JP4268708B2 - 真空プロセスにおける希ガス中の活性ガスの除去方法並びに排気方法及び真空プロセス装置 - Google Patents

真空プロセスにおける希ガス中の活性ガスの除去方法並びに排気方法及び真空プロセス装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空プロセスにおけるガス中の活性ガスの除去方法並びに排気方法及び真空プロセス装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アルゴン、キセノン、クリプトン等のガスを利用して真空プロセスを行う場合、ガス以外の活性ガスが存在すると、プロセスに悪影響を及ぼすことは知られており、その典型的な例としては半導体プロセスがある。このようなプロセスに悪影響を及ぼす活性ガスの問題を解決するため下記のような種々の方法が提案され採用されてきた。
1.表面処理や真空ポンプの使用などを工夫して真空プロセスの行われる真空チャンバのバックグランド圧力( すなわちプロセスを行わない時の圧力) をできるだけ下げる方法。
2.真空チャンバに導入するガスの純度を高める方法。
3.真空プロセス雰囲気を維持するために、高純度のガスを大量に流しながら大きな真空ポンプを使って排気する方法。
4.水素、酸素、窒素、水蒸気等の活性のあるガスに対して大きな化学吸着特性をもつ蒸発型のゲッタポンプを使用してガスを純化するする方法。
【0003】
このような真空プロセスに悪影響を及ぼす活性ガスを排除する方法にはそれぞれ次のような問題点がある。
1.上記1の方法では、排気系の真空ポンプにスパッタイオンポンプが使用されるが、スパッタイオンポンプの正常排気圧力は、知られているように、10-4Torr 以下であり、これより高い圧力では放電はぺニング放電とならず、高電圧のまま運転するとプラズマがポンプ内に広がってイオン衝撃によりガス放出が激しくなる。一方、プロセスの行われる時の圧力はスパッタイオンポンプの正常排気圧力範囲よりはるかに高い。従って、プロセスを行う時にはスパッタイオンポンプは運転できず、従ってプロセス中の活性ガスを排気することができない。
【0004】
2.上記2の方法においては、ガスの純度を高めるためには非常にコストがかかり、経済的に問題がある。
【0005】
3.真空プロセス中の活性ガスとしては、導入ガス中の活性ガス以外に、真空チャンバの熱等により発生する活性ガスが存在している。そのために、上記3の方法においては、大量の高純度のガスを使用して活性ガスの濃度を下げ、真空排気するので、大型のポンプが必要となり、設備が大型化すると同時に設備のコスト及び運転コストが高くつくという問題点ある。
【0006】
4.上記4の方法において使用されるゲッタポンプは、蒸発の温度が高く、そのため活性ガスが大量に発生し、特にCH4の発生は悪影響が大きいという問題がある。またゲッタポンプは蒸発を時間的かつ定量的に制御することが困難であるという問題もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、従来の技術すなわち表面処理や真空ポンプの使用などの工夫、導入ガスの高純度化、大量の高純度のガス及び大型真空ポンプの使用、及び蒸発型のゲッタポンプの使用に伴う上述のような問題点を解決して、設備コスト及び運転コストを低く抑えることができかつ効率的に活性ガスを排除できる真空プロセスにおけるガス中の活性ガスの除去方法並びに排気方法及び真空プロセス装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明においては、スパッタイオンポンプを、真空チャンバのバックグランド圧力を下げるための主ポンプの一つとして高電圧、低電流で運転すると共に、真空プロセス中には低電圧、大電流で運転し、希ガス中の活性ガスを除去するフィルタとして機能させる。
【0009】
ガス雰囲気の真空プロセス中に低電圧、大電流で運転し、活性ガスに対するフィルタとして機能するようにスパッタイオンポンプを運転することによって、活性ガスの濃度を下げたり活性ガスの排除のための排気動作を補償するため大量の高純度ガスを使用する必要がなくなると同時にプロセス中に使用するポンプの排気量も小さくすることができるようになる。言換えれば、真空チャンバに導入するガスの純度が悪くても高純度ガスと同じ効果が得られるようになり、このことは装置の設備コスト及び運転コストを低く抑えることができるようになる。実際に、スパッタイオンポンプは、アルゴンやヘリウムのようなガスに対する排気速度に比べて空気や窒素のような活性ガスに対して大きな排気速度をもつので、本発明においてはスパッタイオンポンプの運転を最適に制御することにより、ガスをほとんど排除しない(1%程度)で、活性ガスだけ(99%程度)を排除することかできるようになる。また、蒸発型のゲッタポンプのように高温が発生しないので、高温による活性ガスの発生がなくなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の一つの実施の形態によれば、ガスを真空チャンバ内に供給して所要のプロセスを行う真空プロセスにおいて、スパッタイオンポンプを、真空チャンバ内に供給されるガスを含む真空チャンバ内の雰囲気中から活性ガスを除去するフィルタとして動作させることを特徴とする真空プロセスにおけるガス中の活性ガスの除去方法が提供される。スパッタイオンポンプは、真空チャンバ内でガス雰囲気の真空プロセスを行わない時には真空チャンバのバックグランド圧力を下げるための主ポンプの一つとして使用され、高電圧、低電流で運転される。一方、希ガス雰囲気の真空プロセスを行う場合には圧力が少し高くなるため、プラズマがポンプ内に広がってイオン衝撃によりガス放出が激しくならないように低電圧、大電流で運転されるようにされる。真空チャンバ内でバックグランド圧力を下げる時に使用する高電圧は約4KV〜10KVであり、また、ガス雰囲気の真空プロセスを行う場合に使用する低電圧は100V 1.5 KV ある。
【0011】
本発明の別の実施の形態によれば、ガスを真空チャンバ内に供給して所要のプロセスを行う真空プロセスにおいて、スパッタイオンポンプと、このスパッタイオンポンプが、真空チャンバ内に供給されるガスを含む真空チャンバ内の雰囲気中から活性ガスを除去するフィルタとして機能するように制御する電力制御手段とを設け、排気系にスパッタイオンポンプを設けたことを特徴とする真空プロセスにおけるガス中の活性ガスの除去装置が提供される。電力制御手段は、一実施形態では定電力制御方式でスパッタイオンポンプへの投入電力を制御するように構成され得る。代わりに、電力制御手段は最大電力制限方式でスパッタイオンポンプへの投入電力を制御するように構成され得る。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、スパッタイオンポンプは、真空チャンバ内のガスの圧力に無関係に除去しようとする活性ガスの量に応じて印加電力が設定され得る。
【0013】
【実施例】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例について説明する。図1は本発明を実施している真空プロセス装置の一例を概略的に示し、1は内部で所要の真空プロセスが行われる真空チャンバであり、真空チャンバ1にはバルブ2を介してガス供給源3が接続され、また真空チャンバ1内には処理される基板4挿置されている。5はスパッタイオンポンプであり、電力制御装置6を介して電源7に接続されている。また、8はチャンバ1に接続された排気系である。
【0014】
スパッタイオンポンプ5は、真空チャンバ1内でガス雰囲気の真空プロセスを行わない時にはバックグランド圧力が 10 -4 Torr より低いので、約4KV〜10KVの高電圧、低電流モードで運転し、またガス雰囲気の真空プロセスを行う場合には10 -4 Torr より圧力が少し高くなるため、プラズマがポンプ内に広がってイオン衝撃によりガス放出が激しくならないように 100V 1.5KV 低電圧、大電流モードで運転するように電力制御装置6によって運転制御される。このようにすることにより、スパッタイオンポンプ5は常に活性ガスを排除することができる。電力制御装置6は定電力制御方式または最大電力制限方式に構成され得る。
【0015】
図2はスパッタイオンポンプ5を定電力制御方式で制御する場合の電力と圧力との関係を示す。
【0016】
図3はスパッタイオンポンプ5を最大電力制限方式で制御する場合の電力と圧力との関係を示す。超高真空バックグランドのシステムの場合、圧力の変動は107倍に変化する。そして電圧が一定であれば電流も107倍に変化する。しかしスパッタイオンポンプ5に印加する電圧範囲は約100V〜10KV程度であるので、電圧調整だけては107倍程度の電流変化をカバーすることはできず、図2に示す定電力制御方式ではスパッタイオンポンプ5を制御できなくなる場合があり、従ってこのような場合には最大電力制限方式が選択される。
【0017】
図4には最大電流を制限する場合の例を示し、ガス雰囲気の真空プロセスを行う時と行わない時の圧力の差は大きく、そして電圧の変動も大きい。そのため最大電流だけで制限すればかなりの効果がある。すなわちガス雰囲気の真空プロセスにはスパッタイオンポンプ5の電圧は圧力による変化が少ないので、近似的に最大電力制御となる。
【0018】
次に、スパッタイオンポンプ5の活性ガスをトラップするフィルタとしての機能について説明する。スパッタイオンポンプの活性ガスに対する排気能力はスパッタされたTiの化学吸着によるものであり、下記の関係が成り立つ。
N∝j×A
M∝S×N
M∝S×j×A
ここで、NはスパッタによるTi原子の数、Aはイオンポンプに印加した電力、jはTiのArによるスパッタ収率、SはTi原子の活性ガスに対する吸着確率、MはTi原子に捕らえられた活性分子数である。上記の関係はArの圧力に関係ないので、排除しようとする活性ガスの分子数(活性ガスの分圧と流量で定まる)に比例する電力を投入する。
【0019】
スパッタイオンポンプは、アルゴンなどのガスに対して排気能力が低く、ポンプにもよるが1%〜数%である。本発明においては、真空プロセスを行う時にスパッタイオンポンプに印加する電圧が低いので、スパッタイオンポンプのガスに対する排気能力はさらに低下し、その結果プロセス中にアルゴンなどのガス中の活性ガスだけの選択的排気が可能となった。
【0020】
図5には、真空チャンバ1内にアルゴン Ar と窒素(N 2 ガスとの混合ガスを導入し、投入電力を変えてスパッタイオンポンプを運転した場合のN2とArとの分圧の比を示す。投入電力0Wの初期状態の混合ガスでは分圧比は1:7であるが、0.3Wの電力を投入すると分圧比は一桁上がり、1.2 Wの電力を投入すると分圧比は二桁上がることが分かる。図6にはスパッタイオンポンプへの投入電力とN2の排気特性を示す。
【0021】
以上説明してきたように、本発明による真空プロセスにおけるガス中の活性ガスの除去方法においては、ガスを真空チャンバ内に供給して所要のプロセスを行う真空プロセスにおいて、スパッタイオンポンプを、真空チャンバ内に供給されるガスを含む真空チャンバ内の雰囲気中から活性ガスを除去するフィルタとして動作させるように構成しているので、プロセスに悪影響を及ぼす活性ガスを実質的に除去することができ、その結果大量の高純度ガスの使用や大きな真空ポンプの使用を必要とせずに低運転コストで所要の真空プロセスを実施できるようになる。
【0022】
また、本発明による真空プロセスにおけるガス中の活性ガスの除去装置においては、ガスを真空チャンバ内に供給して所要のプロセスを行う真空プロセスにおいて、スパッタイオンポンプと、このスパッタイオンポンプが、真空チャンバ内に供給されるガスを含む真空チャンバ内の雰囲気中から活性ガスを除去するフィルタとして機能するように制御する電力制御手段とを設けているので、プロセス中にもスパッタイオンポンプを作動して活性ガスを除去するフィルタとして機能させることができるようになり、システムを大型化や運転コストの増大を実質的に伴わずにプロセスに悪影響を及ぼす活性ガスを有効に除去できる装置を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施している真空プロセス装置の一例を示す概略線図
【図2】図1おけるスパッタイオンポンプを定電力制御する場合の電力と圧力との関係を示すグラフ。
【図3】 スパッタイオンポンプを最大電力制限方式で制御する場合の電力と圧力との関係を示すグラフ。
【図4】 最大電流制限方式で制御する場合の電力と圧力との関係を示すグラフ。
【図5】 スパッタイオンポンプの投入電力と、アルゴンと窒素ガスとの混合ガスN2とArとの分圧の比との測定例を示すグラフ。
【図6】 スパッタイオンポンプへの投入電力とN2の排気特性との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1:真空チャンバ
2:バルブ
3:ガス供給源
4:基板
5:スパッタイオンポンプ
6:電力制御装置
7:電源
8:排気系

Claims (4)

  1. 希ガスを真空チャンバ内に供給して10-4Torr 以上で所要のプロセスを行う真空プロセスにおいて、スパッタイオンポンプを1.5 KV 以下の低電圧、大電流モードで運転し、真空チャンバ内に供給される希ガスを含む真空チャンバ内の雰囲気中から活性ガスを除去するフィルタとして動作させることを特徴とする真空プロセスにおける希ガス中の活性ガスの除去方法。
  2. スパッタイオンポンプを、真空チャンバのバックグランド圧力を下げるための主ポンプの一つとして高電圧、低電流で運転すると共に、10-4Torr 以上の希ガス雰囲気の真空プロセスを行う時には低電圧、大電流で運転することを特徴とする真空プロセスの排気方法。
  3. 真空チャンバ内でバックグランド圧力を下げる時に使用する高電圧が約4KV〜10KVであり、また、希ガス雰囲気の真空プロセスを行う時に使用する低電圧が100V〜1.5KVであることを特徴とする請求項2に記載の排気方法。
  4. 希ガスを真空チャンバ内に供給して所要のプロセスを行う真空プロセス装置において、排気系に設けたスパッタイオンポンプと、このスパッタイオンポンプが、真空チャンバ内に供給される希ガスを含む真空チャンバ内の雰囲気中から活性ガスを除去するフィルタとして機能するように定電力制御方式又は最大電力制限方式でスパッタイオンポンプへの投入電力を制御する電力制御手段とを設けたことを特徴とする真空プロセス装置。
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