JP4137561B2 - 熱転写シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱記録材料に関し、特に背面層の改善が図られた熱転写シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年のプリンターの高速化は、サーマルヘッドのさらなる高速化、高分解能化を要し、このためサーマルヘッドにかかる熱エネルギーは増加の一途をたどっている。その結果、画像形成の際のプリンター発熱部周囲の温度はいきおい上昇し、熱転写シートを構成するバインダーの耐熱性や背面材の滑性が印画性能や長期印画時におけるヘッド上のカスの発生やサーマルヘッドの摩耗に大きな影響を与えてきた。
【0003】
また、従来の熱転写シートにおいては、サーマルヘッドと接触する面(裏面)において基材シートがサーマルヘッド部材に溶融付着することによる印字不良現像(一般に「スティッキング」または「スティック」と呼ばれている現象)や、印画時と非印画時の摩擦係数に大きな差があるために印画じわが発生するといった問題があった。
【0004】
このため、従来、熱転写シートの背面側に耐熱性の高い熱硬化樹脂からなる耐熱層を形成する方法が提案されている。しかしながら、このような耐熱層の形成は、スティッキングの発生を防止する上においては一定の効果があるものの、上述した摩擦係数の問題は依然として解消されない。
【0005】
このような観点から、滑性向上・安定化のためにシリコーンオイル、低沸点ワックス、界面活性剤などを背面層に添加する方法が提案されているが、これら従来添加されている滑剤成分は低沸点であることから他の物体に移行しやすく、例えば製造した熱転写シートをロール状に巻き取ると背面層と重なる反対面の染料層に移行して染料層の転写性に悪影響を与えるという新たな問題が生じる。また、これらの滑剤成分は熱転写時に軟化あるいは溶融してサーマルヘッドを滑らせるものであるため、必然的にサーマルヘッドを汚染しカスが発生するという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、プリンターの高速化に十分対応し得る熱転写シート、より具体的には、印画じわを防止するための低い摩擦係数における印画・非印画時の安定化、長期印画時の発生カスの問題の解消が図られた熱転写シートを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決しようとする手段】
上記の課題を解決するために、本発明に係る熱転写シートは、基材シートと、前記基材シートの一方の面に形成された熱転写層と、前記基材シートの前記熱転写層と反対側の面に形成された背面層とからなる熱転写シートであって、前記背面層が、滑性成分として極圧剤を含有することを特徴とするものである。
【0008】
本発明の好ましい態様においては、上記背面層は滑性成分として、さらに金属石鹸を含むことができ、具体的には、アルキルリン酸エステルの多価金属塩および/または脂肪酸の多価金属塩からなる金属石鹸が好ましく用いられ得る。
【0009】
さらに、本発明の好ましい態様においては、上記極圧剤が、高温/高エネルギー条件下で滑性を発現する温度選択性を有するものからなり、具体的には、有機金属化合物、リン系化合物、硫黄系化合物、ハロゲン系化合物およびこれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも1種を用いることができる。
【0010】
上記極圧剤の含有量としては、背面層の重量に対し、1〜50重量%の範囲で添加することが好ましい。
【0011】
また、本発明の別の好ましい態様においては、背面層と基材シートとの間にさらにプライマー層を設けることもできる。
【0012】
さらに、本発明の好ましい態様においては、背面層がさらにフィラーを含有していてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る熱転写シートを好ましい具体例に基づいて説明する。
【0014】
本発明に係る熱転写シートは、基材シートと、前記基材シートの一方の面に形成された熱転写層と、前記基材シートの前記熱転写層と反対側の面に形成された背面層とからなる熱転写シートであって、前記背面層が、滑性成分として極圧剤を含有することを特徴とするものである。
【0015】
本発明で用いる基材シート(フィルム)としては、従来の熱転写シートに使用されているものと同様の材料を適宜用いることができるとともに、その他のものも使用することができ、特に制限されない。好ましい基材シートの具体例としては、例えばポリエステル、ポリプロピレン、セロハン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、塩化ゴム、アイオノマーなどのプラスチックフィルム、コンデンサー紙、パラフィン紙などの紙類、不織布などがあり、これらを複合した基材シートであってもよい。
【0016】
基材シートの厚さは、その強度および熱伝導性が適切になるように材料に応じて適宜変更することができるが、その厚さは0.5〜50μmの範囲が適当であり、好ましくは1.5〜10μmの範囲である。
【0017】
本発明における背面層は、当該背面層を構成するバインダー樹脂とこれに添加される滑剤成分とからなり、この滑性成分として極圧剤を含有する。
【0018】
本発明で使用する背面層のバインダーとしては、サーマルヘッドからかかる瞬時の強い熱エネルギーから守るため、比較的高いガラス転移温度を有する高分子が好ましく用いられる。この点から、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、AS樹脂などが特に好ましいが、この他にも、例えばエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、硝化綿などのセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリメタクリル酸エチルエステル、ポリアクリルアミド、アクリロニトリル−スチレン共重合体などのビニル系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン変性またはフッ素性ウレタン、アクリル樹脂などが挙げられる。これらの中で、セルロース系、アセタール系、アセタール系、ブチラール系、アクリル樹脂系、アクリロニトリル−スチレン共重合体系、ポリエステル系、ポリウレタン樹脂系などが好適である。
【0019】
本発明において滑性成分として添加する「極圧剤」は、高温/高エネルギー条件下で滑性を発現する温度選択性を有する成分からなる。
【0020】
本発明者の知見によれば、上記のような極圧剤を滑性成分として添加することによって、選択的に高温/高エネルギー印加時において、極圧剤成分が印字部分の界面に析出して良好な保護膜を形成することが判明している。
【0021】
このような極圧剤の好ましい具体例としては、有機金属化合物、リン系化合物、硫黄系化合物、ハロゲン系化合物およびこれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。なお、極圧剤としては、鉛石鹸、硫黄化合物、リン化合物などが挙げられるが、これらの中でも融点が比較的低いために巻き取り時の転写層への移行が問題となる物質も存在する。したがって、熱転写シートの保存状態よりも高い温度の融点を有し、しかも幅広いエネルギー範囲において滑性を常に発揮するために、数種類の極圧剤を混合して使用することが好ましい。
【0022】
極圧剤として特に好ましいものは、ジアルキルカルバメートやジチオカルバメートなどの金属塩などの融点の比較的高いものである。
【0023】
また、本発明においては、滑性成分として、上記極圧剤とともに金属石鹸を併用添加することが好ましく、アルキルリン酸エステルの多価金属塩および/または脂肪酸の多価金属塩からなる金属石鹸が好ましく用いられ得る。これらの金属石鹸は、一般に低温/低エネルギー時においては良好な滑性を発揮するものの、高エネルギー下では大きく滑性が低下する。したがって、印画時と非印画時の滑性の差異により印画シワが発生するため、高エネルギー下で滑性を発現する上記の極圧剤と金属石鹸を併用することにより低温/低エネルギー状態から高温/高エネルギーまで幅広い領域で安定した摩擦係数を得ることが可能となる。
【0024】
金属石鹸の使用量は、上記バインダー100重量部あたり10〜150重量部の範囲が好ましい。使用量が10重量部未満であると低温/低エネルギー状態での充分な滑性が得られず、一方、150重量部を超えると背面層の物理的強度が低下するので好ましくない。
【0025】
さらに、本発明の好ましい態様においては、背面層と基材シートとの間にさらにプライマー層を設けることもできる。このようなプライマー層としては、従来公知のプライマー用材料が用いられ得る。
【0026】
さらに、本発明においては、背面層にさらにフィラーを添加することができる。このようなフィラー成分は、滑性を一層良好なものにする上で効果が期待できる範囲において使用されるべきである。
【0027】
背面層を形成するには、上記の所定の成分をアセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、エタノールなどの適当な溶剤中に溶解または分散させて塗工液を調製し、この塗工液をグラビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバーなどの慣用の塗工手段により基材シート上に塗工し、乾燥することによって形成される。その塗工量、すなわち背面層の厚さも比較的重要であり、本発明においえは固形分基準で0.5g/m2以下、好ましくは0.1〜0.5g/m2 の厚さ目的とする充分な性能を有する背面層を形成することができる。
【0028】
色材層(転写層)としては、昇華型熱転写シートの場合には昇華性の染料を含む層を形成し、熱溶融型の熱転写シートの場合には顔料で着色したワックスインキ層を形成する。これら色材層の材料としては、従来公知のものが目的に応じて適宜使用することができ、特に限定されるものではない。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の実施例をあげてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載によってんら限定されるものではない。
【0030】
(実施例1)
基材フィルムとして6μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムに下記組成の耐熱滑性層(背面層)用塗工液を乾燥時約0.4g/m2 になるように塗布及び乾燥し、背面層を形成した。基材フィルムの他方の面に、下記組成の熱転写色材層用塗工液を乾燥時約1.4g/m2 になるように塗布及び乾燥して、熱転写色材層を形成し、本発明の実施例1の熱転写シートを作製した。なお、文中、部または%となるのは重量基準である。
【0031】
背面層用組成物
ポリメタクリル酸メチル(三菱レイヨン製、BR85) 6.7部
ポリエステル樹脂(ユニチカ製、UE3200) 0.3部
タルク(日本タルク製、ミクロエースP−3) 0.5部
ステアリルリン酸亜鉛(堺化学製、LBT1830) 1.25部
ステアリン酸亜鉛(日本油脂製、ジンクステアレートS) 0.625部
ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛
(住友化学製、ソクシノールBz) 0.625部
トルエン 45部
メチルエチルケトン 45部
熱転写色材層用組成物
MS−RED−G(三井東圧化学製、ディスバーレッド60) 2部
マクロレックスレッドバイオレットR(バイエル社製、
ディスパースバイオレット26) 1.5部
ポリビニルアセタール樹脂(積水化学製、
エスレックスKS−5) 3.5部
トルエン 46.5部
メチルエチルケトン 46.5部
(実施例2)
実施例1と同様の方法により、背面層用組成物に代えて下記組成の背面層を形成して熱転写シートを作製した。
【0032】
ポリメタクリル酸メチル(三菱レイヨン製、BR85) 6.1部
ポリエステル樹脂(ユニチカ製、UE3200) 0.3部
タルク(日本タルク製、ミクロエースP−3) 0.5部
ステアリルリン酸亜鉛(堺化学製、LBT1830) 1.2部
ステアリン酸亜鉛(日本油脂製、ジンクステアレートS) 0.6部
ジ−n−ブチルジテオカルバミン酸亜鉛
(住友化学製、ソクシノールBz) 1.3部
トルエン 45部
メチルエチルケトン 45部
(実施例3)
実施例1と同様の方法により、背面層用組成物に代えて下記組成の背面層を形成して熱転写シートを作製した。
【0033】
ポリメタクリル酸メチル(三菱レイヨン製、BR85) 6.7部
ポリエステル樹脂(ユニチカ製、UE3200) 0.3部
有機フィラー(尿素樹脂) 0.15部
エポスターS(ベンゾグアナミン樹脂) 0.35部
ステアリルリン酸亜鉛(堺化学製、LBT1830) 1.25部
ステアリン酸亜鉛(日本油脂製、ジンクステアレートS) 0.62部
ジ−n−ブチルジテオカルバミン酸亜鉛
(住友化学製、ソクシノールBz) 0.625部
トルエン 45部
メチルエチルケトン 45部
(実施例4)
実施例1と同様の方法により、背面層用組成物に代えて下記組成の背面層を形成して熱転写シートを作製した。
【0034】
(実施例5)
実施例1と同様の方法により、背面層用組成物に代えて下記組成の背面層を形成して熱転写シートを作製した。
【0035】
(比較例1)
実施例1と同様の方法により、背面層用組成物に代えて下記組成の背面層を形成して熱転写シートを作製した。
【0036】
(比較例2)
実施例1と同様の方法により、背面層用組成物に代えて下記組成の背面層を形成して熱転写シートを作製した。
【0037】
(評価試験)
上記実施例1〜5および比較例1、2の熱転写シートについて下記の方法により、印画シワの発生、スティッキングおよび熱融着性について調べた。評価結果を下記表1に示す。
【0038】
印画シワ:
三菱電機(株)製昇華プリンターCP700においてCP700標準紙に黒ベタパターンを印画した際、シワが発生しなかったものを○、発生したものを×とした。
【0039】
スティッキング:
三菱電機(株)製昇華プリンターCP700においてCP700標準紙に黒ベタパターンを印画した際、スティッキングが発生しなかったものを○、発生したものを×とした。
【0040】
熱融着性:
京セラ製サーマルヘッドKST−105−J3FANを用い、これに4KgWの荷重、印画エネルギー0.4ml/dotで三菱電機(株)製昇華プリンターCP700標準紙に50%斜線パターンを10m印画した際、サーマルヘッド発熱体上の付着物の量を顕微鏡で観察した。付着物の厚みが5000Å以上の場合は×、3000〜5000Åの場合は○、3000Å以下の場合は◎とした。
【0041】
【0042】
【発明の効果】
上記の実施例、比較例の結果からも分かるように、本発明に係る熱転写シートは、背面層に極圧剤が含有されているので、印字シワとスティッキングの防止と熱融着特性の低減化の双方においてすぐれた効果を奏する。
Claims (4)
- 基材シートと、
前記基材シートの一方の面に形成された熱転写層と、
前記基材シートの前記熱転写層と反対側の面に形成された背面層とからなる熱転写シートであって、
前記背面層が、滑性成分として、前記背面層の重量に対し1〜50重量%添加されかつ有機金属化合物、リン系化合物、硫黄系化合物およびこれらの混合物からなる群から選ばれる極圧剤および金属石鹸を含有することを特徴とする、熱転写シート。 - 前記金属石鹸が、アルキルリン酸エステルの多価金属塩および/または脂肪酸の多価金属塩からなる、請求項1に記載の熱転写シート。
- 前記背面層と基材シートとの間にプライマー層を設けられてなる、請求項1に記載の熱転写シート。
- 前記背面層がさらにフィラーを含有する、請求項1に記載の熱転写シート。
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