JP4300663B2 - 燃焼圧センサ構造体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンに形成された取付穴に対して一端側を挿入して固定される構造体(例えばグロープラグ、スパークプラグ、インジェクタ、ボルト等)と、該構造体に取り付けられてエンジンの燃焼圧に対応した信号を出力する燃焼圧センサとを備える燃焼圧センサ構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の燃焼圧センサ構造体としては、例えば特開平7−139736号公報に記載されているようなディーゼル機関等のエンジンに始動補助装置として使用されている燃焼圧センサ付きグロープラグが提案されている。従来の燃焼圧センサ付きグロープラグの一般的な構造を図12に概略断面として示す。
【0003】
燃焼圧センサ付きグロープラグJ1は、通電により発熱する発熱体206を備えた構造体としてのプラグ本体部(グロープラグ単独の部分)200と、プラグ本体部200に作用する燃焼圧に伴う力に基づいてエンジンの燃焼圧に対応した信号を出力する燃焼圧センサ(圧力センサ)300とを、備えた構成を有する。
【0004】
プラグ本体部200は、ディーゼルエンジンのエンジンヘッド1に形成された取付穴(プラグホール、ネジ穴)1bに対して一端側を挿入して強固に固定されている。本例では、ハウジング201の取付けネジ201aと取付穴1bのネジ部1cとのネジ結合により固定されている。
【0005】
このグロープラグJ1の点火栓としての機能は、次のようである。即ち、図示しない電源からコネクティングバー2を介して、中軸204に電圧が印加され、発熱コイル203、シース管202、及びハウジング201を介してエンジンヘッド1にアースされる。これにより、発熱コイル203及びシース管202により構成された発熱体206は発熱し、ディーゼルエンジンの着火始動補助を行うことができる。
【0006】
また、このグロープラグJ1においては、取付穴1bからの燃焼ガスの洩れ防止、つまり気密性の保持も重要である。一般に、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べると、燃焼室1a内で発生する爆発燃焼圧は高く、例えば150MPaにも達する。そのため、気密性の保持は大変重要であり、例えば燃焼ガスすなわち燃焼圧が外部に洩れた場合、エンジン出力の低下や回転変動等のイレギュラーが生じ、運転者にはエンジン振動、加速性の悪化等の不快感を与えることとなる。
【0007】
そこで、従来の気密性保持構造は、プラグ本体部200のハウジング201先端側に形成されたハウジングテーパ部212と、これに対向してエンジンヘッド1の取付穴1bの内面に形成されたテーパ座面部1dとを、上記ハウジング201と取付穴1bとのネジ結合において規格化された推奨締付けトルク(例えば10〜15N・m)で圧接し密着を図っている。
【0008】
なお、厳密には、ハウジングテーパ部212を形成しているテーパ角度は、テーパ座面部1dのテーパ角度よりも例えば3°程度大きく設定されている。そして、プラグ本体部200の締付け時には、ハウジングテーパ部212がテーパ座面部1dに確実かつ円周状に線接触し、さらに、ハウジングテーパ部212の一部(円周状の線接触部)がテーパ座面部1dに食い込む状態で嵌着される。そのため、燃焼室1aで発生した燃焼ガスは、外部に洩れることなく確実に気密が保持されることとなる。
【0009】
そして、締め付けられたプラグ本体部200自身は、ハウジングテーパ部212とテーパ座面部1d、及びハウジング201の取付けネジ201aと取付穴1bのネジ部1cとの摩擦力、さらにハウジング201とエンジンヘッド1との相互弾性力によって、エンジンヘッド1へ強固に保持固定されている。
【0010】
また、グロープラグJ1においては、リング状の燃焼圧センサ300がハウジング201にはめ込まれ、該センサ300における固定用のナット310をハウジング201の取付ネジ201aに沿って締めつけることで、エンジンヘッド1の表面上に固定されている。
【0011】
この燃焼圧センサ300は、例えば、上記従来公報に記載されているように、圧電素子(図示せず)を内蔵し、プラグ本体部200に作用する力を圧電特性に基づいた電気信号(電荷)に変換し、この電気信号を燃焼圧として出力する圧電素子内蔵型のものとできる。
【0012】
そして、プラグ本体部200のハウジング201を介して、燃焼圧センサ300に荷重が負荷されるようになっている。エンジン始動後、燃焼室1a内で発生した燃焼圧は、発熱体206、ハウジング201を介して取付けネジ201aに伝達される。
【0013】
そして、その作用力によって取付ネジ201aを含めたハウジング201は、取付穴1bの軸方向に押し上げられて微小変位するため、結果として、燃焼圧センサ300の荷重が緩和される。この荷重変動を該センサ300にて電気信号に変換し、リード線500から出力することで、燃焼圧が検出されるのである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者等の検討によれば、上記した従来の燃焼圧センサ付きグロープラグJ1においては、以下のような問題があることがわかった。1つ目は、プラグ本体部(構造体)200から燃焼圧センサ300への力の伝達効率が低く、センサの出力感度が不十分であることである。
【0015】
上述のように、プラグ本体部200は、高気密性を確保すべく、規格化された推奨締付けトルクを厳守し、エンジンヘッド1に強固に保持固定されている。それにより、燃焼圧の媒体であるハウジング201は、取付穴1b内のテーパ座面部1d及びネジ部1cの双方で強固に拘束された状態となる。そのため、燃焼圧に伴うプラグ本体部200の歪変位量は極めて微少となり、結果として荷重変動が小さくなるので、燃焼圧センサ300からの出力感度は小さくなる。
【0016】
尚、単に感度だけを問題とするならば、電気的に増幅回路を介在すれば容易に出力感度の向上が図れる。しかし、この場合、機械振動ノイズ及び電気的ノイズも同時に増幅されるため、S/N比は変わらず、必ずしも良好な手段といえない。
【0017】
ちなみに、本発明者等の実験調査によれば、上記図12に示す燃焼圧センサ構造体の場合、出力感度(単位:圧力当たりの発生電荷(pC/MPa))は燃焼圧センサ300の単独状態の5%程度しか得られず、極めて伝達効率の低い結果となることがわかった。
【0018】
2つ目の問題は、エンジンの運転条件の変化に伴う燃焼圧センサ300の出力感度の変化が大きいことである。そもそも、プラグ本体部200の一部であるハウジング201とエンジンヘッド1とでは、材質的に線膨張係数が大きく異なり、ハウジング201(鋼材)は約12×10-6(/℃)、エンジンヘッド1(アルミ合金)は約23×10-6(/℃)である。
【0019】
この線膨張係数の違いを見て明らかな様に、プラグ本体部200は、厳密には冷間時(室温時)に装着されており、双方が熱的影響を受ければ、基本的にはエンジンヘッド1側の延び量が上回るため、プラグ本体部200の軸荷重は低下し、締付けが緩む結果となる。尚、当然のことではあるが、エンジン運転条件は高速な程、燃焼温度が上昇するため、緩み量は増大することとなる。
【0020】
この様に、運転条件(温度)によって、プラグ本体部200の緩み量、即ち燃焼圧センサ300への荷重(締付け力)が変化するため、低速条件と高速条件とでは、出力感度差が生じる。ちなみに、本発明者等の実験調査によれば、指圧計(装着状態の影響を受けず燃焼圧を燃焼室から直接検出するもの)との同時計測において運転条件を変化させた場合、低速条件と高速条件とでは、センサ300の出力感度(pC/MPa)は約25%の差が生じた。
【0021】
以上、燃焼圧センサ付きグロープラグを例にとって問題点を述べてきたが、上記した2つの問題は、該グロープラグだけでなく、エンジンに形成された取付穴に対して一端側を挿入して固定される構造体と、該構造体に取り付けられてエンジンの燃焼圧に対応した信号を出力する燃焼圧センサとを備えるような燃焼圧センサ構造体(以下、単に燃焼圧センサ構造体という)においては、共通するものと考えられる。
【0022】
なぜなら、このような燃焼圧センサ構造体としては、例えばスパ−クプラグ、インジェクタ等が構造体として挙げられるが、これらにおいても、当然気密性を確保するため、構造体は取付穴へ強固に拘束されるし、また、構造体とエンジンヘッドとで線膨張係数の異なる材質を用いることは、一般的であると考えられるからである。
【0023】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、燃焼圧センサ構造体において、構造体から燃焼圧センサへの力の伝達を良好として、センサの出力感度向上を図るとともに、エンジンの運転条件の変化に伴うセンサの出力感度の変化を低減する。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明者等は上記燃焼圧センサ構造体における燃焼圧の伝達を、バネ系の等価モデルに置き換えて解析・検討を行った。以下、上記図12に示した燃焼圧センサ構造体、即ち燃焼圧センサ付きグロープラグJ1の装着状態の検討例を示す。
【0025】
図13は、エンジンヘッド1に装着された燃焼圧センサ付きグロープラグJ1の概略図を示すものである。ここで、燃焼圧センサ300は、固定用のナット310と台座340とにより圧電素子部320を挟持したものとしている。また、テーパ接触部(圧接部)Sは、エンジンヘッド1の取付穴1b内面に形成されたテーパ座面部1dとハウジング201先端に形成されたハウジングテーパ部212とが接触する部分であり、このテーパ接触部Sにおいて、プラグ本体部200の締付けによる取付穴1bの軸方向への荷重(軸荷重)が支えられている。
【0026】
そして、図13において、基本的に燃焼圧の媒体は、プラグ本体部200のハウジング201(ここでは、発熱体206はハウジング201と一体化していると仮定する)、燃焼圧センサ300のナット310、圧電素子部320、台座340、エンジンヘッド1、及び、テーパ接触部Sの6点で構成されている。
【0027】
これを、エンジンヘッド1を拘束したバネ系の等価モデルに置き換えると、図14の如く表すことができる。ここで、バネ定数Kは、構成部品の軸方向長さをL(mm)、ヤング率をE(N/mm2)、構成部品の径方向の断面積をA(mm2)とすると,K=L/A×E(mm/N)で表すことができる。
【0028】
これをもとに、ハウジング201のバネ定数をKh、燃焼圧センサ300のナット310のバネ定数をKn、圧電素子部320のバネ定数をKp、台座340のバネ定数をKd、テーパ接触部Sのバネ定数をKtとし、燃焼圧の受圧部であるハウジング201(発熱体206を含む)に燃焼圧Fが印加された時の圧電素子部320への作用力P、すなわち伝達力を求めると、次の数式1で表わすことができる。
【0029】
【数1】
P=F×Kt/(Kh+Kn+Kp+Kd)
この算出式より作用力Pはテーパ接触部Sのバネ定数Ktに依存するものであり、バネ定数Ktが大きい程すなわちテーパ接触部Sが剛性の低い柔軟な弾性部材である程、圧電素子部320への燃焼圧の伝達効率が向上し、結果として燃焼圧センサ300からの出力感度の上昇が期待できることを導出した。
【0030】
つまり、上記燃焼圧センサ構造体における燃焼圧の伝達を、バネ系の等価モデルに置き換えて解析・検討した結果、構造体の取付穴内面への圧接部(上記検討例ではテーパ接触部S)における剛性を低くすると燃焼圧の伝達効率が向上することがわかった。本発明は、この点に着目してなされたものである。
【0031】
即ち、請求項1〜請求項6記載の発明によれば、上記燃焼圧センサ構造体において、構造体(200、700、800、900)と取付穴(1b)の内面との間に、該取付穴の軸方向に弾性力を有し弾性変形することで燃焼圧を構造体へ伝達する弾性部材(250、251、252)を設け、該弾性部材を介して、該構造体と該取付穴の内面とを少なくとも該取付穴の軸方向にて圧接し、燃焼圧センサは、リング状にて構造体の外周面に設けられたネジ部(201a、701a、801a、901a)にはめ込まれており、さらに、固定用のナット(310)と台座(340)とにより圧電素子部(320)を狭持したものであることを特徴としている。
【0032】
従来では、直接、構造体と取付穴の内面とを圧接するように強固に固定することで、この圧接部によってセンサの出力感度が低くなっていたが、本発明では、その圧接部に弾性部材を設けているため、取付穴の軸方向へ作用する燃焼圧に伴う力は、弾性部材の弾性力により構造体へ良好に伝達され、結果的にセンサ感度は向上する。また、熱膨張係数の違いにより発生する構造体とエンジンとの間の隙間や荷重変化は、弾性部材の弾性力によりほぼ吸収できるため、エンジンの運転条件の変化に伴うセンサの出力感度の変化を低減できる。
【0033】
ここで、弾性部材としては、請求項2の発明のように、構造体(200、700、800、900)を挿入するための中空穴を有する環状部材(250)を用いることができ、構造体に対して弾性部材を容易に取り付けることができる。また、弾性部材としては、請求項4の発明のような構造体(200)の一部を薄肉化した薄肉部(251)や、請求項5の発明のような取付穴(1b)の内面から該取付穴の軸方向と交差する方向へ突出する突出部(252)とすることもできる。
【0034】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。本実施形態は、本発明の燃焼圧センサ構造体を、燃焼圧センサ付きグロープラグに具体化したものとして説明する。図1は、本実施形態に係る燃焼圧センサ付きグロープラグ100の全体概略をディーゼルエンジンのエンジンヘッド1へ取り付けた状態にて示す一部縦断面図である。なお、図1中、上記図12と同一部分には、図中、同一符号を付してある。
【0036】
本グロープラグ100は、大きくは、発熱体を備えかつ燃焼圧伝達の媒体を果たすプラグ本体部(本発明でいう構造体)200と、燃焼圧に伴いプラグ本体部200に作用する力(プラグ本体部の歪み変位)を圧電素子の圧電特性に基づく電気信号に変換することによりエンジンの燃焼圧に対応した信号を出力する手段である燃焼圧センサ300と、上記圧電素子からの電気信号を外部回路(本実施形態では車両のECU)へ取り出すための配線部材としてのリード線500と、を備えて構成されている。
【0037】
エンジンヘッド1は例えばアルミ合金や鉄等よりなり、該エンジンヘッド1には、外表面から内部の燃焼室1aまで貫通する取付穴(プラグホール、ネジ穴)1bが形成されている。この取付穴1bに対して、プラグ本体部(構造体)200は、その一端側(図1中の下方側)を挿入して強固に固定されている。
【0038】
ここで、プラグ本体部200は、金属(低炭素鋼等)製の中空パイプ状のハウジング201を有し、その外周面に形成された取付ネジ201aによって取付穴1bのネジ部1cとネジ結合されて固定されている。また、プラグ本体部(構造体)200は、ハウジング201内に保持された中空パイプ状のシース管202を備える。
【0039】
このシース管202は耐熱・耐食性合金(例えばステンレス材SUS310等)よりなり、先端側(図1中の下方側)が閉塞され他端側(図1中の上方側)が開口している。シース管202の先端側内部には、NiCr及びCoFe等の抵抗線からなる発熱コイル203が設けられ、シース管202の他端側内部には、金属製棒状の中軸204の一端側が一部挿入された形で配置されている。
【0040】
発熱コイル203の一端はシース管202の先端側に結合し、発熱コイル203の他端は中軸204の一端に結合している。また、発熱コイル203及び中軸204とシース管202との間には、耐熱性を有する酸化マグネシウム等の絶縁粉末205が充填されている。
【0041】
また、シース管202にはスウェージングによる絞り加工が施されており、それによって、内部に充填された絶縁粉末205の緻密性を高めると共に、該絶縁粉末205を介してシース管202と中軸204及び発熱コイル203とが強固に保持固定されている。
【0042】
ここで、シース管202のうち発熱コイル203を包含する部分において、これらシース管202、発熱コイル203及び絶縁粉末205により、発熱体206が構成されている。そして、発熱体206は、その先端部(シース管202の先端部)が露出するように、ハウジング201の内部に接合保持されている。発熱体206(シース管202の外周面)とハウジング201との接合は、嵌合圧入による固着または銀ロウ等のロウ付けにより行うことができる。
【0043】
また、ハウジング201の上端側の内部において、絶縁性のべークライト材からなるワッシャ207、シリコン又はフッ素ゴムからなるOリング208が、中軸204に挿入配置されている。ここで、ワッシャ207は中軸204の芯出しを目的としたもので、Oリング208はハウジング201内の防水・気密性確保を目的としたものである。
【0044】
そして、中軸204は、フェノール等の絶縁樹脂からなる絶縁ブッシュ209を介在して、中軸204に設けられた端子ネジ204aに沿って固定ナット210にて、ハウジング201へ固定されている。ここで、絶縁ブッシュ209は中軸204とハウジング201との接触による短絡防止機能を兼ね備えている。
【0045】
また、中軸204の他端側に設けられた端子ネジ204aには、コネクティングバー2が端子ナット211によって固定され電気的に接続されている。このコネクティングバー2は図示しない電源に接続され、中軸204、発熱コイル203、シース管202、ハウジング201を介してエンジンヘッド1にアースされている。これにより、グロープラグ100において発熱体206は発熱し、ディーゼルエンジンの着火始動補助を行うことが可能となっている。
【0046】
なお、発熱体206は、上記した金属抵抗線を基本としたいわゆる金属発熱体の他に、例えば、窒化珪素と珪化モリブデンを成分とした導電性セラミックスからなる発熱体を、窒化珪素を成分とした絶縁性セラミックからなる絶縁体で内包する形で焼結した、いわゆるセラミック発熱体でも良い。
【0047】
ここで、本実施形態の独自の構成として、プラグ本体部(構造体)200と取付穴1bの内面との間に、取付穴1bの軸方向(プラグ本体部200の軸方向)に弾性力を有する弾性部材250を設け、該弾性部材250を介してプラグ本体部200と取付穴1bの内面とを、少なくとも取付穴1bの軸方向にて圧接するとともに、この圧接部により燃焼室1a内(エンジン内)の気密保持を確保するようにしている。
【0048】
即ち、図1に示す様に、ハウジングテーパ部212とテーパ座面部1d(取付穴1bの内面)との間に、上記弾性部材としてのガスケット250を介在させつつ、このガスケット250を介して両部212、1dを取付穴1bの軸方向にて圧接し、気密保持確保を行っている。このガスケット250は、プラグ本体部200の発熱体206を挿入するための中空穴を有する環状部材である。
【0049】
図2において、(a)は図1中のガスケット250近傍の拡大図、(b)はガスケット250単体の平面図、(c)は(b)のA−A断面図である。図2に示す様に、ガスケット250は、例えばSUS304またはNi基合金等からなる耐熱性及び耐食性を備えた金属よりなり、断面がアルファベットの「C」状の管を形成し且つリング状にプレス成形されたもので、円周上には継ぎ目を持たない大きな弾性力を有した一般にメタルCシールと呼ばれる弾性体である。ここで、ガスケット250は、例えば、管径がφ1mm、板厚が0.1mm、内周径がφ6mmである。
【0050】
このガスケット250の介在により、ハウジングテーパ部212は、ガスケット250の弾性力によって、テーパ座面部1dに対し取付穴1bの軸方向にて圧接されている。なお、このガスケット250を介した圧接部は、図2(a)に示す如くテーパ形状であるため、実際の圧接力は取付穴1bの軸方向だけでなく径方向にも加わり、ハウジングテーパ部212は、取付穴1bの径方向においてもガスケット250を介して取付穴1bの内面に圧接されている。
【0051】
次に、燃焼圧センサ300は全体が略リング状をなすもので、図1に示す様に、プラグ本体部(構造体)200におけるエンジンヘッド1の表面から軸方向へ突出した部分において、該突出部の外周面に固定されるとともに、エンジンヘッド1の表面に接触するように配置されている。本実施形態におけるセンサ300は、従来品J1のものと比べて詳細部分に工夫を施したものであるため、図3を参照して詳細に説明する。図3は、図1中の燃焼圧センサ(圧力センサ)300の詳細を示す拡大図であり、(a)は縦断面図、(b)は(a)中のA矢視図を示している。
【0052】
燃焼圧センサ300は、大きくは、センサ本体をプラグ本体部(構造体)200に取り付けるためのナット(センサ固定部)310と、燃焼圧に伴う力に応じて電気信号(電荷)を発生する圧電素子部320と、この圧電素子部320にて発生した電気信号を取出しリード線500に導くためのリード部330と、ナット310とともに圧電素子部320を挟持し且つリード部330の一部を固定するための台座340と、圧電素子部320の防塵、防水を図るためのメタルケース350とを備えている。
【0053】
まず、ナット310及びリード部330について述べる。ナット310は金属製であり、ハウジング201の取付ネジ201aを介してセンサ本体を装着固定するためのネジ部311及び六角部312を備え、ハウジング201の外周に固定されている。また、六角部312の下側は、順に大径部313、小径部314が形成されており、小径部314の外周面には、シリコンからなる熱収縮性の絶縁チューブ315が密着固定されている。
【0054】
リード部330は、圧電素子部320とリード線500の一端側とを電気的に接続するための部分であり、電極331、インシュレータ332、固定金具333及びリード線500の一端側を、その構成要素として備えている。電極331は環状で金属製のものであり、インシュレータ332はこの電極331とナット310との間に介在して両者331及び310を互いに絶縁するもので、環状でマイカ或るいはアルミナ等の絶縁性材料よりなる。これら電極331及びインシュレータ332は、絶縁チューブ315で被覆されたナット310の小径部314の外縁に嵌入されている。
【0055】
ここで、リード線500は、その最内部から外側にかけて、導電性の信号取出線501、絶縁性の絶縁被覆502、導電性のアース側シールド線503、絶縁性の絶縁被覆504が順次と積層された構成を有し、信号取出線501とアース側シールド線503とは電気的に絶縁されている。そして、図3に示す様に、リード線500は、その一端側において先端から順に、信号取出線501、絶縁被覆502、アース側シールド線503が、それぞれ一部露出した構成となっている。
【0056】
そして、リード線500の一端側では、信号取出線501が、ナット310に形成された穴316及びインシュレータ332に形成された切欠き部332aを通して、電極331に形成された穴331aにて電極331に溶接され結線されている。なお、リード線500の他端側は、図示しないコネクタに接続され、外部回路(車両のECU等)に電気的に接続されるようになっている。
【0057】
また、固定金具333は、リード線500をナット310に固定するためのもので中空パイプ状をなし、リード線500の一端側の外周に設けられている。ここで、ナット310に形成された上記穴316の上側部分は、固定金具333を保持するための固定金具保持穴316aとして構成されており、この保持穴316aには、固定金具333の一部が挿入固定されている。
【0058】
固定金具333はリード線500にかしめ固定されており、アース側シールド線503と固定金具333とは電気的に接続されている。なお、固定金具保持穴316aから突き出た固定金具333の外周部分は、シリコンからなる熱収縮性の絶縁被覆333aにて被覆されている。
【0059】
次に、圧電素子部320は、その中空部がナット310の小径部314に対応した円環状をなし、上記電極331と同様、該小径部314の外周面に沿って上記絶縁チューブ315を介して配設されている。図示例では、圧電素子部320は、3層の圧電セラミックス(圧電素子)321と、信号取出側ワッシャリング322及びアース側ワッシャリング323と組合わせた積層構造を構成している。
【0060】
各圧電セラミックス321は同一寸法の円盤リング状をなし、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛等からなる。そして、3枚の圧電セラミックス321が電気的に並列結合された状態となっており、これら3枚の圧電セラミックス321の出力感度が合算され、大巾な感度向上を図る事ができる。
【0061】
次に、台座340は金属製からなる略円環状をなし、エンジンヘッド1との接触側端面に回り止め受け341が形成されている。この回り止め受け341は、図3(b)に示す様に、ナット310の小径部314の末端に形成された小判状の回り止め317に対応し、且つ、この回り止め317に容易に嵌合可能な同様の小判状をなす。これにより、ナット310と台座340とのプラグの軸回りのずれが防止できる。
【0062】
また、台座340の外縁には、例えばSUS304からなる金属製円筒状のメタルケース350が設けられており、このメタルケース350により燃焼圧センサ300全体の外周が包含されている。このメタルケース350は、厚さ0.5mm以下の薄い金属板を円筒状に絞り加工し製作したもので、台座340に対して全周、レーザー溶接又は銅ロウ等のロウ付けで接合されている。
【0063】
このメタルケース350との一体化を図った台座340においては、その回り止め受け341とナット310の回り止め317とが正確に対向している。さらに、台座340の内径部342と、ナット310の小径部314の中央付近に設けた切欠き溝に嵌着配置させたシリコン又はフッ素ゴムからなるOリング343とは、双方確実に密着している。また、メタルケース350はナット310の大径部313に内接するように嵌入されており、メタルケース350とナット310の大径部313との内接部351を、YAGレーザー溶接で全周接合されている。
【0064】
こうして、台座340は、ナット310の軸力(ネジ締め力)によりエンジンヘッド1の表面に押しつけられた格好となっている。そして、圧電素子部320、電極331及びインシュレータ332は、ナット310の軸力により、ナット310と台座340との間に挟持されて介在固定されている。
【0065】
かかる燃焼圧センサ300の組付方法は、次のようである。まず、リード線500の一端側において、信号取出線501を電極331の穴331aに溶接する。また、固定金具333をナット310の固定金具保持穴316aに嵌入し、溶接又は銅ロウ等のロウ付けにより結合する。また、ナット310の小径部314にインシュレータ332を装着する。
【0066】
この固定金具333及びインシュレータ332が装着されたナット310に対して、リード線500の他端側を、インシュレータ332側から穴316へ挿入しつつ、リード線500の一端側が結線された電極331を、ナット310の小径部314へ嵌入させる。
【0067】
電極331を所定位置に配置した後、固定金具333、アース側シールド線503を、同時にかしめて固定する。この後、リード線500の一部と固定金具333とを絶縁被覆333aで被覆し、防塵・防水を図る。これにより、アース側シールド線503と固定金具333とは、電気的にも接続される。
【0068】
次に、圧電セラミックス321及び両ワッシャリング322、323からなる圧電素子部320を、ナット310の小径部314へ挿入する。そして、ろう付け等によりメタルケース350と一体化した台座340を、ナット310の小径部314へ挿入するとともに、回り受け317と回り受け止め341とを一致させる。そして、台座340とナット310とを密接させるように加圧した状態で、メタルケース350とナットの大径部313とをレーザ溶接する。
【0069】
こうして、燃焼圧センサ300が完成する。この燃焼圧センサ300は、プラグ本体部200に対して、発熱体206側から挿入し、所定位置となるように、ハウジング201の取付ネジ201aとナット310のネジ部311及び六角部312とによってネジ結合することで、仮組みされる。そして、エンジンヘッド1の取付穴1b内へガスケット250を投入し、テーパ座面部1dへ配置させた後、上記仮組みされたプラグ本体部200を、一端側(発熱体206側)から取付穴1bへ挿入する。
【0070】
そして、ハウジング201の六角部201b(図1参照)を、レンチ等の治具(図示せず)を用いて軸回りに回転させることで、ガスケット250の中空穴に発熱体206を挿入するとともに、プラグ本体部200を取付穴1bにネジ結合する。更に、レンチ等により燃焼圧センサ300のナット310を締付け、センサ300をエンジンヘッド1の表面に押付け固定する。こうして、図1に示す燃焼圧センサ構造体が出来上がる。
【0071】
次に、上記構成に基づき本実施形態の作動を説明する。ディーゼルエンジンの始動時、図示されていない電源からコネクティングバー2を介してプラグ本体部200に電圧が印加され、中軸204、発熱コイル203、シース管202、ハウジング201を介してエンジンヘッド1にアースされる。これにより、発熱体206は発熱し、ディーゼルエンジンの着火始動補助を行うことができる。
【0072】
そして、エンジン始動後、エンジン内で発生した燃焼圧は、発熱体206、ハウジング201を介して取付けネジ201aに伝達される。続いて、取付けネジ201aに伝達された燃焼圧は、グロープラグ100におけるエンジンヘッド1への締付けトルクを緩和させる。それに伴い、燃焼圧センサ300におけるナット310のネジ部311を介して圧電セラミックス321に負荷されている荷重(プラグ軸方向の荷重)が緩和される(即ち、圧電セラミックス321に負荷されている荷重状態が変化する)。
【0073】
そのため、圧電セラミックス321の有する圧電特性に沿って出力される電気信号の発生電荷が変化する。そして、この電気信号(電荷)は、電極331及びリード線500から、外部回路に送られ、電圧に変換され、増幅、フィルタ処理等を経て、例えば燃焼圧波形信号として燃焼制御へ応用される。以上が、上記グロープラグ100における燃焼圧の検出メカニズムの全体である。
【0074】
ところで、本実施形態では、上述したように、プラグ本体部(構造体)200のハウジングテーパ部212と取付穴1bのテーパ座面部1dとの間に、ガスケット(弾性部材)250を設け、ガスケット250を介して両部212、1dを、取付穴1bの軸方向にて圧接するとともに、この圧接部により燃焼室1a内(エンジン内)の気密保持を確保するようにした、独自の構成を採用している。
【0075】
この独自の構成により、プラグ本体部200を、ガスケット250の許容弾性域内の軸荷重で締付ければ、ガスケット250自身が有する弾性力で、ハウジングテーパ部212とガスケット250とテーパ座面部1dとが交互に圧接・密着される。
【0076】
そのため、気密性の保持を阻害することは無い。また、上記図14に示したバネ系等価モデルにおいて、テーパ接触部の剛性を低くすることができるため、取付穴1bの軸方向へ作用する燃焼圧に伴う力は、ガスケット250の弾性力により、プラグ本体部200のハウジング201へ良好に伝達され、結果的にセンサ感度は向上する。
【0077】
また、ガスケット(弾性部材)250を配置することにより、上記した熱的影響によるプラグ本体部200の緩みに伴う出力感度の変化(指圧計との比較)も改善できる。これは、圧縮時のガスケット250の復元力を利用すれば、線膨張差によって発生するハウジングテーパ部212とテーパ座面部1dとの隙間(熱的影響により拡大する方向)及びそれに伴う軸荷重の変化を略吸収できるからであり、つまりは、燃焼圧センサ300の出力感度に依存する荷重変化を低減することができるからである。
【0078】
このように、本実施形態によれば、燃焼圧センサ付きグロープラグ100の主たる機能に影響を与えることなく、従来のテーパ接触部に弾性部材250を介在させるだけの簡素な構成で、センサの出力感度向上を図るとともに、エンジンの運転条件の変化に伴うセンサの出力感度の変化を低減することができる。
【0079】
ここで、本発明でいう弾性部材としてのガスケット250の特徴を補足する。まず、ハウジングテーパ部212とテーパ座面部1dとの間に配置されたガスケット250は、燃焼圧を受圧(燃焼圧上昇時)した際、図2(a)の如く、ガスケット250の内面261には略均一に燃焼圧Fが印加される。そして、その燃焼圧Fによりガスケット250には、その内径262を放射状に押し広げようとする力が作用することとなる。
【0080】
これにより、ガスケット250との接触面であるハウジング接触部213と座面接触部1eには、実質、プラグ本体部200の締付けの際発生する軸荷重による面圧に加え、燃焼圧Fに伴う内圧が自然に加算される。そのため、エンジン運転時においては、双方の接触面213、1eは共に、いっそう圧接・密着性が促進され、高気密化を得ることができる。
【0081】
また、本発明者等の実験調査によれば、弾性体としてのガスケット250の弾性力は大きい程(柔軟な程)効果的であるが、気密性保持の立場からむしろ重要な特性は、弾性体の耐力即ち塑性変形を引き起こす荷重であり、ここでは、2kN以上の耐力確保が必要であることを見出している。なお、例えば本実験調査により効果が得られたガスケット(弾性体)250のバネ定数は、2.5〜20(×10-5mm/N)であった。
【0082】
プラグ本体部200単体(つまりグロープラグ単体)での締付けトルクは、本来規格により定められ、一般のハウジングにおける取付けネジ部のネジサイズM10×1.25では10〜15N・m、軸荷重に換算すると4〜6kNと推定される。これは、気密性はもとよりエンジン振動に対する緩み防止を踏まえた値である。例えば、本実施形態では、弾性体の耐力を2kN以上に設定したが、この値は上記締付けトルクの規格を下回るものであり、振動に対する緩みは一見不利かと思われる。
【0083】
しかし、グロープラグ単体の場合は、ハウジングテーパ部212とテーパ座面部1d、及びハウジング201の取付けネジ201aとエンジンヘッド1の取付穴1bのネジ部1cとの摩擦力、そしてハウジング201とエンジンヘッド1との相互弾性力の3要素でエンジンヘッド1へ保持固定されるのに対し、燃焼圧センサ付きグロープラグ100においては、ハウジングテーパ部212とガスケット250との摩擦力及び弾性力、ハウジング201の取付けネジ201aと取付穴1bのネジ部1cとの摩擦力、加えて、燃焼圧センサ300のナット310のネジ部311とハウジング201の取付けネジ201aの摩擦力及び弾性力、燃焼圧センサ300の台座340とエンジンヘッド1との摩擦力の計6要素にて、プラグ本体部200は保持固定されている。
【0084】
そのため、本実施形態においては、エンジン振動に対する緩みへの影響は実用上問題ない。ちなみに、本発明者等の実験調査によれば、上記図1に示す状態で加振機を使って、50〜2000Hz、加速度25〜10Gにて24時間、振動耐久試験を試みたが、燃焼圧センサ300及びプラグ本体部200共に緩みは発生しなかった。
【0085】
次に、本実施形態のより具体的な効果について説明する。図4(a)〜(f)は各々、横軸にクランク角、縦軸に圧力をとり、本実施形態と従来との燃焼圧波形を比較して示すものである。ここで、図4中、(b)、(c)、(e)が本実施形態の燃焼圧センサ付きグロープラグ100の燃焼圧波形、(a)、(d)、(f)が従来の燃焼圧センサ付きグロープラグJ1(上記図12参照)の燃焼圧波形である。また、図4中、(a)〜(d)は、エンジン運転条件が2000rpmで負荷50N・m時、(e)及び(f)は、4000rpmで全負荷時の試験結果を示す。
【0086】
図4に示す様に、従来の出力波形を示す(a)と、本実施形態の出力波形を示す(b)との比較から、弾性体であるガスケット250を配置した本実施形態では、燃焼圧センサ300からの出力感度(波高値)は、従来に比べ約2倍に上昇していることが分かる。
【0087】
また、図4において、(d)及び(f)は、従来品で得られた燃焼圧センサ300からの出力信号を増幅回路を介在し、約2倍に増幅して、それぞれ、(c)及び(e)に示す本実施形態で得られる出力感度に合わせ込んだ時(つまり、波高値を合わせ込んだ時)の出力波形を示したものである。この結果から、燃焼圧センサ300自身の出力感度が大きな本実施形態((c)及び(e))の出力波形は、従来品((d)及び(f))に比べて出力信号のS/N比が優れていることが分かる。
【0088】
次に、ガスケット250による、熱影響に伴う燃焼圧センサ300の荷重変動即ちエンジンの運転条件の変化に伴うセンサの出力感度変化の低減効果については、図示しないが、本発明者等の実験調査によれば、従来品は、アイドリングから4000rpm・全負荷において、指圧計基準で25%の感度変化が生じていたのに対し、本実施形態では感度変化を10%まで低減することができた。
【0089】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態においては、ハウジングテーパ部212とテーパ座面部1dとより構成されるテーパ形状の部分にガスケット250を介在配置したが、図5に示す様に、ガスケット250を配置する対向したハウジングテーパ部212とテーパ座面部1dは、必ずしもテーパ形状でなくとも、図の如く直角面でも良い。
【0090】
また、図6に、円周上に継ぎ目を持たない弾性を有した環状のガスケット250の他の例(第1〜第4の例)を示す。なお、図6中、(a)、(c)、(e)、(g)は平面図、(b)は(a)のB−B断面、(d)は(c)のC−C断面、(f)は(e)のD−D断面、(h)は(g)のE−E断面を示す。なお、該平面図においては、環の半分のみを示してある。
【0091】
(a)及び(b)に示す第1の例はガスケット250の切り欠き部が外周面に形成されたものである。(c)及び(d)に示す第2の例は一般に言う中空Oリングであり、内周部の一部に圧力導入穴250aがあれば、上記図2に示すガスケット250と同様の効果が得られる。なお、圧力導入穴250aは無くても良い。(e)及び(f)に示す第3の例は、断面が充実した円状のリングである。
【0092】
(g)及び(h)に示す第4の例は、ハウジングテーパ部212及びテーパ座面部1dが共に、ガスケット250と面接触する様な四角形の断面形状を有するものである。なお、この第4の例では、上記面接触するものであれば、どのような多角形断面でもよく、あるいは、一方が線接触するような三角形の断面形状でも良い。
【0093】
この様に、環状部材であるガスケット250において、材質や寸法のみならず、その断面形状を変更することにより、幅広い状態に応じたバネ定数を得ることができる。ちなみに、バネ定数(mm/N)の大きさは、第1の例、第2の例、第3の例、第4の例の順に小さくなる。
【0094】
また、弾性部材としては、上記ガスケット250以外にも、図7及び図8に示すようなものであってもよい。図7は、プラグ本体部200のハウジング201先端部に自ら弾性を有する様、部分的な薄肉部251を切削加工等により直接形成している。そして、この薄肉部251と取付穴1bのテーパ座面部1dとが圧接されている。つまり、弾性部材としての薄肉部251を介して、プラグ本体部200と取付穴1bの内面とが取付穴1bの軸方向にて圧接されている。
【0095】
図8は、エンジンヘッド1自身が弾性を有する様、取付穴1bの内面から該取付穴の軸方向と交差する方向へ突出する突出部252を切削加工等により形成している。そして、この突出部252を、プラグ本体部200の軸荷重を受ける支持部として構成し、この突出部252に形成されたテーパ座面部1dとハウジングテーパ部212とを、取付穴1bの軸方向にて圧接させている。
【0096】
これら図7及び図8に示す様に、プラグ本体部(構造体)200またはエンジンヘッド1の取付穴1bの一部に弾性部材251、252を一体形成してもよく、これらの場合、装着性において、上記した別体型のガスケット方式に比べ優位となる。
【0097】
なお、上記実施形態では、燃焼圧センサ構造体として、燃焼圧センサ付きグロープラグを例にとって説明したが、本発明は、燃焼圧センサ付きグロープラグのみならず、エンジンに形成された取付穴に対して一端側を挿入して固定される構造体(例えばインジェクタ、ボルト、スパークプラグ等)と、該構造体に取り付けられてエンジンの燃焼圧に対応した信号を出力する燃焼圧センサとを備えるような燃焼圧センサ構造体に適用可能である。スパークプラグ700への適用例を図9に、インジェクタ800への適用例を図10に、ボルト900への適用例を図11に、それぞれ示す。
【0098】
図9においては、スパークプラグ(本発明でいう構造体)700は、ハウジング701に形成された取付ネジ701aによってガソリンエンジンのエンジンヘッド1の取付穴1bに取り付けられている。図10においては、ガソリンまたはディーゼルエンジンのエンジンヘッド1の取付穴1bに対して、燃料ポンプからの燃料を燃焼室1a内に噴射するインジェクタ(本発明でいう構造体)800が、固定ボルト801及び取付ネジ801aにより取り付けられている。また、図11においては、エンジンヘッド1内の燃焼室1aに露出した部材としてのボルト(本発明でいう構造体)900がエンジンヘッド1の取付穴1bに取り付けられている。
【0099】
そして、図9〜図11において、燃焼圧センサ(圧力センサ)300は、各々の構造体700〜900における取付ネジ701a、801a、901aに対して取り付けられており、これら構造体に作用する燃焼圧に伴う力を圧電素子321の圧電特性に基づく電気信号に変換することによりエンジンの燃焼圧を検出するようになっている。
【0100】
これら図9〜図11に示す例においても、各構造体700〜900と取付穴1bの内面との間には、取付穴1bの軸方向に弾性力を有するガスケット(弾性部材)250が設けられており、ガスケット250を介して、各構造体700〜900と取付穴1bの内面とは、少なくとも取付穴1bの軸方向にて圧接されている。更に、これらの例においても、上記した他の実施形態を適用できることは勿論である。
【0101】
また、上記の各構造体200、700〜900は、その外周面に形成されたネジ部201a、701a〜901aを介して取付穴1bにネジ結合されているが、例えば、これら各構造体及び取付穴にネジ部を形成せずに、別体のフランジ等を用いて、エンジンヘッドの外部から各構造体を取付穴の軸方向に押さえつけるように強固に固定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る燃焼圧センサ付きグロープラグの全体概略断面図である。
【図2】図1中のガスケットの詳細説明図である。
【図3】図1中の燃焼圧センサの詳細説明図である。
【図4】上記実施形態と従来との燃焼圧波形を比較して示す図である。
【図5】ガスケットが介在する部分の他の例を示す概略断面図である。
【図6】ガスケットの断面形状の他の例を示す図である。
【図7】ハウジングの一部を薄肉化して弾性部材を形成した例を示す概略断面図である。
【図8】エンジンヘッドの取付穴の内面を突出させて弾性部材を形成した例を示す概略断面図である。
【図9】本発明を構造体としてのスパークプラグに適用した例を示す図である。
【図10】本発明を構造体としてのインジェクタに適用した例を示す図である。
【図11】本発明を構造体としてのボルトに適用した例を示す図である。
【図12】従来の燃焼圧センサ付きグロープラグの一般的な構造示す概略断面図である。
【図13】図12に示す構造おける燃焼圧の媒体要素を示す概略断面図である。
【図14】図13に示す構造をバネ系の等価モデルに置き換えた図である。
【符号の説明】
1…エンジンヘッド、1b…取付穴、200…プラグ本体部、
250…ガスケット、251…薄肉部、252…突出部、
300…燃焼圧センサ、700…スパークプラグ、800…インジェクタ、900…ボルト。
Claims (6)
- エンジン(1)に形成された取付穴(1b)に対して一端側を挿入して固定される構造体(200、700、800、900)と、該構造体に取り付けられ該構造体に作用する燃焼圧に伴う力に基づいてエンジンの燃焼圧に対応した信号を出力する燃焼圧センサ(300)とを備える燃焼圧センサ構造体において、
前記構造体と前記取付穴の内面との間には、前記取付穴の軸方向に弾性力を有し弾性変形することで前記燃焼圧を前記構造体へ伝達する弾性部材(250、251、252)が設けられており、
この弾性部材を介して、前記構造体と前記取付穴の内面とは、少なくとも前記取付穴の軸方向にて圧接されており、
前記燃焼圧センサは、リング状にて前記構造体の外周面に設けられたネジ部(201a、701a、801a、901a)にはめ込まれており、この燃焼圧センサは、固定用のナット(310)と台座(340)とにより圧電素子部(320)を狭持したものであることを特徴とする燃焼圧センサ構造体。 - 前記弾性部材は、前記構造体(200、700、800、900)を挿入するための中空穴を有する環状部材(250)であることを特徴とする請求項1に記載の燃焼圧センサ構造体。
- 前記環状部材の断面はアルファベットのC字状であることを特徴とする請求項2に記載の燃焼圧センサ構造体。
- 前記弾性部材は、前記構造体(200)の一部を薄肉化した薄肉部(251)であり、この薄肉部と前記取付穴(1b)の内面とが圧接されていることを特徴とする請求項1に記載の燃焼圧センサ構造体。
- 前記弾性部材は、前記取付穴(1b)の内面から該取付穴の軸方向と交差する方向へ突出する突出部(252)であり、この突出部と前記構造体(200)とが圧接されていることを特徴とする請求項1に記載の燃焼圧センサ構造体。
- 前記構造体は、前記取付穴(1b)に対して軸回りに回転しつつ一端側を挿入することによりネジ結合されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の燃焼圧センサ構造体。
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