JP4236802B2 - 潤滑性医療用具及びその製造方法 - Google Patents

潤滑性医療用具及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4236802B2
JP4236802B2 JP2000289480A JP2000289480A JP4236802B2 JP 4236802 B2 JP4236802 B2 JP 4236802B2 JP 2000289480 A JP2000289480 A JP 2000289480A JP 2000289480 A JP2000289480 A JP 2000289480A JP 4236802 B2 JP4236802 B2 JP 4236802B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
vapor deposition
deposition polymerization
vapor
medical device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2000289480A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002095735A (ja
Inventor
隆司 川端
兼人 白木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Lifeline Co Ltd
Original Assignee
Japan Lifeline Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Lifeline Co Ltd filed Critical Japan Lifeline Co Ltd
Priority to JP2000289480A priority Critical patent/JP4236802B2/ja
Publication of JP2002095735A publication Critical patent/JP2002095735A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4236802B2 publication Critical patent/JP4236802B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Media Introduction/Drainage Providing Device (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体内に挿入して使用される医療用具に関し、さらに詳しくは、潤滑性を有する被膜で被覆されたところの、生体内に挿入して使用される医療用具及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、生体内に挿入して使用するカテーテル、ステント及びガイドワイヤー等の医療用具は、挿入時における血管等の生体組織の損傷を防止する目的、及び挿入時の医療用具の操作性を向上させる目的のために、医療用具における生体組織と接触する表面に潤滑性を付与する処理(この処理を潤滑性付与処理と称する。)が施される。この潤滑性付与処理として、高潤滑性材料を基材として用いる方法、潤滑剤、低摩擦性樹脂、及び水膨潤性重合体等を基材表面にコーティングする方法等がある。例えば、フッ素樹脂又はポリエチレン樹脂等の潤滑性材料を基材として用いる方法、金属等の基材表面にフッ素樹脂、シリコン樹脂及びシリコンオイル等の潤滑剤等を塗布する方法がある。
【0003】
しかし、これらの方法で得られた表面は、基材として用いた潤滑性材料自体及び塗布された潤滑剤等が基材表面から脱離、剥離、又は溶出するという問題がある。潤滑性材料の剥離等が生体内で生じた場合、生体が剥離物を異物として体外へ排出しようとするので、生体に余計な負担がかかる等の安全上の問題がある。また、これらの方法で得られた表面には、潤滑効果が長期間持続しないという問題もある。
【0004】
近年では、安全性及び実用性を向上する目的で、基材表面に水溶性ポリマー(水膨潤性ポリマー)をコーティングする方法が研究されている。例えばイソシアナートを用いて基材表面にポリビニルピロリドン又はポリエチレンオキサイド等の水溶性ポリマー(水膨潤性ポリマー)をコーティングする方法が報告されている。
【0005】
しかし、これらの方法においては、基材と水膨潤性ポリマーとの結合が不充分であるので、溶出や剥離が生じた。特にポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィンのようにイソシアナートと反応する官能基を持たない基材に対する結合が悪かった。また、金属及びセラミックスを用いた基材に対しては、直接イソシアナートが反応しないので、イソシアナートと反応する物質をプライマー層として予めコーティング等する必要があった。この場合、コーティング膜全体の膜厚が厚くなり、最終的に医療用具の厚みが増し、生体内の狭い個所において作業しにくくなる。さらに、プライマー層と基材との密着性が悪いという新たな問題が生じることとなった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、上記問題点を解決することにある。すなわち、潤滑性物質(潤滑性材料の範疇に属する。)等が基材表面から脱離、剥離、及び/又は溶出するという問題が生じず、さらに高い潤滑効果が長期的に得られる表面を有する医療用具とその製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明の目的は、医療用具本体等の基材自体の厚みを増加させず、しかも医療用具本体との密着性に優れて前記基材表面から潤滑性材料等が基材表面から脱離、剥離及び/又は溶出するという問題が生じず、更に高い潤滑効果が長期的に奏される表面を有する医療用具とその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を解決するための手段は、基材と、基材表面上に形成された蒸着重合被膜と、前記蒸着重合被膜上に固定された親水性高分子被膜とを有し、前記蒸着重合被膜は活性水素含有被膜であり、前記親水性高分子被膜は、前記蒸着重合被膜における活性水素と反応可能なイソシアナート化合物類及び活性水素含有水溶性高分子とから形成されて成ることを特徴とする潤滑性医療用具であり
この潤滑性医療用具の一態様において、前記蒸着重合被膜は、ポリ尿素、ポリアミド酸、及び前記ポリアミド酸を部分脱水して得られるポリイミドよりなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とし、
前記課題を解決するための他の手段は、基材表面上に、蒸着重合により活性水素含有の蒸着重合被膜を形成し、前記蒸着重合被膜上に、前記蒸着重合被膜における活性水素と反応可能なイソシアナート化合物類及び活性水素含有水溶性高分子とを同時に又は段階的に塗工し、反応させることを特徴とする潤滑性医療用具の製造方法であり、
前記潤滑性医療用具の製造方法における一態様は、基材表面上に、蒸着重合によりイソシアナート基含有の蒸着重合被膜を形成し、前記蒸着重合被膜上に、前記イソシアナート基と反応可能な水溶性高分子を塗工し、反応させることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に係る潤滑性を持つ医療用具(これを潤滑性医療用具と称する。)は、基材と、基材表面上に形成された蒸着重合被膜と、前記蒸着重合被膜上に固定された親水性高分子被膜と、を有する。
【0010】
前記親水性高分子被膜は、ミクロの状態について考察すると、蒸着重合被膜の表面に、親水性高分子が立ち並び、その立ち並んだ親水性高分子の間に多数の水分子を抱え込んだ状態となっている。したがって、本発明に係る医療用具においては、蒸着重合被膜の表面に強い水の固定層が形成され、血管内の血液及び血管壁面に対して高い親和性が発揮されると共に、低摩擦性を示す。したがって、本発明に係る潤滑性医療用具例えばカテーテル、ステント、及びガイドワイヤ等の医療用具は、血管内皮等の生体組織を傷付けずに血管等の生体内を円滑に進行することが可能になる。
【0011】
この潤滑性医療用具の基材は、従来からカテーテル、ステント及びガイドワイヤ等と称されている医療器具である。換言すると、本発明における基材は、もしも蒸着重合被膜及び親水性高分子被膜を形成していないならば従来からカテーテル、ステント及びガイドワイヤ等と称されている医療器具自体である。
【0012】
したがって、この発明における基材の材質は、従来からカテーテル等と称される医療器具を形成する材質と同じであり、また、従来の医療器具とは異なる材質であったとしてもこの発明の目的を達成することができる限りにおいて特に制限はなく、金属、セラミックス、及び樹脂等が挙げられる。また、この医療器具の各部分ごとに材質が異なっていてもよい。例えば、ステンレス合金、及びニッケル−チタン合金等の非造影性金属等で形成されていてもよい。基材の形状に関しても、その種類に応じて様々の形状が採用される。いずれにしても、本発明において、基材は、蒸着重合被膜と親水性高分子被膜とが形成され、生体組織に適用される部材である。
【0013】
前記蒸着重合被膜は、基材の表面に、蒸着重合法により形成される被膜である。前記蒸着重合被膜は基材の表面全体又は必要とされる部位の表面に形成される。必要とされる部位は、例えば生体と接触する可能性のある表面及び本発明の潤滑性医療用具の部分同士が接触する表面等がある。
【0014】
基材表面上に形成された蒸着重合被膜は、プライマーとしての役割を果たす。蒸着重合被膜を形成することで、金属やセラミックス等の親水性高分子被膜を直接に形成できない材料も基材として選択することが可能となる。蒸着重合被膜は、金属やセラミックス等の基材との密着性が高いので、基材と蒸着重合被膜の部分から剥離が生じるということがない。また、蒸着重合被膜は、基材表面に均一に薄く形成することができるので、医療用具の厚みが増して、操作しにくくなることがない。また、操作性を確保するために、基材そのものの厚さを犠牲にして、医療用具の剛性が低下することがない。
【0015】
前記蒸着重合被膜は親水性高分子を固定することができるポリマーが採用される。例えば、親水性高分子被膜を配位結合、キレート結合、共有結合、金属塩による架橋結合等で蒸着重合被膜と結合するのであれば、親水性高分子被膜の種類及び各結合の種類に応じて蒸着重合被膜を構成するポリマーの種類が決定される。
【0016】
本発明において好適な蒸着重合被膜を形成するポリマーは、水溶性高分子を前記各種の結合様式によって結合固定することのできるポリマーである。材料の入手のし易さ等を考慮すると、蒸着重合被膜としては、親水性高分子とウレタン結合をすることのできる活性水素含有被膜、及びイソシアナート基含有被膜である。
【0017】
この活性水素含有被膜を形成する好適なポリマーとしては、例えば、ポリ尿素−ホルムアルデヒド等の尿素樹脂、ポリアミド酸、このポリアミド酸を部分脱水することにより得られるポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアゾメチン、及びポリエステル等が挙げられる。中でも低摩擦性換言すると高潤滑性であり、生体組織に対する適合性が高いことから、特に、尿素樹脂、ポリアミド酸、及びポリイミドが好ましい。
【0018】
前記イソシアナート基含有被膜としてはポリ尿素−ホルムアルデヒド等の尿素樹脂を挙げることができる。
【0019】
前記蒸着重合被膜は、複雑な形状部分へのつきまわりを考慮して、ある一定以上の厚みが必要であり、一方で、蒸着重合被膜の厚みが大きすぎると、医療用具の操作性が低下する。このような理由により、蒸着重合被膜の厚みは0.1〜10μmであることが好ましい。さらに0.5〜2μmであることが特に好ましい。なお、蒸着重合被膜の厚みは均一であることが望ましいが、必ずしも均一である必要はない。
【0020】
前記蒸着重合被膜は、蒸着重合法により形成される。蒸着重合法は、例えば真空中で、モノマーを蒸発させて対象物の表面で重合反応を行わせて高分子薄膜を形成する手法である。具体的には、例えば本発明の潤滑用医療用具を製造する前の医療用具を配置した減圧室に加熱したモノマーを導入し、蒸発したモノマーを医療用具の表面に接触させてモノマーの重合を行う。
【0021】
前記蒸着重合に使用するモノマーとしては、本発明で用いることのできる蒸着重合被膜を効率的に形成可能なモノマーであれば特に制限はない。モノマーとしては、例えば、ポリアミド酸を得るためには、無水ピロメリト酸等の芳香族テトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミン類との組み合わせがあり、尿素樹脂例えば芳香族ポリ尿素を得るには、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ジアミン類と4.4’−ジフェニルメタンジイソシアナート等の芳香族ジイソシアナート類との組み合わせがあり、ポリエステルを得るにはヒドロキノン等のジオール類とテレフタル酸ジクロリド、4,4’−ビフェニルジ酸クロリド等のジ酸クロリド化合物との組み合わせがあり、ポリアミドを得るにはパラフェニレンジアミン等の芳香族ジアミン類とテレフタル酸ジクロリド又はテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸ハライドとの組み合わせがある。
【0022】
前記蒸着重合において、モノマーを蒸発させる加熱温度は、モノマーの種類に応じて適宜に決定されるが、通常室温〜200℃の範囲内である。減圧室の温度は通常160〜230℃の範囲内である。
【0023】
例えばポリイミドの蒸着重合被膜を形成する場合に、無水ピロメリト酸モノマーは200〜240℃に加熱され、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルモノマーは180〜200℃に加熱される。なお、蒸着重合により形成されたポリアミド酸膜をさらに、250〜300℃で加熱すると、脱水閉環反応が生じてポリイミド膜となる。
【0024】
NCO活性基を有する蒸着重合被膜(イソシアナート基含有蒸着被膜)としてポリ尿素の被膜を形成する場合、4,4’−ジアミノジフェニルメタンモノマー及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナートモノマーの加熱温度は通常、60〜130℃である。
【0025】
親水性高分子被膜は、前記蒸着重合被膜に固定可能な高分子被膜であり、生体組織との潤滑性を確保することのできる高分子であればよい。好適な親水性高分子被膜は、蒸着重合被膜が活性水素含有被膜であるときには、この活性水素と反応可能なイソシアナート化合物類及び活性水素含有水溶性高分子とから形成されることができ、また蒸着重合被膜がイソシアナート基を含有するときには、このイソシアナート基と反応可能な活性水素含有水溶性高分子で形成されることができる。
【0026】
前記活性水素含有水溶性高分子としては、末端水酸基及びエーテル結合含有の水溶性高分子例えばポリエチレンオキサイド、末端水酸基含有高分子例えばポリオール、ウレタン結合含有の水溶性高分子例えば水溶性ポリウレタン、ポリエチレングリコール誘導体、カルボン酸基含有の水溶性高分子例えばポリアクリル酸等のポリカルボン及びその酸誘導体、アミン基含有の水溶性高分子例えばポリアクリルアミド、並びにセルロース及びその誘導体等例えばCMCを挙げることができる。
【0027】
前記活性水素含有水溶性高分子は、両末端にイソシアナート基を有していてもよく、ブロックイソシアナート基を有していてもよい。これらの基が蒸着重合被膜と反応して、共有結合することにより、蒸着重合被膜上に強固に固定されることになる。このような基を持つ水溶性高分子としては、たとえば、両末端にイソシアナート基を持つ水溶性ウレタンプレポリマー又はブロックドイソシアナート基を持つ水溶性ウレタンプレポリマーが挙げられる。
【0028】
前記イソシアナート化合物類としては、ジイソシアナート及びブロックドイソシアナートを挙げることができる。
【0029】
このイソシアナート化合物類と活性水素含有水溶性高分子とを蒸着重合被膜に塗布する。この場合、活性水素含有水溶性高分子とジイソシアナート及びブロックドイソシアナート等のイソシアナート化合物類とを混合物として塗布してもよいし、このイソシアナート化合物類と、活性水素含有水溶性高分子とを別途、塗布してもよい。
【0030】
混合物を塗布する場合は、活性水素含有水溶性高分子と常温で反応しないブロックドイソシアナートを用いることが望ましい。活性水素含有水溶性高分子とジイソシアナート及びブロックドイソシアナート等のイソシアナート化合物類との混合比は、1:10〜1:1の範囲であることが望ましい。
【0031】
ジイソシアナートとしては、ヘキサメチレンジイソシアナート等の脂肪族ジイソシアナート類、2,4−トルエンジイソシアナート、及び2,6−トルエンジイソシアナート等の芳香族ジイソシアナート類、イソホロンジイソシアナート等の脂環族ジイソシアナート類並びにこれらのポリジイソシアナートが挙げられる。
【0032】
ブロックドイソシアナートは、イソシアナートのNCO基を揮発性の活性水素化合物と反応させて常温では不活性としたものである。原料となるイソシアナートとしては、前記ジイソシアナート等が挙げられ、ブロック剤としては、アルコール類、フェノール類、εーカプロラクタム、オキシム類、及び活性メチレン化合物類が挙げられる。
【0033】
活性水素含有水溶性高分子、ジイソシアナート又はブロックドイソシアナートの塗布方法は、ディッピング法、及びスプレー法等の一般の塗布法を用いることができる。
【0034】
ジイソシアナート及びブロックドイソシアナートは、そのまま、または有機溶剤中に溶解して塗布する。ブロックドイソシアナートは、エマルションにしたり、水溶性樹脂とグラフトすることで、水性とすることもできる。
【0035】
加熱温度は、塗布した水溶性高分子、ジイソシアナート及び、ブロックドイソシアナート等の種類によって異なるが、50〜200℃、好ましくは100〜200℃、特に好ましくは100〜150℃であり、加熱時間は、反応が実質的に終了するのに必要な時間であり、通常1時間以内である。
【0036】
形成される親水性高分子被膜の厚みとしては、この発明の目的を達成することができる限りにおいて特に制限はなく、たとえば乾燥後の厚みで5〜50μmとすることができる。前記親水性被膜の厚みが前記範囲内であると、高い潤滑性を長期的に持続することができ、また本発明の潤滑性医療用具の大きさに影響を及ぼさない点において好適である。なお、前記親水性高分子被膜の厚みは必ずしも均一である必要はない。
【0037】
【実施例】
(実施例1)
従来から医療用具とされているSUS301製のガイドワイヤ(最大径0.014インチ、長さ150cm)のコイル部分の表面に、無水ピロメリット酸と4,4’−ジアミノジフェニルメタンとを真空蒸着させて0.1μmの蒸着被膜を形成した。
【0038】
一方、ブロック化イソシアナート(商品名:エラストロンH−8)とポリエチレングリコール(分子量10万)とを1:10の重量割合で混合し、10%水溶液を調製した。この10%水溶液を前記ガイドワイヤの、蒸着被膜の形成されたコイルの表面に塗布し、その後に、50℃の熱風循環乾燥機で2時間乾燥し、次いで、120℃で20分間熱処理した。
【0039】
前記熱処理後に、ガイドワイヤにおける塗布部分を37℃の温水に30分間浸漬してから流水で濯いで洗浄し、ガイドワイヤのコイル部分から約20mmの長さのコイル部分を切り出してこれを試料とした。
【0040】
この試料を、ポリエチレン被膜が張り付けられ、且つ水平に保たれた傾斜台上に、湿潤状態で乗せた。傾斜台を徐々に傾斜させていき、試料が滑り出す角度を測定した。試料が滑り始めた傾斜台の角度は5度であった。
【0041】
また、直径が30mmとなるようにコイル状に巻回されたところの、内径が1.5mmであるポリエチレン製チューブに前記試料(ガイドワイヤ)を挿入したところ、抵抗感なく円滑に挿入操作をすることができた。挿入後に前記ポリエチレン製チューブから前記試料を抜去し、抜去後に再び前記試料を前記ポリエチレン製チューブに挿入した。このような挿入及び抜去を100回繰り返したところ、100回目の、試料の挿入及び抜去は全く円滑に、抵抗なく行うことができた。100回目の抜去後における試料のコイル部分を観察したところ、外層を構成する親水性高分子被膜の剥離が全く見られなかった。
【0042】
(比較例1)
前記実施例1において蒸着被膜を形成したコイル部分から約20mmのコイル部分を切り出してこれを試料とした。この試料を用いて前記実施例1と同様の傾斜台に載置し、その傾斜台を徐々に傾斜させていって試料の滑り出す角度を測定した。試料が滑り始めた傾斜台の角度は35度であった。
【0043】
(参考例1)
従来から医療用具とされているSUS301製の医療用バスケットカテーテル用ワイヤ(最大径0.010インチ、長さ150cm)の表面に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナートと4,4’−ジアミノジフェニルメタンとを真空蒸着させて0.1μmの蒸着被膜を形成した。
【0044】
一方、ブロック化イソシアナート(商品名:エラストロンH−8)とポリビニルピロリドンとを1:10の重量割合で混合し、10%水溶液を調製した。この10%水溶液を前記医療用バスケットカテーテル用ワイヤの、蒸着被膜の形成された表面に塗布し、その後に、50℃の熱風循環乾燥機で2時間乾燥し、次いで、120℃で20分間熱処理した。
【0045】
前記熱処理後に、塗布部分を37℃の温水に30分間浸漬してから流水で濯いで洗浄し、バスケットと接続し、操作ハンドル、フラッシュポート及びカテーテル外套チューブの順に組み立ててバスケットカテーテルを形成した。このバスケットカテーテルを50mm径で2回転巻きし、操作ハンドルを引いてバスケットの操作性を観察した。その結果、ハンドル操作が軽く、抵抗感が全く感じられなかった。
【0046】
また、前記ハンドル操作を100回繰り返したが、全く抵抗感なく行うことができた。操作後に試料のコイル部分を観察したところ、親水性高分子被膜の剥離が全く認められなかった。
【0047】
(比較例2)
前記参考例1と同様にして蒸着被膜を有する医療用バスケットカテーテル用ワイヤを用いて、前記参考例1と同様にしてバスケットカテーテルを形成した。このバスケットカテーテルの操作性を前記参考例1と同様にして評価したところ、引っかかりが大きくて使用しにくかった。
【0048】
(比較例3)
実施例1で用いられたSUS301製のガイドワイヤにおけるコイル部分の表面に、公知の方法により、イソシアナートを用いてポリビニルピロリドンをコーティングし、加熱乾燥して親水性高分子被膜を形成した。このガイドワイヤを用いて実施例1と同様のポリエチレン製チューブ内に挿入及び抜去をしたところ、最初の挿入及び抜去には抵抗感がなかったが、回を重ねる毎に、抵抗感が大きくなり、100回の挿入及び抜去に至る前に挿入が困難になってしまった。挿入困難になったガイドワイヤのコイル部分を観察すると、親水性高分子被膜の大部分が剥落していた。
【0049】
【発明の効果】
本発明に係る潤滑性医療用具は、基材表面に対する密着性に優れ、しかも厚みの小さな蒸着重合被膜を有し、この蒸着重合被膜に対して化学的に固定されて容易に剥離、脱離、分離することがなく、潤滑性に優れた親水性高分子被膜を有する。したがって、本発明に係る潤滑性医療用具は、生体組織内に円滑に挿入させることができ、しかも使用中に親水性高分子物質が剥離、脱離、分離或いは溶出することがなく、安全である。
【0050】
本発明においては、蒸着重合被膜が、水溶性高分子と結合可能な官能基を有する被膜であると、生体適合性に優れた水溶性高分子を化学的に結合することができるので、蒸着重合被膜と親水性高分子被膜との結合が強固である。
【0051】
蒸着重合被膜が活性水素含有被膜であり、親水性高分子被膜がイソシアナート化合物類及び活性水素含有水溶性高分子とから形成されて成ると、ウレタン結合を介して蒸着重合被膜と親水性高分子被膜とが強固に結合される。
【0052】
蒸着重合被膜がイソシアナート基を有していると特にイソシアナート化合物類を使用することなく、活性水素含有水溶性高分子を用いて親水性高分子被膜を蒸着重合被膜に結合することができる。
【0053】
蒸着重合被膜がポリ尿素、ポリアミド酸、ポリイミド等であると、蒸着重合を容易に行うことができる。
【0054】
この発明によると、厚みを大きくすることなく、基材表面に対して密着性に優れ、しかも被膜の脱離、剥落、溶出等がなくて生体に対して安全であり、潤滑性に優れた潤滑性医療用具を容易に製造する方法を提供することができる。

Claims (4)

  1. 基材と、基材表面上に形成された蒸着重合被膜と、前記蒸着重合被膜上に固定された親水性高分子被膜とを有し、前記蒸着重合被膜は活性水素含有被膜であり、前記親水性高分子被膜は、前記蒸着重合被膜における活性水素と反応可能なイソシアナート化合物類及び活性水素含有水溶性高分子とから形成されて成ることを特徴とする潤滑性医療用具。
  2. 前記蒸着重合被膜は、ポリ尿素、ポリアミド酸、及び前記ポリアミド酸を部分脱水して得られるポリイミドよりなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の潤滑性医療用具。
  3. 基材表面上に、蒸着重合により活性水素含有の蒸着重合被膜を形成し、前記蒸着重合被膜上に、前記蒸着重合被膜における活性水素と反応可能なイソシアナート化合物類及び活性水素含有水溶性高分子とを同時に又は段階的に塗工し、反応させることを特徴とする潤滑性医療用具の製造方法。
  4. 基材表面上に、蒸着重合によりイソシアナート基含有の蒸着重合被膜を形成し、前記蒸着重合被膜上に、前記イソシアナート基と反応可能な水溶性高分子を塗工し、反応させることを特徴とする潤滑性医療用具の製造方法。
JP2000289480A 2000-09-22 2000-09-22 潤滑性医療用具及びその製造方法 Expired - Lifetime JP4236802B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000289480A JP4236802B2 (ja) 2000-09-22 2000-09-22 潤滑性医療用具及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000289480A JP4236802B2 (ja) 2000-09-22 2000-09-22 潤滑性医療用具及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002095735A JP2002095735A (ja) 2002-04-02
JP4236802B2 true JP4236802B2 (ja) 2009-03-11

Family

ID=18772873

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000289480A Expired - Lifetime JP4236802B2 (ja) 2000-09-22 2000-09-22 潤滑性医療用具及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4236802B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004026385A1 (ja) * 2002-09-20 2004-04-01 I.S.T Corporation 医療用ガイドワイヤー及びその製造方法
JP2006271860A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Japan Lifeline Co Ltd 医療用具及びその製造方法
JP2008125523A (ja) * 2006-11-16 2008-06-05 Terumo Corp 医療用器具
JP2009107285A (ja) * 2007-10-31 2009-05-21 Silver Seiko Ltd マグネシウム合金板材およびその塑性変形加工方法
JP6454550B2 (ja) * 2015-01-07 2019-01-16 株式会社日本触媒 生体適合性材料
JP7126882B2 (ja) * 2018-07-04 2022-08-29 株式会社アルバック 生体適合膜の形成方法、および、生体適合膜の形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002095735A (ja) 2002-04-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3148275B2 (ja) 滑らかなヒドロゲル被覆
JP6357156B2 (ja) 医療用具およびその製造方法
JP2002541310A (ja) 医療デバイスのための潤滑性コーティング
JPS5919582B2 (ja) 摩擦係数の小さい親水性コ−チングをサブストレ−トにほどこす方法及びサブストレ−ト
JPH11506375A (ja) 潤滑性コーティング
JP7773485B2 (ja) 医療器具のための潤滑性で耐久性のコーティング
JP2001509052A (ja) 医療器具表面コーティング用の結合層
JP6335179B2 (ja) 医療用具およびその製造方法
CA2718842A1 (en) Medical device having hydrophilic coatings
TW201002371A (en) Medical devices with hydrophilic coatings
JP4236802B2 (ja) 潤滑性医療用具及びその製造方法
CA2718839A1 (en) Hydrophilic polyurethane solutions
EP1233724A2 (en) Flexible sealed coil-like devices
CA2784217A1 (en) Polyurethane urea for stent coatings
JP5669035B2 (ja) 潤滑性表面を有する医療用具
EP0829264A2 (en) Medical device and production thereof
WO2008101003A1 (en) Biocompatible polymers, polymer tie-coats, methods of making and using the same, and products incorporating the polymers
JP4143883B2 (ja) 医療用具およびその製造方法
JPH10201840A (ja) 易滑性医療用具およびその製造方法
WO2005110507A1 (ja) ガイドワイヤ
US20240165307A1 (en) Medical composition and use thereof
JPH01195863A (ja) 医療用具およびその製造方法
JP6459970B2 (ja) コーティング層、コーティング液、コーティング層の形成方法、および医療用具の製造方法
JP2026063134A (ja) ポリマー組成物
KR20090107428A (ko) 수성 은-함유 비이온성 폴리우레탄 분산액

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040507

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050805

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050913

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060113

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060314

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20060320

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20060421

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20080514

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081217

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4236802

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111226

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121226

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121226

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131226

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term