JP4172092B2 - 光応答型トランジスタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、光信号を電気信号に変換するための光応答型トランジスタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光信号を電気信号に変換する半導体受光能動素子として、従来よりInP系のへテロ接合フォトトランジスタが提案されている(特開平5一275730号公報、特開平5一304165号公報、特開平5一95130号公報等)。この構造の一例を図15に示す。図15において、InP基板101上に、n型のInPまたはn型のInGaAs層102、n型のInGaAs層103、p型のInGaAs層104、n型のInPもしくはInGaAs層105が順に積層されている。n型のInGaAs層103がトランジスタのコレクタ部となり、InGaAs層103の上面の一部にコレクタ電極106が配置されている。また、p型のInGaAs層104がトランジスタのべース部となり、InGaAs層104の上面の一部にベース電極107が配置されている。さらに、n型のInPもしくはInGaAs層105がトランジスタのエミッタ部となり、InPもしくはInGaAs層105の上面にエミッタ電極108が配置されている。各電極106,107,108はオーミック接触している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなバイポーラ型のフォトトランジスタではp型とn型領域を形成するために、電子が走行する層における電子の不純物散乱が大きく、バルク結晶の物性で決定されるキャリアの移動度が非常に小さくなってしまう。すなわち、高速動作が制限されるという問題がある。さらに、光吸収によって生じた電子とホールを光電流として外部に取り出すために、その感度が小さいという問題があった。
【0004】
そこで、この発明の目的は、新規な構成にて光に対して高速動作させるとともに感度性能を向上させることができる光応答型トランジスタを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、基板の上に、電子移動度が高い半導体による電子蓄積層および電子供給層が配置されるとともに、ゲートコンタクト層にショットキー接合するゲート電極が配置され、ゲート電極への印加電圧によって前記電子蓄積層中の電子数を制御する光応答型トランジスタであって、ゲートコンタクト層の内部に、所定の光を吸収する光吸収用半導体層を配置したことを特徴としている。また、請求項4に記載の発明は、電子移動度が高い半導体による電子蓄積層および電子供給層が配置されるとともに、ゲートコンタクト層にショットキー接合するゲート電極が配置され、ゲート電極への印加電圧によって前記電子蓄積層中の電子数を制御する光応答型トランジスタであって、ゲートコンタクト層の内部に、所定の光を吸収するための多重量子井戸構造の光吸収用多層膜を配置したことを特徴としている。
【0006】
この請求項1または4に記載のようなへテロ接合型フォトトランジスタは、電子供給層と電子蓄積層が分離した高電子移動度トランジスタを受光素子として用いており、電子蓄積層での不純物によるキャリアの散乱が少ない。一般的に高電子移動度トランジスタではゲート金属とのショットキー接合により生じる空乏層容量をゲート電極に印加する電圧によって制御し、ドレイン電流の変化として外部に電波信号を取り出しているが、例えば、ゲート電極に、ある周波数を持った電波信号を入射するとゲート直下の空乏層容量はその周期にしたがって変化する。すると、その空乏層変化がドレイン電流の振動として外部に取り出せる。
【0007】
つまり、光照射によってゲート電極に印加されている電圧を変調させることができれば外部に電波を取り出すフォトトランジスタ効果を生じさせることが可能となる。
【0008】
それには、光応答型トランジスタのゲートコンタクト層に所定の光を吸収するような光吸収層を挿入すれば、高速フォトトランジスタが実現できる。
光吸収層を挿入したトランジスタは、光を入射すると、例えば図2に示すように、光吸収用半導体層または光吸収用多層膜に吸収され、同領域において電子とホールを生成する。生成した電子とホールは直ちにショットキー接合によるエネルギーバンドの傾きおよびゲート印加電圧によって、電子は電子蓄積層側、ホールはゲート電極側へ移動する。しかし、電子とホールの双方ともゲートコンタクト層と光吸収用半導体層または光吸収用多層膜による井戸型ポテンシャルによって、それぞれ電子蓄積層、ゲート電極に達することができず、光吸収用半導体層または光吸収用多層膜のゲート電極側と電子蓄積層側に局在する。すると、電子とホールはそれらの領域に電子は負の空間電荷を、また、ホールは正の空間電荷を形成し、ゲート電極に正電圧を印加した際と同様な効果を生む。つまり、電子蓄積層の電子の数を制御することができ、例えば、強度変調された光信号を照射した際には、電流振動が生じ、外部に電波を取り出すことができる。
【0009】
また、感度の小さい光電流を直接外部に取り出しているのではなく、光強度によってゲートのショットキーレベルを調整できるため、従来のバイポーラ型フォトトランジスタに比べ、大きい感度が期待できる。
【0010】
また、移動度の高い電子の伝導を利用するため高速度な光変調に対してその応答性が高い。
ここで、請求項2に記載のように、請求項1に記載の光応答型トランジスタにおいて前記光吸収用半導体層は、ゲート電極側ほど禁制帯幅が広くなっているものとしたり、請求項3に記載のように、前記光吸収用半導体層は、In1-x Gax As(x<0.7)で形成され、ゲート電極側ほどx値が大きくなっているものとすると、実用上好ましい。
【0011】
また、請求項5に記載のように、請求項4に記載の光応答型トランジスタにおいて前記光吸収用多層膜は、ゲート電極側の光吸収層ほど禁制帯幅が広くなっているものとしたり、請求項6に記載のように、前記光吸収用多層膜は、In0.52Al0.48As/In1-x Gax As(x<0.7)で形成され、ゲート電極側の層ほどx値が大きくなっているものとすると、実用上好ましい。
【0012】
また、請求項7,8に記載のように、前記光吸収用半導体層または光吸収用多層膜におけるゲート電極側界面部と基板側界面部の少なくともいずれか一方に、ゲートコンタクト層および光吸収用半導体層または光吸収用多層膜より禁制帯幅が広いバリア層を配置すると、キャリアの拡散を防止できるため実用上好ましい。
【0013】
請求項9に記載のように、前記バリア層は、In1-x Alx As(x>0.48)よりなるものとしてもよい。
請求項10,11に記載のように、前記電子蓄積層よりも上で、かつ、前記光吸収用半導体層または光吸収用多層膜よりも下に、反射層を設けたることもでき、さらに、請求項12のように、前記反射層は、多層膜よりなるものとしたり、請求項13のように、前記多層膜は、InAs/AlAsのへテロ接合を有するものとすることができる。あるいは、請求項14に記載のように、前記反射層は、超格子であるとしてもよい。
【0014】
また、請求項15に記載のように、電子蓄積層の下に不純物ドープ層を配置することもできる。
また、請求項16,17のように、前記ゲート電極とソース電極の間、および、ゲート電極とドレイン電極の間において前記光吸収用半導体層または光吸収用多層膜を電気的に遮断するもできる。このとき、請求項18のように、溝により電気的に遮断することができる。
【0015】
請求項19に記載のように、ゲート電極に受光回路形成用高周波伝送線路が接続され、ドレイン電極側に、受光回路形成用のスタブおよび高周波伝送線路からなる整合回路を接続してもよい。このようにすることにより、例えば強度変調された光を照射した場合に、所望の周波数を有する信号だけを感度よく取り出すことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、この発明を具体化した第1の実施の形態を図面に従って説明する。
【0017】
図1には、本実施の形態における光応答型トランジスタの断面図を示す。
半絶縁性InP基板11の上に、i−In0.52Al0.48Asバッファ層12が積層され、その上に電子移動度が高い半導体によるi−In0.80Ga0.20As電子蓄積層13が積層されている。なお、電子蓄積層13はIn0.53Ga0.47Asでもよい。電子蓄積層13の上にはi−In0.52Al0.48As層15が積層されている。ただし、i−In0.52Al0.48As層15の中にはSiによってδドープされた電子供給層(δドープ層)14が配置されている。なお、δドープ層14は電子蓄積層13の下層に形成してもよい。さらに、i−In0.52Al0.48As層15の上には、例えば波長が1.55μmの赤外光に対する光吸収層となるi−In0.53Ga0.47As層16が積層されている。この光吸収用半導体層16の上には、i−In0.52Al0.48As層17が積層されている。
【0018】
このように、本実施形態では、i−In0.52Al0.48As層15とi−In0.52Al0.48As層17によりゲートコンタクト層を構成しており、ゲートコンタクト層15,17の内部に、所定の光を吸収する光吸収用半導体層16を配置している。
【0019】
i−In0.52Al0.48As層17上には、n型のIn0.53Ga0.47Asからなるキャップ層18が積層されている。キャップ層18の上面にはソース電極20およびドレイン電極22がオーム特性を示すように形成されている。また、ゲート電極19はショットキー接合をするようにキャップ層18をエッチングによって削り、In0.52Al0.48Asゲートコンタクト層17と接触させている。このゲート電極19への印加電圧によって電子蓄積層13中の電子数を制御することができる。
【0020】
なお、電極部以外は窒化シリコンや酸化シリコンなどの絶縁膜21によって被覆されている。
図15に示したInP系のへテロ接合フォトトランジスタに対し、図1のへテロ接合型フォトトランジスタ(受光素子としての光応答型トランジスタ)は、電子供給層14と電子蓄積層13が分離しており、電子蓄積層13での不純物によるキャリアの散乱が少なく、光に対する高速動作が可能である。
【0021】
ここで、本例では、光応答型トランジスタのゲートコンタクト層15,17間に所定の光を吸収するような、例えば、光通信で用いられる1.55μmの赤外光を吸収させる場合には、In0.53Ga0.47As光吸収用半導体層16を挿入して、高速フォトトランジスタとしている。
【0022】
本発明第1の実施形態である光応答型トランジスタの伝導帯および価電子帯のバンドダイヤグラムを図2に示す。
この光応答型トランジスタにゲート表面側から波長1.55μmの赤外光を入射すると、そのフォトンエネルギーがおよそ0.8eVであるため、積層した半導体の中で、禁制帯幅が0.8eV以下であるn型のIn0.53Ga0.47As光吸収用半導体層16およびi−In0.80Ga0.20As電子蓄積層13で吸収されるようとする。ここで、i−In0.80Ga0.20As電子蓄積層13において光が吸収されると、電子蓄積層13に、電子と共に移動度の遅いホールが生成され、高速動作性が低下する。そのため、本例では、電子蓄積層13で光がほとんど吸収されないように、n型のIn0.53Ga0.47As光吸収用半導体層16の厚さが入射光の強度に応じて調整されている。
【0023】
光吸収用半導体層16において光が吸収されると、光吸収用半導体層16において電子とホールが生成される。生成した電子とホールは直ちにショットキー接合による伝導帯および価電子帯のエネルギーバンドの傾き、及び、ゲート印加電圧によって、電子は光吸収用半導体層16での電子蓄積層13側に、ホールは光吸収用半導体層16でのゲート電極19側に移動する。しかし、電子とホールの双方とも光吸収用半導体層16とゲートコンタクト層17の間のバンド不連続および光吸収用半導体層16とゲートコンタクト層15の間のバンド不連続によって、それぞれ電子蓄積層13、ゲート電極19に達することができず、光吸収用半導体層16でのゲート電極19側、電子蓄積層13側に局在する。
【0024】
すると、電子とホールはそれらの領域に、電子は負の空間電荷を、また、ホールは正の空間電荷を形成する。そのために、図2で破線で示すように、伝導帯および価電子帯の傾斜が緩和する方向に変化する。
【0025】
これによって、ゲート電極19の直下の空乏層容量は大きくなり、電子蓄積層13の電子の数が増加する。つまり、ゲート電極19に正電圧を印加した際と同様な効果を生み、ドレイン・ソース間の電流が増加する。つまり、電子蓄積層13の電子の数を制御することができ、例えば、強度変調された赤外光信号を照射した際には、電流振動が生じ、外部に電波を取り出すことができる。
【0026】
この場合、電子蓄積層13における電子移動度が同領域の電子の有効質量を反映して極めて高いために、高速動作が可能となる。つまり、感度の小さい光電流を直接外部に取り出しているのではなく、光強度によってゲートのショットキーレベルを調整できるため、従来のバイポーラ型フォトトランジスタに比べ、大きい感度が期待できる。
【0027】
このように、本実施の形態は下記の特徴を有する。
(イ)高電子移動度トランジスタを光応答型トランジスタとし、かつ、ゲートコンタクト層15,17の内部に、所定の光を吸収する光吸収用半導体層16を配置した。よって、電子蓄積層13での不純物によるキャリアの散乱が少なく、ゲートコンタクト層15,17に所定の光を吸収するような光吸収用半導体層16を挿入することにより、電子とホールを光吸収用半導体層16のゲート電極19側と電子蓄積層13側に局在させ、正負の空間電荷を形成し、電子蓄積層13の電子の数を制御することができ、強度変調された光信号を電流振動として外部に電波を取り出すことができる。さらに、感度の小さい光電流を直接外部に取り出しているのではなく、光強度によってゲートのショットキーレベルを調整できるため、従来のバイポーラフォトトランジスタに比べ、大きい感度が得られる。このようにして、光に対して高速動作させるとともに感度性能を向上させることができる。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0028】
図3には、本実施の形態による光応答型トランジスタ(高電子移動度フォトトランジスタ)の断面図を示す。図1と同一機能・構成をなす部材については同一の符号を付すことによりその説明は省略する。
【0029】
本実施形態においては、図1のi−In0.53Ga0.47As光吸収用半導体層16の代わりに、光吸収用半導体層25を用いている。この光吸収用半導体層25は、図4に示すように、ゲート電極19側ほど禁制帯幅Egが広くなっている。具体的には、光吸収用半導体層25は、図5に示すように、In1-x Gax As(x<0.7)で形成され、ゲート電極19側ほどx値が大きくなっている。
【0030】
詳しくは、光吸収用半導体層であるIn1-x Gax As層の組成xを表面のゲート電極19側に向かうに従って、x=0.20から0.70まで変化させている。つまり、In1-x Gax As層25の組成xを表面側に向かうに従って、x=0.20から0.70まで変化させ、伝導帯のバンド傾斜を大きくしている。
【0031】
電子蓄積層13の移動度は前述のように移動度が極めて高いため、入射する変調光に対する応答性を左右するのはゲートコンタクト層15,17に誘起される空間電荷が形成される速さである。本発明第2の実施形態では、伝導帯のバンド傾斜を大きくすることによって、i−In0.52Al0.48As層15の上層に生じさせる負の空間電荷が形成する時間を短縮することができる。
【0032】
このように、本実施の形態は下記の特徴を有する。
(イ)光吸収用半導体層25をIn1-x Gax As(x<0.7)で形成し、ゲート電極19側ほどx値を大きくすることにより、ゲート電極19側ほど禁制帯幅Egが広くなっているので、応答性を向上することができる。
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0033】
図6には、本実施の形態による光応答型トランジスタ(高電子移動度フォトトランジスタ)の断面図を示す。図1と同一機能・構成をなす部材については同一の符号を付すことによりその説明は省略する。
【0034】
本実施形態においては、図1の光吸収用半導体層16の代わりに、多重量子井戸構造の光吸収用多層膜31を用いている。つまり、ゲートコンタクト層15,17の内部に、所定の光を吸収するための多重量子井戸構造の光吸収用多層膜31を配置している。
【0035】
詳しくは、光吸収用多層膜31は、ゲートコンタクト層をなすi−In0.52Al0.48As層15,17の中において、図7に示すように、i−In0.53Ga0.47As層31a,31b,31c,31dとi−In0.52Al0.48As層31e,31f,31gを交互に積層することにより多重量井戸構造(MQW)としたものである。
【0036】
ところで、高速強度変調された光に応じて、高周波信号を出力するためには、i−In0.52Al0.48Asゲートコンタクト層17の下層およびi−In0.52Al0.48Asゲートコンタクト層15の上層側に引き寄せられている電子やホールによる空間電荷が高速で誘起され、消滅しなければならない。そのためには、電子とホールの再結合速度をある程度速くしなければならない。ここで、本実施の形態では、光吸収用多層膜31をMQW構造にすることで、電子とホールの再結合速度を向上している。
【0037】
図7で示すように、光吸収用多層膜31で生成した電子とホールは伝導帯や価電子帯の傾きにより、それぞれ空間的に反対側に引き寄せられる。しかし、光吸収用多層膜31がMQW構造となっているため、電子とホールの再結合速度が速く、高速に強度変調された光を照射した際に、それに追従した出力信号が得られる。
【0038】
このように、本実施の形態は下記の特徴を有する。
(イ)ゲートコンタクト層15,17の内部に、所定の光を吸収するための多重量子井戸構造の光吸収用多層膜31を配置したので、第1の実施の形態と同様な作用・効果により、光に対して高速動作させるとともに感度性能を向上させることができる。
【0039】
なお、本実施形態においても、第2の実施の形態で説明したように、光吸収用多層膜31(i−In0.53Ga0.47As層31a〜31dおよびi−In0.52Al0.48As層31e〜31g)は、ゲート電極側の光吸収層31a〜31dほど禁制帯幅Egが広くなっており、具体的には、In0.52Al0.48As/In1-x Gax As(x<0.7)で形成され、ゲート電極19側の層ほどx値が大きくなっているものとすることができる。
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0040】
図8には、本実施の形態による光応答型トランジスタ(高電子移動度フォトトランジスタ)の断面図を示す。図1と同一機能・構成をなす部材については同一の符号を付すことによりその説明は省略する。
【0041】
本実施形態においては、図1の光吸収用半導体層16におけるゲート電極19側界面部と基板11側界面部に、ゲートコンタクト層15,17および光吸収用半導体層16より禁制帯幅Egが広いバリア層41,42を配置している(図9参照)。
【0042】
詳しくは、i−In0.52Al0.48Asゲートコンタクト層15の上にはAlAsバリア層41が積層されている。AlAsはi−In0.53Ga0.47Asと比較すると禁制帯幅Egが大きい。バリア層41の上には、i−In0.53Ga0.47As光吸収用半導体層16が積層されている。さらに、光吸収用半導体層16の上にはAlAsバリア層42が積層されている。バリア層42上にi−In0.52Al0.48Asゲートコンタクト層17が積層されている。
【0043】
図9に示すように、AlAsバリア層41,42により、電子およびホールがそれぞれ電子蓄積層13、ゲート電極19に熱拡散やトンネル現象によって流れ込まないようなポテンシャルバリアを形成している。そのため、電子、ホールによる空間電荷が大きくなり、電子蓄積層13中の電流に対する変調感度が高い。さらに、i- In0.52Al0.48Asゲートコンタクト層15,17中を走行するキャリアが少なくなり、トランジスタの耐圧が向上するというメリットが得られる。
【0044】
なお、バリア層41,42はいずれか一方のみ設けてもよい。
このように、本実施の形態は下記の特徴を有する。
(イ)光吸収用半導体層16におけるゲート電極19側界面部と基板11側界面部の少なくともいずれか一方に、ゲートコンタクト層15,17および光吸収用半導体層16より禁制帯幅が広いバリア層41,42を配置したので、変調感度を高くすることができる。
【0045】
なお、バリア層41,42は、In1-x Alx As(x>0.48)よりなるものとしてもよい。
また、この構成を第3の実施の形態において適用してもよい。つまり、図6,7の光吸収用多層膜31におけるゲート電極19側界面部と基板11側界面部の少なくともいずれか一方に、ゲートコンタクト層15,17および光吸収用多層膜31より禁制帯幅が広いバリア層を配置してもよい。
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0046】
図10は、本実施の形態による光応答型トランジスタ(高電子移動度フォトトランジスタ)の断面図を示している。図1と同一機能・構成をなす部材については同一の符号を付すことによりその説明は省略する。
【0047】
本実施形態においては、図1の電子蓄積層13よりも上で、かつ、光吸収用半導体層16よりも下に、反射層51を設けている。
詳しくは、電子蓄積層13上にInAs/AlAsヘテロ接合の超格子層51が積層されている。つまり、反射層51は多層膜であって、InAs/AlAsヘテロ接合を有し、かつ超格子である。その上にはIn0.52Al0.48Asゲートコンタクト層15、さらには、i−In0.53Ga0.47As光吸収用半導体層16が積層されている。
【0048】
そして、例えばフォトンエネルギーが0.8eVである波長1.55μmの赤外光を表面から照射した際に、電子蓄積層13では、禁制帯幅がそれより小さいために光を吸収する。しかし、電子蓄積層13において光吸収が起こると、電子とともに移動度が小さいホールが生成してしまい、高速性が低下してしまう。ここで、本実施の形態では、電子蓄積層13の上層に配置したInAs/AlAsヘテロ接合である多層膜(超格子)層51によってゲート表面から入射した光が反射され、電子蓄積層13で吸収されないようになる。つまり、InAsとAlAsの屈折率の違いにより、ゲート表面から入射した光が多層膜(超格子)層51で反射し、光吸収用半導体層16以外での光吸収を抑制している。
【0049】
このように、本実施の形態は下記の特徴を有する。
(イ)電子蓄積層13よりも上で、かつ、光吸収用半導体層16よりも下に、反射層51を設けたので、ホールを生成しにくくできる。
【0050】
なお、この構成を第3の実施の形態において適用してもよい。つまり、図6の電子蓄積層13よりも上で、かつ、光吸収用多層膜31よりも下に、反射層を設けてもよい。
(第6の実施の形態)
次に、第6の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0051】
図11は、本実施の形態による光応答型トランジスタ(高電子移動度フォトトランジスタ)を示す断面図を示している。図1と同一機能・構成をなす部材については同一の符号を付すことによりその説明は省略する。
【0052】
図11,12に示すように、i−In0.52Al0.48Asバッファ層12の内部にSiによってδドープされた不純物ドープ層61が配置されている。このように、電子蓄積層13の下にδドープされた不純物ドープ層61を配置すると、電子蓄積層13に電子を容易に供給することができるようになる。
【0053】
これは、他の実施の形態(例えば、第3の実施の形態)でも適用できる。
(第7の実施の形態)
次に、第7の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0054】
図13には、本実施の形態による光応答型トランジスタ(高電子移動度フォトトランジスタ)の断面図を示す。図1と同一機能・構成をなす部材については同一の符号を付すことによりその説明は省略する。
【0055】
本実施形態においては、ゲート電極19とソース電極20の間、および、ゲート電極19とドレイン電極22の間において深い溝71を形成することにより光吸収用半導体層16を電気的に遮断している。
【0056】
詳しくは、ゲート電極19とソース電極20、およびゲート電極19とドレイン電極22の間の半導体層16,17,18はエッチングによって削られ、i−In0.53Ga0.47As光吸収用半導体層16で発生した電子がドレイン・ソース間、ゲート・ソース間等に流れて、その領域がサブチャネルとならないようにしている。
【0057】
なお、この構成を第3の実施の形態において適用してもよい。つまり、図6のゲート電極19とソース電極20の間、および、ゲート電極19とドレイン電極22の間において光吸収用多層膜31を電気的に遮断してもよい。
(第8の実施の形態)
次に、第8の実施の形態を、第1〜7の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0058】
図14は、本実施の形態における半導体受光回路を示している。第1〜7の実施の形態で説明してきた光応答型トランジスタ(高電子移動度フォトトランジスタ)80に対し、ゲート電極に例えばコプレナー型高周波伝送線路81が接続されている。また、ドレイン電極には、コプレナー型高周波伝送線路82およびスタブ83から構成される出力整合回路84が接続されている。さらに、スタブ83および伝送線路81にはコンデンサ85,86が高周波信号の接地用として接続されている。これらの各素子80,81,82,83,85,86は同一基板の上に形成されている。
【0059】
なお、各素子80,81,82,83,85,86を各チップに形成し、ハイブリッドタイプとしてもよい。
このように、ゲート側に伝送線路81を接続すると、出力ポートから取り出される電波信号の感度を高くすることができる。また、例えば入射する光の強度変調を行った場合、ドレイン側に出力整合回路84を接続することによって所望の周波数信号を感度よく取り出すことができる。
【0060】
また、図15においては、ベース電極107およびコレクタ電極106を形成するために半導体膜を複雑な形にしなければならず、他のデバイスとの集積化が困難という問題があった。これに対し、本実施形態では、フォトトランジスタの他のデバイスへの整合性を確保することができる。つまり、従来のフォトトランジスタのようにp型不純物領域を形成する必要がなく、他のデバイスとの整合性がよく、集積化し易いというメリットも有している。
【0061】
このように、本実施の形態は下記の特徴を有する。
(イ)ゲート電極に受光回路形成用高周波伝送線路81を接続し、ドレイン電極側に、受光回路形成用のスタブ83および高周波伝送線路82からなる整合回路84を接続した。よって、例えば強度変調された光を照射した場合に、所望の周波数を有する信号だけを感度よく取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態における光応答型トランジスタを示す概略断面図。
【図2】 第1の実施の形態における光応答型トランジスタのバンドダイアグラム。
【図3】 第2の実施の形態における光応答型トランジスタを示す概略断面図。
【図4】 第2の実施の形態における光応答型トランジスタのバンドダイアグラム。
【図5】 膜の組成分布を説明するための図。
【図6】 第3の実施の形態における光応答型トランジスタを示す概略断面図。
【図7】 第3の実施の形態における光応答型トランジスタのバンドダイアグラム。
【図8】 第4の実施の形態における光応答型トランジスタを示す概略断面図。
【図9】 第4の実施の形態における光応答型トランジスタのバンドダイアグラム。
【図10】 第5の実施の形態における光応答型トランジスタを示す概略断面図。
【図11】 第6の実施の形態における光応答型トランジスタを示す概略断面図。
【図12】 第6の実施の形態における光応答型トランジスタのバンドダイアグラム。
【図13】 第7の実施の形態における光応答型トランジスタを示す概略断面図。
【図14】 第8の実施の形態における光応答型トランジスタを示す概略断面図。
【図15】 従来技術を説明するための図。
【符号の説明】
11…半絶縁性InP基板、13…i−In0.80Ga0.20As電子蓄積層、14…電子供給層(δドープ層)、15…i−In0.52Al0.48Asゲートコンタクト層、16…光吸収用半導体層、17…In0.53Ga0.47Asゲートコンタクト層、19…ゲート電極、25…光吸収用半導体層、31…光吸収用多層膜、41,42…バリア層、51…反射層、61…不純物ドープ層、81,82…コプレナー型高周波伝送線路、83…スタブ、84…出力整合回路。
Claims (19)
- 基板の上に、電子移動度が高い半導体による電子蓄積層および電子供給層が配置されるとともに、ゲートコンタクト層にショットキー接合するゲート電極が配置され、ゲート電極への印加電圧によって前記電子蓄積層中の電子数を制御する光応答型トランジスタであって、
前記ゲートコンタクト層の内部に、所定の光を吸収する光吸収用半導体層を配置したことを特徴とする光応答型トランジスタ。 - 前記光吸収用半導体層は、ゲート電極側ほど禁制帯幅が広くなっていることを特徴とする請求項1に記載の光応答型トランジスタ。
- 前記光吸収用半導体層は、In1-x Gax As(x<0.7)で形成され、ゲート電極側ほどx値が大きくなっていることを特徴とする請求項2に記載の光応答型トランジスタ。
- 基板の上に、電子移動度が高い半導体による電子蓄積層および電子供給層が配置されるとともに、ゲートコンタクト層にショットキー接合するゲート電極が配置され、ゲート電極への印加電圧によって前記電子蓄積層中の電子数を制御する光応答型トランジスタであって、
前記ゲートコンタクト層の内部に、所定の光を吸収するための多重量子井戸構造の光吸収用多層膜を配置したことを特徴とする光応答型トランジスタ。 - 前記光吸収用多層膜は、ゲート電極側の光吸収層ほど禁制帯幅が広くなっていることを特徴とする請求項4に記載の光応答型トランジスタ。
- 前記光吸収用多層膜は、In0.52Al0.48As/In1-x Gax As(x<0.7)で形成され、ゲート電極側の層ほどx値が大きくなっていることを特徴とする請求項5に記載の光応答型トランジスタ。
- 前記光吸収用半導体層におけるゲート電極側界面部と基板側界面部の少なくともいずれか一方に、ゲートコンタクト層および光吸収用半導体層より禁制帯幅が広いバリア層を配置したことを特徴とする請求項1に記載の光応答型トランジスタ。
- 前記光吸収用多層膜におけるゲート電極側界面部と基板側界面部の少なくともいずれか一方に、ゲートコンタクト層および光吸収用多層膜より禁制帯幅が広いバリア層を配置したことを特徴とする請求項4に記載の光応答型トランジスタ。
- 前記バリア層は、In1-x Alx As(x>0.48)よりなることを特徴とする請求項7または8に記載の光応答型トランジスタ。
- 前記電子蓄積層よりも上で、かつ、前記光吸収用半導体層よりも下に、反射層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の光応答型トランジスタ。
- 前記電子蓄積層よりも上で、かつ、前記光吸収用多層膜よりも下に、反射層を設けたことを特徴とする請求項4に記載の光応答型トランジスタ。
- 前記反射層は、多層膜よりなる請求項10または11に記載の光応答型トランジスタ。
- 前記多層膜は、InAs/AlAsのへテロ接合を有するものであることを特徴とする請求項12に記載の光応答型トランジスタ。
- 前記反射層は、超格子である請求項12に記載の光応答型トランジスタ。
- 電子蓄積層の下に不純物ドープ層を配置したことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の光応答型トランジスタ。
- 前記ゲート電極とソース電極の間、および、ゲート電極とドレイン電極の間において前記光吸収用半導体層を電気的に遮断したことを特徴とする請求項1に記載の光応答型トランジスタ。
- 前記ゲート電極とソース電極の間、および、ゲート電極とドレイン電極の間において前記光吸収用多層膜を電気的に遮断したことを特徴とする請求項4に記載の光応答型トランジスタ。
- 溝により電気的に遮断したことを特徴とする請求項16または17に記載の光応答型トランジスタ。
- ゲート電極に受光回路形成用高周波伝送線路が接続され、ドレイン電極側に、受光回路形成用のスタブおよび高周波伝送線路からなる整合回路を接続したことを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の光応答型トランジスタ。
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