JP4225623B2 - 液晶表示素子の製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示素子の製造方法に関し、さらに詳しく言えば、液晶表示パネルの表示領域内に例えば発光ダイオードやアナログ指示計器の指針軸を挿通するための貫通孔を有する液晶表示素子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は各画素の表示位置が固定されており、その点灯・非点灯により情報を表示するものであるため、いわゆるディジタル表示器の分野に属しているが、用途によってはアナログ表示器と併用される場合がある。
【0003】
例えば、アナログ式の時計の指針や自動車のスピードメータの指針と組み合わせて使用される場合には、液晶表示パネルにそれらの指針の回転軸を挿通するための貫通孔およびその孔部周辺のシールが必要となる。その一例が図3に示されている。
【0004】
すなわち、液晶表示パネル1は、一対の透明電極基板1a,1bを周辺シール材2を介してそれらの間に所定のセルギャップGを残して互いに貼り合わせ、そのセルギャップG内に液晶物質を封入することにより、その基本的な部分が構成されるが、これに例えばアナログ計器の指針3の回転軸3aを挿通するには、透明電極基板1a,1bに貫通孔4を同軸的に穿設するとともに、その周りに液晶物質の漏洩を防止する貫通孔用シール材5が必要となる。
【0005】
このため、従来においては、一方の例えば透明電極基板1b側の貫通孔4が穿設される予定位置の周辺に、あらかじめ貫通孔用シール材5をセルギャップG以上の厚さで、図4に例示されているように閉塞されたドーナツ状として塗布し、各透明電極基板1a,1bを周辺シール材2および貫通孔用シール材5を介して互いに圧着して貼り合わせた後に、貫通孔4を穿設するようにしている。
【0006】
しかしながら、貫通孔用シール材5をドーナツ状として塗布して両透明電極基板1a,1bを貼り合わせると、その環状内の空気の逃げ道がないため、両透明電極基板1a,1bの圧着時にギャップ不良が生じたり、極端な場合には内圧上昇により、貫通孔用シール材5が破裂(シールパンク)することがあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、図5に例示されているように、貫通孔用シール材5を周辺シール材2の一連のパターンとして一筆書き的に形成し、貫通孔用シール材5の空気抜き道5aを設けるようにしている。
【0008】
これによれば、透明電極基板1a,1bを圧着したとしても、貫通孔用シール材5内の空気がその空気抜き道5aから抜け出るため、ギャップむらが生じたり、貫通孔用シール材5が破裂するようなことはないが、他方において次のような課題が生ずる。
【0009】
すなわち、周辺シール材2から貫通孔用シール材5に至るまで、表示領域内を通して空気抜き道5aを形成しなければならないため、その分、液晶表示パネル1の表示領域が犠牲にされ、表示パターンの設計においても制約が生ずることになる。
【0010】
また、この種のシール材は透明電極基板に対して例えばシルクスクリーン印刷により塗布されるが、周辺シール材2と貫通孔用シール材5を一連に形成するには、周辺シール材2のマスクを新たに作製する必要がある。
【0011】
そればかりでなく、周辺シール材2の注入口2aからセルギャップG内に液晶を注入する際、空気抜き道5aが邪魔となって液晶の注入不良の問題も生じ兼ねない。
【0012】
なお、貫通孔用シール材をあらかじめ円状として一方の透明電極基板に塗布し、それを他方の透明電極基板との圧着時に押し潰して中実の円盤状とする方法も知られている。
【0013】
これによれば、シールパンクが生ずることはないが、基板圧着時にシール材が潰れにくいため、ギャップむらが発生するばかりでなく、圧着後においてシール形状がきれいな円になりにくいという別の課題を抱えることになる。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的は、透明電極基板間に貫通孔用シール材をドーナツ状に形成するにあたって、その貫通孔用シール材に囲まれた内部空気をきわめて簡単な方法により逃して、シールパンクやギャップむらが生ずることなく、ドーナツ状の貫通孔用シール材を良好に形成し得るようにした液晶表示素子の製造方法を提供することにある。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明は、一対の透明電極基板を、それらの間に所定のセルギャップが生ずるように周辺シール材を介して圧着して貼り合わせた後、その表示領域内の所定位置に上記各透明電極基板間を同軸的に貫通する貫通孔を穿設する液晶表示素子の製造方法において、上記一方の透明電極基板側に、貫通孔用シール材を内径が上記貫通孔よりも実質的に大径となるように環状に塗布するとともに、上記一方もしくは上記他方の透明電極基板のいずれかに、上記貫通孔用シール材の環状内に位置するように上記貫通孔より小径の空気抜き用の透孔を穿設した後、上記各透明電極基板を上記周辺シール材および上記貫通孔用シール材を介して圧着して貼り合わせ、しかる後、上記透孔を上記貫通孔を穿設する位置決めガイドとし、上記各透明電極基板に上記貫通孔用シール材内を通り、かつ、上記透孔に被さるように上記貫通孔を同軸的に穿設することを特徴としている。
【0016】
このように、各透明電極基板を圧着するに先だって、その一方の透明電極基板側に空気抜き用の透孔を穿設することにより、貫通孔用シール材にて囲まれる内部空間がその透孔を介して大気に開放されるため、各透明電極基板の圧着時にシールパンクが発生することはない。また、貫通孔用シール材もほとんど抵抗なく押し潰されるため、ギャップむらも生じない。
【0017】
空気抜き用の透孔は、貫通孔用シール材が塗布された側の一方の透明電極基板に穿設することもできるが、孔開け作業の都合上、反対側の他方の透明電極基板に穿設することが好ましい。
【0018】
空気抜き用の透孔は、その後に貫通孔が被さるように穿設されるため最終的になくなるが、上記貫通孔用シール材に対して同軸的に穿設されることが好ましい。これによれば、貫通孔を例えばドリルにて孔開けする際、この空気抜き用の透孔をドリルの位置決めガイドとして利用することができる。
【0019】
また、空気抜き用の透孔の孔開けは、透明基板に表示電極をITO(indium tin oxide)によりパターニングした後に行なうこともできるが、表示電極の品質を良好に保つには先に孔開けを行ない、その後に表示電極を形成することが好ましい。
【0020】
本発明においても、表示電極の上に配向膜が形成され、そのラビング処理が行なわれるが、空気抜き用の透孔がラビング処理に支障を来さないようにするため、空気抜き用の透孔の孔径は3.0mm以下であることが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を図面に示されている実施例に基づいて具体的に説明する。なお、貫通孔付きの液晶表示素子の全体的に構成については先に説明の図3を参照されたい。この実施例において、図3の構成要素と同一もしくは同一と見なされる部分にはそれと同じ参照符号を用いている。
【0022】
図1は一対の透明電極基板1a,1bの貼り合わせ前の分離した斜視図であり、図2は貼り合わせ後の要部断面図である。これによると、液晶表示パネルを製造するにあたって、一方の透明電極基板1b側に周辺シール材2と貫通孔用シール材5が塗布される。
【0023】
周辺シール材2と貫通孔用シール材5はともにエポキシ系樹脂からなり、周辺シール材2はその一部が注入口2aとして切り欠かれた状態で透明電極基板1bの輪郭に沿って塗布される。
【0024】
また、貫通孔用シール材5は、図4に示されているように、ドーナツ状の環状体として、貫通孔4の穿設予定位置4a(他方の透明電極基板1aの円状鎖線参照)に塗布される。この場合、貫通孔用シール材5の内径は、後で穿設する貫通孔4の孔径よりも実質的に大径とされる。
【0025】
なお、詳しくは図示されていないが、透明電極基板1bにはITOよりなる表示電極および配向膜が順次形成され、その配向膜のラビング処理後に、周辺シール材2と貫通孔用シール材5が上記のように塗布される。
【0026】
次に、他方の透明電極基板1a側においては、空気抜き用の透孔4bが穿設される。その位置は、貫通孔4の穿設予定位置4aの内部、すなわち貫通孔用シール材5により囲まれた内部空間に連通する位置とされるが、この実施例では、貫通孔用シール材5と同軸となるように穿設される。
【0027】
透明電極基板1a側にも、ITOよりなる表示電極が形成され、続いて配向膜の形成およびそのラビング処理が行なわれるが、空気抜き用の透孔4bはその表示電極を形成する前の工程で穿設することが好ましい。
【0028】
この空気抜き用の透孔4bは、例えばドリルやレーザー照射により孔開けされるが、当然にその孔径は貫通孔4よりも小さくされる。その後の工程で行なわれる配向膜のラビング処理などを考慮すると、透孔4bの孔径は3.0mm以下であることが好ましい。
【0029】
各透明電極基板1a,1bは、実際にはそれぞれマザー基板上で多面取りされ、周辺シール材2および貫通孔用シール材5を介して圧着される。その際、図2に示されているように、貫通孔用シール材5内が空気抜き用の透孔4bを介して外気に連通するため、各透明電極基板1a,1bの圧着時に、シールパンクが発生することはない。また、貫通孔用シール材5もほとんど抵抗なく押し潰されるため、ギャップむらも生じない。
【0030】
しかる後、マザー基板を分割して注入口出しを行ない、注入口2aよりセルギャップ内に液晶を注入する。この場合、図5の従来例のように、表示領域を通る空気の逃げ道がないため、液晶をセルギャップ内に円滑かつ均一に注入することができる。
【0031】
そして、図2に示されているように、例えばドリルDにて貫通孔用シール材5内を通して貫通孔4の孔開けが行なわれる。この孔開けは、透明電極基板1a,1bのどちらから行なってもよいが、この実施例では、透明電極基板1a側に空気抜き用の透孔4bが貫通孔用シール材5と同軸となるように形成されているため、その透孔4bをドリルDのセンター合わせ用として、透明電極基板1a側から貫通孔4を穿設することが好ましい。
【0032】
【実施例】
《実施例1》
260×300mmのマザーガラス基板の一対を用意し、各マザーガラス基板に7列×4行の配列で28個のパネル要素を割り振った。そして、一方のマザーガラス基板の各パネル要素の貫通孔穿設予定位置に孔径1.0mmの空気抜き用の透孔4b(図1参照)をダイヤモンドツール(ダイヤモンド研磨剤を固定させたドリル)にて穿設し、その後、定法にしたがって表示電極および配向膜を形成し、ラビング処理した。
他方のマザーガラス基板については、同じく定法にしたがって表示電極および配向膜を形成し、ラビング処理した後に、ともにエポキシ系樹脂よりなる周辺シール材2と貫通孔用シール材5を塗布した(図1参照)。
貫通孔用シール材5は、内径6.7mm,外径7.3mmで肉厚20μmのドーナツ状とし、空気抜き用の透孔4bと対応する位置に形成した。
そして、一方のマザーガラス基板側にセルギャップGが6μmとなるような面内スペーサを散布し、各マザーガラス基板を周辺シール材2および貫通孔用シール材5を介して圧着して貼り合わせた。圧着後の貫通孔用シール材5は、内径6mm、外径8mmのシールパンクのないものであった。
次に、注入口出しを行ない、セルギャップG内にSTN(super−twisted nematic)型液晶を注入した後、各貫通孔用シール材5内の中心を通るように、直径5.0mmの貫通孔4をダイヤモンドツールにて穿設して液晶表示パネルを作製した。
パネルを点灯させて、その表示状態を観察したところ、輝度むらがなくきわめて良好な表示が得られた。
また、分解して貫通孔用シール材5の内径側厚さと外径側厚さとを測定したところともに5.98μmであり、特にギャップむらは見られなかった。
【0033】
《実施例2》
貫通孔用シール材5を内径8.7mm,外径9.3mmで肉厚20μmのドーナツ状とした以外は実施例1と同様にして液晶表示パネルを作製した。表示状態は、実施例1と同じくきわめて良好であった。
また、分解して貫通孔用シール材5の内径側厚さと外径側厚さとを測定したところともに5.99μmであり、特にギャップむらは見られなかった。
【0034】
〈比較例1〉
主に実施例1と異なるところのみを説明すると、一方のマザーガラス基板には空気抜き用の透孔を穿設することなく、その各パネル要素に定法にしたがって表示電極および配向膜を形成し、ラビング処理した。
他方のマザーガラス基板については、同じく定法にしたがって表示電極および配向膜を形成し、ラビング処理した後に、ともにエポキシ系樹脂よりなる周辺シール材2と空気抜き道5aを有する貫通孔用シール材5を塗布した(図5参照)。
貫通孔用シール材5は、内径7.7mm,外径7.3mmで肉厚20μmのC字状とし、空気抜き道5aについては、C字状の切れ目部分から幅3mmとして周辺シール材2際まで引き出した。
そして、一方のマザーガラス基板側にセルギャップGが6μmとなるような面内スペーサを散布し、各マザーガラス基板を周辺シール材2および貫通孔用シール材5を介して圧着して貼り合わせた。
次に、注入口出しを行ない、セルギャップG内にSTN(super−twisted nematic)型液晶を注入した後、各貫通孔用シール材5内の中心を通るように、直径5.0mmの貫通孔4をダイヤモンドツールにて穿設して液晶表示パネルを作製した。
パネルを点灯させて、その表示状態を観察したところ、実施例1と遜色のない良好な表示が得られた。しかしながら、空気抜き道5aが表示領域内を通されているため、その分、表示領域が犠牲にされた。
また、分解して貫通孔用シール材5の内径側厚さと外径側厚さとを測定したところ、内径側厚さは5.99μmで、外径側厚さは5.98μmであった。
【0035】
〈比較例2〉
比較例1をベースとして、貫通孔用シール材5のC字状部分の内径を8.7mm,外径を9.3mmで肉厚20μmのドーナツ状とした以外は比較例1と同様にして液晶表示パネルを作製した。表示状態は、比較例1と同じく良好であった。
また、分解して貫通孔用シール材5の内径側厚さと外径側厚さとを測定したところともに5.98μmであり、特にギャップむらは見られなかった。
【0036】
〈比較例3〉
比較例1と同様に、一方のマザーガラス基板には空気抜き用の透孔を穿設せずに、他方のマザーガラス基板に塗布する貫通孔用シール材5を内径6.7mm,外径7.3mmで厚さ20μmのドーナツ状(図4参照)とした。それ以外は、実施例1と同様にして液晶表示パネルを作製した。この比較例3では、液晶表示パネル28個中、2個についてシールパンクが発生していた。
そして、正常なパネルを点灯させて、その表示状態を観察したところ、特に貫通孔用シール材5際で輝度むらが発生した。
また、分解して貫通孔用シール材5の内径側厚さと外径側厚さとを測定したところ、内径側厚さは7.56μmで、外径側厚さは6.47μmであり、ギャップむらが生じていた。
【0037】
〈比較例4〉
比較例3において、他方のマザーガラス基板に塗布する貫通孔用シール材5を内径8.7mm,外径9.3mmで厚さ20μmのドーナツ状とし、それ以外は比較例3に準じて液晶表示パネルを作製した。パネルの表示状態は、比較例3よりもさらに輝度むらが激しかった。
また、分解して貫通孔用シール材5の内径側厚さと外径側厚さとを測定したところ、内径側厚さは8.01μmで、外径側厚さは6.40μmであり、ギャップむら比較例3よりも大きかった。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、各透明電極基板を圧着するに先だって、その一方の透明電極基板側に空気抜き用の透孔を穿設して、貫通孔用シール材にて囲まれる内部空間をその透孔を介して大気に開放するようにしたことにより、シールパンクやギャップむらを生ずることなく、また、表示領域を犠牲にすることなく、透明電極基板間にドーナツ状の貫通孔用シール材を良好に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による液晶表示素子の製造方法において、各透明電極基板の貼り合わせ前の分離した斜視図。
【図2】上記各透明電極基板の貼り合わせ後における要部断面図。
【図3】貫通孔を有する液晶表示素子を示した断面図。
【図4】貫通孔用シール材の第1従来例を示した平面図。
【図5】貫通孔用シール材の第2従来例を示した平面図。
【符号の説明】
1 液晶表示パネル
1a,1b 透明電極基板
2 周辺シール材
3 指針
3a 回転軸
4 貫通孔
4b 空気抜き用の透孔
5 貫通孔シール材

Claims (5)

  1. 一対の透明電極基板を、それらの間に所定のセルギャップが生ずるように周辺シール材を介して圧着して貼り合わせた後、その表示領域内の所定位置に上記各透明電極基板間を同軸的に貫通する貫通孔を穿設する液晶表示素子の製造方法において、
    上記一方の透明電極基板側に、貫通孔用シール材を内径が上記貫通孔よりも実質的に大径となるように環状に塗布するとともに、上記一方もしくは上記他方の透明電極基板のいずれかに、上記貫通孔用シール材の環状内に位置するように上記貫通孔より小径の空気抜き用の透孔を穿設した後、上記各透明電極基板を上記周辺シール材および上記貫通孔用シール材を介して圧着して貼り合わせ、しかる後、上記透孔を上記貫通孔を穿設する位置決めガイドとし、上記各透明電極基板に上記貫通孔用シール材内を通り、かつ、上記透孔に被さるように上記貫通孔を同軸的に穿設することを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
  2. 上記透孔を、上記貫通孔用シール材を塗布する上記一方の透明電極基板とは反対側の上記他方の透明電極基板側に穿設し、上記貫通孔は上記他方の透明電極基板側から形成する請求項1に記載の液晶表示素子の製造方法。
  3. 上記透孔を、上記貫通孔用シール材に対して同軸的に穿設する請求項1または2に記載の液晶表示素子の製造方法。
  4. 上記透孔の穿設を、透明表示電極形成工程の前工程で行なう請求項1,2または3に記載の液晶表示素子の製造方法。
  5. 上記透孔の孔径は3.0mm以下である請求項1,2,3または4に記載の液晶表示素子の製造方法。
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