JP4262928B2 - ガス遮断器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、送電系統や配電系統を保護するために、線路の地絡故障や線間短絡故障などによる電流を遮断するガス遮断器に係わり、特に酸素原子を含むガスを消弧性ガスとして用いるガス遮断器に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、72kV以上の高電圧送電系統の保護用開閉器として、構造が単純で信頼性が高く、かつ優れた遮断性能を有するパッファ形のガス遮断器が広く使用されている。図3〜図6は従来のガス遮断器の一例を示す断面図であり、図3は閉極状態を、図4は開極動作初期の状態を、図5は開極動作終了直後の状態を、図6は開極動作終了後電流零点に至った状態をそれぞれ示している。
【0003】
図に示すように、ガス遮断器には固定接触子部10として定義される第1接触子部と、可動接触子部20として定義される第2接触子部とが対向配置されている。これら接触子部10,20は消弧性のガスが充填された容器(図示せず)内に収納されている。なお、以下、可動接触子部20の位置関係について、固定接触子部10側の方向を前方、その反対側を後方と定義して説明する。
【0004】
固定接触子部10は、固定アーク接触子11とその周囲に配置された固定通電接触子12から構成されている。固定通電接触子12には導体13が固定されており、図示していないガス遮断器の口出し部に接続される。一方、可動接触子部20は、中空の操作ロッド21、この操作ロッド21の周囲に配置されて前端部で操作ロッド21に連結されたフランジ22、フランジ22の後方に連結されたパッファシリンダ23、フランジ22の前方に連結された中空かつ指状の可動アーク接触子24、可動アーク接触子24の周囲に配置された可動通電接触子25、可動アーク接触子24を包囲する絶縁ノズル26、およびパッファシリンダ23内に挿入された固定ピストン27から構成されている。固定ピストン27はフランジ14に固定されている。また、フランジ14には通電部28が固定されており、パッファシリンダ23と接触通電および摺動通電可能になっている。さらに、フランジ14には導体29が固定されており、図示していないガス遮断器の口出し部に接続されている。
【0005】
以上のような可動接触子部20のうち、操作ロッド21は、図示していない駆動装置によって、その軸方向に往復運動するように構成されており、その中程に、その中空部と充填ガス雰囲気空間とを連通する複数の連通穴21aが形成されている。また、可動アーク接触子24と絶縁ノズル26との間には、パッファシリンダ23内部の圧縮空間S1で圧縮されたガスをガス流として、フランジ22に設けられた連通穴22aを経て、アーク空間S2に導くための上流側ガス流路S3が形成されている。
【0006】
さらに、固定ピストン27は、円形平板状に形成されており、その内周面で操作ロッド21の外周面に対して摺動すると共に、その外周面でパッファシリンダ23の内周面に対して摺動するように構成されている。この場合、固定ピストン27は、その後方に一体的に設けられて軸方向に伸びるピストン支持部27aによって図示していない容器内に固定されている。そして、このように固定された固定ピストン27に対し、操作ロッド21とパッファシリンダ23が一体的に移動することにより、パッファシリンダ23と固定ピストン27が相対移動し、それによって、パッファシリンダ23内部に形成される空間S1が圧縮されるようになっている。また、上記構成のガス遮断器においては、鉄系の部品は防錆処置として、燐酸塩皮膜処理が施されることが多い。
【0007】
以上のような構成を有するガス遮断器の閉極時の通電状態について説明する。電流は、ガス遮断器の片側の口出し部から導入され、例えば、導体13側から入り、固定通電接触子12、可動通電接触子25、フランジ22、パッファシリンダ23、通電部28、フランジ14および導体29を通って、ガス遮断器の反対側の口出し部から出ていく。この場合、各接触面は、部品がアルミで作られている場合は、接触抵抗を下げるために銀メッキが施されているのが通常である。すなわち、導体13と固定通電接触子12との接触面、固定通電接触子12と可動通電接触子25との接触面、可動通電接触子25とフランジ22との接触面、フランジ22とパッファシリンダ23との接触面、パッファシリンダ23と通電部28との接触面、通電部28とフランジ14との接触面、フランジ14と導体27との接触面である。また、部品が銅で作られている場合は、メッキ処理されていないことが多い。
【0008】
次に、ガス遮断器の開極動作について説明する。まず、図3に示した開極動作途中の初期状態においては、後方の操作ロッド21が移動しており、この操作ロッド21を含む可動接触子部20が一体的に移動している。図4はこのような開極動作によって固定アーク接触子11と可動アーク接触子24が開離した後の状態を示しており、両アーク接触子11、24間のアーク空間S2には大電流アーク30が発生している。
【0009】
ここで、パッファシリンダ23内部の蓄圧空間S1の圧力は、パッファシリンダ23と固定ピストン27との相対移動による機械的な圧縮作用によって昇圧されることになる。またこの時、大電流アーク30により、アーク空間S2は高温高圧の状態にある。例えば、大電流アーク30の電流が50kAの場合、その温度は容易に10000K以上に達する。このため、アーク空間S2は圧縮空間S1より圧力が上昇し、操作ロッド21の内部空間から連通穴21aを経て圧縮空間S1に至るガス流32aが生じる。すなわち、大電流アーク30のエネルギーのうちの一部が圧縮空間に取り込まれる。
【0010】
このように、開極動作が進むと、パッファシリンダ23内部の蓄圧空間S1は機械的な圧縮作用に加えて、熱的作用により昇圧される。このように蓄圧空間S1が十分に昇圧された状態で、図5に示すように開極動作がさらに進み、絶縁ノズル26のスロート部S4が開口すると、可動アーク接触子24と絶縁ノズル26との間のガス流路から固定アーク接触子11に向かって流れるガス流32bが発生する。その一方で、可動アーク接触子24の中空部から、操作ロッド21に設けられた連通穴21aに向かって流れるガス流32cも発生する。ただし、この段階ではアーク空間S2が径の大きな大電流アーク30によりほぼ閉塞された状態にあるため、ガス流32b、32cは弱い流れにしかならない。
【0011】
さらに、開極動作が進み、図6に示すように電流零点に達すると、大電流アーク30は減衰し、残留アークプラズマ31となって蓄圧空間S1内の圧力、密度及び温度が減少する。これにより、絶縁ノズル26のスロート部S4は十分に開口し、強力なガス流32d,32eが発生する。したがって、これらの2方向のガス流32d,32eによって、相乗的に強力に冷却されてアークが消弧され、電流遮断が達成される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
近年、地球環境問題が大きく取り上げられており、ガス遮断器についても地球温暖化問題との関連が指摘されている。すなわち、ガス遮断器の有効な消弧ガスとして多用されてきたSF6ガスのいわゆる地球温暖化係数GWP(Global Warming Potentials)が高い点が注目され、1997年12月に開催された地球温暖化防止に関する京都会議(COP3)において温室効果ガスとして削減対象に指定された。現在のところ、SF6ガスはCO2ガスに比較すれば、総使用量がわずかであるため、SF6ガスの排出を削減することが有効な対策とされている。
【0013】
ところが、地球温暖化係数は、CO2ガスが1であるのに対し、SF6ガスは格段に大きい24900程度と言われており、総使用量自体も削減することが望まれている。このため、SF6ガスの使用量を削減したガス遮断器の可能性が模索されている。こうした動きの中で、従来のSF6以外の消弧性ガスとして、酸素原子を含むガス、例えば、炭酸ガス、空気、酸素、あるいはこれらの混合ガスなどが検討されている。
【0014】
しかしながら、これらの酸素原子を含むガスはアークエネルギーによって遊離酸素原子が発生することが知られている。遊離酸素原子は容易に金属材料と反応して金属材料を侵食し、粉末状の金属酸化物を生成する。上述したようにガス遮断器の接触部や蓄圧空間を構成する部品はアークにより熱せられた高温ガスに曝されることが多く、酸化反応が起きる可能性がある。仮に酸化反応が進み、金属材料が侵食されると、構造材の強度が低下したり、部品の表面状態が変化して性能が不安定となるという問題があった。
【0015】
本発明は、以上のような課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、高温ガスに曝される部品について耐酸化の表面処理を施すことにより、酸化反応を抑えて粉末状の金属酸化物の発生および金属材料の侵食を防ぎ、性能の安定化を図ったガス遮断器を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、消弧性ガスが充填された密閉容器内には第1接触子部および第2接触子部が対向して配置され、前記第1接触子部および第2接触子部にはそれぞれ第1アーク接触子および第2アーク接触子が設けられ、前記第1アーク接触子および第2アーク接触子は、通常運転時は接触導通状態にあり、開極動作時は相対移動しつつ開離するとともに、両接触子間の空間として定義されるアーク空間にアークを発生するよう構成され、前記アークを消弧せしめるガス流発生手段が設けられ、前記ガス流発生手段は少なくとも1つの蓄圧空間と、前記蓄圧空間の圧力を上昇せしめる少なくとも1つの圧力上昇手段と、前記蓄圧空間と前記アーク空間を結ぶ少なくとも1つの上流側ガス流路と、前記アーク空間と密閉容器内の充填圧と同圧力の空間として定義される下流空間を結ぶ少なくとも1つの下流側ガス流路とから構成され、前記圧力上昇手段は機械的圧縮手段または加熱昇圧手段のうち少なくとも1つの手段から構成されたガス遮断器において、次のような特徴を有している。
【0017】
本発明は、前記アークにより発生した高温ガスに曝される部品のうち、少なくとも1000℃以上の高温ガスに曝される鉄系の金属表面に燐酸塩被膜処理あるいは黒染め処理を施したことを特徴とする。
このような構成を有する本発明においては、鉄系部品が直接高温に曝されるのを防止できる。このため、粉末状の鉄系金属酸化物の発生を防ぐことができ、安定した性能のガス遮断器を得ることができる。
【0018】
請求項2の発明は、請求項1記載のガス遮断器において、前記消弧性ガスは、炭酸ガス、ドライエア、酸素のいずれか1つ、または、複数種類の組合わせであることを特徴とする。
上記のような請求項2の発明においては、無毒で、オゾン破壊係数が小さい、あるいはゼロの消弧性ガスを用いたことにより、安定した性能を発揮すると共に環境調和性に優れたガス遮断器を得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるガス遮断器の実施の形態の一例について、図1および図2を参照して具体的に説明する。なお、図3〜図6に示した従来例と同一の部材については、同一の符号を付し、説明は省略する。
【0021】
[1.代表的な実施の形態]
[1−1.構成]
本実施の形態は、請求項1および2記載の発明を適用したガス遮断器である。図1に示すように、開極動作初期には、大電流アーク30により生じた高温のガス流32aは、絶縁ロッド21の内部、連通穴21aを通って蓄圧空間S1に至る。したがって、耐酸化処理部40は、操作ロッド21の内面、操作ロッド21、フランジ22、パッファシリンダ23および固定ピストン27の蓄圧空間S1に面する部分に施されている。この耐酸化処理部40は、アークにより発生した高温ガスに曝される部品のうち、少なくとも1000°C以上の高温ガスに曝される金属表面に形成されている。
【0022】
また、図2に示すように、開極動作終期には、大電流アーク30により生じた高温のガス流32bは、絶縁ノズル26の先端から固定通電接触子12の内部に向かって流れ、同じく高温のガス流32cは、操作ロッド21の内部、連通穴21aを通って、固定ピストン支持部27aと操作ロッド21に囲まれた空間に至る。したがって、耐酸化処理部40は、固定通電接触子12の内面、操作ロッド21の外面、固定ピストン27および固定ピストン支持部27aの内面に施されている。
この場合、耐酸化処理部40は、高温ガスに曝される部品が鉄系の金属である場合には、その鉄系金属の表面に燐酸塩被膜処理あるいは黒染め処理を施すことにより形成されている。また、本実施形態では、消弧性ガスは、炭酸ガス、ドライエア、酸素のいずれか1つ、または、複数種類の組合わせのガスが用いられている。
【0023】
[1−2.作用効果]
以上のような構成を有する本実施の形態の作用は以下の通りである。開極動作途中に生じる高温のガス流32a,32bおよび32cに曝される部品は、耐酸化処理部40によって守られているため、酸素原子を含むガスを消弧性ガスとして用いた場合でも、部品表面と遊離した酸素原子とが酸化反応を起こすことがなく、粉末状の金属酸化物を発生することが無い。また、金属材料の侵食を防ぐこともできる。これにより、安定した性能のガス遮断器を得ることができる。しかも、本実施の形態では、無毒で、オゾン破壊係数が小さい、あるいはゼロの消弧性ガスを用いているため、安定した性能を発揮すると共に環境調和性に優れたガス遮断器を得ることができる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高温ガスに曝される部品について耐酸化の表面処理を施すことにより、酸化反応を抑えて粉末状の金属酸化物の発生および金属材料の侵食を防ぎ、性能の安定化を図ったガス遮断器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による代表的な実施の形態の断面図であり、開極動作初期の状態を示す。
【図2】本実施の形態の断面図であり、開極動作終期の状態を示す。
【図3】従来のガス遮断器の断面図であり、閉極状態を示す。
【図4】従来のガス遮断器の断面図であり、開極動作初期の状態を示す。
【図5】従来のガス遮断器の断面図であり、開極動作終了直後の状態を示す。
【図6】従来のガス遮断器の断面図であり、開極動作終了後電流零点に至った状態を示す。
【符号の説明】
10…固定接触子部(第1接触子部)
11…固定アーク接触子
12…固定通電接触子
13…導体
14…フランジ
20…可動接触子部(第2接触子部)
21…操作ロッド
21a…連通穴
22…フランジ
22a…連通穴
23…パッファシリンダ
24…可動アーク接触子
25…可動通電接触子
26…絶縁ノズル
27…固定ピストン
27a…支持部
28…通電部
29…導体
30…大電流アーク
31…残留アークプラズマ
32a〜32e…ガス流
40…耐酸化処理部
S1…蓄圧空間
S2…アーク空間
S3…上流側ガス流路
S4…スロート部

Claims (2)

  1. 酸素原子を含む消弧性ガスが充填された密閉容器内には第1接触子部および第2接触子部が対向して配置され、前記第1接触子部および第2接触子部にはそれぞれ第1アーク接触子および第2アーク接触子が設けられ、前記第1アーク接触子および第2アーク接触子は、通常運転時は接触導通状態にあり、開極動作時は相対移動しつつ開離するとともに、両接触子間の空間として定義されるアーク空間にアークを発生するよう構成され、前記アークを消弧せしめるガス流発生手段が設けられ、前記ガス流発生手段は少なくとも1つの蓄圧空間と、前記蓄圧空間の圧力を上昇せしめる少なくとも1つの圧力上昇手段と、前記蓄圧空間と前記アーク空間を結ぶ少なくとも1つの上流側ガス流路と、前記アーク空間と密閉容器内の充填圧と同圧力の空間として定義される下流空間を結ぶ少なくとも1つの下流側ガス流路とから構成され、前記圧力上昇手段は機械的圧縮手段または加熱昇圧手段のうち少なくとも1つの手段から構成されたガス遮断器において、
    前記アークにより発生した高温ガスに曝される部品のうち、少なくとも1000℃以上の高温ガスに曝される鉄系の金属表面に燐酸塩被膜処理あるいは黒染め処理を施したことを特徴とするガス遮断器。
  2. 前記消弧性ガスは、炭酸ガス、ドライエア、酸素のいずれか1つ、または、複数種類の組合わせであることを特徴とする請求項1記載のガス遮断器。
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