JP4132840B2 - 筆記具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、筆記具用筆記チップの溶着、特に加圧ボールペンのガスリーク防止や筆記チップ圧入割れ防止に応用できる筆記具に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボールペン特に加圧ガスが封入されるボールペンにおいては、筆記チップを単にインクチューブやチップ保持体に圧入するだけでは、封入されたガス圧や流通時の高温や経時クリープによって、前記チップが脱落する可能性がある。又、組み立て時の微小キズ等によりガスリークする問題が発生していた。同様に、加圧ペンではない通常の筆記具であっても、インクが漏れ出さない様に筆記部を有したチップを圧入すると、樹脂製のインクチューブや保持体に割れが発生する問題も発生していた。これを防止するため、他の性能が悪い柔らかい樹脂製としたり、チップのインクチューブ圧入部分に周溝を設けたり、また、特殊形状にしたりして、超音波により周溝等に溶融した樹脂を流入させて形成するか、前記チップに外嵌するチップ保持体で筆記チップを固定するよう筆記チップが嵌合された軸筒先端に超音波発熱により保持体を溶着させるかしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
溶着に超音波を用いた場合には、筆記チップが超音波の影響を受けて筆記チップ先端に抱持されているボールの脱落やインクのボテ、噴出し、筆記の際の線割等の不具合が生じる様な筆記部のダメージが発生する。また、外力、環境温度の影響、材料自身のクリープ変形、ひび割れ等によって筆記チップのインクチューブ嵌合部分が当初の強度を維持できず、チップの脱落、インクの漏れ、筆記具全体が発熱したり、溶着が不安定であったりする等の問題が発生する難点がある。
【0004】
本発明は、筆記チップとインクチューブ又は/及びチップ保持体との間を超音波を用いることなく必要な箇所のみを適切に溶着でき、筆記チップの脱落やインクの漏れ等を生じないようにできる筆記具を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、筆記具先端に筆記部を有したステンレススチール製の筆記チップと、内部にインクを保蔵するインクチューブと、該筆記チップを保持する保持体とを有した筆記具であって、
前記保持体は、引張り伸度(ASTMD638による)を20%以下とした環状ポリオレフィン、変性ポリエチレンテレフタレート(変性PPE)、またはポリスチレン(PS)等の伸びがないために割れやすい材質の樹脂材を用いて、前記保持体の長手方向先端部の内径が細径であって後端部の内径が太径になる概略筒状構造に形成したものであって、
前記保持体には、太径の後端部にインクチューブの先端部を挿入して固定し、
筆記チップは、前記保持体の細径の先端部から、保持体後端部に挿入されたインクチューブ先端部にかけて前記筆記チップ後端部を嵌入させ、
前記筆記チップの先端部以外であって前記筆記チップ後端部の、前記保持体先端部およびインクチューブ先端部に挿入されている部分を超音波加熱を用いずに電磁誘導加熱することによって、前記筆記チップの後端部にその周囲の保持体先端部およびインクチューブ先端部の樹脂を溶融又は軟化密着することにより、前記筆記チップに、その周囲の保持体先端部およびインクチューブ先端部を溶着し、
それと共に、後端の閉鎖された中空筒状の内軸でインクチューブを覆い、かつ、内軸内部に加圧ガスを封入してその内軸の先端部を前記保持体の外周部に外嵌して固定したことを特徴とする筆記チップを溶着した筆記具である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は第1実施形態に係る加圧ボールペンリフィールの要部先端部の縦断面説明図、図2は図1における筆記チップ10と継手(チップ保持体)12の嵌着固定状態説明図、図3はゲルインクボールペンの先端部縦断面説明図である。なお、リフィールを装着する軸筒は図示を省略している。
【0007】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る筆記具は、樹脂製のチップ保持体である継手12で外嵌した金属製筆記チップ10の後端部10cを樹脂製インクチューブ14先端に嵌入したものである。そして、継手12の外周面には、後端の閉鎖された内軸16が外嵌し、内軸16の先端部から筆記チップ中央部10bに亘って覆いかつ筆記チップ10を保護するチップ保護体(いわゆる口プラ)18が嵌着される。
【0008】
筆記チップ10は筆記部である先端部10aにボールを抱持し、中央部10b外周面部が先端部10aおよび後端部10cよりも太径になっている。
前記インクチューブ14は、中空筒状であって内部にインクを収容している。継手12は、やや先細の概略筒状構造であって、中央部がその後方部よりも内径が段状に細径になる。つまり、その継手12軸方向の中央部から後部にかけての内径の太い太径部12aでは、前記インクチューブ14の先端部14aが挿入されるものであり、先端部内周部が段状に細径になる細径部12bでは筆記チップ後端部10cの一部に外嵌するようになっている。この細径部12bの先端は、段状に拡径しておりこの拡径部分に筆記チップ中央部10b後側の段状部が挿入されるようになっている。
インクチューブ14は内部のインク23が漏れ出さないようにチップ10及び/又は継手12に対して装着・接着・溶着等種々に固着することができる。
【0009】
なお、図1に示すように、継手太径部12aの前端部寄りの外周面には環状のフランジ部12cが形成されており、継手12に外嵌する内軸16はこのフランジ部12cに突き当たるまで装着されて位置決めされる。又、内軸16の外周面部には、環状の突出部16aが形成される。
前記チップ保護体18は、全体が概略円錐側面に沿う形状を呈しており、前端内周部が筆記チップ10の中央部10bの外周面に当接すると抜け止めとなり、一方、後端では内軸外周の突出部16aに突き当たってかつ内周部が内軸16外周に嵌着する(嵌着部を符号bで示す)。そして、継手12外周面部と内軸16内周面部との嵌着で固定できる。
上記の筆記チップ10が継手12を挟んでインクチューブ14に繋がれ、内軸16内に加圧ガスが密閉されて加圧式筆記具となる。
又、前記各部の材質は、インクチューブにポリプロピレンや、ポリエチレンを、継手12と内軸16にはエチレンビニル共重合体(EVOH)、PET、ナイロン、PBT、POM、ポリアクリロニトリル、PEN等ガスバリア性の点を考慮してそれぞれ用いることができる。
【0010】
ここで、筆記具の金属製筆記チップ10の継手12に嵌入させる後端部10cの所定の箇所(少なくとも継手12細径部12bの嵌着している部分)20を加熱し、この加熱により該所定箇所周囲の樹脂を溶融することにより、この筆記チップ10の所定箇所20とその周囲の継手12同士を溶着する。
この場合、筆記チップ10の先端部10aを加熱せず、後端部10cのみを加熱したので、不要な部分の加熱による変色、変形、劣化等の悪影響を防止できる。
【0011】
又、前記加熱は、金属製筆記チップ10の所定箇所20を電磁誘導加熱することが好ましい。誘導加熱であれば、超音波加熱のように振動によるボール脱落、インクの劣化、吹出し、溶着不良、全体の不要加熱等の不具合が生じることなく目標箇所のみを加熱できる。又、図2に示すように、誘導コイル22を金属製筆記チップ10の所定箇所20に向けて誘導コイル22を設置し、誘導コイル22への電流の印加により筆記チップ10の所定箇所20に誘導電流を流してこの所定箇所20のみを加熱するものである。
なお、筆記チップ10後端を加熱こてで加熱することも同様にできる。
又、筆記チップ10は、誘導加熱が可能な金属製であれば、種々の金属材で形成できる。特に、内部に強磁性のFe(鉄)やCr(クロム)等の成分が多く、加熱酸化やさびの発生しないステンレスルスチールが好ましい。なお、少なくとも加熱部分(所定箇所20)をステンレススチールから構成すれば加熱部分以外を他の材質で構成でき、材質選択の幅が広がりコスト削減ができる。
前記筆記具は、内筒を密閉空間としてその空間内に加圧空気あるいは窒素ガスなどの加圧ガスを封入した加圧ボールペンで有効である。前記溶着方法により、前記所定箇所を簡単にかつ、確実にガス漏れしない密閉構造とさせ得るからである。又、組み立て時に付いてしまった縦きずによるガス漏れを防止するためにも溶着は有効である。
【0012】
なお、前記実施形態では、筆記チップを継手に溶着していたが、それと合わせてあるいは単独に筆記チップとインクチューブを溶着することができる。インクチューブとチップの固着が緊密かつ確実になり、インクの漏れ防止の点で好ましい。
【0013】
図3には、本発明の第2実施形態に係るゲルインクボールペンの要部説明図を示す。上述した第1実施形態のものとの変更点は、筆記具が非加圧式であり、継手12が圧入により割れを発生しやすい材質である、ABS、変性PPE、環状ポリオレフィン、ポリカーボネート(PC)、及び、ポリスチレン(PS)等ASTMD638による引張り伸度が20%以下の、伸びないために非常に割れやすい樹脂等であっても、加熱溶着することで割れの発生やチップの抜けを防止できるものである。本発明の加熱溶着であれば、ガラス状で割れやすいPSであっても、圧入代をほとんど無くした微小であれば、又は圧入代が無く隙間であっても、インクやガスがリークしない溶着が可能である。又、チューブ14や継手12のチップ圧入部の形状は違うが、同様に本発明を応用できる。なお、ペン先は、万年筆、サインペン、パイプペン等種々のものでも同様に応用できる。
【0014】
【発明の効果】
本発明は、ステンレススチール製筆記チップを、超音波を用いずに電磁誘導加熱によって保持体に溶着するので、該筆記チップが超音波の影響を受けることが無く、筆記チップ先端に抱持されているボールの脱落やインクの劣化、吹出し、筆記の際の線割等の不具合を防止できる。
また、外力、環境温度の影響、材料自身のクリープ変形等によっても筆記チップの嵌合部分が当初の強度を維持することができ、チップの脱落、圧入部の割れ、インクの漏れ等が発生することが無い。
又、筆記チップの先端部を加熱せず、後端部のみを加熱するので、不要な部分の加熱の無駄や当該溶着必要部分以外の加熱による劣化、筆記部の熱変形による筆記への悪影響が出る等の弊害が生じることを防止できる。
又、通常の圧入では割れが発生する材質や伸びの少ない材質でも加熱による応力緩和により割れを防止できる。
本発明において、前記加熱は、誘導コイルでステンレススチール製筆記チップの所定箇所を誘導加熱するので、超音波加熱で無いため、上記のような超音波加熱による弊害を確実に防止できる。
又、筆記チップの加熱部分がステンレススチール(特にSUS430系が好適である)からなるので、誘導加熱しても、劣化等が生じることが無く、加熱の効率が良く、確実かつ精度の良い密着ができる。
又、筆記具は、加圧ボールペンであると、前記筆記チップの後端部にその周囲の保持体先端部およびインクチューブ先端部の樹脂を溶融又は軟化密着することにより、前記筆記チップに、その周囲の保持体先端部およびインクチューブ先端部を溶着しているので、特にガス漏れを完全に防止し、安定した品質にできる効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる加圧式筆記具の要部説明図である。
【図2】第1実施形態の筆記チップが継手に嵌着されて溶着する状態の説明図である。
【図3】本発明の第2実施形態であるゲルボールペンの要部説明図である。
【符号の説明】
10 筆記チップ
12 継手
14 インクチューブ
16 内軸
18 チップ保護体
20 所定箇所(加熱部分)
22 誘導コイル
23 インク
24 加圧ガス
Claims (1)
- 筆記具先端に筆記部を有したステンレススチール製の筆記チップと、内部にインクを保蔵するインクチューブと、該筆記チップを保持する保持体とを有した筆記具であって、
前記保持体は、引張り伸度(ASTMD638による)を20%以下とした環状ポリオレフィン、変性ポリエチレンテレフタレート(変性PPE)、またはポリスチレン(PS)等の伸びがないために割れやすい材質の樹脂材を用いて、前記保持体の長手方向先端部の内径が細径であって後端部の内径が太径になる概略筒状構造に形成したものであって、
前記保持体には、太径の後端部にインクチューブの先端部を挿入して固定し、
筆記チップは、前記保持体の細径の先端部から、保持体後端部に挿入されたインクチューブ先端部にかけて前記筆記チップ後端部を嵌入させ、
前記筆記チップの先端部以外であって前記筆記チップ後端部の、前記保持体先端部およびインクチューブ先端部に挿入されている部分を超音波加熱を用いずに電磁誘導加熱することによって、前記筆記チップの後端部にその周囲の保持体先端部およびインクチューブ先端部の樹脂を溶融又は軟化密着することにより、前記筆記チップに、その周囲の保持体先端部およびインクチューブ先端部を溶着し、
それと共に、後端の閉鎖された中空筒状の内軸でインクチューブを覆い、かつ、内軸内部に加圧ガスを封入してその内軸の先端部を前記保持体の外周部に外嵌して固定したことを特徴とする筆記チップを溶着した筆記具。
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