JP4334065B2 - 抗体のフレームワーク領域から誘導される物質によるイムノアッセイの干渉の減少 - Google Patents

抗体のフレームワーク領域から誘導される物質によるイムノアッセイの干渉の減少 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サンプル中のアナライト、特に腫瘍マーカーの検出のための免疫学的方法に関し、該方法においては、検出される抗体または免疫療法もしくはシンチグラフィーのために使用される抗体の可変ドメインのフレームワーク領域に由来するペプチド配列を含む物質を試験調製物に加えるものである。本発明はまた、イムノアッセイの干渉を減少させるためのそのような物質の使用、抑制剤及びそのような物質によるイムノアッセイの干渉を減少させるための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
診断の分野において、特に免疫学的検出方法は近年非常に重要になってきている。これらの方法により生体試料中のアナライトを検出することができる。これらのアナライトは例えば医療用薬剤、ホルモン、タンパク質、感染症要因物質、微生物、これらのアナライトに対する抗体等である。特に癌疾患の診断においては、疾患に応じて腫瘍抗原または腫瘍マーカー、例えばCEA(癌胚抗原)、PSA(前立腺特異的抗原)またはCA 125等を免疫学的に検出する。
【0003】
免疫学的検出反応はいずれも検出される物質(アナライト)と、アナライトと特異的に反応するかまたはそれに特異的に結合する少なくとも1種の特異的結合パートナーとの間の特異的結合を含む。アナライト及び特異的結合パートナーは、一般に抗原と抗体または抗体フラグメントとの複合体である特異的結合対を形成する。1種より多いアナライトまたは1種より多い結合パートナーは各反応において互いに反応することができる。
【0004】
これらの特異的結合反応を検出する方法としていくつかの可能性がある。一般には、特異的結合反応の結合パートナーの1つを標識する。通常の標識はクロモゲン、蛍光団、化学的または電気化学的発光が可能な物質、放射性同位体、ハプテン、酵素標識または別の特異的結合対を形成することができる物質、例えばビオチン/ストレプトアビジンである。
【0005】
イムノアッセイの重要な問題は、イムノアッセイの特異的結合パートナーとサンプル成分との間に起こり得る非特異的結合反応及び望ましくない相互作用である。そのような相互作用は一般にバックグラウンドシグナルを増加させ、シグナルの変化をより大きいものとし、従って対応する試験の感度と特異性と低下させる。非特異的相互作用のために起こる干渉の種類により偽陽性または偽陰性の結果が生じ得る。
これは、干渉因子がヒト血清に存在し、特に結合パートナーとして頻繁に使用されるイムノアッセイの免疫グロブリン試薬と相互に作用する場合にもあてはまり、従ってイムノアッセイに影響を与え得る。特に2種のモノクローナル抗体を使用するイムノアッセイにおいて、患者をさらに治療するにあたって重大な結果を招くような大きな測定誤差が起こり得る(Kinders及びHass (1990) Eur. J. Cancer 26 (5), 647-648; Boscato及びStuart (1988) Clin. Chem. 34 (1), 27-33)。
これらの干渉因子の多くはHAMA(ヒト抗マウス抗体)に分類され得、これは試験されるサンプル中に存在する抗体であり、試薬として使用される特異的な抗体に対するものである。HAMA干渉の呼称は、マウス免疫グロブリンとの接触によっておこるものではない抗体干渉、またはマウス免疫グロブリンに厳密に特異的でない抗体干渉について使用されることも多い。このHAMA干渉により、アナライトが存在しないにもかかわらず、例えば、通常のサンドイッチ検定において、固相に結合した抗体の標識された検出される抗体との非特異的架橋が起こり得る。そしてその結果として偽陽性シグナルが生じる。
【0006】
この問題はより重大なものとなっており、これは最近腫瘍の診断と治療において免疫シンチグラフィーがますます頻繁に使用されるようになっていることによる。この目的のために放射能により標識されたモノクローナル抗体が患者の血流中に注射される。そして標識された抗体は関連する腫瘍組織に特異的に結合する。その後に放射能を例えばシンチレーションカメラにより測定することにより、腫瘍の位置を正確に決定することができる。免疫学的刺激療法は、モノクローナル抗体によるものについても、患者の組織中の腫瘍の制御のための腫瘍特異的抗体の形成を刺激するために頻繁に使用されている。
これらの方法を使用する場合、上記したように、非常に高く部分的に非常に特異的なHAMA力価が高い頻度で患者血清中に生じる(例えばKath. et al. (1996) Oncology 2, 287-296; Holz et al. (1996) Clin. Immunther. 5 (3), 214-222; White et al. (1997) Europ. J. of Cancer 33(5), 40; Baum et al. (1993) Hybridoma 12(5), 583-589; Donnerstag et al. (1995) Int. J. Oncology 6, 853-858; Livingston et al. (1995) Vaccine Research 4(2), 87-94; Jeweid et al. (1996) Cancer 78 (1), 157-168参照)。それらはまた、キメラ抗体を使用する試験においても干渉を引き起こし得る。ドイツで結腸癌の腫瘍治療において承認された抗体の重要な例は抗体17-1Aであり市販品としてはPanorexという名称が付けられている(Kath et al. (1996)、上出; Holz et al. (1996)、上出)。さらに、臨床試験において使用されている抗体のリストには、承認される可能性が非常に高い抗体を含む多くの別の治療剤が含まれている。CEA、CA125及びCA72.4に対する抗体が免疫学的シンチグラフィーにおいてすでに臨床的に使用されており、やはり使用される頻度が高まるであろうと予想されている。
【0007】
これらの干渉因子の最新技術による除去には、試験において試薬として使用される抗体と同じ動物種の系統から誘導された非特異的免疫グロブリンまたはそのフラグメントがよく使用される。すなわち、代替の結合部位が干渉因子に提供され、そこにそれらが取り込まれ、アナライトと抗体の間の特異的免疫反応が阻害されないようにすることができる。試薬としてモノクローナルマウス抗体を使用するイムノアッセイにおける非特異的反応の除去のためのマウスまたはラットそれぞれの血清、及び腹水の添加がEP-A-O 174026に記載されている。そのような干渉を回避する別の可能性は、マウスから誘導された精製モノクローナルFabフラグメントまたはIgG分子の添加であり、これは米国特許第4,914,040号によれば、特に重合された形態で良好な抑制効果を発揮するとされている。
【0008】
CEAの検出についての偽陽性反応を避けるために、異なるクラスのIgG分子(IgG1、IgG2a、IgG2b)の混合物の添加がWO 91/16627において推奨されている。しかし、既知量で一定の品質を有する種々の免疫グロブリン調製物を用意することは多くの実験時間を必要とし、またこれは主として抗体の定常領域に関するものである。
【0009】
抗体の定常部における干渉ポテンシャルの減少は、そのままの免疫グロブリンの代わりにFabフラグメントを使用することによっても得られ、これは主として起こるFc干渉はこの場合Fc部の欠損のために起こる機会がないからである。最適な形態は、1つのマウス及び1つのヒト部分からなるFv領域を有するヒト化抗体であり、可変部においても干渉に対する感受性をさらに減少させ得る(Kuroki et al. (1995) J. of Immunolog. Methods 180, 81-91)。可変マウス領域とヒト定常領域を有するキメラ抗体の使用も、診断試験における干渉に対する感受性を低下させ得る。
【0010】
最新の技術によれば、タンパク質、及び特に検出試薬として使用される抗体と免疫学的に関連する抗体を添加して、検出におけるアナライトの非特異的な増加または減少した値を回避することも記載されている(EP-A-O 296 544)。使用される試薬抗体に加えられる抗体の類似性により、これらの抗体に干渉する物質が選択的に捕捉される。抑制抗体を提供するために、使用される試薬抗体の抗原結合構造を切断するか、相補的な抗原構造により抗原結合構造をブロックするか、突然変異によって使用される試薬抗体の抗原構造を変えるか、または同じサブクラスの抗イディオタイプ抗体を使用することがEP-A-O 296 544において推奨されている。
しかし、最新技術の方法によっても、それまでに免疫療法により治療された患者のサンプルにおいて観察される干渉を過度の実験なしに排除することはできず、適用された治療抗体により非常に個別的である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、アナライトの検出、特に腫瘍マーカーの検出のための改善された方法であって、HAMAのような非特異的物質による干渉を大幅に回避し、最新技術の方法より優れた方法を提供することであった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この目的は、サンプル中のアナライトの検出のための新規な免疫学的方法によって達成され、該方法においては、干渉を減少させるために、検出抗体または免疫学的療法もしくはシンチグラフィーに使用される抗体の可変ドメインのフレームワーク領域から誘導されるペプチド配列を含む物質が試験調製物に加えられる。
特に、使用される物質は、イムノアッセイにおいて試薬として使用される特異的検出抗体の少なくとも1種のFv領域にある配列及び/または構造的特徴を含み、または治療/免疫シンチグラフィーの配列に対応する配列及び/または構造的特徴を含み、HAMAによる干渉をほぼ完全に回避する。使用する物質が特異的な1種以上の抗体の重鎖のフレームワーク1またはフレームワーク3に存在する配列または構造的特徴を含む場合、特に良好な抑制効果が観察できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
さらに説明するため、図1に種々の抗体の可変領域の重鎖配列を上から下に並べたものを挙げる。フレームワーク領域1(アミノ酸位置1〜30)においては挙げた腫瘍抗体(OC125、B72.3、CD4及びPSA-M66)の間で非常に高い相同性が見られ、広範囲に同一性さえも見られる。フレームワーク領域3(アミノ酸位置69〜100)についても同様である。この場合、単一の腫瘍抗体の可変領域の重鎖配列における相同性の程度も高い。しかし、腫瘍抗体の配列と、非腫瘍抗体MAB33及びTSH抗体(TSH=甲状腺刺激ホルモン)のフレームワーク領域1及び3のそれぞれの配列との間の相同性は同等に低い。抗体B72.3は、Xiang et al. 1990, Mol. Immunol. 27, p 809-817並びにJ. Immunology (1993), 151, 6559-6568に記載され、抗体MAB33は、Buckel et al. 1987, Gene 51, 13-19に記載されており、抗体TSH-A8はEP-A-O 378 175に、抗体OC125はTumor Biology (1996), 17, (1996), 196-219及び325-331、並びにHybridoma (1994) 13(5) 359-365に記載されている。
【0014】
最新の技術によれば、抗体の免疫学的関連は、抗体の可変領域における配列相同性に帰するとは認められていない。特に免疫学的シンチグラフィーまたはやはり腫瘍抗原指向モノクローナル抗体による免疫学的刺激療法により非常に高く特異的なHAMA力価を示す患者サンプルにおけるHAMA干渉については、本発明の溶液は最新の技術のものよりも優れており、これはそのようなモノクローナル抗体による治療が、特に種々の腫瘍マーカー試験において試験されるサンプル中で、イディオタイプによるものではないが、それらの間では類似した特別なHAMA干渉を生じることによる。
【0015】
抗体のフレームワーク領域は分子の可変部(Fv)に位置するが、抗原結合には実際には参加しない。これらは抗体の可変部の特徴的な折り畳みに必須であり、抗原結合部位のフレームワークと構造を維持する(例えばRoitt et al. (1989) Immunology, Gower Medical Publishing, London, New York, chapter 7, Antigen Recognitionを参照)。
【0016】
本発明の方法のためには、抑制物質として抗体が好ましく使用される。抗体及びそのフラグメントであって、それらのフレームワーク領域のアミノ酸配列が、試薬として使用される検出抗体または治療もしくは免疫学的シンチグラフィーに必要とされる抗体の配列に対応するものであるものの使用が非常に適していることが判明した。
【0017】
モノクローナル抗体B72.3(J. Immunology (1993), 151, 6559-6568)及びOC125 (Tumor Biology (1996), 17, 196-219及び325-331; Hybridoma (1994) 13(5), 359-365)が干渉を減少させるために特に好ましく使用される(ISOBM report: Tumor Biology 1996; 17:196-219も参照)。抗体B72.3及びOC125のものに等価な構造的特徴または結合特性を示す抗体も干渉の減少のために使用することができる。
使用する抗体の抑制効果には、フレームワーク領域1または3におけるアミノ酸配列及び折り畳み構造が必須である。それは図1に挙げた配列に対応するか、少なくともそれに非常に相同なものでなければならない。抑制抗体を使用したときに抑制効果が観察することができる場合、相同性は十分なものとされる。原則として、フレームワーク領域1及び/または3において、配列番号1〜8に挙げたアミノ酸配列のうちの1種を有する抗体はいずれも干渉を減少させるのに適している。干渉の減少のために使用する抗体の起源と生産は任意に選択することができる。モノクローナル抗体は、腹水原料から得ることができ、または当業者に公知の方法に従ってバイオリアクター中で製造することができる。
抑制抗体は検出抗体と同じ生物から誘導することができるが、そうしなければならないということはない。
【0018】
本発明によれば、特に腫瘍マーカーの検出方法において、HAMA干渉を大幅に減少させ得る。腫瘍抗原はそのアミノ酸配列及び構造においてかなり異なっており、従って本発明の抑制剤による種々の腫瘍マーカー試験の干渉の減少は驚くべきことである。驚くべきことに、それどころか1種の配列相同試薬により種々の腫瘍マーカー試験における干渉を抑制することが可能である。従って本発明の主題の1つは、干渉が減少した腫瘍マーカーの検出のための免疫学的方法であって、該方法は、検出される抗体または免疫療法もしくはシンチグラフィーのために使用される抗体の可変ドメインのフレームワーク領域から誘導されるペプチド配列を含む少なくとも1種の物質、好ましくは抗体を試験調製物に添加することによる。
腫瘍マーカーCA125、CA15-3、CA19-9、CEA、PSA(遊離及び複合体の形態)及びAFPの検出は、好ましく抑制される試験に属する。本発明によれば、腫瘍疾患に関連しないアナライト、例えば心臓血管疾患マーカー(トロポニンT またはミオグロビン)を検出する方法においても非常によく抑制される。
【0019】
用語「抗体」は、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体を意味する。これは抗体全体、並びにイムノアッセイ及びその他の用途に通常使用されるそれらのフラグメント、例えばF(ab)'2、Fab'またはFabフラグメントも意味する。抗体は当業者に公知の方法により生産され、また例えば遺伝子操作によって生産された抗体であってもよい。干渉の減少のために使用する全ての物質が検出抗体の可変ドメインFvのフレームワーク領域から得た1種のペプチド配列を含むことが重要である。
【0020】
用語「検出抗体」は、検出試薬として試験で使用される免疫グロブリン及びそのコンジュゲートをいう。通常のサンドイッチアッセイの場合、固相に結合され、アナライトに特異的に結合する抗体、ならびに一方でアナライトに特異的に結合し、他方で標識を有する検出抗体が検出抗体に属する。標識の検出に別の抗体が必要である場合(例えば酵素標識された抗ジゴキシゲニン抗体で検出されるジゴキシゲニン標識の場合等)、これらも検出抗体という。
【0021】
本発明によれば、フレームワーク領域の1またはいくつかのフラグメント、特に免疫グロブリン重鎖のFvドメインのフレームワーク領域1及び3のフラグメントも抑制物質として使用することができる。これらのフラグメントは、好ましくは、無傷の抗体の酵素消化、または当業者に公知の方法による化学反応で合成することができるペプチドである。
MAB OC125、B72.3、PSAまたはCD4のフレームワーク領域1及び3からのペプチド配列を含むペプチドは、免疫学的方法の干渉の減少のために使用する物質として適している。
【0022】
フレームワーク領域1から:
QVQLQQSGPEASVKMSCKASGYIFT(配列番号1、MAB OC125から)
QVQLQQSDAEASVKISCKASGYTFT(配列番号2、MAB B72.3から)
QVQLQQSGAEASVKISCKATGYTFS(配列番号3、MAB <PSA>M66から)
QVHLQQSGPEPSVKMSCKASGYTFT(配列番号4、MAB <CD4>から)
フレームワーク-領域3から;
RATLTVDKSSSTAYMQLNSLT(配列番号5、MAB OC125から)
KATLTADKSSSTAYMQLNSLT(配列番号6、MAB B72.3から)
RATFTADSSSNTAFMEFGSLT(配列番号7、MAB <PSA>M66から)
KAILTADKSSSTAYMEFSSLT(配列番号8、MAB <CD4>から)
【0023】
少なくとも6つのアミノ酸長を有する前に挙げたペプチドの部分配列も干渉を減少させるのに適している。これらのペプチド配列は、単離された形態で存在する必要はない。これらはまた、抗体の可変部から誘導されたものではない別のアミノ酸配列が隣接していてもよい。また、これらのペプチドは炭水化物または脂質残基が隣接していてもよい。ただし、修飾条件は、抑制効果が維持され、修飾自体がイムノアッセイにおいて干渉を引き起こさないものである。
【0024】
また、干渉を減少させるために使用するペプチドが対応する配列をいくつか含み、すなわち多量体形態であり、従ってポリハプテンとして使用することができるということも考えられる。これはポリハプテンの製造のために本発明のペプチドをいくつか1つの担体に結合することを意味する。異なる本発明のペプチドを1つの担体に結合することもできる。それ自体免疫学的反応に参加しない巨大分子、例えばウシ血清アルブミンのようなより大きいタンパク質、ラテックス粒子、ポリスチレン、金またはデキストランを担体として使用することができる。ポリハプテンの製造はWO 96/03652に記載された方法に類似したものとし得る。
【0025】
本発明の干渉を減少させるための物質の利点は、HAMA干渉の除去のための時間とコストのかかるサンプルの前処理、例えばPEG沈降、プロテインA/Gクロマトグラフィー、熱処理等を省略することができるということである。
【0026】
本発明によれば、試験手順及び試験フォーマットは、原則として任意に選択できる。当業者に公知の均質及び不均質法が考えられる。好ましい試験フォーマットは、固相に直接または間接的に結合される1種の特異的結合パートナーを使用する不均質フォーマットである。腫瘍マーカー試験において好ましく使用されるサンドイッチフォーマットにおける通常の抗原検出がその例として挙げられる。サンドイッチフォーマットにおいては、アナライト(本発明の場合は抗原)が固相に結合した抗体と標識抗体との間にサンドイッチのように結合される。標識は、液相から固相を分離した後、いずれかの相において検出される。
【0027】
別の不均質試験法の例は、固相に結合した抗原に結合したアナライト抗体の間接的な検出である。この場合抗体は、標識された別の抗体がアナライト抗体に結合することによって検出される。
【0028】
本発明により抑制することができる別の試験フォーマットは、互いに特異的な2種の結合パートナーまたは抗体によって形成される1種の固相結合した複合体による競合的な試験手順であり、この場合、固相に直接結合されないパートナーが標識される。試験の要請に従い抗原または抗体であるアナライトは、その濃度に従い複合体において標識された結合パートナーを置換する。固相を液相から分離した後に、標識をいずれかの相において検出する。この場合も、本発明の抑制物質は、検出試薬として使用される結合パートナー/抗体に対する干渉サンプル物質の非特異的な結合をブロックし、可能な限り誤った試験結果を回避する。
干渉を減少させるために使用されるサンプル調製物における抗体の最大濃度は、抗体の水性溶媒中の溶解性のみによって決まる。約10μg/ml〜40μg/mlの最小濃度、及び約2 mg/ml、好ましくは250 μg/mlの上限の抗体が適当であることが判った。
【0029】
本発明の物質の他に、必要に応じて別の抑制手段を使用することができる。そのような手段の1つは、例えばMAB33(Boehringer Mannheim社、ドイツ、番号1200 941)の添加、または同じ効果を有する他の抗体、ポリMAB33(ポリマーマウスlgG、Boehringer Mannheim社、ドイツ、番号1368 338)、RSA、塩、界面活性剤等の添加である。
【0030】
液相における試験試薬によるいわゆる湿式試験の他に、アナライトの免疫学的検出に適当な他の通常の乾式試験フォーマットはいずれも使用することができる。例えばEP-A-9 186 799に記載されたようなこれらの乾式試験または試験ストリップにおいては、試験成分を1つの担体上に適用する。この場合、免疫学的反応の前に本発明の抑制剤を乾燥した試験ストリップに適用する。
【0031】
好ましくは、本発明の抑制剤は、できるだけ早く該抑制剤と干渉非特異的物質との反応を可能とするために、検出試薬として使用される結合パートナーよりも前またはそれと同時にサンプルに加えるべきである。
【0032】
当業者に公知の通常の生物学的な液体はいずれも本発明により抑制されるイムノアッセイのサンプルとして使用することができる。サンプルとして好ましい物質は、全血、血清、血漿、尿、唾液等の体液である。
【0033】
本発明の別の主題は、検出される抗体または免疫療法もしくはシンチグラフィーのために使用される抗体の可変ドメインのフレームワーク領域から得たペプチド配列を含む少なくとも1種の物質を含む抑制剤である。抑制剤の別の成分として、当業者に公知の緩衝液、塩及び界面活性剤が挙げられる。抑制薬は、液体、水性剤または凍結乾燥品の形態とすることができる。
【0034】
本発明の別の主題は、イムノアッセイの干渉を減少させるための方法であって、該方法において特にHAMA効果の抑制のために、検出される抗体または免疫療法もしくはシンチグラフィーに使用される抗体の可変ドメインのフレームワーク領域から得たペプチド配列を含む物質を試験調製物に加える。
【0035】
【実施例】
本発明を以下の実施例によりさらに説明する。
〔実施例1〕
種々の抑制試薬によるCA125試験の干渉の減少
CA 125の検出は、Boehringer Mannheim社、ドイツのEnzymun-Test(登録商標) CA 125 II(番号1 289 004)にパッケージされた説明書に従って行う。試験原理は、ストレプトアビジン法に基づく1段階サンドイッチELISAである。CA125上の異なるエピトープを特異的に認識する2種のCA125特異的モノクローナル抗体を使用する。抗体の1つをビオチンで標識し、他の抗体をペルオキシダーゼで標識する。ビオチン化抗CA125抗体とペルオキシダーゼ(POD)で標識された抗CA125抗体を含むインキュベーション溶液とともに、サンプルをストレプトアビジンで被覆したプラスチックチューブに入れる。インキュベーションの間にビオチン化抗体は固相に結合する。サンプル中に存在するCA125はビオチン化抗体に結合する。PODで標識された抗体は、ビオチン化抗体に結合したCA125に結合する。
固相に結合したサンドイッチ複合体は、洗浄段階の後に指示反応によって検出する。このためにABTS(登録商標、2,2'-アジノ-ジ-[3-エチル-ベンゾチアゾリン-スルホン酸(6)]-ジアンモニウム塩)及びH202を含む基質-クロモゲン溶液を調製物に加える。ペルオキシダーゼの酵素活性により、そして結合したPOD標識抗体の量に従い色素が形成され、これを測光測定する。
ビオチン化抗体とともに、40μg/mlの最新技術の種々の抑制剤及び比較のため、本発明の抑制試薬を試験調製物に加える。
【0036】
以下の物質、例としての本発明の溶液、MAB B72.3(無傷のIgG)、Trina社のHAMA抑制試薬(マウスIgG)、Scantibodies社のHAMA抑制試薬(HBR、モノクローナル抗ヒトIgM)、Boehringer Mannheim社,ドイツ、の抑制試薬MAB33(番号1 200 941)、Boehringer Mannheim社,ドイツ、の抑制試薬pMAB33(番号1 096 478)を抑制試薬として使用し、並びにPSA、AFP及びCEAに対する3種の腫瘍マーカー抗体を使用する。
【0037】
免疫シンチグラフィーを受けた卵巣癌患者の血清サンプル、並びに市販品として利用可能なHAMAパネル及び健康被検者の正常な血清(NS)の1つをサンプルとして使用する。表1は、種々の抑制試薬を添加したCA125試験の測定値を示す。1 POD単位(1 U)は25℃及びpH 5において1分間で1 μmolのABTSを酸化する酵素活性に相当する。
【0038】
【表1】
Figure 0004334065
【0039】
抑制試薬なしでは、CA125試験は陽性の測定値を示すが、これは偽陽性値である。モノクローナル抗体B72.3を使用した場合に最高のHAMA抑制、すなわち最も低い測定値が得られる。本発明による抑制剤はこのように明らかに最新技術のものよりも優れている。腫瘍マーカー抗体中では、配列相同性と同様に、PSA抗体が干渉の減少に最も適しているものであることが判った。
【0040】
〔実施例2〕
<CD4> M3-10、MAB33及びPanorex抗体によるCA125試験の干渉の減少
実施例1と同様にCA125の検出を行う。比較のために本発明の抑制試薬(ここではMAB B72.3)及び実施例1のように重合したもの及び重合していないMAB33、抗体<CD4> M3-10及びPanorex抗体を抑制試薬として使用する。抑制試薬は40μg/mlの濃度で加える。
【0041】
【表2】
Figure 0004334065
%R:抑制試薬の添加なしの試験に対する得られた回収量の百分率
TMC1及びTMC2: Boehringer Mannheim社,ドイツ、の腫瘍マーカー対照(番号1 489 666)、AFP、CEA、PSA、遊離PSA、CA125等を含む、2つの必要な値を有するヒト血清に基づく対照血清。
【0042】
配列が相同の<CD4>抗体を使用した場合、抗体B72.3と同等の抑制が得られるが、配列相同性がより低いPanorex抗体はかなり低い抑制効果(小さいシグナル減少のみ)を有することが示されている。さらに、最新技術の抑制試薬の効果はかなり低いことが明らかである。
【0043】
〔実施例3〕
種々の抑制試薬によるCEA試験の干渉の減少
CA125試験に加えて抑制効果の第二の判定基準を得るためにBoehringer Mannheim社のCEA-Enzymun(登録商標)試験(番号1448021)をマトリックスとして選択した。方法はパッケージされた説明書に記載される手順に従って行う。CA125試験におけるのと同様に、試験原理はやはりビオチン-ストレプトアビジン技術に基づく1段階サンドイッチELISAである。CEA上の異なるエピトープを認識する2種のCEA-特異的モノクローナル抗体を使用する。抗体の1つをビオチンで標識し、他方をペルオキシダーゼで標識する。ビオチン化抗CEA抗体とペルオキシダーゼ(POD)で標識された抗CEA抗体とを含むインキュベーション溶液とともに、サンプルをストレプトアビジンで被覆したプラスチックチューブに入れる。インキュベーションの間にビオチン化抗体は固相に結合する。サンプル中に存在するCEAはビオチン化抗体に結合する。PODで標識された抗体は、ビオチン化抗体に結合したCEAに結合する。
【0044】
固相に結合したサンドイッチ複合体の検出は、実施例1及び2に記載した指示反応により行う。
実施例1及び2で挙げた試薬並びにOC125抗体を抑制試薬として使用する。それらは10μg/mlの濃度で加える。
【0045】
【表3】
Figure 0004334065
【0046】
本発明の抑制試薬MAB B72.3及びOC125で得られる結果はほぼ同等なものである。いくつかのアミノ酸を除いて、これらの2つの抗体はフレームワーク領域1及び3において配列が相同である。最新技術による抑制効果の結果は明らかに劣っている。
【0047】
〔実施例4〕
種々の試験系の干渉の減少
比較のため、種々の腫瘍マーカー試験を示す。Enzymun(登録商標)試験法(実施例1〜3参照)に基づくものと、Boehringer Mannheim社のElecsys(登録商標)法に基づくものである。全ての検出について、Elecsys(登録商標)法は、実施例3と同様に、アナライト(腫瘍マーカー)の上の異なるエピトープを認識する2種の抗体を使用する1段階サンドイッチ原理に基づくものである。固相は、ストレプトアビジンで被覆された磁気ラテックスビーズで形成され、これに腫瘍マーカーに特異的なビオチン化抗体が結合される。結合した腫瘍マーカーは、液相から固相を分離した後に、ルテニウム錯体で標識した第2の腫瘍マーカー特異的抗体から生じる電気化学的発光を測定することにより検出する。
【0048】
ここでは、本発明の溶液の抑制効果を以下の種々のEnzymun(登録商標)及びElecsys(登録商標)試験、すなわちCEA-Enzymun(登録商標)(番号1448021); CEA Elecsys(登録商標)(番号1731629); CA125 Enzymun(登録商標)(番号1289004); CA125 Elecsys(登録商標)(番号1776223); AFP Elecsys(登録商標)(番号1731327); PSA 全Enzymun(登録商標)(番号1555332); PSA全Elecsys(登録商標)(番号 1731262); PSA遊離Enzymun(登録商標)(番号1776444); PSA遊離Elecsys(登録商標)(番号1820800)で試験した。
抑制試薬MAB B72.3は、40μg/mlの濃度で加える。
サンプルは、免疫療法またはシンチグラフィーからの高力価HAMA血清である。
【0049】
【表4】
Figure 0004334065
Enz.= Enzymun(登録商標)
ECL=Elecsys(登録商標)
【0050】
CA125を使用する両方の試験で、B72.3の添加によるHAMA干渉のかなりの減少が示される。
干渉ポテンシャルはAFP、全及び遊離PSAでも減少する。しかし遊離PSAの場合のElecsys(登録商標)試験の干渉感受性はEnzymun(登録商標)よりも高い。このように抑制効果は試験系に関係なく示される。
【0051】
〔実施例5〕
トロポニン-T及びミオグロビン試験における干渉の減少
また、腫瘍マーカー以外のその他のパラメーターを用いて抑制効果を示すため、心血管マーカートロポニンT(番号1 731 351)、及びミオグロビン(番号1 820 788)を選択する。
試験原理は、実施例4に記載したするElecsys (登録商標)試験に基づくものである。アナライト(トロポニンT及びミオグロビン)上の異なるエピトープを認識するトロポニンT及びミオグロビンのそれぞれに対する2種のモノクローナル抗体を使用する。モノクローナル抗体の一方をビオチンで標識し、他方をルテニウム錯体により標識し、その電気化学的発光を測定する。
抑制試薬MAB B72.3は100 μg/mlで試験調製物に加える。
【0052】
【表5】
Figure 0004334065
【0053】
ここでもB72.3の添加によりシグナルが著しく低下し、偽陽性測定が回避されている。従って、腫瘍マーカー以外のマーカーについての本発明の抑制試薬の用途が示されている。
【0054】
【発明の効果】
本発明により、アナライトの検出、特に腫瘍マーカーの検出のための改善された方法が提供される。
【0055】
【配列表】
Figure 0004334065
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Figure 0004334065
Figure 0004334065
【0056】
【配列表フリーテキスト】
配列番号1:MAB OC125のフレームワーク領域1からのペプチド配列。
配列番号2:MAB B72.3のフレームワーク領域1からのペプチド配列。
配列番号3:MAB <PSA>M66のフレームワーク領域1からのペプチド配列。
配列番号4:MAB <CD4>のフレームワーク領域1からのペプチド配列。
配列番号5:MAB OC125のフレームワーク領域3からのペプチド配列。
配列番号6:MAB B72.3のフレームワーク領域3からのペプチド配列。
配列番号7:MAB <PSA>M66のフレームワーク領域3からのペプチド配列。
配列番号8:MAB <CD4>のフレームワーク領域3からのペプチド配列。
配列番号9:MAB OC125の可変領域の重鎖のペプチド配列。
配列番号10:MAB B72.3の可変領域の重鎖のペプチド配列。
配列番号11:MAB CD4の可変領域の重鎖のペプチド配列。
配列番号12:MAB PSA-M66の可変領域の重鎖のペプチド配列。
配列番号13:MAB33の可変領域の重鎖のペプチド配列。
配列番号14:MAB TSH-A8の可変領域の重鎖のペプチド配列。
【図面の簡単な説明】
【図1】 種々の抗体の可変領域の重鎖の配列を示す。

Claims (5)

  1. 配列番号1〜8のペプチド配列または少なくとも6アミノ酸長を有するその部分配列を含む、抗体もしくはそのフラグメント、またはペプチドである物質を、サンプルから調製した試験調製物に添加して、イムノアッセイの干渉を減少させることを特徴とする、サンプル中のアナライトを検出するための免疫学的方法。
  2. アナライトが腫瘍マーカーである、請求項1に記載の方法。
  3. イムノアッセイの干渉を減少させるための、検出される抗体の可変ドメインのフレームワーク領域に由来するペプチド配列を含む物質の使用であって、該物質が配列番号1〜8のペプチド配列または少なくとも6アミノ酸長を有するその部分配列を含む、抗体もしくはそのフラグメント、またはペプチドである、前記使用。
  4. 配列番号1〜8のペプチド配列または少なくとも6アミノ酸長を有するその部分配列を含む、抗体もしくはそのフラグメント、またはペプチドである物質を試験調製物に加える、イムノアッセイの干渉を減少させるための方法。
  5. 配列番号1〜8のペプチド配列または少なくとも6アミノ酸長を有するその部分配列を含む、抗体もしくはそのフラグメント、またはペプチドである少なくとも1種の物質を含む、イムノアッセイの干渉を減少させるための抑制剤。
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