JP4314938B2 - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

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本発明は、エージング工程での歩留まりを高め、高融点の鉛フリー半田に対応可能な固体電解コンデンサの製造方法に関する。
タンタルあるいはアルミニウム等のような弁作用を有する金属を利用した電解コンデンサは、陽極側対向電極としての弁作用金属を焼結体あるいはエッチング箔等の形状にして誘電体を拡面化することにより、小型で大きな容量を得ることができることから、広く一般に用いられている。特に、電解質に固体電解質を用いた固体電解コンデンサは、小型、大容量、低等価直列抵抗であることに加えて、チップ化しやすく、表面実装に適している等の特質を備えていることから、電子機器の小型化、高機能化、低コスト化に欠かせないものとなっている。
この種の固体電解コンデンサにおいて、小型、大容量用途としては、一般に、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔と陰極箔をセパレータを介在させて巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に駆動用電解液を含浸し、アルミニウム等の金属製ケースや合成樹脂製のケースにコンデンサ素子を収納し、密閉した構造を有している。なお、陽極材料としては、アルミニウムを初めとしてタンタル、ニオブ、チタン等が使用され、陰極材料には、陽極材料と同種の金属が用いられる。
また、固体電解コンデンサに用いられる固体電解質としては、二酸化マンガンや7、7、8、8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られているが、近年、反応速度が緩やかで、かつ陽極電極の酸化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオキシチオフェン(以下、PEDTと記す)等の導電性ポリマーに着目した技術(特許文献1参照)が存在している。
このような巻回型のコンデンサ素子にPEDT等の導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成するタイプの固体電解コンデンサは、以下のようにして作成される。まず、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔の表面を塩化物水溶液中での電気化学的なエッチング処理により粗面化して、多数のエッチングピットを形成した後、ホウ酸アンモニウム等の水溶液中で電圧を印加して誘電体となる酸化皮膜層を形成する(化成)。陽極箔と同様に、陰極箔もアルミニウム等の弁作用金属からなるが、その表面にはエッチング処理を施すのみである。
このようにして表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔とエッチングピットのみが形成された陰極箔とを、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成する。続いて、修復化成を施したコンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、EDTと記す)等の重合性モノマーと酸化剤溶液をそれぞれ吐出し、あるいは両者の混合液に浸漬して、コンデンサ素子内で重合反応を促進し、PEDT等の導電性ポリマーからなる固体電解質層を生成する。その後、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに収納し、ケースの開口部を封ロゴムで封止して固体電解コンデンサを作成する。
特開平2−15611号公報
ところで、近年、上述したような固体電解コンデンサへの高電圧仕様の要求が高まっており、特に20〜30Vの高耐電圧が要求されている。しかしながら、このような高い定格電圧を有する固体電解コンデンサを得ようとすると、エージング工程においてショートの発生する割合が多く、歩留まりが低いという問題点があった。
また、近年環境問題から高融点の鉛フリー半田が用いられるようになり、半田リフロー温度が200〜220℃から230〜270℃へと更に高温化している。このように高温でのリフローを行うと、電極箔の劣化もしくは電解質層の劣化によって漏れ電流(以下、LCと記す)が増大するという問題点があった。
なお、このような問題点は、重合性モノマーとしてEDTを用いた場合に限らず、他のチオフェン誘導体、ピロール、アニリン等を用いた場合にも同様に生じていた。
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、耐電圧特性をさらに向上させて、エージング工程での歩留まりを高め、高融点の鉛フリー半田に対応可能な固体電解コンデンサの製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく、エージング工程でのショートの発生を防止すると共に、高融点の鉛フリー半田に対応可能な固体電解コンデンサの製造方法について鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、本出願人が別途特許出願している、リフロー後のLCの上昇を防止するのに顕著な効果が得られるポリイミドシリコン処理を行うと共に、さらに耐電圧を向上させて、エージング工程での歩留まりを高めるべく、重合性モノマーと酸化剤のモル比を種々変えて検討したものである。
すなわち、本発明者等は、高耐電圧品を製造する場合に、エージング工程でショートが発生する割合が高くなる原因について種々検討を重ねた結果、以下の結論に達したものである。通常、導電性ポリマーを形成した後のコンデンサ素子内には、導電性ポリマーの他に、重合反応に関与しなかったモノマーや酸化剤及びその他の反応残余物が存在している。そして、これらの導電性ポリマー以外の物質の耐電圧は導電性ポリマーの耐電圧より低いため、これらの物質が固体電解コンデンサの耐電圧を低下させていると考えられる。
そこで、本発明者等は、これらの反応残余物を減少させることにより固体電解コンデンサの耐電圧を向上させるべく検討を重ねた結果、重合性モノマーと酸化剤のモル比を適切に調整することによって、固体電解コンデンサの耐電圧を向上させることができることが判明したものである。
(固体電解コンデンサの製造方法)
本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は以下の通りである。すなわち、表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔をセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施す。その後、このコンデンサ素子をポリイミドシリコンの0.05〜20wt%、好ましくは1.5〜9wt%、さらに好ましくは2〜6wt%のケトン系溶媒に溶解した溶液に浸漬し、引き上げた後、40〜100℃で溶媒を蒸発させ、その後、150〜200℃で熱処理する。
続いて、このコンデンサ素子を、重合性モノマーと酸化剤のモル比が、酸化剤を1とした場合に4:1〜10:1、好ましくは5:1〜8:1となるように調製した重合性モノマーと酸化剤の混合液に浸漬し、コンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成する。そして、このコンデンサ素子を外装ケースに収納し、開口端部を封ロゴムで封止し、固体電解コンデンサを形成する。
(重合性モノマーと酸化剤のモル比)
重合反応時の重合性モノマーと酸化剤のモル比を種々変更して、固体電解コンデンサの耐電圧を向上させることができるか否かを調べたところ、重合性モノマーと酸化剤のモル比が、酸化剤を1とした場合に4:1〜10:1、好ましくは5:1〜8:1とすると耐電圧が上昇することが判明した。このように、重合性モノマーが多い状態で重合反応を進行させると、重合反応後に残存する酸化剤が減少するため、この酸化剤による電極箔の損傷を防止することができる。その結果、電極箔の損傷に起因する耐電圧の低下を抑制して、耐電圧特性を向上させ、エージング時の歩留まりを改善することができると考えられる。
なお、コンデンサ素子に重合性モノマーと酸化剤を含浸する方法としては、モノマーと酸化剤の混合溶液にコンデンサ素子を浸漬する方法、モノマー溶液にコンデンサ素子を浸漬した後、酸化剤溶液に浸漬する方法、コンデンサ素子にモノマー溶液を吐出した後、酸化剤溶液を吐出する方法等を用いることができる。
(ポリイミドシリコン)
ポリイミドシリコンを溶解する溶媒としては、ポリイミドシリコンの溶解性の良好なケトン系溶媒が好ましく、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン等を用いることができる。
また、ポリイミドシリコンの濃度は、0.05〜20wt%、好ましくは1.5〜9wt%、さらに好ましくは2〜6wt%である。濃度がこの範囲未満では耐圧が十分ではなく、この範囲を超えると静電容量が低下する。
(EDT及び酸化剤)
重合性モノマーとしてEDTを用いた場合、コンデンサ素子に含浸するEDTとしては、EDTモノマーを用いることができるが、EDTと揮発性溶媒とを1:0〜1:3の体積比で混合したモノマー溶液を用いることもできる。
前記揮発性溶媒としては、ペンタン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノール等のアルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物等を用いることができるが、なかでも、メタノール、エタノール、アセトン等が好ましい。
また、酸化剤としては、エタノールに溶解したパラトルエンスルホン酸第二鉄、過ヨウ素酸もしくはヨウ素酸の水溶液を用いることができ、酸化剤の溶媒に対する濃度は40〜65wt%が好ましく、45〜57wt%がより好ましい。酸化剤の溶媒に対する濃度が高い程、ESRは低減する。なお、酸化剤の溶媒としては、上記モノマー溶液に用いた揮発性溶媒を用いることができ、なかでもエタノールが好適である。酸化剤の溶媒としてエタノールが好適であるのは、蒸気圧が低いため蒸発しやすく、残存する量が少ないためであると考えられる。
(修復化成の化成液)
修復化成の化成液としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。また、浸漬時間は、5〜120分が望ましい。
(他の重合性モノマー)
本発明に用いられる重合性モノマーとしては、上記EDTの他に、EDT以外のチオフェン誘導体、アニリン、ピロール、フラン、アセチレンまたはそれらの誘導体であって、所定の酸化剤により酸化重合され、導電性ポリマーを形成するものであれば適用することができる。なお、チオフェン誘導体としては、下記の構造式のものを用いることができる。
Figure 0004314938
(作用・効果)
本発明の構成で、エージング工程でのショートの発生とリフロー後のLC変動の抑制効果が得られる理由は、以下の通りと考えられる。すなわち、修復化成後にコンデンサ素子をポリイミドシリコン溶液に浸漬することにより、酸化皮膜の表面にポリイミドシリコン層が形成され、このポリイミドシリコン層は酸化皮膜との接合性が良い、すなわち、酸化皮膜の被覆性が良好なので、酸化剤の酸化皮膜へのアタックを防止することができるので、耐圧が上昇し、初期のLCが低減される。また、このポリイミドシリコンは耐熱性が良好なので、高温リフローによっても劣化せずに耐圧特性が維持されて、リフローでのLCの上昇抑制効果が得られる。
また、コンデンサ素子に含浸する重合性モノマーと酸化剤を、重合性モノマーと酸化剤のモル比が酸化剤を1とした場合に4:1〜10:1、好ましくは5:1〜8:1となるように混合することにより、鉛フリーリフローによる耐電圧特性の劣化を防止することができると共に、エージング工程でショートが発生する割合を大幅に低減することができる。
このように、エージング工程でショートが発生する割合を大幅に低減することができる理由は、重合性モノマーが多い状態で重合反応を進行させると、残余する酸化剤が減少するため、結果的に重合反応に関与しなかったモノマーや酸化剤及びその他の反応残余物を減少させることができるためと考えられる。また、鉛フリーリフローによる耐電圧特性の劣化を防止することができる理由は、残余する酸化剤が減少するため、結果として電解質層の耐熱性が向上するためと考えられる。
本発明によれば、耐電圧特性をさらに向上させて、エージング工程での歩留まりを高め、高融点の鉛フリー半田に対応可能な固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。
続いて、以下のようにして製造した実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔に電極引き出し手段を接続し、両電極箔をセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に40分間浸漬して、修復化成を行った。その後、このコンデンサ素子をポリイミドシリコンの2wt%シクロヘキサノン溶液に浸漬し、引き上げた後、170℃で1時間熱処理した。
続いて、所定の容器に、EDTとp−トルエンスルホン酸第二鉄の45wt%ブタノール溶液を、そのモル比が6:1となるように注入して混合液を調製し、コンデンサ素子を上記混合液に10秒間浸漬してコンデンサ素子にEDTと酸化剤を含浸した。そして、このコンデンサ素子を120℃の恒温槽内に1時間放置して、コンデンサ素子内でPEDTの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成した。その後、このコンデンサ素子を有底筒状のアルミニウムケースに収納し、封ロゴムで封止し、固体電解コンデンサを形成した。
(実施例2)
EDTとp−トルエンスルホン酸第二鉄の45wt%ブタノール溶液を、そのモル比が7:1となるように注入して混合液を調製し、コンデンサ素子を上記混合液に10秒間浸漬してコンデンサ素子にEDTと酸化剤を含浸した。その他は、実施例1と同様の条件及び工程で固体電解コンデンサを作成した。
(比較例1)
EDTとp−トルエンスルホン酸第二鉄の45wt%ブタノール溶液を、そのモル比が3:1となるように注入して混合液を調製し、コンデンサ素子を上記混合液に10秒間浸漬してコンデンサ素子にEDTと酸化剤を含浸した。その他は、実施例1と同様の条件及び工程で固体電解コンデンサを作成した。
(比較例2)
ポリイミドシリコン処理を施すことなく、他の条件は上記実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作成した。
[比較結果]
上記の方法により得られた実施例及び比較例について、初期特性及びリフロー後の漏れ電流を調べたところ、表1に示したような結果が得られた。なお、リフロー試験は、ピーク温度250℃、230℃以上40秒保持の鉛フリーリフローを行った後の漏れ電流を測定した。
Figure 0004314938
表1から明らかなように、実施例1の初期のショート電圧は比較例に比べて上昇しており、特に、重合性モノマーと酸化剤のモル比が実施例1とは異なる比較例1と比べて、46Vから58Vへと10V以上も上昇した。また、初期の漏れ電流も10μAから5μAへと低減した。さらに、リフロー後の漏れ電流も比較例1と比べて15μAから7μAへと低減した。
また、実施例1とはポリイミドシリコン処理の有無が異なる比較例2と比較すると、初期の漏れ電流は10μAから5μAへと低減し、リフロー後の漏れ電流は1000μAに比べて7μAと顕著な効果が得られた。このように、重合性モノマーと酸化剤のモル比を調整するだけでなく、ポリイミドシリコン処理を施すことにより、リフロー後の漏れ電流の低減に極めて有効であることが示された。
さらに、重合性モノマーと酸化剤のモル比が異なる実施例1と実施例2を比較すると、重合性モノマーの比率が大きい実施例2の方がより良好な結果が得られた。また、このような初期のショート電圧の向上に伴って、定格電圧が25WVの固体電解コンデンサにおいて、エージング時の歩留まりが70%から95%へ大幅に改善された。

Claims (4)

  1. 陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に、重合性モノマーと酸化剤とを含浸して導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、
    前記コンデンサ素子をポリイミドシリコン溶液に浸漬した後、そのコンデンサ素子に、前記重合性モノマーと酸化剤のモル比を、酸化剤を1とした場合に4:1〜10:1とした重合液を含浸させ、前記導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 前記ポリイミドシリコン溶液の濃度が0.05wt%〜20wt%であることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 前記重合性モノマーが、チオフェン誘導体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 前記チオフェン誘導体が、3,4−エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項3に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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