JP4256204B2 - 伝動ベルトの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベルト長手方向に延びるリブ部もしくはベルト長手方向に所定間隔で設けたコグ部からなる型付部が設けられた伝動ベルトの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ベルト長手方向に沿って心線を埋設した接着ゴム層と、ベルト長手方向に延びるリブが設けられ、幅方向に配向する短繊維を含む圧縮ゴム層とを積層してなる伝動ベルトが知られている。
【0003】
この伝動ベルトは、一般に、ベルト長手方向に沿って心線を埋設した接着ゴム層と、接着ゴム層に隣接してリブを形成するフラットな圧縮ゴム層とを積層してなるスリーブを加硫缶に装着し、リブのない状態のフラットなスリーブを加硫成形する。この圧縮ゴム層を研削してリブを削りだし、必要なリブの数に合わせて輪切りにして伝動ベルトとする。
【0004】
しかしながら、スリーブの圧縮ゴム層を研削してリブを形成することにより、相当な量の材料ロスが発生する。そこて、研削しないでリブ部を形成する方法が提案されている。
【0005】
実公昭57−27946号公報には、外層としてフラットな圧縮ゴム層と、内層として心線が埋設された接着ゴム層とを積層した未加硫ベルトスリーブを形成し、この未加硫ベルトスリーブを外周にリブ溝が形成された円筒状金型に挿入し、未加硫ベルトスリーブの外周を押圧して圧縮ゴム層にリブを形成するものが提案されている。
【0006】
特開昭53−40087号公報及び特開昭58−25948号公報には、外層としてフラットな圧縮ゴム層と、内層として心線が埋設された接着ゴム層とを積層した未加硫ベルトスリーブを形成し、この未加硫ベルトスリーブを径方向に拡縮自在な内型に嵌め、未加硫ベルトスリーブ付きの内型を外周にリブ溝が形成された外型内に挿入し、内型の内径を拡張することにより、圧縮ゴム層にリブを形成するものが提案されている。また、特開平10−86236号公報には、このようにして形成されたリブの表皮部分を研削により除去し内部の短繊維を表面に積極的に露出させるものが提案されている。
【0007】
また、特許2708717号公報には、圧縮ゴム層をその軸方向(長手方向)に押し出すことによりリブを形成し、このリブが形成された圧縮ゴム層を心線が埋設された接着ゴム層に積層し、この積層されたリブ付きの未加硫ベルトスリーブを型内に装着して加硫するものが提案されている。
【0008】
【特許文献1】
実公昭57−27946号公報
【特許文献2】
特開昭53−40087号公報
【特許文献3】
特開昭58−25948号公報
【特許文献4】
特開平10−86236号公報
【特許文献5】
特許2708717号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特開昭53−40087号公報等に開示のように、フラットな圧縮ゴム層を有する未加硫ベルトスリーブをリブ溝付きの型に押し付けてリブを形成する場合、圧縮ゴムの径方向の変形に伴って接着ゴム層も径方向に変形する。ところが、接着ゴム層には心線が埋設されており、この心線の径方向の変形に伴って、径方向の浮き沈み、ピッチの乱れ等の心線乱れが発生しやすいという問題点がある。
また、特許2708717号公報のように、押し出しにより圧縮ゴム層の長手方向にリブを形成する場合、圧縮ゴム層の流動は長手方向が主になって、幅方向の流動が確保しにくいという問題点がある。
【0010】
本発明は、前記課題に鑑みなされたものであり、リブ付きのベルトスリーブを、心線の整列状態を保持しつつ圧縮ゴム層の流動をも適切にして成形できる伝動ベルトの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1に係る発明は、ベルト長手方向に沿って心線を埋設した接着ゴム層と、接着ゴム層に隣接して、ベルト長手方向に延びるリブ部もしくはベルト長手方向に所定間隔で設けたコグ部からなる型付部が設けられる圧縮ゴム層とを積層してなる伝動ベルトの製造方法において、
圧縮ゴム層を少なくとも含む第1のスリーブを形成する第1工程と、
この第1のスリーブを内周側から押圧して前記圧縮ゴム層の表面に前記型付部を形成する第2工程と、
心線とそれが巻回される接着ゴム層とを少なくとも含む第2のスリーブを形成する第3工程と、
この第2のスリーブを前記型付部が形成された前記第1のスリーブに嵌め、第2のスリーブの内周側から押圧して積層する第4工程と、を備えてなり、
前記第2工程は、内周に型付溝を形成する外型に前記第1のスリーブを押し込んだ後、内周が拡縮自在な内型を拡張することにより行われ、前記第3工程は、前記内型上で行われ、前記第4工程は、前記第1スリーブを有する外型内に前記第2のスリーブを有する内型を嵌め、前記内型の内周を拡張することにより行われるものである。
【0012】
上記構成によると、第1のスリーブを内周側から押圧して、圧縮ゴム層の表面に型付部が形成されるため、ゴム層の流動状態は、型付溝に沿ったものとなる。この型付部が形成された第1のスリーブに、心線とそれが巻回された接着ゴム層を含む第2のスリーブを嵌め内周側から押圧するため、第1のスリーブへの第2のスリーブの積層時の径方向の変形は少ないものになり、心線の整列状態を保ったまま両スリーブを積層して加硫成形することができる。
また、上記構成によると、外型と内型を用いて、第2工程のリブの形成と、第4工程との積層とが同じ内型を用いることにより、精度よくベルトスリーブを形成することができる。
【0013】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記圧縮ゴム層は、短繊維を幅方向に配向させたものである。
上記構成によると、短繊維を幅方向に配向させた圧縮ゴム層であると、短繊維を含んだゴム層の流動状態は、型付溝に沿ったものとなる。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、前記第1のスリーブは、圧縮ゴム層の内側に接着ゴム層の第1部分を積層したものであり、前記第2のスリーブは、接着ゴム層の第2部分の外周に心線を巻回したものである。
上記構成によると、接着ゴム層を、圧縮ゴム層に積層する第1部分と、心線を巻回する第2部分とに分離して設けているため、圧縮ゴム層に予め積層された接着ゴム層の第1部分と、心線が巻回された接着ゴム層の第2部分との積層が同質材料によって確実となる。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項1において、前記第2工程の前記拡張は、前記外型を加熱しながら、且つ前記型付溝を吸引しながら行われるものである。
上記構成によると、型付溝の吸引と加熱によりブラダの拡張力が低減して成形しやすくなり、第2工程の型付部の形成が型付溝に沿った高精度なものになる。前記加熱は、圧縮ゴム層が加硫しない程度で成形性を向上させるために行われる。そのため、加熱温度は、60〜130°Cの範囲であり、加熱時間は30秒〜4分程度である。
【0016】
請求項5に係る発明は、ベルト長手方向に沿って心線を埋設した接着ゴム層と、接着ゴム層に隣接して、ベルト長手方向に延びるリブ部もしくはベルト長手方向に所定間隔で設けたコグ部からなる型付部が設けられる圧縮ゴム層とを積層してなる伝動ベルトの製造方法において、
圧縮ゴム層を少なくとも含む第1のスリーブを形成する第1工程と、
この第1のスリーブを内周側から押圧して前記圧縮ゴム層の表面に前記型付部を形成する第2工程と、
心線とそれが巻回される接着ゴム層とを少なくとも含む第2のスリーブを形成する第3工程と、
この第2のスリーブを前記型付部が形成された前記第1のスリーブに嵌め、第2のスリーブの内周側から押圧して積層する第4工程と、を備えてなり、
前記第1のスリーブは、圧縮ゴム層の内側に接着ゴム層の第1部分を積層したものであり、前記第2のスリーブは、接着ゴム層の第2部分の外周に心線を巻回したものである。
上記構成によると、第1のスリーブを内周側から押圧して、圧縮ゴム層の表面に型付部が形成されるため、ゴム層の流動状態は、型付溝に沿ったものとなる。この型付部が形成された第1のスリーブに、心線とそれが巻回された接着ゴム層を含む第2のスリーブを嵌め内周側から押圧するため、第1のスリーブへの第2のスリーブの積層時の径方向の変形は少ないものになり、心線の整列状態を保ったまま両スリーブを積層して加硫成形することができる。
また,上記構成によると、接着ゴム層を、圧縮ゴム層に積層する第1部分と、心線を巻回する第2部分とに分離して設けているため、圧縮ゴム層に予め積層された接着ゴム層の第1部分と、心線が巻回された接着ゴム層の第2部分との積層が同質材料によって確実となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態の一例を説明する。図1は本発明方法で得られる伝動ベルトの部分断面図であり、図2は本発明方法に用いられる型装置の断面図である。
【0021】
図1において、Aは、一般に伝動ベルトとして用いられるVリブドベルトとして表されている。1は、圧縮ゴム層、2は、接着ゴム層、3は、接着ゴム層2に埋設された心線、4は、帆布である。
圧縮ゴム層には、ベルト幅方向に配向された短繊維6を有するゴム層をリブ溝に沿って流動させたリブ5(型付部)が形成されたものである。圧縮ゴム層1には、短繊維6を配向したクロロプレン、エチレン・プロピレンゴム、水素添加ニトリルゴムなどが用いられる。短繊維6は、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維などからなる1〜10mm程度の短繊維か用いられる。その添加量はゴム100重量部に対して10〜40重量部である。
接着ゴム層2は、圧縮ゴム層1の側の第1部分2aと、帆布4の側の第2部分2bとの間に心線3を挟んで押圧し、心線3を埋設させたものである。心線3は、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維などのコードからなる。特に、ポリエステル繊維のコードが、ナイロン繊維ほど伸びず、アラミド繊維ほど伸びにくくないため、好適に用いられる。
【0022】
図2において、前記伝動ベルトAの製造に用いられる型装置50は、外型51と、内型52とからなる。外型51に対して内型52がその中心軸方向の移動により着脱自在となっている。
外型51は、本体内周にリブ部(型付部)に相当するリブ溝53(型付溝)を所定ピッチで配設したものである。各リブ溝53(型付溝)は、小孔54を介して第1ジャケット55に連通している。この第1ジャケット55は、吸引装置又は加圧装置56に接続される。この第1ジャケット55の外周に第2ジャケット57が設けられている。この第2ジャケット57は、加熱蒸気供給装置58又は冷却水供給装置59に接続可能になっている。
【0023】
内型52は、型本体外周にブラダ61を配設したものである。ブラダ61の上下の両端が型本体に固定されている。このブラダ61の内面へ圧縮空気の導入又は排出により、内型52の内周が径方向に拡縮する。内型52の型本体に沿って設けられたジャケット62は孔6を介してブラダ61の内面に連通している。このジャケット62は、吸引装置又は加圧装置63に接続される。
【0024】
上述した型装置50を用いた伝動ベルトAの製造方法を図3乃至図5により説明する。
〔第1工程〕 図3(a)のように、接着ゴム層の第1部分2aの外周に短繊維を幅方向に配向させた圧縮ゴム層1を積層した第1のスリーブ10を形成する工程である。
この第1のスリーブ10は、圧縮ゴム層1の幅方向に短繊維6が配向するように例えば押出成形したシートに、接着ゴム層の第1部分2aをカレンダー成形により積層し、所定長さにカットしたあと端同士を接合することにより形成される。この第1のスリーブ10の外径は、リブ溝53(型付溝)の底の内径より僅かに小さくなる程度に形成されている。
【0025】
〔第2工程〕 図3(b)(c)及び図4(d)のように、第1のスリーブ10を内周側から押圧して圧縮ゴム層1の表面にリブを形成する工程である。
第1のスリーブ10の周囲にしわを作って縮径した状態にする。図3(b)の矢印aのように、この縮径された第1のスリーブ10をリブ溝53(型付溝)に乗り上げるように外型51内に挿入する。図3(b)の矢印bのように、第1のスリーブ10の内周側を押圧して、圧縮ゴム層をリブ溝53(型付溝)に向けて押し込み、内型52が挿入できる状態にする。この押し込みは適宜の拡縮装置を用いて行う。
【0026】
つぎに、図3(c)のように、外型51に内型52を挿入する。このとき、外型51の第1ジャケット55を吸引することにより、リブ溝53(型付溝)内を吸引し圧縮ゴム層1をリブ溝53(型付溝)に引き込む。つづいて、第2ジャケット57に加圧蒸気を導入し、圧縮ゴム層1の予備成形を行う。
【0027】
つぎに、図4(d)のように、内型52のジャケット62に圧縮空気を導入することにより、ブラダ61を径方向外方に拡大する。圧縮ゴム層1は接着ゴム層の第1部分2aを介してリブ溝53内に押圧される。このとき、外型51は予熱状態にあるとともに、リブ溝53(型付溝)が吸引状態にあるため、圧縮ゴム層1はリブ溝53(型付溝)に沿った高精度の形状に予備成形される。この加熱による予備成形は、圧縮ゴム層1が加硫しない程度で成形性を向上させるために行われる。そのため、加熱温度は、60〜130℃の範囲であり、加熱時間は30秒〜4分程度である。
【0028】
〔第3工程〕 帆布4と、心線3が巻回される接着ゴム層2の第2部分2bとを積層して第2のスリーブ11を形成する工程である。
図4(e)のように、内型52のブラダ61を吸引により縮径状態にした上で、このブラダ61の上に、帆布4、接着ゴム層2の第2部分2bの順に巻き付け、心線3を所定ピッチでラセン状に巻回することにより第2のスリーブ11を形成する。
【0029】
〔第4工程〕 第2のスリーブ11をリブが形成された第1のスリーブ10に嵌め、第2のスリーブ11の内周側から押圧して積層する工程である。
図5(f)のように、第2のスリーブ11が形成された内型52を外型51に挿入する。このとき、第2のスリーブ11における心線3の外径と、接着ゴム層2の第1部分2aの内径との差εを小さくすることにより、第2のスリーブ11が拡径する程度を少なくすることができる。
【0030】
図5(g)のように、内型52のジャケット62に圧縮空気を導入することにより、ブラダ61を拡径させ、第2のスリーブ11における接着ゴム層2の第2部分2bと、圧縮ゴム層1の内周に対する接着ゴム層2の第1部分2aとを合体させ、接着ゴム層2内に心線3が埋設された状態にする。このとき、第2ジャケット57に加圧蒸気を導入しており、圧縮ゴム層1と接着ゴム層2とは型51,52内で押圧されたまま加硫成形される。
【0031】
このようにして成形された加硫済みの伝動ベルトAは、接着ゴム層2の第2部分2bが径方向に少なく広がる変形をするため、心線3の整列状態が維持される。圧縮ゴム層1のリブ溝53(型付溝)に沿った流動は、接着ゴム層2の第1部分2aまでとなっている。この流動は、接着ゴム層2の第2部分2bから隔離される。そのため、圧縮ゴム層1の流動が心線3の整列に影響を及ぼすことがない。
【0032】
また、図5のεを小さくすることにより、心線3の伸び率も低く抑えることが可能になる。そのため、心線3の伸び率を、許容伸び率以内の1.5%以下、更に1.2%以下に抑えることが可能になる。その結果、心線3が無理なく伸び、心線3の整列状態も維持される。
【0033】
加硫成形が終わると、外型51の第2ジャケット57に冷却水を流して外型51及び内型52を冷却する。つぎに、内型52のジャケット62を吸引して、ブラダ61を引き剥がすようにして縮径させ、外型51の第1ジャケット55に圧縮空気を送り込んで、圧縮ゴム層1をリブ溝53(型付溝)から押し出す。内型52を外型51から外し、加硫済みの伝動ベルトAを外型51から引き出す。そして、適当な幅に切断し、裏表をひっくり返すと所定のVリブドベルトとなる。
【0034】
このような製法で得られる伝動ベルトが図1に示される。圧縮ゴム層1は、幅方向に配向した短繊維6を有し、この短繊維6を含むゴム層1がリブ5に沿った流動状態、即ち型付溝に沿って流動させた型付部になっており、接着ゴム層2のうち、心線3により反リブ側に位置する第2部分2bは実質的に前記流動から隔離された状態、即ち型付溝に沿って流動させた型付部の流動とは隔離された状態で加硫成形され、心線3の伸び率が1.5%以下、好ましくは1.2%以下となったものである。
このような心線3の整列状態が保たれ、心線3の伸びが許容伸び率以内に収まる伝動ベルトAは耐久性の優れたものとなる。
【0035】
さらに、このような製法のその他の利点を以下に説明する。
予め、外型51のリブ溝53に圧縮ゴム層1と接着ゴム層の第1部分2aとを押し込むため、リブ溝53に沿った流動を必要最小限の部分に止めることができる。圧縮ゴム層1の幅方向には短繊維6が配向されているため、圧縮ゴム層1のリブに沿った流動とともに、短繊維6も流動し、適切に短繊維6を分布させることができる。
【0036】
圧縮ゴム層1のリブの形成時には、外型51のリブ溝53を吸引しながら且つ外型51を加熱しながら行う為、圧縮ゴム層1のリブは所定の表面粗度を有する高精度のものに仕上げることができる。また、前述のように、圧縮ゴム層1の短繊維6の流動も適切となっているため、短繊維6がリブのごく表面まで存在することになり、消音性能を有する伝動ベルトAとすることができる。また、短繊維6を露出させると、消音性能はより優れたものになる。
【0037】
外型51の圧縮ゴム層1と接着ゴム層2の第1部分2aの押圧と、接着ゴム層2の第2部分2bの前記第1部分2aへの押圧とを同じ内型52を使用するため、第1部分2aと第2部分2bとの積層とが精度良く行われる。
【0038】
圧縮ゴム層1に対する接着ゴム層2の第1部分2aと、心線3が巻回される接着ゴム層2の第2部分2bとに分離した成形としても、同材質の接合になって、第1のスリーブ10と第2のスリーブ11との接合とが良好に行われる。
【0039】
なお、以上説明した実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
上記実施形態では、圧縮ゴム層が幅方向に配向した短繊維を含有しているタイプにより説明したが、コスト低減のために短繊維を含ませないタイプの圧縮ゴム層であってもよい。短繊維を含まない圧縮ゴム層であっても、リブに沿った圧縮ゴム層の流動を確保しつつ、心線の整列状態を良好なものに維持したまま、スリーブを積層して加硫成形をすることができる。
【0040】
また、短繊維を入れない代わりに、圧縮ゴム層には固体潤滑材を配合することができる。この固体潤滑材は六方晶系又は鱗片状のグラファイト、二流化モリブデン、そしてポリテトラフルオロエチレンから選ばれたものであり、その添加量は原料ゴム100質量部に対して10〜100質量部、好ましくは10〜60質量部であり、10質量部未満の場合にはベルト質量部を超えると、ゴム物性の伸びがちいさくなり、ベルト寿命が短くなる。
【0041】
また、第1スリーブ10を圧縮ゴム層1だけとし、第2スリーブ11を接着ゴム層2の第1部分2aと心線3と接着ゴム層2の第2部分2bとの積層体とすることができる。この場合、リブに沿った流動は圧縮ゴム層だけとなり、接着ゴム層2の全体がこの流動から隔離された状態となり、心線3の整列状態がより確実となる。ただし、圧縮ゴム層1と接着ゴム層2との加熱加圧状態での加硫接合が確実に行われるように適宜な材料選択を行う。
【0042】
また、伝動ベルトAは加硫成形後、そのまま使用するというのではなく、伝動ベルトAのリブ表面を研磨して、短繊維6の露出程度をより多くするようにしたものであってもよい。
【0043】
伝動ベルトAの帆布4について、場合により帆布4を省略した形式の伝動ベルトAとすることもできる。
【0044】
内型52の内径の拡縮手段として、ブラダを用いる場合に限らず、拡縮自在なゴムスリーブを用いることや、その他の機械的な径拡縮機構を用いることができる。
【0045】
また、上述した型装置を用いた伝動ベルトの製造方法により、図6に示すローエッジコグベルト100も成形することができる。
このベルト100は、接着ゴム層102内にベルト長手方向に沿ってスパイラル状に埋設した心線103と、該心線103の上側(ベルト外周側)に積層した伸張ゴム層105と、前記心線103の下側(ベルト内周側)に積層した圧縮ゴム層106とからなり、圧縮ゴム層106は所定間隔で設けた凹部107aと凸部107bとを交互に有するコグ部107を有している。また伸張ゴム層105の背面及び圧縮ゴム層106のコグ部表面には補強布108,109を設けている。
このベルト100を成形する場合には、外型51は本体内周方向に沿って所定間隔で外型51の長手方向の延びるコグ部107(型付部)に相当するコグ溝(型付溝)を設けたものを使用することができる。その他の型装置の構造は変わらない。
圧縮ゴム層106と接着ゴム層104のベルト内周側とを含む第1のスリーブを形成する第1工程と、この第1のスリーブを内周側から押圧して圧縮ゴム層106の表面にコグ部107(型付部)を形成する第2工程と、心線103とそれが巻回される接着ゴム層104のベルト外周側と伸張ゴム層105とを含む第2のスリーブを形成する第3工程と、この第2のスリーブをコグ部107(型付部)が形成された前記第1のスリーブに嵌め、第2のスリーブの内周側から押圧して積層する第4工程とからなる製法により、ベルト100を製造することができる。
【0046】
【発明の効果】
上述した請求項1〜5の伝動ベルトの製造方法によると、リブに沿った圧縮ゴム層の流動を確保しつつ、心線の整列状態を良好なものに維持できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法による伝動ベルトの部分断面図である。
【図2】本発明方法に用いる型装置の断面図である。
【図3】本発明方法の一実施形態の工程を示す図である。
【図4】本発明方法の一実施形態の工程を示す図である。
【図5】本発明方法の一実施形態の工程を示す図である。
【図6】本発明方法により成形される他の伝動ベルトの部分断面図である。
【符号の説明】
1 圧縮ゴム層
2 接着ゴム層
2a 第1部分
2b 第2部分
3 心線
5 リブ
6 短繊維
10 第1のスリーブ
20 第2のスリーブ
50 型装置
51 外型
52 内型
53 リブ溝
61 ブラダ(内型内径拡縮手段)

Claims (5)

  1. ベルト長手方向に沿って心線を埋設した接着ゴム層と、接着ゴム層に隣接して、ベルト長手方向に延びるリブ部もしくはベルト長手方向に所定間隔で設けたコグ部からなる型付部が設けられる圧縮ゴム層とを積層してなる伝動ベルトの製造方法において、
    圧縮ゴム層を少なくとも含む第1のスリーブを形成する第1工程と、
    この第1のスリーブを内周側から押圧して前記圧縮ゴム層の表面に前記型付部を形成する第2工程と、
    心線とそれが巻回される接着ゴム層とを少なくとも含む第2のスリーブを形成する第3工程と、
    この第2のスリーブを前記型付部が形成された前記第1のスリーブに嵌め、第2のスリーブの内周側から押圧して積層する第4工程と、を備えてなり、
    前記第2工程は、内周に型付溝を形成する外型に前記第1のスリーブを押し込んだ後、内周が拡縮自在な内型を拡張することにより行われ、前記第3工程は、前記内型上で行われ、前記第4工程は、前記第1スリーブを有する外型内に前記第2のスリーブを有する内型を嵌め、前記内型の内周を拡張することにより行われる伝動ベルトの製造方法。
  2. 前記圧縮ゴム層は、短繊維を幅方向に配向させたものである請求項1に記載の伝動ベルトの製造方法。
  3. 前記第1のスリーブは、圧縮ゴム層の内側に接着ゴム層の第1部分を積層したものであり、前記第2のスリーブは、接着ゴム層の第2部分の外周に心線を巻回したものである請求項1又は2に記載の伝動ベルトの製造方法。
  4. 前記第2工程の前記拡張は、前記外型を加熱しながら、且つ前記リブ溝を吸引しながら行われる請求項1に記載の伝動ベルトの製造方法。
  5. ベルト長手方向に沿って心線を埋設した接着ゴム層と、接着ゴム層に隣接して、ベルト長手方向に延びるリブ部もしくはベルト長手方向に所定間隔で設けたコグ部からなる型付部が設けられる圧縮ゴム層とを積層してなる伝動ベルトの製造方法において、
    圧縮ゴム層を少なくとも含む第1のスリーブを形成する第1工程と、
    この第1のスリーブを内周側から押圧して前記圧縮ゴム層の表面に前記型付部を形成する第2工程と、
    心線とそれが巻回される接着ゴム層とを少なくとも含む第2のスリーブを形成する第3工程と、
    この第2のスリーブを前記型付部が形成された前記第1のスリーブに嵌め、第2のスリーブの内周側から押圧して積層する第4工程と、を備えてなり、
    前記第1のスリーブは、圧縮ゴム層の内側に接着ゴム層の第1部分を積層したものであり、前記第2のスリーブは、接着ゴム層の第2部分の外周に心線を巻回したものである伝動ベルトの製造方法。
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