JP4138300B2 - 成形治具形状の導出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、実施しようとするエイジフォーミングに用いる成形治具の形状を導出する導出方法に関し、詳しくはアルミニウム合金等といった金属製の航空機主翼外板、特に翼根部の複合曲面をエイジフォーミングする時に使用する成形治具の形状を決定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
航空機、車両、自動車といった構造物の外板を機械的に成形するに際して、エイジフォーミング法が適用されている。エイジフォーミング法とは、金属材料等の成形対象材料に応力を加えることによって、一定基準面を有する成形治具に成形対象材料を押し付けて変形させておいて、この状態で高温下に曝露することでエイジング処理を行う方法である。エイジフォーミング法は、熱曝露中に応力緩和が生じるため成形対象材料中に残留応力が残らないといった優位性がある。
【0003】
ところが、成形対象材料について所望形状を得るために、成形治具の形状を所望形状と同一に設定しても、所望形状を得られない。これは、エイジフォーミング時に成形対象材料に負荷された荷重が開放された場合に、弾性歪分だけ成形対象材料が元の形状に復元しようとするためである。このような現象をスプリングバックという。
【0004】
従って、成形治具の形状を、所望形状より過剰に成形するような形状としなければ、所望の形状の成形対象材料が得られない。つまり、スプリングバック量(復元した量)を予測して、成形治具の形状を設定しなければならない。
【0005】
そこで、成形治具の形状を設定するにあたっては、以下のような工程で行っていた。
▲1▼:任意の形状をした成形治具で成形対象材料のエイジフォーミングを実施して、その際のスプリングバック量を取得する。
▲2▼:次いで、そのスプリングバック量に基づいて、新たな形状の成形治具を設定する。
▲3▼:その新たな成形治具で新たな成形対象材料のエイジフォーミングを実施する。
▲4▼:▲3▼の工程で形成された成形対象材料が所望形状でなければ、再び▲2▼〜▲3▼を繰り返してスプリングバック量の傾向を求めた後、成形治具の正式な形状を設定する。
このように、所望形状を形成可能な成形治具の形状を設定するには、エイジフォーミングの実施を何度も繰り返す必要があり、多くの材料消費、労力、時間を要している。
【0006】
そこで、数値解析手法を用いて、所望形状を成形可能な成形治具の形状を予測する方法が提案されている。例えば、特開平11−319994号公報に記載されている予測手法は、エイジフォーミング等価剛性をヤング率とみなして、有限要素解析を行う。有限要素解析では、成形対象材料を所望形状に変形させるための初期応力を算出する。そして、常温下で初期応力を与えるような形状を求めるが、これが成形用治具の予測形状となる。ここで、エイジフォーミング等価剛性を以下のように算出する。エイジフォーミング条件と等価な温度及び時間条件でクリープ試験を行った場合に、成形対象材料に生じる歪みを求める。常温下でこの歪みを成形対象材料に発生させるために必要な常温時応力を求める。更に、クリープ試験後に成形対象材料から荷重を除去した際に成形対象材料に残留する永久歪みを求める。そして、常温時応力を永久歪みで除して求められた値が、エイジフォーミング等価剛性である。この予測手法では、成形対象材料を一方向に曲げてエイジフォーミングする場合には、成形治具の形状を精度良く予測することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、航空機等の構造物の外板は、一方向の曲げのみによって成形されるわけではなく、複雑複曲面となっている。従来の予測手法では、複雑複曲面となるような成形用材料の形状を成形可能な成形治具の形状を予測した場合、その予測精度、特に最小曲げ方向と直交する方向の形状予測の精度に問題がある。
【0008】
本発明の課題は、成形対象材料を成形治具で二方向に曲げてエイジフォーミングするに際し、所望形状の成形対象材料を得られるような成形治具の形状を精度良く予測することができる方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、既知のクリープ条件下の応力歪み線図に基づいて、エイジフォーミング前に成形対象材料を拘束した際に生じる応力と、エイジフォーミング後に成形対象材料に生じている歪みとの関係を表すエイジフォーミング等価剛性を求める工程と、成形対象材料の最小曲げ方向の単純曲げとして、実施しようとするエイジフォーミング後における成形対象材料の最小曲げ方向の所望曲げ形状に相当する歪みから初期応力を前記エイジフォーミング等価剛性に基づいて求め、その求めた初期応力から第一初期歪みを成形対象材料のヤング率に基づき求める工程と、矩形状の複数の試験用成形対象材料を最小曲げ方向及び該最小曲げ方向に直交する直交方向に曲げる試験用成形治具で、各試験用成形対象材料を曲げて拘束する工程と、前記直交方向の曲げを直交方向の単純曲げとしてその最大歪みを第一歪みとして求める工程と、各試験用成形対象材料を前記試験用成形治具でエイジフォーミングして、常温下にするとともに荷重を除去した後に、各試験用成形対象材料の前記直交方向の残留最大歪みを第二歪みとして求める工程と、各試験用成形対象材料の第一歪み及び第二歪みに基づき、エイジフォーミング前の試験用成形対象材料の前記直交方向の歪みとエイジフォーミング後の試験用成形対象材料の直交方向の歪みとの相関関係を求め、前記相関関係に基づいて、前記直交方向に与える第二初期歪みをエイジフォーミング後の所望の残留最大歪みから求める工程と、前記最小曲げ方向の前記第一初期歪みから、実施しようとするエイジフォーミングに用いる成形治具の最小曲げ方向の曲げ形状を求め、前記直交方向の前記第二初期歪みから、実施しようとするエイジフォーミングに用いる成形治具の直交方向の曲げ形状を求める工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項1記載の発明では、エイジフォーミング等価剛性、つまり、エイジフォーミング後の歪みと、その歪みを生ずるのに必要なエイジフォーミング前の初期応力との関係を表す等価剛性に基づいて、所望曲げ形状に相当する歪みを生ずるための初期応力を求める。この求めた初期応力は、求めようとする成形治具形状に成形対象材料が拘束された場合に成形対象材料に生ずる応力である。この求めた初期応力から、求めようとする成形治具に拘束された成形対象材料に生ずる第一初期歪みが求まり、この歪みによって成形対象材料の最小曲げ方向の曲げ形状が求まる。この曲げ形状が、求めようとする成形治具形状の最小曲げ方向の形状となる。
【0011】
一方、求めようとする成形治具形状における最小曲げ方向と直交する直交方向の形状は、複数の試験用成形対象材料を試験用治具でエイジフォーミングした際の結果により求める。つまり、複数の試験用成形対象材料をエイジフォーミングするに際して、エイジフォーミング前の直交方向の最大歪みを第一歪みとして求め、エイジフォーミング後の直交方向の残留歪みを第二歪みとして求める。そして、第一歪み及び第二歪みに基づき、エイジフォーミング前の歪みとエイジフォーミングの歪みとの相関関係が求まる。そして、この相関関係に基づき、実施しようとするエイジフォーミング後における所望の曲げ形状となる歪みから、エイジフォーミング前の直交方向の第二初期歪みが求まる。この求めた第二初期歪みは、求めようとする成形治具に拘束された成形対象材料に生ずる歪みである。この第二初期歪みから、求めようとする成形治具の曲げ形状が求まる。
【0012】
以上のように、本発明では、成形対象材料を最小曲げ方向及びそれに直交する方向に曲げることが可能な成形治具の形状を、最小曲げ方向の形状とそれに直交する方向の曲げ形状とを別個に求めている。従って、歪みを求める作業が簡単なうえ、求めようとする成形治具形状を精度良く予測することができる。
【0013】
また、従来では、成形治具の形状を予測するには、エイジフォーミングの実施を何度も繰り返していたが、本発明では、エイジフォーミングの試験の結果は、成形治具の種々の形状を予測するために供される。従って、エイジフォーミング用の成形治具の種々の形状を設計するに際して、設計期間の短縮及び設計コストの削減が図られる。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の導出方法において、前記試験用成形治具材料は前記成形対象材料と略相似であり、前記相関関係は、最小曲げ半径とこの方向に直交する直交方向の曲げ半径との比をパラメータとして求めることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的態様を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、発明の範囲を図示例に限定するものではない。
【0016】
本実施の形態では、エイジフォーミング後のスプリングバック量を考慮して成形対象材料が所望形状となるように、エイジフォーミング前に成形対象材料を成形治具に押しつけた(つまり、拘束した)際の初期形状を予測する。その初期形状が成形治具の設計形状となる。本実施の形態の特徴とするところは、成形対象材料を二方向に曲げてエイジフォーミングする際に用いられる成形治具を設計するに際して、エイジフォーミング前の各方向の曲げ形状を別個に求めることにある。本実施の形態では、成形対象材料として矩形状のアルミニウム合金板を想定して、最小曲げ方向(以下、コード方向という。)に曲げた場合のエイジフォーミング前の初期曲げ形状(以下、初期曲げ形状Rc0という。)を予測するとともに、最小曲げ方向に直交する方向(以下、スパン方向という。)に曲げた場合のエイジフォーミング前の初期曲げ形状(以下、初期曲げ形状Rs0という。)を予測する。初期曲げ形状Rc0は、実施しようとするエイジフォーミングに用いる成形治具の形状におけるコード方向の曲げ半径である。初期曲げ形状Rs0は、実施しようとするエイジフォーミングに用いる成形治具の形状におけるスパン方向の曲げ半径である。矩形状のアルミニウム合金板を二方向に曲げることを想定したのは、本発明を航空機の主翼外板の設計に適用することを主な目的として、主翼外板の成形部分の形状に相似させるためである。航空機の主翼では、コード方向の曲げ半径(曲げ形状)がスパン方向の曲げ半径(曲げ形状)よりも小さく、コード方向の曲げ形状が他の方向と比較しても最も小さく、コード方向は最小曲げ方向となっている。もちろん、本発明を航空機の主翼外板以外にも適用可能であることは言うまでもない。以下、本実施の形態について詳述する。なお、主翼では、それぞれの方向の曲げ形状は厳密には一定の半径ではなく変化しているが、ここではこれら全てに最も近似する半径で代表する。
【0017】
〔1.初期曲げ形状Rc0の導出〕
〔1−1.概要〕
コード方向の初期曲げ形状Rc0の導出にあたっては、エイジフォーミング等価剛性Eeqを求めて、そのエイジフォーミング等価剛性Eeqに基づいて初期曲げ形状Rc0を求める。その手順としては、以下の▲1▼〜▲6▼の工程からなる。
工程▲1▼:クリープ条件下でのアルミニウム合金の応力−歪みの関係に基づいて、永久歪みεpと弾性歪みεeとの和である歪みεtotalを求める。
工程▲2▼:常温下におけるアルミニウム合金の応力−歪み線図に基づいて、歪みεtotalをアルミニウム合金に発生させるために必要な応力σtotalを求める。
工程▲3▼:永久歪みεpを求める。
工程▲4▼:応力σtotalを永久歪みεpで除することにより、エイジフォーミング等価剛性Eeqを求める。
工程▲5▼:エイジフォーミング等価剛性Eeqを用いて、アルミニウム合金板のコード方向の所望曲げ形状Rcrを生ずるための初期応力σc0を求める。
工程▲6▼:初期応力σc0となるアルミニウム合金のコード方向の初期曲げ形状Rc0を求める。
【0018】
〔1−2.クリープ条件下応力−歪み線図〕
エイジフォーミング後により得られる残留歪み(永久歪み)が、実質的にクリープのみにより得られるという事実に着目して、実施しようとするエイジフォーミング温度にエイジフォーミング時間だけアルミニウム合金を曝露することにより得られたクリープ試験データを用いる。なお、エイジフォーミング温度とは、エイジフォーミングの際の時効温度を意味し、エイジフォーミング時間とは、エイジフォーミングの際の時効時間を意味する。
【0019】
例えば、図1又は図2には、アルミニウム合金についてのクリープ試験データのグラフが示されている。図1の各クリープ曲線は、試験温度149℃においてクリープ試験を行った場合に、所定歪みまで発生するまでの時間と応力(実際には、室温時における破断応力に対する応力のパーセンテージ)との関係を示したものである。図2の各クリープ曲線は、試験温度191℃においてクリープ試験を行った場合に、クリープ試験を行った場合に、所定歪みまで発生するまでの時間と応力との関係を示したものである。図1又は図2に示されるクリープ試験データは、公知の文献データから引用したものである。なお、試験温度149℃或いは試験温度191℃以外の温度についても、クリープ試験データがあるが、ここではその図示を省略する。
【0020】
さて、図1又は図2等のようなクリープ試験データを用いて、実施しようとするエイジフォーミング温度及びエイジフォーミング時間における応力−歪み線図を求める。つまり、図1又は図2のグラフからクリープ時間を一定とした場合(このクリープ時間はエイジフォーミング時間に相当する。)の応力と歪みとの関係をピックアップしてグラフ状にプロットすることにより、図3に示すグラフの線bを得る。図3において、縦軸は応力を示し、横軸は歪みを示している。以下、線bをクリープ条件下応力−歪み線図という。
【0021】
線bは、アルミニウム合金をエイジフォーミング温度環境下においてアルミニウム合金に一定荷重を負荷して試験を行った場合に、応力と歪みとの関係を表したものである。応力は、一定荷重から求められる応力である。歪みは、エイジフォーミング時間経過後(この時点では、前記一定荷重を除去していない)に材料に発生している弾性歪みと永久歪みとの総和である。
【0022】
なお、図1又は図2等のようなクリープ試験データは、公知の文献データから引用したものであるが、実施しようとするエイジフォーミング条件(エイジフォーミング温度或いはエイジフォーミング時間)でのクリープ試験データが、公知の文献データとして存在しない場合もある。この場合、ラーソン・ミラーパラメータを用いて公知のクリープ試験データを変換することにより、実施しようとするエイジフォーミング温度及びエイジフォーミング時間におけるクリープデータを求め、これによりクリープ条件下応力−歪み線図を描く。その手法について、以下に簡単に述べるが、詳細については特開平11−319994号公報を参照されたい。
【0023】
材料の化学反応速度は、絶対温度に比例することが知られており、これはアレニウスの速度論式で整理され、式(1)のように表される。
反応速度γ=α・exp(−E/(Rg・T)) …(1)
ここで、Tは絶対温度、αは頻度係数、Eは活性化エネルギ、Rgはガス定数である。
【0024】
クリープ変形は、一般に材料の化学反応速度の温度依存性をアレニウスの式をモデル化したラーソン・ミラーの式を用いて、その現象が説明できるものとされている。ラーソン・ミラー法とは、一定温度におけるクリープ試験の結果を基に異なる温度における強度特性を求める場合に用いられる方法である。ラーソン・ミラー法は、横軸をラーソン・ミラーパラメータφ、縦軸(縦軸は対数表示)を応力(クリープ強度)とするグラフにデータプロットして、クリープ試験の結果をグラフ状に一本の線としてまとめるというクリープ試験データの整理方法の一つである。
ここで、ラーソン・ミラーパラメータφは、以下の式(2)で表される。
φ=T(20+logt)×10-3 …(2) (tは時間である)
【0025】
例えば、図1を用いて、実施しようとするエイジフォーミング時間における0.5%の歪み(永久歪みと弾性歪みの和)を与えるのに必要な応力を求める。更に、式(2)を用いて、149℃及び実施しようとするフォーミング時間におけるラーソン・ミラーパラメータを求める。この求めたラーソン・ミラーパラメータと応力との関係をグラフにプロットする。同様に、図2及び式(2)を用いて、実施しようとする時間における0.5%の歪みを与えるのに必要な応力、及び、191℃及び実施しようとするエイジフォーミング時間におけるラーソン・パラメータを求めて、応力とラーソン・パラメータとの関係をグラフにプロットする。この二点を結ぶ直線で補間することにより、実施しようとするフォーミング温度における0.5%の歪みを生ずる応力を算出する。同様に、1%、5%の歪みを生ずる応力を算出し、これら歪みと応力との関係をプロットすることにより、クリープ条件下応力−歪み線図が求まる。以上のラーソン・ミラー法を用いれば、既知のクリープ試験データから、実施しようとするエイジフォーミング温度及びエイジフォーミング時間におけるクリープ条件下応力−歪み線図が求まる。
【0026】
〔1−3.常温下における応力−歪み線図〕
図3に示すグラフの線aは、常温下におけるアルミニウム合金の応力と歪みとの関係を示すものである。線aは、アルミニウム合金の応力−歪み線図のうち弾性限度内の部分を示すものであり、いわゆるフックの法則が成り立つ。つまり、線aの傾きは、アルミニウム合金固有の縦弾性係数(ヤング率)である。なお、エイジフォーミングの対象が航空機の翼であることから、大きな曲率半径の曲げを想定している。従って、エイジフォーミング前の治具に拘束することによってアルミニウム合金に生ずる歪みは、弾性限度内の値である。
【0027】
〔1−4.エイジフォーミング等価剛性Eeqの導出手順〕
さて、以上のようにして準備された図3のグラフからエイジフォーミング等価剛性Eeqを導出する手順について説明する。
【0028】
〔工程▲1▼〕
まず、歪みεtotalを求める。つまり、例えば、図3の線bに基づいて、点P1を定めて、実施しようとするエイジフォーミング温度及びエイジフォーミング時間と同一条件で所定荷重(つまり、所定応力)でクリープ試験を行った場合に、アルミニウム合金に生じる永久歪みと弾性歪みとの和である歪みεtotalを求める。
【0029】
〔工程▲2▼〕
次に、線aを用いて、歪みεtotalとなる応力を求める。つまり、線aに基づいて、歪みεtotalと同一の歪みを常温下でアルミニウム合金に発生させるために必要な応力を求める。図3から求められた応力は、応力σtotalとなる(図3の点P2を参照)。
【0030】
〔工程▲3▼〕
次に、クリープ試験後にアルミニウム合金を常温下に置くとともに前記所定荷重を除去した場合に、アルミニウム合金に残留する永久歪みを求める。この永久歪みの算出は、図3の点P1を通り、線aと平行な直線cが、応力がゼロであることを示す線即ちグラフの横軸と交わる点P3を求めることにより行うことができ、これにより永久歪みは、εpであることがわかる。
【0031】
次に、応力が応力σtotal、歪みが永久歪みεpとなる点P4をグラフ上にプロットする。
次に線b上の異なる点P1’を基準として、上述と同じことを繰り返し、これにより得られた点P4に相当する点P4’をグラフにプロットする。同様に同じことを繰り返すことで、点P4、点P4’のような点を複数プロットする。そして、原点O及びこれら各点(例えば、点P4、点P4’)を通る線dを作成する。
【0032】
〔工程▲4▼〕
次に、この線dの傾き(つまり、Δσtotal/Δεp)を求めて、その求めたものがエイジフォーミング等価剛性Eeqとなる。なお、線bが曲線の場合、線dも曲線となる。一方、線bが直線の場合、線dも直線となり、応力σtotalを永久歪みεpで除すことにより、エイジフォーミング等価剛性Eeqが求まる。
【0033】
以上のように、エイジフォーミング等価剛性Eeqは、実施しようとするエイジフォーミング前のアルミニウム合金に生ずる応力(つまり、成形治具に拘束した際にアルミニウム合金に生ずる初期応力)と、エイジフォーミング後のスプリングバック量を考慮したアルミニウム合金に生ずる歪みとの関係を表すものとなる。その関係を式で表すと、以下の式(3)のようになる。
σ0=Eeq・εr …(3)
ここで、σ0は、成形治具に拘束した際にアルミニウム合金に生ずる初期応力であり、εrは、エイジフォーミングしてスプリングバックしたアルミニウム合金に生ずる歪みである。つまり、エイジフォーミング等価剛性Eeqをヤング率とみなした場合のフックの法則を適用して、初期応力σ0と歪みεrとの関係が式(3)で表される。
【0034】
〔1−5.エイジフォーミング等価剛性Eeqを用いた初期曲げ形状Rc0の導出手順〕
次に、初期曲げ形状Rc0を導出する手順について説明する。
まず、曲げと歪みの関係について説明する。
図4のモデルに示すように、単純に平板を曲げた場合の、平板の中立面の曲率半径をRとし、平板の厚さをsとする。微小角θでの中立面の長さをLとしたら、長さLはR・θで表される。微小角θでの最外面の長さL+dLは、(R+s/2)×θと表せる。従って、最外面の伸びdLは、s/2・θで表せる。歪みεは以下の式で表すことができる。
ε=dL/L=(s/2・θ)/(R・θ)=s/(2・R) …(4)
【0035】
さて、厚さSであり、矩形状のアルミニウム合金板をスパン方向及びコード方向両方に曲げられるような成形治具(実施しようとするエイジフォーミングに用いる成形治具)に拘束して、エイジフォーミングを行った後に荷重を除去した場合に(つまり、アルミニウム合金板がスプリングバックした場合に)、その時のアルミニウム合金板のコード方向の曲率半径をRcrとする(以下、Rcrを所望曲げ形状Rcrという)。
【0036】
所望曲げ形状Rcrとなったアルミニウム合金板のコード方向成分の歪みεcrは、式(4)によって以下のように求まる。
εcr=S/(2・Rcr) …(5)
【0037】
式(5)の歪みεcrを式(3)に代入すると、アルミニウム合金板のコード方向の所望曲げ形状Rcrを生ずるための初期応力σc0が求まる(工程▲5▼)。つまり、以下の式(6)のように表される。
σc0=Eeq・εcr=Eeq・S/(2・Rcr) …(6)
【0038】
次いで、常温下における応力−歪み線図(つまり、線a)又は常温下におけるアルミニウム合金のヤング率Ealを用いて、初期応力σc0をアルミニウム合金板に負荷した場合の第一初期歪みεc0を求める(図3の点P5参照)。ヤング率Ealを用いた場合には、第一初期歪みεc0は以下の式(7)で表される。
εc0=σc0/Eal=Eeq・S/(2・Rcr・Eal) …(7)
【0039】
次いで、求めた第一初期歪みεc0を式(4)に代入することによって、常温下で初期応力σc0となるアルミニウム合金板のコード方向の初期曲げ形状Rc0が求まる(工程▲6▼)。ヤング率Ealを用いた場合には、初期曲げ形状Rc0は以下の式(8)で表される。
Rc0=S/(2・εc0)=Rcr・Eal/Eeq …(8)
【0040】
以上のように求めた初期曲げ形状Rc0は、コード方向に曲げた場合のエイジフォーミング前のアルミニウム合金板の曲げ形状であり、つまり、実施しようとするエイジフォーミングに用いる成形治具の形状におけるコード方向の曲率半径である。
なお、コード方向におけるスプリングバック量Bcを予測するにあたっては、次の式(9)を用いれば良い。
Bc=1−εcr/εc0 …(9)
【0041】
〔2.初期曲げ形状Rs0の導出〕
〔2−1.概要〕
スパン方向の初期曲げ形状Rs0の導出にあたっては、矩形状のアルミニウム合金板を試験用成形治具でスパン方向及びコード方向の両方に曲げて、エイジフォーミング試験を行う。そして、エイジフォーミング試験前のスパン方向の第一歪みと、エイジフォーミング試験後にスプリングバックした際のスパン方向の第二歪みとの関係を求める。その関係に基づき、実施しようとするエイジフォーミングに使用する成形治具の形状におけるスパン方向の曲率半径を算出する。
【0042】
〔2−2.エイジフォーミング試験で使用する供試体〕
エイジフォーミング試験で使用する供試体(つまり、試験用成形対象材料)は、アルミニウム合金の矩形状平板を用いる。供試体の形状は、図5に示すように、コード方向の長さが400mmであり、スパン方向の長さが1000mmである。コード方向の長さとスパン方向の長さの比率は、成形しようとする実物の部分に合わせる。つまり、供試体の形状は、実施しようとするエイジフォーミングに用いるアルミニウム合金板の形状と略相似である。また、供試体の厚さは、0.063in.(1.60mm)、0.1in.(2.54mm)、0.16in.(4.06mm)、0.25in.(6.35mm)の四種類である。供試体について四種類の厚さを準備するのは、同一形状の試験用成形治具に押しつけた場合に歪みが厚さによって異なるようにするためである。
【0043】
〔2−3.エイジフォーミング試験で使用する試験用成形治具〕
試験用成形治具は、供試体を太鼓型に拘束できるようなものと、供試体を鞍型に拘束できるようなものとの二分類に分けている。太鼓型とは、供試体をスパン方向及びコード方向に曲げた場合に、コード方向の曲げの中心とスパン方向の曲げの中心が供試体に対して同じ面側にあることをいう。鞍型とは、供試体をスパン方向及びコード方向に曲げた場合に、コード方向の曲げの中心は供試体の一方の面側にあり、スパン方向の曲げの中心は供試体の他方の面側にあることをいう。太鼓型の試験用成形治具を準備するのは、航空機主翼の外板が太鼓型の曲面をもつものが多いことによる。鞍型の試験用成形治具を準備するのは、航空機主翼の外板を部分的にみた場合、鞍型の曲面をもつものもあることによる。
【0044】
更に、太鼓型の試験用成形治具及び鞍型の試験用成形治具のそれぞれについて、スパン方向の曲げの曲率半径Rsとコード方向の曲げの曲率半径Rcとの比率Rs/Rcが2,4,6となるものを準備する。どの種類の試験用成形治具も、スパン方向の曲げの曲率半径Rsが8000mmである。コード方向の曲げの曲率半径Rcは4000mm、2000mm、1333mmの三種類である。つまり、表1に示すように、六種類の試験用成形治具を準備する。それぞれの試験用成形治具で、各厚さで少なくとも三つの供試体のエイジフォーミング試験を行う。
【0045】
【表1】
【0046】
〔2−4.エイジフォーミング試験で使用する試験機〕
エイジフォーミング試験は、図6に示すように、実施しようとするエイジフォーミングを行えるオートクレーブ30で行う。オートクレーブ30は円筒状の容器31を有し、容器31内に試験用成形治具32が配設されている。容器31内は、加熱されるようになっている。このオートクレーブ30では、基準面(つまり、太鼓型曲面或いは鞍型曲面)を有する試験用成形治具32に載置された供試体33を下方から真空引きするようになっている。また、試験用成形治具32の基準面と供試体33との間で摩擦力が作用するようになっている。
【0047】
〔2−5.エイジフォーミング試験の試験条件〕
エイジフォーミング試験の条件は、実施しようとするエイジフォーミングの条件と同じである。つまり、実施しようとするエイジフォーミング温度及びエイジフォーミング時間の下、エイジフォーミング試験を行う。
【0048】
〔2−6.エイジフォーミング試験の手順〕
まず、試験用成形治具32の基準面上に供試体33を載置する(図6(a))。次いで、容器31内をエイジフォーミング温度まで加熱するとともに、供試体33を下方から真空引きして供試体33を試験用成形治具32の基準面に拘束する(図6(b))。真空引きも、実施しようとするエイジフォーミングと同じ条件で行う。このような状態をエイジフォーミング時間経過するまで維持して、供試体33をエイジフォーミング時間分だけエイジフォーミング温度下で曝露する。そして、エイジフォーミング時間に達したら、容器31内を常温まで下げるとともに、真空引きを解除して供試体33の拘束を解く。更に、供試体33が常温に下がるまで、供試体33を自然冷却する。供試体33を自然冷却して、供試体33の拘束を解くと、供試体33にスプリングバック現象が生じる(図6(c))。次いで、供試体33を取り出して、三次元計測器にて供試体33の形状(つまり、スパン方向の曲率半径)を測定する。各厚さの供試体について、このようなエイジフォーミング試験を各種の試験用成形治具で行うが、同じ厚さの供試体の試験は少なくとも三回以上実施する。
【0049】
〔2−7.エイジフォーミング試験のデータ整理〕
次に、試験データの整理を行う。試験データの整理は、試験用成形治具の種類毎に分けて行う。まず、供試体についてエイジフォーミング前に試験用成形治具に拘束した際の最大歪みとしての第一歪み(以下、成形前歪みという。)を、式(4)を用いて求める。つまり、供試体の厚さ及び試験用成形治具のスパン方向の曲率半径Rsを式(4)に代入することで、成形前歪みを求める。次いで、その供試体をエイジフォーミング後に拘束を解除した際の第二歪み(以下、成形後歪みという。)を、式(4)を用いて求める。つまり、その供試体の厚さ及びエイジフォーミング試験後に計測したスパン方向の曲率半径を式(4)に代入することで、成形後歪みを求める。
【0050】
そして、求めた成形前歪みと成形後歪みとの関係を、横軸を成形前歪みとして、縦軸を成形後歪みとしたグラフにプロットする。このグラフは、横軸及び縦軸ともに対数で表されるものである(つまり、両対数グラフである)。同じ種類の試験用成形治具でエイジフォーミング試験が実施された他の供試体についても、同様にして、成形前歪み及び成形後歪みを求めて同じグラフにプロットする。同じ種類の試験用成形治具で行った試験全てについてプロットが終わったら、グラフ上での各プロット点から近似直線を求める。他の種類の試験用成形治具についても同様にして、近似直線を求める。
【0051】
以上のようにして、求めた各近似直線を図7に示す。図7に示すように、線eは、比率Rs/Rcが6である太鼓型の試験用成形治具の試験結果を表す近似直線である。線fは、比率Rs/Rcが2である太鼓型の試験用成形治具の試験結果を表す近似直線である。線gは、比率Rs/Rcが6である鞍型の試験用成形治具の試験結果を表す近似直線である。線hは、比率Rs/Rcが2である鞍型の試験用成形治具の試験結果を表す近似直線である。図7に示すように、各近似直線e〜dはほぼ平行となっている。
【0052】
線iは、供試体をスパン方向にのみ曲げられる成形治具(曲率半径Rsは8000mmである。)の試験結果を表す近似曲線である。また、比率Rs/Rcが4である太鼓型の試験用成形治具及び比率Rs/Rcが4である鞍型の試験用成形治具の試験結果については、図示を省略する。比率Rs/Rcが4である太鼓型の試験用成形治具の近似直線は、線e及び線fとほぼ平行であって、線eと線fとの間にある。比率Rs/Rcが4である鞍型の試験用成形治具の近似直線は、線g及び線hとほぼ平行であって、線gと線hとの間にある。なお、比率Rs/Rcが6より大きい試験用成形治具(なお、航空機の主翼の場合比率Rs/Rcは20〜30である。)で同様にエイジフォーミング試験を行った場合も、鞍型の試験用成形治具にあっては線gとほぼ一致し、太鼓型の試験用成形用治具にあっては線eにほぼ一致する。比率Rs/Rcが6までの試験用成形治具でエイジフォーミング試験を行えば十分である。
【0053】
図7に示すグラフにより、エイジフォーミング試験における成形前歪みεsbと成形後歪みεsaとの相関関係(以下、成形前後の歪み相関関係という。)には、以下の式(10)が成り立つことがわかる。
εsa=A・εsbΔ …(10)
ここで、A、Δは、成形形状(つまり、太鼓型か、鞍型か)及び比率Rs/Rcの比によって定まる定数である。比率Rs/Rcが2である太鼓型の試験用成形治具の場合、Aが0.0202であり、Δが0.6401である。比率Rs/Rcが4である太鼓型の試験用成形治具の場合、Aが0.0462であり、Δが0.7121である。比率Rs/Rcが6である太鼓型の試験用成形治具の場合、Aが0.0564であり、Δが0.7143である。比率Rs/Rcが2である鞍型の試験用成形治具の場合、Aが0.0301であり、Δが0.6709である。比率Rs/Rcが4である鞍型の試験用成形治具の場合、Aが0.0589であり、Δが0.7264である。比率Rs/Rcが6である鞍型の試験用成形治具の場合、Aが0.0532であり、Δが0.6968である。
【0054】
〔2−8.成形前後歪み相関関係を用いた初期曲げ形状Rs0の導出手順〕
図7のグラフ及び式(10)は、成形前歪みεsbと成形後歪みεsaとの相関関係を表すものである。従って、図7のグラフ又は式(10)を用いて、実施しようとするエイジフォーミングに用いる成形治具の形状におけるスパン方向の曲率半径を求めることができる。以下、導出手順について説明する。
【0055】
厚さS(先ほど、初期曲げ形状Rc0を求める際の厚さと同じである。)であり、矩形状のアルミニウム合金板をスパン方向及びコード方向両方に曲げられるような成形治具(実施しようとするエイジフォーミングに用いる成形治具)に拘束して、エイジフォーミングを行った後に荷重を除去した場合に(つまり、アルミニウム合金板がスプリングバックした場合に)、その時のアルミニウム合金板のスパン方向の曲率半径をRsrとする(以下、Rsrを所望曲げ形状Rsrという)。
【0056】
単純な所望曲げ形状Rsrとなったアルミニウム合金板のスパン方向の残留最大歪みεsrは、式(4)によって以下のように求まる。
εsr=S/(2・Rsr) …(11)
【0057】
次に、式(10)又は図7のグラフを用いて、式(11)の歪みεcrから、実施しようとするエイジフォーミングに用いる成形治具にアルミニウム合金板を拘束した場合に、そのアルミニウム合金板に生ずる第二初期歪みεs0を求める。この場合、アルミニウム合金板を太鼓型に成形する場合には、原則として、図7の各近似直線のうち線eを用いる(式(10)を用いる場合は、線eに相当するA、Δを用いる)。一方、アルミニウム合金板を鞍型に成形する場合には、原則として、図7の各近似曲線のうち線gを用いる(式(10)を用いる場合は、線gに相当するA、Δを用いる)。本実施の形態では、航空機の主翼の外板を想定して成形治具の形状を予測し、航空機の主翼の場合比率Rs/Rcは20〜30であるためである。つまり、上述したように、比率Rs/Rcが20〜30である鞍型の試験用成形治具にあっては線gとほぼ一致し、比率Rs/Rcが20〜30である太鼓型の試験用成形用治具にあっては線eにほぼ一致するためである。もちろん、実施しようとするエイジフォーミングに用いる成形治具が比率Rs/Rcが6より小さい場合、Rs/Rcが2,4である近似直線を用いても良い。また、比較的小さい成形装置を利用するため成形治具を小型化する場合、比率Rs/Rcが小さいときのデータにより初期歪みをを求めることができる。
【0058】
式(10)を用いる場合、式(11)のεsrを式(10)のεsaに代入すると、成形前のアルミニウム合金板に生ずる初期歪みεs0が以下の式(12)のように求まる。
εs0=(εsr/A)-Δ=(S/(2・Rsr・A))-Δ …(12)
【0059】
一方、図7のグラフを用いる場合、成形前歪みεsbが歪みεsrとなる点を各近似直線から求め(例えば、点P6)、その点の成形後歪みεsaが第二初期歪みεs0となる。
【0060】
次いで、求めた初期歪みεs0を式(4)に代入することによって、常温下で第二初期歪みεs0となるアルミニウム合金板のスパン方向の初期曲げ形状Rs0が求まる。式(10)を用いた場合には、初期曲げ形状Rc0は以下の式(13)で表される。
Rs0=S/(2・εs0)=S/(2・(S/(2・Rsr・A))-Δ) …(13)
【0061】
以上のように求めた初期曲げ形状Rs0は、スパン方向にも曲げた場合のエイジフォーミング前のアルミニウム合金板の曲げ形状であり、つまり、実施しようとするエイジフォーミングに用いる成形治具の形状におけるスパン方向の曲率半径である。
なお、スパン方向におけるスプリングバック量Bsを予測するにあたっては、次の式(13)を用いれば良い。
Bs=1−εsr/εs0 …(13)
【0062】
〔3.まとめ〕
以上のように、本実施の形態では、コード方向の初期曲げ形状Rc0とスパン方向の初期曲げ形状Rs0とを別個に求めている。そして、別個に求めた結果を、実施しようとするエイジフォーミングに用いる成形治具の形状としている。つまり、初期曲げ形状Rc0は、アルミニウム合金板を直交する二方向に曲げる成形治具の最小曲げ方向の曲率半径であり、初期曲げ形状Rs0は、最小曲げ方向と直交する方向の成形治具の曲率半径である。以上のように、コード方向(最小曲げ方向)とスパン方向(最小曲げ方向と直交する方向)とを別個にして、成形治具の形状を求めているため、求めた成形治具形状は精度が良い。また、コード方向の歪み及びスパン方向の歪みを方向毎の単純曲げ歪みとして、初期曲げ形状Rs0及び初期曲げ形状Rc0を求めているため、成形治具形状を予測する作業が簡単である。
【0063】
また、エイジフォーミング試験の試験データは、成形治具の種々の形状を予測するために供される。原則としては、線eは、太鼓型の成形治具の種々の形状を予測するために供され、線gは、鞍型の成形治具の種々の形状を予測するために供される。つまり、エイジフォーミング試験で得られた式(10)は、成形治具を変更したり、その他の種々の形状を予測するために用いることができる。従って、エイジフォーミング用の成形治具の種々の形状を設計するに際して、設計期間の短縮及び設計コストの削減が図られる。
【0064】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。例えば、上記実施形態では、成形対象材料としてアルミニウム合金に適用しているが、他の金属材料でも良い。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、最小曲げ方向とこれに直交する直交方向との二方向に成形対象材料を曲げる成形治具の形状を、最小曲げ方向の形状にあってはクリープ条件下の応力歪み線図から予測して求め、直交方向の形状にあっては試験用成形対象材料のエイジフォーミング試験結果から予測して求めている。従って、求めようとする成形治具形状を精度良く予測することができる。更に、成形治具の形状を求めるに際し、成形対象材料の曲げ歪みを方向毎の単純曲げ歪みとして処理しているから、成形治具形状の形状を予測する作業が比較的容易である。
また、エイジフォーミングの試験の結果は、成形治具の種々の形状を予測するために用いられる。従って、エイジフォーミング用の成形治具の種々の形状を設計するに際して、設計期間の短縮及び設計コストの削減が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】MIL−HDBK−5Dに記載された149℃におけるクリープ試験のデータを示すグラフである。
【図2】MIL−HDBK−5Dに記載された191℃におけるクリープ試験のデータを示すグラフである。
【図3】常温下における応力歪み線図及びクリープ条件応力歪み線図が示されたグラフであって、エイジフォーミング等価剛性を求める方法を説明するためのグラフである。
【図4】曲率半径と歪みとの関係を説明するための図面である。
【図5】供試体の平面図である。
【図6】エイジフォーミングに使用するオートクレーブを示す図面である。
【図7】試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
32 試験用成形治具
33 供試体(試験用成形対象材料)
b クリープ条件下の応力−歪み線図
Claims (2)
- 既知のクリープ条件下の応力歪み線図に基づいて、エイジフォーミング前に成形対象材料を拘束した際に生じる応力と、エイジフォーミング後に成形対象材料に生じている歪みとの関係を表すエイジフォーミング等価剛性を求める工程と、
成形対象材料の最小曲げ方向の単純曲げとして、実施しようとするエイジフォーミング後における成形対象材料の最小曲げ方向の所望曲げ形状に相当する歪みから初期応力を前記エイジフォーミング等価剛性に基づいて求め、その求めた初期応力から第一初期歪みを成形対象材料のヤング率に基づき求める工程と、
矩形状の複数の試験用成形対象材料を最小曲げ方向及び該最小曲げ方向に直交する直交方向に曲げる試験用成形治具で、各試験用成形対象材料を曲げて拘束する工程と、
前記直交方向の曲げを直交方向の単純曲げとしてその最大歪みを第一歪みとして求める工程と、
各試験用成形対象材料を前記試験用成形治具でエイジフォーミングして、常温下にするとともに荷重を除去した後に、各試験用成形対象材料の前記直交方向の残留最大歪みを第二歪みとして求める工程と、
各試験用成形対象材料の第一歪み及び第二歪みに基づき、エイジフォーミング前の試験用成形対象材料の前記直交方向の歪みとエイジフォーミング後の試験用成形対象材料の直交方向の歪みとの相関関係を求め、前記相関関係に基づいて、前記直交方向に与える第二初期歪みをエイジフォーミング後の所望の残留最大歪みから求める工程と、
前記最小曲げ方向の前記第一初期歪みから、実施しようとするエイジフォーミングに用いる成形治具の最小曲げ方向の曲げ形状を求め、前記直交方向の前記第二初期歪みから、実施しようとするエイジフォーミングに用いる成形治具の直交方向の曲げ形状を求める工程と、
を含むことを特徴とする成形治具形状の導出方法。 - 請求項1記載の導出方法において、
前記試験用成形対象材料は前記成形対象材料と略相似であり、
前記相関関係は、最小曲げ半径とこの方向に直交する直交方向の曲げ半径との比をパラメータとして求めることを特徴とする成形治具形状の導出方法。
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