JP4155152B2 - 交流回転電機装置 - Google Patents

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Description

本発明は、交流回転電機装置に関し、とりわけ磁気騒音が小さい静粛な交流回転電機装置に関する。
近年、電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車などが実用レベル又は開発レベルとなっている。これらの自動車では大出力の交流回転電機が走行動力発生用の主要要素となっているが、このような大出力交流回転電機ではその磁気騒音が大きいという問題があった。また、種々の用途において、静粛な交流モータが要望されており、交流回転電機の磁気騒音低減に関する種々の技術が提案されている。たとえば、特許文献1は、電動機の誘起電圧に含まれる高調波成分を打ち消す電圧成分をインバータの出力電圧に重畳することによりトルク脈動やそれによる騒音を低減することを提案している。
その他、たとえば、特許文献2は、通電電流の基本周波数成分に対してその高調波成分を積極的に重畳してトルク脈動の低減を図るとことを提案している。
特許第2928594号公報 特開平11−55986号公報
しかしながら、上記した従来の高調波重畳式磁気騒音低減技術にもかかわらず、交流回転電機の低騒音化は満足できる水準に達していると言えるものではなかった。この理由について以下に説明する。
騒音は振動体(ここでは交流回転電機の鉄心)の機械的振動により発生するため、減衰すべき周波数の振動エネルギーと同一周波数、逆位相、等しい振幅をもつ振動エネルギーを加えれば、振動体のこの周波数における振動をキャンセルできることは明白である。また、電機子電流の基本周波数成分に対してなんらかの高調波成分を加えることにより磁気騒音を低減できる知見自体は上記したように以前より種々主張されている。
しかしながら、これら先行技術文献は、交流回転電機の所定周波数の磁気騒音(音響エネルギー)を低減するために、その電機子コイルにどのような周波数、位相、振幅を重畳すればよいか、すなわち低減すべき音響(振動エネルギー)と通電電流との数量的関係について具体的に記載しておらず、ある特定周波数の磁気騒音を低減するためのどのような電流を流すべきかが不明であった。更に、この磁気騒音とそれを抑制するための電流との間の関係は交流回転電機の構造やその使用状態により種々変動するはずであり、その結果、上記高調波重畳式磁気騒音低減技術は理念としては知られていてもいまだ実用されたものはなかった。
この点に鑑み、本出願人は、特願2002−303650号により、磁気騒音とその抑制高調波との関係を明確化することに成功し、これにより磁気騒音を従来より格段に抑圧可能な交流回転電機を実現することに成功した。
しかしながら、この磁気騒音低減技術では、必要トルクを発生するための相電流の基本周波数成分に対して、所定次数、所定位相、所定振幅の高調波成分を重畳する必要があるため、複雑な演算機能をもつフィードバック回路系をもうける必要があり、制御回路構成の複雑化を招いた。また、この制御回路構成の複雑化は進入ノイズなどによる信頼性の低下による演算誤差や演算の失敗を招いて相電流の基本周波数成分自体が本来の波形からずれてしまって必要トルクが得られないという可能性を生じた。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、制御系の複雑化や信頼性低下を抑止しつつ静粛な交流回転電機を提供することをその目的としている。
請求項1記載の交流回転電機装置は、m(mは3以上の正の整数)相の相巻線を有する電機子巻線を有する交流回転電機と、前記各相巻線に所定の基本周波数及び振幅を有する各相電流を個別に通電するモータ電流制御手段とを備えるモータ制御装置において、
前記各相巻線が、相電流通電可能に接続された複数の前記相巻線からそれぞれ構成される第1相巻線群および第2相巻線群に区分され、前記モータ電流制御手段が、前記相電流の基本周波数成分を主とする各相の基本相電流を形成して前記第1相巻線群に相ごとに通電する第1インバータと、前記相電流に起因する磁気騒音低減用の高調波電流を形成して前記第2相巻線群に相ごとに通電する第2インバータとを有することを特徴としている。
すなわち、この発明では、トルク発生用の相電流の基本周波数成分と、磁気騒音低減用の高調波電流とを互いに別の相巻線群に通電する電機子コイル構成を採用しているために、上記基本周波数成分と上記高調波成分とを別々のインバータで制御することができる。したがって、各インバータは単一周波数ないし少ない周波数の電流を制御すればよく、各インバータの制御系を簡素化するとともに、動作信頼性も向上することができる。
請求項2記載の構成は請求項1記載の交流回転電機装置において更に、前記第2インバータが、前記交流回転電機の回転軸の軸心を中心として放射状に発生する振動である径方向振動のうちの前記基本周波数成分のn次(倍)の高調波成分を減衰させる位相および振幅にて、前記相電流の基本周波数成分のn+1次(倍)の高調波成分を主とする各相の径方向振動低減用高調波電流を前記第2相巻線群に相ごとに通電することを特徴としている。これにより、種々の大きさ、任意の出力状態の交流回転電機の磁気騒音を良好に低減することが初めて可能となった。
以下、更に詳しく説明する。
磁気騒音は、交流回転電機の鉄心の磁気力(磁気加振力)により形成される振動(磁気振動ともいう)に起因し、この磁気振動は周方向振動と径方向振動の合成振動となる。
鉄心の周方向振動はトルクリップルを生じさせるが、ステータ鉄心又はロータ鉄心はほぼ円筒形状又は円柱形状を有しているため、これら鉄心が周方向に周期的に振動したとしても、この振動による鉄心に接する空気の振動すなわち磁気騒音は小さい。これに対して、鉄心の径方向の振動はステータ鉄心又はロータ鉄心の外周面又は内周面の径方向振動を生じさせるが、これら外周面又は内周面は空気に接しているため、ステータ鉄心又はロータ鉄心の径方向振動により、これら外周面又は内周面が径方向に振動し、大きな磁気騒音を生じさせる。すなわち、磁気加振力の周方向成分を低減することにより主としてトルク脈動が低減され、磁気加振力の径方向成分を低減することにより主として磁気騒音が低減される。
この知見に鑑み、本発明では、通常はロータ起磁力及びステータ電流(基本周波数成分)により形成される磁気加振力の径方向成分(径方向磁気的加振力ともいう)の所定次数の高調波成分を低減するために、この磁気加振力の高調波成分とのベクトル和の振幅が減少する(元の状態よりも小さくなる)位相、振幅をもつ磁気加振力を追加するべく、この磁気加振力(径方向磁気振動成分)の次数よりも1だけ大きい次数の径方向振動低減用高調波電流を上記ステータ電流(多相交流電流)に重畳させる。このようにすれば、磁気騒音を良好に低減できることがわかった。
なお、この径方向振動低減用高調波電流の重畳により、上記ロータ起磁力及びステータ電流(基本周波数成分)により形成される磁気加振力の径方向成分の他、交流回転電機のその他の径方向振動、たとえば外部から入力される径方向振動も低減することができる。
すなわち、この発明によれば、基本周波数のn+1倍の周波数の径方向振動低減用高調波電流がトルク形成のための通電電流とは別に通電されるので、通電電流の基本周波数のn倍の周波数をもつ径方向振動の高調波成分を低減することができることがわかった。この詳細な理由については、後述するものとする。
請求項3記載の構成は請求項2記載の交流回転電機装置において更に、前記第2インバータが、三相相電流の基本周波数成分に対して7次以上の奇数高調波成分を主とする前記径方向振動低減用高調波電流を形成することを特徴としている。
これにより、主要な磁気騒音をなす三相交流回転電機のステータ電流の基本周波数成分に対して6以上の偶数次径方向振動(磁気騒音)を良好に低減することができる。
請求項4記載の構成は請求項3記載の交流回転電機装置において更に、前記第2インバータが、7次高調波成分を主とする前記径方向振動低減用高調波電流を形成することを特徴としている。これにより、三相交流回転電機において聴覚上最も大きな磁気騒音成分であるをなす6次の次径方向振動(磁気騒音)を良好に低減することができることがわかった。
請求項5記載の構成は請求項3記載の交流回転電機装置において更に、前記第2インバータが、13次高調波成分を主とする前記径方向振動低減用高調波電流を形成することを特徴としている。これにより、三相交流回転電機において聴覚上主要な磁気騒音成分であるをなす12次の次径方向振動(磁気騒音)を良好に低減することができることがわかった。
請求項6記載の構成は請求項3記載の交流回転電機装置において更に、前記第2インバータが、7次および13次の高調波成分を主とする前記径方向振動低減用高調波電流を形成することを特徴としている。これにより、三相交流回転電機において聴覚上主要な磁気騒音成分であるをなす6次、12次の次径方向振動(磁気騒音)を良好に低減することができることがわかった。
請求項7記載の構成は請求項記載の交流回転電機装置において更に、前記第2インバータが、所定値未満の小出力時において前記径方向振動低減用高調波電流を形成する振動低減運転モードで運転され、所定値以上の大出力時において前記径方向振動低減用高調波電流に代えて、前記相電流の基本周波数成分を主とする各相の基本相電流を形成して前記第2相巻線群に相ごとに通電する出力優先モードで運転されることを特徴としている。このようにすれば、たとえば車両用交流回転電機などにおいて、ほとんどの運転時間を占める50%以下の部分負荷運転時において静粛運転が可能となり、更に大出力運転にも対応することができるので、交流回転電機やモータ電流制御手段の大型化を抑止することができる。
好適な態様(請求項8)において、前記第2インバータが、19次の前記径方向振動低減用高調波電流を重畳することにより、18次の周波数を有する前記径方向振動の高調波成分を前記重畳を行わない場合よりも減衰させる。これにより、回転電機の静粛な運転が可能となる。
好適な態様(請求項9)において、前記第2インバータが、25次の前記径方向振動低減用高調波電流を重畳することにより、24次の周波数を有する前記径方向振動の高調波成分を前記重畳を行わない場合よりも減衰させる。これにより、回転電機の静粛な運転が可能となる。
好適な態様において、I1を前記基本周波数の振幅、Imを前記高調波電流の振幅、t、x、yをそれぞれ所定の位相角とした場合に、前記多相交流電流の基本波周波数成分は、第1相基本周波数成分Iu1(=I1sin(θ))、第2相基本周波数成分Iv1(=I1sin(θ−x))、第3相基本周波数成分Iw1(=I1sin(θ−y))を少なくとも含み、前記m(=n+1)倍の周波数の径方向振動低減用高調波電流が、第1相高調波成分Ium(=I1sinm(θ+t))、第2相基本周波数成分Ivm(=I1sinm(θ+t)−x)、第3相基本周波数成分Iwm(=I1sinm(θ+t)−y)を少なくとも含み、前記第1相高調波成分Iumは前記第1基本周波数成分Iu1に、前記第2相高調波成分Ivmは前記第2基本周波数成分Iv1に、前記第3相高調波成分Iwmは前記第3基本周波数成分Iw1に重畳される。このようにすれば、各相の基本周波数成分の回転順序すなわち位相順と各相の(n+1)次振動低減用の高調波成分の回転順序とが一致するため、良好にn次径方向振動を低減することができる。
なお、上記説明では、ステータ電流の基本周波数成分に対してm―1倍の周波数の径方向振動を低減するために基本周波数成分の相電流に対してm倍の周波数の用の高調波相電流を重畳することを説明した。もちろん、更に加えて更に異なる次数の径方向振動低減のためにそれより一つ次数が低い高調波電流を重畳してもよい。
(変形態様)
以下、本発明の種々の態様について説明する。
好適な態様において、基本波と7次、13次の径方向振動低減用高調波電流による6次、12次の径方向振動の高調波成分と、6次、12次の径方向振動の高調波成分とのベクトル和の振幅が所定値以下となるように、7次、13次の径方向振動低減用高調波電流の位相、振幅を設定する。7次、13次の径方向振動低減用高調波電流の位相、振幅は、数式演算で求められてもよく、有限要素法などにより演算してもよく、実験的に決定されてもよい。上記各構成では、径方向振動の低減について説明したが、周方向磁気加振力(トルクリップル)低減のための高調波電流を第2インバータに通電してもよい。交流回転電機としては、種々の構成の同期機の他、誘導機を採用することもでき、電動モードおよび発電モードのどちらで利用しても良い。すべての回転域で径方向振動低減用高調波電流を第2インバータに通電してもよく、特に磁気騒音が問題となる回転域でのみ径方向振動低減用高調波電流を第2インバータに通電してもよい。所定の一つの次数の径方向振動低減用高調波電流を第2インバータに通電することにより所定の一つの次数の径方向振動を低減してもよく、複数の次数の径方向振動低減用高調波電流を第2インバータに通電することにより複数の次数の径方向振動を低減してもよい。回転域により、径方向振動低減用高調波電流の第2インバータへの通電とトルクリップル低減用の高調波電流の第2インバータへの通電とを切り替えてもよい。
上記した径方向振動低減用高調波電流の次数(すなわち、基本周波数成分の周波数に対する径方向振動低減用高調波電流の周波数の倍率)であるn+1は、高調波電流発生回路の製造上の公差を含むことができることは当然である。たとえば、n+1は、(n+1)−0.1〜(n+1)+0.1の範囲としてもよい。
上記各構成では、径方向振動の低減について説明したが、同時に、周方向磁気加振力(トルクリップル)低減のための高調波電流を更に重畳することもできる。
以下、本発明の好適態様を図面を用いて説明する。
(原理説明)
以下、本発明を多相交流回転電機に適用した場合の原理を以下に説明する。
図1は、N相交流回転電機の一相分の磁気回路を模式図示した図であり、図2は図1の等価磁気回路図である。同期機では磁束φはロータの磁極(コイル又は永久磁石により形成される)により形成され、ロータ起磁力Fmagは磁気回路におけるロータの磁極の起磁力すなわち磁界強度であり、ステータ起磁力Fcoilは、ステータ電流により磁気回路に形成される起磁力すなわち磁界強度である。Rgはステータとロータとの間のギャップの磁気抵抗である。
図1、図2から、1相あたりの、磁束φ、磁気エネルギーW、径方向の磁気加振力fが、
Figure 0004155152
Figure 0004155152
Figure 0004155152
により定義される。すなわち、磁気加振力fは、ロータ起磁力の2乗と、ステータ起磁力の2乗と、ロータ起磁力とステータ起磁力との積との合計として定義される。
上記図及び数式において、Icoilはステータ電流(電機子の相電流)、xはギャップ幅、Sはギャップ部対向面積、μ0は空気の透磁率、Nは電機子の各相コイルのターン数、Nは相数である。
この多相交流回転電機の第1(三相ではU)相、第2(三相ではV)相、第N(三相ではW)相のロータ起磁力Fmagとステータ電流(相電流)Icoilとを、
Figure 0004155152
Figure 0004155152
Figure 0004155152
に示す。ロータ起磁力は、ロータ回転を表すために三角関数にて記載されている。当業者であれば容易に理解されるので、三相より多相の場合における残りの相のロータ起磁力Fmag及びステータ電流Icoilの記載は省略する。当然、三相においては、xは、360/N=120度となる。
なお、Fi(iは下付き添え字である)はロータ起磁力のi次成分の振幅、Iiはステータ電流のi次成分の振幅、θはロータの回転角、α、β、γ、δ、s、t、uは位相角、j、k、L、m、nは整数値である。
これらの式において、ロータ起磁力Fmagは高調波としてj、k、L次の高調波成分だけをもち、ステータ電流Icoilは高調波としてm、n次の高調波成分だけをもつとしたが、更に他の高調波をもっていてもよいことは明白である。単純化のために、三相交流回転電機に限定すると、数4、数5、数6は下記のようになる。
Figure 0004155152
Figure 0004155152
Figure 0004155152
数7を数3に代入して得られる数10によりU相加振力fuが得られる。
Figure 0004155152
数8を数3に代入して得られる数11によりV相加振力fvが得られる。
Figure 0004155152
数9を数3に代入して得られる数12によりW相加振力fwが得られる。
Figure 0004155152
数4〜数6において、θは基本波の角度である。θは基本波の角速度をωとすればωtに等しく、また基本波の周波数(基本周波数)をfとすれば2πftに等しいことは当然である。また、数4〜数6において、360、120、240という数値は、実際の計算では、2π、2π/3、4π/3にそれぞれ読み替えるのが簡単である。
磁気音は上記各相加振力のベクトル和に正相関を有するわけであるが、各相加振力は、数10、数11、数12に示されるように多数の項の一次関数(和また差の式)となっている。各相加振力の合計は、各相の各項を互いに同一の次数ごとに(各周波数ごとに)別々にベクトル加算した項(以下、ベクトル加算項ともいう)の一次関数(和また差の式)となる。磁気音は、各ベクトル加算項において、ベクトル加算項を構成する各項が同位相(似た位相)で強めあう場合に問題となり、各ベクトル加算項を構成する各項の位相が大きく異なる場合にはベクトル加算項の振幅が小さくなるため、ほとんど問題とはならない。
すなわち、数10、数11、数12を加算した場合、ベクトル加算項を構成する各項が同位相となってベクトル加算項の振幅が上記各項の振幅に対して大幅に大きくなるのは、(m−1)次、(n−1)次、(n−m)次となる。
数10、数11、数12から、ステータ電流Icoilにm次高調波電流成分、n次高調波電流成分を重畳すると、常に、(m−1)次、(n−1)次、(n−m)次の加振力成分を顕著に生じさせることがわかる。
ということは、ある位相をもつx次の高調波電流成分を重畳することにより、(x−1)次の加振力を発生することができることがわかる。
したがって、現在発生している磁気音の原因となる磁気音の(x−1)次成分をキャンセルするために、この磁気音の(x−1)次成分と逆位相、等振幅をもつ加振力を発生するx次の高調波電流を重畳することにより、磁気音をキャンセルすることができる。また、位相が完全に逆位相となっていなくても、振幅が完全に等しくなくても、ベクトル加算されたそれらの和の振幅を小さくすることにより、大幅に低減することができる。
また、現在発生している磁気音の原因となる磁気音の(x−1)次成分を変更(増大又は低減)するために、この磁気音の(x−1)次成分と逆位相、等振幅をもつ加振力を発生するx次の高調波電流をステータ電流の基本周波数成分に重畳することにより、磁気音を変更(増大又は低減)することができる。つまり、ベクトル加算されたそれらの和の振幅が増加したり、減少したりすることができる。
交流回転電機の(x−1)次の磁気音を増加又は低減するために、x次の高調波電流を好適位相、好適振幅で重畳すればよいという知見は、従来知られていなかったものであり、今後の低騒音モータの開発において非常に重要である。
同様に、数10、数11、数12から、ステータ電流Icoilにm次高調波電流成分とn次高調波電流成分とを重畳することにより、(m−1)次、(n−1)次、(n−m)次の磁気加振力成分を同時に変更(増加又は低減)することもできる。ただし、この場合、重畳するm次高調波電流成分の位相及び振幅と、n次高調波電流成分の位相及び振幅とによって、(m−1)次、(n−1)次、(n−m)次の加振力が生じるために、これらの加振力と、本来存在する(m−1)次、(n−1)次、(n−m)次の磁気音とのそれぞれの次数でのベクトル和がすべて0となることは容易ではない。しかし、各次の加振力のベクトル和の振幅ができるだけ小さくなるようにもしくは所望の大きさになるように重畳電流の位相及び振幅を調整することができる。
交流回転電気の(m−1)次、(n−1)次、(n−m)次の磁気音を同時に変更(低減又は増大)するために、m次、n次の高調波電流を好適位相、好適振幅にて加算すればよいという知見は、従来知られていなかったものであり、今後の低騒音モータの開発において非常に重要である。
数10、数11、数12にて表される各項のうち、ベクトル和が0となる項を消去して簡略化した式を以下に示す。
Figure 0004155152
Figure 0004155152
Figure 0004155152
三相交流回転電機のロータ起磁力Fmagの高調波としては、極数、ステータスロット数にもよるが、一般的に3次高調波成分と5次高調波成分と7次高調波成分がほかの次数の高調波成分よりも格段に優勢であるので、ロータ起磁力Fmagの基本波成分と3次高調波成分と5次高調波成分と7次高調波成分とをもち、磁気音変更のための高調波電流を重畳しない場合について、生じる磁気音(磁気音)を以下に説明する。
整数値(次数値)は、j=3、k=5、L=7となるので、これを数7〜数9に代入すると、下記の式となる。
Figure 0004155152
Figure 0004155152
Figure 0004155152
これら数16、数17、数18を数3に代入し、高調波電流重畳しないので、m=0(Im=0)、n=0(In=0)とすれば、下記の式が得られる。
Figure 0004155152
Figure 0004155152
Figure 0004155152
数19、数20、数21において、ベクトル和が0となる項を消去し、同位相で強め合う項と直流成分項とを抜粋すると、下記の式となる。
Figure 0004155152
Figure 0004155152
Figure 0004155152
したがって、数22、数23、数24を加算して得られる各相加振力の合計は、下記の数25となる。
Figure 0004155152
数25において、○で囲んだ数字を丸数字というものとすると、丸数字1で示される項は加振力合計の直流成分項、丸数字2で示される項はロータ起磁力Fmagの3次の高調波により生じる6次の高調波成分、丸数字3で示される項はロータ起磁力Fmagの1次と5次の高調波により生じる6次の高調波成分、丸数字4で示される項はロータ起磁力Fmagの1次と7次の高調波により生じる6次の高調波成分、丸数字5で示される項はロータ起磁力Fmagの5次と7次の高調波により生じる12次の高調波成分、丸数字6で示される項はロータ起磁力Fmagの5次の高調波とステータ電流の1次電流成分(基本波)により生じる6次の高調波成分、丸数字7で示される項はロータ起磁力Fmagの7次の高調波とステータ電流の1次電流成分(基本波)により生じる6次の高調波成分となる。
すなわち、三相交流回転電機の磁気音は、ロータ起磁力Fmagの基本波成分と3次高調波成分と5次高調波成分と7次高調波成分により、6次と12次の磁気音成分に起因することが数25からわかる。
そこで、これら6次と12次の磁気音成分の変更(低減又は増大)のために、ステータ電流Icoilに7次高調波成分と13次高調波成分を重畳した場合を以下に説明する。
この場合、数7、数8、数9において、j=3、k=5、L=7、m=7、n=13とすれば、下記の式となる。
Figure 0004155152
Figure 0004155152
Figure 0004155152
数26、数27、数28を用いて、数10、数11、数12を計算すると、下記の式が得られる。
Figure 0004155152
Figure 0004155152
Figure 0004155152
数29、数30、数31において、ベクトル和が0となる項を消去し、同位相で強め合う項と直流成分項とを抜粋すると、下記の式が得られる。
Figure 0004155152
Figure 0004155152
Figure 0004155152
これらの式を数25と同様に整理すると、各相加振力の総和は、下記の式となる。
Figure 0004155152
この数35において、
丸数字1で示される項は直流成分項、
丸数字2で示される項はロータ起磁力Fmagの3次の高調波により生じる6次の高調波成分、
丸数字3で示される項はロータ起磁力Fmagの1次と5次の高調波により生じる6次の高調波成分、
丸数字4で示される項はロータ起磁力Fmagの1次と7次の高調波により生じる6次の高調波成分、
丸数字5で示される項はロータ起磁力Fmagの5次と7次の高調波により生じる12次の高調波成分、
丸数字6で示される項はロータ起磁力Fmagの5次の高調波とステータ電流の1次電流成分(基本波)により生じる6次の高調波成分、
丸数字7で示される項はロータ起磁力Fmagの7次の高調波とステータ電流の1次電流成分(基本波)により生じる6次の高調波成分となる。
丸数字8で示される項はロータ起磁力Fmagの1次の成分(基本波)とステータ電流の7次の高調波により生じる6次の高調波成分、
丸数字9で示される項はロータ起磁力Fmagの1次の成分(基本波)とステータ電流の13次の高調波により生じる12次の高調波成分、
丸数字10で示される項はロータ起磁力Fmagの5次の高調波とステータ電流の7次の高調波により生じる12次の高調波成分、
丸数字11で示される項はロータ起磁力Fmagの5次の高調波とステータ電流の13次の高調波により生じる18次の高調波成分、
丸数字12で示される項はロータ起磁力Fmagの7次の高調波とステータ電流の13次の高調波により生じる6次の高調波成分、
丸数字13で示される項はステータ電流の1次の成分(基本波)と7次の成分により生じる6次の高調波成分、
丸数字14で示される項はステータ電流の1次の成分(基本波)と13次の成分により生じる12次の高調波成分、
丸数字15で示される項はステータ電流の7次の成分と13次の成分により生じる6次の高調波成分である。
結局、数35で示される各相加振力の合計は、6次、12次の高調波となるので、上記丸数字2、3、4、6、7、8、12、13、15の項の位相角や各振幅を設定すれば、上記丸数字2、3、4、6、7、8、12、13、15の項のベクトル和を0、又は、小さくしたり、又は、大きくしたりすることができ、磁気音の6次の騒音をキャンセル乃至低減(乃至増大)を実現することができる。
同様に、上記丸数字5、9、10、14の項の位相角や各振幅を設定すれば、上記丸数字5、9、10、14の項のベクトル和を0、又は、小さくしたり、又は、大きくしたりすることができ、磁気音の12次の騒音をキャンセル乃至低減(乃至増大)を実現することができる。
つまり、数35において7次の高調波電流成分と13次の高調波電流成分との位相と振幅とを調整することにより、数35に示す直流項以外の項の和を0として三相交流回転電機において最も重要となる磁気音の6次の高調波成分と12次の高調波成分をキャンセルしたり、低減(乃至増大)したりすることができる。
磁気音の6次高調波のキャンセル条件を下記の式に示す。
Figure 0004155152
数36において、破線にて示す各項の和または差は磁気音成分となる径方向磁気加振力の6次高調波のベクトル和を表し、実線にて示す各項の和または差はキャンセル用の高調波電流による加振力の6次高調波のベクトル和を示す。したがって、数36において、これら両者のベクトル和が0となるように、位相角と振幅を定めればよい。磁気音の12次高調波のキャンセル条件を下記の式に示す。
Figure 0004155152
数37において、破線にて示す各項の和または差は磁気音成分となる12次高調波のベクトル和を表し、実線にて示す各項の和または差はキャンセル用の高調波電流による加振力の12次高調波のベクトル和を示す。したがって、数37において、これら両者のベクトル和が0となるように、位相角と振幅を定めればよい。
なお、上記した数35、数36、数37において、回転数の関数としてのθは刻々と変化するので、基本波の回転数や位相や振幅の時間変化につれて、数35に示す磁気音の総和を所定レベルとするための高調波電流の振幅と位相とは刻々と変化する。同様に、数36、数37を満足する高調波電流の振幅と位相も刻々と変化する。このため、重畳する高調波電流の振幅と位相とは、基本波電流の周波数、位相、振幅に応じて所定時間ごとに演算される。
次に、上記した磁気音低減(又は増大)を実現するモータ制御回路の例を以下に説明する。
(回路構成例1)
上記した高調波電流を発生する回路例を図3に示す。このモータ制御回路はモータ電流をフィードバック制御を行う実施例である。
1はバッテリ、2、3は平滑コンデンサ、4は三相インバータである第1インバータ、5は三相インバータである第2インバータ、6は第1モータコントローラ、7は第2モータコントローラ、8は永久磁石ロータ型の三相同期モータである。モータ8は発電機又は発電電動機であってもよい。モータ8は、互いに独立する2つの三相スター接続電機子コイル81、82を有し、コイル81は本発明でいう第1相巻線群を、コイル82は本発明でいう第2相巻線群を構成している。
バッテリ1から直流電力が給電され、モータコントローラ6により制御される第1インバータ4はコイル81に第1の三相電機子電圧を印加し、第2モータコントローラ7により制御される第2インバータ5はコイル82に第2の三相電機子電圧を印加している。モータコントローラ6は、コイル81に通電される三相交流電流を検出する電流検出センサ(図示せず)から電流信号を、図示しない回転角検出器から回転角信号を受け取り、これらの信号と入力指令とに基づいて第1インバータ4を制御する。モータコントローラ7は、コイル82に通電される三相交流電流を検出する電流検出センサ(図示せず)から電流信号を、上記回転角検出器から回転角信号を受け取り、これらの信号と入力指令とに基づいて第2インバータ5を制御する。
モータコントローラ6、7の一例を図4を参照して説明する。ただし、図4において、9は第1インバータ4とモータコントローラ6とからなる第1のモータ電流制御手段であり、10は第2インバータ5とモータコントローラ7とからなるモータ電流制御手段である。
100は、基本波に相当する電流指令値(三相交流座標系)の振幅、位相を指示する振幅・位相指令用の回路ブロックである。101は、所定次数(ここでは7次)の高調波電流(三相交流座標系)の振幅、位相を指示する振幅・位相指令用の回路ブロックである。
振幅・位相指令用の回路ブロック100は、たとえば車両制御ECUなどの外部制御装置から受け取った電流指令(基本波)に基づいて上記振幅、位相を決定する。また、回路ブロック100がこの車両制御ECUにより構成されてもよい。この外部制御装置は三相同期機8の回転角信号(回転位置信号)及びトルク指令に基づいてこの基本波としての電流指令値を演算する。
回路ブロック101は、上記した電流指令(基本波)電流の周波数、振幅、位相を上記した数35、数36、数37や数13又は数14又は数15に入力して演算することにより、あらかじめ定められた所定次数の高調波電流の周波数、振幅、位相を決定し、それらを指示する振幅・位相指令を出力する。これら数式のうちの他の定数は目的に応じて予め設定されている。たとえば、6次及び12次の磁気音を低減又はキャンセルする場合には、数36、数37の式の計算値が所定値以下又は0となるように、7次又は13次の高調波電流の振幅と位相とを決定する。他の定数は交流回転電機に特有の数値として予め設定されている。6次の磁気音だけをキャンセルする場合には、数36の式の計算値が所定値以下又は0となるように、高調波電流の振幅と位相とを決定する。12次の磁気音だけをキャンセルする場合には、数37の式の計算値が所定値以下又は0となるように、高調波電流の振幅と位相とを決定する。いずれにせよ、これらの式において、重畳する7次及び/又は13次の高調波電流の位相及び/振幅を調整することにより、6次/又は12次の磁気音すなわち磁気音の大部分を増幅したり、低減したり、キャンセルしたりすることができる。上記数式の計算の代わりに、予めこれらの数式に相当するマップ又はテーブルに上記基本周波数成分の周波数、位相、振幅を代入して、7次及び/又は13次の高調波電流の位相、振幅の値をサーチしてもよい。また、回路ブロック100が、演算されたステータ電流の基本周波数成分の振幅及び位相に基づいてその現在値を算出して出力し、回路ブロック101が、演算された高調波電流の振幅及び位相に基づいて高調波電流の現在値を算出して出力することもできる。
これら基本波電流及び高調波電流に関する指令は、座標軸変換用の回路ブロック103、103’によりd−q軸系に座標変換され、減算器104、104’にてそれらの検出値(d−q軸)と比較され、それらの差が電流増幅器400、400’によりゲイン調節された後、座標軸変換用の回路ブロック105、105’にて三相交流電流値に出力される。
回路ブロック105、105’から出力される三相交流電流値は、回路ブロック106、106’にて三相PWM制御電圧に変換され、これら三相PWM制御電圧により三相のインバータ4、5の各スイッチング素子を断続制御し、インバータ4の出力電圧を第1相巻線群81に、インバータ5の出力電圧を第2相巻線群82に印加する。
なお、第1相巻線群81との各導体と第2相巻線群82の各導体とを同じスロットに収容して、これら第1相巻線群81と第2相巻線群82との位相差を0としてもよく、あるいは、両導体を周方向に所定スロットピッチずらして位相差を与えてもよいことは当然である。これにより、第1相巻線群81には基本波電流が、第2相巻線群にはたとえば7次の高調波電流が流れることになる。
三相同期機8は回転角センサを内蔵しており、速度・位置信号処理用回路ブロック107は、図示しない回転角センサから出力されるロータの回転位置信号から速度信号と位置信号とを抽出し、それらを回路ブロック103、103’、105、105’に出力する。また、第1相巻線群81、第2相巻線群82の各相電流は、電流センサ109、109’にて検出され、座標軸変換用回路ブロック108、108’にてd軸電流検出値とq軸電流検出値とに変換されて減算器104、104’に入力されて電流値を指令値に収束させるフィードバック制御が行われる。なお、202は次数発生回路ブロックであって、座標変換ブロック103’、105’に発生するべき高調波成分の次数を指示する機能を有している。
このようにすることにより、三相同期機8に与えるモータ電流の基本周波数成分と高調波成分とを別々に制御することができるので、回路信頼性を高め、特に、トルクを実現する基本周波数成分の制御レスポンスおよび制御信頼性を向上しつつ、磁気騒音を低減して非常に静粛なモータを実現することができる。また、基本相電流制御を低周波数で行うことができるので、その回路負担を減らすことができる。
(回路構成例2)
上記した高調波電流を発生する他の回路例を図5に示す。この回路は、図4に示す回路をオープン制御に変更したものである。
基本波回路ブロック100、高調波回路ブロック101から出力される基本波電流及び高調波電流に関する指令は、座標軸変換用の回路ブロック103、103’によりd−q軸系に座標変換され、電流増幅器400、400’によりゲイン調節された後、座標軸変換用の回路ブロック105、105’にて三相交流電流値に出力される。
回路ブロック106、106’は、入力される三相交流電流値に対応する三相PWM制御電圧を発生させ、これら三相PWM制御電圧により三相インバータ4、5のスイッチング素子は断続制御される。三相同期機8は回転角センサを内蔵しており、速度・位置信号処理用回路ブロック107は、この回転角センサから出力される回転位置信号から速度信号と位置信号とを抽出し、座標変換のために回路ブロック103、103’、105、105’へそれらを出力する。これにより、回路構成例1と同様の効果を奏することができる。
(回路構成例3)
上記した高調波電流を発生する他の回路例を図6に示す。この回路例は三相交流座標系にてモータ電流をフィードバック制御を行う実施例である。
100は、基本波に相当する電流指令値(三相交流座標系)としての振幅、位相を指示する振幅・位相指令用の回路ブロックである。101は、所定次数の高調波電流(三相交流座標系)としての振幅、位相を指示する振幅・位相指令用の回路ブロックである。これらの回路ブロックの機能は、図3の場合と同じであり、高調波ブロック101は、回路ブロックから出力される周波数、位相、振幅を数35又は数36又は数37や数13又は数14又は数15に代入して高調波の振幅、位相を決定するか、実質的に同じ演算処理をマップ又はテーブルを用いて行う。
回路ブロック100、101から出力された振幅・位相指令は、回路ブロック102、102’に入力される。回路ブロック102は、入力された基本波の振幅・位相指令と、検出された回転位置信号とに基づいて基本波電流指令値(三相交流座標系)を形成し、回路ブロック102’は、入力された所定次数の高調波の振幅・位相指令と、検出された回転位置信号とに基づいて高調波電流指令値(三相交流座標系)を形成する。
減算器300は、検出された基本波U相電流検出値iu’と基本波電流指令値iuとの差を求め、この差を電流制御器をなす回路ブロック302に出力する。減算器301は、検出された基本波V相電流検出値iv’と基本波電流指令値ivとの差を求め、この差を電流制御器をなす回路ブロック302に出力する。回路ブロック302は上記差を解消するU相電圧、V相電圧を形成し、回路ブロック105はこれらU相電圧、V相電圧に相当するU相、V相のPWM電圧を演算出力する。また、減算反転回路303は、上記U相電圧、V相電圧の差のアナログ反転信号をW相電圧として算出し、回路ブロック105はこのW相電圧のPWM電圧を演算出力する。これら三相のPWM電圧に相当するデユーティに応じて第1インバータ4が断続制御される。
減算器300’は、検出された高調波U相電流検出値iu’と高調波電流指令値iuとの差を求め、この差を電流制御器をなす回路ブロック302’に出力する。減算器301’は、検出された高調波V相電流検出値iv’と高調波電流指令値ivとの差を求め、この差を電流制御器をなす回路ブロック302’に出力する。回路ブロック302’は上記差を解消するU相電圧、V相電圧を形成し、回路ブロック105’はこれらU相電圧、V相電圧に相当するU相、V相のPWM電圧を演算出力する。また、減算反転回路303’は、上記U相電圧、V相電圧の差のアナログ反転信号をW相電圧として算出し、回路ブロック105’はこのW相電圧のPWM電圧を演算出力する。これら三相のPWM電圧に相当するデユーティに応じて第2インバータ5が断続制御される。
(変形態様)
上記した回路例の他、種々の公知モータ制御回路を採用できることは当然である。また、基本波形成用のモータコントローラ6と、高調波形成用のコントローラ7とは全く異なる回路としてもよく、また、クロック周波数が異なるようにしてもよい。たとえば、モータコントローラ6は高精度フィードバック回路とし、モータコントローラ7はオープン制御回路としてもよい。
(変形態様)
上記各回路例の変形態様を図7に示すフローチャートを参照して以下に説明する。この変形態様は、必要電流(必要トルク)と回転数とに基づいて第2インバータの動作モードを変更するものである。
まず、外部より入力されるトルク指令値(又は電流指令値)と回転数検出値とを読み込む(ステップS100、S102)。これら指令値が所定レベル未満かつ回転数が所定値未満である場合にはたとえば図3に示す次数発生回路ブロック202の出力次数を変更することにより、第2インバータを所定次数n+1の高調波電流を発生するように運転する。もちろん、この時、n次の径方向振動が低減されるようにこの高調波電流の振幅と位相とが決定される。これら指令値が所定レベル以上又は回転数が所定値以上である場合にはたとえば図4に示す次数発生回路ブロック202の出力次数を変更することにより、2つのインバータをそれぞれ基本波電流のみを発生するように運転する(ステップS104)。磁気騒音が問題となるのは、低回転領域であるので、損失低下、大トルク出力、磁気騒音低下の効果をバランスよく実現することができる。
(変形態様)
なお、数35、数36、数37の式は、ロータ起磁力Fmagの高調波成分をステータ電流の基本波電流への高調波電流の重畳によりキャンセル乃至変更する例を示しているが、実際の交流回転電機のPWM制御では、インバータのスイッチングにより基本波電流に不可避的に高調波が重畳し、これに起因して磁気音が生じる。この磁気音を更に減少するには、このインバータのスイッチングによりステータ電流に不可避的に重畳する高調波電流を上記数式で求めた磁気音変更用の高調波電流からベクトル減算した高調波電流を基本波電流に重畳する演算を行えばよい。
(実験例)
上記磁気騒音低減のための実験を図8に示す三相同期機(8極、24スロット、IPM)14を用いて行った。なお、基本波電流を43Aとし、ロータ位相角はトルクが最大となる値に制御した。
図9は、この同期機のステータ電流に磁気騒音低減用の高調波電流を重畳せずにモータ駆動した場合の三相電流波形を示す。各相電流は、その基本周波数成分の他に比較的小さい高調波成分を含んでいる。図10は、図9に示すステータ電流に磁気騒音低減用の高調波電流を重畳してモータ駆動した場合の三相電流波形を示す。図9、図10において、回転数は17000rpmとした。磁気騒音低減用の高調波電流は、図3の回路を用いてフィードバック方式にて重畳された。
それぞれFFTにより求めた図9に示すU相電流の周波数スペクトルA、及び、図10に示す磁気騒音低減用高調波成分重畳U相電流の周波数スペクトルBを、図11に示す。図11において、各次数ごとに示された一対のバーのうち左側(薄いグレーにて表示)は図9に示すU相電流のスペクトルAを示し、各次数ごとに示された一対のバーのうち右側(濃いグレーにて表示)は図10に示すU相電流のスペクトルBを示す。図9において、7次電流(7次高調波成分)は1次電流(基本周波数成分)の振幅の3%の大きさの振幅を有している。図10において、7次電流(7次高調波成分)は1次電流(基本周波数成分)の振幅の12%の大きさの振幅を有している。
図9の電流を通電した場合(以下、磁気騒音非低減モードと言う)と図10の電流を通電した場合(以下、磁気騒音低減モードと言う)とにおけるステータの互いに隣接する3個のティースに加わる半径方向(径方向)加振力のロータ回転角による変化を図12に示す。図12に示される二つの周期変化波形のうち大きな方の周期変化波形Cは図9に示す磁気騒音非低減モードの径方向加振力の変化を示し、小さい方の周期変化波形Dは図10に示す磁気騒音非低減モードの径方向加振力の変化を示す。また、Eは、磁気騒音非低減モードにおける径方向加振力の平均値を示す。なお、径方向加振力はロータの永久磁石の吸引により直流成分を有している。
図13において、Fは示す磁気騒音非低減時の径方向加振力(大きい周期変化波形)Cの周波数スペクトルを示し、Gは磁気騒音低減時の径方向加振力(小さい周期変化波形)Dの周波数スペクトルを示す。周波数スペクトルFは、各次数ごとに示された一対のバーのうち左側(薄いグレーにて表示)のバーにより示されている。周波数スペクトルGは、各次数ごとに示された一対のバーのうち右側(濃いグレーにて表示)のバーにより示されている。
上記実験機における回転数を変更した場合の6次の磁気音(周波数6θ)の測定結果(電動時)を図14に示す。図14から、磁気騒音が耳障りとなる高回転域(約1500rpm以上)にて良好に磁気騒音の6次成分を低減できることがわかる。上記実験機における回転数を変更した場合の6次の磁気音(周波数6θ)の測定結果(発電時)を図15に示す。図15から、ほとんど全部の回転域にわたって磁気騒音の6次成分を低減できることがわかる。また、磁気騒音が最大となる回転域において、磁気騒音低減用の高調波電流の重畳により6次磁気騒音を20dbも低減できることがわかる。なお、図14、図15において一部の回転域において6次の磁気騒音は、磁気騒音低減用の高調波電流の7次成分の重畳により増加しているが、これは制御定数の設定が最適化されていないためであり、本質的なものではない。また、この磁気騒音の逆転は、6次の磁気騒音のレベルが小さいレベルで発生しており、その絶対値も小さいため問題とはならない。もちろん、この同期機において、磁気騒音低下があまり期待できない回転域において、磁気騒音低減用の7次の高調波電流の重畳を停止することもできる。
(変形態様)
なお、上記実施例の回路による高調波の重畳技術を利用して、すなわち周方向振動より次数が1大きい高調波電流を基本周波数成分に重畳することにより
、磁気騒音低減をやめて必要に応じてトルクリップル低減を行うように切り替えることもできる。具体的には、高調波電流の振幅と位相角を変更すればよい。
(変形態様)
数35、数36、数37の式は、ロータ起磁力Fmagの高調波成分をステータ電流の基本波電流への高調波電流の重畳によりキャンセル乃至変更する例を示しているが、実際の交流回転電機のPWM制御では、インバータのスイッチングにより基本波電流に不可避的に高調波が重畳し、これに起因して磁気音が生じる。この磁気音を更に減少するには、このインバータのスイッチングによりステータ電流に不可避的に重畳する高調波電流を上記数式で求めた磁気音変更用の高調波電流からベクトル減算した高調波電流を基本波電流に重畳する演算を行えばよい。
(変形態様)
上記磁気騒音低減方式の回転電機をエンジン走行車両に搭載した場合の制御動作を図16に示すフローチャートを参照して説明する。なお、この種の回転電機は、たとえばハイブリッド車やトルクアシスト車用の発電電動機や電動エアコン等として広く用いられ、周知となっている。
まず、ステップS400にて、エンジン停止中で電動動作中か、又は、回生制動による発電中かどうかを調べ、そうであれば、径方向振動低減用の第二インバータを運転し(S402)、そうでなければこの第2インバータを運転しない(S404)。この第2インバータは、7次および13次の高調波電流をそれぞれ所定位相、所定振幅で重畳する。この7次の高調波電流の位相、振幅は、この重畳により、三相交流回転電機の本来の径方向磁気加振力(磁気音)の6次高調波成分を上述の式に基づいてキャンセルする大きさに設定される。これにより、エンジン騒音が存在せず発電電動機の磁気騒音が耳障りとなりやすいエンジン停止中における、又は、エンジン回転数が低くエンジン騒音が耳障りとなりやすい回生制動(発電)中の磁気騒音を低減して車両静粛性を向上することができる。また、それ以外の運転時には、高調波電流重畳制御用の回路を休止させることができる。
なお、ステップS404において、第1インバータと協同して基本波を発生させる運転を第2インバータに指令してもよい。このようにすれば、一つのインバータの電流量が半減するためインバータ損失を低減して効率向上を図ることができる。
以上、本発明の好適な実施態様について詳述したが、当業者が種々の修正及び変更をなし得ること、並びに、特許請求の範囲は本発明の真の精神および趣旨の範囲内にあるこの様な全ての修正及び変更を包含することは、本発明の範囲に含まれることは当業者に理解されるべきものである。
(参考例)
重畳する高調波電流の制御参考例を、図17〜図20を参照して説明する。図17はこの実施例のモータ制御装置を示すブロック回路図、図18は座標変換回路2の一例を示すブロック回路図、図19は回路各部の信号波形(回転座標系表示)を示す波形図、図20は回路各部の信号波形(静止座標系表示)を示す波形図である。
このモータ制御装置はモータ電流をフィードバック制御を行う実施例であって、1は基本波指令値発生回路、2は高調波指令値発生回路、3、4は加算器、5、6は減算器、7、8はPIアンプ(比例−積分回路)、9は座標変換回路、10はPWM電圧発生回路、11は三相インバータ、12は2つの電流センサ(相電流検出要素)、13は三相同期電動発電機(車両用同期交流回転電機)、14はレゾルバ(回転角検出要素)、15は位置信号処理回路、16は遅れ補償回路、17は座標変換回路である。
上記各構成要素1〜17のうち三相同期電動発電機13を除く構成要素は、本発明で言うモータ制御装置を構成しており、上記各構成要素1〜17のうち電流センサ(相電流検出要素)12、三相同期電動発電機(車両用同期交流回転電機)13およびレゾルバ(回転角検出要素)をのぞく構成要素(回路)は、本発明で言うモータ電流制御要素又はモータ制御手段を構成している。
また、構成要素(回路)17は本発明で言う相電流検出値座標系変換要素を構成し、構成要素(回路)1は本発明で言う基本波指令値出力要素を構成し、構成要素(回路)2は本発明で言う高調波指令値出力要素を構成し、構成要素(回路)3〜6は本発明で言う電流偏差演算要素を構成し、構成要素(回路)7〜11は本発明で言う相電圧制御要素を構成している。いうまでもなく、三相インバータ11は直流電源から給電されて三相交流電圧を発生する。
基本波指令値発生回路(基本波指令値出力要素)1は、入力されるトルク指令値および回転数指令値に対応する基本波電流の目標値を、そのd軸電流成分であるd軸基本波指令値Id1*、および、そのq軸電流成分であるq軸基本波指令値Iq1*に変換する公知の回路である。上記トルク指令値は、たとえば車両制御ECUなどの外部制御装置から入力され、この基本波指令値発生回路1はそれにも基づいてd軸基本波指令値Id1*およびq軸基本波指令値Iq1*を決定する。このd軸基本波指令値Id1*およびq軸基本波指令値Iq1*の決定において必要であれば、トルク指令値以外に更に三相インバータ11の電圧やレゾルバ14の出力信号などが基本波指令値発生回路1に入力される。
高調波指令値発生回路2(高調波指令値出力要素)は、あらかじめ設定された6k+1(kは整数、基本周波数成分のkは0)次の高調波電流の目標値を、そのd軸電流成分であるd軸高調波指令値Id6k+1*、および、そのq軸電流成分であるq軸高調波指令値Iq6k+1*に変換する回路である。更に言えば、この高調波指令値発生回路2は、三相同期電動発電機13の径方向振動を低減する高調波電流指令値を発生するための回路である。
高調波指令値発生回路2の具体例を図21に示すブロック図を参照して説明する。図21において、21は7次電流指令値発生回路、22は13次電流指令値発生回路、24、25は座標変換回路、27、28は加算器である。ただし、この実施例では、高調波指令値発生回路2は6次および12次の径方向振動低減のために7次および13次の高調波指令値だけを発生するが更に高次の高調波指令値を発生して加算器27、28にて同様に重畳させてもよい。
7次電流指令値発生回路21は、基本波指令値発生回路1から入力されるd軸指令値Id*およびq軸指令値Iq*と、6次径方向振動相殺用の7次高調波指令値の振幅I7*および位相角β7*との関係を記載するテーブルである。すなわち、7次高調波指令値の振幅I7*および位相角β7*は、基本波回転座標系上のd軸指令値Id*およびq軸指令値Iq*を変数とする関数値となる。なお、ここでは、7次高調波指令値の振幅I7*および位相角β7*は基本波回転座標系上の値とするが、静止座標系上においても同じ値となる。
同じく、13次電流指令値発生回路22は、基本波指令値発生回路1から入力されるd軸指令値Id*およびq軸指令値Iq*と、12次径方向振動相殺用の13次高調波指令値の振幅I13*および位相角β13*との関係を記載するテーブルである。すなわち、13次高調波指令値の振幅I13*および位相角β13*は、基本波回転座標系上のd軸指令値Id*およびq軸指令値Iq*を変数とする関数値となる。なお、ここでは、13次高調波指令値の振幅I13*および位相角β13*は基本波回転座標系上の値とするが、静止座標系上においても同じ値となる。これらのデータI7*、β7*、I13*、β13*は7次、13次電流指令値発生回路21、22のROM(図示せず)に格納されている。d軸指令値Id*およびq軸指令値Iq*を回路21、22に代入して得られたこれらのデータI7*、β7*は座標変換回路24へ、これらのデータI13*、β13*は座標変換回路25に出力される。
座標変換回路24は、7次電流指令値発生回路21から入力された7次高調波電流の振幅I7*と位相角(基本波の位相角θを基準として決定する)β7*とにより基本波回転座標系(d−q軸座標系又は基本波dq座標系ともいう)表示の7次高調波電流指令値のd軸成分であるd軸高調波指令値Id7*、および、そのq軸成分であるq軸高調波指令値Iq7*を演算する。
座標変換回路25は、13次電流指令値発生回路22から入力された13次高調波電流の振幅I13*と位相角(基本波の位相角θを基準として決定する)β13*とにより基本波回転座標系(d−q軸座標系又は基本波dq座標系ともいう)表示の13次高調波電流指令値のd軸成分であるd軸高調波指令値Id13*、および、そのq軸成分であるq軸高調波指令値Iq13*を演算する。この演算は、次に示す数38の演算により行われる。
Figure 0004155152
なお、数38において、θvは、後述する遅れ補償回路(位相補償回路)16から出力されるモータ回転角θを位相補償して得た位相補償回転角信号である。
ただし、上記説明では、回路21、22は、d軸指令値Id*、q軸指令値Iq*と出力すべき高調波指令値の振幅、位相角とのテーブルを記憶したが、この検出した回転角、電圧、電流と、出力すべき高調波指令値の振幅、位相角とのテーブルを記憶しておき、このテーブルに回転角、電圧、電流の検出値を代入して出力すべき高調波指令値の振幅、位相角を演算してもよい。
次に、7次d軸高調波指令値Id7*と13次d軸高調波指令値Id13*とは加算器27により加算されてd軸高調波指令値Id6n+1*とされ、7次q軸高調波指令値Iq7*と13次q軸高調波指令値Iq13*とは加算器28により加算されてq軸高調波指令値Iq6n+1*とされる。もちろん、19次高調波指令値など更に高次の高調波指令値を形成して加算器27、28にて同様に加算してもよい。
このようにして求めたd軸高調波指令値Id6n+1*は加算器3によりd軸基本波指令値Id1*に加算されてd軸指令値Id*とされ、同様に、q軸高調波指令値Iq6n+1*は加算器4によりq軸基本波指令値Iq1*に加算されてq軸指令値Iq*とされる。これにより、簡単な演算により騒音キャンセル電流指令値を決定することができる。すなわち、各次高調波指令値は数38に示すように単一周波数成分だけを演算すればよいので簡単となる。
位置信号処理回路15は、レゾルバ14からの回転角信号に基づいて静止座標
系の回転角θを演算し、遅れ補償回路16および座標変換回路17に出力する。遅れ補償回路16は、位相補償回路であって、位相補償された回転角θvを座標変換回路24、25および後述する座標変換回路9に出力し、これらの回路の演算遅れなどを補償する。座標変換回路17は、電流センサ12で検出されたU相電流IuとV相電流Ivとを座標変換処理することにより、回転座標系表示の電流検出値としてのd軸検出値Idとq軸検出値Iqとを出力する。
減算器5は、上記の演算により求められたd軸指令値Id*からd軸検出値Idを減算して偏差ΔIdを求め、減算器6は、q軸指令値Iq*からq軸検出値Iqを減算して偏差ΔIqを求める。PIアンプ7は、偏差ΔIdを0に収束させるべく偏差ΔIdをPI(比例−積分)増幅して対応するd軸電圧Vdを出力し、PIアンプ8は、偏差ΔIqを0に収束させるべく偏差ΔIqをPI(比例−積分)増幅して対応するq軸電圧Vqを出力する。
座標変換回路9は、入力される位相補償回転角信号θvを用いてこれらの電圧Vd、Vqを回転座標系の三相交流電圧Vu、Vv、Vwに変換し、PWM電圧発生回路10は三相交流電圧Vu、Vv、VwをPWM信号電圧Uu、Uv、Uwに変換し、三相インバータ11は入力されるPWM信号電圧Uu、Uv、Uwに基づいて内蔵の6つのスイッチング素子を断続制御して三相交流電圧を作成し、それを三相同期電動発電機13の各相端子に印加する。上記したモータ制御回路は、高調波指令値発生回路2をのぞいて通常のモータ制御方式と同じであり、この種のPWMフィードバック制御自体はもはや周知であるので、詳細な説明は省略する。これにより、モータにおいて騒音の主要要因となっている6次、12次高調波騒音のレベルを大幅に低減することができる。
(変形態様)
上記した数式を用いた説明では、3、5、7次高調波を含むロータ起磁力Fmagにより生じる6次、12次の磁気音を7次、13次の高調波電流成分の重畳によりキャンセル又は低減する場合を示した。上記と同様の計算を行った結果、ある次数の高調波電流を重畳することにより、少なくともこの次数より1だけ低い次数の磁気騒音、もしくは、この次数より1だけ低い次数の磁気騒音と他の次数の磁気騒音とを低減乃至キャンセルできることがわかった。
たとえば、上記と同様の演算により、18次の磁気音を19次の高調波電流成分の重畳により、24次の磁気音を25次の高調波電流成分の重畳によりキャンセル又は低減することができる。その他、上記説明した式において、6次の磁気音(磁気音)だけをキャンセル乃至低減することもでき、12次のそれだけをキャンセル乃至低減することも、数26、数27、数28の該当項を0とすることにより簡単に実施することができる。これらの結果、三相回転電機において支配的な磁気騒音である6、12、18、24次の磁気騒音を良好に低減することができる。
また、上記数式を用いた説明では、理論説明をわかりやすくするために本来のステータ(電機子電流)としては基本周波数成分だけを想定し、この基本周波数成分にm次、n次の磁気騒音低減用の高調波電流を重畳すると考えた。しかし、一般的に(この実施例の制御を行わない場合)、実際のステータ電流にはロータ起磁力と同様に高調波成分を含むので、数16、数17、数18のステータ電流は、例としてj次、k次、L次を含んだ場合、数39、数40、数41のように表される。従って、これを前述の数式により展開すればロータ起磁力の高調波成分により発生した加振力と同様、元来含有する高調波電流による加振力が発生することは明らかである。従って、本発明で重畳する高調波電流はそれを踏まえて、次数、振幅、位相を決定することで磁気音を低減あるいはキャンセルすることが可能であることは当然である。(これらの数式展開は前述の各式にあてはめてみれはわかるため省略する。)
Figure 0004155152
Figure 0004155152
Figure 0004155152
本来の電機子電流に含まれる高調波電流の次数が低減すべき径方向振動の高調波成分の次数より一つだけ大きい次数である場合には、上記数式にて演算した磁気騒音低減用の高調波電流からこの本来の電機子電流に含まれる高調波電流を減算して本来の電機子電流の基本周波数成分に重畳することが好適である。
また、三相交流回転電機とは異なる多相交流回転電機であっても、ある次数の高調波電流を重畳することにより、この次数より1だけ低い次数の磁気音(磁気音)を低減できるという知見が成立することは、上記各式を相変更に合わせて変更すればわかるであろう。
また、分布巻きと呼ばれる多スロット構成(たとえば毎相毎極2スロット以上の構成)においても、この実施例を適用することができることは当然である。
上記した説明では、ステータ電流Icoilとして静止座標軸(角度θ)を基準に説明を行ったが、ステータ電流Icoilとして回転座標系(d、q軸)を基準として表示することも当然可能である。
その他、電機子電流に重畳すべき磁気騒音低減用の高調波電流を上記数式により算出する代わりに、上記数式の変数パラメータと磁気騒音低減用の所定次数の高調波電流の振幅、位相とのセットをテーブルに記憶しておき、このテーブルに変数パラメータを代入することにより、磁気騒音低減用の高調波電流の振幅、位相を決定することも当然可能である。磁気騒音低減のための上記処理は、専用ハードウエアの他、ソフトウエアを用いても求めることができることは当然である。
多相交流回転電機の一相分の磁気回路を模式図示した図である。 図1の等価磁気回路図である。 本発明の磁気騒音低減型モータ制御回路の例を示すブロック回路図である。 図3のモータコントローラの具体例を示す回路図である。 図3のモータコントローラの具体例を示す回路図である。 図3のモータコントローラの具体例を示す回路図である。 変形例を示すフローチャートである。 実験に用いた三相同期機の模式径方向断面である。 図8の三相同期機の各相電流の波形図(磁気騒音非低減時)である。 図8の三相同期機の各相電流の波形図(磁気騒音低減時)である。 図8の三相同期機の相電流の周波数スペクトル図(磁気騒音非低減時及び磁気騒音低減時)である。 図8の三相同期機の径方向加振力の波形図(磁気騒音非低減時及び磁気騒音低減時)である。 図8の三相同期機の径方向加振力の周波数スペクトル図(磁気騒音非低減時及び磁気騒音低減時)である。 図8の三相同期機の磁気騒音(磁気音)の測定結果(電動時)を示す図である。 図8の三相同期機の磁気騒音(磁気音)の測定結果(発電時)を示す図である。 エンジン走行車両に搭載した三相交流回転電機本来の磁気騒音を好適な条件にて低減する制御動作を示すフローチャートである。 参考例を示すブロック回路図である。 図17示す回路の一例を示すブロック回路図である。 図17における各部信号波形(基本波回転座標系)を示す波形図である。 図17における各部信号波形(静止座標系)を示す波形図である。
符号の説明
4 第1インバータ
5 第2インバータ
6 第1のモータコントローラ
7 第2のモータコントローラ
8 交流回転電機
81 第1相巻線群
82 第2相巻線群

Claims (9)

  1. m(mは3以上の正の整数)相の相巻線を有する電機子巻線を有する交流回転電機と、
    前記各相巻線に所定の基本周波数及び振幅を有する各相電流を個別に通電するモータ電流制御手段と、
    を備えるモータ制御装置において、
    前記各相巻線は、
    相電流通電可能に接続された複数の前記相巻線からそれぞれ構成される第1相巻線群および第2相巻線群に区分され、
    前記モータ電流制御手段は、
    前記相電流の基本周波数成分を主とする各相の基本相電流を形成して前記第1相巻線群に相ごとに通電する第1インバータと、
    前記相電流に起因する磁気騒音低減用の高調波電流を形成して前記第2相巻線群に相ごとに通電する第2インバータと、
    を有することを特徴とする交流回転電機装置。
  2. 請求項1記載の交流回転電機装置において、
    前記第2インバータは、
    前記交流回転電機の回転軸の軸心を中心として放射状に発生する振動である径方向振動のうちの前記基本周波数成分のn次(倍)の高調波成分を減衰させる位相および振幅にて、前記相電流の基本周波数成分のn+1次(倍)の高調波成分を主とする各相の径方向振動低減用高調波電流を前記第2相巻線群に相ごとに通電することを特徴とする交流回転電機の磁気騒音低減方法。
  3. 請求項2記載の交流回転電機装置において、
    前記第2インバータは、
    三相相電流の基本周波数成分に対して7次以上の奇数高調波成分を主とする前記径方向振動低減用高調波電流を形成することを特徴とする交流回転電機装置。
  4. 請求項3記載の交流回転電機装置において、
    前記第2インバータは、
    7次高調波成分を主とする前記径方向振動低減用高調波電流を形成することを特徴とする交流回転電機装置。
  5. 請求項3記載の交流回転電機装置において、
    前記第2インバータは、
    13次高調波成分を主とする前記径方向振動低減用高調波電流を形成することを特徴とする交流回転電機装置。
  6. 請求項3記載の交流回転電機装置において、
    前記第2インバータは、
    7次および13次の高調波成分を主とする前記径方向振動低減用高調波電流を形成することを特徴とする交流回転電機装置。
  7. 請求項記載の交流回転電機装置において、
    前記第2インバータは、
    所定値未満の小出力時において前記径方向振動低減用高調波電流を形成する振動低減運転モードで運転され、所定値以上の大出力時において前記径方向振動低減用高調波電流に代えて、前記相電流の基本周波数成分を主とする各相の基本相電流を形成して前記第2相巻線群に相ごとに通電する出力優先モードで運転されることを特徴とする交流回転電機装置。
  8. 請求項3記載の交流回転電機装置において、
    前記第2インバータは、
    19次の前記径方向振動低減用高調波電流を重畳することにより、18次の周波数を有する前記径方向振動の高調波成分を前記重畳を行わない場合よりも減衰させることを特徴とする交流回転電機装置。
  9. 請求項3記載の交流回転電機装置において、
    前記第2インバータは、
    25次の前記径方向振動低減用高調波電流を重畳することにより、24次の周波数を有する前記径方向振動の高調波成分を前記重畳を行わない場合よりも減衰させることを特徴とする交流回転電機装置。
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