁7で制御し押出機2へと送る。一方、低分子有機化合物槽17からは、低分子有機化合物定量ポンプ18によって、低分子有機化合物ライン19から二酸化炭素ライン20に低分子有機化合物を送液、合流させる。二酸化炭素と低分子有機化合物を合流混合した後、バルブV2を介して押出機2に設けられた添加剤供給部8から押出機2内に供給する。低分子有機化合物の添加量は全ての熱可塑性樹脂100重量部に対して0.01〜50重量部の割合が好ましく、更に、0.1〜20重量部の範囲が好ましい。尚、低分子有機化合物の添加方法は、この他にも、溶融した熱可塑性樹脂に直接供給する方法、押出機2へ供給する前の熱可塑性樹脂組成物へ添加し均一混合させる方法等、特に限定されない。このようにして二酸化炭素と低分子有機化合物を供給することにより、溶融した熱可塑性樹脂組成物と二酸化炭素および低分子有機化合物とが混合され、熱可塑性樹脂組成物中に二酸化炭素および低分子有機化合物が溶解拡散する。その他の操作方法や条件等は、図1で説明した第1の態様とほぼ同様である。
【0035】
図3は図1の装置の変形を示し、図4は図2の装置の変形を示す。図3および図4の装置では、それぞれ図1および図2の押出機2の代わりに第1の押出機21、第2の押出機22、第3の押出機23からなる多段押出機が使用され、ボンベ5と二酸化炭素定量用ポンプ6間に冷媒循環機24が設けられている。ポンプ6吐出側に質量流量計25、圧力ゲージ26が設けられ、第1、第2の押出機には圧力ゲージ27、28が設けられている。
【0036】
【実施例】
次に本発明を実施例および比較例より説明する。尚、表1に記した平均島相粒径および引っ張り伸びの測定は、次の方法に従って行った。
【0037】
・平均島相粒径
押出成形により、連続的に熱可塑性樹脂組成物を製造し、30分毎にサンプルペレットを3点取得した。3点のサンプルペレットの断面を透過型電子顕微鏡により撮影した。それぞれの断面写真を画像処理し、500μm四方にある島相の粒径について円相当径を測定し、平均円相当径を算出した。3点の平均円相当径の平均値を平均島相粒径とした。
・引っ張り伸び
熱可塑性樹脂組成物から試験片を作成し、JIS K 7161 に準拠して、引っ張り伸びを測定した。
【0038】
実施例1
図3の装置により熱可塑性樹脂組成物を製造した。混合機1としてはヘンシェルミキサー、押出機としてはスクリュー径20mmの第1押出機21とスクリュー径30mmの第2押出機22と第3押出機23を有する多段押出機を使用した。添加剤供給部8は第1押出機21のスクリューの中央付近に設け、脱気口14は第3押出機23に1箇所設けた。
【0039】
まず、熱可塑性樹脂(A)9として、低密度ポリエチレン(LDPE)(三井化学社製ミラソン141、商標)を90重量部と、熱可塑性樹脂(B)10として、ポリスチレン(PS)(日本ポリスチレン社製G120K、商標)を10重量部を混合機1で非溶融下に十分混合して混合物を得た。
【0040】
次にこの混合物をホッパー11より第1押出機21に供給して200℃で加熱溶解させた。二酸化炭素は、サイホン式の液化二酸化炭素ボンベ5を使用し、液相部分から直接取り出せるようにした。ボンベ5から二酸化炭素用定量ポンプ6までの流路を冷媒循環機24を用いて、−12℃に調節したエチレングリコール水溶液で冷却し、二酸化炭素を液体状態で二酸化炭素用定量ポンプ6まで送液できるようにした。次に送液した液状二酸化炭素を0.3kg/時間となるよう、直接質量流量計25にて確認しながら二酸化炭素用定量ポンプ6を制御し、二酸化炭素用定量ポンプ6の吐出圧力(圧力ゲージ26で測定)を30MPaとなるよう保圧弁7にて調整した。
【0041】
次に保圧弁7から第1押出機21の添加剤供給部8までのラインを50℃となるようヒーター12で加熱し、二酸化炭素を第1押出機21内に供給した。このときの添加剤供給部8の溶融樹脂圧力(圧力ゲージ27で測定)は15MPaであった。つまり、この溶融した熱可塑性樹脂11に溶解する直前の二酸化炭素は、温度が50℃以上、圧力が15MPaである超臨界状態の二酸化炭素となっている。
【0042】
このようにして、溶融した熱可塑性樹脂の合計量100重量部に対して超臨界二酸化炭素を11重量部の割合で第1押出機21に供給し、スクリューで均一に溶解拡散させた。次にこの溶融混合物を押出機シリンダー温度を140℃、樹脂圧力(圧力ゲージ28で測定)を20MPaに調整した第2押出機22へ送った。第2押出機22で溶融、混合が進行して生成した熱可塑性樹脂組成物は押出機シリンダー温度を160℃に設定した第3押出機23へ移送され、脱気口14より二酸化炭素が減圧下で脱気された。
【0043】
二酸化炭素が脱気された熱可塑性樹脂組成物を、第3押出機23の出口に接続されたダイ15を通じてストランド状に2.7kg/時間の押出量で押し出した。押し出されたストランド状熱可塑性樹脂組成物は、水槽3で冷却した後カッター4により切断し、熱可塑性樹脂組成物のペレット16を得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物は、断面拡大顕微鏡写真である図5(A)に示されるように、PS相(島相)がLDPE(海相)に分散しており、その平均島相粒径は、0.5μmであった。
【0044】
実施例2
図4の装置により熱可塑性樹脂組成物を製造した。低分子有機化合物としてのエタノールを低密度ポリエチレン(LDPE)(三井化学社製ミラソン141、商標)とポリスチレン(PS)(日本ポリスチレン社製G120K、商標)との合計量100重量部に対して3重量部の割合で第1押出機21に供給した。低分子有機化合物(エタノール)17の供給は、低分子有機化合物定量ポンプ18によって、低分子有機化合物ライン19から二酸化炭素ライン20に送液、合流させることによって行った。供給した低分子有機化合物は二酸化炭素と共に脱気口14から脱気した。これら以外は実施例1と同様に行って、熱可塑性樹脂組成物を製造した。
得られた熱可塑性樹脂組成物は、断面拡大顕微鏡写真である図5(B)に示されるように、PS相(島相)がLDPE(海相)に分散しており、その平均島相粒径は、0.2μmであった。
【0045】
比較例1
二酸化炭素を供給しない以外は、実施例1と同様に行った。得られた熱可塑性樹脂組成物は、断面拡大顕微鏡写真である図5(C)に示されるように、PS相(島相)がLDPE(海相)に分散しており、その平均島相粒径は、6.0μmであった。
【0046】
実施例、および比較例の結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0004131091

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の一実施形態により熱可塑性樹脂組成物を製造するための装置を模式的に示す図である。
【図2】本発明の製造方法の他の実施形態により熱可塑性樹脂組成物を製造するための装置を模式的に示す図である。
【図3】実施例1で熱可塑性樹脂組成物を製造したときに用いた装置を模式的に示す図である。
【図4】実施例2で熱可塑性樹脂組成物を製造したときに用いた装置を模式的に示す図である。
【図5】(A)、(B)、(C)は、それぞれ実施例1、実施例2、および比較例1で製造した熱可塑性樹脂組成物の断面拡大顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 混合機
2 押出機
3 水槽
4 カッター
5 液化二酸化炭素ボンベ
6 二酸化炭素用定量ポンプ
7 保圧弁
8 添加剤供給部
9 熱可塑性樹脂(A)
10 熱可塑性樹脂(B)
11 ホッパー
12 ヒーター
13、25、26、27、28 圧力ゲージ
14 脱気口
15 ダイ
16 ペレット
17 低分子有機化合物槽
18 低分子有機化合物用定量ポンプ
19 低分子有機化合物ライン
20 二酸化炭素ライン
21 第1押出機
22 第2押出機
23 第3押出機
24 冷媒循環器
25 質量流量計

Claims (5)

  1. 押出機内で2種以上の熱可塑性樹脂を溶融状態で混合して、熱可塑性樹脂組成物を製造するに当たり、
    押出機が3台以上繋がった多段押出機を用い、
    第1押出機で上記熱可塑性樹脂の合計量100重量部に対して、超臨界状態にある二酸化炭素を2〜200重量部の割合で添加し、
    第2押出機で溶融混合物の微分散化を進行させ、
    第3押出機で二酸化炭素を脱気する
    ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  2. 第1押出機でさらに、熱可塑性樹脂の合計量100重量部に対して、アルコール類、アルカン類、カルボン酸類、エーテル類、ケトン類およびベンゼンからなる群から選択される少なくとも1種の炭素数1〜6の低分子有機化合物を0.01〜50重量部の割合で添加することを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  3. 低分子有機化合物がエタノールであることを特徴とする請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  4. 第1押出機で2種以上の熱可塑性樹脂を加熱溶融して混合する工程と、
    第1押出機で二酸化炭素を3〜50MPaの圧力で2種以上の熱可塑性樹脂の溶融混合物に添加する工程と、
    第2押出機でさらに二酸化炭素の存在下で2種以上の熱可塑性樹脂を溶融状態で混合する工程と、
    第3押出機で二酸化炭素を脱気する工程と
    を含む請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  5. 押出機が、単軸押出機であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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