JP4174352B2 - シート成形用プロピレン系樹脂組成物及びそれを用いてなる透明シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート成形用プロピレン系樹脂組成物及びそれを用いてなる透明シートに関し、詳しくは、透明性、剛性、低温での耐衝撃性、折曲げ時の耐白化性に優れ、かつ帯電防止性、印刷性にも優れたシート成形用プロピレン系樹脂組成物及びそれを用いてなる透明シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン重合体は、優れた成形性、機械的強度、耐熱性、化学的な安定性を兼ね備えた樹脂であり、シート又はフィルム用途をはじめ各種用途に使用されている。シート用途の中でも、ファイルケースやバインダー等の文具向けシート、外観を重視するビデオカセット又はDVD等の包装ケース用のシート等においては、最近では特に、透明性が求められてきている。
ポリプロピレン系重合体のシート等に透明性を付与する技術としては、例えば、プロピレンとエチレン等のα−オレフィンとの共重合を行って結晶性を低下させ、透明性を改良する方法、有機カルボン酸、有機カルボン酸の金属塩、あるいはジベンジリデンソルビトール系等の結晶化核剤を添加配合する方法が広く採用されている(例えば、特許文献1〜2参照。)。しかし、これらの方法では、ポリプロピレンの剛性、低温での耐衝撃性、折曲げ時の耐白化性が不十分になることが多い。
また、従来から提案されているポリプロピレンにポリエチレンまたはオレフィン系ゴムをブレンドする改良方法(例えば、特許文献3参照。)では、透明性を大きく損なう問題があり、さらに、特定の核剤およびポリエチレンまたはオレフィン系ゴムをブレンドする改良方法(例えば、特許文献4参照。)により製品の透明性と機械的強度を満足した場合でも、衝撃や曲げ応力を受けた際に、いわゆるミクロクレーズが発生し、白化をきたすという問題を解決するには至っていない。
【0003】
一方、シート用途においては、透明性、剛性、低温での耐衝撃性、折曲げ時の耐白化性の要求に加えて、空気中の塵・埃が付着しないことや製品が製品どうしでブロッキングしたり、表面が他の物に擦れて傷が付いたりしないよう適度な表面滑性を持続性を持って、特に販売時あるいは実使用時において付与することが求められている。このような要求に対しては、通常、アルキルアミン、アルキルアミド、グリセリン脂肪酸エステルなどの帯電防止剤等の添加剤を配合することで対処されている。
帯電防止剤の効果は、シートの表面に帯電防止剤がブリードすることにより発現するが、押出シート成形時において、ブリードした帯電防止剤が冷却ロールやアニーリングロール等に付着して汚れが発生し、シートの透明性が損なわれる問題が発生したり、シート原反や製品となってからも表面に帯電防止剤がブリードして結晶固化することで表面が白化(いわゆるブリード白化)して外観や印刷性を著しく損なうという問題が生じることがある。
特に、印刷性に対しては、近年の商品の多様性にともない、複雑な印刷を施した物が増加しており、印刷方法も従来の一般的なエポキシ系インキを使用したシルクスクリーン印刷から、印刷速度の高速化を目的として速乾性のあるアクリル系などの紫外線硬化型のインキを使用したオフセット印刷が使用される様になってきたため、帯電防止剤により印刷性がますます悪化する場合がある。これに対しては、印刷前にアンカーコートを施したり、印刷性を悪化させにくい帯電防止剤の種類選択に制約を受けたり、添加量設定がより重要かつ難しくなってきている。
【0004】
ポリプロピレンシートの印刷性を改善するものとしては、ポリプロピレンにパルミチルモノグリセライド、ステアリルモノグリセライドを含有させたシートが提案されている(例えば、特許文献5参照。)が、この方法は、印刷性においては優れた方法であるが、透明性の良好なシートなど製品によってはブリード白化が目立ちやすくなる問題が残る。また、ポリプロピレンにアルキルジアルカノールアミド又はグリセリン脂肪酸モノエステルを含有させたシートが提案されている(例えば、特許文献6参照)が、この方法は、帯電防止性能の発現に時間を要し、シート成形直後の滑り性が不足し、傷が付きやすいという問題を有している。
【0005】
一方、耐傷つき性の改善されたポリプロピレンシートとして、ポリプロピレンに酸化防止剤、グリセリン脂肪酸エステルおよび/又は脂肪酸アミド、および造核剤を含有させたシートの提案がある(例えば、特許文献7参照。)が、この提案では、傷付き性の改善は認められるが、帯電防止性能の発現に時間を要する問題は依然残り、かつ衝撃性が低下する。
【0006】
従って、従来のポリプロピレン系シートでは、透明性、剛性、低温での耐衝撃性、折曲げ時の耐白化性、帯電防止性、印刷性を兼ね備えて満足させることは容易ではなく、実質的にこれらを同時に十分に実用レベルを満足するポリプロピレン材料は無いのが現状である。
【0007】
【特許文献1】
特開昭60−215048号公報
【特許文献2】
特開平06−234895号公報
【特許文献3】
特公昭58−25693号公報
【特許文献4】
特開昭57−164135号公報
【特許文献5】
特開昭63−145076号公報
【特許文献6】
特開平7−82431号公報
【特許文献7】
特開平8−134230号公報(請求項2)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、透明性、剛性、低温での耐衝撃性、折曲げ時の耐白化性に優れ、かつ、帯電防止性や最近のオフセット印刷方法も含めた印刷性に優れ、さらにその効果の持続性に優れたシート成形用プロピレン系樹脂組成物及びそれを用いてなる透明シートを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の重合方法にて得られたプロピレン系共重合体に、有機リン酸エステル系結晶化核剤、帯電防止剤が配合されてなるプロピレン系樹脂組成物を用いることで上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、プロピレン系共重合体100重量部に対し、有機リン酸エステル系結晶化核剤0.01〜2.0重量部、帯電防止剤0.01〜2.0重量部を含有するプロピレン系樹脂組成物であって、上記プロピレン系共重合体が、前段の反応器で、エチレンの含有量が0.5〜4重量%のプロピレン・エチレン共重合体部分(成分A)を全プロピレン系共重合体の70〜90重量%生成させ、引き続き、後段の反応器で、エチレンの含有量が4〜10重量%のプロピレン・エチレン共重合体部分(成分B)を全プロピレン系共重合体の10〜30重量%生成させて得られ、全プロピレン系共重合体のエチレン含有量が1〜5重量%で、成分Aのエチレン含有量に対する成分Bのエチレン含有量が1.5倍以上であり、かつ成分AのMFRAが1〜15g/10分、成分BのMFRBが0.1〜6g/10分、およびMFRAのMFRBに対する比(MFRA/MFRB)が2〜10である共重合体であることを特徴とするシート成形用プロピレン系樹脂組成物が提供される。
【0014】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、有機リン酸エステル系結晶化核剤が、ビス(2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−オキソ−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン−6−オキシド)水酸化アルミニウム塩、又は、リン酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウムであることを特徴とするシート成形用プロピレン系樹脂組成物が提供される。
【0015】
また、本発明の第3の発明によれば、第1または2の発明において、帯電防止剤が、グリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とするシート成形用プロピレン系樹脂組成物が提供される。
【0016】
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明のシート成形用プロピレン系樹脂組成物を用いてなる透明シートが提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は、プロピレン系共重合体に有機リン酸エステル系結晶化核剤、帯電防止剤、さらに、必要に応じてその他の添加剤等を配合したシート成形用プロピレン系樹脂組成物及びそれを用いてなる透明シートであり、以下にその構成樹脂、添加剤、シート等に関する実施の形態を詳述する。
【0018】
[I]プロピレン系樹脂組成物の構成成分
1.プロピレン系共重合体
(1)プロピレン系共重合体の物性
本発明のプロピレン系樹脂組成物を構成するポリプロピレン系共重合体は、多段重合によるプロピレンとα−オレフィンの共重合体であって、前段の反応器と後段の反応器において、各重合工程でプロピレンとα−オレフィンの含有率及びその構成比率を異なるようにして共重合して得られるプロピレン・α−オレフィン共重合体である。α−オレフィンとしては、炭素数2〜10のα−オレフィンが好ましく、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられ、これらの中では、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセンが好ましく、なかでも、エチレンがもっとも好ましい。
【0019】
前段の反応器においては、プロピレン以外のα−オレフィンの含有量が0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜4.0重量%、より好ましくは1.5〜3.5重量%のプロピレン・α−オレフィン共重合体部分(成分A)をポリプロピレン系共重合体全体の60〜95重量%、好ましくは70〜90重量%、より好ましくは70〜80重量%になるようにプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとを共重合させる。
後段の反応器においては、前段の反応に引き続き、プロピレン以外のα−オレフィンの含有量が0.5〜12重量%、好ましくは2〜11重量%、より好ましくは4〜10重量%のプロピレン・α−オレフィン共重合体部分(成分B)をポリプロピレン系共重合体全体の5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%、より好ましくは20〜30重量%になるようにプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとを共重合させる。
また、成分Aのプロピレン以外のα−オレフィン含有量に対する成分Bのプロピレン以外のα−オレフィン含有量を1.5倍以上、好ましくは1.8倍以上、より好ましくは2倍以上とすることが透明性と剛性、低温での耐衝撃性のバランス、適正かつ安定した帯電防止性能の持続性の観点からより好ましい。
さらに、プロピレン系共重合体全体のα−オレフィン含有量は1〜6重量%、好ましくは1〜5重量%、より好ましくは2〜4.5重量%であることが好ましい。
【0020】
成分Aのプロピレン以外のα−オレフィンの含有量が0.1重量%未満であると透明性が低下し、5重量%を超えると剛性低下や適正かつ安定した帯電防止性能の持続性が損なわれるため好ましくない。
成分Bのプロピレン以外のα−オレフィンの含有量が0.5重量%未満であると透明性、低温での耐衝撃性が不足し、12重量%を超えると剛性低下が著しく、かつ製造面でも生産効率が低下し好ましくない。
成分Aのプロピレン以外のα−オレフィン含有量に対する成分Bのプロピレン以外のα−オレフィン含有量が1.5倍未満であると、透明性と剛性、低温での耐衝撃性のバランスに劣る。
プロピレン系共重合体全体のα−オレフィン含有量が1重量%未満であると透明性、低温での耐衝撃性が不足し、6重量%を超えると剛性低下や適正かつ安定した帯電防止性能の持続性が損なわれる恐れがある。
また、成分Aと成分Bの構成において、成分Bが5重量%未満であると、低温での耐衝撃性が不足し、40重量%を超えると剛性低下や適正かつ安定した帯電防止性能の持続性が損なわれるため好ましくない。
【0021】
上記前段の反応器で共重合される成分AのMFRAは、20g/10分以下、好ましくは1〜15g/10分、より好ましくは3〜10g/10分であり、上記後段の反応器で共重合される成分BのMFRBは、0.05〜10g/10分、好ましくは0.1〜6g/10分、より好ましくは0.5〜4g/10分である。さらに、成分AのMFRAの成分BのMFRBに対する比(MFRA/MFRB)が1.8以上、好ましくは2〜10、より好ましくは2.5〜8である。
MFRAが20g/10分を超える、あるいはMFRBが10g/10分を超えると低温での耐衝撃性が低下して好ましくない。またMFRBが0.05g/10分未満であると成分Aと成分Bの相溶性が悪くなり好ましくない。MFRAのMFRBに対する比が1.8未満であると透明性と剛性、低温での耐衝撃性を高いレベルでバランスさせる観点から好ましくない。
なお、MFRBは、前段のプロピレンαオレフィン重合体部分(成分A)のMFRAと、全プロピレン系共重合体のMFRTおよび成分Bの重合量(Wb)から、下記の相関式により算出する値である。成分Bの重合量は、前段の重合量と後段から出てくる全ポリマー量の差から算出する。
log(MFRT)=(1−Wb/100)×log(MFRA)+Wb/100×log(MFRB)
ここで、MFRは、JIS K7210(1999)(230℃、21.18N荷重)に準拠して測定する値である。
【0022】
2.プロピレン系共重合体の製造
本発明のプロピレン系共重合体は、前述のように前段の反応器で成分Aのプロピレン・α−オレフィン共重合体部分を生成させ、引き続き、後段の反応器で成分Bのプロピレン・α−オレフィン共重合体部分を生成させて得られてなる共重合体である。
ここで、前段の反応器および後段の反応器とは、それぞれ前段重合工程と後段重合工程を行う反応器の意味である。本発明におけるプロピレン系共重合体の製造は、前段重合工程と後段重合工程を含む限りにおいて任意であり、他の合目的的工程の付加を排除するものではない。本発明におけるプロピレン系共重合体の製造方法としては、例えば、以下の製造法を挙げることができる。
すなわち、(a)バッチ重合により、ひとつの重合槽で、はじめに前段重合工程を実施し、ついで、後段重合工程を実施することによって製造する方法や、(b)2基の重合槽を直列に接続し、第1重合槽で前段重合工程を実施し、ここで得られた重合体を第2重合槽に移送し、第2重合槽で、後段重合工程を実施することによって製造する方法、(c)上記(b)の手法をさらに発展させたもので、前段重合工程および/または後段重合工程を複数の重合槽で行うもの、(d)ここで挙げた手法の組み合わせによる手法、などを挙げることができる。
以下に、触媒、前段重合工程、後段重合工程、前段重合工程から後段重合工程への移行を詳細に説明する。
【0023】
(i)触媒
本発明で用いるプロピレン系共重合体の製造において、重合触媒が限定されることはなく、いわゆるプロピレンの立体規則性重合に適用可能なTiCl3型、マグネシウム担持TiCl4型、メタロセン型などの各種のオレフィン重合用触媒が適用可能である。好適な例としては、例えば、下記触媒成分(イ),(ロ)を組み合わせてなるプロピレン重合触媒を挙げることができる。ここで、「組み合わせてなる」とは、成分が例示のもののみからなることを意味するものではなく、合目的的な第3、第4成分の共存を排除するものではない。
【0024】
触媒成分(イ)
本発明で用いるプロピレン系共重合体の製造で用いられる触媒成分(イ)は、チタン、マグネシウム、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有してなるα−オレフィンの立体規則性重合用固体触媒成分である。ここで「必須成分として含有し」ということは、挙示の三成分以外に合目的的な他元素を含んでいてもよい。
チタン、マグネシウムおよびハロゲンを含む固体成分そのものは、公知のものである。例えば、特開昭53−45688号、同54−31092号、同54−118484号、同55−90510号、同55−155003号、同56−18609号、同56−70005号、同56−72001号、同56−86905号、同56−90807号、同56−155206号、同57−63310号、同57−34103号、同58−5309号、同58−32605号、同58−145707号、同58−183708号、同59−149905号、同59−149906号、同60−23404号、同63−108008号、同63−235307号、同63−264607号、特開平1−79203号、同1−98603号、同2−163104号、同7−258328号、同8−20607号、同8−269125号、同11−21309号の各公報等に記載のものが例示される。
【0025】
触媒成分(イ)のマグネシウム源となるマグネシウム化合物としては、金属マグネシウム、マグネシウムジハライド、ジアルコキシマグネシウム、アルコキシマグネシウムハライド、マグネシウムオキシハライド、ジアルキルマグネシウム、アルキルマグネシウムハライド、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムのカルボン酸塩等が挙げられる。これらの中でもマグネシウムジハライド、ジアルコキシマグネシウム等のMg(OR1)2−mXm(ここで、R1は炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10程度のものであり、Xはハロゲンを示し、mは0≦m≦2である。)で表されるマグネシウム化合物が好ましい。
【0026】
チタン源となるチタン化合物としては、一般式Ti(OR2)4−nXn(ここで、R2は炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10程度のものであり、Xはハロゲンを示し、nは0≦n≦4である。)で表される化合物が挙げられる。具体例としては、TiCl4、TiBr4、Ti(O−n−C4H9)Cl3、Ti(O−n−C4H9)2Cl2、Ti(OC2H5)(O−n−C4H9)2Cl、Ti(O−n−C4H9)3Cl、Ti(OC6H5)Cl3、Ti(O−i−C4H9)2Cl2、Ti(O−n−C4H9)4、Ti(O−i−C4H9)4、等が挙げられる。
【0027】
ハロゲンは、上述のマグネシウムおよび(または)チタンのハロゲン化合物から供給されるのが普通であるが、他のハロゲン源、例えば、Br2、I2、ICl3等のハロゲン、インターハロゲン化合物、AlCl3、AlBr3、AlI3等のアルミニウムのハロゲン化物、BCl3、BBr3、BI3等のホウ素のハロゲン化物、SiCl4等のケイ素のハロゲン化物、PCl3、PCl5等のリンのハロゲン化物、WCl6等のタングステンのハロゲン化物、MoCl5等のモリブデンのハロゲン化物といった公知のハロゲン化剤から供給することもできる。触媒成分中に含まれるハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素またはこれらの混合物であってもよく、特に塩素が好ましい。
【0028】
電子供与体としては、アルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類、有機酸または無機酸類のエステル類、エーテル類、酸アミド類、酸無水物類のような含酸素電子供与体、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアネートのような含窒素電子供与体、スルホン酸エステルのような含硫黄電子供与体などを例示することができる。
より具体的には、(イ)エタノール、プロパノール、ヘキサノール、オクタノール、などの炭素数1ないし18のアルコール類、(ロ)フェノール、キシレノール、ナフトールなどのアルキル基を有してよい炭素数6ないし25のフェノール類、(ハ)アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノンなどの炭素数3ないし15のケトン類、(ニ)アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、オクチルアルデヒド、などの炭素数2ないし15のアルデヒド類、(ホ)酢酸エチル、酢酸セロソルブ、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸フェニル、安息香酸セロソルブ、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、エチル安息香酸エチル、アニス酸メチル、エトキシ安息香酸エチル、γ−ブチロラクトンなどの有機酸モノエステル、または、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、コハク酸ジエチル、ジイソプロピルコハク酸ジブチル、マレイン酸ジブチル、1,2−シクロヘキサンカルボン酸ジエチル、ジイソプロピル酒石酸ジブチル、炭酸エチレン、ノルボルナンジエニル−1,2−ジメチルカルボキシラート、シクロプロパン−1,2−ジカルボン酸−n−ヘキシル、1,1−シクロブタンジカルボン酸ジエチルなどの有機酸多価エステルの炭素数2ないし20の有機酸エステル類、(ヘ)ケイ酸エチル、ケイ酸ブチルなどのケイ酸エステルのような無機酸エステル類、(ト)アセチルクロリド、ベンゾイルクロリド、トルイル酸クロリド、塩化フタロイル、などの炭素数2ないし15の酸ハライド類、(チ)ブチルエーテル、アミルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、2,2−ジメチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、などの炭素数2ないし20のエーテル類、(リ)酢酸アミド、安息香酸アミド、トルイル酸アミドなどの酸アミド類、(ヌ)ジエチルアミン、トリブチルアミン、ピペリジン、トリベンジルアミン、アニリン、ピリジン、ピコリン、テトラメチルエチレンジアミンなどのアミン類、(ル)アセトニトリル、ベンゾニトリル、トルニトリルなどのニトリル類、(ヲ)2−(エトキシメチル)−安息香酸エチル、2−(t−ブトキシメチル)−安息香酸エチル、3−エトキシ−2−フェニルプロピオン酸エチルなどのアルコキシエステル化合物類、(ワ)2−ベンゾイル安息香酸エチル、2−(4’−メチルベンゾイル)安息香酸エチル、2−ベンゾイル−4,5−ジメチル安息香酸エチルなどのケトエステル化合物類、(カ)ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸エチルなどのスルホン酸エステル類、(ヨ)R3 pR4 qSi(OR5)r(OR6)4−p−q−r(ここで、R3およびR4はそれぞれ同一でも異なっていてもよい炭素数1〜20の分岐、環状または直鎖炭化水素基であり、R5は炭素数1から10の炭化水素基であり、R6は炭素数1から4の炭化水素基であり、p、q、rはそれぞれ1≦p≦2、0≦q≦1、0≦r≦2であり、かつp+q+r≦3である。)で表される有機アルコキシケイ素化合物等を挙げることができる。
これらの電子供与体は、二種類以上用いることができる。これらの中で好ましいのは有機酸エステル化合物、酸ハライド化合物およびエーテル化合物、有機アルコキシケイ素化合物であり、特に好ましいのはフタル酸ジエステル化合物、酢酸セロソルブエステル化合物、フタル酸ジハライド化合物、ジエーテル化合物、およびアルコキシ基が2〜3の有機アルコキシケイ素化合物である。
【0029】
また、触媒成分(イ)は、必要に応じて、重合に供する前に予め予備重合を施しても良い。予備重合は、オレフィン類、ジエン化合物、スチレン類等を接触させて行うことが出来る。予備重合を行う際に用いられるオレフィン類の具体例としては、例えば、炭素数2〜20程度のもの、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチルブテン−1、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、1−オクテン等があり、ジエン化合物の具体例としては、1,5−ヘキサジエン、2,6−オクタジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,9−デカジエン、p−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、o−ジビニルベンゼン、ジシクロペンタジエン等がある。また、スチレン類の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、アリルベンゼン、クロルスチレン等がある。これらは、混合物として使用することもできる。
【0030】
触媒成分(ロ)
本発明で用いるプロピレン系共重合体の製造で用いられる触媒成分(ロ)は、有機アルミニウム化合物である。具体例としては、R7 3−sAlXsまたはR8 3−tAl(OR9)t(ここで、R7およびR8は炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子であり、R9は炭素数1〜20の炭化水素基であり、Xはハロゲンであり、sおよびtはそれぞれ0≦s<3、0<t<3である。)で表されるもの、あるいはアルモキサン類が挙げられる。
具体的には、(イ)トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、(ロ)ジエチルアルミニウムモノクロライド、ジイソブチルアルミニウムモノクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどのアルキルアルミニウムハライド、(ハ)ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライド、(ニ)ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムフェノキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド、(ホ)メチルアルモキサン、ブチルアルモキサン、メチルイソブチルアルモキサン等のアルモキサンが挙げられる。これら(イ)〜(ニ)の有機アルミニウム化合物は複数使用することも可能である。
【0031】
触媒成分(ロ)の有機アルミニウム化合物成分と触媒成分(イ)の固体触媒成分中のチタン成分との割合は、Al/Ti=1〜1000モル/モルが一般的であり、好ましくは、Al/Ti=10〜500モル/モルの割合で使用される。
【0032】
また、触媒成分として触媒成分(イ)、(ロ)に加えて、必要に応じて、電子供与性化合物を用いることもできる。
このような電子供与性化合物としては、成分(イ)中の必須成分として用いることのできるものが挙げられる。好ましい電子供与性化合物としては、ジエーテル類、無機酸エステル、有機酸エステル及び有機ケイ素アルコキシ化合物であり、特に好ましいのは下記の一般式で表される有機ケイ素アルコキシ化合物並びに2,2−置換,1,3−ジエーテルである。特に好ましい有機ケイ素アルコキシ化合物としては、一般式
R11 vR12 wSi(OR13)4−v−w
(ただし、R11は分岐を有する鎖状あるいは環状の炭素数3〜20、好ましくは4〜10の鎖状炭化水素残基、または炭素数5〜20、好ましくは6〜10の環状脂肪族炭化水素残基を、R12は炭素数1〜20、好ましくは1〜10の炭化水素残基を、R13は炭素数1〜10、好ましくは1〜4の脂肪族炭化水素残基を、vは0≦v≦3、wは0≦w≦3でv+w≦3の数を、それぞれ示す)で表される無機および有機ケイ素アルコキシ化合物である。なお、前記一般式のR11は、ケイ素原子に隣接する炭素原子から分岐しているものが好ましい。
また、特に好ましいジエーテル化合物の例としては、2,2−ジメチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、などが挙げられる。
【0033】
また、後述の後段重合工程においては、べたつき防止の観点から,含酸素化合物や、活性水素含有化合物を使用することも可能である。活性水素化合物のうち、好ましいものは、比較的沸点が低く、かつ臭いがあまり強くないものである。とりわけ、比較的低炭素数のアルコールが好ましく、なかでも、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコールが最も好ましい。
【0034】
(ii)前段重合工程
本発明の成分Aのプロピレン・α−オレフィン共重合体部分を製造するための前段重合工程としては、本発明の目標とするプロピレン系共重合体が得られる限り、任意のものでありうる。例えば、炭化水素溶媒を用いるスラリー重合、実質的に溶媒を用いないバルク重合、溶液重合、気相重合などが挙げられる。これらのうち、スラリー重合、バルク重合、気相重合が好ましく、なかでも、バルク重合、気相重合がさらに好ましい。
重合は連続重合、バッチ重合、セミバッチ重合など、任意の形式をとることができる。これらのうち、連続重合が高生産性の点でもっとも好ましい。
重合槽は、従来公知の任意の重合槽を使用することができる。すなわち、タンク型の攪拌重合槽、ループ型の重合槽、流動床型の重合槽、攪拌流動床型の重合槽などを使用することができる。成分Aを製造しうる限り重合槽は単独でも良いし、あるいは、複数の重合槽をシリーズおよびまたは並列に接続しても良い。さらに、重合槽と分級器を組み合わせて用いても良い。なお、複数の重合槽を使用する場合、各重合槽における重合条件は、成分Aを製造しうる限り同じであっても異なっていてもよい。
【0035】
重合槽に供給するオレフィンとしては、プロピレンとエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、ヘキセン、オクテンなどのα−オレフィンを使用する。上記オレフィンは、重合槽に供給する前に、モレキュラーシーブなどで脱水などの精製を行ったうえで使用するのが普通である。
また、オレフィン重合体の分子量を制御するために、各種の連鎖移動剤を使用するのが一般的である.好ましい例としては、水素が使用できる。水素も、重合槽に供給する前に、脱水や脱酸素などの精製を行うのが普通である。水素の供給量に特に制限はなく、使用する触媒の性質に応じて、所望の分子量を得るのに必要な量の水素を供給すれば良い。水素供給量は、流量計による水素供給速度の実測値と、プロセス・ガスクロマトグラフによる重合槽内の水素濃度の実測値を併用して制御するのが好ましい。
本発明において、重合温度、重合圧力、平均滞留時間などに、特に制限はない。これらは、プロセスの能力、触媒の性能、経済的な理由などによって、任意に設定することができる。一般的には、重合温度として、20〜200℃程度、好ましくは50〜150℃程度、重合圧力として、大気圧〜300kg/cm2G程度、好ましくは、大気圧〜100kg/cm2G程度、平均滞留時間として、0.1〜10時間程度、好ましくは、0.2〜6時間程度である。
【0036】
(ii)後段重合工程
本発明の成分Bのプロピレン・α−オレフィン共重合体部分を製造するための後段重合工程としては、本発明の目標とするプロピレン系共重合体が得られる限り、任意のものでありうる。例えば、炭化水素溶媒を用いるスラリー重合、実質的に溶媒を用いないバルク重合、溶液重合、気相重合などが挙げられる。これらのうち、スラリー重合、バルク重合、気相重合が好ましく、なかでも、気相重合がさらに好ましい。
重合は、重合槽に、オレフィン、必要に応じて水素、ならびに必要に応じて電子供与性化合物を供給することによって、前段重合工程での立体規則性触媒の作用下に行われる。
重合は連続重合、バッチ重合、セミバッチ重合など、任意の形式をとることができる。これらのうち、バッチ重合、連続重合が好ましく、なかでも、連続重合が高生産性の点でもっとも好ましい。
重合槽は、従来公知の任意の重合槽を使用することができる。すなわち、タンク型の攪拌重合槽、ループ型の重合槽、流動床型の重合槽、攪拌流動床型の重合槽などを使用することができる。成分Bを製造しうる限り重合槽は単独でもよいし、あるいは、複数の重合槽をシリーズおよびまたは並列に接続してもよい。なお、複数の重合槽を使用する場合、各重合槽における重合条件は、成分Bを製造しうる限り同じであっても異なっていてもよい。
【0037】
重合槽に供給するオレフィンとしては、プロピレンとエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、ヘキセン、オクテンなどのα−オレフィンを使用する。上記オレフィンは、重合槽に供給する前に、モレキュラーシーブなどで脱水などの精製を行ったうえで使用するのが普通である。
後段重合工程で得られるオレフィン重合体の分子量を制御するために、前段同様に水素を補助的に使用することが可能である。水素の供給量に特に制限はなく、使用する触媒の性質に応じて、また前段重合体との分子量の比を達成するために,必要な量の水素を供給すれば良い。水素供給量は、流量計による水素供給速度の実測値と、プロセス・ガスクロマトグラフによる重合槽内の水素濃度の実測値を併用して制御するのが好ましい。
前段重合工程と後段重合工程で得られる重合体の重量比は、それぞれの重合工程における重合条件を変化させることにより任意に制御することができる。具体的には、重合温度、反応にかかる滞留時間、モノマー成分が占める分圧、さらには後段重合工程においては、次に述べる電子供与性化合物の供給量などにより制御が可能である。
なお、該電子供与性化合物の供給量に特に制限はなく、前段重合と後段重合で得られる重合量比を好適に制御できる範囲に設定することができる。
【0038】
本発明において、重合温度、重合圧力、平均滞留時間などに、特に制限はない。これらは、プロセスの能力、触媒の性能、経済的な理由などによって、任意に設定することができる。一般的には、重合温度として、20〜200℃程度、好ましくは50〜150℃程度、重合圧力として、大気圧〜300kg/cm2G程度、好ましくは、大気圧〜100kg/cm2G程度、平均滞留時間として、0.1〜10時間程度、好ましくは、0.2〜6時間程度である。
【0039】
(iv)前段重合工程から後段重合工程への移行
本発明における後段重合工程は、前段重合工程での立体規則性触媒の作用下に行なわれる。したがって、前段重合工程から、後段重合工程への移行に際しては、触媒活性を少なくとも一部は保持する必要がある。
本発明を、単独の重合槽で回分的に実施する場合には、全工程を通じて、触媒が該重合槽中に保持されるので、前段重合工程から、後段重合工程への移行は、前段重合工程終了後、重合条件を後段重合工程のそれに変更することによって行うことができる。
一方、前段重合工程における重合槽と後段重合工程における重合槽とが異なる場合には、前段重合工程で得られる立体規則性触媒を含む重合体を、触媒活性を少なくとも一部は保持したまま後段重合工程に移送する。
重合体の移送方法については、任意の方法をとることができる。例えば、重力を用いて移送する方法、前段重合工程と後段重合工程との圧力差を用いて移送する方法、ポンプを用いて移送する方法、ブロワーを用いて移送する方法、および、これらの組み合わせを使用する方法などを挙げることができる。
移送に際して、前段重合工程における未反応モノマーの少なくとも一部を除去する工程、いわゆる脱ガス工程を設けることは、本発明の好ましい実施形態のひとつである。
【0040】
2.有機リン酸エステル系結晶化核剤
本発明のプロピレン系重合体組成物で用いられる有機リン酸エステル系結晶化核剤は、一般式(1)又は一般式(2)で表される芳香族リン酸エステル金属塩である化合物から選ばれた1種又は2種以上の混合物である。
【0041】
【化1】
(ここで、R1は炭素数1〜10の2価炭化水素基であり、R2およびR3は水素又は炭素数1〜10の炭化水素基であって、R2とR3は同じであっても異なっていてもよく、Mは1〜3価の金属原子であり、nは1〜3の整数である。)
【0042】
【化2】
(ここで、R1は炭素数1〜10の2価炭化水素基であり、R2およびR3は水素又は炭素数1〜10の炭化水素基であって、R2とR3は同じであっても異なっていてもよく、mは1又は2である。)
【0043】
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス−(2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート)、マグネシウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、バリウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4−m−ブチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−エチルフェニル)フォスフェート、カリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フオスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、バリウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウム−トリス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェル)フォスフェート]およびアルミニウム−トリス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、が挙げられ、これらの中ではナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートが好ましい。
【0044】
一般式(2)で表される化合物は、R2とR3が共にt−ブチル基であるものが好ましく、その具体例としては、ビス(2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−オキソ−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン−6−オキシド)水酸化アルミニウム塩が挙げられる。
【0045】
有機リン酸エステル系結晶化核剤の配合量は、プロピレン系重合体100重量部に対して、0.01〜2.0重量部、好ましくは0.05〜1.0重量部、特に好ましくは0.1〜0.3重量部である。配合量がこの範囲未満であると目的とする透明性の改良効果がなく、逆にこの範囲を超えると配合量に応じた透明改良効果が飽和して経済的でない。
【0046】
3.帯電防止剤
本発明のプロピレン系重合体組成物で用いられる帯電防止剤としては、非イオン系帯電防止剤、カチオン系帯電防止剤、両性イオン系帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤等が挙げられる。
【0047】
非イオン系帯電防止剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、脂肪酸のエチレンオキサイド付加体等が挙げられる。
【0048】
グリセリン脂肪酸エステルとしては、グリセリンモノカプリル酸エステル、グリセリンモノラウリン酸エステル、グリセリンモノミリスチン酸エステル、グリセリンモノパルミチン酸エステル、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステル、グリセリンモノベヘニン酸エステル、グリセリンモノエルカ酸エステル等のモノグリセリン脂肪酸エステル類、ジグリセリンモノベヘニン酸エステル、ジグリセリンモノステアリン酸エステル、ジグリセリンモノオレイン酸エステル、ジグリセリンモノパルミチン酸エステル、ジグリセリンモノミリスチン酸エステル、ジグリセリンモノラウリン酸エステル等のジグリセリン脂肪酸エステル類が挙げられる。
【0049】
ソルビタン脂肪酸エステルは、脂肪酸と多価アルコ−ルの一種であるソルビタンとのモノエステル乃至はトリエステル体である。
ポリオキシエチレンアルキルアミンは、ラウリルアミン等の高級アルキルアミンの2個の活性水素に酸化エチレンを反応させて窒素に結合した水素の1つまたは2つに酸化エチレンが付加重合して得られる。
ポリオキシエチレンアルキルアミドは、高級脂肪酸アミドに酸化エチレンの付加重合または高級脂肪酸アミドとポリエチレングリコ−ルの脱水縮合によって得られる。
脂肪酸ジエタノールアミドは、ラウリン酸ジエタノールアミド、パルチミン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド等が挙げられる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられ、ラウリル、セチル、オレイルアルコ−ル等のC12〜C22の高級脂肪族アルコ−ルに酸化エチレンを付加重合して得られる。
ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルは、具体的にはポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルが挙げられ、アルキルフェノ−ルまたはアルキルナフト−ルに酸化エチレンを付加重合して得られる。
【0050】
非イオン系帯電防止剤のなかでは、グセリン脂肪酸エステルが好ましく、特にモノエステル含量が50重量%以上のグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。最も好ましくは有効成分がグリセリンモノパルミチン酸エステル、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステル、グリセリンモノエルカ酸エステルのものである。
【0051】
さらに、両性イオン系帯電防止剤としてば、アルキルベタイン型等が例示され、カチオン系帯電防止剤としては、第4級アンモニウムクロライド等が例示され、アニオン系帯電防止剤としては、アルキルスルフォネート等のが挙げられるが、帯電防止性能、ロール汚れ性、印刷適性からより好ましい帯電防止剤は、非イオン系帯電防止剤である。
【0052】
帯電防止剤の配合量は、プロピレン系重合体100重量部に対して、0.01〜2.0重量部、好ましくは0.02〜0.5重量部、特に好ましくは0.03〜0.3重量部である。配合量がこの範囲未満であると目的とする帯電防止性能や表面滑性効果が持続性をもって得られず、逆にこの範囲を超えると表面にブリードし外観不良等の問題を起こし易くなり好ましくない。
【0053】
4.その他の成分
本発明のプロピレン系樹脂組成物には、本発明の目的を損ねない範囲で必要に応じて、上記以外の添加剤を処方することが可能であり、例えば、フェノール系酸化防止剤および/または、リン系酸化防止剤、中和剤、耐候剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、分子量調整剤(過酸化物)、着色剤、各種フィラー等の各種助剤、プロピレン単独あるいは他のα−オレフィンとの共重合体、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等の他の熱可塑性樹脂、各種熱可塑性エラストマー、無機または有機充填剤等から少なくとも1種類以上添加剤を配合してシート成形用プロピレン系樹脂組成物とすることができる。
【0054】
[II]プロピレン系樹脂組成物の製造
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、上記のプロピレン系共重合体に有機リン酸エステル系結晶化核剤と帯電防止剤、必要に応じて、その他の成分の所定量を混合して得られる。これらの混合には、例えば、ヘンシェルミキサーやスーパーミキサー等の高速撹拌機付混合機、リボンブレンダー、タンブラーなどの通常の混合装置が使用でき、混合後に押出機やニーダー等でペレット化することにより、プロピレン系樹脂組成物とすることができる。
【0055】
[III]シート
本発明のシートは、前述のプロピレン系樹脂組成物を用いて、公知の成形方法、例えば、押出成形法、カレンダー成形法、圧縮成形法、注型成形法等により製造することができる。好ましくは押出成形法であり、押出成形法としては、例えばTダイ法、インフレーション法が挙げられる。押出されたシートは、ポリッシングロール法、エアーナイフ法、金属鏡面ベルト法、等の公知の方法で冷却固化される。層構成は単層でも、本発明の組成物層を少なくとも1層を含む多層であってもよい。
押出温度は、シートの透明性、成形性の点で180〜260℃が好ましく、180〜240℃がより好ましい。押出温度が180℃以上であれば、十分に溶融され、また260℃を超えると熱劣化が起き易くなり好ましくない。
【0056】
本発明のシートは、透明性に優れ、ヘイズが好ましくは15%以下であり、より好ましくは1〜10%である。また、保存後のシートにおける透明性の低下も少ない。
本発明の透明シートの厚みは、特に制限されないが、通常0.10〜3.0mm、特に文具用途では0.15〜2.0mmが好ましい。
また、本発明の透明シートは、本発明の目的を損ねない範囲で必要に応じて通常工業的に採用されているコロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾン処理などの表面処理を施すことも可能である。また、本発明の透明シートは表面に改質剤を塗布したり、貼り付けたりすることもできる。
【0057】
本発明のシートは、透明性、剛性、低温での耐衝撃性、折曲げ時の耐白化性に優れ、かつ、帯電防止性や最近のオフセット印刷方法も含めた印刷性に優れ、さらにその効果の持続性に優れるので、文具向けシート、磁気記録媒体用包装ケースなどに好適に用いることができる。文具としては、ファイルケースやバインダー等が例示され、磁気記録媒体用包装ケースとしては、ビデオカセットやDVD等の包装ケース等が例示される。
【0058】
【実施例】
以下、実施例によって具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例のみに限定されるものではない。なお、発明の詳細な説明および実施例中の各項目の測定は下記の方法で実施した。
(1)MFR(メルトフローレイト):プロピレン系共重合体とプロピレン系樹脂組成物のMFRは、JIS−K7210(1999)「ポリプロピレン試験方法」のメルトフローレイト(温度230℃、荷重21.18N)に従って測定した。
なお、成分BのMFRBは、先の式に示したように、前段重合工程にて得られた成分AのMFRAと、後段重合工程終了後に測定したMFRTおよび成分Aの製造割合;WA重量%、成分Bの製造割合;WB重量%から、次式により成分BのMFRBを決定した。
log(MFRA)×WA/100+log(MFRB)×WB/100=log(MFRT)
(2)エチレン含有量:成分Bのエチレン含有量は、前段重合工程の成分Aの重合終了後に測定したエチレン含有量;EAと、後段重合工程の重合終了後に測定したエチレン含有量;ETOTALおよび成分Aの製造割合;WA重量%、成分Bの製造割合;WB重量%から、次式により成分Bのエチレン含有量;EBを決定した。なお、エチレン含有量は、13C−NMRにて求めた。
EA×WA/100+EB×WB/100=ETOTAL
(3)金属ロール汚れ:押出シート成形時に冷却金属ロールの汚れ度合いを目視にて観察し、以下の基準で判定した。
○:汚れ無し。
△:僅かに汚れが発生。
×:著しく汚れが発生。
(4)透明性:JIS−K7136−2000に従ってHAZEを評価した。
シート成形1日後にHAZEを測定してこれをHAZE1とし、さらにこのシートについて温度40℃で14日間保存した後にHAZEを測定した。このHAZE値をHAZE2とした。HAZE変化(HAZE2−HAZE1)の値が大きいほど表面外観が悪化した目安とした。
(5)引張弾性率:押出しシートの引張弾性率は、JIS−K7127−1999に従って評価した。
(6)デュポン衝撃強度:押出シートのデュポン衝撃強度は、ASTM−D2794に準拠し、(株)東洋精機製作所製のデュポン衝撃強度測定機にて評価した。
(7)耐折曲げ白化性:押出シートを180度に折り曲げ、曲げた部分の白化性を目視にて観察し、以下の基準で判定した。
○:白化せず。
△:僅かに白化。
×:著しく白化。
(8)帯電防止性(帯電圧減衰半減期):押出シート成形1日後にスタチックオネストメーター(宍戸静電気株式会社製)にかけて10kv、2分間荷電し、荷電を停止した後の半減期を測定した。この値(秒)が小さいほど帯電防止性が優れている。
(9)印刷性:押出シートについてRIテスターを使用して印刷(印刷インクは東洋インキ社製のフラッシュドライFDO−G黒を使用した。)し、80W/cm高圧水銀灯の下10cmを24cm/分の速度で10回通過させて紫外線硬化を行った。この印刷されたシートについて着色の濃さを目視にて観察し、着色性の判定とした。
○:鮮やかに着色した。
△:着色がやや薄い。
×:著しく着色が薄い。
【0059】
実施例1
(1)プロピレン系共重合体の製造
(i)固体触媒の製造
攪拌翼、温度計、ジャケット、冷却コイルを備えた100リッターの反応器に、ジエトキシマグネシウム(以下、Mg(OEt)2と記す。):30molを仕込み、次いで、テトラブトキシチタン(以下、Ti(OBu)4と記す。)を、仕込んだMg(OEt)2中のMgに対して、Ti(OBu)4/Mg=0.60(モル比)となるように仕込んだ。さらに、トルエンを19.2kg仕込み、攪拌しながら昇温した。139℃で3時間反応させた後、130℃に降温して、メチルトリフェノキシシラン(以下、MeSi(OPh)3と記す。)のトルエン溶液を、先に仕込んだMg(OEt)2中のマグネシウムに対して、MeSi(OPh)3/Mg=0.67(モル比)になるように添加した。なお、ここで用いたトルエン量は、7.8kgであった。添加終了後、130Cで2時間反応させ、その後、室温に降温し、テトラエトキシシラン(以下、Si(OEt)4と記す。)を添加した。Si(OEt)4の添加量は、先に仕込んだMg(OEt)2中のマグネシウムに対して、Si(OEt)4/Mg=0.056(モル比)となるようにした。
次に、得られた反応混合物に対して、マグネシウム濃度が、0.58mol/L−トルエンになるように、トルエンを添加した。さらに、フタル酸ジエチル(以下、DEPと記す。)を、先に仕込んだMg(OEt)2中のマグネシウムに対して、DEP/Mg=0.10(モル比)になるように添加した。得られた混合物を、引き続き攪拌しながら10℃に冷却し、四塩化チタン(以下、TiCl4と記す。)を2時間かけて滴下して均一溶液を得た。なお、TiCl4は、先に仕込んだMg(OEt)2中のマグネシウムに対して、TiCl4/Mg=4.0(モル比)になるようにした。TiCl4添加終了後、攪拌しながら0.5℃/minで15℃まで昇温し、同温度で1時間保持した。次いで、再び0.5℃/minで50℃まで昇温し、同温度で1時間保持した。さらに、1℃/minで118℃まで昇温し、同温度で1時間処理を行った。処理終了後、攪拌を停止し、上澄み液を除去した後、トルエンで、残液率=1/73(重量比)になるように洗浄し、スラリーを得た。
次に、ここで得られたスラリーに、室温で、トルエンとTiCl4を添加した。なお、TiCl4は、先に仕込んだMg(OEt)2中のマグネシウムに対して、TiCl4/Mg(OEt)2=5.0(モル比)となるようにした。また、トルエンは、TiCl4濃度が、2.0mol/L−トルエンになるように調製した。このスラリーを攪拌しながら昇温し、118℃で1時間反応を行った。反応終了後、攪拌を停止し、上澄み液を除去した後、トルエンで、残液率=1/150(重量比)となるように洗浄し、固体成分のスラリーを得た。
【0060】
(ii)固体触媒成分(A)の製造
得られた固体成分のうち、400gを、攪拌翼、温度計、冷却ジャケットを有する別の反応器に移送し、ノルマルヘキサンを加えて、固体成分の濃度として5.0g/lになるように希釈した。得られたスラリーを攪拌しながら、15Cで、トリメチルビニルシラン、トリエチルアルミニウム(以下、TEAと記す。)およびターシャリーブチルメチルジエトキシシラン(以下、TBMDESと記す。)を添加した。なお、TEA、トリメチルビニルシラン、TBMDESの添加量は、それぞれ、固体触媒成分(A)中の固体成分1gに対して、3.1mmol、0.2ml、0.2mlとなるようにした。添加終了後、引き続き攪拌しながら、15℃で1時間保持し、さらに、30℃に昇温して、同温度で2時間攪拌した。次に、再び15℃に降温し、同温度を保持しながら、反応器の気相部に、4.8kgのプロピレンガスを8時間かけて定速でフィードして予備重合を行った。フィード終了後、攪拌を停止して上澄み液を除去した後、ノルマルヘキサンで洗浄を行い、固体触媒成分(A)のスラリーを得た。なお、残液率は、1/12(重量比)とした。得られた固体触媒成分(A)は、固体触媒成分(A):1gあたり、11.5gのプロピレン重合体を有していた。
【0061】
(iii)プロピレン−エチレン共重合体の製造
内容積0.4m3の攪拌装置付き液相重合槽1、0.5m3の攪拌式気相重合槽2の間に、二重管式熱交換器と流動フラッシュ槽からなる脱ガスシステムを組み込んだプロセスにより、プロピレン−エチレン共重合体の連続製造を実施した。
液相重合槽1には、液化プロピレン、エチレン、水素、TEA、TBEDMSを連続的にフィードした。なお、液化プロピレン、TEA、TBEDMSのフィード量は、それぞれ、163kg/hr、22.1g/hr、1.91g/hrであり、水素は気相の濃度が2.38mol%に、エチレンは気相の濃度が1.55mol%にそれぞれなるようにフィードした。さらに、上記(ii)で得られた固体触媒成分(A)を、(A)中に含まれる固体成分として、0.13g/hrとなるようにフィードした。また、重合温度が70℃となるように、重合槽を冷却した。
この重合槽1で重合したスラリーは、2重管式熱交換器により加熱され、流動フラッシュ槽に抜き出した。スラリーの抜き出しレートは、該スラリーに含まれるポリプロピレン粒子として、約24kg/hrになるように調節した。該ポリプロピレン粒子の液相重合槽1における平均滞留時間は1.4時間であった。流動フラッシュ槽においては、下部より加熱したプロピレンガスをフィードしながら、槽内温度を70℃に維持した。この流動フラッシュ槽から、少量のサンプルとして抜き出したポリプロピレンを分析したところ、MFRは3.5g/10分、エチレンの含有量は3.0重量%であった。ここで得られた固体状ポリプロピレン粒子は、気相重合槽2に送り、さらにエチレンとプロピレンの共重合を行った。
エチレンとプロピレンは、エチレンとプロピレンの分圧の和が17.0kgf/cm2G、かつ、エチレンのモル分率が4.1mol%で一定になるようにフィードした。また、水素は、水素濃度が0.75mol%となるようにフィードした。重合温度は75℃で、気相重合槽2から抜き出したプロピレン・エチレンブロック共重合体の抜き出しレートが、約33kg/hrになるように調節した。気相重合槽2における平均滞留時間は、1.7hrであった。気相重合槽2から抜き出された重合体粒子を分析したところ、MFRは2.7g/10分、エチレンの含有量は4.0重量%であった。こららの結果より、1段目と2段目の重合量比は、それぞれ75重量%、25重量%、2段目の重合によって生成したエチレン−プロピレン共重合体のMFRおよびエチレン含有量は、それぞれ1.2g/10分、7重量%であることがわかった。以上の重合条件、重合結果を表1に示した。
【0062】
(2)プロピレン系樹脂組成物の製造
上記で得られたプロピレン系共重合体粉末100重量部に、有機リン酸エステル系結晶化核剤として、ビス(2,4,8,10−テトラ−t−ブチルー6−オキソ−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン−6−オキシド)水酸化アルミニウム塩(商品名:アデカ(株)製マークNA21、表中に「NA21」と記載)0.2重量部、帯電防止剤として、グリセリンモノステアレート(商品名:(株)花王製エレクトロストリッパーTS5、表中に「TS5」と記載)0.07重量部、さらに、ステアリン酸カルシウム0.03重量部、商品名イルガノックス1010(チバガイギー社製)0.2重量部を加えてヘンシェルミキサーで混合後、250℃で溶融混練し、MFRが2.6g/10分になるように調整しプロピレン系樹脂組成物を得た。得られた組成物の内容を表2に示す。
【0063】
(3)シートの製造
このプロピレン系樹脂組成物を230℃に加熱されたスクリュー径50mmの押出シート成形機にてダイ幅500mmのコートハンガーダイから押出し、40℃の水が内部で循環した硬質クロムメッキ加工の金属ロールで挟み冷却固化した後、コロナ放電処理機にて表面処理をかけながら表面張力45ダインで厚み0.6mmの押出シートを製造した。得られたシートの評価を行った。その結果を表2に示す。
【0064】
実施例2〜4
実施例1の(iii)における1段目、2段目の重合条件を表1に示すとおりに調整し、表1に示すプロピレン系共重合体を得た。これらのプロピレン系共重合体を用い、実施例1と同様にして、プロピレン系樹脂組成物の製造、シート成形を行い評価した。得られた結果を表2に示す。
【0065】
比較例1〜5
実施例1の(iii)における1段目、2段目の重合条件を表1に示すとおりに調整し、表1に示すプロピレン系ブロック共重合体を得た。これらのプロピレン系ブロック共重合体を用い、実施例1と同様にして、プロピレン系樹脂組成物の製造、シート成形を行い評価した。得られた結果を表2に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
なお、表2中のNA21、TS5以外の配合物は以下の通りである。
ゲルオールMD(商品名):新日本理化(株)製1,3,2,4−ジ(パラメチルベンジリデン)−ソルビトール
A4085(商品名):三井化学(株)製エチレン−ブテン−ランダム共重合エラストマー
【0069】
表2より明らかなように、本発明のプロピレン系樹脂組成物からのシートは、弾性率、透明性、低温での耐衝撃性、折曲げ時の耐白化性に優れ、かつ帯電防止性や印刷性に優れたものであった(実施例1〜4)。一方、1段の重合工程のみによる共重合体の組成物では帯電防止性に劣り(比較例1)、1段の重合工程による共重合体にエチレン−ブテン共重合体エラストマーを配合した組成物では折り曲げ白化性及び帯電防止性に劣り(比較例2)、エチレン含有量の高い1段の重合工程のみによる共重合体の組成物では透明性に劣り(比較例3)、有機リン酸エステル系結晶化核剤以外の核剤を用いると金属ロール汚れがあり(比較例4)、前段の反応器におけるプロピレン・エチレン共重合体の生成量が多すぎる共重合体の組成物では衝撃強度に劣った(比較例5)。
【0070】
【発明の効果】
本発明のシート成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、透明性、剛性、低温での耐衝撃性、折曲げ時の耐白化性に優れ、かつ帯電防止性や印刷性にも優れており、文具向けシート等の透明シート用途に好適なものである。
Claims (4)
- プロピレン系共重合体100重量部に対し、有機リン酸エステル系結晶化核剤0.01〜2.0重量部、帯電防止剤0.01〜2.0重量部を含有するプロピレン系樹脂組成物であって、上記プロピレン系共重合体が、前段の反応器で、エチレンの含有量が0.5〜4重量%のプロピレン・エチレン共重合体部分(成分A)を全プロピレン系共重合体の70〜90重量%生成させ、引き続き、後段の反応器で、エチレンの含有量が4〜10重量%のプロピレン・エチレン共重合体部分(成分B)を全プロピレン系共重合体の10〜30重量%生成させて得られ、全プロピレン系共重合体のエチレン含有量が1〜5重量%で、成分Aのエチレン含有量に対する成分Bのエチレン含有量が1.5倍以上であり、かつ成分AのMFRAが1〜15g/10分、成分BのMFRBが0.1〜6g/10分、およびMFRAのMFRBに対する比(MFRA/MFRB)が2〜10である共重合体であることを特徴とするシート成形用プロピレン系樹脂組成物。
- 有機リン酸エステル系結晶化核剤が、ビス(2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−オキソ−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン−6−オキシド)水酸化アルミニウム塩、又は、リン酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載のシート成形用プロピレン系樹脂組成物。
- 帯電防止剤が、グリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1または2に記載のシート成形用プロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のシート成形用プロピレン系樹脂組成物を用いてなる透明シート。
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