JP4225397B2 - 写真支持体用ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルム - Google Patents
写真支持体用ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルム Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真フィルム用支持体に用いられる二軸延伸ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
写真用フィルムの代表的な例としては、X線撮影用フィルム、製版用フィルム(例えば集積回路作成用ネガまたはポジフィルム)及びカットフィルムのようにシート状形態のもの、そしてロール状の形態のものが知られている。ロールフィルムの代表的なものとしては、35mm幅でパトローネに収められた、一般のカメラに装填して撮影に用いられるカラーまたはモノクロネガフィルムがある。これらは135型と呼ばれているが、さらに幅広のブローニー(例えば120型や220型)も挙げる事ができる。
【0003】
ロールフィルムである135型等のフィルムの支持体には、従来からセルローストリアセテート(TAC)フィルムが用いられており、TACフィルムは光学的に異方性がなく、透明性が高いこと、さらには現像処理後のカール解消性にも優れており、写真用支持体として良好な性質を有している。
【0004】
一方、カメラの小型化、あるいはパトローネの小型化の要望に応えて、写真フィルム用支持体の薄膜化が検討され、すでに実用化されている。その際、上記TACの利用も検討されたがTACをさらに薄膜化すると写真フィルム用支持体に必要な強度を満足出来ないという問題があった。
【0005】
このため、高い強度を持つポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)等のポリエステルを用いる検討が進められた。従来、シート状のフィルムに使用されているPETで薄膜フィルムを作成した場合、得られるフィルムは、巻き癖によるカールを起こしやすいという問題があった。しかし、PENを用いることにより、このカール発生を抑える事ができ、PENフィルムは写真フィルム用支持体として優れた特性を示した。そこで、このPENを用いて薄膜フィルムが実現された(EP0606070A1、特開平7−72584)。このPENフィルムは、新しいカメラシステムであるアドバンスドフォトシステム(APS)に支持体として採用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
写真フィルム用支持体に要求される重要な物性のひとつに耐劈開性がある。これは、フィルムの巻上げや現像処理の際のフィルム全体の破断も問題になるが、特にパーフォレーションの破損が大きな問題になる。
【0007】
本発明の目的は、耐劈開性にすぐれ写真フィルム用支持体に適したポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)フィルムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討の結果、縦延伸倍率と横延伸倍率の積と示差走査熱量測定法による融点のプレピークが特定の範囲にあるPENフィルムが耐劈開性に極めてすぐれており、さらに写真フィルム用支持体として必要なその他の物性にもすぐれていることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、縦延伸倍率と横延伸倍率の積が9以上15以下であり、示差走査熱量測定法による融点のプレピーク温度が240℃以上260℃以下であり、デラミ発生率が縦方向50%以下横方向90%以下である、写真支持体用二軸延伸ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムに関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
使用するポリマー中には、重合段階で、リン酸、亜リン酸、及びそれらのエステルならびに無機粒子(シリカ、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナなど)が含まれていても良いし、重合後ポリマーに無機粒子等がブレンドされていても良い。また、他の添加剤、例えば、安定剤、着色剤、難燃化剤等を含有することもできる。
【0012】
次に、PENフィルムの製造方法について説明する。
PENフィルムの製造工程は、キャスティング、縦延伸機(予熱部、縦延伸部、冷却の各工程を含む)、横延伸部(予熱、延伸、熱固定、熱緩和、冷却の各工程を含む)よりなる。
【0013】
まず、上記ポリマーを十分乾燥後、例えば、ポリマーの融点+10℃〜+50℃の温度範囲にてコントロールした押し出し機、フィルター及び口金を通じてシート状に溶融成形し、回転する冷却ドラム上にキャストして急冷固化したフィルム(未延伸フィルム)を得る。この急冷固化したフィルムは実質的に非晶状態である。この未延伸フィルムは共押し出しにより積層されたフィルムであっても良い。
【0014】
この未延伸フィルムの厚みは100〜3000μm程度、通常400〜2000μm程度である。
【0015】
次に、未延伸フィルムを2〜200m/分程度、通常4〜150m/分程度の速度で走行させながら、予熱部にてフィルム温度をガラス転移温度−50℃〜ガラス転移温度+10℃の範囲内まで加熱する。加熱方法は加熱ロールや熱風、赤外線ヒーターを用いることができる。赤外線ヒーターはいわゆる遠赤外線、中赤外線、近赤外線を用いることができる。加熱はそれぞれの方法を単独に用いても良いし、組み合わせても良い。予熱部での未延伸フィルムの温度範囲としては、フィルムのガラス転移温度−20℃〜ガラス転移温度+10℃が更に好ましく、フィルムのガラス転移温度±10℃が特に好ましい。
【0016】
予熱された未延伸フィルムは引き続き縦延伸部に送られ、フィルムの流れ方向に延伸される。未延伸フィルムは縦延伸部で延伸され、2段以上の多段延伸を行っても良い。縦延伸装置は1本の加熱ロールと1本の冷却ロールの組み合わせで構成されており、必要な段数の縦延伸装置が直列に設置される。加熱ロールの径は通常100〜300mm程度である。加熱手段には例えば加圧温水等が用いられる。加熱ロールと冷却ロールとの間には通常加熱ヒーターを設けることが好ましい。加熱ヒーターはPENフィルムを好ましくはガラス転移温度〜ガラス転移温度+70℃温度、より好ましくはガラス転移温度+5℃〜ガラス転移温度+50℃程度まで加熱するものであり、要求される特性により、各段のフィルム温度を前記温度範囲で調整する。冷却ロールはPENをガラス転移温度未満、好ましくはガラス転移温度〜ガラス転移温度−50℃程度、より好ましくは、ガラス転移温度−5℃〜ガラス転移温度−40℃程度まで冷却するものであり、通常、最終段はこれに続く冷却工程にフィルムを送るため、他段よりも温度は低めにすることが多い。径は通常100〜300mm程度である。冷却手段には例えば通水が用いられる。これら1組の縦延伸ロールはその間隔が5mm〜80mm程度、好ましくは10mm〜60mm程度となるように配置される。この間隔は加熱ロール表面と冷却ロール表面の間の最短距離のことである。縦延伸装置の冷却ロール直前にヒーターを設けることが好ましい。このヒーターはフィルムを延伸に必要な温度まで高めるものであり、従って、加熱は縦延伸装置の加熱ロールと冷却ロールの間にあるフィルムに対して行われることが必要である。このヒーターは、狭い範囲に集中して加熱を行うため、赤外線を利用したヒーターなどが適当である。冷却ロールの周速は加熱ロールの周速より高めてあり、この周速差によってフィルムは延伸される。縦延伸倍率は要求されるフィルムの特性によって調整されるが、本発明では好ましくは2.1〜5倍、より好ましくは2.5〜3.9倍であり、複数段の延伸を用いて行ってもよい。1段目の延伸終了後、フィルムは一旦ガラス転移温度以下に冷却され、2段目縦延伸前に再加熱される。フィルムは常温まで冷却されても特に影響はないが、再加熱の熱量が多大となりコスト的に不利となるため、ガラス転移温度−50℃程度が限界となる。再加熱されたフィルムの温度はガラス転移温度〜ガラス転移温度+70℃の範囲がよい。縦延伸を終了したフィルムは横延伸部に送られる。
【0017】
横延伸部でフィルムは延伸前に加熱される。横延伸でのフィルムの温度はガラス転移温度〜ガラス転移温度+50℃の範囲が良く、更に好ましくは、ガラス転移温度+5℃〜ガラス転移温度+50℃の範囲である。加熱方法としては、熱風や赤外線を用いたヒーターが使用できる。横延伸倍率は縦延伸同様、フィルムに要求される特性によって選ばれるが、本発明の場合、3.0〜4.2倍がよく、さらに縦延伸倍率との積が9以上15以下、好ましくは10以上14以下、より好ましくは11以上13以下になるようにする。横延伸ゾーンを通過したフィルムは、熱固定される。熱固定温度としては、フィルムの融点−30℃〜融点−5℃が良い。更に好ましくは融点−30℃〜−15℃の範囲である。熱固定に要する時間はフィルムに要求される性能によって異なるが、3秒〜30秒の範囲が良い。熱固定されたフィルムは幅方向に0〜10%程度熱緩和され、冷却された後、横延伸工程から搬出される。本発明のポリエステルフィルムの厚さは横延伸終了後、30μm〜300μmの範囲であり、好ましくは50μm〜150μmである。
【0018】
示差走査熱量測定による融点のプレピーク温度とは、一般に融点と呼ばれる支持体の素材である樹脂に起因する溶融ピークの直前に現れる吸収ピークである。融点のプレピークは延伸倍率等の影響を受けるが、特に横延伸部での熱固定温度の影響が大きい。本発明においては、この融点のプレピーク温度を240℃以上260℃以下の範囲にするのが好ましい。
【0019】
延伸が終了した二軸延伸ポリエステルフィルムは巻取機に巻き取られる。
【0020】
本発明ではこのようにして得られた二軸延伸PENフィルムはデラミの発生率が縦(MD)方向50%以下、好ましくは30%以下で横(TD)方向90%以下、好ましくは85%以下のものである。デラミ発生率とは長さ51mm、幅64mmのフィルム試験片に12.7mmの切れ目を入れ引裂伝播抵抗を測定したときの引き裂かれたフィルムの端面を観察し端面に劈開が発生しているものの割合を%で表示したものである。
【0021】
デラミは、PEN樹脂の分子骨格にあるナフタレン環成分のために二軸延伸時に分子がフィルム面に並びやすくなり引き起こされると考えられ、デラミ発生率を上記範囲にするためには、プレピーク温度を高めにコントロールすることにより達成できる。メカニズムについては、十分な解析がなされていないが、プレピーク温度のコントロールにより、生成される微結晶の大きさや数に影響を及ぼしていると推定している。プレピーク温度は、延伸倍率や熱固定温度の選択によってコントロールすることができる。
【0022】
【実施例】
ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムをキャスティング後、縦延伸機及び横延伸部で下記の条件で延伸し、厚さ90μmの二軸延伸フィルムを得た。
【0023】
この二軸延伸フィルムのデラミ発生率、融点プレピーク温度及び耐劈開性を測定して下表の結果を得た。
【0024】
【表1】
【発明の効果】
本発明により、耐劈開性が大きく写真フィルムに適する2軸延伸PENフィルムを得ることができる。
Claims (1)
- ポリマー成分がポリエチレンー2、6−ナフタレンジカルボキシレートであり、縦延伸倍率と横延伸倍率の積が9以上15以下であるフィルムを示差走査熱量測定法で測定して融点のプレピーク温度が240℃以上260℃以下のものを選択することを特徴とする、耐劈開性にすぐれた写真支持体用二軸延伸ポリエチレンー2、6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムの取得方法
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