JP4220175B2 - 超電導コイルおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、巻型が円筒形状とは異なる異形巻型に超電導線材を巻線して製作される超電導コイルおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、高温超電導線材の臨界電流密度の向上によって、シリコン単結晶引上げ装置用超電導マグネット、磁気分離用マグネット、高磁場用ハイブリッドマグネット等が、実用化されるに至っている。
【0003】
しかしながら、高温超電導線材をコイル巻線するに当たっては、大きな技術的課題がある。
【0004】
すなわち、高温超電導線材に使われているBi系超電導体は、セラミック系材料のため、非常に脆弱である。
【0005】
そして、高温超電導線材に許容値以上の歪みが加わると、臨界電流値およびn値が急激に低下してしまう。
【0006】
現状では、許容引張り応力は60〜100MPa程度であり、許容曲げ歪みは0.3%程度である。
【0007】
また、Bi2223銀シース線材では、線材厚さが0.2mm程度と非常に薄く、その取扱いが非常に困難である。
【0008】
そこで、このような超電導線材をコイル化するために、例えば“特開2001−257113号公報”に示されるような巻線機を開発し、シリコン単結晶引上げ装置用高温超電導コイルを完成させるに至っている。
【0009】
これまでの高温超電導コイルのほとんどは、巻型が円筒形状で、その上に高温超電導線材を巻回したコイルである。
【0010】
円筒形のコイルの場合、ある張力を加えながら巻線を行なえば、巻線された超電導線材には巻線位相に関係無く一定のσr(コイル径方向の押し付け応力)が加わっているため、非常に均一なコイル巻線を行なうことが可能である。
【0011】
一方、巻型が円筒形状ではない異形のコイルの場合、すなわち例えば曲線部と直線部とを併せ持つレーストラック形状のコイルの場合、曲線部には、円筒形のコイル同様の均一なσrが超電導線材に加わるが、直線部では、ほとんどσrがゼロに近く、むしろ超電導線材が浮き上がろうとする方向に力が働き、直線部の巻線が非常に困難である。
【0012】
そして、このような状態で巻線を行なえば、寸法精度が保てないことに留まらず、含浸不良や、引いては超電導特性の劣化等を引き起こす可能性があり、好ましくない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、直線部の巻線においては、直線部が設計通りの形状となるように工夫する必要がある。
【0014】
しかしながら、前述したように、非常に薄くしかも脆弱な超電導線材に、むやみに外力を加えると、超電導特性の劣化が発生する。
【0015】
よって、超電導線材の許容歪みよりも小さな歪みしか加わらないような手段により、直線部を巻線して超電導コイルを製作する必要があり、最近では、そのための実現手段の出現が強く要望されてきている。
【0016】
なお、上記のような問題点は、高温超電導線材のみならず、従来の金属系超電導線材についても、同様にあてはまることである。
【0017】
本発明の目的は、極めて信頼性が高く、かつコンパクトでしかも性能が高い異形形状の超電導コイルを製作することが可能な超電導コイルおよびその製造方法提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明では、超電導線材を巻線して超電導コイルを製造する方法において、前記超電導線材に一定の張力をかけた状態で、2つの半円部とこれらにつながる2つの直線部とからなるレーストラック形状を有し、前記2つの半円部の内半径を前記超電導線材の許容曲げ半径以上とするようにした異形巻型に、前記異形巻型の2つの半円部では、それぞれの半円の中心を回転中心として前記超電導線材を巻線し、一方の半円部から他方の半円部に回転中心軸が移動する際には、押付用冶具にて前記超電導線材を前記異形巻型の直線部に押し付けながら巻線するようにしている。
【0042】
【発明の実施の形態】
本発明では、超電導線材に一定の張力をかけた状態で、超電導線材に許容値以上の応力あるいは歪みが加わらないように工夫された押付用の冶具を用いて、巻線しながら超電導線材を、巻型が円筒形状以外の形状を有する異形巻型へと押し付けることによって、直線部の巻線を実施することにより、異形形状の超電導コイルを製造する。
【0043】
以上のような手段を講じることにより、脆弱な超電導線材を劣化させることなく、レーストラック形状等の異形形状の超電導コイルを製作することを可能とする。
【0044】
以下、上記のような考え方に基づく本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0045】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態による超電導コイルの製造方法、すなわち超電導線材の異形形状へのコイル巻線製造方法を実現するための全体構成例を示す概要図である。
【0046】
図1に示すように、超電導コイルの製造システムは、異形巻型である異形コイル巻型100と、異形コイル巻型回転巻取機101と、異形コイル巻型スライド機102と、線材送出機103と、定張力テンショナー104とから構成されている。
【0047】
また、異形コイル巻型回転巻取機101の巻取回転速度や、巻取張力や異形コイル巻型スライド機102のスライド速度等を制御する巻取制御機105と、線材送出機103と異形コイル巻型回転巻取機101の速度を同調させる同調制御機106とを、システム制御機として備えている。
【0048】
すなわち、超電導線材1をコイルとして巻き取る異形コイル巻型100は、異形コイル巻型スライド機102に積載されることにより、異形コイル巻型スライド機102のスライド運動にしたがって、異形コイル巻型100もスライド運動をするようになっている。
【0049】
また、異形コイル巻型スライド機102は、異形コイル巻型回転巻取機101に積載されることにより、異形コイル巻型100および異形コイル巻型スライド機102は、異形コイル巻型回転巻取機101の回転運動にしたがって回転運動するようになっている。
【0050】
さらに、超電導線材1は、線材送出機103から送り出されて、異形コイル巻型100に巻き取られるが、線材送出機103と異形コイル巻型100とのほぼ中間地点に、定張力テンショナー104を配置することにより、超電導線材1は、定張力テンショナー104を介して一定の張力をかけながら異形コイル巻型100に巻き取られ、超電導線材1は定張力を維持することができるようになっている。
【0051】
なお、異形コイル巻型100としては、巻型が円筒形状以外の形状を有するものとしている。
【0052】
また、図1では図示を省略しているが、超電導線材1を異形コイル巻型100に巻線する際に、超電導線材1を異形コイル巻型100に押し付けるための押付用治具である押しローラを、異形コイル巻型100の近傍に備えている。
【0053】
一方、異形コイル巻型スライド機102のスライド運動の速度や運転/停止やストロークの制御や、異形コイル巻型回転巻取機101の回転運動の速度や運転/停止や回転角度の制御や、定張力テンショナー104の位置制御等は、電気的に接続されている巻取制御機105がつかさどるようになっている。
【0054】
また、線材送出機103と異形コイル巻型回転巻取機101の巻取り同調やシステム制御は、電気的に接続されている同調制御機106がつかさどるようになっている。
【0055】
次に、以上のようなシステム構成における本実施の形態による超電導コイルの製造方法について説明する。
【0056】
図1において、異形コイル巻型スライド機102のスライド運動にしたがって、異形コイル巻型100もスライド運動する。
【0057】
異形コイル巻型100および異形コイル巻型スライド機102は、異形コイル巻型回転巻取機101の回転運動にしたがって回転運動する。
【0058】
超電導線材1は、線材送出機103から送り出されて、異形コイル巻型100に巻き取られる。
【0059】
この場合、線材送出機103と異形コイル巻型100との間に、定張力テンショナー104を配置し、さらに巻型が円筒形状以外の形状を有する異形コイル巻型100の近傍に、図示しない押付用治具である押しローラを配置していることにより、超電導線材1は、定張力テンショナー104にて一定の張力をかけた状態で、かつ押しローラにて異形コイル巻型100に押し付けながら、異形コイル巻型100に巻き取られ、超電導線材1は定張力を維持しながら巻線することができる。
【0060】
これにより、脆弱な超電導線材1を劣化させることなく、極めて信頼性が高く、かつコンパクトでしかも性能が高い、異形形状の超電導コイルを製作することができる。
【0061】
なお、上記において、巻取制御機105によって、異形コイル巻型スライド機102のスライド運動の速度や運転/停止やストロークの制御や、異形コイル巻型回転巻取機101の回転運動の速度や運転/停止や回転角度の制御や、定張力テンショナー104の位置制御等が行なわれ、また同調制御機106によって、線材送出機103と異形コイル巻型回転巻取機101の巻取り同調やシステム制御が行なわれる。
【0062】
上述したように、本実施の形態では、超電導線材1を巻線して超電導コイルを製造する際に、超電導線材1に一定の張力をかけた状態で、巻型が円筒形状以外の形状を有する異形コイル巻型100に、押付用治具である押しローラにて超電導線材1を押し付けながら巻線するようにしているので、脆弱な超電導線材1を劣化させることなく、極めて信頼性が高く、かつコンパクトでしかも性能が高い異形形状の超電導コイルを製作することが可能となる。
【0063】
(第2の実施の形態)
図2は、本実施の形態による超電導コイルの製造方法、すなわち超電導線材の異形形状へのコイル巻線製造方法を実現するためのスライドストロークの構成例を示す概要図であり、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0064】
すなわち、本実施の形態による超電導コイルの製造方法は、前述した第1の実施の形態による超電導コイルの製造方法において、図2に示すように、異形コイル巻型100の形状を、2つの半円部とこれらにつながる2つの直線部とからなるレーストラック形状の剛な枠で構成して、異形コイル巻型スライド機102に積載するようにしている。
【0065】
ここで、異形コイル巻型スライド機102は、レーストラック形状の異形コイル巻型100の一方の半円部の中心から他方の半円部の中心までの範囲“S”をスライド(ストローク)できる構成になっており、かつ半円部の中心までストロークした段階で位置検出してスライド運動を停止し、回転運動に移行するように制御するようになっている。
【0066】
以上のような本実施の形態による超電導コイルの製造方法においては、異形コイル巻型100の形状を、2つの半円部と2つの直線部とからなるレーストラック形状としていることにより、超電導線材1の巻取り回転時には、かならず回転中心が半円部の中心となるため、円周上に均等に巻き取りを行なうことが可能となる。
【0067】
これにより、脆弱な超電導線材1を劣化させることなく、レーストラック形状の超電導コイルを製作することができる。
【0068】
上述したように、本実施の形態では、円周上に均等に巻き取りを行なうことができ、脆弱な超電導線材1を劣化させることなく、レーストラック形状の超電導コイルを製作することが可能となる。
【0069】
(第3の実施の形態)
図3は、本実施の形態による超電導コイルの製造方法、すなわち超電導線材の異形形状へのコイル巻線製造方法を実現するための巻型断面フランジの構成例を示す概要図であり、図1および図2と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0070】
すなわち、本実施の形態による超電導コイルの製造方法は、前述した第2の実施の形態による超電導コイルの製造方法において、図3に示すように、異形コイル巻型100の半円部の内半径を、超電導線材1の許容曲げ半径以上の寸法とするようにしている。
【0071】
また、超電導線材1幅を挟み込むように、巻型フランジ107を取り付けている。
【0072】
以上のような本実施の形態による超電導コイルの製造方法においては、異形コイル巻型100の半円部の内半径を、超電導線材1の許容曲げ半径以上とし、かつ剛に構成していることにより、超電導線材1の巻取り時においても、許容曲げ半径以下に曲げることなく巻き取り作業を行なうことが可能となる。
【0073】
さらに、図3に示すとおり、超電導線材1幅を挟み込むように巻型フランジ107を取り付けていることにより、超電導線材1は異形コイル巻型100から外れることなく、許容曲げ半径以上の曲げ半径Rを維持することが可能となる。
【0074】
これにより、脆弱な超電導線材1を劣化させることなく、レーストラック形状の超電導コイルを製作することができる。
【0075】
上述したように、本実施の形態では、超電導線材1の巻取り時においても、許容曲げ半径以下に曲げることなく巻き取り作業を行なうことができ、さらに超電導線材1は異形コイル巻型100から外れることなく、許容曲げ半径以上の曲げ半径Rを維持することができ、脆弱な超電導線材1を劣化させることなく、レーストラック形状の超電導コイルを製作することが可能となる。
【0076】
(第4の実施の形態)
本実施の形態による超電導コイルの製造方法は、前述した第2の実施の形態による超電導コイルの製造方法において、レーストラック形状の異形コイル巻型100の半円部と半円部をつなぐ直線部分に、緩やかな曲率を持たせる、すなわち異形コイル巻型100の直線部を、半円部の内半径の曲率よりも大きい緩やかな曲率の凸部を有するものとしている。
【0077】
以上のような本実施の形態による超電導コイルの製造方法においては、異形コイル巻型100の直線部を、半円部の内半径の曲率よりも大きい緩やかな曲率の凸部を有するものとしていることにより、直線部分でも定張力が超電導線材1に負荷され、超電導線材1が浮いて固定されることがないようにして、超電導線材1の異形コイル巻型100への密着固定性を向上させることが可能となる。
【0078】
さらに、電磁力に伴なって超電導線材1に加わる応力を極力低減することが可能となる。
【0079】
上述したように、本実施の形態では、超電導線材1の異形コイル巻型100への密着固定性を向上させることができ、さらに電磁力に伴なって超電導線材1に加わる応力を極力低減することができ、脆弱な超電導線材1を劣化させることなく、レーストラック形状の超電導コイルを製作することが可能となる。
【0080】
(第5の実施の形態)
本実施の形態による超電導コイルの製造方法は、前述した第2乃至第4のいずれか1つの実施の形態による超電導コイルの製造方法において、図2に示すように、異形コイル巻型スライド機102が一方の半円部から他方の半円部までスライドする際に、半円部の中心を検知するセンサー機構108を有し、センサー機構108が検知すると、巻取制御機105が異形コイル巻型スライド機102を当該位置で停止させて、次工程の回転運動へ移行するようにしている。
【0081】
また、異形コイル巻型スライド機102が直線部をスライド運動する際に、前記第4の実施の形態で述べたように、上方から巻型フランジ107内に、押付用治具である押しローラ109を落とし込み、押しローラ109の自重を超電導線材1に負荷させるようにしている。
【0082】
以上のような本実施の形態による超電導コイルの製造方法においては、異形コイル巻型100の2つの半円部では、それぞれの半円の中心を回転中心として超電導線材1を巻き込み、一方の半円部から他方の半円部に回転中心軸が移動する際に、超電導線材1を異形コイル巻型100に押し付けながら巻線するようにしていることにより、上方から巻型フランジ107内に押しローラ109を落とし込み、押しローラ109の自重を超電導線材1に負荷させて、超電導線材1を異形コイル巻型100直線部に押し付け力として作用させて密着させ、超電導線材1の異形コイル巻型100への密着固定性をより一層向上させることが可能となる。
【0083】
上述したように、本実施の形態では、超電導線材1の異形コイル巻型100への密着固定性を前述より一層向上させることができ、脆弱な超電導線材1を劣化させることなく、レーストラック形状の超電導コイルを製作することが可能となる。
【0084】
(第6の実施の形態)
図4は、本実施の形態による超電導コイルの製造方法、すなわち超電導線材の異形形状へのコイル巻線製造方法を実現するための押しローラと超電導線材の構成例を示す概要図であり、図1乃至図3と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0085】
すなわち、本実施の形態による超電導コイルの製造方法は、前述した第1乃至第5のいずれか1つの実施の形態による超電導コイルの製造方法において、図4に示すように、超電導線材1としてテープ状に平べったい形状の超電導線材1を用い、パンケーキ巻構成とするようにしている。
【0086】
以上のような本実施の形態による超電導コイルの製造方法においては、テープ状の超電導線材1を、異形コイル巻型100を芯としてパンケーキ巻(多層巻)構成するようにしていることにより、厚さが超電導線材1幅に相当するパンケーキ状の超電導コイルを構成することが可能となる。
【0087】
これにより、超電導線材1に加わる歪みを低減することができ、超電導線材1の劣化を防止することができる。
【0088】
上述したように、本実施の形態では、超電導線材1に加わる歪みを低減することができ、脆弱な超電導線材1を劣化させることなく、レーストラック形状等の異形形状の超電導コイルを製作することが可能となる。
【0089】
(第7の実施の形態)
図5は、本実施の形態による超電導コイルの製造方法、すなわち複数の超電導線材の異形形状へのコイル巻線製造方法を実現するための構成例を示す概要図であり、図4と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0090】
すなわち、本実施の形態による超電導コイルの製造方法は、前述した第6の実施の形態による超電導コイルの製造方法において、図5に示すように、層巻数分の線材送出機103および定張力テンショナー104を配置して、テープ状超電導線材1を複数枚層巻するようにしている。
【0091】
以上のような本実施の形態による超電導コイルの製造方法においては、テープ状超電導線材1を複数枚層巻するようにしていることにより、テープ状超電導線材1は、図5に示すように、とも巻する枚数分が積層された状態で層巻することが可能となる。
【0092】
なお、この場合、異形コイル巻型回転巻取機101は1台であるが、全ての線材送出機103および定張力テンショナー104は、異形コイル巻型回転巻取機101と巻取制御機105を介して制御することにより、テープ状超電導線材1が1枚の場合と全く同様に、複数枚の超電導線材1が定張力を保ちながら同期して問題なく巻線することができる。
【0093】
これにより、超電導コイルの通電電流容量を増加させることができる。
【0094】
上述したように、本実施の形態では、超電導コイルの通電電流容量を増加させることができ、脆弱な超電導線材1を劣化させることなく、レーストラック形状等の異形形状の超電導コイルを製作することが可能となる。
【0095】
(第8の実施の形態)
本実施の形態による超電導コイルの製造方法は、前述した第6または第7の実施の形態による超電導コイルの製造方法において、図5に示すように、超電導線材1を巻線する際に、テープ状の絶縁材(以下、絶縁テープと称する)2をとも巻するようにしている。
【0096】
以上のような本実施の形態による超電導コイルの製造方法においては、超電導線材1を巻線する際に、絶縁テープ2をとも巻する、すなわち複数枚配置した超電導線材1の最上段のテープを絶縁テープ2にして、当該絶縁テープ2を同時に層巻するようにしていることにより、複数枚の超電導線材1を層巻する場合に、層間絶縁層を形成して、層間絶縁を実現することが可能となる。
【0097】
上述したように、本実施の形態では、層間絶縁層を形成して層間絶縁を実現することができ、脆弱な超電導線材1を劣化させることなく、レーストラック形状等の異形形状の超電導コイルを製作することが可能となる。
【0098】
(第9の実施の形態)
図6は、本実施の形態による超電導コイルの製造方法、すなわち超電導線材の異形形状へのコイル巻線製造方法を実現するためのアタック角の構成例を示す概要図であり、図1乃至図5と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0099】
すなわち、本実施の形態による超電導コイルの製造方法は、前述した第1乃至第8のいずれか1つの実施の形態による超電導コイルの製造方法において、図6に示すように、異形コイル巻型100への超電導線材1の入射側に、ガイドローラ110を配置して、超電導線材1を巻線する際に、異形コイル巻型100の接線角以上のアタック角θで、押付用治具である押しローラ109にて超電導線材1を異形コイル巻型100に押付けながら巻線するようにしている。
【0100】
以上のような本実施の形態による超電導コイルの製造方法においては、超電導線材1を巻線する際に、ガイドローラ110にて異形コイル巻型100の接線角以上のアタック角θで、押付用治具である押しローラ109にて超電導線材1を異形コイル巻型100に押付けながら巻線するようにしていることにより、特にレーストラック形状の直線部の巻線時には、押しローラ109の押し圧力を効果的に負荷させることができるため、巻線前の超電導線材1と巻線終了後のコイルの外表面との摩擦によるテンションの減少を抑制することが可能となる。
【0101】
また、異形コイル巻型回転巻取機101の回転角と異形コイル巻型スライド機102のスライドストロークを制御するようにしていることにより、異形コイル巻型100に入射する超電導線材1の入射角として、定アタック角θを実現することが可能となる。
【0102】
上述したように、本実施の形態では、巻線前の超電導線材1と巻線終了後のコイルの外表面との摩擦によるテンションの減少を抑制することができ、脆弱な超電導線材1を劣化させることなく、レーストラック形状等の異形形状の超電導コイルを製作することが可能となる。
【0103】
(第10の実施の形態)
本実施の形態による超電導コイルの製造方法は、前述した第1乃至第9のいずれか1つの実施の形態による超電導コイルの製造方法において、図4に示すように、押付用治具として押しローラ109を用い、さらに当該押しローラ109と錘111をカウンターウエイト接続して、押しローラ109の自重と錘111の自重のバランスによって、異形コイル巻型100に対する超電導線材1の押付け力を制御可能なようにしている。
【0104】
以上のような本実施の形態による超電導コイルの製造方法においては、異形コイル巻型100に対する超電導線材1の押付け力を制御可能な押しローラ109を、押付用治具として用いるようにしていることにより、押しローラ109の自重と錘111の自重のバランスによって、超電導線材1に常に一定の押し付け力を負荷させることができると共に、錘111の自重を制御することによって、適切な押し付け力を実現することが可能となる。
【0105】
上述したように、本実施の形態では、超電導線材1に常に一定の押し付け力を負荷させることができると共に、適切な押し付け力を実現することができ、脆弱な超電導線材1を劣化させることなく、レーストラック形状等の異形形状の超電導コイルを製作することが可能となる。
【0106】
(第11の実施の形態)
本実施の形態による超電導コイルの製造方法は、前述した第10の実施の形態による超電導コイルの製造方法において、図6に示すように、押付用治具である押しローラ109の外半径を、超電導線材1の許容曲げ半径以上とするようにしている。
【0107】
以上のような本実施の形態による超電導コイルの製造方法においては、押しローラ109の半径を、超電導線材1の許容曲げ半径よりも大きくするようにしていることにより、前述のアタック角θが万が一大きくなっても、巻線時に超電導線材1が許容曲げ半径以下で曲げられる危険性を排除することが可能となる。
【0108】
これにより、超電導線材1の劣化を防止することができる。
【0109】
上述したように、本実施の形態では、アタック角θが万が一大きくなっても、巻線時に超電導線材1が許容曲げ半径以下で曲げられる危険性を排除することができ、脆弱な超電導線材1を劣化させることなく、レーストラック形状等の異形形状の超電導コイルを製作することが可能となる。
【0110】
(第12の実施の形態)
本実施の形態では、前述した第1乃至第11のいずれか1つの実施の形態による超電導コイルの製造方法により、超電導コイルを製作するようにしている。
【0111】
前述したような超電導コイルの製造方法で、超電導コイルを製作するようにしていることにより、脆弱な超電導線材1を劣化させることなく、極めて信頼性が高く、かつコンパクトでしかも性能が高い異形形状の超電導コイルを実現することが可能となる。
【0112】
(その他の実施の形態)
尚、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で、種々に変形して実施することが可能である。
例えば、上記各実施の形態では、異形コイル巻型100の形状としては、2つの半円部とこれらにつながる2つの直線部とからなるレーストラック形状としているが、これに限らず、巻型が円筒形状以外の形状を有する異形コイル巻型であれば、レーストラック形状以外のものであってもよい。
【0113】
また、各実施の形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合には組み合わせた作用効果を得ることができる。
さらに、上記各実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより、種々の発明を抽出することができる。
例えば、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題(の少なくとも一つ)が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果(の少なくとも一つ)が得られる場合には、この構成要件が削除された構成を発明として抽出することができる。
【0114】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の超電導コイルおよびその製造方法によれば、超電導線材を巻線して超電導コイルを製造する際に、超電導線材に一定の張力をかけた状態で、巻型が円筒形状以外の形状を有する異形巻型に、押付用治具にて超電導線材を押し付けながら巻線するようにしているので、極めて信頼性が高く、かつコンパクトでしかも性能が高い異形形状の超電導コイルを製作することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による超電導コイルの製造方法を実現するための第1の実施の形態を示す概要図。
【図2】本発明による超電導コイルの製造方法を実現するための第2の実施の形態を示す概要図。
【図3】本発明による超電導コイルの製造方法を実現するための第3の実施の形態を示す概要図。
【図4】本発明による超電導コイルの製造方法を実現するための第6の実施の形態を示す概要図。
【図5】本発明による超電導コイルの製造方法を実現するための第7の実施の形態を示す概要図。
【図6】本発明による超電導コイルの製造方法を実現するための第9の実施の形態を示す概要図。
【符号の説明】
1…超電導線材
2…絶縁テープ
100…異形コイル巻型
101…異形コイル巻型回転巻取機
102…異形コイル巻型スライド機
103…線材送出機
104…定張力テンショナー
105…巻取制御機
106…同調制御機
107…巻型フランジ
108…センサー機構
109…押しローラ
110…ガイドローラ
111…錘。
Claims (4)
- 超電導線材を巻線して超電導コイルを製造する方法において、
前記超電導線材に一定の張力をかけた状態で、2つの半円部とこれらにつながる2つの直線部とからなるレーストラック形状を有し、前記2つの半円部の内半径を前記超電導線材の許容曲げ半径以上とするようにした異形巻型に、前記異形巻型の2つの半円部では、それぞれの半円の中心を回転中心として前記超電導線材を巻線し、
一方の半円部から他方の半円部に回転中心軸が移動する際には、押付用冶具にて前記超電導線材を前記異形巻型の直線部に押し付けながら巻線するようにしたことを特徴とする超電導コイルの製造方法。 - 前記請求項1に記載の超電導コイルの製造方法において、
一方の半円部から他方の半円部に回転中心軸が移動する際には、前記異形巻型に入射する前記超電導線材の入射角を前記異形巻型の接線角以上のアタック角で前記押付用治具にて前記超電導線材を前記異形巻型の直線部に押付けながら巻線するようにしたことを特徴とする超電導コイルの製造方法。 - 前記請求項1又は請求項2に記載の超電導コイルの製造方法において、
前記超電導線材としてテープ状の超電導線材を用い、パンケーキ巻構成として前記テープ状の超電導線材を複数枚層巻するようにし、
前記超電導線材幅を挟み込むようにフランジを取り付け、上方から前記フランジ内に、前記異形巻型に対する前記超電導線材の押付け力を制御可能なローラを前記押付用治具として落とし込むようにしたことを特徴とする超電導コイルの製造方法。 - 前記請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の超電導コイルの製造方法により製作されたことを特徴とする超電導コイル。
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