JP4132913B2 - 細長形状のマグネシアクリンカ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マグネシア・カーボン質れんが用の骨材、特に底吹転炉の羽口用のマグネシア・カーボン質れんがの骨材として有利に使用することができる細長形状のマグネシアクリンカに関する。
【0002】
【従来の技術】
底吹転炉の羽口(精錬用ガス吹き込み口)用の耐火材には、特に高い耐熱性が要求されることから、熱伝導性に優れたマグネシア・カーボン質れんがが多用されている。このマグネシア・カーボン質れんがは、一般に、黒鉛もしくはコークスなどの炭素材料、骨材となるマグネシアクリンカ、そして結合材(例:フェノール樹脂)を主成分とする組成物を成形して製造されている。
【0003】
マグネシア・カーボン質れんがの骨材として、以前は、粒子形状が粉状又は粒状のマグネシアクリンカが使用されていた。しかし、粒子形状が粉状又は粒状のマグネシアクリンカを骨材に使用したマグネシア・カーボン質れんがは、クリンカ粒子が、れんがの稼動面(すなわち、炉の使用中にスラグや溶融金属に接触する面)にて脱落し易い傾向にあるため、耐熱スポーリング性が低いという問題がある。このため、れんが稼動面でのマグネシアクリンカ粒子の脱落が起こりにくいマグネシア・カーボン質れんがの開発が進められており、その成果が次に述べるように開示されている。
【0004】
特公平5−68424号公報には、粒子形状が細長形状のマグネシアクリンカを、その長軸がれんが稼動面に対して略垂直となるように配列して形成したマグネシア・カーボン質れんがが開示されている。この公報の実施例では、直径4mm、長さ30mmの細長形状のマグネシアクリンカを骨材として使用したマグネシア・カーボン質れんがが開示されている。
【0005】
特開平6−287073号公報にも、骨材の一部に、粒子形状が細長形状のマグネシアを用いたマグネシア・カーボン質れんがが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者の研究によれば、内部に長軸方向に沿う方向に延びる一本以上の亀裂が形成されている細長形状のマグネシアクリンカ粒子を含むマグネシアクリンカを骨材として使用したマグネシア・カーボン質れんがは、れんが稼動面でのクリンカ粒子の脱落が起こりにくい傾向にあることが判明した。
従って、本発明の目的は、マグネシア・カーボン質れんがの骨材などの耐火物材料として有利に使用することができるマグネシアクリンカを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、長軸方向の長さが短軸方向の長さの2〜30倍の長さである細長形状を有し、内部に長軸方向に沿って延びる一本以上の亀裂が形成されているマグネシアクリンカ粒子を含む、嵩密度が3.1〜3.3g/cm 3 の範囲にあって、酸化マグネシウム量が99質量%以上であるマグネシアクリンカにある。なお、本発明のマグネシアクリンカは、上記の内部に亀裂を有するクリンカ粒子が少なくとも30質量%、好ましくは50質量%、さらに好ましくは70質量%以上含まれている。
【0008】
本発明のマグネシアクリンカは、嵩密度が3.1〜3.25g/cm3の範囲にあることが好ましい。また、本発明のマグネシアクリンカは、酸化マグネシウム量が99.2質量%以上であることが好ましい。
【0009】
本発明のマグネシアクリンカは、マグネシア・カーボン質れんがの骨材として好適に使用することができる。特に、本発明のマグネシアクリンカは、底吹転炉の羽口用のマグネシア・カーボン質れんがの骨材として好適に使用することができる。
【0010】
本発明のマグネシアクリンカは、例えば、1200℃にて焼成した時に生成する酸化マグネシウム粉末の純度が99質量%以上で、含水量が5〜20質量%の範囲にある水酸化マグネシウム粉末を柱状に圧縮成形し、次いでこの成形体を1700℃以上の温度で焼成することによって製造することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のマグネシアクリンカを骨材として使用したマグネシア・カーボン質れんがにおいて、クリンカ粒子の脱落が起こりにくくなる要因については、必ずしも明確ではないが、次のように考えられる。
これまでは、マグネシア・カーボン質れんがの骨材に使用するマグネシアクリンカは、スラグなどの接触による浸食を少なくするために、高純度、かつ高い嵩密度(すなわち、気孔率の小さいもの)であるものが好ましいとされていた(例えば、特開昭62−91460号公報を参照)。しかし、このようなマグネシアクリンカに含まれているクリンカ粒子は、一般に熱膨張が大きく、マグネシア・カーボン質れんが内にて膨張と収縮を繰り返すうちに、クリンカ粒子とカーボンとの間に隙間ができるなど組織が脆弱化して、クリンカ粒子がれんが稼動面から脱落し易くなる。一方、本発明のマグネシアクリンカに含まれている内部に亀裂を有するマグネシアクリンカ粒子では、その亀裂によって、クリンカ粒子の熱膨張が軽減される(特に、短軸方向の熱膨張が軽減される)ので、クリンカ粒子とカーボンとの間に隙間ができにくくなると同時に組織が脆弱化しにくくなる。
【0012】
本発明のマグネシアクリンカに含まれている内部に亀裂を有するクリンカ粒子は、長軸方向の長さが、短軸方向の長さの2〜30倍の長さ(好ましくは、2〜10倍の長さ)を持つものであれば、その外形には特別な制限はない。その外形の代表的な例としては、円柱、三角もしくは矩形の角柱を挙げることができる。また、マグネシアクリンカ粒子の外形は、長さ方向の端部が中央よりも細く削られた形状であってもよいし、長さ方向の端部が中央よりも太い形状であってもよい。
【0013】
本発明において、短軸方向、及び長さ方向の長さは、マグネシアクリンカ粒子の短軸方向及び長さ方向において最も長さの長い部分の長さを意味する。マグネシアクリンカ粒子の具体的なサイズは、短軸方向の長さが、一般に1〜30mmの範囲、好ましいのは1〜10mmの範囲、より好ましいのは2〜5mmの範囲にある。長軸方向の長さは、一般に3〜300mmの範囲、好ましいのは3〜50mmの範囲、より好ましいのは5〜20mmの範囲にある。
【0014】
マグネシアクリンカ粒子の内部に形成されている亀裂の長さは、クリンカ粒子の長軸方向の長さに対して1/10以上の長さ、好ましいのは1/2以上の長さである。また、亀裂の長さは、マグネシアクリンカ粒子の長軸方向の長さに対して9/10以下の長さであることが好ましい。
【0015】
本発明のマグネシアクリンカには、内部に亀裂を有するクリンカ粒子が少なくとも30質量%、好ましくは50質量%、さらに好ましくは70質量%以上含まれている。
本発明のマグネシアクリンカにおいて、内部に亀裂を有するクリンカ粒子以外のクリンカ粒子については、その形状に特別な制限はない。その例としては、粒子径が1〜5mmの粒状のクリンカ粒子を挙げることができる。
【0016】
本発明のマグネシアクリンカは、内部に亀裂を有するクリンカ粒子を含むので、嵩密度が一般に3.1〜3.3g/cm3の範囲と、通常のマグネシアクリンカと比較して小さい傾向にある。嵩密度は、3.1〜3.25g/cm3の範囲にあることが好ましい。
【0017】
本発明のマグネシアクリンカは、耐食性の観点から高純度あることことが好ましい。具体的には、酸化マグネシウム量が99質量%以上であり、99.2質量%以上であることがより好ましい。
【0018】
本発明のマグネシアクリンカは、例えば、水酸化マグネシウムを水の存在下で、柱状に成形し、次いでこの成形体を1700℃以上の温度、好ましいのは1800℃〜2100℃の温度で焼成することによって製造することができる。
【0019】
原料となる水酸化マグネシウムに、上記の焼成温度(1700℃以上の温度)よりも低い温度で溶融する化合物(例:酸化ケイ素、酸化鉄、アルミナ)が1質量%を超えて混入していると、マグネシアクリンカの内部に亀裂が形成されにくくなる傾向にある。従って、水酸化マグネシウムは、1700℃よりも低い温度(好ましくは、1200℃)にて焼成した時に生成する酸化マグネシウム粉末の純度が99質量%以上となるものであることが好ましい。なお、水酸化マグネシウムには、硫酸塩やホウ酸成分などの1700℃よりも低い温度(好ましくは、1200℃)で蒸発する物質であれば多少は混入していてもよいが、その量は2質量%未満であることが好ましい。
水酸化マグネシウムは、例えば、海水に石灰を加えることにより沈殿させて得たものを用いることができる。
【0020】
水酸化マグネシウムを柱状に成形する際の水酸化マグネシウムの含水量は、5〜20質量%の範囲、好ましいのは10〜15質量%である。また、水酸化マグネシウムには、さらに、澱粉、及びカルボキシメチルセルロース(CMC)を増粘剤として添加してもよい。
【0021】
水酸化マグネシウムを柱状に形成するための装置としては、例えば、稼動面に凹凸を備えた波形ロールが装着されたコンパクティングマシーンや押出成形機などの公知造粒装置を挙げることができる。
【0022】
成形体の焼成には、電気炉(例:高周波誘導炉、アーク炉、抵抗炉)、及び焼成炉(例:ロータリキルン)などの公知の加熱装置を用いることができる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。なお、実施例に記載した嵩密度、見掛け気孔率、及び化学組成は下記の方法により測定した。
【0024】
(1)嵩密度、見掛け気孔率
日本学術振興会124委員会試験法分科会において決定された「学振法2マグネシアクリンカの見掛け気孔率、見掛け比重及び嵩比重の測定方法」(1981年版、耐火物手帳、耐火物技術協会)に準じて行う。
【0025】
(2)化学組成
日本学術振興会124委員会試験法分科会において決定された「学振法マグネシアクリンカの化学分析法」(1981年版、耐火物手帳、耐火物技術協会)に準じて行う。
【0026】
[実施例1]
常法により、海水に石灰を加えて水酸化マグネシウムスラリーを調製し、これを濃縮、脱水して水酸化マグネシウムケーク(含水量40質量%)を得た。この水酸化マグネシウムケークを、乾燥炉で乾燥して含水量が13質量%の粉末状の水酸化マグネシウムを得た。この粉末状の水酸化マグネシウムを1200℃で焼成し、その化学組成を分析したところ、MgO量が99.1質量%、CaO量が0.25質量%、SiO2量が0.21質量%、Fe23量が0.08、Al23量が0.06質量%、硫酸塩(SO4)量が0.09質量%、及びB23量が0.10質量%であった。
【0027】
上記の粉末状の水酸化マグネシウムを、波形ロールが装着されたコンパクティングマシーンを用いて、3mm角の柱状に圧縮成形した。次いで、この水酸化マグネシウム成形体をロータリキルンにて1900℃の温度で焼成した。
得られたマグネシアクリンカに含まれているクリンカ粒子の大きさを目視で観察したところ、クリンカ中の約70質量%に相当する粒子が、短軸方向の長さが2〜4mm、長軸方向の長さが5〜20mmであり、かつ長軸方向の長さが、短軸方向の長さの2〜10倍の長さであることが確認された。
【0028】
得られたマグネシアクリンカ中のクリンカ粒子の断面の顕微鏡写真を、図1に示す。図1に示すように、マグネシアクリンカ粒子の内部には、長軸方向に沿った方向に亀裂があることが分かる。
【0029】
得られたマグネシアクリンカの嵩密度、見掛け気孔率、及び化学成分を表1に示す。
【0030】
【表1】
表1
───────────────────────────
嵩密度(g/cm3) 3.20
見掛け気孔率(%) 3.5
───────────────────────────
化学成分(質量%)
MgO 99.41
CaO 0.23
SiO2 0.21
Fe23 0.08
Al23 0.06
23 0.003
───────────────────────────
【0031】
【発明の効果】
内部に亀裂を有するマグネシアクリンカ粒子は、内部に亀裂を有しない従来のマグネシアクリンカ粒子と比較して熱膨張が軽減される。従って、本発明の内部に亀裂を有するクリンカ粒子を含むマグネシアクリンカを骨材として使用したマグネシア・カーボン質れんがでは、れんが稼動面でのクリンカ粒子の脱落が起こりにくくなる。特に、本発明のマグネシアクリンカは、底吹転炉の羽口用のマグネシア・カーボン質れんがの骨材として好適に使用することができる。
【0032】
本発明の内部に亀裂を有するクリンカ粒子を約70質量%含むマグネシアクリンカを骨材として使用したマグネシア・カーボン質れんがは、その使用条件によっても異なるが、従来の粒子形状が細長形状であるマグネシアクリンカを骨材として使用したマグネシア・カーボン質れんがと比較して約2〜3倍程度の長期間にわたって使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1にて得たマグネシアクリンカ中のクリンカ粒子の断面写真である。

Claims (4)

  1. 長軸方向の長さが短軸方向の長さの2〜30倍の長さである細長形状を有し、内部に長軸方向に沿って延びる一本以上の亀裂が形成されているマグネシアクリンカ粒子を含む、嵩密度が3.1〜3.3g/cm 3 の範囲にあって、酸化マグネシウム量が99質量%以上であるマグネシアクリンカ。
  2. マグネシア・カーボン質れんがの骨材用である請求項1に記載のマグネシアクリンカ。
  3. 底吹転炉の羽口用のマグネシア・カーボン質れんがの骨材用である請求項1に記載のマグネシアクリンカ。
  4. 1200℃にて焼成した時に生成する酸化マグネシウム粉末の純度が99質量%以上で、含水量が5〜20質量%の範囲にある水酸化マグネシウム粉末を柱状に圧縮成形し、次いでこの成形体を1700℃以上の温度で焼成する請求項1に記載のマグネシアクリンカの製造方法。
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