JP4146143B2 - 弾性クローラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、コンバインやトラクタ等の農機、バックホー等の建機などの走行部に採用されるクローラ式走行装置(無限軌道走行装置)に使用される弾性クローラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
クローラ式走行装置は、例えば、駆動輪と、アイドラ(従動輪)と、複数の転輪とにわたって無端帯状のクローラベルト(履帯)を巻き掛けることによって主構成されたクローラユニットを備えており、駆動輪を回転駆動させることにより、クローラベルトを周方向に循環回走させ、これにより走行するように構成されている。
前記クローラベルトとして、本体部分がゴム様弾性体によって形成された弾性クローラがあり、この弾性クローラとして芯金レスの弾性クローラがある。
【0003】
この芯金レスの弾性クローラにあっては、本体部分を構成する無端帯状のクローラ本体内に、周方向に配設されたスチールコード等からなるメインコードが埋設されていると共に、このメインコードの他に、横剛性を高めるために、例えば、クローラ本体内のメインコードのクローラ外周側に、クローラ周方向に対して傾斜したコードを並設してなるバイアスコードと、このバイアスコードのクローラ外周側に配置されていて、該バイアスコードの傾斜方向と逆向きの傾斜方向のコードを並設してなる他のバイアスコードとが埋設されているものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記弾性クローラにあっては、駆動輪やアイドラに巻き掛けられた際において、メインコードのクローラ外周側に配置されたバイアスコードのうち、クローラ内周側のバイアスコードに対してクローラ外周側のバイアスコードの方が引張り力が高く、これによって捩れが発生し、直進性を悪くするという問題がある。
なお、この問題を解決するために、同一平面内にて互いに逆向きのコード角度を有する複数のコードを組み合わせて構成した1層のバイアスコードを、メインコードに積層したものがあるが、このものにあっては、悪路での走行時において、路面の凹凸により、逆向きのコード角度を有して隣接するコードの境界面でクラックが発生するという問題がある。
【0005】
また、前記バイアスコードであって、逆向きのコード角度を有して隣接するコードの突き合わせ部分において、一方のコードの縁部を他方のコードの縁部にオーバーラップさせたものにあっては、このラップさせた部分のみ剛性が高くなって、このラップ部に、屈曲時における張力が集中して発熱し、バイアスコードが剥離するという問題が生じる。
本発明は、前記問題点に鑑みて、クローラ本体内に、メインコードの他に、クローラ周方向に対して傾斜方向の異なる複数層のバイアスコードを埋設した弾性クローラにおいて、巻き掛け部における捩りを低減して、直進性を向上させるよう考慮することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明が技術的課題を解決するために講じた技術的手段は、ゴム様弾性体によって無端帯状に形成されたクローラ本体を備え、このクローラ本体内に、クローラ周方向に沿って配設された抗張力コードをクローラ幅方向に並設してなるメインコードを埋設し、該クローラ本体内の厚さ方向略中心からクローラ外周側で且つメインコードのクローラ外周側に、クローラ周方向に対して傾斜したコードを並設してなるバイアスコードを埋設すると共に、クローラ本体内の厚さ方向略中心からクローラ内周側で且つメインコードのクローラ内周側に、前記バイアスコードのクローラ周方向に対する傾斜方向と逆向きのクローラ周方向に対する傾斜方向のコードを並設してなる他のバイアスコードを埋設し、クローラ内周側のバイアスコードに作用する圧縮力と、クローラ外周側のバイアスコードに作用する引張り力とのうち、力の大きい方のバイアスコードの曲がり剛性を他方のバイアスコードよりも小さくするようにしたことを特徴とする。
【0007】
また、クローラ外周側のバイアスコードとクローラ内周側のバイアスコードの、クローラ周方向に対する傾斜角度を変えることにより、曲がり剛性を異ならせることができる。
また、クローラ内周側のバイアスコードとクローラ外周側のバイアスコードの、コードのエンズを変えることにより、曲がり剛性を異ならせるようにすることができる。
また、クローラ内周側のバイアスコードとクローラ外周側のバイアスコードの、コード径を変えるにより、曲がり剛性を異ならせるようにすることができる。
【0008】
また、クローラ内周側のバイアスコードとクローラ外周側のバイアスコードの、コードの材質を変えるにより、曲がり剛性を異ならせるようにすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1はクローラ式走行装置に採用される弾性クローラ1の幅方向Bの断面を示す図であり、図2は、弾性クローラの要部の底面断面図である。
クローラ式走行装置は、駆動輪と、アイドラと、複数の転輪とを備えており、前記弾性クローラ1は、これら駆動輪と、アイドラと、転輪とに亘って巻き掛けられ、駆動輪を回転させることにより、弾性クローラ1が周方向に循環回走される。
【0010】
前記弾性クローラ1は、例えば、高速用4クローラ車(4輪駆動車輌の前後タイヤの替わりにオムスビ形のクローラ式走行装置(クローラユニット)を4輪独立に取り付けた車輌)等に採用される芯金レス(芯金無し)の弾性クローラ1であり、ゴム様弾性体によって無端帯状に形成されたクローラ本体2を有する。
このクローラ本体2の外周側Dにはラグ3が一体的に設けられ、内周側Cのクローラ幅方向B(左右方向)中央部には、駆動突部4が一体的に設けられ、これらラグ3及び駆動突部4は、クローラ周方向Aにわたって適宜間隔をおいて配設されている。
【0011】
前記駆動突部4に駆動輪5の係合部5aが係合することで、駆動輪5から駆動力が伝達されるようになっていると共に、駆動突部4は、駆動輪5、アイドラ、転輪に係合して脱輪(弾性クローラ1の外れ)を防止する機能を有する。
また、クローラ本体2内には、メインコード7と、複数層のバイアスコード8,9とが埋設されている。
メインコード7は、クローラ周方向Aに沿って配設され、且つクローラ幅方向Bに並設されたスチールコード等の抗張力コード7aから構成されている。
【0012】
バイアスコード8,9は、クローラ周方向Aに対して傾斜したコード8a,9aを並設(平行に配設)して構成されている。
また、クローラ内周側Cに位置するバイアスコード8(これを内周側のバイアスコードという)のコード8aの傾斜方向に対して、クローラ外周側Dに位置するバイアスコード9のコード9aの傾斜方向が、逆向きの傾斜方向とされていて、クローラ厚さ方向Eからみて、内周側のバイアスコード8のコード8aと、外周側のバイアスコード9のコード9aとが交差するように設けられている(内周側のバイアスコード8のクローラ周方向Aに対する(赤道に対する)傾斜角度(コード角α1)が正の角度とすると、外周側のバイアスコード9のクローラ周方向Aに対する(赤道に対する)傾斜角度(コード角α2)は負の角度(逆向きのコード角度)とされている)。
【0013】
したがって、弾性クローラ1が駆動輪5等に巻き掛けられた部分において、内周側のバイアスコード8で発生する捩りを、外周側のバイアスコード9で抑制(打ち消す)するようにしている。
また、内周側のバイアスコード8と外周側のバイアスコード9とは、クローラ本体2のクローラ厚さ方向Eの中心Fよりもクローラ外周側Dに配置されている。
ところで、弾性クローラ1が駆動輪5等に巻き掛けられた部分においては、クローラ本体2のクローラ厚さ方向Eの中心Fよりもクローラ外周側Dでは引張り力が作用し、クローラ本体2のクローラ厚さ方向Eの中心Fよりもクローラ内周側Cでは圧縮力が作用する。
【0014】
したがって、図例のものでは、弾性クローラ1が駆動輪5等に巻き掛けられた部分においては、内周側のバイアスコード8に対して外周側のバイアスコード9の引張り力が高く、この内周側バイアスコード8と外周側バイアスコード9との引張り力の差に起因する捩りが発生することとなるが、この形態の弾性クローラ1では、内周側のバイアスコード8のコード角α1に対して、外周側のバイアスコード9のコード角α2を大きくすることにより、外周側のバイアスコード9の曲がり剛性を内周側のバイアスコード8よりも小さくなるように構成されている。
【0015】
これにより、内周側バイアスコード8と外周側バイアスコード9との引張り力の差に起因する捩りを低減でき、直進性を向上させることができる。
また、外周側のバイアスコード9の曲がり剛性を内周側のバイアスコード8よりも小さくすることにより、巻き掛け部分における屈曲剛性が低下し、弾性クローラの屈曲抵抗を低減させることができる。
なお、前記構成の弾性クローラ1において、内周側のバイアスコード8は、クローラ本体2の厚さ方向E中心Fに位置していてもよく、また、メインコード7がクローラ本体2の厚さ方向E中心Fに位置していてもよい。
【0016】
また、バイアスコード8,9は、メインコード7よりもクローラ内周側Cに配置されていてもよく、また、バイアスコード8がメインコード7のクローラ内周側に配置されると共に、バイアスコード9がメインコード7のクローラ外周側に配置されていてもよい。
また、前記形態の弾性クローラ1では、バイアスコード8,9が、クローラ本体2の厚さ方向E中心Fよりも外周側に設けられた場合を例に説明したが、バイアスコード8,9が、クローラ本体2の厚さ方向E中心Fよりも内周側に設けられる場合にあっては、弾性クローラ1が駆動輪5等に巻き掛けられた部分において、外周側のバイアスコード9に対して内周側のバイアスコード8の圧縮力が高くなるので、この場合にあっては、内周側のバイアスコード8の曲がり剛性を外周側のバイアスコード9よりも小さくなるように構成する。
【0017】
また、バイアスコード8がクローラ本体2の厚さ方向E中心Fよりも内周側に設けられ且つバイアスコード9がクローラ本体2の厚さ方向E中心Fよりも外周側に設けられる場合は、内周側のバイアスコード8に作用する圧縮力と、外周側のバイアスコード9に作用する引張り力とを比較し、力の大きい方のバイアスコードの曲がり剛性を他のバイアスコードよりも小さくなるように構成する。
図3〜図5は、内周側のバイアスコード8と外周側のバイアスコード9の曲げ剛性を異ならせるための他の手段を示しており、メインコード7とバイアスコード8,9の配置構成は前記形態の弾性クローラ1と同様である。
【0018】
図3は、バイアスコード8,9のコード径を異ならせることにより、曲がり剛性に差を付けるようにしたものであって、外周側のバイアスコード9のコード径を内周側のバイアスコード8のコード径よりも細くすることで、剛性に差を付けている。
図4は、バイアスコード8,9のコード8a,9aの材質を変えるにより、曲がり剛性に差を付けるようにしたものであって、例えば、内周側のバイアスコード8のコード8aをスチールコードによって構成し、外周側のバイアスコード9のコード9aをナイロン6又はナイロン66によって構成することにより、剛性に差を付けている。
【0019】
図5は、内周側のバイアスコード8と外周側のバイアスコード9の、コード8a,9aのエンズ(打ち込み本数)を変えるにより、曲がり剛性を異ならせるようにしたものであって、内周側のバイアスコード8のエンズを外周側のバイアスコード9のエンズよりも多くすることにより、剛性に差を付けている。
なお、図2〜図5に示す、バイアスコードの曲がり剛性に差を付けるための手段を、適宜組み合わせることにより、内外周のバイアスコード8,9に剛性差を持たせ、捩りの低減と、屈曲剛性の低減とを図るようにしてもよい。
【0020】
図6及び図7は、他の形態に係るクローラ式走行装置に関するものであり、図6は、クローラ式走行装置を構成するクローラユニットUを示しており、前後一対のアイドラ間の上部に駆動輪5が配置されると共に、アイドラ10間の下部に複数の転輪11が配置されている。
このクローラユニットUは、例えば、4輪車輌の左右の前後輪又は左右の後輪若しくは左右の前輪の代わりに使用され、本実施の形態に係るクローラ式走行装置は、このクローラユニットUを少なくとも左右一対備える。
【0021】
この形態のものにあっては、左右のクローラユニットUに採用される弾性クローラ1は基本的には、前述した形態のものと同様に構成され、クローラ本体2内にメインコード7と、2層のバイアスコード8,9を備えた構成とされているが、異なる点は、左右のクローラユニットUで弾性クローラ1の捩り特性が逆向きに形成されている点であり、左右で逆向きの捩り特性の弾性クローラ1を設けることで、左右の弾性クローラ1で発生する捩りが互いに打ち消されて、クローラ式走行装置の直進性を向上させることができるのである。
【0022】
なお、図6及び図7における形態のものにあっては、バイアスコードは少なくとも一層あればよい。また、クローラユニットUとしては、他の形式のもの(例えば、前後方向に離間した駆動輪とアイドラとの間に複数の転輪を備えたもの)であってもよく、クローラユニットUを、少なくとも左右一対備えていればよい。
図8は、外周側のバイアスコード9を内周側のバイアスコード8に近づけて、メインコード7と内周側のバイアスコード8との間隔a>バイアスコード8,9間の間隔b、としたものであり、外周側のバイアスコード9を内周側のバイアスコード8に近づけることにより、外周側のバイアスコード9に作用する引っ張り力低くして、捩りの低減を図ったものである。
【0023】
なお、バイアスコードによって発生する捩りを打ち消すようなトレッドパターン(ラグパターン)にすることで、捩りを低減させることも可能である。
【0024】
【発明の効果】
弾性クローラの巻き掛け部分における屈曲によって発生する捩りを低減でき、直進性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 弾性クローラの幅方向の断面図である。
【図2】 弾性クローラの要部の底面断面図である。
【図3】 弾性クローラの要部の底面断面図である。
【図4】 弾性クローラの要部の底面断面図である。
【図5】 弾性クローラの要部の底面断面図である。
【図6】 クローラユニットの側面図である。
【図7】 左右のクローラユニットの弾性クローラの要部の底面断面図である。
【図8】 弾性クローラの要部の幅方向の断面図である。
【符号の説明】
1 弾性クローラ
2 クローラ本体
5 駆動輪
8 バイアスコード
8a コード
9 バイアスコード
9a コード
10 アイドラ
A クローラ周方向
D クローラ外周側
E クローラ厚さ方向
F クローラ厚さ方向中心
U クローラユニット
α1 傾斜角度(コード角)
α2 傾斜角度(コード角)
Claims (5)
- ゴム様弾性体によって無端帯状に形成されたクローラ本体(2)を備え、このクローラ本体(2)内に、クローラ周方向(A)に沿って配設された抗張力コード(7a)をクローラ幅方向(B)に並設してなるメインコード(7)を埋設し、該クローラ本体(2)内の厚さ方向(E)略中心からクローラ外周側(D)で且つメインコード(7)のクローラ外周側(D)に、クローラ周方向(A)に対して傾斜したコード(9a)を並設してなるバイアスコード(9)を埋設すると共に、クローラ本体(2)内の厚さ方向(E)略中心からクローラ内周側(C)で且つメインコード(7)のクローラ内周側(C)に、前記バイアスコード(9)のクローラ周方向(A)に対する傾斜方向と逆向きのクローラ周方向(A)に対する傾斜方向のコード(8a)を並設してなる他のバイアスコード(8)を埋設し、クローラ内周側(C)のバイアスコード(8)に作用する圧縮力と、クローラ外周側(D)のバイアスコード(9)に作用する引張り力とのうち、力の大きい方のバイアスコード(8,9)の曲がり剛性を他方のバイアスコード(8,9)よりも小さくするようにしたことを特徴とする弾性クローラ。
- クローラ外周側(D)のバイアスコード(9)とクローラ内周側(C)のバイアスコード(8)の、クローラ周方向(A)に対する傾斜角度を変えることにより、曲がり剛性を異ならせるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の弾性クローラ。
- クローラ内周側(C)のバイアスコード(8)とクローラ外周側(D)のバイアスコード(D)の、コード(8a,9a)のエンズを変えることにより、曲がり剛性を異ならせるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の弾性クローラ。
- クローラ内周側(C)のバイアスコード(8)とクローラ外周側(D)のバイアスコード(9)の、コード径を変えるにより、曲がり剛性を異ならせるようにしたことを特徴とする請求項1,2又は3に記載の弾性クローラ。
- クローラ内周側(C)のバイアスコード(8)とクローラ外周側(D)のバイアスコード(9)の、コード(8a,9a)の材質を変えるにより、曲がり剛性を異ならせるようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の弾性クローラ。
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