JP4346879B2 - 車両用自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トルクコンバータを備えた車両用自動変速機における油圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平8−210449号公報
従来、車両に搭載される自動変速機として特開平8−210449号公報に開示されたようなVベルト式無段変速機(以下、ベルトCVT)がある。このベルトCVTでは、溝幅を油圧に基づいて可変制御されるプライマリプーリとセカンダリプーリ間にVベルトを掛け渡して変速機構部を形成し、Vベルトをプーリで挟持したその接触摩擦力によって動力の伝達を行っている。
すなわち、入力トルクと変速比に応じてライン圧を元圧としてこれを調圧した油圧がプライマリプーリに供給され、セカンダリプーリにライン圧またはライン圧を元圧としてこれを調圧した油圧が供給されて、プライマリプーリへの油圧によりプライマリプーリの溝幅が変更されることにより、プーリ比、すなわち変速比が変化する。
【0003】
またベルトCVTでは、エンジンとベルトCVTの変速機構部との間にロックアップクラッチを備えるトルクコンバータを有し、エンジンから入力されるトルクの増幅等を行う一方、所定のロックアップ領域ではロックアップクラッチを締結して燃費向上を図り、あるいはエンジンブレーキ効果を得るようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようなトルクコンバータを備えたベルトCVTにおいて、従来は、目標ライン圧を算出する基礎である変速機構部への入力トルクを、例えば図5に示すように、エンジン回転数Neとスロットル開度TVOで定めるエンジントルク信号値Teをもとに求めていた。そして、急発進時などアクセルペダル全開時には、ロックアップ領域かそれ以外のトルクコンバータ領域かにかかわらず、スロットル開度全開に対応する全開定常エンジントルクが入力するものと推定していた。
【0005】
ところが、ロックアップクラッチを解放したトルクコンバータ領域においては、トルクコンバータの特性から変速機構部への入力トルクには限界があって、実際には、トルク容量をτとして、τNe2で表される図5に太線で示すようなものとなる。
このため、スロットル開度全開(80°)としたとき、同じエンジン回転数Ne1でも、太線上の実際のエンジンからトルクコンバータへの入力トルクTrに対して従来は格段に大きい全開定常エンジントルクTesによって過剰な入力トルクが推定される結果、目標ライン圧やセカンダリ圧等が高く設定され、油圧ポンプの負荷や種々の油圧作動部における摩擦が大きくなって動力性能を低下させるものとなっていた。
【0006】
従って本発明は、このような従来の問題点にかんがみ、実際の入力トルクに対応して適正な油圧設定ができるようにした車両用自動変速機の油圧制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このため本発明は、トルクコンバータを介して変速機構部をエンジンに連結し、スロットル開度およびエンジン回転数に基づいて算出されるエンジントルクをもとに求めた入力トルクに応じて変速機構部への油圧を制御する油圧制御手段を有する自動変速機において、油圧制御手段はトルクコンバータ特性に基づくトルクリミット値のテーブルを備え、トルクコンバータ領域の場合に、上記エンジントルクがトルクリミット値より大きいときは当該トルクリミット値をもとに入力トルクを求めて油圧の制御を行なうものとした。
【0008】
【発明の効果】
本発明によれば、油圧設定の基となる入力トルクは、エンジンのトルクをトルクコンバータ特性に基づくトルクリミット値で制限して求めるので、実際にトルクコンバータを経た入力トルクよりも過剰なトルク推定がなく、したがって目標ライン圧等を高くし過ぎることによる動力性能の低下が防止される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は実施の形態のシステム構成を示すブロック図である。
ベルトCVT2は、ロックアップクラッチ4を備えたトルクコンバータ3と図示しない前後進切り替え機構を備えた変速機構部5より構成され、エンジン1に連結される。変速機構部5は一対の可変プーリとして入力軸側のプライマリプーリ10、出力軸13に連結されたセカンダリプーリ11を備え、これら一対の可変プーリ10、11がVベルト12によって連結されている。
【0010】
変速機構部5のプライマリプーリ10は、入力軸と一体となって回転する固定円錐板10bと、固定円錐板10bとの対向位置に配置されてV字状のプーリ溝を形成するとともに、プライマリプーリシリンダ室10cへ作用する油圧(以下、プライマリ圧)に応じて軸方向へ変位可能な可動円錐板10aから構成されている。
セカンダリプーリ11は、出力軸13と一体となって回転する固定円錐板11bと、固定円錐板11bとの対向位置に配置されてV字状のプーリ溝を形成するとともに、セカンダリプーリシリンダ室11cへ作用する油圧(以下、セカンダリ圧)に応じて軸方向に変位可能な可動円錐板11aから構成される。
【0011】
変速機構部5はCVTコントロールユニット20からの指令に基づいて、油圧コントロールユニット60で制御される。油圧コントロールユニット60は図示しない油圧ポンプからの油圧を図示省略の内部の油圧コントロールバルブで調圧する。
すなわち、ライン圧を元圧として調圧されたセカンダリ圧をセカンダリプーリシリンダ室11cへ常時供給するとともに、同じくライン圧を元圧として調圧されたプライマリ圧をプライマリプーリシリンダ室10cに供給する。
【0012】
プライマリプーリシリンダ室10cにかかるプライマリ圧が制御されてプライマリプーリ10の溝幅を変える一方、セカンダリプーリシリンダ室11cへはセカンダリ圧が供給されて、Vベルト12に対する挟持圧力を制御して変速が行なわれ、Vベルト12と各プーリ10、11との接触摩擦力に応じて、駆動力の伝達がなされる。
これを回転数でみれば、プライマリプーリ10の溝幅を広げて、Vベルト12の接触半径が小でセカンダリプーリ11側の接触半径が大のプーリ比Lowのときには、変速比が大きくなってエンジン側回転数が減速されて車軸側へ出力されることとなる。逆のプーリ比Hiでは小さな変速比で出力される。この間、プライマリプーリ10とセカンダリプーリ11の接触半径比に対応して変速比が連続的に変化する。
【0013】
一方、エンジン1はエンジンコントロールユニット21により制御される。エンジンコントロールユニット21には、図示しないアクセルペダルにより操作されるスロットルバルブの開度(スロットル開度TVO)を検出するスロットルセンサ24と、エンジン回転センサ15が接続されている。
エンジンコントロールユニット21は、スロットルセンサ24からのスロットル開度TVOとエンジン回転センサ15からの現在のエンジン回転数Neに基づいて、燃料噴射量や点火時期を制御する。
エンジンコントロールユニット21は、走行中のスロットル開度TV0や、スロットル開度TV0およびエンジン回転数Neに基づいて算出されるエンジントルク信号値をCVTコントロールユニット20へ送る。
【0014】
CVTコントロールユニット20には、プライマリプーリ10の入力回転数Npriを検出するプライマリプーリ速度センサ26およびセカンダリプーリ11の出力回転数Nsecを検出するセカンダリプーリ速度センサ27が接続されている。
セカンダリプーリ11の出力軸13は車軸につながっているので、セカンダリプーリ11の出力回転数Nsecから車速Nsを求めることができる。
【0015】
CVTコントロールユニット20は、図示しないセレクトレバーに付設されたインヒビタスイッチ23からのレンジ位置信号に加え、スロットル開度TVOと車速Nsで表わされる走行状態に対応してあらかじめ定めたプライマリプーリ10の入力回転数Npriの目標値を設定し、これとセカンダリプーリ11の出力回転数Nsecとの比に基づいて目標変速比(目標プーリ比)を決定する。
【0016】
CVTコントロールユニット20はまた、通常走行中、通常ライン圧特性に基づいてライン圧をフィードバック制御する。
すなわち、CVTコントロールユニット20はエンジンコントロールユニット21からの情報として入力するエンジントルク信号値をもとに、トルクコンバータ3を経て変速機構部5に入力する入力トルクを求める。そして、この入力トルクに対応して通常ライン圧特性により必要なライン圧を求めて油圧コントロールユニット60へ指令を送る。
【0017】
上記変速機構部5に入力する入力トルクを求めるために、CVTコントロールユニット20はトルク最大値テーブルを備えている。
トルク最大値テーブルは、図2に示すエンジン回転数Ne―トルクコンバータ出力Tc線図にそった、各エンジン回転数Neに対するトルクをリミット値(トルクリミット値)としてあらかじめ設定したもので、図3のように表される。図2のエンジン回転数Ne−トルクコンバータ出力Tc線図は、先の図5に示したτNe2の線と同じものである。
【0018】
図4は、CVTコントロールユニット20におけるトルク最大値テーブルを用いたライン圧設定の流れを示すフローチャートである。
まず、ステップ100において、エンジンコントロールユニット21からエンジントルク信号値Teを入力する。
ステップ101では、現在の運転状態がロックアップクラッチを解放したトルクコンバータ領域(T/C領域)であるかどうかをチェックする。
T/C領域であるときは、ステップ102においてエンジン回転数Neをエンジンコントロールユニット21から読み込み、ステップ103でトルク最大値テーブルからNeに対するリミット値を読み出す。
【0019】
そして、ステップ104で、エンジントルク信号値Teがリミット値以下であるかどうかをチェックする。
エンジントルク信号値Teがリミット値以下のときには、ステップ105に進み、エンジントルク信号値Teをもとに入力トルクを求め、当該入力トルクに見合うトルク容量を確保できるようライン圧その他の油圧を設定する。設定したライン圧は目標ライン圧の指令とし、その他の油圧も同様に油圧コントロールユニットへ送られる。
また、先のステップ101のチェックで運転状態がT/C領域でなかった場合は、直接ステップ105に進んで、同様に、エンジントルク信号値Teをもとに入力トルクを求めライン圧等を設定する。
【0020】
一方、ステップ104のチェックでエンジントルク信号値Teがリミット値よりも大きい場合には、ステップ106へ進んで、当該リミット値をもとに入力トルクを求め目標のライン圧等を設定する。
なお、本実施の形態では、上記フローのステップ100〜106が発明における油圧制御手段を構成している。
【0021】
本実施の形態は以上のように構成され、ライン圧等の設定の基となる入力トルクを求めるとき、エンジントルク信号値をトルクコンバータ特性に基づくトルクリミット値で制限するものとしたので、実際にトルクコンバータ3を経て変速機構部5に入力するトルクよりも過剰なトルク推定に基づいて目標ライン圧等を高くし過ぎることがなく、動力性能の低下が防止される。
【0022】
また、スロットル開度およびエンジン回転数に基づいて算出されるエンジントルク信号値に対して、トルクリミット値はトルクコンバータ特性に基づくエンジン回転数Neに対するトルク最大値Tcとしたので、実際に入力するトルクに的確に対応したものとなる。
【0023】
そして、トルクコンバータ3にロックアップクラッチ4を備え、CVTコントロールユニット20ではトルクコンバータ特性に基づくエンジン回転数に対するトルクリミット値のテーブルを備えて、ロックアップ領域においては、エンジントルク信号値を入力トルクとして目標ライン圧等を設定し、トルクコンバータ領域においては、トルクリミット値で制限したエンジントルク信号値をもとに入力トルクを求めるようにしたので、ロックアップ領域およびトルクコンバータ領域のそれぞれにおいて適正な入力トルクをもとにライン圧等を制御することができる。
【0024】
なお、上記実施の形態ではエンジントルク信号値をエンジンコントロールユニット21から得るものとしたが、これに限定されず、走行中のスロットル開度TV0およびエンジン回転数Neに基づいてCVTコントロールユニット20側でエンジントルク信号値を算出するものとしてもよい。
また、実施の形態では本発明をVベルト式無段変速機に適用した例を示したが、トルクコンバータを用いた他の方式の自動変速機等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】エンジン回転数−トルクコンバータ出力の関係を示す線図である。
【図3】エンジン回転数に対するトルクリミット値のテーブルを示す図である。
【図4】入力トルクに対する油圧設定の流れを示すフローチャートである。
【図5】エンジントルク信号値を算出するマップを示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 ベルトCVT
3 トルクコンバータ
4 ロックアップクラッチ
5 変速機構部
10 プライマリプーリ
11 セカンダリプーリ
12 Vベルト
20 CVTコントロールユニット
60 油圧コントロールユニット
24 スロットルセンサ
15 エンジン回転センサ
26 プライマリプーリ速度センサ
27 セカンダリプーリ速度センサ
23 インヒビタスイッチ
W トルク最大値テーブル
Claims (1)
- トルクコンバータを介して変速機構部をエンジンに連結し、スロットル開度およびエンジン回転数に基づいて算出したエンジントルクをもとに前記変速機構部へ入力する入力トルクを求め、該入力トルクに応じて前記変速機構部への油圧を制御する油圧制御手段を有する自動変速機において、
前記油圧制御手段は、トルクコンバータのトルク容量とエンジン回転数の2乗とで規定されるトルクコンバータ特性に基づくトルクリミット値のテーブルを備え、
トルクコンバータ領域でない場合は、前記エンジントルクをもとに前記入力トルクを求め、トルクコンバータ領域の場合は、前記エンジントルクが前記トルクリミット値以下のときに前記エンジントルクをもとに前記入力トルクを求め、前記エンジントルクが前記トルクリミット値より大きいときは当該トルクリミット値をもとに前記入力トルクを求めて、前記油圧の制御を行なうことを特徴とする車両用自動変速機の油圧制御装置。
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| JP2002257548A JP4346879B2 (ja) | 2002-09-03 | 2002-09-03 | 車両用自動変速機の油圧制御装置 |
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