JP4200511B2 - シャーリング用色素転写型包材及び当該包材を利用した食品の着色方法 - Google Patents

シャーリング用色素転写型包材及び当該包材を利用した食品の着色方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱調理により練り肉食品などの表面に色素を転写する機能を備えたシャーリング用包材、並びに当該包材を利用した食品の着色方法に関し、シャーリング(ひだ寄せ処理)によりハム、ソーセージなどの練り肉原料を充填する際には、包材に大きな外部ストレス(摩擦などの外力)が負荷されるが、このような場合でも、転写色素の包材からの脱落を有効に防止するとともに、加熱調理に際して色素を包材から練り肉食品などの表面に確実に転写できるものを提供する。
【0002】
【発明の背景】
ハム、ソーセージなどの練り肉原料を筒状包材に充填する方式としては、長尺の筒状包材をシャード機でシャーリングし(蛇腹状にひだ寄せし)、この蛇腹に折り畳んだ筒状包材を連続的に引き出しながら練り肉原料を充填していくものがある。
一方、練り肉食品を着色する方式には、加熱調理によって包材の色素を練り肉食品の表面に転写するようにしたものがあるが、予め可食性色素で着色した包材を用いてそのままシャーリングしようとすると様々な問題が出てくる。
即ち、従来の色素転写型の包材としては、先ず、セロファンに転写色素を浸漬又は塗布したものが挙げられるが、セロファンは強度が弱く、シャーリング時のストレスによって包材自体が破損し易いうえ、シャーリングによる摩擦力で転写色素がセロファンから脱落したり、ひだ寄せされた色素が隣接状に密着するために損傷又はブロッキングを起こしたりする恐れが強い。
また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデンなどのフィルムに転写色素を塗布したものでは、包材自体の強度はセロファンより増大するが、これらの包材は疎水性が高いことから、例えば水溶性(或は水性)の色素などはこれらの包材に対する付着強度が低く、このために、やはりシャーリング時のストレスで色素が包材から脱落する恐れが大きい。
【0003】
【従来の技術】
本出願人は、実開平6−35165号公報で、塩化ビニリデン、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリエステルなどの合成樹脂製フィルムの一面に、アルキド樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂などをアルコールやエステルなどの溶剤に溶解した中間層を塗布し、さらにこの中間層の上に、セルロース系高分子物質、シェラック、ダンマル、コーパル等の天然樹脂などをエタノールに溶解させた溶液に各種の水溶性可食性色素を添加したビヒクル層を塗布し、包材とビヒクル層の両方に対する親和性を当該中間層に兼備させることによって、練り肉食品の表面への色素の転写むらをなくし、包材と肉表面の間の肉付きも良好に改善した練り肉食品用の色素転写型包材を開示した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術は、ロール状に巻いたシート形態の包材を連続自動充填機で引き出しながら筒状に融着し、同時に練り肉原料を連続的に充填していく方式であり、シャーリングによって練り肉原料を包材に充填することを主眼とするもの(即ち、包材に大きなストレスが負荷されることを想定したもの)ではない。
そこで、本発明は、上記従来技術をさらに改良して、シャーリング方式で練り肉原料などを包材に充填するのに伴って包材に大きな外部ストレスが負荷される場合にも、包材の塗布色素を脱落のない状態で円滑に練り肉食品などの表面に転写することを技術的課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、各種包材の一面にグリセリン、ソルビット、プロピレングリコールなどの可塑剤を含有する中間層を介して色素層を塗布すると、シャーリングに際して、この中間層がいわゆる緩衝体となって、包材に負荷される多大のストレス(即ち、シャーリング時の摩擦力)を有効に緩和する機能を果し、色素の脱落が有効に防止されることを見い出して、本発明を完成した。
【0006】
即ち、本発明1は、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド及びポリエステルから選ばれた合成樹脂、或はファイブラス及びセルロースから選ばれた天然高分子系の単層フィルム、又は少なくとも一層がこれらの材質で構成される積層フィルムの片面に、グリセリン、ソルビット、マンニット、プロピレングリコールよりなる群から選ばれた可食性可塑剤を含有する緩衝層を介して、可食性色素層を形成したことを特徴とするシャーリング用色素転写型包材である。
【0007】
本発明2は、上記本発明1の包材を色素層が内側になる状態で筒状に形成し、シャーリングした筒状包材に練り肉原料を充填した後に加熱調理して、色素を練り肉食品の表面に転写せしめることを特徴とする色素転写型包材を利用した練り肉食品の着色方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明1のフィルムはシャーリングに使用するものであり、単層フィルム、積層フィルムを問わない。単層フィルムとしては、適正な強度(耐ストレス性)を具備することにより、シャーリングに伴って包材にストレスが負荷されても、損耗を抑制できるものである。その具体例としては、ポリ塩化ビニリデン(PVCD;塩化ビニルとの共重合体を含む)、ポリエチレン(直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む)、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、又はエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)などの合成樹脂フィルム、或はファイブラス、セルロースなどの天然高分子系のフィルムなどが挙げられる。従って、例えば、セロファンの単層フィルムなどは機械的強度が低く、好ましくない。
また、積層フィルムは少なくとも一層が適正な強度のある上記材質で構成される複層フィルムであり、例えば、上記セロファンなどは親水性を有するために、水溶性色素などの印刷性に優れる反面、強度的に弱いために上記の材質で補強する必要がある。従って、積層フィルムの具体例としては、ポリエチレン/セロファン(内層)、ポリエチレン/ナイロン/セロファン(内層)、ポリエチレン/ナイロン/ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン/ナイロン/ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン/ナイロン/ポリプロピレン、ナイロン/EVOH/ポリエチレン、ポリエチレン/EVA/ナイロン/ポリエチレン、或はEVA/EVOH/ナイロン/EVAなどが挙げられる。
【0009】
また、上記フィルムの形態はシート状、筒状などを問わない。この場合、シート状のフィルムを筒状化する見地に立てば、ヒートシール性を有するポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデンなどのポリオレフィン、或はEVAなどの単層フィルム、或は当該材質が片面に臨む積層フィルムは好適である。さらに、ポリ塩化ビニリデン、又はポリ塩化ビニリデンをコートしたポリプロピレン(KOP)などの単層フィルム、或は外層に当該材質を用いた積層フィルムでは、包材にガスバリヤー性を付与できる。
【0010】
本発明1の緩衝層は、グリセリン、ソルビット、マンニット、プロピレングリコールなどの可食性多価アルコールよりなる可塑剤を含有する塗膜層であり、基本的にはシェラック、ロジン、コーパル、グリアジン、トウモロコシタンパク(ゼイン)、ホルデインなどの天然樹脂をアルコール(含水アルコールを含む)に溶解した溶液、或はアルカリを加えて溶解したほぼ中性の水溶液、或は界面活性剤により乳化したエマルジョンをビヒクルとし、このビヒクルに上記可塑剤を添加し、乾燥処理でアルコールを揮発させて塗膜形成される。この塗膜は上記可塑剤を含有するため、適度の柔軟性を有して緩衝機能が期待できる。
【0011】
本発明1の色素層の主成分である色素は、例えば、アナトー色素、コウリャン色素、紅コウジ色素、カカオ色素、クチナシ色素、タマネギ色素、チコリ色素、カラメル色素、くん液フレーバーなどの天然色素、赤色3号、106号、102号、黄色4号、5号などの合成色素などをいう。
上記色素層は、基本的には、シェラック、ロジン、コーパルなどの可食性天然樹脂のアルコール溶解液、或はエマルジョンなどをヒビクルとして、このビヒクルに上記色素を溶解(又は分散)したもので、色素はシェラックなどに担持された状態で塗膜形成されるが、水溶性色素の場合には水又は含水アルコールに直接溶解することもできる。また、カカオ色素を使用する場合、天然のカカオ粉末で代替すると、深みのある黒い色調を練り肉食品の表面に付与できる。
【0012】
上記色素層の塗膜形成は、色素液(ビヒクル又は水性色素液)をフィルムにコーターなどで印刷し、乾燥させるのが基本であるが、色素液をフィルムに噴霧したり、フィルムを色素液に浸漬しても良い。また、水溶性色素の場合には、色素水溶液を刷毛などでフィルムに塗布しても差し支えない。
尚、フィルムの最内層がセロファンなどの場合、緩衝層とセロファンが密着し過ぎて色素の転写などに支障を来す場合があるため、緩衝層にはソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチンなどの可食性界面活性剤、或は油脂類などを添加して、セロファンに対する緩衝層の密着度を適度に低減することができる。
また、ポリエチレンなどの疎水性のフィルム内面にコロナ放電処理、過マンガン酸カリウムや重クロム酸カリウムなどの薬剤による酸化処理、サンドブラストやバフ研磨などの機械処理、或は火炎処理などの活性化処理を施し、当該内面に無数の微小凹凸を形成させる場合にも、緩衝層に前記可食性界面活性剤や油脂類などを添加すると、疎水性の当該フィルム内面に対する緩衝層の密着度を適度に調整して、包材を剥離した際の練り肉食品の肉付きなどを有効に防止できる。
【0013】
本発明2は、フィルムの内層側に緩衝層を形成することにより、外部ストレスが負荷された場合にも色素層がフィルムから容易に脱落しないように処理した上述の各種包材を用いて、シャーリング方式で練り肉原料を包材に充填し、加熱調理によって包材の色素を練り肉食品の表面に転写して着色する方法である。
即ち、高周波、超音波、或は熱板などによって、上記包材を色素層が内側になる状態で長尺筒状に形成し、この筒状包材をシャード機で蛇腹状に伸長可能にひだ寄せし(即ち、シャーリングを施し)、シャーリングした筒状包材に練り肉原料を充填した後に、蒸煮、湯煮などにより加熱調理して、包材の色素を練り肉食品の表面に転写させるのである。
上記練り肉原料は牛、豚、家禽、家兎などの畜肉、又は各種魚肉などを練成処理した肉類原料をいい、練り肉食品は、畜肉又は魚肉のハム、ソーセージ、ハンバーグ、ミートボール、或はカマボコ食品などをいう。
尚、本発明2は本発明1のシャーリング用包材に練り肉原料を充填したうえで、練り肉食品を着色する方法であるが、本発明1の包材を用いて練り肉原料、他の食品原料を充填し、食品表面に色素を転写する場合、食品の充填方式は、シャーリング方式以外の任意の方式を排除するものではなく、シャーリング以外の方式で行うこともできる。
【0014】
即ち、本発明2のシャーリング方式による食品の着色方法とは異なり、本発明1のシャーリング用包材を用いながら、当該シャーリングを施すことなく、加熱によって流動化させた食品を当該包材に供給することで(接触させることで)、包材の色素を食品の表面に転写させることができる。加熱により流動化する食品としては、チーズ、バターなどの乳製品、飴、ゼラチン、寒天などが挙げられる。前記本発明2は、筒状包材に練り肉原料を充填した後に、加熱調理をして色素を食品表面に転写する方式であるが、この方法では、加熱流動化した食品自体の熱で、包材への供給と同時に、色素を食品の表面に転写することができる。
この場合、包材を筒状に形成し、当該筒状包材に加熱流動化したチーズなどの食品を充填し、筒状のままで色素を食品に転写しても良いし、食品を充填してからローラなどで包材の両外側から挟圧して、シート状に加工した食品(例えば、スライスチーズがこれに相当する)に色素を転写しても差し支えない。
【0015】
【作用】
本発明1ではグリセリンなどの可塑剤を含む塗膜(緩衝層)が色素層に負荷されるストレス(衝撃)の吸収体になるため、シャーリングに際して包材に多大の外力が負荷されても、折り畳みの際のストレスや折り畳まれて強く密着した包材の隣接部同士に負荷されるストレスなどに対して耐久性を発揮し、色素層が包材内面から脱落することが有効に防止される。
しかも、加熱調理に際して、色素層が練り肉表面に直接接しており、肉表面への色素の転写に支障がないので、色素の転写能を高く保持できる。
即ち、本発明の包材は、シャーリングに伴って外部ストレスが負荷される場合にも、包材から色素が脱落することがないため、加熱調理によって色素を練り肉食品の表面にスムーズに転写できる。
【0016】
【発明の効果】
(1)上述したように、本発明1ではグリセリンなどの可塑剤を含む緩衝層が色素層に負荷されるストレス(衝撃)の吸収体になるため、本発明1の包材は、シャーリングに伴って多大のストレスが外部から負荷される場合でも包材から色素が脱落することがなく、加熱調理によって色素を肉表面にスムーズに転写できる。
従って、ハム、ソーセージなどの練り肉食品の分野において、シャーリング可能な色素転写型包材を新規に提供できるとともに、当該包材を利用することにより各種練り肉食品を有効且つ簡便に着色できる。
また、本発明1のシャーリング用包材を用いると、チーズ、バター、飴などの加熱流動化可能な食品にも色素を有効に転写できる。
【0017】
(2)練り肉食品を製造する場合、欧米ではシャーリング方式で練り肉原料を包材に充填することが多いが、我国では冒述のように、ロール状に巻いたシート形態の包材を筒状に融着しながら、この筒状包材に練り肉原料を充填していく方式が少なくない。
従って、従来、わが国では、ポリ塩化ビニリデンなどの単層フィルム、又は内層側がポリ塩化ビニリデンなどの積層フィルムに色素を塗膜形成したうえで、得られた包材にシャーリング以外の上記方式で練り肉原料を充填することがあるが、この場合には、ポリ塩化ビニリデンなどが疎水性であるために、充填工程以前の塗膜形成の時点で、特に水溶性(或は水系)の色素ではフィルムに対する塗布が容易でないという問題があった。また、一方、セロファンの単層フィルム又は内層がセロファンの積層フィルムに色素を塗膜形成する場合には、色素層がセロファンに強く付着して、包材を剥離した場合に、練り肉食品に良好に転写されるべき色素が、フィルム面と一緒に密着して剥がれてしまうという肉付きの弊害があった。
本発明のシャーリング用包材にあっては、練り肉原料の充填をシャーリング方式で行い、フィルムの内層に可食性可塑剤を含む緩衝層を介して色素層を塗布することなどを基本とし、この場合には、ポリ塩化ビニリデン層などの疎水性のフィルム層に対しても良好に色素層を塗膜形成できるとともに、セロファン層などに対しても付着強度を適度に抑えて色素層を塗膜形成できる。
即ち、本発明の包材は、練り肉原料をシャーリング方式で充填する場合に適用するものであるが、これ以外にも、任意の常法で充填、或は供給する場合に本発明の包材を適用することを排除するものではない。例えば、シャーリング方式を採らずに上記練り肉原料を包材に充填し、包材の色素を練り肉食品の表面に転写することができるし、同様に、シャーリング方式によらずに、チーズ、バター、飴などの食品を加熱流動化させ、当該食品を筒状包材に充填し、筒状のままで、或はシート状に挟圧することにより、色素をチーズなどの上記食品に転写することもできる。
【0018】
【実施例】
以下、シャーリング用色素転写型包材の製造実施例を順次述べるとともに、当該包材を用いてシャーリングにより練り肉原料を充填し、加熱調理した場合の着色試験例を説明する。また、加熱流動化したチーズをシャーリング方式を採らずに包材に供給した場合を着色参考例として併記する。
尚、本発明は下記の実施例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で多くの変形をなし得ることは勿論である。
【0019】
《シャーリング用色素転写型包材の製造実施例1》
先ず、シェラックのエチルアルコール溶解液(ビヒクル)に可塑剤としてグリセリンを添加した混合液を下記の組成で調製し、当該混合液をポリエチレン/ナイロン/セロファンの三層フィルムのセロファン側にコーターを用いて塗布し、トンネル型乾燥機中で乾燥させて、先ず、フィルムに緩衝層を塗膜形成した。
シェラック 3.0重量%
グリセリン 3.0重量%
ソルビタン脂肪酸エステル 0.7重量%
(エマゾール;花王社製)
エチルアルコール 93.3重量%
【0020】
次いで、シェラックをエチルアルコールに溶解させた液にアナトー色素及びコウリャン色素を分散させたものを色素原液とし、この色素原液をベースとして下記の組成で色素液を調製し、上記緩衝層の上にこの色素液をコーターで塗布し、再び乾燥機中を通過させて乾燥させ、当該緩衝層上に色素層を積層状に塗膜形成した。
色素原液 70.0重量%
エマゾール 3.0重量%
グリセリン 3.0重量%
エチルアルコール 17.0重量%
水 7.0重量%
尚、緩衝層並びに色素層内に添加した界面活性剤(エマゾール)は、緩衝層がセロファン層と、また、色素層が緩衝層に過剰に密着するのを防止するためのものである。
【0021】
2重にコートした上記三層フィルムの両端を突き合わせ、当該両端に臨む最外層のポリエチレン層同士の間に沿って、別途に用意したテープ状のポリエチレン・シールを橋架け状に載置してヒートシールし、塗膜面が内側になる状態で長尺状の筒状包材に形成した。そして、この筒状包材をシャード機にかけて伸長可能にひだ寄せし(シャーリングし)、シャーリングした包材に練り肉原料を連続充填した。当該練り肉原料には、ブタ肉ミンチ50部に食塩1.6部、リン酸塩0.3部、亜硝酸ナトリウム0.01部及びL−アスコルビン酸0.05部を凍氷水16部と共にサイレントカッターで混和し、これに植物タンパク2部及び豚脂20部を氷水9部と共に加えた後、グルタミン酸ナトリウム0.2部、砂糖0.2部及びスパイス0.3部よりなる調味料を加え、さらにデンプン3部を添加混練してなるソーセージ原料を用いた。
次いで、包材に充填した上記練り肉原料を80℃、40分の条件で湯煮して加熱調理と着色処理を同時に施した後、直ちに冷水中で急冷してソーセージを製造した。
【0022】
〔上記包材による着色結果〕
冷却後、速やかに上記ソーセージの包材を剥離して目視観察すると、ソーセージの表面は黄褐色〜褐色の美麗な光沢と色調で均一に着色されており、色むらもなく、肉表面がむしり取られることもなかった。
肉表面の上記着色度合から見て、色素層はシャーリングに際して脱落することなく包材に確実に保持され、且つ、加熱調理に際しては肉表面にスムーズに転写されたことが確認できた。
【0023】
一方、上記ポリエチレン/ナイロン/セロファンの三層フィルムのセロファン側に、緩衝層を塗布せずに上記色素層だけを単独で塗布した包材を用いてシャーリングを施すと、色素層が包材から部分脱落、或は脱落ぎみになることが観察された。
また、引き続いてこの包材に練り肉原料を充填して加熱調理し、出来上がったソーセージの包材を剥離したところ、ソーセージ表面には部分的な肉付きが生じて色落ちや色むらが認められ、均一な着色結果は得られなかった。
さらに、上記包材に替えてポリエチレン/ナイロン/ポリエチレンの三層フィルムに水溶性色素を塗布した包材を用い、同様の操作で着色度合を観察したところ、上記水溶性色素は疎水性のポリエチレンに対して塗着度合が低いため、最内層がセロファンである前記包材に比べて、シャーリング時の色素の脱落が一層進行し、もって加熱調理後の着色度合も実用レベルの点で許容範囲外であった。
【0024】
《シャーリング用色素転写型包材の製造実施例2》
前記製造実施例1では、ポリエチレン/ナイロン/セロファンの三層フィルムを使用したが、本実施例2では、ポリエチレン/ナイロン/ポリエチレンの三層フィルムを使用して、当該三層フィルムの片面のポリエチレン層の上に緩衝層及び色素層を順番に塗布した。
即ち、シェラックのエチルアルコール溶解液(ビヒクル)に可塑剤としてグリセリンを添加した混合液を下記の組成で調製し、当該混合液をポリエチレン/ナイロン/ポリエチレンの三層フィルムの片面にコーターを用いて塗布し、トンネル型乾燥機中で乾燥させて、フィルムに緩衝層を塗膜形成した。
シェラック 10.0重量%
グリセリン 5.0重量%
エチルアルコール 85.0重量%
但し、疎水性のポリエチレン層に対する塗膜形成は、前記実施例1のセロファン層に対するほどスムーズではないため、前記実施例1で使用した界面活性剤(エマゾール)は本実施例2では添加しなかった。
【0025】
次いで、前記実施例1と同じ組成の色素層を上記緩衝層の上に、同実施例1と同じ処理条件で積層状に塗膜形成した。但し、上記三層フィルムの一方の端縁部には、所定の細幅で緩衝層及び色素層を塗膜形成しない耳部を設けて、フィルムを筒状化する際の利便に供した。
【0026】
2重コートした上記三層フィルムの一端側の耳部を他端に重ね合わせ、当該一端の最内層と他端の最外層のポリエチレン層同士が密着した状態でヒートシールして(即ち、塗膜面が内側になった状態で封筒貼りにして)、長尺状の筒状包材を形成した。
そして、この筒状包材をシャード機にかけて伸長可能にひだ寄せし(シャーリングし)、前記製造実施例1と同様の条件で、シャーリングした包材に練り肉原料を充填し、加熱調理及び冷却を施してソーセージを得た。
【0027】
〔上記包材による着色結果〕
冷却後、速やかに上記ソーセージの包材を剥離して目視観察したところ、疎水性のポリエチレン層に2重に塗膜形成した本実施例2においても、前記セロファン層に塗膜形成した製造実施例1と同様に、ソーセージの表面は黄褐色〜褐色の美麗な光沢と色調で均一に着色されており、色むらもなく、肉表面がむしり取られることもなかった。
【0028】
上記実施例1〜2はシャーリング方式で練り肉原料を包材に充填し、加熱調理を実施した例であるが、下記においては、加熱によって流動化したチーズをシャーリング方式を採らずに包材に供給し、チーズ自体の熱で包材の色素をチーズ表面に転写する参考例を述べる。
《色素転写型包材を用いたチーズの参考例》
先ず、延伸ポリプロピレン(OPP)製の単層フィルムにコロナ放電によって活性化処理を施し、ゼイン及びシェラックのエチルアルコール溶解液(ビヒクル)に可塑剤としてグリセリンを添加した混合液を下記の組成で調製し、当該混合液をOPPフィルムの活性化処理面の側にコーターを用いて塗布し、トンネル型乾燥機中で乾燥させて、先ず、フィルムに緩衝層を塗膜形成した。
ゼイン 10.0重量%
シェラック 3.0重量%
グリセリン 3.0重量%
ソルビタン脂肪酸エステル 3.0重量%
(ニッサンノニオン;日本油脂社製)
エチルアルコール 81.0重量%
【0029】
次いで、前記製造実施例1と同様の組成の色素液を調製し、上記緩衝層の上にこの色素液をコーターで塗布し、再び乾燥機中を通過させて乾燥させ、当該緩衝層上に色素層を積層状に塗膜形成した。
尚、当該包材では、色素層を図柄状に塗膜形成した。
【0030】
次いで、上記色素層側を内側としてこの包材を円筒状に連続供給し、85℃に加熱して流動化したチーズを減量ぎみの供給密度で包材内に充填し、包材をローラーで両外側から挟圧しながらシート状に加工し、チーズが流動状態にある間に包材をしごいて形状を整え、冷却した後に、チーズを包材ごと矩形状にカットして、図柄を着色したスライスチーズを製造した。
【0031】
〔上記包材による着色結果〕
冷却後、速やかに上記スライスチーズの包材を剥離して目視観察すると、チーズの表面には図柄が鮮明且つ均一に着色されており、図柄の部分的な欠落(即ち、肉付き)はなかった。これにより、包材の色素はチーズ自体の熱によってチーズ表面に円滑に転写されたことが確認できた。

Claims (2)

  1. ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド及びポリエステルから選ばれた合成樹脂、或はファイブラス及びセルロースから選ばれた天然高分子系の単層フィルム、又は少なくとも一層がこれらの材質で構成される積層フィルムの片面に、グリセリン、ソルビット、マンニット、プロピレングリコールよりなる群から選ばれた可食性可塑剤を含有する緩衝層を介して、可食性色素層を形成したことを特徴とするシャーリング用色素転写型包材。
  2. 請求項1に記載の包材を色素層が内側になる状態で筒状に形成し、シャーリングした筒状包材に練り肉原料を充填した後に加熱調理して、色素を練り肉食品の表面に転写せしめることを特徴とする色素転写型包材を利用した練り肉食品の着色方法。
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