以下、図面を参照して本発明の実施形態を具体的に説明する。なお、各図面を通して同一符号は同一又は対応部分を示すものである。図1は本発明による記録装置の第1の実施形態を示す模式的斜視図である。なお、図1は記録装置が記録手段から記録媒体へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置である場合を例示するものである。図1において、記録装置は、用紙やプラスチックシートなどの記録媒体を装置本体内へ供給するための給紙部201と、装置本体内を通して記録媒体を搬送するための搬送部202と、画像情報に基づいて記録媒体に画像(文字や記号等も含む)を記録していく記録手段3及び該記録手段を搭載したキャリッジ6を含むキャリッジユニット(記録機構部)203と、キャリッジユニット203によって形成される画像品位を維持するために記録手段(記録ヘッド)のインク吐出性能を維持回復するために回復ユニット204と、を備えている。
給紙部201に積載された記録媒体は、給紙モータにより駆動される給紙ローラによって1枚ずつ分離されて送り出され、搬送部202へ給送される。搬送部202へ送り込まれた記録媒体は、搬送モータによって駆動される搬送ローラ221及び搬送ローラ221に向けて押圧されたピンチローラ222による摩擦搬送力によって記録領域を通して搬送される。記録領域には、キャリッジ6に搭載された記録手段3と所定の隙間をおいて対向するようにプラテン225が配設されている。このプラテン225の上面に沿って案内支持されながら紙送りされる記録媒体に対し、記録手段3によって画像を記録していく。記録された記録媒体は、搬送ローラ221と連動して駆動される排紙ローラ223及び該排紙ローラと協働する拍車による搬送力によって装置本体外へ排出される。
キャリッジユニット203は、装置本体内部で主走査方向に往復移動可能に案内支持されたキャリッジ6並びに該キャリッジに搭載された記録手段としての記録ヘッド3などによって構成されている。キャリッジ6は装置本体を構成するシャーシ210に互いに平行に設けられたガイド部(ガイドレール)に沿って往復移動可能に案内支持されている。キャリッジ6に対してキャリッジモータの駆動力がキャリッジベルト224を介して伝達され、キャリッジ6は該キャリッジモータの駆動力によって前記ガイドレールに沿って往復移動させられる。このキャリッジ6の移動(主走査)に同期して行われる記録手段3の記録動作と記録媒体の所定ピッチごとの搬送(副走査)とを繰り返すことにより記録媒体全体の記録が行われる。
回復ユニット204は、記録手段(インクジェット記録手段)3の目詰まり等を解消することで記録品位を正常な状態に維持回復するためのものであり、記録手段3の吐出口を覆うためのキャッピング手段、キャッピングされた吐出口からインクを吸引する吸引ポンプ、並びに吐出口面を拭き取り清掃するためのワイピング手段などから構成されている。記録手段3の図示下面には複数の吐出口を配列して形成された吐出口列が設けられている。図2は記録手段3を底面側から見た模式的斜視図であり、図3は記録手段3を前方から見た模式的斜視図である。本実施形態における記録手段3の吐出口面(フェイス面)81には、3種類のインクを用いるカラー(例えばシアン、マゼンタ、イエロー)の吐出口列3cとブラックの吐出口列3dが横並びに配列されている。また、本実施形態では、記録手段3として、インク吐出部(記録ヘッド部)とインクタンクと組み付けるか、あるいは一体化して構成された交換可能なカートリッジタイプのものが使用されている。
本実施形態における記録手段3は、熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット記録手段であって、熱エネルギーを発生するための電気熱変換体を備えたものである。該記録手段3は、電気熱変換体により印加される熱エネルギーによってインク内に膜沸騰を生じさせ、その時に生じる気泡の成長、収縮による圧力変化を利用して吐出口よりインクを吐出させ、記録を行うものである。電気熱変換体は、複数の吐出口のそれぞれに対応して配設されており、記録信号に応じて対応する電気熱変換体にパルス電圧を印加することによって対応する吐出口からインクを吐出するためのものである。この記録手段3の吐出口面81と記録媒体の表面との隙間(隙間)は、例えば、約0.2〜約2.0ミリ程度の所望の値に設定される。また、記録手段3は、吐出口列3c、3dがキャリッジ6の移動方向と交差する方向となるような姿勢でキャリッジ6に搭載される。
図4は回復ユニット204のキャップ及びキャップホルダの上方斜視図であり、図5は図4のキャップ及びキャップホルダの下方斜視図である。図6は本発明によるインクジェット記録装置の第1の実施形態における回復ユニット204のキャップスライダ上の構成の上方斜視図であり、図7は図6のキャップスライダの構成をロックレバーを省いた状態で示す下方斜視図である。図8は本発明によるインクジェット記録装置の第1の実施形態における回復ユニット204の全体構成のキャッピング位置における状態を示す上方斜視図であり、図9は図8の回復ユニット204のキャップ開放位置における状態を示す上方斜視図であり、図10は図8の回復ユニット204の記録装置本体側のベース部の構成を示す上方斜視図である。
図4〜図10において、キャップ1はキャップホルダ2に対して4箇所の嵌合部1aと各キャップ室内の吸引口1b、1cのシーリング部とによって位置決め状態で固定されている。キャップホルダ2は、キャップスライダ7に対して、4箇所のフック部2b(爪部)により上下方向に抜け止めされた状態で取り付けられている。キャップホルダ2とキャップスライダ7との間には該キャップホルダを上向きに付勢するキャップばね4が装着されている。キャップホルダ2のキャリッジ移動方向の両端部に設けられた軸部2cがキャップスライダ7の溝部に嵌合しており、キャップホルダ2はキャップスライダ7に対して、軸部2cを中心に前後方向(キャリッジ6の移動方向と直角を成す方向)に回動可能に装着されている。キャップ1及びキャップホルダ2の吸引口1b、1cの位置は、図4に示すように、キャップ1に対して記録手段3のカラー吐出口列3cの位置が片側(図示の例では記録媒体搬送方向上流側)へずれて配置されている場合は、該カラー吐出口列3cに対向する範囲内に選定されている。
上記の構成によってキャップホルダ2をキャップスライダ7に対して所定の位置へ装着すると、キャップホルダ2は軸部2cを中心として前後方向(キャリッジ移動方向と直交する方向)に回転可能になるとともに、キャッピング位置(記録手段3がキャップ1と対向する位置)においてキャップスライダが上昇すると、キャップ1のキャップ面(シール面)と記録手段3の吐出口面81とが互いに平行に当接するように自動的に位置補正(姿勢補正)することができる。つまり、吐出口面81に対してキャップ面全体が自動的に均一に密着することで確実な密封機能が得られるように構成されている。キャップホルダ2には、2つの軸部2cを結ぶ中心線と直角方向の位置に、キャリッジ移動方向に形成された斜面と水平面の2つの面を有するキャップ開放カム面(カム部)2dが設けられている。
キャップホルダ2の吸引口1b、1cに対応する位置にはチューブ5、5が接続されており、これらのチューブは負圧発生手段としてのポンプ機構部(不図示)に接続されている。従って、キャップ1で記録手段3をキャッピングした状態で前記ポンプ機構部を作動させることにより、チューブ5、5を通してキャップ1内を負圧状態にし、それによって記録手段3の吐出口からインクを吸引できる。本実施形態におけるキャップ1は、記録手段3のカラー吐出口列3cとブラック吐出口列3dをそれぞれ個別に吸引できるように、内部を2区画に仕切った分割構造になっているが、記録手段3の吐出口列の配置構成や吸引方法によっては、仕切り無しの構造のものや、3区画以上に分割したものなど、種々のものを使用することができる。
キャップホルダ2を保持するキャップスライダ7は、記録装置本体のベース部13と後述のスライダばね15によって接続(連結)されている。キャップスライダ7の側面の4箇所には、棒状を成して突出する突出部(スライダ軸部)7bが設けられており、これらの突出部7bはベース部13上に設けられたスライダ制御用のカム面(カム部)13b、13cに当接している。つまり、キャップスライダ7は、後述するスライダばね15によって各突出部(スライダ軸部)7bをベース13上のカム面13b、13cに当接させた状態で、カム面13b、13cに沿って上下位置を制御されながらキャリッジ移動方向に移動可能に装着されている。なお、本願では、各種の部材の動きや位置を制御するために設けられるカム面と該カム面に当接する突出部などの当接部(当接部材、相手カム面など)とから成るカム機構に関しては、該カム機構を構成する両方もしくは任意の一方の部材(部位)を、適宜「カム部」又は「カム面」と呼ぶことにする。
4箇所の突出部(スライダ軸部)7bのうちの一部の突出部(図示の例では記録媒体搬送方向上流側の2箇所の突出部)の先端部には、ベース部13のカム面13cを形成するリブ部を挟み込むことによりキャップスライダ7の位置決めを行うための凹部(溝部)が形成されている。キャップスライダ7には、回復ユニット204へ進入してきたキャリッジ6又は記録手段3が当接する突き当て部7aが設けられている。つまり、キャリッジ6が回復ユニット204へ移動してきてキャリッジ6の側面が突き当て部7aに当接すると、キャリッジ6が回復ユニット204へ進入するのに追従してキャップスライダ7も同様に移動することになる。装置本体側のベース部13には、キャップ1の一端を開放するための固定カム13aがキャップホルダ2の方向へ水平に伸びた形で設けられている。このカム部13aは、キャップホルダ2のキャップ開放カム面2dに当接することにより、キャッピング状態にあるキャップ1の一端部(本実施形態では、記録媒体搬送方向の上流側の端部)を開放するためのものである。
キャップスライダ7の端部には、記録手段3の吐出口面81に残留したインク等の異物を拭き取り除去するためのワイパー8、9が取り付けられている。これらのワイパー8、9は、スペーサ10を介してキャップスライダ7に取り付けられ、板金のばね性を持たせたストッパ11によりキャップスライダ7の所定位置に保持されている。更に、キャップスライダ7には、記録手段3又はキャリッジ6に形成された嵌合穴(又は溝)3aと一定の隙間L1(図12)を保って嵌合する嵌合ピン7cが設けられている。
図11はキャリッジ6及び記録手段3がキャップスライダ7と当接する前の状態を示す模式的正面図であり、図12はキャリッジ6及び記録手段3が回復ユニット204に進入しキャップスライダ7を追従移動させることでキャップ1を吐出口面81に密着させたキャッピング状態を示す模式的正面図であり、図13は図12のキャッピング状態のままキャリッジ6及び記録手段3が更に進入方向に移動してキャップ1の一端を開放したキャップ一端開放時の状態を示す模式的正面図である。図14は回復ユニット204のキャップスライダ7の位置を制御するためのベース部13のカム面13b(13c)及びその作用を説明するための模式図である。図15は図13のキャップ一端開放時の状態を側面から見た模式的側面図である。図16はキャップスライダ7上でキャリッジ6の移動方向にスライド可能に設けられたロックレバー12の作動状態を示す模式的正面図である。
キャリッジ6及び記録手段3が未だ回復ユニット204に進入しない位置(図11)にあるときには、キャリッジ6及び記録手段3とワイパー8、9との間には上下方向に所定のクリアランスをもって離間しており、当接することはない。キャリッジ6が回復ユニット204へ進入し、突出部7bとカム面13bとのカム作用によってキャップスライダ7を上昇させることにより、記録手段3が図12に示すようなキャッピング状態(キャップ1で吐出口面81を覆った状態)になる。このようなキャッピング状態にあるとき、ワイパー9はキャリッジ6に対して一定のクリアランスL2を有して配置され、キャッピングされた状態ではキャリッジ6とワイパー8、9が接触することはない。
図12のキャッピング状態のとき、キャップスライダ7の嵌合ピン7cは記録手段3の嵌合穴3aと嵌合状態になっているが、同図中に隙間L1でも示すように、嵌合穴3aとは通常四方向に間隔を有する状態で嵌合している。そして、通常のキャッピング状態では、嵌合ピン7cは記録手段3とは接触していないが、仮に嵌合ピン7cと記録手段3がキャリッジ6の移動方向にずれた状態になった際に両者が接触した場合でも、キャリッジ6とワイパー8、9とは接触しないように構成されている。つまり、嵌合状態における嵌合ピン7cと嵌合穴3aとの隙間(間隔)L1は、キャリッジ6とワイパー9との間の隙間L2よりも小さい間隔に設定されている。なお、本実施形態では、上述のようにキャップスライダ7に設けられた嵌合ピン7cは記録手段3の嵌合穴3aと嵌合するように構成したが、これは、キャップスライダ7の嵌合ピン7cと所定の間隔を保って嵌合する嵌合穴をキャリッジ6に設けるように構成しても良い。
キャップスライダ7には、図6及び図16に示すように、4箇所の突出部(スライダ軸)7bの1つに対してスライド可能に組み込まれたロックレバー12が装着されている。このロックレバー12の端部12aは、図16に示すように、ロックレバーばね14によって記録装置のベース部13に連結(接続)されている。前記ベース部13には、図16に示すように、ロックレバー12用のカム部13jが設けられている。このカム部13jはロックレバー12のカム面12bと当接(係合)可能なものである。こうして、ロックレバー12は、キャップスライダ7と装置本体のベース部13との間に挟み込まれる状態で保持されている。
図17は図1中のキャリッジユニット203を記録手段3を取り外した状態で示す模式的斜視図である。図17において、キャリッジユニット203は、記録手段3が位置決め搭載されるキャリッジ6と、記録媒体の厚みに応じて記録手段3の吐出口面と記録媒体の表面との距離(隙間)を変化させるための調整部材(調整レバー)33と、キャリッジ6の内部に取り付けられるカバー部材(キャリッジカバー)30と、記録手段3をキャリッジ6に固定するためのセットレバー32と、を具備している。キャリッジ6の上部には、記録手段3の上部のリブ3e(図3)に掛止して記録手段3をキャリッジ6上に位置決め固定するための板ばね31が取り付けられている。記録手段3をキャリッジ6に搭載する際は、セットレバー32の回動操作によって板ばね31を退避方向へ弾性変形させ、記録手段3をキャリッジ6に引き込んだ後、板ばね31を解放して記録手段3のリブ3eに掛止させることにより、該板バネ31の弾性力を利用して記録手段3をキャリッジ6に固定する。
図18はキャリッジユニット203のキャリッジ6を前方から見た模式的斜視図であり、図19は図18のキャリッジ6を背後から見た模式的斜視図であり、図20は図17中のキャリッジカバー30の模式的斜視図である。図21は図17中の調整レバー33を斜め上から見た模式的斜視図であり、図22は図21の調整レバー33を斜め下方から見た模式的斜視図であり、図23は図17中の調整レバー33の模式的側面図である。
図18において、キャリッジ6に形成された面61は記録手段3の上部に設けられた記録媒体搬送方向(前後方向)の位置決め面(突き当て面)と圧接する面であり、キャリッジ6に形成された面62は記録手段3の下部に設けられた鉛直方向(上下方向)の位置決め面と圧接する面である。キャリッジ6に形成された面63は記録手段3の記録媒体搬送方向(前後方向)の位置決め面と圧接する面であり、キャリッジ6に形成された面64は記録手段3の主走査方向(左右方向)の位置決め面と圧接する面である。図18及び図19において、キャリッジ6の左右に形成された穴65はセットレバー32の左右の回動中心となるボス部32a(図25)を回動可能に軸支するための軸受穴であり、キャリッジ6の左右に形成された穴66はキャリッジカバー30の左右のボス部30e(図20)と嵌合して該キャリッジカバー30をキャリッジ6に固定するためのカバー取り付け穴である。
キャリッジ6の上部には調整レバー33を水平方向にスライド可能に装着するためのカム部67が設けられている。調整レバー33は、カム部67に係合させるとともにキャリッジカバー30をキャリッジ6に被せる(キャリッジ6に取り付ける)ことにより、摺動可能に保持される。つまり、調整レバー33は両矢印X(図17)方向にスライド可能に装着されている。
図24は調整部材33とカバー部材30の開口部301の係止部との位置関係を示す模式的部分断面図である。図25はキャリッジ6とシャーシ210の第1、第2及び第3のガイド部211、212、213とカバー部材30と調整部材33との組み付け状態を示す縦断面側面図であり、図26は図25中のS部分を拡大して示す縦断面側面図である。図27は調整部材33の摺動ボス(位置決めボス)334、335とキャリッジ6のカム部67のカム面671との位置関係を示す模式的平面断面図である。
図28は第1の実施形態の非記録領域における第1のガイドレール211の近傍の構成を記録装置の前面側から見た模式的斜視図であり、図29は図28に示す部分を記録装置の背面側から見た模式的斜視図である。図30は第1の実施形態における隙間ポジションA(薄紙ポジション)でのキャッピング状態における調整レバー33の摺動部333及びキャリッジ6上部の摺動部(摺動ボス)68とシャーシ210との位置関係を示す模式的平面断面図であり、図31は第1の実施形態における隙間ポジションB(厚紙ポジション)でのキャッピング状態における調整レバー33の摺動部333及びキャリッジ6上部の摺動部(摺動ボス)68とシャーシ210との位置関係を示す模式的平面断面図である。
図17〜図31において、キャリッジ6の上部の一部には、摺動部(摺動ボス)68が設けられており、シャーシ210には第3のガイド部(第3のガイドレール)213が一体に設けられており、摺動部68はキャリッジ6の主走査方向移動範囲の非記録領域において第3のガイド部213と摺動可能に構成されている。キャリッジカバー30には、調整レバー33の操作レバー部331をキャリッジ6の内部へ突出させるための開口部301が形成されている。この開口部301の一部(本実施形態では左右2箇所)には、係止部301a、301bが形成されている。
また、調整レバー33の、前記開口部301との嵌合部にはリブ状の固定部(ストッパ部)332が形成されている。そして、このストッパ部332が係止部301a、301bに入り込むように構成されている。調整レバー33は、操作者が隙間調整するための操作部(操作レバー部)331と、前記係止部301a、301bと係合可能なストッパ部332と、シャーシ210の第1のガイドレール(第1のガイド部)211の垂直面に摺動可能に当接する摺動部333とを備えている。
調整レバー33は、さらに、キャリッジ6のカム部67のカム面671と摺動可能に当接するように左右2箇所に設けられた位置決めボス334、335と、該位置決めボス334、335のそれぞれとカム部67を挟んで対向する位置に設けられたガイドボス336、337と、キャリッジ6の上部に設けられた略水平方向の位置決め面69と摺動可能に当接する略水平方向の位置決め面338と、を備えている。調整レバー33のストッパ部332は、図24に示すように、キャリッジカバー30の開口部301の係止部301a又は301bに入り込むことで、調整レバー33の矢印X方向の移動を防止するとともに隙間調整位置を規制している。また、キャリッジ6及び記録手段3の自重により、ストッパ部(固定部)332がキャリッジカバー(カバー部材)30の係止部301a、301bに対し食い込む方向に押圧されるように構成されており、これによって、調整レバー33が矢印X方向に勝手に移動することを確実に防止している。
本実施形態では、図24において、調整レバー33を図示左側へスライドさせてストッパ部332を図示左側の係止部301aに係合させた位置33Aが、普通紙などの薄紙の隙間ポジションPAのときに調整レバー33がセットされる位置である。一方、調整レバー33を図示右側へスライドさせてストッパ部332を図示右側の係止部301bに係合させた位置33Bが、封筒などの厚紙の隙間ポジションPBのときに調整レバー33がセットされる位置である。また、調整レバー33が隙間ポジションPAと隙間ポジションPBとの間に位置するときは、キャリッジカバー33のストッパ部332がキャリッジカバー30の開口部301のガイド部301cにより押し下げられるように構成されている。
調整レバー33を薄紙に記録するための隙間ポジションPAから厚紙に記録するための隙間ポジションPBへ動かすとき、該調整レバー33のストッパ部332は、キャリッジカバー30の係止部301aからガイド部301cへ向かう斜面に沿って図24中の矢印Vで示す方向に移動する。そして、ストッパ部332は、ガイド部301cに沿って摺動するときは、図示のように係合部301a、301bに係合しているときよりも若干低い位置に押し付けられている。すなわち、調整レバー33がキャリッジ6に対して固定あるいは解除される際には、該調整レバー33のストッパ部332が矢印Vで示すようにキャリッジ6の移動方向を略法線とする略円弧状軌跡を描いて揺動する。
その際、ストッパ部332は、キャリッジカバー30のガイド部301cに沿って移動し、キャリッジカバー30の係止部301bまで移動したところで、キャリッジ6及び記録手段3の自重によりキャリッジカバー30の係止部301bに食い込むため、調整レバー33は矢印X方向(図17、図27)の所定位置(隙間ポジションPB)に固定される。調整レバー33を厚紙に記録するための隙間ポジションPBから薄紙に記録するための隙間ポジションPAへ動かすときも同様であり、調整レバー33は同様にして隙間ポジションPAに固定される。調整レバー33の位置決めボス334、335は、キャリッジ6の上部のカム部67のカム面671に摺動可能に当接(係合)し、前述のようにキャリッジ6に対し摺動可能(スライド可能)に保持される。
調整レバー33には、位置決めボス334、335に対してカム部67を挟んで対向する位置にガイドボス336、337は設けられている。図25及び図26に示すように、調整レバー33の水平方向の位置決め面338はキャリッジ6及び記録手段3の自重によりキャリッジ6の水平方向の位置決め面69と当接し、同時に、調整レバー33の摺動部333はシャーシ210と一体的に形成された第1のガイドレール211と当接している。これらによって、キャリッジ6及び記録手段3の姿勢が正しく規制され、調整レバー33をキャリッジ6に対して円滑に摺動させることができる。
調整レバー33のガイドボス336、337は、位置決めボス334、335に対してカム部67を挟んで対向する位置に設けられている。図25及び図26に示すように、調整レバー33の水平方向の位置決め面338はキャリッジ6及び記録手段3の自重によりキャリッジ6の水平方向の位置決め面69と当接し、同時に、調整レバー33の摺動部333はシャーシ210と一体的に形成された第1のガイドレール211と当接している。これらによって、キャリッジ6及び記録手段3の姿勢が正しく規制されるとともに、調整レバー33をキャリッジ6に対して円滑に摺動させることができる。
図27にはキャリッジ6のカム部67と摺動する調整部材(調整レバー)33の摺動ボス(位置決めボス)334、335の位置関係が示されている。図27において、調整レバー33を矢印X方向にスライドさせると、該調整レバー33の位置決めボス334、335はカム部67のカム面671に従って移動する。これによって、第1のガイド部(第1のガイドレール)211と摺動する摺動部333は、キャリッジ6に対して図中の矢印Y方向へ相対的に変位する。そのため、調整レバー33をスライドさせることにより、第2のガイド部(第2のガイドレール)212との当接点601を中心としてキャリッジ6が回動し、その結果として、キャリッジ6に搭載された記録手段3の吐出口面81と記録媒体の表面との間隔(隙間)を変化させることができる。
図27において、カム部67のカム面671の部位671aは前記隙間ポジションPA(普通紙などの薄紙ポジション)に対応しており、カム面671の部位671bは前記隙間ポジションPB(封筒などの厚紙ポジション)に対応している。また、334A、335Aは調整レバー33の位置決めボス334、335が前記カム面の部位671aに当接する位置を示し、334B、335Bは位置決めボス334、335が前記部位671bに当接する位置を示す。同様に、336A、337Aはガイドボス336、337が前記カム面671の部位671aに対向する位置を示し、336B、337Bはガイドボス336、337が前記部位671bに対向する位置を示す。そして、これらの位置では、調整部材33の固定部(ストッパ部)332がキャリッジ6側の係止部301a及び係止部301bに入り込むようになっている。
図1に示すように、キャリッジ6の移動範囲内であって記録領域を外れた非記録領域においては、装置本体のベース部13に回復ユニット204が配設されている。非記録領域におけるシャーシ210の第1のガイド部211の近傍を装置本体の前面側及び背面側から見た図28及び図29、並びに、薄紙ポジションA及び厚紙ポジションBでのキャッピング状態における調整レバー33の摺動部333とキャリッジ6の摺動部68及びシャーシ210の第1のガイドレール211との位置関係を示す図30及び図31において、第1のガイドレール211の非記録領域の部分には、キャリッジ6が進入してきたときに調整レバー33の摺動部333から離間する方向に避けるような逃げ部211aが形成されている。
前記第1のガイドレール211の逃げ部211aと、調整レバー33の摺動部333を挟んで対向する位置には、シャーシ210と一体に第3のガイドレール(第3のガイド部)213が設けられている。第3のガイドレール213は、キャリッジ6の上部の摺動ボス68と摺動可能に当接している。シャーシ210と一体に形成された第1のガイドレール211の逃げ部211aと第3のガイドレール213は、調整レバー33の摺動部333とキャリッジ6上部の摺動ボス68とが同時に逃げ部211aあるいは第3のガイドレール213と当接しないように、その間に所定のクリアランスを設けて配置されている。
この逃げ部211aと第3のガイドレール213との間のクリアランスは、調整レバー33が普通紙などの薄紙ポジション(隙間ポジションA)あるいは封筒などの厚紙ポジション(隙間ポジションB)のどちらのポジションにある場合でも、調整レバー33の摺動部333とキャリッジ6の上部の摺動ボス68とが、第1のガイドレール211の逃げ部211aおよび第3のガイドレール213の両方に、同時に当接しないように構成されている。
次に、キャリッジ6が非記録領域に移動し、キャリッジ6および記録手段3が回復ユニット204に進入した際の、キャッピング動作及びキャリッジ6の姿勢について説明する。キャリッジ6が非記録領域に移動すると、前述のように回復ユニット204にキャリッジ6が進入するため、キャリッジ6がキャップスライダ7の突き当て部7aに当接する。さらにキャリッジ6が移動を続けると、キャリッジ6の動作に連動してキャップスライダ7も図14中の矢印U方向へ移動する。このとき、キャップスライダ7はキャップスライダ制御用カム面13b、13cに沿って徐々に記録手段3へ向かって図14中の矢印W方向へも移動する。キャップスライダ7にはキャップホルダ2を介してキャップ1が設けられているため、記録手段3の吐出口面81に対しキャップ1が徐々に近づいていく。
キャリッジ6の移動が進み、キャップ1が記録手段3の吐出口面81に当接する前の段階で、調整レバー33の摺動部333は第1のガイドレール211の逃げ部211aに進入し、キャリッジ6はやや隙間が狭くなる方向(装置の手前におじぎをする方向)へ第2のガイドレール212との当接点を中心として回動する。また、キャリッジ6の移動に対して、ほぼ同時、あるいは直後に、第3のガイドレール213とキャリッジ6上部の摺動ボス68は互いに摺動可能となっている。さらに、キャリッジ6の移動が進むと、キャップ1は記録手段3の吐出口面81に当接する(図12)。キャップ1が記録手段3の吐出口面81に当接すると、キャップ1を搭載したキャップホルダ2はキャップばね4(図5)から反力を受けるため、キャップ1は記録手段3を押し上げる方向に圧接する。そのため、キャリッジ6及び記録手段3はキャップ1から圧接を受け、キャリッジ6は隙間が広くなる方向へ第2のガイドレール212との搭載点を中心として回動する。
このとき、キャリッジ6の上部の摺動ボス68は第3のガイドレール213に当接し、それによって、キャリッジ6及び記録手段3は、キャップ1からの圧接力に抗して、第2のガイドレール212との当接点周りの回転方向(図25中の矢印R方向)に支持され、姿勢を決められている。このため、キャップ1は、記録手段3の吐出口面81に対し、安定したキャッピングを行うことができる。記録手段3にキャップ1から圧接力を受けながらキャリッジ6が移動するとき、キャリッジ6上部の摺動ボス68は第3のガイドレール213と摺動し、キャリッジ6は一定の姿勢を保ったまま移動することになる。そして、キャリッジ6はやがてキャッピング位置に到達する。このときのキャリッジ6の姿勢は、記録範囲において調整レバー33が隙間ポジションA(普通紙などの薄紙ポジション)にあるときの姿勢とほぼ同じであり、記録手段3の吐出口面81はプラテン225の上面あるいは該プラテン225の上面に沿って搬送される記録媒体とほぼ平行である。
図30は、薄紙用の隙間ポジションAでのキャッピング状態における調整レバー33の摺動部333及びキャリッジ6上部の摺動部68とシャーシ210との関係を示す図であり、図31は、厚紙用の隙間ポジションBでのキャッピング状態における調整レバー33の摺動部333及びキャリッジ6上部の摺動部68とシャーシ210との関係を示す図であるが、これらの図に示すように、キャッピング位置でのキャリッジ6の姿勢は調整レバー33の調整位置(隙間ポジション)に関わらず一定となっている。すなわち、本実施形態においては、キャリッジ6の移動方向で回復ユニット204が配設される非記録領域に対応する位置に前記第3のガイド部213が配置されており、この第3のガイド部213は、調整部材33により確定(規定)されるキャリッジ6の姿勢に関わらず、該非記録領域におけるキャリッジ6の姿勢を一定に保持するためのカム形状213aを備えている。
キャリッジ6がキャッピング位置よりも図14中の矢印U方向(図30及び図31における両矢印Xの右向き方向)に移動すると、キャップホルダ2は図15に示すようにキャップ1の搬送方向下流側の一端を開放するように軸部2cを中心に回動する。そして、キャリッジ6が図13に示すキャップ一端開放位置まで移動すると、キャップホルダ2のキャップ開放カム面2dの水平部が当接するようになっている。このとき、キャリッジ6上部の摺動部68は第3のガイド部(第3のガイドレール)213と摺動し、キャリッジ6の姿勢は一定となっている。そのため、キャップ1の一端における該キャップ1と記録手段3の吐出口面81との隙間(開放量)を一定に保つことができる。
このときのキャリッジ6の姿勢は、前述のキャッピング位置と同様、調整レバー33の隙間ポジション(調整位置)に関わりなく一定となっている。すなわち、非記録領域におけるキャリッジ6の一定の姿勢は、調整部材33の摺動部333が第1のガイド部211(その逃げ部211a)から離間するとともに、キャリッジ6の上部に設けられた摺動部68が第3のガイド部213のカム形状213aと摺動可能に当接することにより規定(確定)されている。この際のキャリッジ6の姿勢は、記録領域における記録手段3と記録媒体との距離(隙間)が最小となるときの該キャリッジ6の姿勢とほぼ同一になるように構成されている。