JP4348976B2 - 表面形状の測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、製作されたワークの寸法またはその精度を測定する測定方法に関する。
【従来の技術】
製作されたワークの表面のいくつかの点の座標データを取得し、これらのデータに基づきワーク表面の形状を算出する測定装置が知られている(特許文献1参照)。
【0002】
また、等速ジョイントのインナレースまたはアウタレースのボール溝のピッチ半径を測定する装置においても、ボール溝の形状を測定し、この形状に基づきピッチ半径を算出している。これらのボール溝は、その全長にわたって均一な寸法精度を要求されてはおらず、製品の機能上重要な、また必要のある部位には高い精度が要求される一方、その他の部分においては、寸法公差が広めに設定されている場合がある。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−211452号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、ワークの表面形状の算出の基礎となる測定点を均一な密度で取得すると、寸法精度の管理上重要となる部分の測定点が相対的に少なくなり、そうでない部分の測定点のデータによる影響が大きくなる。この結果、本来必要な部分のデータの誤差が大きくなり、測定の信頼性が低下する場合があるという問題があった。
【0006】
本発明によれば、等速ジョイントとインナレースまたはアウタレースのボール溝のピッチ半径を測定する方法が提供される。この測定方法において、ボール溝は、寸法公差幅が異なる複数の領域を有し、ボール溝の前記領域ごとに、その領域の寸法公差幅に応じて測定点の密度を変えて、各測定点の座標データを取得し、前記取得された座標データに基づき前記複数の領域にわたる前記測定点を近似する球体を算出し、前記算出された球体の半径を当該等速ジョイントのピッチ半径として算出し、前記領域ごとの測定点の密度は、寸法の公差幅が狭い領域において高くされている。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。この実施の形態は、等速ジョイントのインナレースのボール溝のピッチ半径の測定に関するものであるが、他の物品に適用することも可能である。例えば、等速ジョイントのアウタレースに同様に設けられたボール溝に対しても適用することができる。
【0008】
図1は、等速ジョイントのインナレースを示す断面図である。等速ジョイントのインナレース10は、軸線12を対称軸とする複数個のボール溝14を有している。これらのボール溝14は、軸線12を含む平面内に配置され、その溝におけるボール接触線16は、軸線12上の所定点Oを中心とした円弧を描く部分を有している。複数のボール溝のそれぞれのボール接触線16の円弧が規定する中心点は、共通である。言い換えれば、ボール接触線16は、点Oを中心とする球面上に位置し、また個々のボール接触線16は軸線12を含む平面内に位置する。以降、このボール接触線16が形成する球面を溝外接球面、この球面の中心Oを溝外接球心Oと記す。また、この溝外接球心Oからの等速ジョイントの転動体であるボールの中心までの距離をピッチ半径PCRと記す。
【0009】
図1には、さらにボール溝の精度を測定するプローブ18が示されている。プローブ18は、プローブアーム20とその先端に固定され、当該等速ジョイントのボールと同径の当接ボール22を含む。プローブ18は、その当接ボール22をボール接触線16に当接させた状態で、これをなぞるようにして、図中実線の位置から一点鎖線で示される位置へと移動可能となっている。この移動の際の当接ボール22の軌跡によりボール溝14の形状が測定できる。
【0010】
図示するように、ボール溝14は、インナレースの図中上端から下端まで形成されているが、実際の使用時において鋼球が位置するのは、多くの場合、図中Bで示す範囲である。すなわち、鋼球は、球心Oに近い範囲Aや上端付近の範囲Cではなく、その中間の範囲Bに存在する頻度が高い。ボール溝14の公差もこれを反映し、常用位置である範囲Bが公差幅が狭く、一方、存在する機会の少ない範囲A,Cについては幅が広くなっている。したがって、範囲A,Cについては、加工時の誤差が大きい場合が考えられ、この誤差がボール溝14の形状の算出に影響を与える可能性がある。つまり、範囲Bにおいては、精度良く加工させている場合であっても、これ以外の部分で加工誤差が大きい場合、この部分の誤差が全体に影響して、範囲Bについても精度が低いとされる可能性がある。
【0011】
本実施形態においては、公差幅が狭く、寸法管理が厳しい部分のデータを重視するようにして、製品の機能に適合した精度管理を行っている。すなわち、前述の範囲Bに関するデータを重視し、範囲A,Cにおいてはその影響を小さくするようにしている。具体的には、範囲Bの測定点の密度を密にし、範囲A,Cの測定点の密度を粗にすることにより、重要度に応じたデータの取得を行う。
【0012】
次に、ボール溝14の形状、特にピッチ半径PCRの測定について、具体的に説明する。前述したように、プローブ18は、ボール溝14に沿って移動可能であり、この移動時の変位を、複数のボール溝ごとに記録する。このときの軌跡が図2に符号aで示す曲線である。この曲線aは、当接ボール22の中心の軌跡であり、理想的には円弧となるが、実際には加工精度により円弧に対し凹凸が生じている。この軌跡から、前述の範囲Bにおいては密にデータを取得し、範囲A,Cからは粗く取得する。図2中「○」で示す点が、データを取得した点の例である。これらの取得されたデータから、これらのデータを近似する球体を算出する。この球体は、溝外接球と同心である。また、その半径は、溝外接球の半径とボールの半径を足したものに等しく、これは前述のピッチ半径PCRに相当する。したがって、この球体の半径を求めることにより、当該インナレースのピッチ半径PCRが算出される。さらに、ピッチ半径を管理する手法として、溝外接球心Oから軸線12の方向の所定距離離れた平面内でのピッチ半径PCRを測定して、これを管理する場合がある。この場合は、密度を変えて取得したデータを近似して得られた球体の中心を溝外接球心Oとし、ここから所定距離離れた平面内に、プローブの当接ボール22の中心を位置させた状態で、これをボール溝に当接させ、この位置の座標に基づき精度管理用の測定値としてピッチ半径PCRを算出することができる。
【0013】
前述したデータ密度の変更は、例えば次のようにできる。図示した範囲A,B,Cの寸法公差がそれぞれ±0.02,±0.006,±0.01である場合、当接ボールの軌跡データから、球体算出用のデータ抽出のサンプリング間隔を上記のデータの比率に一致させる。つまり、範囲A,B,Cのデータサンプリング間隔は、3.33:1:1.67となり、範囲Aが最も粗であり、範囲Bが密となる。また、等速ジョイントのボールの存在頻度に応じて、データの密度を変化させることができる。ボールの存在頻度は、過去の使用実績から求めることができ、また製品設計段階において定めることもできる。存在頻度が高い範囲においては、サンプリング間隔を狭め、データの密度を高める。逆に、存在頻度が低い範囲においてはサンプリング間隔を広くしてデータの密度を低くする。
【0014】
以上の説明においては、ボール溝の精度管理を、溝外接球心Oを基準としたピッチ半径で管理しているが、軸線12からボール中心までの距離で管理することも可能である。プローブの当接ボール22の中心が、溝外接球心Oより軸線方向に所定距離の平面内にあるようにして、当接ボール22をボール溝14に当接させ、このときの当接ボール22の中心と軸線12の距離を管理用の測定値とする。この管理用の測定値を得るにあたって、再度プローブ18を用いて実際に測定を行うのではなく、前述のデータを近似して求めた球体から計算によって求めることもできる。
【0015】
以上の実施形態によれば、製品の機能上必要とされる範囲または公差が狭く、寸法管理が厳しい部分を重点的に評価することができ、機能に適合した精度管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態において測定対象となるインナレースおよび測定用のプローブを示す図である。
【図2】 測定されたデータの処理に関する説明図である。
【符号の説明】
10 インナレース、12 軸線、14 ボール溝、16 ボール接触線、18 プローブ、22 当接ボール。
Claims (1)
- 等速ジョイントのインナレースまたはアウタレースのボール溝のピッチ半径を測定する方法であって、
ボール溝は、寸法公差幅が異なる複数の領域を有し、
ボール溝の前記領域ごとに、その領域の寸法公差幅に応じて測定点の密度を変えて、各測定点の座標データを取得し、
前記取得された座標データに基づき前記複数の領域にわたる前記測定点を近似する球体を算出し、
前記算出された球体の半径を当該等速ジョイントのピッチ半径として算出し、
前記領域ごとの測定点の密度は、寸法の公差幅が狭い領域において高い、
ピッチ半径の測定方法。
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