JP4201939B2 - 画像処理装置及び放射線治療計画システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、画像処理装置に関するものであって、とくにCT画像等のスライス画像について、単一画像面で対象物の画素強度に関する特徴と、対象物の形状に関する特徴とに基づいて対象物を抽出し、かつ各画像間においては前後関係から誤り抽出判定処理を行い、対象物の抽出が不可能であるスライス画像については各画像間での抽出領域の移動及び回転を考慮した補間処理を行うことにより、対象物の輪郭を高速かつ妥当な精度で抽出することができる画像処理装置に関するものである。さらに、この発明は、該画像処理装置を用いた放射線治療計画システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
人体ないしは物体のスライス画像、例えばCT(Computed Tomography)画像等から、骨、筋肉などの対象物を抽出して、該対象物の輪郭ないしは形状等を把握するようにした画像処理装置は一般に知られている(例えば、特開平06−070923号公報、特開平07−299060号公報参照)。そして、この種の画像処理装置における対象物の抽出手法としては、自動的に画像処理を行って対象物を抽出する自動方式と、マウス等の入力デバイスを用いて対象物の輪郭をトレースすることにより対象物を抽出するマニュアル方式とが用いられている。さらに、作業が軽減されるといった自動方式の利点と、高精度であるといったマニュアル方式の利点とを併せもつ半自動方式も用いられている。
【0003】
具体的には、前記の特開平06−070923号公報に開示されている画像処理装置(画像診断装置)は半自動方式のものであるが、この画像処理装置では、多数枚のCT画像からこれより少ない枚数の断面画像を作成し、該断面画像について対象物の輪郭をマウスでトレースすることにより、トレース作業量を軽減するようにしている。
【0004】
また、前記の特開平07−299060号公報に開示されている画像処理装置は自動方式のものであるが、この画像処理装置では、CT画像の対象物内に関心領域を指定し、該関心領域のCT値の平均値と、CT値の上限値及び下限値とに基づいて抽出条件を設定し、関心領域と隣り合う各ピクセルのうち上記抽出条件を満足するものを該対象物の一部(同一組織)であると判定するといった処理を3次元的に行うことにより、対象物を抽出するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の対象物の抽出手法のうち、自動方式は、非常に多くのパラメータの設定を必要とし、多大な計算時間を必要とするといった問題がある。また、パラメータの設定が良好である場合、一般的には出力結果も良好となるが、多大な処理時間を必要とし、また結果が常に満足できるものになるとは限らないといった問題もある。なお、特開平07−299060号公報に開示されている自動方式の画像処理装置では、パラメータの設定が悪いと、対象物を過剰に大きく抽出してしまい、その輪郭ないしは形状を正確に抽出することができないといった問題がある。
【0006】
他方、マニュアル方式は、例えばCT画像のように多くのスライス画像を処理する場合は、輪郭トレースを多数回行わなければならず、繁雑(重労働)かつ長時間にわたる作業を必要とするといった問題がある。なお、この場合、作業者は各スライス画像を確認しながらトレースするので、対象物を精度良く抽出することができるといった利点がある。
【0007】
また、特開平06−070923号公報に開示されている半自動方式の画像処理装置では、スライス画像から生成されるトレース用の断面画像の数が妥当であるか否かの判断がむずかしく、また断面画像の数を多く設定すると、輪郭トレースの作業量が多くなるといった問題がある。
【0008】
この発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであって、処理プロセスを可及的に自動化しつつマニュアル作業を容易化して作業量を軽減することができ、対象物を妥当な精度でもって高速で抽出することができる画像処理装置を得ることを解決すべき課題ないしは目的とする。
また、この発明は、該画像処理装置を用いて、体内臓器の輪郭を高速で抽出して放射線治療用ビーム条件を最適化することができる放射線治療計画システムを得ることも解決すべき課題ないしは目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされたこの発明の第1の態様にかかる画像処理装置は、(a)原画像(スライス画像)から対象物を包含する領域画像(ROI画像)を切出す切出し手段と、(b)切出し手段によって切出された領域画像に対して、対象物に固有の画素強度で閾値処理を施す閾値処理手段と、(c)閾値処理が施された領域画像中において、対象物とその他の領域(すなわち、不要領域)とを切断する切断手段と、(d)切断手段によって切断された複数の領域から、対象物の候補領域を絞り込む絞り込み手段と、(e)対象物の形状特徴量を算出し、対象物の候補領域が絞り込まれた領域画像から、該形状特徴量に基づいて対象物を抽出する形状特徴量算出手段と、(f)複数の原画像に対してそれぞれ上記各手段による処理を施して得られた結果に基づいて、各領域画像について誤った対象物が抽出されているか否かを判定する誤り抽出領域判定手段と、(g)誤った対象物が抽出された(すなわち、対象物を抽出することができなかった)領域画像に対して、該領域画像の前後の領域画像についての補間処理により、(誤った対象物を削除した上で)対象物を補填する補間処理手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0010】
より詳しくは、この画像処理装置は、画像入力部に入力されたCT画像のようなスライス画像系列(スライス系列)から対象物をスライス画像別に抽出し、スライス画像間では誤り抽出判定を行い、誤りと判定されたスライス画像に対しては、前後のスライス画像による補間処理で対象物の輪郭を算出することにより、対象物を3次元的に高速で抽出するようにしたものである。
ここで、閾値処理手段は、領域画像からノイズを削減し、対象物内の画素強度の範囲内にある画素を抽出することにより、対象物を抽出するようにしたものである。
【0011】
切断手段は、抽出された領域画像に対して収縮処理及び膨張処理を行うことにより、不要な領域の連結性を切断し、かつ対象物のサイズを保持するようにしたものである。
絞り込み手段は、抽出された領域画像から対象物の大きさと、対象物は領域画像の枠付近には存在しないという制約条件とから対象物の候補を絞り込むようにしたものである。
形状特徴量算出手段は、抽出された画像内の各小領域において、対象物によって規定される形状特徴量を求め、最大値を有する領域をスライス画像内における対象物として抽出するようにしたものである。
【0012】
誤り抽出領域判定手段は、抽出画像系列において、あるスライス画像について、その前後のスライス画像の抽出領域との連続性から抽出領域の誤り判定を行うようにしたものである。
補間処理手段は、抽出された領域画像系列において、対象物が抽出されなかったスライス画像については、対象物を抽出したスライス画像から補間するようにしたものである。
【0013】
かくして、第1の態様にかかる画像処理装置によれば、処理プロセスを可及的に自動化しつつマニュアル作業を容易化して作業量を軽減することができ、対象物を妥当な精度でもって高速で抽出することができる。要するに、平易な処理による高速処理と、対象物の画像間の連続性を考慮した正確な対象物抽出とが可能となる。
【0014】
この発明の第2の態様にかかる画像処理装置は、第1の態様にかかる画像処理装置において、切出し手段が、複数の原画像を時系列動画形式に変換し、該原画像を動画表示させながら切出し位置を設定するようになっていることを特徴とするものである。この画像処理装置によれば、2次元画像上で確認しながら領域画像を切出すことができる。
【0015】
この発明の第3の態様にかかる画像処理装置は、第1の態様にかかる画像処理装置において、切出し手段が、複数の原画像データを3次元データとして処理して3次元表示し、該3次元表示上で切出し位置を設定するようになっていることを特徴とするものである。この画像処理装置では、3次元的に画像全体を見て、領域画像を切出すことができる。
【0016】
この発明の第4の態様にかかる画像処理装置は、第1の態様にかかる画像処理装置において、絞り込み手段が、対象物のサイズと対象物の画像内での存在位置とを含む情報(知識)を用いて対象物の候補領域を絞り込むようになっていることを特徴とするものである。この画像処理装置によれば、不要領域を削減することができ、対象物の抽出が容易となる。
【0017】
この発明の第5の態様にかかる画像処理装置は、第1の態様にかかる画像処理装置において、形状特徴量算出手段が、略円形の対象物領域に対して円形度を用いて形状特徴量を算出するようになっていることを特徴とするものである。この画像処理装置によれば、円形に近似することができる対象物を容易に抽出することができる。
【0018】
この発明の第6の態様にかかる画像処理装置は、第1の態様にかかる画像処理装置において、切断手段が、対象物の形状をモデル化した構造要素を用いて該対象物を収縮・膨張させることにより、対象物とその他の領域とを切断するようになっていることを特徴とするものである。この画像処理装置によれば、抽出すべき対象物に対してその形状を損なわないように収縮・膨張処理を施すことができる。
【0019】
この発明の第7の態様にかかる画像処理装置は、第1の態様にかかる画像処理装置において、誤り抽出領域判定手段が、領域画像系列中の任意の第1の領域画像内の抽出領域(対象物)の重心とこれに連続する第2の領域画像内の抽出領域(対象物)の重心とを通る直線と、第2の領域画像に連続する第3の領域画像内の抽出領域(対象物)との交点から、第3の領域画像内の抽出領域(対象物)の重心までの距離が所定の基準値を超える場合に、第3の領域画像について誤った対象物が抽出されていると判定するようになっていることを特徴とするものである。この画像処理装置によれば、画像系列方向への対象物の連続性を考慮して、正確に誤り抽出判定を行うことができる。
【0020】
この発明の第8の態様にかかる画像処理装置は、第1の態様にかかる画像処理装置において、補間処理手段が、補間処理に用いられる領域画像内の対象物の主軸方向と、該対象物の重心位置又は姿勢とについて正規化を行った後に補間処理を行うことにより、領域画像間における画像面上での対象物の移動及び回転を考慮して補間処理を行うようになっていることを特徴とするものである。この画像処理装置によれば、対象物の画像系列間での移動・回転を考慮して正確に形状補間を行うことができる。
【0021】
この発明の第9の態様にかかる放射線治療計画システムは、第1〜第8の態様のいずれか1つにかかる画像処理装置を用いて、患者の治療部位画像から照射標的及び注意臓器を高速で抽出し、注意臓器への線量を抑えるとともに照射標的に十分な高線量を印加することができる最適な照射ビーム条件を正確に計算し、該照射ビーム条件に基づいて患者に放射線治療を行うようになっていることを特徴とするものである。この放射線治療計画システムによれば、患者に対して効果的な放射線治療を容易に行うことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を具体的に説明する。
実施の形態1.
まず、この発明の実施の形態1を説明する。図1は、実施の形態1にかかる画像処理装置の構成を示すブロック図である。そして、図2(a)〜(g)は、図1に示す画像処理装置によって作成された各種実画像をディスプレイ上に表示した中間調画像の、図面に代わる写真である。
【0023】
図1において、102は、一連の複数のスライス画像(例えば、CT画像)すなわちスライス画像系列が入力されるとともに、該スライス画像系列を格納している画像入力部である。そして、104は、画像入力部102からスライス画像を取り込んで、該スライス画像から2次元の対象物(対象物候補)を抽出する2次元対象物抽出処理部である。
【0024】
図1及び図2に示すように、この2次元対象物抽出処理部104には、スライス画像から対象物を包含する領域(以下、この領域を「ROI(Region of Interest)」という。)を切出してROI画像107を作成するROI切出し部106と、対象物に固有の画素強度でROI画像107に閾値処理を施して閾値処理画像109を作成する閾値処理部108と、閾値処理画像109に連結切断処理を施して対象物と不要領域とを切断する連結切断部110と、連結切断処理後の画像111中において複数の領域から対象物の候補領域を絞り込む領域絞り込み部112と、対象物の形状特徴量を算出した上で該形状特徴量に基づいて領域絞り込み後の画像113中の対象物を抽出して、対象物が抽出された領域画像115を作成する形状特徴量算出部114とが設けられている。
【0025】
また、116は3次元対象物抽出処理部であり、この3次元対象物抽出処理部116は、2次元対象物抽出処理部104によって各スライス画像毎に抽出された2次元の対象物(対象物候補)から、各スライス画像間における対象物の連続性を考慮して、3次元の対象物を抽出するようになっている。この3次元対象物抽出処理部116には、2次元対象物抽出処理部104によって作成された各結果画像117について、誤った対象物(領域)が抽出されているか否かを判定する誤り抽出領域判定部118が設けられている。さらに、対象物を抽出することができなかった結果画像117に対して、該画像の前後の画像に基づいて補間処理を行うことにより対象物を補填して(与えて)、補間処理された結果画像121を作成する補間処理部120が設けられている。
【0026】
次に、画像処理装置の動作について説明する。
この画像処理装置においては、まず画像入力部102にスライス画像系列が入力される。次に、画像入力部102から2次元対象物抽出処理部104にスライス画像系列が取り込まれる。2次元対象物抽出処理部104においては、まず、不要な処理を軽減するために、ROI切出し部106で、スライス画像系列について対象物を包含する領域画像すなわちROI画像107を切出す切出し処理が施され、あわせてこのROI画像107に対して平滑化フィルタ処理が施され、ノイズの除去が行われる。
【0027】
ここで、ROI画像107の切出し処理は、スライス画像系列を時系列動画像に変換し、動画表示をさせながら対象物を完全に包含する領域画像を設定するといった手法で行うことができる。あるいは、スライス画像系列を3次元データとして処理して3次元表示を行い、3次元表示上にマウス等で切出し領域を設定するといった手法で切出し処理を行ってもよい。
【0028】
次に、閾値処理部108で、単一のROI画像107に対して、あらかじめ求めておいた対象物に固有の画素強度を閾値として閾値処理が施され、対象物を含む領域が抽出されている閾値処理画像109が作成される。この閾値処理画像109では、対象物とその他の領域(不要領域)とが連結された状態で抽出されている。このため、連結切断部110で、閾値処理画像109に対して、連結切断処理すなわち領域の収縮・膨張処理が施される。具体的には、まず収縮処理により、連結された状態にある各領域が、対象物(領域)とその他の領域とを含む複数個の領域に切断される。このように切断された各領域は、収縮処理によりサイズが収縮しているので、次に膨張処理が施され該領域のサイズが復元される。この収縮・膨張処理は、例えば8つの近傍画素に対して行われる。
【0029】
次に、切断された領域から対象物を正確に抽出するため、領域絞り込み部112で、一般的なルールにより不要な領域が削除される。なお、一般的なルールによる削除手法としては、例えば、あるサイズより小さな領域を除去するといった手法、あるいは対象物は一般にROI画像107の中心付近に存在するといった事実に鑑みROI画像107の枠付近の領域は消去するといった手法等を用いることができる。
【0030】
そして、形状特徴量算出部114で、対象物候補の形状特徴量が算出され、その極値(例えば、最大値)を保有する領域がROI画像における対象物として抽出される。例えば、対象物が円形である場合は、形状特徴量として領域の円形度を用いることができる。なお、円形度は、次の式1で表される。
【数1】
【0031】
このような閾値処理部108、連結切断部110、領域絞り込み部112及び形状特徴量算出部114による一連の各処理を各ROI画像107に対して行うことにより、ROI画像系列における対象物を抽出することができる。しかしながら、抽出された領域が必ずしも正しい対象物であるとは限らないため、3次元対象物抽出処理部116において、各ROI画像間の関係(関連性)を考慮して、誤った対象物の排除と、正しい対象物の抽出(補填)が行われる。
【0032】
具体的には、誤り抽出領域判定部118において、判定の対象となっているROI画像(以下、「対象ROI画像」という)と、対象ROI画像の前後のROI画像(抽出結果)との間での対象物の論理積領域が求められ、この論理積領域が空集合であれば対象ROI画像は誤った対象物を抽出しているものと判定され、対象ROI画像からこの誤った対象物が消去される。このような処理が、すべてのROI画像(ROI画像系列全体)に対して行われる。
【0033】
そして、ROI画像系列中で、誤った対象物が消去された、すなわち正しい対象物を抽出することができなかったROI画像(以下、「補間対象ROI画像」という)については、補間処理部120で、該補間対象ROI画像の前後のROI画像から、補間処理により正しい対象物が求められ、対象物が補填される。例えば、補間処理に利用するROI画像上の任意の同画素位置における画素値を用いて1次補間処理を行うことにより、補間対象ROI画像内の同位置における対象物(領域)が決定される。
図2(a)〜(g)に、それぞれ、各ステップで得られる処理画像(実画像)107、109、111、113、115、117、121の具体例を示す。
【0034】
このように、実施の形態1にかかる画像処理装置では、処理を可及的に自動化しつつマニュアル作業を容易化(平易化)して作業量を軽減することができる。また、各スライス画像間の連続性(関連性)を考慮することにより、誤って抽出された対象物が排除されるとともに、抽出できなかった対象物は補間処理により補填(補充)されるので、対象物を妥当な精度でもって高速で抽出することができる。
【0035】
実施の形態2.
以下、この発明の実施の形態2を説明する。
図3(a)、(b)は、実施の形態2にかかる画像処理装置における、図1中の連結切断部110とは異なる構成の連結切断部の実施例(具体例)を示す概念図である。図3(a)において、202は抽出すべき対象物であり、204は各領域間の連結性を制御するための膨張・収縮処理に用いられる構造要素である。
【0036】
ここで、膨張処理とは、対象物202を構造要素204の各座標値だけ上下左右に平行移動させて得られる全領域の論理和集合を求めるといった処理である。見方を変えれば、構造要素204の中心点を対象物202内で滑らせたときに、構造要素204が覆う領域全体の集合206を求める処理と解することもできる。また、収縮処理とは、対象物202を構造要素204の各座標値だけ上下左右に平行移動させて得られる全領域の論理積集合を求めるといった処理である。見方を変えれば、構造要素204を対象物202内で滑らせたときに、対象物202内に包含される構造要素204の中心点の集合208を求める処理と解することもできる。
【0037】
かくして、対象物202に対して膨張処理又は圧縮処理を行って得られる図形の輪郭は、構造要素204の形状の影響を受けたものとなる。このため、構造要素204の形状を、対象物202に対応する一般的な形状とすることにより、対象物の形状を損なわずに膨張・収縮処理を行うことが可能となる。図3(a)から明らかなとおり、長方形の対象物202に対して長方形の構造要素204を用いた場合の膨張処理結果206は長方形となる。
【0038】
これに対して、図3(b)に示すように、長方形の対象物202に対して円形の構造要素210を用いた場合の膨張処理結果212は、構造要素210の形状(円形)の影響を受け、長方形の4隅が丸められた形状となる
なお、構造要素の、対象物に対応する一般的な形状は、形状特徴量算出部で利用されるものを用いることも可能である。
【0039】
実施の形態3.
以下、この発明の実施の形態3を説明する。
図4は、実施の形態3にかかる画像処理装置における、図1中の誤り抽出領域判定部118とは異なる構成の誤り抽出領域判定部による誤り抽出領域判定処理の実施例(具体例)を示す概念図である。図4において、302、304及び306は、連続した3枚の、対象物が抽出されたROI画像(領域画像)である。また、308及び310は、それぞれ、連続した2枚のROI画像302、304内の抽出領域(対象物)である。
【0040】
この誤り抽出領域判定処理においては、抽出領域308の重心314と、抽出領域310の重心316とから、両重心314、316を結ぶベクトル320が求められる。そして、ROI画像304の抽出領域310の重心316からベクトル320を延長する方向に伸びる半直線322とROI画像306との交点324と、ROI画像306の抽出領域312(対象物)の重心318との間の距離326が、あらかじめ設定された基準値より大きければ、ROI画像306の抽出領域312は誤り抽出領域(誤った対象物)であると判定される。
【0041】
このような誤り抽出領域判定処理は、ROI画像系列に対して行われる。その際、初期ROI画像302、304を、重心位置がほぼ同じであるROI画像から選定することにより、初期のベクトル320の設定の誤りを避けることができる。このような処理により、ROI画像系列における対象物の方向性を考慮し、その方向性から外れたROI画像内の抽出領域を削除することが可能となる。
【0042】
また、上記誤り抽出領域判定処理における方向性を、連続した2枚のROI画像の重心間ベクトルではなく、3枚以上のROI画像を用いて、内挿処理あるいは外挿処理によって求めるようにしてもよい。これにより、画像間の方向性をより正確に求めることが可能となり、対象物の方向をより正確に考慮することが可能となる。
【0043】
実施の形態4.
以下、この発明の実施の形態4を説明する。
図5は、実施の形態4にかかる画像処理装置における、図1中の補間処理部120とは異なる構成の補間処理部によるROI画像系列間での補間処理の実施例(具体例)を示す概念図である。図5において、402は対象物が抽出された任意のROI画像であり、404はこのROI画像402中の対象物領域であり、406は対象物領域404の主軸であり、408は対象物領域404の重心Gである。
【0044】
この補間処理においては、まず主軸406からの回転角θ(回転方向)が求められ、さらに重心408からの平行移動量(−gx,−gy)が求められる。そして、対象物領域404に対して、次の式2による線形変換が行われる。
【数2】
【0045】
式2による線形変換を行うことにより、対象物の平行移動及び回転の影響をなくすことができ、その結果、対象物の位置ないしは姿勢の正規化が可能となる。そして、線形変換後のROI画像410(変換画像410)を任意の分割角度φで分割する直線と、対象物領域404の輪郭線との交点ないしは分割点Ri, φ(Xi, φ,Yi, φ)が求められる。なお、ここで、iはROI画像番号であり、φは分割角度である。
【0046】
さらに、それぞれROI画像番号がp及びqである線形変換されたROI画像412及びROI画像414について、分割角度φをφ0とした場合の交点ないしは分割点Rp, φ 0(Xp, φ 0,Yp, φ 0)及びRq, φ 0(Xq, φ 0,Yq, φ 0)のような対応した分割点が求められる。これらの分割点について各々の変換行列の逆行列により逆変換が行われ、原画像における座標値が求められ、その値を用いて座標値の線形補間処理が施される。これにより、ROI画像番号がrである中間のROI画像416における対応点Rr, φ 0(Xr, φ 0,Yr, φ 0)が求められる。
【0047】
このような中間ROI画像416における対応点が、複数の分割角度φについて求められ、これらの対応点を滑らかに連結した曲線を輪郭とする領域が中間ROI画像416における対象物の近似領域とされる。この補間処理によって得られる近似領域は、対象物の平行移動量と回転量とを算出した上で、その位置及び姿勢を正規化しているので、ROI画像間での平行移動及び回転を考慮した対象物の形状を得ることが可能となる。
【0048】
実施の形態5.
以下、この発明の実施の形態5を説明する。この実施の形態5は、前記の実施の形態1〜4にかかる画像処理装置を構成要素とする放射線治療計画システムに関するものである。
図6は、この放射線治療計画システム及びその放射線治療手法の概略を示す模式図(ブロック図)である。図6において、502は放射線治療を受ける患者であり、504は放射線治療計画システムである。506は、患者502のCT画像などの患者画像(スライス画像系列)である。508は、患者画像506を入力情報として、放射線治療における放射線の照射標的あるいは脊髄等の注意臓器の領域を抽出する画像セグメンテーション部である。
【0049】
510は、患者画像506と、画像セグメンテーション部508で作成された結果画像とを入力情報として、マウス等により結果画像を編集するマニュアル編集部である。512は、最適な放射線ビーム条件計算部であり、マニュアル編集部510の出力画像を入力情報として受け入れるようになっている。なお、患者画像506、画像セグメンテーション部508、マニュアル編集部510及び放射線ビーム条件計算部512は、放射線治療計画システム504の構成要素である。
【0050】
次に、この放射線治療計画システムの動作、ないしは放射線治療手法を説明する。
まず、患者502の治療対象部位を撮像したCT画像等の患者画像506が画像セグメンテーション部508に入力される。そして、画像セグメンテーション部508では、入力された患者画像506から、その画像強度特徴及び形状特徴量に基づいて、照射標的あるいは注意臓器などといった放射線治療に関連する領域のセグメンテーションが高速で行われる。
【0051】
マニュアル編集部510では、画像セグメンテーション部508で得られたセグメンテーション結果が、マウス等を用いてマニュアル操作で編集され、対象領域の輪郭が正確に抽出される。ここで、画像セグメンテーション部508における処理プロセスは平易な処理の組み合わせであるので、セグメンテーション結果が高速で得られる。また、得られるセグメンテーション画像は、画像間での平行移動及び回転並びに対象物の連結性を考慮した補間処理により求められたものであるので、妥当な正確さで形状を抽出することが可能である。この放射線治療計画システムでは、妥当な正確さのセグメンテーション画像をマニュアル編集することにより正確な形状を得るようにしているので、初めからマニュアル作業でトレースする従来のマニュアル方式の抽出手法に比べて、作業者の負担を大幅に軽減することができる。
【0052】
また、この放射線治療計画システムでは、、複雑なパラメータ調整を行い多くの処理時間をかけて得られたセグメンテーション処理結果をマニュアル編集することにより高精度で対象物を抽出する従来の半自動方式の抽出手法に比べて、処理時間が少なく済み、かつマニュアル作業量をほとんど変えることなく妥当な正確さで形状を抽出することができるので、処理時間と作業量とを総合的に判断してセグメンテーション処理の効率の向上を図ることができる。また、セグメンテーションが施された照射標的及び注意臓器の情報を放射線ビーム条件計算部に印加することにより、高精度にビーム条件を計算することができる。
【0053】
【発明の効果】
本発明の第1の態様にかかる画像処理装置によれば、切出し手段と閾値処理手段と切断手段と絞り込み手段と形状特徴量算出手段と抽出領域判定手段とにより、原画像からほぼ自動的に対象物が抽出された結果画像(領域画像)が作成される。次に、誤り抽出領域判定手段により、複数の結果画像について誤った対象物が抽出されているか否かが判定され、誤った対象物が抽出された結果画像については、その前後の結果画像についての補間処理により正しい対象物が補填されるので、平易な処理による高速処理と正確な対象物抽出とが可能となる。すなわち、処理プロセスを可及的に自動化しつつマニュアル作業を容易化して作業量を軽減することができ、対象物を妥当な精度でもって高速で抽出することができる。
【0054】
本発明の第2の態様にかかる画像処理装置によれば、切出し手段が、複数の画像を時系列動画形式に変換し、それを動画表示させながら切出し位置を設定するようになっているので、領域画像を2次元画像上で確認しながら切出すことができ、ひいては対象物の抽出精度を高めることができ、かつ抽出動作を高速化することができる。
【0055】
本発明の第3の態様にかかる画像処理装置によれば、切出し手段が、複数の画像データを3次元データとして3次元表示を行い、3次元表示上で切出し位置を設定するようになっているので、3次元的に画像全体を見て領域画像を切出すことができ、ひいては対象物の抽出精度を高めることができ、かつ抽出動作を高速化することができる。
【0056】
本発明の第4の態様にかかる画像処理装置によれば、絞り込み手段が、対象物のサイズと対象物の画像内での存在位置とを含む情報を用いて対象物の候補領域を絞り込むようになっているので、不要領域を削減することができ、ひいては対象物の抽出動作を高速化することができる。
【0057】
本発明の第5の態様にかかる画像処理装置によれば、形状特徴量算出手段が、略円形の対象物に対して円形度を用いて形状特徴量を算出するようになっているので、円形近似することができる対象物を容易に抽出することができ、ひいては対象物の抽出動作を高速化することができる。
【0058】
本発明の第6の態様にかかる画像処理装置によれば、切断手段が、対象物の形状をモデル化した構造要素を用いて該対象物を収縮・膨張させることにより、対象物とその他の領域とを切断するようになっているので、抽出すべき対象物に対して、その形状を損なわないように収縮・膨張処理を施すことができ、ひいては対象物の抽出精度を高めることができる。
【0059】
本発明の第7の態様にかかる画像処理装置によれば、誤り抽出領域判定手段が、第1の領域画像内の抽出領域の重心と第2の領域画像内の抽出領域の重心とを通る直線と、第3の領域画像内の抽出領域との交点から、第3の領域画像内の抽出領域の重心までの距離が所定の基準値を超える場合に、第3の領域画像について誤った対象物が抽出されていると判定するようになっているので、画像系列方向への対象物の連続性を考慮した誤り抽出判定を行うことができ、ひいては対象物の抽出精度を高めることができる。
【0060】
本発明の第8の態様にかかる画像処理装置によれば、補間手段が、補間処理に用いられる領域画像内の対象物の主軸方向と、該対象物の重心位置又は姿勢とについて正規化を行った後に補間処理を行うことにより、領域画像間における画像面上での対象物の移動及び回転を考慮して補間処理を行うようになっているので、画像配列間での対象物の移動・回転を考慮した形状補間をすることができ、ひいては対象物の抽出精度を高めることができる。
【0061】
本発明の第9の態様にかかる放射線治療計画システムによれば、第1〜第8の態様にかかる画像処理装置を用いて、患者の治療部位画像から照射標的及び注意臓器を高速で抽出し、注意臓器への線量を抑えるとともに照射標的に十分な高線量を印加することができる最適な照射ビーム条件を正確に計算し、該照射ビーム条件に基づいて患者に放射線治療を行うようになっているので、患者の体内臓器の輪郭を高速で抽出して放射線治療用ビーム条件を最適化することができ、患者に対して効果的な放射線治療を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1にかかる画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 (a)〜(g)は、それぞれ、図1に示す画像処理装置によって作成された各種実画像をディスプレイ上に表示した中間調画像の、図面に代わる写真である。
【図3】 (a)は、この発明の実施の形態2にかかる画像処理装置における対象物と不要領域とを切断する手法を示す概念図であり、(b)は、対象物と不要領域とを切断するもう1つの手法を示す概念図である。
【図4】 この発明の実施の形態3にかかる画像処理装置における誤り抽出判定の手法を示す概念図である。
【図5】 この発明の実施の形態4にかかる画像処理装置におけるROI画像系列の補間処理の手法を示す概念図である。
【図6】 この発明の実施の形態5にかかる放射線治療計画システムの概略を示すシステム構成図である。
【符号の説明】
102 画像入力部、 104 2次元対象物抽出処理部、 106 ROI切出し部、 107 ROI画像(実画像)、 108 閾値処理部、 109閾値処理画像(実画像)、 110 連結切断部、 111 連結切断処理後の画像(実画像)、 112 領域絞り込み部、 113 領域絞り込み後の画像(実画像)、 114 形状特徴量算出部、 115 形状特徴量に基づいて抽出された領域画像(実画像)、 116 3次元対象物抽出処理部、 117結果画像(実画像)、 118 誤り抽出領域判定部、 120 補間処理部、 121 補間処理が施された結果画像(実画像)、 202 対象物、 204 構造要素、 206 対象物202の構造要素204による膨張処理結果、 208 対象物202の構造要素204による収縮処理結果、 210 構造要素、 212 対象物202の構造要素210による膨張処理結果、 302 ROI画像、 304 ROI画像、 306 ROI画像、 308 ROI画像302の抽出領域、 310 ROI画像304の抽出領域、 312ROI画像306の抽出領域、 314 抽出領域308の重心、 316 抽出領域310の重心、 318 抽出領域312の重心、 320 重心314と重心316とでできるベクトル、 322 交点324からベクトル320の伸長方向へ引いた半直線、 324 ROI画像306と半直線322との交点、 402 ROI画像、 404 対象物領域、 406 対象物領域404の主軸、 408 対象物領域404の重心、 410 対象物領域404を座標変換した変換画像、 412 ROI画像番号pのROI画像、 414 ROI画像番号qのROI画像、 416 ROI画像番号がpとqの間(r)にあるROI画像、 502 患者、 504 放射線治療計画システム、 506 患者502の患者画像、 508 画像セグメンテーション部、 510マニュアル編集部、 512 放射線ビーム条件計算部。
Claims (9)
- 原画像から対象物を包含する領域画像を切出す切出し手段と、
上記切出し手段によって切出された領域画像に対して、対象物に固有の画素強度で閾値処理を施す閾値処理手段と、
上記閾値処理が施された領域画像中において、対象物とその他の領域とを切断する切断手段と、
上記切断手段によって切断された複数の領域から、対象物の候補領域を絞り込む絞り込み手段と、
上記対象物の形状特徴量を算出し、対象物の候補領域が絞り込まれた領域画像から、該形状特徴量に基づいて対象物を抽出する形状特徴量算出手段と、
複数の原画像に対してそれぞれ上記各手段による処理を施して得られた結果に基づいて、各領域画像について誤った対象物が抽出されているか否かを判定する誤り抽出領域判定手段と、
誤った対象物が抽出された領域画像に対して、該領域画像の前後の領域画像についての補間処理により、対象物を補填する補間処理手段とを備えていることを特徴とする画像処理装置。 - 上記切出し手段が、複数の原画像を時系列動画形式に変換し、該原画像を動画表示させながら切出し位置を設定するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 上記切出し手段が、複数の原画像データを3次元データとして処理して3次元表示し、該3次元表示上で切出し位置を設定するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 上記絞り込み手段が、対象物のサイズと対象物の画像内での存在位置とを含む情報を用いて対象物の候補領域を絞り込むようになっていることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 上記形状特徴量算出手段が、略円形の対象物に対して円形度を用いて形状特徴量を算出するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 上記切断手段が、対象物の形状をモデル化した構造要素を用いて該対象物を収縮・膨張させることにより、対象物とその他の領域とを切断するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 上記誤り抽出領域判定手段が、領域画像系列中の任意の第1の領域画像内の抽出領域の重心とこれに連続する第2の領域画像内の抽出領域の重心とを通る直線と、第2の領域画像に連続する第3の領域画像内の抽出領域との交点から、第3の領域画像内の抽出領域の重心までの距離が所定の基準値を超える場合に、第3の領域画像について誤った対象物が抽出されていると判定するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 上記補間処理手段が、補間処理に用いられる領域画像内の対象物の主軸方向と、該対象物の重心位置又は姿勢とについて正規化を行った後に補間処理を行うことにより、領域画像間における画像面上での対象物の移動及び回転を考慮して補間処理を行うようになっていることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 請求項1〜8のいずれか1つに記載の画像処理装置を用いて、患者の治療部位画像から照射標的及び注意臓器を高速で抽出し、注意臓器への線量を抑えるとともに照射標的に十分な高線量を印加することができる最適な照射ビーム条件を正確に計算し、該照射ビーム条件に基づいて患者に放射線治療を行うようになっていることを特徴とする放射線治療計画システム。
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