JP4237385B2 - クッション材に適した不織布の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、短繊維を絡み合わせることにより得られるクッション材に適した不織布の製造方法に関するものであって、さらに詳しくは構成する短繊維の方向性が3次元のランダム性を有する不織布を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、不織布として用いるウェブを製造するにあたっては、梳綿工程で用いるカード機を使用してシリンダーと針布によって繊維を櫛梳しながら繊維をある程度平行化し、次いで、ドッファーの針頭に移行した繊維をコーム等で掻き落とし集めることにより製造されていた(カード法)。また、短繊維を空気中に飛散させた後、金網上に集めてシート状にする方法により製造されていた(エアレイ法)。また、これらの不織布の利用の一形態として車両用(特に自動車用)シート材や住宅用あるいは病院用のベッド用マットレスのようなクッション材等に用いられ、その構成繊維の表面にシリコン等の平滑性油剤を塗布したものを混入させると常温や高温雰囲気下での長期圧縮後の回復率が向上することが知られている。たとえば、特開平9−137350号公報には、繊維表面に平滑性油剤を塗布させて繊維どうしの摩擦の低減を行い、除重時の回復性を向上させたクッション構造体が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、カード法にて構成繊維として平滑性油剤を塗布した繊維を用いてウェブを製造しようとしても、平滑性油剤を塗布した繊維はカード機の針布から滑ってしまい繊維をコーム等で掻き落とし集めることができず機械稼働率が著しく低下する。またクッション構造体とした後の表面に塗布したのでは、構成繊維の表面個々にまで平滑性油剤が塗布されず所望の効果が発現し得ない。また、カード機においては櫛流ししながらウェブを形成するため、必ず繊維が一定方向に並んでしまう。また、エアレイ法では、充分に均一な厚みを有する積層状態を実現するのは困難であり、不織布のクッション特性に、むらがでて品質上好ましくはない。
【0004】
そこで、本発明においては、常温や高温下における長期圧縮荷重に対する回復特性の向上等を目的として、均一かつ3次元的にランダムな繊維配向性を有する不織布を簡易に製造できる製造方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の不織布の製造方法は、前記課題を解決するために以下のような構成を有する。
【0006】
すなわち、本発明の不織布製造方法は、以下のとおりである。、
(1) 短繊維から構成される不織布の3次元構造体であって、繊維相互間の接触部の一部で実質的に接着し、その一部にシリコン系油剤を塗布した短繊維を含み、かつ繊維が3次元構造体の少なくとも2面の面内においてランダムな方向に配列している不織布を製造する方法であって、
予備開繊機により前記短繊維を予備開戦し、次いで、空気流を用いて垂直方向に堆積レべルが低い部分へ自動的に積み上げるようにして短繊維を垂直方向に堆積し、連続的にウエブを製造した後、繊維相互間の接触部の一部を実質的に接着することを特徴とする不織布の製造方法。
(2) 少なくとも2種以上の短繊維から構成される不織布の3次元構造体であって、その一つの構成繊維は、他の繊維の融点より低い融点を有する成分を含み、前記低融点成分を含む繊維以外の他の少なくとも一つの繊維にはシリコン系油剤が塗布され、前記低融点成分により繊維相互間の接触部の一部で実質的に接着し、かつ繊維が3次元構造体の少なくとも2面の面内においてランダムな方向に配列している不織布を製造する方法であって、
予備開繊機により前記短繊維を予備開戦し、次いで、空気流を用いて垂直方向に堆積レべルが低い部分へ自動的に積み上げるようにして短繊維を垂直方向に堆積し、連続的にウエブを製造した後、熱処理により繊維相互間の接触部の一部を実質的に融着させることを特徴とする不織布の製造方法。
(3)不織布構成繊維に、シリコン系油剤を塗布した短繊維を40〜95重量%含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載の不織布の製造方法。
【0007】
まず、本発明の方法で製造される不織布(以下「本発明にかかる不織布」ということがある)について説明する。
なお、本実施例は実施の態様の一例を挙げたにすぎず、本発明がこの実施例に限定されるものではない。
【0008】
本発明にかかる不織布は、その一部にシリコン系油剤を塗布した平滑性繊維を含んでなるポリエステル系の短繊維から構成されるものであって、繊維相互間の接触部の一部で実質的に接着し、かつ構成繊維が不織布構造体の少なくとも2面の面内においてランダムな方向に配列していることを特徴とする不織布である。
【0009】
不織布を構成する繊維は、例えば、サイドバイサイドの構造を有し自己捲縮発現性を有するポリエステル繊維、シリコン系油剤を塗布した平滑性繊維、芯鞘型の複合繊維であってその鞘部を構成する繊維の融点が本発明にかかる不織布を構成する繊維の中で最も融点が低く設定されているポリエステル繊維である。なお、繊維をポリエステル系に限定しておけば、リサイクルする際に再溶融する点において有利なものとなる。
【0010】
本発明に使用する構成繊維のうち、平滑性繊維表面にはシリコン系油剤が塗布されているが、具体的には使用される平滑性油剤としては、繊維に平滑性を付与し得る繊維用の油剤であり、通常ケイ素含有油、殊にシリコン系油剤、シリコン変成油、フッ素変成油が推奨される。具体的にはジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサンの如き非反応性のシリコン油が挙げられる。この他メチルハイドロジエンポリシロキサン、エポキシ基含有ポリシロキサン等でもよく、これらは付着処理後熱処理して使用するのが望ましい。
【0011】
これらのシリコン系油剤が塗布されていない場合、繊維表面の摩擦が増加し、不織布中に使用されている繊維どうしの絡みが増大するため、高捲縮性繊維の反発が阻害される。このため長期圧縮後の除重時の回復性が悪化し不適切である。なお、シリコン系油剤は高捲縮性繊維表面に塗布させても良い。その場合、摩擦がさらに低下するため好ましい。ただしバインダー繊維表面に塗布させると、熱融着による接着が阻害され、成形加工が困難になるため不適切である。
【0012】
また、シリコン油剤が塗布された繊維は、少なくとも40重量%以上、好ましくは50重量%以上含んでいることが好ましい。かかる混入比率以下では、長期圧縮後の除重時の十分な回復性が得られず、好ましくない。一方、かかる混入率の場合には、カードによる繊維ウェブの製造が機械稼働率の低下により非常に困難になるため、以下に詳述する製造方法により製造されるものである。
【0013】
製造された本発明にかかる不織布の外形は、薄い略直方体となる。この直方体の少なくとも2面における繊維の配向性がランダムなことが、本発明にかかる不織布の特徴である。ここで、その少なくとも2面における繊維の配向性がランダムであること(以下、「3次元ランダム性」という。)について詳述する。
【0014】
3次元ランダム性とは、不織布を構成する繊維1本1本自体の繊維の方向性(配向性ともいう。)が、ある一定方向に揃えられていないことを意味するものである。このランダム性を定量化するために以下のような手順で3次元ランダム性を規定した。
【0015】
まず、不織布直方体の少なくとも2面についてのサンプル(2cm×2cm程度)を実体顕微鏡にセットし、これを倍率40倍程度で画像処理装置(東洋紡績株式会社製イメージアナライザV10)に画像データを取り込む。次いで、この原画像の画像データをTOKS法による「2値化処理」を行い、繊維の部分を黒で、背景の部分を白の領域として2分割する。さらに背景部分(白の領域)に「細線化処理」を施し、太さを均一化しておく。この背景の向きを「フィレ径比率(y/x比)」によって数値化し、その平均値(約10データの平均値)を不織布自体の繊維の方向性を示す指標としての3次元ランダム性を定量化したものとして定義する。
【0016】
尚、フィレ径とは、画像処理装置における画像の演算処理コマンドの1種であり、以下のような演算処理を行なうものである。画像処理装置における横軸をX軸、縦軸をY軸として、画像データにおける背景部分(白の領域)を「細線化処理」を施し太さを均一化した不織布を構成する繊維1本1本について、その水平軸であるX軸への投影水平径の長さをフィレ径Xとして、同じく垂直軸であるY軸への投影垂直径の長さをフィレ径Yとして演算処理するものである。この演算処理を繊維1本1本について行い、その演算結果をフィレ径比率として、繊維1本ずつについてフィレ径比率(y/x比)を求める。このように演算処理されたフィレ径比率は、方向性が完全にランダムであると1.00となる。方向性がX軸に傾くと1.00以下になり。逆にY軸に傾くと1.00以上となる。このように繊維1本1本についてフィレ径比率を求めその平均値を求めることにより、フィレ経比率が1.00に近いことがランダム性を有することとなる。この処理を少なくとも不織布直方体の2面について行なうことにより、その各面におけるフィレ径比率がともに1.00に近ければ3次元ランダムであるといえる。
【0017】
このようにして演算処理した結果を、本発明にかかる不織布(実施例)と比較例としてカード法により製造した不織布(比較例1)について表2および表3に演算した結果であるフィレ径比率を示す(尚、各不織布の繊度等の条件については表1を参照)。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
表2および表3から明らかなように本発明にかかる不織布のフィレ径比率が1.00近傍になっていることに対して、カード法により製造された不織布は1.00より低くなるという差異が発現している。したがって、不織布構造体の少なくとも2面の面内における繊維配向度が0.95〜1.05の範囲にあることは、すなわち、3次元ランダム性を有するものとして定義付けすることができる。
【0022】
次に本発明にかかる不織布の性能評価の結果を示す。性能評価は、この不織布をクッション材として使用する場合の、常温雰囲気下の回復性、高温雰囲気下の回復性およびクッション性を示す指標を測定した。また、実施例の不織布構造体と比較例の不織布構造体の組成を表4に示す。
【0023】
【表4】
【0024】
(常温雰囲気下の回復性の測定方法および評価方法)
10cm×10cmにサンプルを切り出し、初期厚さを測定する。この後サンプルを鉄板に挟んで初期厚さの50%まで圧縮する。このまま22℃、65%RHにて22hr放置する。22hr後、除重し0.5hr後に圧縮後厚さを測定し、歪み率(%)=(初期厚さ−圧縮後厚さ)×100/初期厚さ、より算出する。評価は歪み率5%未満を◎、5%以上10%未満を○、10%以上を×とした。
【0025】
(高温雰囲気下の回復性の測定方法および評価方法)
10cm×10cmにサンプルを切り出し、初期厚さを測定する。この後サンプルを鉄板に挟んで初期厚さの50%まで圧縮する。このまま乾燥機中70℃にて22hr放置する。22hr後、除重し0.5hr後に圧縮後厚さを測定し、歪み率(%)=(初期厚さ−圧縮後厚さ)×100/初期厚さ、より算出する。評価は歪み率20%未満を◎、20%以上25%未満を○、25%以上30%未満を△、30%以上を×とした。
【0026】
(クッション性の測定方法および評価方法)
30cm×30cmにサンプルを切り出し、直径200mmφの円盤で50mm/minの一定速度で初期厚さの65%まで圧縮を行い、その時の荷重を測定する。評価は65%圧縮時の硬さが20kgf以上30kgf未満を◎、17kgf以上20kgf未満又は30kgf以上33kgf未満を○、17kgf未満又は33kgf以上を×とした。20kgf以上30kgf未満であると、自動車等のシート用クッション材に用いた場合、適度なクッション性が得られる。また荷重変動によるクッション材の過剰圧縮変形が抑えられ、底付き感も少なくなるため、特に好ましい。
【0027】
実施例1
表4に示した組成の不織布構造体を本願発明の製造方法により製造した。製造した不織布構造体の常温雰囲気下の回復性は歪み率4.0%、高温雰囲気下の回復性は歪み率18.6%であった。またクッション性は65%圧縮で、圧縮時の硬さが27.5kgfであった。これらの評価結果を表5に示す。
【0028】
実施例2
表1に示した組成の不織布構造体を本願発明の製造方法により製造した。製造した不織布構造体の常温雰囲気下の回復性は歪み率4.5%、高温雰囲気下の回復性は歪み率19.1%であった。またクッション性は65%圧縮で、圧縮時の硬さが27.5kgfであった。これらの評価結果を表5に示す。
【0029】
比較例1
表1に示した組成の不織布構造体を通常のカーディング、クロスレイおよび加熱処理により製造した。製造した不織布構造体の常温雰囲気下の回復性は歪み率4.8%、高温雰囲気下の回復性は歪み率26.3%であった。またクッション性は65%圧縮で、圧縮時の硬さが32.8kgfであった。これらの評価結果を表5に示す。
【0030】
比較例2
表1に示した組成の不織布構造体を通常のカーディング、クロスレイおよび加熱処理により製造した。製造した不織布構造体の常温雰囲気下の回復性は歪み率4.9%、高温雰囲気下の回復性は歪み率27.1%であった。またクッション性は65%圧縮で、圧縮時の硬さが30.5kgfであった。これらの評価結果を表5に示す。
【0031】
比較例3
表1に示した組成の不織布構造体を通常のカーディング、クロスレイおよび加熱処理により製造した。製造した不織布構造体の常温雰囲気下の回復性は歪み率7.0%、高温雰囲気下の回復性は歪み率30.5%であった。またクッション性は65%圧縮で、圧縮時の硬さが45.0kgfであった。これらの評価結果を表5に示す。
【0032】
比較例4
表1に示した組成の不織布構造体を通常のカーディング、クロスレイおよび加熱処理により製造した。製造した不織布構造体の常温雰囲気下の回復性は歪み率11.4%、高温雰囲気下の回復性は歪み率32.7%であった。またクッション性は65%圧縮で、圧縮時の硬さが35.0kgfであった。これらの評価結果を表5に示す。
【0033】
【表5】
【0034】
表4および表5から明らかなように、実施例1および実施例2とその他の比較例とでは、実施例はシリコン付与されたマトリクス繊維が60重量%含まれているため、顕著な差異を有する。この差異を発現させている1つ目の理由は、従来の不織布ではカード機にかけることが困難なため、不織布の構成繊維として多量に用いることができなかったシリコン付与の平滑性繊維が、不織布の表面の摩擦を減少させ、不織布の中に使用されている繊維どうしの絡みが減少するため、高捲縮性繊維の反発が促進されることとなるからである。すなわち、従来は、大量に混入させるとカード機に仕掛けることが困難であったシリコンを塗布した平滑性繊維がかかる作用を発現していると考えられる。
【0035】
さらに、2つ目の理由として、このような特性は、カード法を用いずに製造された3次元ランダムな構造とシリコンを塗布した平滑性繊維を多量に混入させることが相俟って発現することが挙げられる。すなわち、平滑性油剤が繊維に塗布されることによって、クッション材としての不織布構造体が圧縮変形した場合、繊維どうしの滑り性が向上し、内部応力が低下することによる反発性、応力分散性、弾性回復性および耐久性が向上し、さらに、3次元ランダムな繊維の配置によりクッション材全体として3次元的な自由度を有し、かかる3次元自由度によりクッション性に優れているものとなると考えられる。つまり、繊維集合体全体として荷重より受けた力の反作用の向きが一様でなくなることより、2次元ランダムの場合よりクッション性が向上すると考えられる。
【0036】
また、実施例と比較例1とを比較すると、比較例1では高捲縮のマトリックス繊維がクッション性を向上させる作用効果を発現させているものと考えられるが、実施例2との比較により上述のシリコン付与繊維の作用効果がより顕著であることがわかる。
【0037】
次に、本発明のかかる不織布の製造方法を詳述する。
【0038】
(不織布の製造装置)
本発明にかかる不織布製造装置の一例を図1および図2に示す。
不織布製造装置は、図に示すように、予備開繊された繊維を投入する投入ダクト(1)、排風の排気ダクト(2)、リザーブトランク(4)におけるエアーアウトレット1(3)、短繊維を一旦貯留するリザーブトランク(4)、リザーブトランク(4)から短繊維をオープナーローラー(6)に送り込むフィードローラー(5)、繊維を開繊しフィードトランクへ送り込むオープナーローラー(6)、短繊維をデリバリーローラー(9)に一定量ずつ送り込むフィードトランク(7)、フィードトランク(7)におけるエアーアウトレット2(8)、装置からウェブ(W)を送り出すデリバリーローラー(9)、装置の各部に送風するファン、ウェブ(W)を後工程に搬送する搬送コンベア(10)とからなる。なお、空気の流れを白抜きの矢印で、繊維の流れを黒の矢印で示している。
【0039】
不織布の製造装置を機構別に詳述する。
【0040】
<投入ダクト>
投入ダクト(1)は、装置の上方に位置した、側方あるいは上方に開口部を有する中空の直方体である。空気流により予備開繊された繊維(タフト)が搬送されて装置に投入される部分である。
【0041】
<排気ダクト>
排気ダクト(2)は、投入ダクト近傍に位置した、上方に開口部を有するダクトであって、装置投入時に繊維(タフト)の搬送のために用いられた空気流を装置外部に排出するダクトである。
【0042】
<エアーアウトレット1>
エアーアウトレット1(3)は、例えば、平板に多数の小径を開けたパンチングメタルや長方形型の穴あきプレート等であってその開口部の面積が調節できる構造を有するものにより構成される。また、風綿対策として、装置外部に排出する前にフィルタ等が設けられている。
【0043】
<リザーブトランク>
リザーブトランク(4)は、予備開繊された繊維(タフト)を貯留しておく縦型の筒状の形状を有するもので、その下部には、フィードローラー(5)が設けられている。繊維(タフト)は、リザーブトランク(4)に一旦貯留されて、フィードローラー(5)によりオープナーローラー(6)に送り込まれる。
【0044】
<フィードローラー>
フィードローラー(5)は、リザーブタンク(4)底部に設置されている。フィードローラー(5)には、ティースワイヤーが巻かれ、その直径を大きく、その長さをウェブ(W)の幅より50〜100mm程度長くなるように設計されている。このような構成としていることにより、バルキー性が高い原料や繊維長の長い原料に対しても確実に原料を送り出すことができるものとなる。
さらに、フィードローラー(5)には、可変速制御が可能な電動機、例えばインバータ制御された交流電動機が減速機を介して接続されている。その速度制御は、装置出口に設けたウェブ(W)の重さを検知するウエイトチェッカーからのウェブ(W)の重量データまたは装置出口に設けたウェブ(W)の高さを検知するセンサからのウェブ(W)の高さデータにより、ウェブ(W)の重みや厚みが常に設定値になるようにフィードバック制御がなされるものである。また、フィードトランク(7)内の設けた圧力センサのより測定した圧力データにより、フィードトランク(7)内の圧力が常に一定になるようにフィードバック制御することにより、ウェブ(W)の重みまたは厚みが常に設定値になるようにすることも好ましい。
【0045】
<オープナーローラー>
オープナーローラー(6)は、フィードローラー(5)の下方近傍に設置されている。オープナーローラー(6)の表面には数列のスパイクを備えており、またその長さはウェブ(W)の幅より50〜100mm程度長くなるように設計されている。 さらに、このオープナーローラー(6)には、一定速度で回転する電動機が減速機を介して接続されている。この一定速度で回転するオープナーローラー(6)と可変速で回転するフィードローラー(5)との相互作用で、繊維(タフト)が十分開綿されてフィードトランク(7)へ供給されることとなる。
【0046】
<フィードトランク>
フィードトランク(7)は、その上部にオープナーローラー(6)を有し、その下部にデリバリーローラー(9)を有し、その中間部分にはエアアウトレット2(8)を有する中空の直方体である。オープナーローラー(6)から供給された繊維(タフト)は、後に示す製造方法により幅方向に均一になるようにフィードトランク(7)内で堆積されウェブ(W)となる。
【0047】
<エアアウトレット2>
エアアウトレット2(8)は、フィードトランク(7)の前後のウォールの下方に設置されており、例えば、平板に多数の小径を開けたパンチングメタルや長方形型の穴あきプレート等であってその開口部の面積が調節できる構造を有するものにより構成される。これらが装置幅全体にわたって設けられている。
【0048】
<デリバリーローラー>
デリバリーローラー(9)は、例えば水平方向に相対する2本のローラーから構成されるものであり、その長さはウェブ(W)の幅より50〜100mm程度長くなるように設計されている。 さらに、このデリバリーローラー(9)には、一定速度で回転する電動機が減速機を介して接続されている。相対する2本のデリバリーローラー(9)にて、フィードトランク(7)内で堆積されたウェブ(W)を装置外に排出するものである。
【0049】
<搬送コンベア>
搬送コンベア(10)は、例えば公知のベルトコンベアであって、その上面に製造されたウェブ(W)を装置外へ水平方向へ排出するものである。
【0050】
(不織布の製造方法)
本発明にかかる不織布は、予備開繊した短繊維を空気流を用いて垂直方向に堆積し、押し出し後の方向を水平として製造されるものである。尚、バインダー繊維を混入した場合には、後工程としてヒートセッターによる熱処理(熱風処理、遠赤外線処理、湿熱処理等)を施し、不織布を熱成型することも好ましく、熱融着しない場合にはニードルパンチ等の機械的な方法により、繊維相互間の接触部の一部で実質的に接着することが好ましい。
【0051】
不織布の製造方法を工程順に詳述する。
【0052】
<予備開繊工程>
ベールオープナーにより原綿から取り出された繊維(タフト)は、一般的に混打綿工程等において用いられるオープナーにより徐々に細かくかつ均一化される。これらのオープナーにはビータ、シリンダー、スパイクローラー、ティースローラー等が設置されており、これらのローラー機構等により短繊維組成物を充分に開繊する。均一なウェブ(W)を製造するためには、繊維(タフト)が充分に開繊されている必要があり、開繊率は95%以上が好ましいものである。
【0053】
<空気搬送工程>
開繊された繊維(タフト)をオープナーから本願発明の製造装置の投入ダクト(1)へ空気搬送する。
【0054】
<リザーブ工程>
装置の投入ダクト(1)から投入された繊維(タフト)は、リザーブトランク(4)へ一旦滞留される。リザーブトランク(4)においては、そのリザーブトランク(4)に流入する空気流量を調節し、リザーブトランク(4)内の充填高さおよび充填密度を一定にするような空気流量の制御がなされる。すなわち、リザーブトランク(4)内の繊維(タフト)のレベルまたはその密度の上昇によりトランクダクト内の圧力が上昇すると、この圧力変動を検知しファンからの空気流量を減少させて給綿量を減少させる。逆に、繊維(タフト)のレベルまたは密度の減少に応じてトランクダクト内の圧力が下降すると、この圧力変動を検知しファンからの空気流量を上昇させて給綿量が増加させる。このように制御することにより、運転が停台することなく、かつ充填レベルが一定に保たれることとなる。この風量調節は装置中心部に設けたファンの回転数を制御すること、エアアウトレット1(3)の開口面積の変動等により行われるものである。
【0055】
<フィード工程>
ついで、繊維(タフト)は、フィードトランク内(7)に送り込まれる。この場合において、リザーブタンク(4)底部にはフィードローラー(5)が設置されており、このフィードローラー(5)を通じてオープナーローラー(6)へウェブ(W)が供給されるわけであるが、フィードローラー(5)には、先に述べたように、ティースワイヤーが巻かれ、またその直径を大きく設定しているのでバルキー性が高い原料や繊維長の長い原料に対しても確実に原料を送り出すことができる。
フィードローラー(5)はフィードトランク(7)内の圧力を検知し、速度が制御されている。また、オープナーローラー(6)の速度は一定であって、また円周には数列のスパイクを備えているため、繊維(タフト)をさらに均一化し、フィードトランク(7)へ供給されることとなる。フィードトランク(7)内のウェブ(W)は、装置内部のファンにより発生する空気流によりフィードトランク(7)内のウェブ(W)が幅方向に均一に圧縮され、その空気流はエアアウトレット2(8)を経て、ファンに戻るように制御されている。このようにすることにより、フィードトランク(7)内に堆積されるウェブ(W)の密度とともにウェブ(W)の深さを一定にすることができる。
フィードトランク(7)内のウェブ(W)は、極めて少量であるため自重でその下方が圧縮されることはない。ウェブ(W)が圧縮されるのはファンからの空気流によるものであるが、圧縮圧が一定になるようにフィードローラー(5)の速度制御がなされている。すなわち、フィードトランク(7)の内圧上昇に伴い速度を低下、すなわち繊維(タフト)供給量を減少せしめ、内圧の下降によりフィードローラー(5)の速度を上昇させ、すなわち繊維(タフト)供給量を上昇させる。
オープナーローラー(6)から放出された繊維(タフト)は、ファンの空気流によりフィードトランク(7)内の原料レベルが低い部分、すなわち、空気の流動抵抗の低い部分に自動的に向かうものとなる。これによりフィードトランク(7)内の装置全幅にわたって原料レベルの差を取り除くことができ、最終的にウェブ(W)全体に及ぶ高い均一性が得られることとなる。
また、上述のようにウェブ(W)の厚みを幅方向の片寄りから発生する空気流の変化により制御するのではなく、進行してきた原料をロードセル方式のような自動秤量システムによって秤量実測値をもって、任意に設定した重量の原料を堆積させることとしてもよく、また、空気流ではなくビータで繊維(タフト)を叩きながら任意に設定した重量の原料を堆積させることとしてもよい。
【0056】
<排出工程>
デリバリーローラー(9)によりフィードトランク(7)内の繊維(タフト)を装置外に送り出す。排出されたウェブ(W)は搬送コンベア(10)により、後工程に搬送される。
【0057】
<後工程1>
まず、熱融着繊維を含んでいるウェブ(W)の場合には、熱セッターに仕掛ける。この熱セッターは公知の装置であり、例えば、熱源を有する装置の中をコンベア等でウェブ(W)を通過させる構造を有する。熱源としては、燃焼ガスから得られる熱風、高温蒸気、遠赤外線等々がある。なお、熱セットの温度は、低融点成分が溶融かつ高融点成分が溶融しない温度である。この後工程1における処理により、低融点成分が溶融し、高融点成分との接触点で実質的に融着することなる。
【0058】
<後工程2>
また、熱融着繊維を含んでいるウェブ(W)の場合において、上述の処理方法に加えてまたは上述の方法に替えて、湿熱セッターに仕掛ける。この湿熱セッターは公知の装置であり、ウェブ(W)を蒸気釜の内部に投入した後、蒸気釜を密閉状態として減圧後、高圧高温の湿熱蒸気を送り込む構造を有する。なお、熱セットの温度は、低融点成分が溶融かつ高融点成分が溶融しない温度である。この後工程2における処理により、ウェブ(W)内部まで熱が伝達でき、ウェブ(W)の隅々において低融点成分が溶融し、高融点成分との接触点で実質的に融着することになる。このような方法では、搬送コンベア(10)で搬送されたきたウェブ(W)を何枚か積み重ねて処理してもその内部まで蒸気が浸透することができ均一な熱セットが可能となる。また、このように何枚かのウェブ(W)を積み重ねる際には、ある繊維密度のものを積み重ねれば厚み方向に密度差の異なる不織布を簡易に製造することができる。いずれの場合にもクッション材等を製造するのに適している。
【0059】
<後工程3>
熱融着繊維を含んでいるウェブ(W)である場合にも、また含んでいない場合であっても、
後工程として機械的に繊維相互間の接触部の一部で実質的に接着させることもできる。例えば、多数の針(ニードル)をウェブ(W)の上下方向から多数回抜き差しすることを繰り返し、ウェブ(W)内の繊維を互いに交絡せしめ、繊維の接触部において接着させるものである。
【0060】
【発明の効果】
本発明により、クッション特性の良好な自動車用途等に適した不織布を製造することができる。また、他の繊維の融点より低い融点を有する成分が溶融することによるハンドリングの容易な不織布が製造できる。また、シリコン系油剤が繊維に付着することによって、反発性、応力分散性、弾性回復性および耐久性がさらに向上するため、回復特性の良好な不織布となるので、車両用途等に適したクッション材を提供できる。さらに、従来のカード法による製造方法に比較して、カード工程が不要であるため、工程省略することができ、製造コストの低減という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造装置にかかる装置の側面図である
【図2】本発明の製造装置にかかる装置の正面図である
【符号の説明】
1 投入ダクト
2 排気ダクト
3 エアーアウトレット1
4 リザーブトランク
5 フィードローラー
6 オープナーローラー
7 フィードトランク
8 エアアウトレット2
9 デリバリーローラー
10 搬送コンベア
T 繊維(タフト)
W ウェブ
Claims (3)
- 短繊維から構成される不織布の3次元構造体であって、繊維相互間の接触部の一部で実質的に接着し、その一部にシリコン系油剤を塗布した短繊維を含み、かつ繊維が該3次元構造体の少なくとも2面の面内においてランダムな方向に配列している不織布を製造する方法であって、
予備開繊機により前記短繊維を予備開戦し、次いで、空気流を用いて垂直方向に堆積レべルが低い部分へ自動的に積み上げるようにして短繊維を垂直方向に堆積し、連続的にウエブを製造した後、繊維相互間の接触部の一部を実質的に接着することを特徴とする不織布の製造方法。 - 少なくとも2種以上の短繊維から構成される不織布の3次元構造体であって、その一つの構成繊維は、他の繊維の融点より低い融点を有する成分を含み、前記低融点成分を含む繊維以外の他の少なくとも一つの繊維にはシリコン系油剤が塗布され、前記低融点成分により繊維相互間の接触部の一部で実質的に接着し、かつ繊維が該3次元構造体の少なくとも2面の面内においてランダムな方向に配列している不織布を製造する方法であって、
予備開繊機により前記短繊維を予備開戦し、次いで、空気流を用いて垂直方向に堆積レべルが低い部分へ自動的に積み上げるようにして短繊維を垂直方向に堆積し、連続的にウエブを製造した後、熱処理により繊維相互間の接触部の一部を実質的に融着させることを特徴とする不織布の製造方法。 - シリコン系油剤を塗布した繊維を40〜95重量%含んで構成される請求項1または請求項2記載の不織布の製造方法。
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