JP4339699B2 - アーテミシア・アニュア(Artemisia annua)からアーテミシニン(artemisinin)を単離する方法 - Google Patents

アーテミシア・アニュア(Artemisia annua)からアーテミシニン(artemisinin)を単離する方法 Download PDF

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Description

本発明はアーテミシア・アニュア(Artemisia annua)植物の薬草から抗マラリア剤であるアーテミシニンを単離する方法に関する。この方法は、該薬草をエタノールで抽出する工程、該抽出物を水とヘキサンに分配する工程、続いてヘキサン相からアーテミシニンを蒸発結晶化して実質的に純粋なアーテミシニンを生産する工程から成る。
アーテミシニン(キンハオス)は強力な抗マラリア活性を有するセスキテルペン・ラクトン・エンドペルオキシドである(非特許文献1を参照)。アーテミシニン並びにその半合成誘導体であるアーテムエーテル(artemether)、アーテスネート(artesunate)及びアーテエーテル(arteether)などについての臨床研究は、重症の合併症を伴うマラリア、多剤耐性マラリア及び脳マラリアを含むマラリアの治療に用いられてきた。通常使用される抗マラリア薬とは構造的に異なるため、耐性及び交差耐性(今日このような薬物の有効性を著しく制限する)の問題はアーテミシニン及びその誘導体については観察されない。最近、アーテミシニンの化学合成についての方法が報告されたが、経済的な大規模合成は未だに可能でない。従って、アーテミシア・アニュア植物は依然として産業用アーテミシニンの唯一の供給源である。本発明は、アーテミシア・アニュア植物からアーテミシニンを単離するための迅速で簡単且つ経済的な方法を提供する。
古くからの方法(非特許文献2、非特許文献3を参照)は、石油エーテルで植物材料を抽出後、比較的粗製の抽出物をシリカゲルのクロマトグラフィーにかける工程を含んでいた。該カラムは、純粋なアーテミシニンを得るため、7.5%の酢酸エチルを含むクロロホルム混合物で溶出された。
その後、シン,エイ、ヴィッシュワカルマ,アールエイ、フセイン,エイ(非特許文献4を参照)は、植物の部分をn−ヘキサンで抽出した後、該抽出物をシリカゲルカラムのクロマトグラフィーにかける方法を報告した。この場合、溶出は酢酸エチルとヘキサンの混合物で実施された。これらの方法において、主な不利益はこれらの手法が比較的粗製の抽出物をシリカゲルのクロマトグラフィーにかける工程に依存することであった。これは1:44という大きな溶質対吸着剤比を必要とし、費用がかかる。
別のアーテミシニン抽出方法は、植物材料をヘキサンで抽出し、続いて該抽出物をヘキサンとアセトニトリルの間で分配した後、そのアセトニトリル相をシリカゲルのクロマトグラフィーにかける工程を含む(特許文献1を参照)。ヘキサン中での緩慢なアーテミシニンの抽出はより長い期間の熱浸出を必要とする一方、分配工程については、アセトニトリルは比較的高価な溶媒であり、アーテミシニンの生産費が増大する。この方法の他の不利益はアーテミシニンを得るためにカラム・クロマトグラフィーが不可避であることである。更なる他の不利益はアーテミシニン酸が優勢であることであり、アーテミシニン酸はアーテミシニンとともに溶出する傾向があるため、アーテミシニンの純度に影響を及ぼす。
ジェイン,ディーシー、タンドン,エス、バクニ,アールエス、シディクエ,エムエス、カホール,エイピー、シャルマ,アールピー、クマール,エス、バタチャルヤ,エイケイ(特許文献2を参照)は、アーテミシア・アニュア植物からのアーテミシニン及び精油の同時生産方法を提言している。この方法において、アーテミシニン抽出の基本的方法論は、ヘキサンで植物材料を抽出し、続いてヘキサンとアセトニトリルの間で該抽出物を分配した後、そのアセトニトリル相をシリカゲルのクロマトグラフィーにかける工程を含む。更に、この方法は、ハイドロ蒸留による残余マールからの精油の抽出を提言し、アーテミシニン酸の単離方法及びアーテミシニンへのその変換も記載している。開示されたこの方法は全体として、幾つかの化学反応の複雑な融合である。しかしながら、ヘキサンを抽出溶媒として使用し、抽出物をヘキサンとアセトニトリルに分配した後クロマトグラフィーを行うため、該方法は時間がかかり且つ費用のかかるなどの一定の問題が手つかずに残っている。
アーテミシア・アニュアからアレタヌイン(aretannuin)を抽出する方法はザング,ジェイ、ファン,ディ及びマ,エックス(特許文献3を参照)により報告された。これは、水性エタノール(<70%濃度)でアーテミシア・アニュアの葉を浸出した後、連続抽出装置を用いて30%のベンゼン又は酢酸エチルを含むガソリンで該浸出液を抽出する工程を含む。次にガソリン抽出物を活性炭で処理して脱色した後エタノールを用いてアーテミシニンを濃縮し結晶化した。この方法では、使用したエタノールを再利用に清浄するため、30%のベンゼン又は酢酸エチルを含むガソリンで大容量の水性エタノールを分画する必要がある。これによりエタノール:水混合物で抽出された化合物の殆どがガソリンとベンゼンの混合物に移る。該ガソリン混合物を濃縮した後エタノールを用いたアーテミシニンの結晶化により結晶化が生ずる。該工程中に市販等級のベンゼンを使用することは、それらの可能な毒性作用から適切でない。該方法は移行中に溶媒の混合物を使用したため、さらに再利用できない。
ウィートレイ・ジーダブリュ及びチャップマン・ティービー(特許文献4を参照)は、液体二酸化炭素を用いて乾燥したアーテミシア・アニュアの薬草を抽出し、得られた混合物から該二酸化炭素を蒸発させる工程を含む別のアーテミシニン生産方法を開示した。この方法は液体二酸化炭素に依存し、液体二酸化炭素を調製する工場(非常に高価な装置)からのみ得られる。
アーテミシア・アニュア植物からのアーテミシニン及び精油を同時生産する方法を記載する本出願人の米国特許(特許文献5)も参照されうる。前述の発明において、アーテミシニン酸は塩基で処理される前にアーテミシニンから分離される。
また、アーテミシア・アニュア植物のアーテミシニン収率を最大にする農業方法が開示されている本出願人の同時係属中の出願第09/538,892号が参照されうる。しかしながら、この出願はアーテミシニンの抽出方法ではなく植物の生長を計画する農業方法に重点を置いている。
n−ヘキサン石油エーテルを用いた本出願人の抽出は普通に使用される溶媒であり、抽出により時間がかかり熱浸出を必要とする。これらの溶媒は本来有害である。それ以降、殆どの方法がアーテミシニンを得るためにクロマトグラフィーを使用し、これがより高い生産費の主要原因となっている。
エルフェラリ,エフエス、エルソーリ,エイチエヌ、1990、米国特許第4,952,603号。 ジェイン,ディシイ、タンドン,エス、バクニ,アールエス、シディクエ,エムエス、カホール,エイピイ、シャルマ,アールピイ、クマール,エス、バタチャルヤ,エイケイ、1999、米国特許第5,955,084号。 ザング,ジェイ、ファン,ディ及びマ,エックス(1994)特許第CN1092073A号。 ウィートレイ・ジーダブリュ及びチャップマン・ティービー、2001,米国特許第6,180,105号。 カウンスル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ,米国特許第5,995,084号。 クレイマン・ディエル、1985、Science 228、1049。 クレイマン,ディエル、リン,エイジェイ、アクトン,エヌ、スコビル,ジェイピイ、ホッチ,ジェイエム、ミルハウス,ダブリュケイ及びセオハライデス,エイディ、1984、Journal of Natural Products 47: 715-717 。 ラッカー,ジー、メイヤー,アール及びマンズ,ディー、1986, Planta Medica, 3:245。 シン,エイ、ヴィッシュワカルマ,アールエイ、フセイン,エイ、 1988 、Planta Medica 64、475〜476。
本発明の主な目的は、クロマトグラフィーを使用せずにアーテミシア・アニュア植物からアーテミシニンを単離する、簡単、迅速、費用効果的且つ実用的な方法を提供することである。かかる方法は実質的な量及び純度のアーテミシニンを生成し、先行技術の欠点を未然に防ぐ。
本発明の詳細な説明
従って、本発明はアーテミシア・アニュアからアーテミシニンを調製する方法を提供する。該方法は、
(i) 非水性極性溶媒を用いてアーテミシア・アニュアの植物部分を抽出する工程、
(ii) 工程(i)の抽出物を濃縮して極性溶媒を回収する工程、
(iii) 前述の濃縮抽出物に水を添加する工程、
(iv) 炭化水素溶媒を添加して工程(iii)の水性抽出物を水層と有機層に分配する工程、
(v) 工程(iv)の溶液から該有機層を分離する工程、
(vi) 工程(v)の有機層を濃縮して油性液体を得る工程、
(vii) 工程(vi)の油性液体に酢酸エチルを添加する工程、
(viii) 従来の色素吸収物質を用いて工程(vii)の溶液を処理して緑色色素沈着を除去する工程、
(ix) 該溶液を濾過して色素吸収物質を除去する工程、並びに
(x) 該溶液を蒸発させ、続いて結晶化して、純粋なアーテミシニンを得る工程
を含む。
本発明の一実施態様では、工程(i)において乾燥葉が抽出用に採集される。
本発明の別の一実施態様では、該葉は抽出前に粉末にされる。
本発明の更に別の一実施態様では、該非水性極性溶媒は、エタノール、メタノール、アセトン、メチルイソブチル及びヘキサンから成る群より選択される。
本発明の更に別の一実施態様では、該非水性溶媒はエタノールである。
本発明の更なる実施態様では、該非水性溶媒に対する植物部分の比は1:5から1:10の範囲内である。
本発明のもう一つの実施態様では、該植物部分の抽出は該薬草をエタノールで4時間から6時間浸出することにより達成される。
本発明の別の一実施態様では、該薬草の浸出は20℃から25℃の温度で達成される。
本発明の一実施態様では、工程(ii)においてエタノール抽出物の容量はその元の容量の1/20から1/100に減少する。
本発明の別の一実施態様では、工程(ii)において濃縮後回収された溶媒は本方法の工程(i)で再利用される。
本発明の更に別の一実施態様では、工程(iii)において水は濃縮されたエタノール抽出物の量の4倍添加する。
本発明の更に別の一実施態様では、工程(iv)において使用される炭化水素溶媒は、ペンタン、ヘキサン及びヘプタンから成る群より選択される。
本発明の更なる実施態様では、工程(iv)において使用される炭化水素溶媒はヘキサンである。
本発明のもう一つの実施態様では、工程(iv)において水性エタノール抽出物は1:1又は2:1の比でヘキサンに分配(partion) される。
本発明の別の一実施態様では、工程(v)において該有機層はその元の容量の1/20から1/100に濃縮される。
本発明の実施態様では、工程(vii)において該液体からアーテミシニンの結晶化を誘導するために10〜20%(v/v)の酢酸エチルが濃縮されたヘキサン溶液に添加される。
本発明の別の一実施態様では、該色素吸収物質は、セライト(celite)、活性炭及び木炭から成る群より選択される。
本発明の更に別の一実施態様では、工程(x)においてアーテミシニンは緩慢な蒸発の後の結晶化により得られる。
本発明で開発された方法はアーテミシア・アニュア植物集団からアーテミシニンを単離する改良方法を提供する。本発明者らの方法はエタノール/メタノールを用いた冷抽出を含み、一方で迅速にアーテミシニンを完全抽出でき、他方で通常実施されているヘキサン又は石油エーテルを用いた抽出方法と対比してエネルギーを節約する。ヘキサン又はエーテルでの抽出は非常に緩慢であり数時間にわたる熱浸出を必要とした。該抽出物の水及びヘキサン間での分配は、抽出物の60%〜70%の不純物が水層に残りアーテミシニンが完全にヘキサン層に移るため、経済的であり、該抽出物をアーテミシニンについて濃縮するための十分に進歩性のある手法である。従って、得られるヘキサン画分はクロマトグラフィーを行わずにアーテミシニンを得るため脱色工程後に直接結晶化に使用できる。それ故、発明はその天然供給源であるアーテミシア・アニュア植物集団からクロマトグラフィーを用いずにアーテミシニンを単離する新規な手法を与える。抽出に用いられる温和な条件により清澄な植物抽出物が与られ、起こり得るアーテミシニンの分解が回避される。本発明の結果として、該方法は単位バイオマス当たりのアーテミシニンの回収率を報告された方法にかかる費用のおよそ半分にでき、小規模産業用にも適している。
好ましい実施態様の詳細な説明
本発明の方法に従って、アーテミシア・アニュアの粉砕した乾燥葉をエタノール又はメタノールから選択される5倍から10倍の容量の非水性溶媒を用いて4時間から6時間の間にわたって連続浸出により抽出する。該抽出方法は該薬草からのアーテミシニンの最大抽出を確実にするために同じ溶媒比を用いて3回から5回反復してもよい。得られる抽出物は真空下の蒸留により元の容量の1%から5%に濃縮できる。回収された溶媒は該抽出方法で再度使用してもよい。過剰の水(エタノール抽出物の減少した容量の4倍)を該濃縮物に添加し80%の水性にした後内容物を水とヘキサンの間で分配する。分配では該水性内容物とヘキサンは1:1又は2:1v/vの比で用いられうる。非極性溶媒を用いた水性内容物の分配は、ヘキサン画分へのアーテミシニンの最大移行を確実にするために、同じ溶媒比を用いて3回から5回反復されうる。混合したヘキサン画分を一緒にプールした後、真空下で蒸留して(再使用のため該溶媒を回収するため)その元の容量の1〜5%とする。この濃縮した液体は薄緑から濃緑の油状液体でありうる。酢酸エチル(10〜20%v/v)をそれに添加する。緑色の色素沈着を除去するために、この液体を1〜3%v/vの色素吸収物質である活性炭で処理する。活性炭を除去(ろ過による)した後得られる黄色の液体を蒸発結晶に付して、クロマトグラフィーを使用せずに実質的に純粋なアーテミシニンを得ることができる。
本発明の実施態様として、非水性エタノールを用いた乾燥破砕葉の抽出はこれまで使用されたヘキサン溶媒又はジエチルエーテル溶媒を凌ぐ幾つかの利点を有しうる。抽出が迅速である上、エタノールは、精製及び結晶化の工程で障害とみなされる脂肪物質の抽出量が少ない。
本発明の一実施態様として、該抽出物は、該アーテミシニンに関して該抽出物を濃縮させるために水とヘキサンの間で分配され、アーテミシニンの結晶化を容易にするため該濃縮物から出来る限り多数の不純物を除去する。
本発明の別の一実施態様によれば、エタノール抽出物の分配は(1:1又は2:1)の範囲の割合の水とヘキサンを用いて実施され、該分配のプロセスはヘキサン層へのアーテミシニンの最大移行を確実にするため3〜5回反復され得る。該分配工程により、該アーテミシニンが実質的に独占して該ヘキサン層に移行し、相伴って材料の量が減少する。即ち元の抽出物の僅か30重量%から35重量%がヘキサン層に移行する。
本発明の更なる別の一実施態様によれば、ヘキサン画分は、該ヘキサン画分を濃縮し、10〜20%(v/v)の酢酸エチルと混合した後、緩慢蒸発による結晶化に直接使用できる。
先行技術において、アーテミシニンはヘキサン、石油エーテルでの熱抽出により得られ、これは抽出に時間がかかる。上記溶媒を用いた植物葉の熱抽出は、危険であり、より多くの着色物質及び脂肪物質を抽出し、精製に障害をきたす。一方、室温でのエタノールを用いた抽出は比較的迅速であり、着色物質及び脂肪物質の同時抽出を未然に防ぐ。該ヘキサン抽出物をヘキサンと20%の水性アセトニトリルの間で分配することにより、アーテミシニンは水性アセトニトリル層に移行する。水はクロマトグラフィーの前に塩化ナトリウムを飽和するまで添加することにより水性アセトニトリル層から分離する。分配工程では、比較的高価なアセトニトリルがアーテミシニンの生産費を上げる。液体:液体分配用に使用されてきた水とヘキサンの組み合わせは、より大きな密度差により容易に明確な二つの層を生成する。これは先行技術のヘキサン及びアセトニトリルと比較して経済的理由からアーテミシニンの分配のための好ましい溶媒系でもある。分配の結果として、該抽出物の僅か30%から35%の画分がヘキサンに残存するため、該抽出物はアーテミシニンについて濃縮される。クロマトグラフィーに進むことなく蒸発結晶化を用いてアーテミシニンが直接結晶化されうる一方、先の記載方法における分配後のアーテミシニンから成るアセトニトリル層についてはそれは可能でない。
本特許の主題であるアーテミシニンの改良された生産方法は、
1.エタノールを用いた抽出は迅速であるため時間がかからない、
2.該プロセス中加熱を必要としないため抽出はエネルギー節約になる、
3.アーテミシニンを得るために水とヘキサンの間で抽出物を分配することは、経済的であるため、アセトニトリルとヘキサンに比べてより良い選択肢である、
4.分配後に得られるヘキサン層はクロマトグラフィーを行わずにアーテミシニンの結晶化に使用できる、
5.全プロセスとして先行技術よりアーテミシニンの生産費を30%から40%削減する、
6.抽出中に市販等級のヘキサンを用いることによりアーテミシニンに毒性化学物質が混入することを回避しうる、
7.二酸化炭素を液化するための高価な装置を設置することは必要ない、
8.方法は非常に大規模な基幹施設を必要としないため、アーテミシニンの抽出は農村地域で容易に計画できる、
9.全プロセスとして、該プロセスで使用する溶媒が回収され再利用されるため、効率が良く且つ経済的である、
などの幾つかの利点を与えた。
本発明は下記の実施例を参照してさらに説明する。これらの実施例は、説明のために与えられるため、いかなる様式においても本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。
アーテミシニン抽出用の溶媒の選択
アーテミシニンの抽出に効率の良い溶媒を選択するために、異なる溶媒系を試験した。そのために、アーテミシア・アニュアの乾燥粉末葉10gを、溶媒としてメタノール、20%水性メタノール、エタノール、20%水性エタノール又はヘキサンを用いてそれぞれ別個のチューブで抽出した。インキュベーションの2時間、4時間及び6時間で10mlの溶媒を該チューブから採取した。その画分を水浴上で蒸発乾固させ、抽出物を2.0mlの溶媒に溶かし、対照として採取された1mg/mlの個々の溶媒に溶解した純粋なアーテミシニンと共にTLCプレート上にスポット(5μl)を付した。このTLCは移動相のヘキサン:ジエチルエーテル(1:1)で飽和させたガラスのTLCタンク内で実施し、プレートは15cmの高さまで展開した。その後、プレートを乾燥し、スポットは該プレートを展開試薬(氷酢酸:硫酸:アニスアルデヒド、50:1:0.5)に浸し、続いて110℃で15分間又はアーテミシニンの桃色のスポットが出現するまで該プレートを加熱することにより可視化した。定量のため、アーテミシニンに対応するTLCスポットを540nm及び610nmの二波長方式のTLCスキャナーでスキャンした。得られた結果は該溶媒に抽出されたアーテミシニン%の形式で提示し、表−1に要約する。純粋なエタノール及び純粋なメタノールがヘキサンと比べて該アーテミシニンを迅速に抽出することは該表から明白であるが、おそらくアーテミシニンが他の未知化合物に分解又は変換されるため、一定時間の後にアーテミシニンの濃度はヘキサン抽出物と比べてメタノール及びエタノールの抽出物で減少し始める。メタノールに水を混合するとアーテミシニン抽出物の激しい崩壊を惹起した。エタノールはメタノール及びヘキサンの両方と比べてより少ない時間でより多くのアーテミシニンを抽出するのにより効率が良かった。低価及び迅速な抽出効率に基づけばエタノールが適切な溶媒である。
Figure 0004339699
アーテミシニンの分配
純粋なアーテミシニン(0.2 g)を、二つの非混和性溶媒であるヘキサン及び水性エタノール(即ち水と混合したエタノール)の1:1(v/v)混合物を含む異なる試験管に溶解した。ここで、エタノールの濃度は20%から80%まで変化させた。アーテミシニンが該混合液中で完全に溶解した後、ヘキサン及びエタノールの二層を分液漏斗を用いて分離した。異なる試験管から得られる個々の層は実施例1のようにTLCによりアーテミシニン含量の存在について試験した。それぞれの試験管から分離された、ヘキサン層と水性エタノール層の間で分配されたアーテミシニン画分の%を示す結果は表−2に与える。
Figure 0004339699
この実施例はアーテミシニンが上述の比を維持することによりアーテミシア・アニュアのエタノール抽出物からヘキサンに選択的に移行できることを示唆している。ヘキサン画分から、アーテミシニンは既知の蒸発結晶化方法を用いて直接結晶化できる。
アーテミシア・アニュアの乾燥粉砕葉(100g)を30℃の温度で600mlのエタノールを用いて4時間の間にわたって連続浸出することにより抽出した。抽出工程は同じ溶媒比を用いて4回反復した。混合した抽出物は真空下で濃縮しその容量を50mlに減少させ、水をそれに添加することにより容量を250mlにした。得られた混合物は250mlのヘキサンで4回分配した。混合したヘキサン層は(ヘキサンを回収するため)その元の容量の5%まで真空下で減らし、深緑色の油状液体を得た。この液体に20% v/vの酢酸エチルを混合した後、これを1% w/vの活性炭で処理した。該液体をワットマン3mmろ紙を通してろ過し該活性炭を除去した。ろ過後、得られた深黄色の液体を蒸発結晶化させた。得られた白色の針状の結晶は真空ろ過装置により分離し重量測定した。得られた全結晶は603mgであった。
アーテミシア・アニュアの乾燥粉砕葉(100g)は30℃の温度で1.0リットルのエタノールを用いて4時間の間にわたって連続浸出することにより抽出した。抽出工程は同じ溶媒比を用いて4回反復した。混合した抽出物は真空下で濃縮してその容量を80mlに減少させ、水をそれに添加することにより容量を400mlにした。得られた混合物は400mlのヘキサンで4回分配した。混合したヘキサン層は50mlの容量まで真空下で減らし、深緑色の油性液体を得た。この液体に20% v/vの酢酸エチルを混合した後、これを1% w/vの活性炭で処理した。この液体を実施例3のようにろ過し、蒸発結晶化させた。得られたアーテミシニンの結晶は重量測定すると、605mgであった。
アーテミシア・アニュアの乾燥粉砕葉(100g)を実施例3のように抽出した。濃縮された50mlの抽出物は水をそれに添加することにより250mlにした。得られた混合物を125mlのヘキサンで5回分配した。混合したヘキサン層は50mlの深緑色の油性液体にまで真空下で減少させた。この液体に20% v/vの酢酸エチルを混合した後、これを1% w/vの活性炭で処理した。この液体をワットマン濾紙でろ過して該活性炭を除去した。ろ過後、得られた濃黄色の液体を蒸発結晶化した。得られた白色の針状結晶を分離し重量測定した。得られた全アーテミシニンは601mgであった。
アーテミシア・アニュアの葉の抽出は、実施例3に記載したように行なったが、個別のバイアルで20℃、30℃、40℃及び50℃の条件の様々な温度下で実施した。真空下で濃縮された後に得られたそれぞれ50mlの濃縮抽出物はそれらに個別に水を添加することにより250mlにした。得られた混合物は250mlのヘキサンで個々に3回分配した。該ヘキサン層はそれらの元の容量の5%まで真空下で減少させ、深緑色の油状液体を得た。各液体に20% v/vの酢酸エチルを混合した後、1% w/vの活性炭で処理した。該液体をろ過し、得られた濃黄色の液体を個別のバイアルで個々に蒸発結晶化させた。得られたアーテミシニンの結晶を分離し重量測定した。結晶収量は20℃、30℃、40℃及び50℃の温度でそれぞれ410mg、603mg、600mg及び550mgであった。
アーテミシア・アニュアの乾燥粉砕葉(1.0kg)は30℃の温度で6リットルのエタノールを用いて4時間にわたって連続浸出することにより抽出した。抽出工程は同じ溶媒比を用いて4回反復した。混合した抽出物は真空下で濃縮し該体積を400mlに減少させ、水をそれに添加することにより容量を2.0リットルにした。得られた混合物は2.0リットルのヘキサンで3回分配した。混合したヘキサン層は(ヘキサンを再利用に回収するため)300mlの深緑色の油状液体になるまで真空下で減少させた。この液体に60mlの酢酸エチルを混合した後、これを1% w/vの活性炭で処理した(緑色色素沈着物除去のため)。ろ過後に得られる濃黄色の液体を蒸発結晶化させた。アーテミシニンの結晶を分離し重量測定した。合計5.95gのアーテミシニンの結晶が得られた。
アーテミシア・アニュアの乾燥粉砕葉(100g)は30℃の温度で600mlのメタノールを用いて4時間の間にわたって連続浸出することにより抽出した。抽出工程は同じ溶媒比を用いて4回反復した。混合した抽出物は真空下で濃縮し、その容量を50mlに減少させ、水をそれに添加することにより容量を250mlにした。得られた混合物は250mlのヘキサンで3回分配した。混合したヘキサン層をその元の容量の5%まで減らし、深緑色の油状液体を得た。この液体に20% v/vの酢酸エチルを混合した後、これを1% w/vの活性炭で処理した。該液体はワットマン濾紙を用いてろ過して該活性炭を除去した。ろ過後、得られる濃黄色の液体を蒸発結晶化した。その結果白色の針状の結晶が真空ろ過装置により分離され、重量測定した。得られたアーテミシニンの結晶は320mgであった。

Claims (16)

  1. アーテミシア・アニュア(Artemisia annua)からアーテミシニンを調製する方法であって、
    (i) メタノール及びエタノールから選ばれる非水性極性溶媒を用いてアーテミシア・アニュアの植物部分を20℃〜50℃の温度で冷抽出する工程、
    (ii) 工程(i)の抽出物を濃縮して該極性溶媒を回収する工程、
    (iii) 前述の濃縮した抽出物に水を添加して80%の水性抽出物を得る工程、
    (iv) 炭化水素溶媒を添加して工程(iii)の80%水性抽出物を水層と有機層に分配する工程、
    (v) 工程(iv)の溶液から該有機層を分離する工程、
    (vi) 工程(v)の有機層を濃縮して油状液体を得る工程、
    (vii) 工程(vi)の油状液体に酢酸エチルを添加する工程、
    (viii) 従来の色素吸収物質で工程(vii)の溶液を処理して緑色色素沈着を除去する工程、
    (ix) 該溶液を濾過して色素吸収物質を除去する工程、並びに
    (x) 該溶液を蒸発させ、続いて結晶化させて、純粋なアーテミシニンを得る工程、
    を含む方法。
  2. 工程(i)において乾燥葉が抽出用に用いられるものである、請求項1記載の方法。
  3. 該葉が抽出前に粉末にされるものである、請求項2記載の方法。
  4. 該非水性極性溶媒がエタノールである、請求項1記載の方法。
  5. 非水性極性溶媒に対する植物部分の比が0.1〜0.2(g/ml)の範囲内である、請求項1記載の方法。
  6. 該植物部分の抽出が該薬草をエタノールで4時間から6時間浸出することにより行なわれるものである、請求項1記載の方法。
  7. 工程(ii)において、極性抽出物の容量がその元の容量の1/20から1/100に減少するものである、請求項1記載の方法。
  8. 工程(ii)において、濃縮後に回収される溶媒が本方法の工程(i)で再利用されるものである、請求項1記載の方法。
  9. 工程(iii)において、水が濃縮されたエタノール抽出物の量の4倍添加されるものである、請求項記載の方法。
  10. 工程(iv)において、使用される炭化水素溶媒が、ペンタン、ヘキサン及びヘプタンから成る群より選択されるものである、請求項1記載の方法。
  11. 工程(iv)において、使用される炭化水素溶媒がヘキサンである、請求項1記載の方法。
  12. 工程(iv)において、ヘキサンが水性エタノール抽出物に加えられ、それによって1:1又は2:1の比で水層とヘキサン層とに分配される、請求項記載の方法。
  13. 工程(v)において、該有機層がその元の容量の1/20から1/100に濃縮されるものである、請求項1記載の方法。
  14. 工程(vii)において、該液体からアーテミシニンの結晶化を誘導するため、10〜20%(v/v)の酢酸エチルが該濃縮されたヘキサン溶液に添加されるものである、請求項記載の方法。
  15. 該色素吸収物質が、セライト(celite)、活性炭及び木炭から成る群より選択されるものである、請求項1記載の方法。
  16. 工程(x)において、アーテミシニンが緩慢な蒸発に続く結晶化により得られるものである、請求項1記載の方法。
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