JP4982027B2 - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

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本発明は、固体電解コンデンサの製造方法に係り、特に、固体電解コンデンサの等価直列抵抗(以下、ESRと記す)を低減させるべく改良を施した固体電解コンデンサの製造方法に関するものである。
タンタルあるいはアルミニウム等のような弁作用を有する金属を利用した電解コンデンサは、陽極側対向電極としての弁作用金属を焼結体あるいはエッチング箔等の形状にして誘電体を拡面化することにより、小型で大きな容量を得ることができることから、広く一般に用いられている。特に、電解質に固体電解質を用いた固体電解コンデンサは、小型、大容量、低等価直列抵抗であることに加えて、チップ化しやすく、表面実装に適している等の特質を備えていることから、電子機器の小型化、高機能化、低コスト化に欠かせないものとなっている。
この種の固体電解コンデンサにおいて、小型、大容量用途としては、一般に、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔と陰極箔をセパレータを介在させて巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に駆動用電解液を含浸し、アルミニウム等の金属製ケースや合成樹脂製のケースにコンデンサ素子を収納し、密閉した構造を有している。なお、陽極材料としては、アルミニウムを初めとしてタンタル、ニオブ、チタン等が使用され、陰極材料には、陽極材料と同種の金属が用いられる。
また、固体電解コンデンサに用いられる固体電解質としては、二酸化マンガンや7、7、8、8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られているが、近年、反応速度が緩やかで、かつ陽極電極の酸化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオキシチオフェン(以下、PEDTと記す)等の導電性ポリマーに着目した技術(特許文献1参照)が存在している。
このような巻回型のコンデンサ素子にPEDT等の導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成するタイプの固体電解コンデンサは、以下のようにして作成される。まず、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔の表面を塩化物水溶液中での電気化学的なエッチング処理により粗面化して、多数のエッチングピットを形成した後、ホウ酸アンモニウム等の水溶液中で電圧を印加して誘電体となる酸化皮膜層を形成する(化成)。陽極箔と同様に、陰極箔もアルミニウム等の弁作用金属からなるが、その表面にはエッチング処理を施すのみである。
このようにして表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔とエッチングピットのみが形成された陰極箔とを、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成する。続いて、修復化成を施したコンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、EDTと記す)等の重合性モノマーと酸化剤溶液をそれぞれ吐出し、あるいは両者の混合液に浸漬して、コンデンサ素子内で重合反応を促進し、PEDT等の導電性ポリマーからなる固体電解質層を生成する。その後、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに収納し、ケースの開口部を封ロゴムで封止して固体電解コンデンサを作成する。
特開平2−15611号公報
ところで、近年、電子情報機器はデジタル化され、さらにこれらの電子情報機器の心臓部であるマイクロプロセッサ(MPU)の駆動周波数の高速化が進んでいる。これに伴って、消費電力の増大化が進み、発熱による信頼性の問題が顕在化してきたため、その対策として駆動電圧の低減化が図られてきた。
上記駆動電圧の低減化を図るため、マイクロプロセッサに高精度な電力を供給する回路として電圧制御モジュールと呼ばれるDC−DCコンバーターが広く使用されており、その出力側コンデンサには、電圧降下を防ぐためESRの低いコンデンサが多数用いられている。このような低ESR特性を有するコンデンサとして、上述したような固体電解コンデンサが実用化され、多用されている。
しかしながら、マイクロプロセッサの駆動周波数の高速化は著しく、それに伴って消費電力がさらに増大し、それに対応するために電圧降下を防ぐためのコンデンサからの供給電力のさらなる増大化が求められている。すなわち、大きな電力を短時間で供給することができなければならず、このために固体電解コンデンサには大容量化、小型化、低電圧化と共に、さらに優れたESR特性が要求されている。
なお、このような問題点は、重合性モノマーとしてEDTを用いた場合に限らず、他のチオフェン誘導体、ピロール、アニリン等を用いた場合にも同様に生じていた。
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、ESRをさらに低減させることができる固体電解コンデンサの製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく、ESRを従来よりもさらに低減させることができる固体電解コンデンサの製造方法について鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明者は、モノマー溶液を含浸したコンデンサ素子の空隙率を80〜85%とし、酸化剤溶液の濃度を45〜55wt%とすることによって、良好な結果が得られることを見出したものである。
(固体電解コンデンサの製造方法)
本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は以下の通りである。すなわち、表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔を、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施す。続いて、このコンデンサ素子に濃度を25〜32wt%に調製した重合性モノマー溶液を含浸して、コンデンサ素子の空隙率を80〜85%とした。その後、濃度を45〜55wt%に調製した酸化剤溶液を含浸して、コンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成する。その後、このコンデンサ素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した後、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成する。
なお、重合性モノマー及び酸化剤をコンデンサ素子に含浸する方法としては、重合性モノマー溶液にコンデンサ素子を浸漬した後、酸化剤溶液に浸漬する方法、あるいはコンデンサ素子に重合性モノマーを注入した後、酸化剤溶液を注入する方法を用いることができる。
(空隙率)
モノマー溶液を含浸したコンデンサ素子の空隙率は、80〜85%が好ましい。空隙率が85%より大きいと、含浸されるモノマーの量が少なすぎて、形成される導電性ポリマーが減少するため、静電容量が低下し、ESRは増大する。一方、空隙率が80%より小さいと、含浸される酸化剤が少なく、形成される導電性ポリマーの導電性が低下するため、ESRが上昇する。
また、空隙率を上記の範囲に調整する方法は、モノマー溶液の濃度を調整することにより行う。モノマー溶液の濃度が低いと、揮発成分が多くなるため、空隙率を大きくすることができるからである。このモノマー溶液の濃度は、25〜32wt%とすることが好ましい。その理由は、モノマー溶液の濃度を25〜32wt%とすると所望の空隙率を得ることができるからである。
(EDT)
重合性モノマーとしてEDTを用いた場合、コンデンサ素子に含浸するEDT溶液としては、その濃度が25〜32wt%となるようにEDTを揮発性溶媒に溶解させたものを用いることが好ましい。
前記揮発性溶媒としては、ペンタン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノール等のアルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物等を用いることができるが、なかでも、メタノール、エタノール、アセトン等が好ましい。
(酸化剤)
酸化剤としては、エタノールに溶解したパラトルエンスルホン酸第二鉄、過ヨウ素酸もしくはヨウ素酸の水溶液を用いることができ、酸化剤の溶媒に対する濃度は45〜55wt%が好ましく、50〜55wt%がより好ましい。酸化剤の溶媒に対する濃度が高い程、ESRは低減する。なお、酸化剤の溶媒としては、上記モノマー溶液に用いた揮発性溶媒を用いることができ、なかでもエタノールが好適である。酸化剤の溶媒としてエタノールが好適であるのは、蒸気圧が低いため蒸発しやすく、残存する量が少ないためであると考えられる。
(修復化成の化成液)
修復化成の化成液としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。また、浸漬時間は、5〜120分が望ましい。
(他の重合性モノマー)
本発明に用いられる重合性モノマーとしては、上記EDTの他に、EDT以外のチオフェン誘導体、アニリン、ピロール、フラン、アセチレンまたはそれらの誘導体であって、所定の酸化剤により酸化重合され、導電性ポリマーを形成するものであれば適用することができる。なお、チオフェン誘導体としては、下記の構造式のものを用いることができる。
Figure 0004982027
(作用・効果)
上述したように、モノマー溶液を含浸したコンデンサ素子の空隙率を80〜85%とし、酸化剤溶液の濃度を45〜55wt%とすることによって、良好な結果が得られた理由は、酸化剤の含浸性、浸透性が向上し、重合の進行状態が向上して、良好な導電性ポリマーが形成されるためと考えられる。
本発明によれば、ESRをさらに低減させることができる固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。
続いて、以下のようにして製造した実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔に電極引き出し手段を接続し、両電極箔をセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に40分間浸漬して、修復化成を行った。
一方、所定の容器にEDTの30wt%エタノール溶液を注入し、ここにコンデンサ素子を浸漬してEDT溶液を含浸した後、乾燥した。この際の素子空隙率は80%であった。次いで、所定の容器に45wt%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のエタノール溶液を注入して、前記のコンデンサ素子を浸漬して酸化剤溶液を含浸し、120℃、60分加熱して、コンデンサ素子内でPEDTの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成した。
そして、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した。その後に、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成した。
(実施例2)
素子空隙率を80%、酸化剤溶液の濃度を50wt%とした。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
(実施例3)
EDT溶液の濃度を25wt%として、素子空隙率を85%とした。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
(実施例4)
EDT溶液の濃度を25wt%として、素子空隙率を85%とし、酸化剤溶液の濃度を55wt%とした。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
(比較例1)
EDT溶液の濃度を38wt%として、素子空隙率を75%とし、酸化剤溶液の濃度を55wt%とした。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
(比較例2)
EDT溶液の濃度を10wt%として、素子空隙率を95%とし、酸化剤溶液の濃度を55wt%とした。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
[比較結果]
上記の方法により得られた実施例及び比較例について、ESRを調べたところ表1に示すような結果が得られた。
Figure 0004982027
表1から明らかなように、空隙率を80〜85%とした実施例1〜4はいずれも、比較例1、2に比べてESRが低減した。特に、酸化剤溶液の濃度が55wt%と同一である実施例4と、比較例1、2とを比べると、実施例4のESRは比較例1の約76%、比較例2の55%に低減した。
次に、空隙率が80%と同一である実施例1と実施例2とを比べると、酸化剤溶液の濃度が高い実施例2の方が、ESR特性は良好であった。また、空隙率が85%と同一である実施例3と実施例4とを比べると、酸化剤溶液の濃度が高い実施例4の方が、ESR特性は良好であった。
また、酸化剤溶液の濃度が45wt%と同一である実施例1と実施例3とを比べると、空隙率が大きい実施例3の方が、ESR特性は良好であった。

Claims (2)

  1. 陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に、揮発性溶媒に重合性モノマーであるチオフェン誘導体を25〜32wt%溶解した重合性モノマー溶液を含浸した後、乾燥して、重合性モノマー溶液を含浸したコンデンサ素子の空隙率を80〜85%とし、このコンデンサ素子に、濃度を45〜55wt%とした酸化剤溶液を含浸して、導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成する固体電解質コンデンサの製造方法。
  2. 前記チオフェン誘導体が、3,4−エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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