JP4160749B2 - オフセット輪転印刷機におけるテンション維持方法及びそのテンション維持を利用したインキ予備供給方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オフセット輪転印刷機におけるテンション維持方法及びそのテンション維持を利用したインキ予備供給方法に関し、特にインキ予備供給に際しては、印刷用紙がブランケット胴に取られて断紙するのを防止するため印刷用紙にテンションを掛けるが、本発明はこういったテンションを維持する好適な方法を提供すると共にそのテンション維持を利用したインキ予備供給方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オフセット輪転印刷機においては、印刷開始直後から安定した印刷濃度を実現するため、特開平5−96709号公報、及び特開平10−16193号公報などに開示されているように、胴抜きして印刷ユニットを一定速度で空転させ、版胴の特定回転毎にインキ呼び出しローラでインキ元ローラからインキローラへインキを受け渡しし、インキローラ上に画線率に依存しない基準量のインキ膜厚を形成したり、更にその上に絵柄画線率に依存するインキ膜厚を形成したりするインキ予備供給(QSI:Quick Start Inking)が行われている。そしてこのインキ予備供給の際に、印刷用紙がブランケット胴に取られて断紙するのを防ぐため、印刷用紙に一定のテンションをかけて張り、インキ予備供給の間これを維持してブランケット胴に接触するのを防ぐようにしている。しかしながら、従来の主軸(ラインシャフト)を用いたオフセット輪転印刷機には、機構的に印刷機を停止させたままテンションを維持する方法が無く、そのため印刷ユニット前後に印刷用紙のクランピングデバイスを設け、これによってテンションをかけた印刷用紙を保持していた。
【0003】
これを図45に示した従来のシャフトドライブ型オフセット輪転印刷機を例に簡単に説明すると、通常の印刷においては、給紙装置1にセットされた印刷用紙(ウェブ)17が紙引き用のインフィードドラグローラ9とテンション調節用のダンサローラ10などを備えたインフィード部2で引き出され、各色の印刷ユニット31、32、33、34を備えた印刷部で印刷される。そして乾燥部4で印刷インキが乾燥され、クーリング部5で冷却された後ウェブパス部6を通って折機部7で紙折りされ、断裁されて排紙される。そしてこれらの各ユニットは、各ユニットに設けた駆動軸に主軸(ラインシャフト)45からクラッチCを介して駆動力が伝達されるよう構成され、さらにその主軸(ラインシャフト)45は、印刷機制御装置42からの指令によってモータ速度を制御する主機制御装置43で制御される、印刷機全体を駆動できるだけの出力を持った1台のメインモータ44によって駆動されている。そしてこのオフセット輪転印刷機の例えばインフィード部2、クーリング部5、ウェブパス部6、折機部7のそれぞれには、紙引き用のインフィードドラグローラ9、クーリングドラグ11、ウェブパスドラグ12、折機ドラグ13などのドラグローラとそれぞれのドラグローラに対向して紙押さえ用ローラ等が設けられ、これらドラグローラと紙押さえローラによって印刷用紙が送られている。
【0004】
しかしながらこれらドラグローラは、印刷機が停止しているとき、またはクラッチCが切られているときはフリーに回転可能であり、例えテンションを張ったとしても、これらドラグローラや紙押さえローラではせっかく張ったテンションを維持することができない。そのため前記したように、印刷ユニットへの入り口部と出口部、すなわち紙引き用のインフィードドラグローラ9と印刷ユニット31、32、33、34との間、及び印刷ユニット31、32、33、34と乾燥部4との間に、印刷用紙の幅方向をしっかり押さえるようゴム板などを用いたクランピングデバイス40、41を設け、インキ予備供給時にテンションを張った状態を維持できるようにしている。
【0005】
そして、このように構成された従来のオフセット輪転印刷機においては、インキ予備供給に際してまず印刷機を緩動速運転し、印刷用紙にテンションを付与すると共にテンション検出装置8でテンションを検出して所定のテンションになったら印刷機をゆっくり停止させ、クランピングデバイス40、41によって印刷用紙にテンションをかけた状態を維持しながら押さえてやる。そして、前記したように胴抜きして印刷ユニット31、32、33、34を一定速度で空転させ、版胴の特定回転毎にインキ呼び出しローラでインキ元ローラからインキローラへインキを受け渡しし、図6に示したように、インキローラ上に画線率に依存しない基準量のインキ膜厚50や、絵柄画線率に依存するインキ膜厚51を形成する。
【0006】
なおこのインキ予備供給は、通常のイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のみを使い、前ジョブ終了時に前ジョブの絵柄画線率に依存するインキ膜厚51を刷り減らしした場合は絵柄画線率に依存するインキ膜厚51だけを復元すればよいが、特色などの印刷を行うためにインキローラを洗浄した場合、インキローラ上には画線率に依存しない基準量のインキ膜厚50と、絵柄画線率に依存するインキ膜厚51の両方を復元する必要があり、この場合は他のインキローラに比べて長時間のインキ予備供給を行う必要がある。しかしながら、従来のシャフトドライブ型オフセット輪転印刷機においては、個々の印刷ユニット31、32、33、34は主軸(ラインシャフト)45から駆動力が伝達される駆動軸で駆動されており、印刷ユニットの運転時(空転時含む)にクラッチCを切って駆動力を切り離すことはできない。そのため、印刷ユニット31、32、33、34の空転時間を別々に制御する方法がなく、特定の印刷ユニットのみを残して他の印刷ユニットのクラッチCを切り、残した印刷ユニットのインキローラに画線率に依存しない基準量のインキ膜厚50を形成した後すべての印刷ユニットのクラッチCを入れ、絵柄画線率に依存するインキ膜厚51を復元するなどの時間と手間のかかる方法を取っていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記したこのクランピングデバイス40、41は、幅の広い印刷用紙を幅方向にわたってしっかり保持する必要があり、大型になると共に高価である。また、クランピングデバイス40、41上にほこりや紙粉が付いたりすると印刷用紙が滑り、せっかく与えたテンションを維持できないという現象が生じたりするので定期的な掃除が必要で、メンテナンス性が悪い。さらにインキ予備供給にあっても個々の印刷ユニットの空転時間を別々に制御できないということは、前記したようにインキ予備供給に時間がかかり、印刷の前準備が煩雑化すると共に時間を要することになる。しかし前記特開平5−96709号公報、及び特開平10−16193号公報などには、単にインキ予備供給のことが記されているだけで、こういったことに対処する方法は示されていない。
【0008】
そのため本発明においては、高価なクランピングデバイスのような機構を用いること無く印刷用紙に与えられたテンションを維持する方法を提供することが第1の課題であり、そしてこのテンション維持方法を用いて印刷ユニット毎に個別にインキ予備供給を行えるようにする方法を提供することが第2の課題である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記第1の課題を解決するため請求項1に記載した発明は、
オフセット輪転印刷機を構成する各ユニット毎に対応して設けられたサーボモータで駆動され、対向して設置した紙押さえ用ローラと協動して印刷用紙を送る紙引き用ドラグローラを備えたオフセット輪転印刷機における印刷用紙に与えたテンションの維持方法であって、
前記紙押さえ用ローラは印刷機が停止している状態ではドラグローラから離れており、前記印刷用紙にテンションを与え、該テンションが所定値に達したとき、該テンションを維持するために前記紙押さえ用ローラで印刷用紙を前記ドラグローラに押さえると共に前記ドラグローラを駆動するサーボモータにスピード0を指示し、前記紙押さえ用ローラで印刷用紙を押しつけて前記テンションを前記所定値に維持することを特徴とする。
又請求項2記載の発明は、オフセット輪転印刷機を構成する各ユニット毎に対応して設けられたサーボモータで駆動され、対向して設置した紙押さえ用ローラと協動して印刷用紙を送る紙引き用ドラグローラを備えたオフセット輪転印刷機における印刷用紙に与えたテンションの維持方法であって、
前記紙押さえ用ローラは印刷機が停止している状態ではドラグローラから離れており、前記印刷用紙にテンションを与えるときには前記紙押さえ用ローラで印刷用紙を前記ドラグローラに押し付けると共に、印刷用紙に与える所定値のテンションに対応したトルクを制御目標値として前記ドラグローラ駆動用サーボモータをトルク制御駆動し、該トルクが前記制御目標値に達したことを検出した時、前記ドラグローラ駆動用サーボモータにスピード0を指示し、前記テンションを前記所定値に維持することを特徴とする。
【0010】
このように紙引き用のドラグローラと紙押さえローラを用い、テンションが所定値になった時に紙押さえローラで印刷用紙を押さえる、あるいは紙押さえローラで印刷用紙を押さえ、ドラグローラによってテンション付与すると共にテンションが所定値になったことを検出し、サーボモータのスピードを0とすることにより、サーボモータは印刷用紙に対してブレーキになって付与されたテンションが弛むことが無く、クランピングデバイスなどの特別な装置を設けることなく印刷用紙にかけたテンションを維持することができ、安価で確実なオフセット輪転印刷機における印刷用紙のテンション維持方法を提供することができる。
【0011】
そして前記請求項1又は2記載の発明のテンション維持のための紙押さえは、請求項3、6に記載したように、
前記ドラグローラに接触させる紙押さえ用ローラが、オフセット輪転印刷機を構成する印刷部を挟んで設けられたインフィード部とクーリング部における二つのドラグローラに対向して設置された紙押さえ用ローラであることを特徴とする。
【0012】
このように、インフィード部とクーリング部で紙押さえしてテンションを維持することによって、印刷部に最も近い位置でテンションを維持することができ、テンションを確実に維持することができる。
【0013】
そして前記発明テンションの維持方法利用した本発明におけるインキ予備供給は、請求項4に記載したように、オフセット輪転印刷機を構成する各ユニット毎に対応して設けられたサーボモータで駆動され、対向して設置した紙押さえ用ローラと協動して印刷用紙を送る紙引き用ドラグローラを有し、各色に対応した複数の印刷ユニットにおけるインキローラに、印刷ユニット毎に異なるインキ量を予備供給できるようにしたオフセット輪転印刷機におけるインキ予備供給方法であって、
前記紙押さえ用ローラは印刷機が停止している状態ではドラグローラから離れており、前記印刷用紙にテンションを与え、該テンションが所定値に達したとき、該テンションを維持するために前記紙押さえ用ローラで印刷用紙を押さえると共に前記ドラグローラを駆動するサーボモータにスピード0を指示し、前記各印刷ユニット毎に設定したインキ予備供給量に対応した時間だけ前記各印刷ユニット毎のサーボモータを駆動してインキ予備供給を行うことを特徴とするオフセット輪転印刷機におけるインキ予備供給方法にあり、
又請求項5に記載したように、オフセット輪転印刷機を構成する各ユニット毎に対応して設けられたサーボモータで駆動され、対向して設置した紙押さえ用ローラと協動して印刷用紙を送る紙引き用ドラグローラを有し、各色に対応した複数の印刷ユニットにおけるインキローラに、印刷ユニット毎に異なるインキ量を予備供給できるようにしたオフセット輪転印刷機におけるインキ予備供給方法であって、
前記紙押さえ用ローラは印刷機が停止している状態ではドラグローラから離れており、前記印刷用紙にテンションを与えるときには前記紙押さえ用ローラで印刷用紙を押さえると共に、印刷用紙に与える所定値のテンションに対応したトルクを制御目標値として前記ドラグローラ駆動用サーボモータをトルク制御駆動し、該トルクが前記制御目標値に達したことを検出したとき、前記ドラグローラ駆動用サーボモータにスピード0を指示して前記テンションを前記所定値に維持し、前記各印刷ユニット毎に設定したインキ予備供給量に対応した時間だけ前記各印刷ユニット毎のサーボモータを駆動してインキ予備供給を行うことを特徴とする。
【0014】
このように前記したテンション維持方法でテンションを維持し、それによってインキ予備供給を実施することにより、各印刷ユニットは個別のサーボモータで駆動されているからユニット毎にインキ予備供給時間を制御することができ、特定のインキローラを洗浄したことによって画線率に依存しない基準量のインキ膜厚と絵柄画線率に依存するインキ膜厚の両方を形成せねばならぬ場合でも、一回の印刷ユニット空転で予備供給が可能となり、従来のように画線率に依存しない基準量のインキ膜厚の形成と絵柄画線率に依存するインキ膜厚の形成を別個に行うなどの煩雑で時間のかかる方法を取らずに済み、またテンション維持も、前記したようにクランピングデバイスなどの高価な装置を用いる必要がないからオフセット輪転印刷機を安価に、簡単に構成できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を例示的に詳しく説明する。但し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りはこの発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0016】
図1は、本発明になるテンション維持方法及びそのテンション維持を利用したインキ予備供給方法を実施するオフセット輪転印刷機の構成概略を示した図、図2は本発明になるテンション維持方法及びそのテンション維持を利用したインキ予備供給方法を実施するオフセット輪転印刷機のドラグローラと紙押さえローラの動作を示した図、図3、図4は本発明になるテンション維持方法及びそのテンション維持を利用したインキ予備供給方法のフロー図であり、図3は本発明の第1の実施形態を、図4は本発明の第2の実施形態を示したものである。
【0017】
図中、図5に示した従来のシャフトドライブ型オフセット輪転印刷機と同様な構成要素には同一番号を付した。1は給紙装置、2はインフィード部、31、32、33、34は各色の印刷ユニット、4は乾燥部、5はクーリング部、6はウェブパス部、7は折機部、8はテンション検出装置、9はインフィード部2の紙引き用インフィードドラグローラ、10はテンション制御のためのダンサローラ、11はクーリング部5のクーリングドラグローラ、12はウェブパス部6のウェブパスドラグローラ、13は折機部7の折機ドラグローラ、14、15は前記インフィード部2から折機部7までの各ユニットを個別に駆動するためのサーボモータMをアンプ(AMP)を介して制御するモータ制御装置、16は印刷機全体を制御する印刷機制御装置、17は印刷用紙(ウェブ)であり、図2において20はドラグローラ、21は紙押さえローラである。
【0018】
最初にこの図1に示したオフセット輪転印刷機の動作を簡単に説明すると、給紙装置1にセットされた印刷用紙(ウェブ)17が紙引き用のドラグローラ9とテンション調節用のダンサローラ10などを備えたインフィード部2で引き出され、各色の印刷ユニット31、32、33、34を備えた印刷部で印刷される。そして乾燥部4で印刷インキが乾燥され、クーリング部5で冷却された後ウェブパス部6を通って折機部7で紙折りされ、断裁されて排紙される。そしてこれらの各ユニットは、各ユニットに対応して設けたサーボモータMで個別に駆動できるようにされ、さらにこれらのサーボモータMは、例えばインフィード部2と各色の印刷ユニット31、32、33、34に対応したサーボモータMはモータ制御装置14で、クーリング部5、ウェブパス部6、折機部7に対応したサーボモータMはモータ制御装置15で制御される。そしてこのモータ制御装置14、15は、全てのサーボモータを同期させて駆動するため高速通信回線でつながれ、さらに印刷機全体を制御する印刷機制御装置16の制御を受けている。
【0019】
そしてこのオフセット輪転印刷機における例えばインフィード部2、クーリング部5、ウェブパス部6、折機部7のそれぞれには、紙引き用のインフィードドラグ9、クーリングドラグ11、ウェブパスドラグ12、折機ドラグ13などのドラグローラとそれぞれのドラグローラに対向して紙押さえ用ローラが設けられ、これらドラグローラと紙押さえローラによって印刷用紙が送られる。このドラグローラは図2に示したように、前記サーボモータMの駆動力を受けて回転するドラグローラ20とこのドラグローラ20に対向して配置された紙押さえローラ21とで構成され、この紙押さえローラ21は、印刷機が停止している状態ではこの図2(A)のようにドラグローラ20から離れ、印刷が開始されると図2(B)のように印刷用紙17をドラグローラ20に押しつける。そしてこの印刷用紙17をドラグローラ20との摩擦力で紙引きし、紙押さえローラ21自身は印刷用紙17の走行に合わせて連れ廻りする。
【0020】
このように構成したオフセット輪転印刷機において、前記したように印刷用紙17にテンションを与えてインキ予備供給をする場合、まず図3に示した第1の実施形態では、ステップS31で印刷機制御装置16がモータ制御装置14、15に指示し、各ユニットに対応したサーボモータMをテンション付与のモードで回転させて印刷用紙17にテンションを与える。このテンション付与方法にはいろいろな方法があり、例えばインフィード部2、クーリング部5を折機部7の周速と異ならせて運転し、その周速差でテンションを張る方法、インフィード部2、クーリング部5、ウェブパス部6、折機部7で前記図2の(B)に示したように紙押さえローラ21をドラグローラ20に押しつけて順次紙押さえし、ジョグ駆動することによって給紙部1から供給されて印刷部3内で弛んだ印刷用紙を折機部7へ送り出す方法、給紙部1のブレーキにモータを使った回生ブレーキを用いている場合は、インフィード部2、またはクーリング部5における紙押さえローラ21とドラグローラ20で紙押さえし、給紙部1のモータを逆回転させると共に折機部7で紙送りすることで、印刷部3の両側で紙引きしてテンションを付与する方法などがある。
【0021】
そしてこのようにしてテンションが付与されると、印刷機制御装置16はステップS32で、インフィード部2、クーリング部5などに設けられた図示していないテンション検出装置で印刷用紙17のテンションを検出し、テンションが所定の値になったかどうかを判断して所定の値でない場合はステップS31に戻り、所定の値になった場合はステップS33でサーボモータをゆっくり回しながら停止させる。そしてステップS34でサーボモータMの速度を0と指示し、合わせて図2に示したような紙押さえローラ21で印刷用紙17をドラグローラ20に押しつける。このようにサーボモータMの速度を0と指示すると、サーボモータMは印刷用紙17に対してブレーキとなり、テンションを与えられた印刷用紙17のテンションは弛むことがない。そしてステップS35で紙押さえが終わったかどうか判断し、終わっていない場合はステップS34に戻り、終わった場合はステップS36に進む。
【0022】
そしてこのステップS36で印刷機制御装置16は、インキ予備供給における印刷ユニット31、32、33、34の空転速度、予備供給時間などのパラメータを取得し、ステップS37でこの速度をモータ制御装置14に設定する。そして印刷ユニット31、32、33、34に対応したサーボモータMを回転させ、ステップS38でこれら印刷ユニット31、32、33、34の空転速度が設定した速度に達したかどうかを判断し、達していない場合は加速を続けると共に達した場合はステップS39に進んでインキ予備供給を開始する。
【0023】
このインキ予備供給は前記図6で説明したように、前ジョブの刷り減らしが行われ、インキ供給ローラに絵柄画線率に依存しない基準量のインキ膜厚50のみが形成されている場合は絵柄画線率に依存するインキ膜厚51を形成すれば良く、例えば前ジョブで特色が使われたりしてインキ供給ローラが洗浄された場合は、絵柄画線率に依存しない基準量のインキ膜厚50と絵柄画線率に依存するインキ膜厚51の両方を形成する必要がある。そしてこの場合は、絵柄画線率に依存しない基準量のインキ膜厚50を最初に形成し、その後絵柄画線率に依存するインキ膜厚51を形成する二段階形成と、一回の形成で両方のインキ膜厚に相当するインキ量を供給する簡易予備供給とがある。絵柄画線率に依存しない基準量のインキ膜厚50の形成と絵柄画線率に依存するインキ膜厚51の形成は、それぞれインキキー開度を異ならせて別個に行わないと正確な膜厚形成ができないが、簡易予備供給でも、全く予備供給をしない場合よりは正確な膜厚に達するまでの時間が早いため、精度が要求されない場合は用いられる。
【0024】
そして本発明においては、前記したように各印刷ユニット31、32、33、34にはそれぞれ対応した駆動モータMが設けられているから、インキ予備供給はそれぞれの印刷ユニット31、32、33、34で別個に行うことができる。従って前記二段階形成でも簡易予備供給でも他の印刷ユニットに影響されずに行うことができ、従来のように二段階形成を行う以外の印刷ユニットのクラッチを切ったりすることなく、簡単に行うことができる。
【0025】
こうしてインキ予備供給が行われると印刷機制御装置16は、次のステップS40で各印刷ユニット31、32、33、34毎に前記ステップS36で取得したインキ予備供給時間に達したかどうかを判断し、達した場合はステップS41に進んで印刷ユニットの駆動を停止し、インキ予備供給を停止する。そして全ての印刷ユニットの駆動が停止されるとインキ予備供給が終了し、紙押さえも開放されてインキ予備供給動作が終了する。
【0026】
このように紙引き用に対向して設置されたドラグローラと紙押さえローラを使い、紙押さえローラで印刷用紙を押さえると共にサーボモータのスピードを0とすることにより、サーボモータは印刷用紙に対してブレーキになって付与されたテンションが弛むことが無く、クランピングデバイスなどの特別な装置を設けることなく印刷用紙にかけたテンションを維持することができ、安価で確実なオフセット輪転印刷機における印刷用紙のテンション維持方法を提供することができる。
【0027】
またインキ予備供給に当たっても、各印刷ユニットは個別のサーボモータで駆動されているから、前記したテンション維持方法でテンションを維持し、ユニット毎にインキ予備供給時間を全く別個に制御することができる。従って、特定のインキローラを洗浄したことによって画線率に依存しない基準量のインキ膜厚と絵柄画線率に依存するインキ膜厚の両方を形成せねばならぬ場合でも一回の空転で予備供給を行うことができ、従来のようにクラッチを入れたり外したりという繁雑な作業やインキ予備供給にかかる時間を削減し、合わせてテンション維持も、前記したようにクランピングデバイスなどの高価な装置を用いる必要がないから、オフセット輪転印刷機を安価に、簡単に構成できる。
【0028】
以上が本発明になるオフセット輪転印刷機におけるテンション維持方法及びそのテンション維持を利用したインキ予備供給方法の第1の実施形態であるが、更に図4を用いて本発明の第2の実施形態について説明する。前記した第1の実施形態においては、テンションを与えた後に紙押さえローラで印刷用紙を押さえてテンションを維持するように説明してきたが、第2の実施形態においては、最初にインフィードドラグローラ9とクーリングドラグローラ11の紙押さえローラで印刷用紙を押さえ、インフィードドラグローラ9を駆動するサーボモータにはゼロ速度指令(スピード0)を、クーリングドラグローラ11を駆動するサーボモータには定トルク運転指令を与えるものである。なお、前述した第1の実施形態における(図3)インキ予備供給に関するステップS36からステップS41までは、この図4に示した第2の実施形態においても全く同一動作なので同一ステップ番号を付した。
【0029】
この第2の実施形態においては、まずステップS61、62において、前記したようにインフィードドラグローラ9とクーリングドラグローラ11の紙押さえローラで印刷用紙を押さえ(紙押さえ着)、そして次のステップS63でインフィードドラグローラ9を駆動するサーボモータの目標速度を0に設定する。そしてステップS64でクーリングドラグローラ11を駆動するサーボモータを、印刷用紙が所定の値のテンションとなるように目標トルクを定めて定トルク運転する。すなわち、インフィード部2からクーリング部5の間における印刷用紙のテンションが所定の値に達したとき、トルクが制御目標値に達するよう設定してクーリングドラグローラ11を駆動するサーボモータの定トルク運転を実施するわけである。
【0030】
するとクーリングドラグローラ11は、インフィード部2からクーリング部5の間における印刷用紙をウェブパス6に送り出し、インフィード部2からクーリング部5の間における印刷用紙のテンションが所定の値に達したときに回転を停止する。そこでこの状態をステップS65で検出し、インフィードドラグローラ9を駆動するサーボモータにはゼロ速度指令(スピード0)を指示する。そのため印刷用紙は与えられたテンションを維持するから、次のステップS36からステップS41において、前記図3における説明のようにこの用紙送り速度0、かつ、該テンションを維持している状態で、印刷ユニットを空転してインキ予備供給動作を行えば良い。
【0031】
このように紙押さえローラで印刷用紙を押さえ、ドラグローラによってテンション付与すると共にテンションが所定値になったことを検出してサーボモータのスピードを0とすることにより、サーボモータは印刷用紙に対してブレーキになって付与されたテンションが弛むことが無く、クランピングデバイスなどの特別な装置を設けることなく印刷用紙にかけたテンションを維持することができ、安価で確実なオフセット輪転印刷機における印刷用紙のテンション維持方法、及び維持されたテンションの元にインキ予備供給を行なう方法を提供することができる。
【0032】
【発明の効果】
以上記載の如く請求項1及び2に記載した本発明によれば、紙引き用のドラグローラと紙押さえローラを用い、テンションが所定値になった時に紙押さえローラで印刷用紙を押さえる、あるいは紙押さえローラで印刷用紙を押さえ、ドラグローラによってテンション付与すると共にテンションが所定値になったことを検出し、サーボモータのスピードを0とすることにより、サーボモータは印刷用紙に対してブレーキになって付与されたテンションが弛むことが無く、クランピングデバイスなどの特別な装置を設けることなく印刷用紙にかけたテンションを維持することができ、安価で確実なオフセット輪転印刷機における印刷用紙のテンション維持方法を提供することができる。
【0033】
そして請求項3に記載した本発明によれば、インフィード部とクーリング部で紙押さえしてテンションを維持することによって、印刷部に最も近い位置でテンションを維持することができ、テンション維持を確実に行うことができる。
【0034】
そして請求項4及び5に記載した本発明によれば、前記したテンション維持方法でテンションを維持し、それによってインキ予備供給を実施することにより、各印刷ユニットは個別のサーボモータで駆動されているからユニット毎にインキ予備供給時間を制御することができ、特定のインキローラを洗浄したことによって画線率に依存しない基準量のインキ膜厚と絵柄画線率に依存するインキ膜厚の両方を形成せねばならぬ場合でも印刷ユニットの一回の空転で予備供給でき、従来のように画線率に依存しない基準量のインキ膜厚の形成と絵柄画線率に依存するインキ膜厚の形成を別個に行うなどの煩雑で時間のかかる方法を取らずに済み、またテンション維持も、前記したようにクランピングデバイスなどの高価な装置を用いる必要がないからオフセット輪転印刷機を安価に、簡単に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明になるテンション維持方法及びそのテンション維持を利用したインキ予備供給方法を実施するオフセット輪転印刷機の構成概略を示した図である。
【図2】 本発明になるテンション維持方法及びそのテンション維持を利用したインキ予備供給方法を実施するオフセット輪転印刷機のドラグローラと紙押さえローラの動作を示した図である。
【図3】 本発明になるテンション維持方法の第1実施形態及びそのテンション維持を利用したインキ予備供給方法のフロー図である。
【図4】 本発明になるテンション維持方法の第2実施形態及びそのテンション維持を利用したインキ予備供給方法のフロー図である。
【図5】 従来のシャフトドライブ型オフセット輪転印刷機の構成を説明するための図である。
【図6】 インキ予備供給でインキローラ上へ形成するインキ膜厚を説明するための図である。
【符号の説明】
1 給紙装置
2 インフィード部
31、32、33、34 印刷ユニット
4 乾燥部
5 クーリング部
6 ウェブパス部
7 折機部
8 テンション検出装置
9 インフィードドラグローラ
10 ダンサローラ
11 クーリングドラグローラ
12 ウェブパスドラグローラ
13 折機ドラグローラ
17 印刷用紙(ウェブ)
M サーボモータ
Claims (6)
- オフセット輪転印刷機を構成する各ユニット毎に対応して設けられたサーボモータで駆動され、対向して設置した紙押さえ用ローラと協動して印刷用紙を送る紙引き用ドラグローラを備えたオフセット輪転印刷機における印刷用紙に与えたテンションの維持方法であって、
前記紙押さえ用ローラは印刷機が停止している状態では前記ドラグローラから離れており、前記印刷用紙にテンションを与え、該テンションが所定値に達したとき、該テンションを維持するために前記紙押さえ用ローラで印刷用紙を押さえると共に前記ドラグローラを駆動するサーボモータにスピード0を指示し、前記紙押さえ用ローラで印刷用紙を押しつけて前記テンションを前記所定値に維持することを特徴とするオフセット輪転印刷機における印刷用紙のテンション維持方法。 - オフセット輪転印刷機を構成する各ユニット毎に対応して設けられたサーボモータで駆動され、対向して設置した紙押さえ用ローラと協動して印刷用紙を送る紙引き用ドラグローラを備えたオフセット輪転印刷機における印刷用紙に与えたテンションの維持方法であって、
前記紙押さえ用ローラは印刷機が停止している状態では前記ドラグローラから離れており、前記印刷用紙にテンションを与えるときには前記紙押さえ用ローラで印刷用紙を前記ドラグローラに押し付けると共に、印刷用紙に与える所定値のテンションに対応したトルクを制御目標値として前記ドラグローラ駆動用サーボモータをトルク制御駆動し、該トルクが前記制御目標値に達したことを検出した時、前記ドラグローラ駆動用サーボモータにスピード0を指示し、前記テンションを前記所定値に維持することを特徴とするオフセット輪転印刷機における印刷用紙のテンション維持方法。 - 前記ドラグローラに接触させる紙押さえ用ローラが、オフセット輪転印刷機を構成する印刷部を挟んで設けられたインフィード部とクーリング部における二つの前記ドラグローラに対向して設置された紙押さえ用ローラであることを特徴とする請求項1若しくは2に記載したオフセット輪転印刷機における印刷用紙のテンション維持方法。
- オフセット輪転印刷機を構成する各ユニット毎に対応して設けられたサーボモータで駆動され、対向して設置した紙押さえ用ローラと協動して印刷用紙を送る紙引き用ドラグローラを有し、各色に対応した複数の印刷ユニットにおけるインキローラに、印刷ユニット毎に異なるインキ量を予備供給できるようにしたオフセット輪転印刷機におけるインキ予備供給方法であって、
前記紙押さえ用ローラは印刷機が停止している状態では前記ドラグローラから離れており、前記印刷用紙にテンションを与え、該テンションが所定値に達したとき、該テンションを維持するために前記紙押さえ用ローラで印刷用紙を押さえると共に前記ドラグローラを駆動するサーボモータにスピード0を指示し、前記紙押さえ用ローラで印刷用紙を前記ドラグローラに押しつけて前記テンションを前記所定値に維持し、前記各印刷ユニット毎に設定したインキ予備供給量に対応した時間だけ前記各印刷ユニット毎のサーボモータを駆動してインキ予備供給を行うことを特徴とするオフセット輪転印刷機におけるインキ予備供給方法。 - オフセット輪転印刷機を構成する各ユニット毎に対応して設けられたサーボモータで駆動され、対向して設置した紙押さえ用ローラと協動して印刷用紙を送る紙引き用ドラグローラを有し、各色に対応した複数の印刷ユニットにおけるインキローラに、印刷ユニット毎に異なるインキ量を予備供給できるようにしたオフセット輪転印刷機におけるインキ予備供給方法であって、
前記紙押さえ用ローラは印刷機が停止している状態では前記ドラグローラから離れており、前記印刷用紙にテンションを与えるときには前記紙押さえ用ローラで印刷用紙を前記ドラグローラに押しつけると共に、印刷用紙に与える所定値のテンションに対応したトルクを制御目標値として前記ドラグローラ駆動用サーボモータをトルク制御駆動し、該トルクが前記制御目標値に達したことを検出したとき、前記ドラグローラ駆動用サーボモータにスピード0を指示して前記テンションを前記所定値に維持し、前記各印刷ユニット毎に設定したインキ予備供給量に対応した時間だけ前記各印刷ユニット毎のサーボモータを駆動してインキ予備供給を行うことを特徴とするオフセット輪転印刷機におけるインキ予備供給方法。 - 前記ドラグローラに接触させる紙押さえ用ローラが、オフセット輪転印刷機を構成する印刷部を挟んで設けられたインフィード部とクーリング部における二つの前記ドラグローラに対向して設置された紙押さえ用ローラであることを特徴とする請求項4若しくは5に記載したオフセット輪転印刷機におけるインキ予備供給方法。
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