JP4268246B2 - 楕円振動切削装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば、鋼材等の被削材に対して切削工具を相対的に楕円振動させながら前記被削材を前記切削工具で切削する楕円振動切削方法及び楕円振動切削装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、鋼材等の被削材を所要の形状に加工するために、前記被削材を通常切削法にて切削することが行われている。
即ち、前記被削材に対してバイト等の切削工具を相対的に一定の方向に進行させることにより、前記被削材の所定量を切削するようにしている。
この通常切削法は、前記被削材の摩擦抵抗力(切削抵抗力)が増加して被削性が悪いので、前記切削工具の進行前方で切削されて形成される切屑が前記切削工具に押圧されて厚くなる。
なお、鋼材等の鉄系材料を超精密加工用のダイヤモンド工具で通常切削した場合、前記ダイヤモンド工具と鉄系材料とが常時接触することになるので、前記接触部分に(摩擦)熱が発生して高温高圧の雰囲気下となることにより、また、前記ダイヤモンド工具(炭素)と鉄系材料とが化学的親和性があるので、前記した鉄系材料に炭素が拡散することにより、前記したダイヤモンド工具が非常に磨耗し易く、前記ダイヤモンド工具で前記鉄系材料を超精密切削加工することができない。
【0003】
従って、図8・図9に示す楕円振動切削装置51を用いて楕円振動切削することが検討されている。
この装置51においては、切削抵抗力を減少させることができるように構成されると共に、間欠切削することにより切削工具への熱伝導を減少させることができるように構成され、また、前記切削工具に冷却期間を設けることができるように構成されると共に、前記ダイヤモンド工具で前記鉄系材料を超精密切削加工することができるように構成されている。
即ち、図8・図9に示す装置51には、鋼材等の被削材52を切削する切削工具53と、前記切削工具53を楕円振動させる楕円振動子54と、前記楕円振動子54を支持する支持部材55と、前記支持部材55を設置する基台56とから構成されると共に、前記した楕円振動子54は、前記楕円振動子54の中央部に設けた四角柱形の胴体部57と、前記四角柱形胴体部57の両端側に各別に突設された(一段ホーン形の)ステップホーン部58とから構成され、前記した四角柱形胴体部57の一端側に突設されたステップホーン部58には前記した切削工具53を取付ける取付部64が設けられている。
また、前記装置51には、前記楕円振動子54に楕円振動(たわみ振動)を発生させる圧電素子(61・62)と、前記圧電素子(61・62)に所定の正弦波状電圧を各別に入力して駆動する制御機構63とが設けられると共に、前記四角柱形胴体部57の側面における水平面59と垂直面60とは前記した圧電素子(61・62)を取付ける圧電素子の取付面(平面)となるものである。
また、前記制御機構63から前記水平面59の圧電素子61及び前記垂直面60の圧電素子62に、例えば、周波数が同じで位相差が90度となる正弦波状電圧を各別に入力して駆動することにより、前記した支持部材55(55a) と支持部材55(55b) とを振動の支持点として前記楕円振動子54に互いに垂直となる二方向(図9に示す図例では上下方向及び左右方向)にたわみ振動を発生させて前記楕円振動子54で楕円振動を合成することができる。
即ち、前記楕円振動子54が楕円振動することにより、前記した取付部64に設けられた切削工具53(の刃先)が楕円振動の軌跡を描くことができるように構成されている。
従って、前記装置51において、前記切削工具53で前記被削材52を楕円振動切削することができるように構成されると共に、前記楕円振動子54にて電気的エネルギー(正弦波状電圧)を機械的エネルギー(たわみ振動及び楕円振動)に変換することができるように構成されている。
【0004】
なお、図8において、前記両支持部材(55a・55b) 間の距離M間における振動の腹は三つである。
また、前記ダイヤモンド工具で前記鉄系材料を楕円振動切削した場合、切削抵抗力を減少させることができ、且つ、間欠切削にて切削工具への熱伝導を減少することができると共に、切削工具に冷却期間を設けることができ、前記鉄系材料を前記ダイヤモンド工具で超精密加工することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記楕円振動子54がたわみ振動(楕円振動)した場合、前記した四角柱形胴体部57に角部が存在するために、前記角部で前記した二方向のたわみ振動を大きく干渉(阻害)する(大きな歪みが発生する)ことになるので、前記した角部による干渉量に対応して前記楕円振動子54におけるエネルギー損失が大きくなり、所望の楕円振動の軌跡を得ることが難しい。
従って、前記四角柱形胴体部57を備えた楕円振動子54では、前記切削工具53が描く楕円振動の軌跡を大きくすることができず、前記切削工具53が前記被削材52を切削する被削性が悪いと云う問題がある。
即ち、前記四角柱形胴体部57を備えた楕円振動子54では、電気的エネルギーを機械的エネルギーに効率良く変換することができないと云う問題がある。
【0006】
従って、本発明は、楕円振動子を備えた振動切削装置において、前記楕円振動子が楕円振動させる切削工具が描く楕円振動の軌跡を大きくすると共に、前記切削工具が前記被削材を切削する被削性を向上させることを目的とする。
また、本発明は、電気的エネルギーを機械的エネルギーに効率良く変換し得て被削材を効率良く楕円振動切削することができる楕円振動切削装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記した技術的課題を解決するための本発明に係る楕円振動切削装置は、切削工具を楕円振動させる楕円振動子を備えると共に、前記切削工具を被削材に対して相対的に楕円振動させながら切削方向に移動させることによって切削を行う楕円振動切削装置であって、前記楕円振動子の中央部に設けた円柱状胴体部と、前記楕円振動子における円柱状胴体部の両端側に各別に突設した楕円振動増幅用のステップホーン部と、前記ステップホーン部における前記円柱状胴体部に設けた円柱形の大ホーンと、前記大ホーンに設けた円柱形の小ホーンと、前記した楕円振動を追尾する追尾機構と、前記追尾機構による追尾結果に基づいて前記楕円振動を微調整するフィードバック機構と、前記した楕円振動子の両大ホーンをたわみ振動の節の位置で支持する支持部材と、前記円柱状胴体部に設けたたわみ振動発生用の水平面圧電素子と、前記した円柱状胴体部に設けたたわみ振動発生用の垂直面圧電素子とから構成すると共に、前記した水平面圧電素子と垂直面圧電素子とによって発生するたわみ振動にて前記した切削工具に切削方向の振動と背分力方向の振動とで合成される楕円振動の軌跡を発生させることを特徴とする。
【0008】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る楕円振動切削装置は、前記した切削工具を、たわみ振動の腹の位置に設けて構成したことを特徴とする。
【0009】
【作用】
本発明によれば、楕円振動切削装置に設けられた楕円振動子の中央部に円柱状胴体部を設けて構成したので、従来の四角柱形胴体部を備えた楕円振動子を用いる構成に較べて、前記円柱状胴体部を備えた楕円振動子が楕円振動するとき、前記した楕円振動が干渉する干渉量を低減し得て所望の軌跡を得ることが容易になり、前記楕円振動子の一端側に設けられた切削工具(の刃先)が描く楕円振動の軌跡を大きくすることができる。
従って、従来例に較べて、電気的エネルギー(正弦波状電圧)を効率良く機械的エネルギー(楕円振動)に変換することができる。
なお、前記した楕円振動が干渉する干渉量を低減し得て所望の軌跡を得ることが容易になるので、前記円柱状胴体部を備えた楕円振動子が楕円振動するとき、二方向のたわみ振動を独立して(各別に)フィードバック制御することが可能になる。
【0010】
【実施例】
以下、本発明を実施例図に基づいて詳細に説明する。
図1・図2は、本発明に係る楕円振動切削装置である。
【0011】
即ち、図1・図2に示す楕円振動切削装置1には、鋼材等の被削材5を切削するバイト等の切削工具6と、前記切削工具6(の刃先)を楕円振動させる楕円振動子2(振動部材)と、前記楕円振動子2を支持する支持部材3と、前記支持部材3を設置する基台4とが設けられて構成されると共に、前記楕円振動子2の一端側には前記切削工具6を取り付ける切削工具の取付部20が設けられて構成されている。
また、前記した楕円振動子2の中央部には円柱状の胴体部7が設けられると共に、前記した胴体部7の両端側には楕円振動増幅用の(二段ホーン形の)ステップホーン部8(ツーステップホーン形)が各別に突設されて構成されている。
また、前記ステップホーン部8は前記円柱状胴体部7に設けられた円柱形の大ホーン12と、前記大ホーン12に設けられた円柱形の小ホーン13とから構成されると共に、前記楕円振動子2における一方側のステップホーン部8(円柱形小ホーン13)に前記取付部20が設けられることになる。
また、図1に示すように、前記した支持部材3(3a)と支持部材3(3b)とに前記両ステップホーン部8(図例では、前記円柱形大ホーン12)を各別に貫通させた状態で、前記楕円振動子2を支持することができるように構成されると共に、前記した支持部材3(3a)と支持部材3(3b)と距離をLで構成されている。
【0012】
また、前記楕円振動子2の円柱状胴体部7には、該楕円振動子2に楕円振動を発生させる楕円振動発生用の圧電素子(9・10) が所要数(図例では四個)設けられると共に、前記した円柱状胴体部7の側面には前記圧電素子(9・10) を取付する圧電素子取付面(平面)として水平面14と垂直面15とが(互いに垂直状態に位置して)設けられて構成されている。
従って、図1・図2に示すように、前記水平面14には圧電素子9が設けられると共に、前記垂直面15には圧電素子10が設けられて構成されることになる。
また、前記した各圧電素子(9・10)を各別に駆動させるために、前記各圧電素子(9・10)に所定の正弦波状電圧を各別に入力して制御する圧電素子駆動制御用の制御機構11が設けられて構成されると共に、前記した制御機構11にて前記した各圧電素子(9・10) を各別に駆動して前記楕円振動子2に楕円振動(たわみ振動)を発生させることができるように構成されている。
また、前記制御機構11は、前記した各圧電素子(9・10) に、所定の周波数と所定の振幅及び所定の位相(所定の位相差)とを備えた正弦波状電圧を各別に入力することができるように構成されている。
なお、前記した装置1において、前記した楕円振動子2と圧電素子(9・10) と制御機構11と支持部材3とから前記切削工具6を楕円振動させる楕円振動手段が構成されることになる。
【0013】
即ち、前記水平面圧電素子9に前記制御機構11から所定の正弦波状電圧を入力することにより、前記支持部材3を支持点として前記楕円振動子2にY方向(上下方向)にたわみ振動が発生するように構成されると共に、前記垂直面圧電素子10に前記制御機構11から前記水平面圧電素子9に入力される正弦波状電圧とは所定の位相差(例えば、90度)を有する正弦波状電圧を入力することにより、前記支持部材3を支持点として前記楕円振動子2にX方向(左右方向)にたわみ振動が発生するように構成されている(図2参照)。
従って、前記水平面圧電素子9によるたわみ振動と前記垂直面圧電素子10とによるたわみ振動とを合成して前記楕円振動子2の取付部20に楕円振動を発生させることができると共に、前記楕円振動子2から前記切削工具6に前記楕円振動を伝達することにより、前記切削工具6の刃先が楕円振動の軌跡16(図2)を描いて楕円振動することができる(前記切削工具6の刃先が楕円振動の軌跡を描いて回転することになる)。
なお、前記した楕円振動子2における楕円振動は、前記圧電素子9によるたわみ振動と前記圧電素子10によるたわみ振動と(図2に示す図例ではX方向とY方向との二方向のたわみ振動)を機械的に共振させることによって合成されるものである。
【0014】
即ち、前記した装置1において、まず、前記圧電素子(9・10) に前記制御機構11から所定の位相差を有する正弦波状電圧を各別に入力して駆動することにより、前記圧電素子(9・10) に各別に対応して前記楕円振動子2にたわみ振動を発生させると共に、前記圧電素子(9・10) によるたわみ振動を合成することにより、前記楕円振動子2の取付部20に楕円振動を発生させて前記切削工具6を楕円振動させ、次に、前記切削工具6にて前記被削材5を楕円振動切削することができる。
【0015】
また、図例では、前記円柱状胴体部7の側面には前記した圧電素子取付用の面として二つの水平面14と二つの垂直面15とが設けられて構成されると共に、前記した各面には前記圧電素子(9・10)が各別に設けられて構成されている(圧電素子が四個)。
この場合、前記した二つの水平面14に設けられた圧電素子9(或いは、前記した二つの垂直面15に設けられた圧電素子10)は、前記楕円振動子2を同じ方向にたわみ振動させるように構成されている。
また、前記圧電素子(9・10) による楕円振動子2をたわみ振動させる力は、前記圧電素子(9・10) が前記楕円振動子2に取付する面積に比例するので、前記圧電素子(9・10) の楕円振動子2に取付する面積が増加すると、前記楕円振動子2をたわみ振動させる力が増加することになる。
なお、前記支持部材3の位置は前記楕円振動子2に発生するたわみ振動の節(支持点)となると共に、前記切削工具6(前記取付部20)は、例えば、前記したたわみ振動の腹の位置に設けられるように構成されている。
【0016】
また、図3に示すように、前記した被削材5を切削方向Aに所定の切削速度(m/min )で移動させて前記被削材5を前記切削工具6で切削できるように構成されている。
また、図3に示すように、3種類の方向があり、前記切削方向Aと同じ方向の主分力方向B、送り分力方向C、背分力方向Dの3種類である。
また、図4に示すように、前記切削工具6による楕円振動切削時に、前記切削工具6の先端は前記楕円振動子にて形成される周期的な楕円振動の軌跡17にしたがって楕円振動することにより、前記切削工具6で前記被削材5における所定の切取り厚さ18を切削して前記被削材5を切削することになる。
なお、前記切削工具6の楕円振動は、前記した主分力方向Bの速度成分と、前記した背分力方向Dの速度成分を有している。
【0017】
次に、図4を用いて、前記切削工具6で前記被削材5における所定の切取り厚さ18を切削する楕円振動切削を説明する。
即ち、図4に示すように、まず、前記した楕円振動の軌跡17にしたがって、前記切削工具6で前記被削材5を前記主分力方向B(図例では左方向)に切削すると共に、前記切削工具6を前記被削材5から前記背分力方向D(図例では上方向)に離す。
このとき、前記被削材5から切削された切屑19を前記切削工具6で前記背分力方向D(図例では上方向)に引き上げることによって前記切屑19が切屑流出方向Eに流出することになるので、摩擦抵抗力が減少或いは反転(負の摩擦抵抗力)することになる。
従って、前記した切削工具6に対する前記被削材5の切削抵抗力が低減すると共に、前記切削工具6の切削加工力を減少し得て被削性が良好となる。
また、次に、前記した切削工具6を前記切屑19から前記主分力方向B(図例では右方向)に離すと共に、前記切削工具6を前記被削材5側へ前記背分力方向D(図例では下方向)に移動させる。
従って、前記切削工具6を前記楕円振動の軌跡17にしたがって周期的に振動させることにより、前記被削材5を楕円振動切削することができるように構成されている。
なお、前述した前記楕円振動による切削は、通常切削に較べて、切屑の厚さが低減されること、切削抵抗力の低減、焼き入れ鋼の鏡面加工が可能であること、更に、切削工具寿命が延命されること、加工形状精度が向上すること、ばりが抑制されること、ひびり振動が防止されること、切削熱が低減されること等の利点がある。
【0018】
また、前記被削材5から切削される切取り厚さ18を一定とした場合、前記した楕円振動の軌跡(17)が大きいほど、前記被削材5から切削除去される単位時間当たり除去量は大きくなる。
また、前記した楕円振動の軌跡(17)の大きさは、振動速度(1分間に移動する楕円振動の軌跡の長さ:m/min )で示される。
また、振動速度と切削速度との比を速度比(振動速度/切削速度)と云う。
なお、図4に示すθはせん断角を示すと共に、前記せん断角θは切削工具による被削材の被切削性の指標であって、前記せん断角θが大きくなると前記被削材の被削性が良くなる。
【0019】
また、図1・図2に示す楕円振動切削装置1において、前記制御機構11から所定の周波数及び所定の位相等を備えた正弦波状電圧を前記した圧電素子(9・10) に入力することにより、前記切削工具6に所定の周波数(周期)及び振動速度を備えた楕円振動を発生させることができるように構成されている。
例えば、前記した楕円振動切削に用いられる楕円振動の周波数を超音波領域の周波数(人間の耳で聞こえない音波領域、例えば、17KHz以上)に設定して楕円振動切削することができる。
なお、図5・図6・図7には、図1・図2に示す本発明の装置1による楕円振動切削の結果が示されると共に、図10には、図8・図9に示す従来の装置51による楕円振動切削の結果が示されている。
また、図5・図6・図7及び図10において、切削加工具における楕円振動の周波数は約20KHz、圧電素子に入力される正弦波状電圧は200Vで行われると共に、図1・図2に示す本発明の装置1に用いられる圧電素子(9・10) の取付面積と、図8・図9に示す従来の装置51に用いられる圧電素子(61・62)の取付面積とは、同じ面積になるように構成され、前記圧電素子としては、PZT型のものが用いられて構成されている。
【0020】
また、図5には、図1・図2に示す本発明の装置1における楕円振動の軌跡が示されると共に、図10には、図8・図9に示す従来の装置51における楕円振動の軌跡が示されている。
また、図5に示す本発明の楕円振動の軌跡は、図10に示す従来の楕円振動の軌跡に較べて、同じ入力電圧200Vにおいて、その軌跡は大きく形成されると共に、本発明の振動速度は約60m/min と従来の振動速度約30m/min と較べて、約2倍である。
即ち、前記した円柱状胴体部7を備えた楕円振動子2を有する楕円振動切削装置1を用いることによって、前記楕円振動子の楕円振動(たわみ振動)時における干渉量を低減し得てエネルギー損失を低減することができる。
従って、前記楕円振動子2が楕円振動させる切削工具6が描く楕円振動の軌跡(16)を大きくすることができると共に、前記切削工具6が前記被削材5を切削する被削性を向上させることができる。
また、前記楕円振動の軌跡(16)を大きくなるので、振動速度を大きくし得て切削速度を大きくすることが可能になり、単位時間当たりの除去量を増加させることができる。
また、前記した円柱状胴体部7を備えた楕円振動子2を有する楕円振動切削装置1を用いることによって、従来の装置51に較べて、電気的エネルギーを効率良く機械的エネルギーに変換することができる。
【0021】
なお、ダイヤモンド工具で鉄系材料を楕円振動切削する場合、前記した楕円振動切削は間欠切削であるので、切削工具への熱伝導を減少し得て前記ダイヤモンド工具と鉄系材料とが接触する部分に発生する熱を効率良く低減することができると共に、前記した鉄系材料に炭素が拡散することを防止し得て前記ダイヤモンド工具の磨耗を効率良く防止することができる。
従って、図1・図2に示す楕円振動切削装置1をおいて、前記ダイヤモンド工具で前記鉄系材料を超精密切削加工することができる。
【0022】
また、前記した円柱状胴体部7を備えた楕円振動子2を有する楕円振動切削装置1は、楕円振動の軌跡を大きくするために、たわみ振動(楕円振動)を大きくすることができる構成であるので、前記振動子2における振動の節間の距離を大きくすることができる。
従って、前記振動の節の位置を支持する両支持部材(3a・3b)間の距離Lは、前記従来の支持部材間(55a・55b)の距離Mより大きく(広く)なる(L>M)。
なお、前記楕円振動切削装置における振動の腹は、通常、三つであるが、前記した両支持部材(3a・3b)を振動の節の支持点として前記した振動の腹を五つとする構成を採用することができる。
【0023】
また、前述したように、前記楕円振動子2に設けられたステップホーン部8は前記した円柱形大ホーン12と円柱形小ホーン13とから成る二段ホーン形で構成されると共に、前記圧電素子にて前記円柱形胴体部7に発生する楕円振動の軌跡を前記ステップホーン部8で大きくすることができるように構成されている。
即ち、前記ステップホーン部8において、大ホーン12に対して断面積比率(小ホーンの断面積/大ホーンの断面積)の小さい小ホーン13を一段目の大ホーン12に二段目として設けることにより、楕円振動の軌跡を大きくすることができるように構成されている。
従って、前記ステップホーン部8の先端側を前記円柱形大ホーン12より断面積の小さい小形の小ホーン13で形成する二段ホーン形に構成したので、従来の一段形に較べて、前記小形の小ホーン13部分において、楕円振動が干渉する干渉量を低減し得て楕円振動の軌跡を大きくすることができる。
【0024】
また、前述した実施例では、前記ステップホーン部8を前記した大ホーン12と小ホーン13とからなる二段形ホーンの構成を例示したが、前記ステップホーン部を所要の多段ホーン形で構成することができる。
即ち、前記楕円振動子の円柱状胴体部(の両端)に設けた一段目のホーンに前記一段目ホーンの断面積より小さい二段目のホーンを設け、更に、前記二段目ホーンの断面積より小さい三段目のホーンを設けると云ったホーンに前記ホーンより小さな断面績のホーンを順次に連設して(連続して設けて)構成した多段ホーン形を採用することができる。
従って、前記ステップホーン部におけるホーンに前記ホーンより小さな断面績のホーンを順次に連設することにより、前記ステップホーン部の先端側に設けられたホーンにおいて、楕円振動が干渉する干渉量を低減し得て楕円振動の軌跡を大きくすることができる。
【0025】
なお、前記した実施例では、前記ステップホーン部を円柱形ホーンで構成する実施例を例示したが、前記ホーンを適宜な形状に形成することができ、例えば、前記ホーンを八角柱形等の角柱形で形成することができる。
【0026】
また、図6は、図1・図2に示す楕円振動切削装置1による楕円振動切削における速度比(振動速度/切削速度)と切削抵抗力との関係を示すグラフである。 即ち、図6において、速度比が増加するにしたがって切削抵抗力が減少していることを示している。
例えば、切削速度を一定にして振動速度を増加させた場合、切削抵抗力が減少することを示すと共に、振動速度を増加することにより、被削材から切削される切屑を切削工具で引き上げる力が増加して摩擦抵抗力が減少することを示し、その結果、切削抵抗力が減少することを示している(図4参照)。
【0027】
また、図7は、図1・図2に示す楕円振動切削装置1による楕円振動切削における速度比(振動速度/切削速度)とせん断角(図4参照)との関係を示すグラフである。
即ち、図7において、速度比が増加するにしたがってせん断角が増加していることを示している。
例えば、切削速度を一定にして振動速度を増加させた場合、せん断角が増加することを示すと共に、振動速度を増加させることにより、前記切屑を排出する効果を促進することができるので、被削材を切削する被削性が良好になることを示している(図4参照)。
【0028】
本発明は、前述した実施例のものに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意に且つ適宜に変更・選択して採用できるものである。
【0029】
また、前記した実施例において、前記楕円振動子2の両側(前記両ステップホーン部8)に前記した切削工具6の取付部20を各別に設ける構成を採用することができる。
【0030】
また、前記した実施例において、前記した楕円振動子に八角柱形胴体部を設ける構成を採用してもよい。
【0031】
また、前記円柱状胴体部7の側面には前記した圧電素子取付面として一つの水平面14と一つの垂直面15とを設けて構成すると共に、前記した一つの水平面14に圧電素子9(9a)を、また、前記した一つの垂直面15に圧電素子10(10a) を設ける構成を採用しても差し支えない(圧電素子が二個)。
この場合、前記した一つの水平面14に設けられる圧電素子9aの取付面積(或いは、一つの垂直面15に設けられる圧電素子10a の取付面積)を、図1・図2に示す実施例と同じにすれば、図1・図2に示す実施例と同等の作用効果を得ることができる。
【0032】
また、前記した実施例では、前記楕円振動子2の円柱状胴体部7の側面に設けられる圧電素子取付用の面として互いに垂直状態にある水平面14と垂直面15とを設ける構成を例示したが、前記円柱状胴体部7の側面に設けられる少なくとも二つの圧電素子取付用の面を互いに適宜な角度に設定された状態になる構成を採用することができる。
従って、前記した互いに適宜な角度に設定された少なくとも二つの圧電素子取付用の面に前記圧電素子を各別に設けて構成することにより、前記楕円振動子に楕円振動を発生させることができる。
【0033】
また、図1・図2に示す楕円振動切削装置1を作動させて楕円振動させると、前記楕円振動によって前記切削工具6(或いは、前記振動子2)に切削抵抗にて加工熱が発生することによって、切削負荷にて切削工具6が変形することによって、更に、前記振動子2自体に圧電素子に電圧を印加することにて熱が発生することによって、前記装置1の外周囲の温度(例えば、作業室の室温)によって、前記切削工具6(の刃先)における楕円振動の軌跡16が大きく変化することがあり、前記装置1で発生する楕円振動(たわみ振動)の周波数(例えば、20KHz)、振幅、位相(例えば、90度)が安定しないことがある。
【0034】
即ち、前記した楕円振動(前記二方向のたわみ振動)の周波数、振幅、位相(以下、楕円振動の周波数等と云う)が安定しないことに対応して、前記装置1において、所定の楕円振動の発生を保持するために、例えば、前記した楕円振動子2の所定位置に所要の検出器21(追尾機構)を設けて前記した楕円振動の周波数等を各別に検出(追尾)すると共に、前記検出器21の検出結果(追尾結果)に基づいて前記検出器21から前記楕円振動の周波数等の数値信号(検出信号)を受信して前記制御機構11に前記楕円振動の周波数等を微調整する微調整信号(フィードバック制御信号)を送信するフィードバック機構22を設ける構成を採用することができる。
従って、前記した装置1において、所定の楕円振動の軌跡を安定して発生させることができると共に、前記切削加工具6で前記被削材5を安定して楕円振動切削することができる。
【0035】
なお、特に、前記二方向の同時共振周波数にずれが発生する場合が多く、この場合、前記装置1に前記した二方向の同時共振周波数を追尾して微調整する機構(同時共振周波数フィードバック機構)を採用することができる。
【0036】
また、図1・図2に示す実施例では、前記円柱状胴体部7の側面(曲面)に前記圧電素子(9・10) を取り付ける取付面(平面)を、前記円柱状胴体部7の両円を含んで切り欠くことにより設ける構成を例示したが、前記円柱状胴体部7の側面に前記取付面を前記圧電素子(9・10) の広さに対応する広さのみで形成する構成を採用しても差し支えない。
【0037】
また、前記した実施例では、前記装置1における切削加工具6の刃先が楕円振動の軌跡を描く構成を例示したが、前記した構成は、前記楕円振動子2で二方向のたわみ振動を合成することにより前記削加工具6の刃先が正円振動の軌跡を描く構成を含むものである。
【0038】
また、前記した実施例では、前記楕円振動子に楕円振動を発生させる圧電素子を設ける構成を採用したが、前記圧電素子に代えて、磁歪素子を採用することができる。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、楕円振動子を備えた振動切削装置において、前記楕円振動子が楕円振動させる切削工具が描く楕円振動の軌跡を大きくすると共に、前記切削工具が前記被削材を切削する被削性を向上させることができると云う優れた効果を奏する。
【0040】
また、本発明によれば、電気的エネルギーを機械的エネルギーに効率良く変換し得て被削材を効率良く楕円振動切削することができる楕円振動切削装置を提供することができると云う優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の楕円振動切削装置を概略的に示す概略正面図である。
【図2】 図2は、図1に示す装置の側面を概略的に示す側面図である。
【図3】 図3は、本発明の楕円振動切削装置における切削工具の振動方向を説明するための説明図である。
【図4】 図4は、本発明の楕円振動切削装置における切削工具に楕円振動を発生させた場合の切削原理を説明するための説明図である。
【図5】 図5は、図1に示す本装置における切削工具に発生する楕円振動の軌跡を示す図である。
【図6】 図6は、本発明の楕円振動切削装置における切削工具で楕円振動切削した場合の速度比と切削抵抗力との関係を示す図である。
【図7】 図7は、本発明の楕円振動切削装置における切削工具で楕円振動切削した場合の速度比とせん断角との関係を示す図である。
【図8】 図8は、従来の楕円振動切削装置を概略的に示す概略正面図である。
【図9】 図9は、図8に示す装置の側面を概略的に示す概略側面図である。
【図10】 図10は、図8に示す装置に示す本装置における切削工具に発生する楕円振動の軌跡を示す図である。
【符号の説明】
1 楕円振動切削装置
2 楕円振動子
3 支持部材
4 基台
5 被削材
6 切削工具
7 円柱状胴体部
8 ステップホーン部
9 圧電素子
10 圧電素子
11 制御機構
12 大ホーン
13 小ホーン
14 水平面
15 垂直面
16 楕円振動の軌跡
17 楕円振動の軌跡
18 切取り厚さ
19 切屑
20 取付部
21 検出器
22 フィードバック機構
A 切削方向
B 主分力方向
C 送り分力方向
D 背分力方向
E 切屑流出方向
L 支持部材間の距離

Claims (2)

  1. 切削工具を楕円振動させる楕円振動子を備えると共に、前記切削工具を被削材に対して相対的に楕円振動させながら切削方向に移動させることによって切削を行う楕円振動切削装置であって、前記楕円振動子の中央部に設けた円柱状胴体部と、前記楕円振動子における円柱状胴体部の両端側に各別に突設した楕円振動増幅用のステップホーン部と、前記ステップホーン部における前記円柱状胴体部に設けた円柱形の大ホーンと、前記大ホーンに設けた円柱形の小ホーンと、前記した楕円振動を追尾する追尾機構と、前記追尾機構による追尾結果に基づいて前記楕円振動を微調整するフィードバック機構と、前記した楕円振動子の両大ホーンをたわみ振動の節の位置で支持する支持部材と、前記円柱状胴体部に設けたたわみ振動発生用の水平面圧電素子と、前記した円柱状胴体部に設けたたわみ振動発生用の垂直面圧電素子とから構成すると共に、前記した水平面圧電素子と垂直面圧電素子とによって発生するたわみ振動にて前記した切削工具に切削方向の振動と背分力方向の振動とで合成される楕円振動の軌跡を発生させることを特徴とする楕円振動切削装置。
  2. 切削工具を、たわみ振動の腹の位置に設けて構成したことを特徴とする請求項1に記載の楕円振動切削装置。
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