JP4350932B2 - 調理用増粘剤として有用な同時加工組成物 - Google Patents

調理用増粘剤として有用な同時加工組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、望ましい外観、風味、加工許容性、乳化性、温度安定性および瞬間粘性(instant viscosity)特性を兼ね備えた増粘剤として機能できる、化工デンプンとフラワー(flour)の「同時加工」混合物からなる組成物に関する。さらに、本発明は、このような「すぐに使用できる」組成物の製造方法およびこれら同時加工組成物から製造した改良食品製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
デンプン類またはフラワー類を増粘剤として使用することは、当該技術分野で長年にわたって知られている。デンプン類および/またはフラワー類の共通の用途としては、スープミックス類またはグレービー類を増粘して生成物に粘り(body)を付与する用途がある。また、デンプン類は、食品産業界で、加工製品の増粘剤としても使用されている。
【0003】
増粘剤に、未化工デンプンおよび化工デンプンを使用すると問題点があることは、特に食品サービス業界の専門家に長年にわたって認識されている。未化工デンプンを含有する増粘剤は、低温食品類または調理済み食品類(precooked food)の粘度を上げるため、使用する前に前もって調理しておかねばならない。しかし、前もって調理された未化工デンプンを使用すると、その食品のテクスチャーに望ましくない洩性(stringiness)を付与することが多い。化工デンプンを添加すると、低温食品類または調理済み食品類に満足すべきテクスチャーを付与できるが、これらの食品は、フラワーとともに前もって調理された化工デンプンを含有する増粘剤で製造された食品の望ましい風味と外観を提供しない。このことは、調理されたフラワーおよび/または化工デンプンを含有する産業用標準増粘剤がもたらす伝統的な風味と不透明性に依存しているグレービー類およびスープ類などの食品に、特に当てはまる。
【0004】
さらに、食品サービス業界では、食品を、比較的長い時間にわたって高温に維持する必要があることが多い。このことは、グレービー類やスープ類などの増粘剤含有食品に特に当てはまる。しかし、これらの条件下で、未化工デンプンの増粘剤は、望ましい粘度を維持できないことが多い。その上に、未化工デンプン増粘剤を含有する食品を調理して冷ませた後に、その前は均一であったミックスまたはエマルジョンから脂肪または吸収された水の望ましくない分離が起こることが多い。さらに、望ましくない汁の滲出(weeping)や離漿が、特に冷蔵もしくは冷凍を行い次に解凍した後に起こることがある。
【0005】
化工デンプンを採用する増粘剤に、未化工デンプン類および/またはフラワー類に固有の前記加工許容性の制限はないが、化工デンプン類で製造した増粘剤類には、未化工デンプン類および/またはフラワー類で製造した増粘剤の望ましい調理されたフラワーの風味と外観がない。その結果、食品に化工デンプンの増粘剤を使用すると、その食品が、未化工デンプンおよび/またはフラワーの増粘剤で調製された食品と比べて、一層半透明であり光沢があるので、「合成物の」外観を付与することが多い。アルファ化された(pregelatinized)小麦粉および/またはデンプン(加工されている場合もある)、可食ガムおよびステアリルフマル酸ナトリウムの混合物を含有する増粘混合物を使用することによって、未化工デンプン類の欠陥を克服する試みが、米国特許第3,554,764号に報告されている。しかし、この方法は、高価な化学薬剤の望ましくない添加が必要であり、かつ小麦粉成分のアルファ化が必要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、未化工デンプンおよびフラワーで製造した業界の標準増粘剤の伝統的な外観と風味を付与しながら、化工デンプンの望ましい特性を兼ね備えた、食品サービス産業界で使用するのに適切な増粘剤を提供することが依然として要望されている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、望ましい外観、風味、加工許容性、乳化性、低温および高温での安定性ならびに瞬間粘性特性を有する、化工デンプンおよびフラワーの「同時加工」混合物からなる組成物に関する。さらに、本発明は、このように「すぐに使用できる」組成物の製造方法およびこれら同時加工組成物から製造した改良食料製品に関する。
【0008】
上記製造方法は、少なくとも一種の化工デンプン、特に安定化されかつ架橋されたかまたは熱で抑制(inhibit)されたデンプンを、少なくとも一種のフラワー、特に小麦粉と混合し、次に、その混合物を同時加工することを含んでなる方法である。得られる同時加工組成物は、化工デンプンまたは未化工デンプンで製造された増粘剤より優れた特性を有する「すぐに使用できる」増粘剤として有利に使用できる。
【0009】
これらの優れた増粘剤で製造した食品は、化工デンプンまたは未化工デンプンで製造した食品サービス産業界の標準増粘剤を含有する食品に比べて、外観、風味、加工許容性、乳化性、低温安定性と高温安定性および瞬間粘性が改善されている。
【0010】
本発明は、望ましい外観、風味、加工許容性、乳化性、低温安定性と高温安定性および瞬間粘性特性を有する、化工デンプンおよび小麦粉の「同時加工」混合物からなる組成物に関する。さらに、本発明は、このような「すぐに使用できる」組成物の製造方法およびその同時加工組成物から製造した改良食料製品に関する。
【0011】
デンプン類およびフラワー類はすべて(以後「デンプン」と呼ぶ)、本発明の基礎デンプンとして使用するのに適しており、あらゆる天然原料から誘導することができる。その基礎デンプンはその後、化工される。本発明に使用される天然のデンプンは、天然に見られるデンプンである。また、その基礎デンプンとして適切なものは、交雑育種、転座、逆位、形質転換または他の遺伝子工学もしくは染色体工学の方法(その変形を含む)を含む標準の育種方法によって得られる植物から取り出されるデンプン類とフラワーである。さらに、人工の突然変異体から栽培された植物から取り出したデンプンまたはフラワー、および突然変異体を育種する公知の標準方法で生産できる上記包括的組成物の変種も、本願で定義される基礎デンプンとして使用するのに適している。
【0012】
化工される基礎デンプンの典型的な原料は、穀物、塊茎、地下部、豆果および果実である。その天然原料はトウモロコシ、エンドウマメ、ジャガイモ、サツマイモ、バナナ、大麦、小麦、米穀、サゴ、アマランサス、タピオカ、アロールート、カンナ、モロコシ、およびそれらのワキシー変種もしくは高アミロース変種である。特に有用な基礎デンプンの原料は、タピオカ、デントコーン、ワキシートウモロコシ、ジャガイモ、サゴおよび米である。用語「ワキシー」は、本願で使用する場合、少なくとも約95質量%のアミロペクチンを含有するデンプンまたはフラワーを含むものとし、用語「高アミロース」は、少なくとも約40質量%のアミロースを含有するデンプンまたはフラワーを含むものとする。
【0013】
次に化工するのに適切な基礎デンプンは、酸化、酵素による変換、酸加水分解、熱および/または酸によるデキストリン化、熱および/または剪断による製品で製造された流動性のまたは低粘性変性デンプン(thin−boiling starch)を含むデンプン類のいずれか一つから誘導される転化製品を含むものとする。
【0014】
基礎デンプンの化工は、その化工によってデンプンの顆粒性が破壊されない限り、各種の公知の方法で達成することができる。基礎デンプンは、いずれかの順序で組み合わせた化工法で処理することができる。用語「化工デンプン」は、本願で使用する場合、限定されないが、架橋デンプン類;熱で抑制されたデンプン類;安定化デンプン類;アセチル化デンプン類と有機エステル化デンプン類;ヒドロキシエチル化デンプン類とヒドロキシプロピル化デンプン類;リン酸化デンプン類と無機エステル化デンプン類;カチオン、アニオン、ノニオンおよび両性イオン性デンプン類;ならびにデンプンのコハク酸エステルおよび置換コハク酸エステル誘導体を含むものとする。このような化工とその組み合わせは公知であり、それらの製造法は当該技術分野に報告されている(例えばWhistler,R.L.,BeMiller,J.N.およびPaschall,E.F.「著Starch Chemistry and Technology」、第2版1984年、9章3節324〜349頁、Academic Press,Inc.英国ロンドンおよびWurzburg編「Modified Starches:Properties and Uses」、1986年、CRC Press,Inc.,米国フロリダ州参照)。国際特許願公開第W095/04082号が代表していて、米国特許第5,725,676号、同第5,932,017号および同第6,231,675号になったパテントファミリーに記載されている熱による抑制による化工も、本発明で使用するのに適している。なおこれらの特許は本願に援用するものである。
【0015】
用語「安定化デンプン」は、基礎デンプンを単官能性化学「保護基」で置換してなるデンプンおよび本来、安定化している特性を示す基礎デンプンを含むものとする。安定化デンプン類を含有する食品は、凍結し次に室温まで昇温して解凍した後、その食品のテクスチャー(粘度)および他の望ましい特性、例えば色と清澄性(clarity)を実質的に保持できることを特徴としている。
【0016】
単官能性保護基で置換された有用な安定化デンプンの例としては、限定されないが、酢酸デンプン類、オクテニルコハク酸デンプン、リン酸デンプン類およびヒドロキシアルキル化デンプン類を含むデンプンエステル類およびデンプンエーテル類がある。このような安定化デンプン類の製造法と特性は当該技術分野で公知であり、例えば、Whister R.L.,BeMiller,J.N.およびPaschall,E.F.著「Starch Chemistry and Technology」、第2版1984年、9章5節343〜349頁、Academic Press,Inc.英国ロンドン;およびFenenima O.R.編「Food Chemistry」、第2版1985年3章119頁、Marcel Dekker,Inc.米国ニューヨーク州のWhistler R.L.とDaniel J.R.の報告Carbohydratesに記載されている。
【0017】
本来安定化している(単官能性保護基による置換なしで安定化された特性を示す)デンプン類としては、限定されないが、少なくとも一つの劣性シュガリー2対立遺伝子(recessive sugary−2 allele)を有するワキシートウモロコシデンプン類である。このようなデンプンの一例としては、一回もしくは二回のドーズ(dose)で前記劣性シュガリー2対立遺伝子に対し異型接合型である胚乳組織を有する植物から取り出されるワキシートウモロコシデンプンがある。これについては、さらに米国特許第5,954,883号に記載されており、その開示事項は本願に援用するものである。もう一つの例としては、wxsu2(ホモ接合)遺伝子型のワキシートウモロコシ植物ならびにその転座体、逆位体、突然変異体および変異体から取り出したデンプンがあり、これは米国特許第4,428,972号に記載されており、その開示事項は本願に援用するものである。
【0018】
特に有用な化工デンプンは、そのデンプンが「安定化され」かつ架橋されるか、または「安定化され」かつ熱で抑制(inhibit)されることによって二重に化工されている食品級品質のデンプンである。特に有用な安定化されかつ架橋されたデンプンは例えば、ヒドロキシプロピル化リン酸二デンプンおよびアセチル化アジピン酸二デンプンである。特に有用なヒドロキシプロピル化リン酸二デンプンは、置換度が、デンプンに結合した酸化プロピレンが約3.5〜約8.8質量%、好ましくは約5.7〜約6.7質量%の範囲内にある置換度であり、かつ架橋度がそのデンプンを架橋するのに使用した試薬オキシ塩化リンが約0.001〜約0.04質量%、好ましくは0.01〜約0.025質量%である架橋度である。質量%はデンプンの質量%である。本願で使用する場合、食品級のデンプンは、ヒトを含む動物が食べることができるデンプンである。
【0019】
本発明の同時加工組成物を製造するのに特に有用なフラワーとしては、限定されないが、小麦粉、タピオカ粉、ライ麦粉、エンバク粉、ソバ粉および大豆粉があり、特に小麦粉が有用である。特に有用な小麦粉はタンパク質含量が16%未満であり、そして特に有用な小麦粉はタンパク質含量が10%未満である。
【0020】
本発明の同時加工組成物を得る方法は、化工デンプンをフラワーと混合し、次いでその混合物を同時加工することを含む方法である。特に有用な混合物は、化工デンプン:フラワーの質量%の比率の範囲が約72:28〜93.7:7(デンプン:フラワー)である化工デンプンとフラワーで構成されている。特に有用なのは、約80:20〜約90:10の間の比率(化工デンプン:小麦粉)で小麦粉が混合されている、架橋と安定化の両方で加工されたデンプンである。
【0021】
その混合物を次に同時加工する。同時加工は、該混合物を噴霧調理法またはドラム乾燥法にかけることによって行われる。特に有用な噴霧調理法としては、Steam Injection Dual Atomization(「SIDA」) process、または米国特許第5,131,953号、同第5,188,674号、同第5,281,432号、同第5,318,635号、同第5,435,851号および同第5,571,552号に開示されている「EKProcess」として知られている噴霧調理法がある。なおこれら特許の開示事項は本願に援用するものである。これの特許に開示されているように、EKProcessは、デンプンスラリーがジェット調理され、次に噴霧乾燥器に高温で運ばれ、噴霧乾燥される連続して連結された方法である。特に最も有用な方法はSIDA法である。
【0022】
SIDA法は、米国特許第4,600,472号および同第4,280,851号に開示されており、これら特許の開示事項は本願に援用するものである。SIDA processの適当な小規模改変法を利用することができる。このような改変法は当業技術者には知られており、その一例は、後記の実施例1に示されている。そのSIDA processにしたがって、前記混合物は、最初、所望の固形分レベルと化工デンプン:フラワーの比率で水性溶媒中で混合される(例えばスラリーが形成される)。一般に、所望の固形分レベルは、約25〜約43質量%、好ましくは約30〜約35質量%である。
【0023】
その水性混合物(例えばスラリー)を、次に、密閉チャンバー中に噴霧して、均一に調理もしくは糊化することができる比較的微細な噴霧をつくる。加熱媒体を、前記密閉チャンバー内の噴霧された材料中に注入して該材料を調理する。前記混合物と水性溶媒の混合物(例えばスラリー)の噴霧は該混合物を運ぶ多流体ノズル(multi−fluid nozzle)で行われ、次に水蒸気(加熱媒体)が、その噴霧された材料中に注入される。
【0024】
噴霧した材料中のデンプンとフラワーを糊化した後、その糊化した混合物をスプレー塔に移して乾燥し、次に、乾燥混合物を約3〜約12質量%の水分含量まで任意に乾燥する。
【0025】
噴霧調理またはドラム乾燥の加工を行った後、その加工された材料を任意に凝集させる。凝集は、例えばバッチ加工または連続加工などによる当該技術分野での公知の方法によって達成することができる。特に有用な凝集法は、スプレー塔から回収された材料を、個々の粒子が互いに粘着するまで、水で噴霧して行われる。次にこれら粒子を、熱風を使って約3〜約12%の水分含量まで乾燥する。
【0026】
このように同時加工した材料の最終水分含量は、該混合物を加工するのに使用した方法とは無関係に、約3〜約12%である。
【0027】
本発明の同時加工組成物は、望ましい外観、風味、加工許容性、乳化性、低温と高温での安定性および瞬間粘性特性を兼ね備えている。
【0028】
望ましい外観の一つの尺度は、本発明の組成物の相対不透明度であり、これは化工デンプンを使用することによって一般に付与される「可塑性」で半透明の外観と比較した本発明の組成物の相対濁度で測定される。同時加工組成物の濁度を、対応する化工デンプン(アルファ化した化工ワキシートウモロコシ)と未化工デンプン(デントコーンデンプン)について、4%固形分で22℃にて比較した。本発明の同時加工組成物は、比濁度単位(Nephelometric Turbidity Unit)(「NTU」)の値が、対応する未化工デンプン溶液の値(2501NTU)に比べて3775という高い値であった。対照的に、同時加工組成物のアルファ化された化工デンプンの成分である対応する化工デンプンは、NTUがはるかに低い値824NTUであったが、これは化工デンプン溶液の不満足な相対半透明度を反映している。本発明の同時加工組成物は、不透明度が、NTUで測定した場合、対応する(アルファ化された)化工デンプンの、好ましくは少なくとも2倍でありより好ましくは3倍であり、そして特に好ましくは4倍である。
【0029】
本発明の同時加工組成物の優れた加工許容性は、ある範囲内のpHで、時間の経過とともに高温でその粘度を保持する性能で示される。例えば、8時間にわたって、pH6.26で71℃に保持された通常のブラウンソース中、本発明の同時加工組成物はその粘度を実質的に維持し、そのピーク粘度からわずか20%しか低下しなかった。未化工デンプンを含有する業界標準増粘剤は、比較すると、少なくとも40%低下する。8時間にわたってpH4.41に保持された通常のトマトソース中、本発明の同時加工組成物は、粘度が28%を超えて低下した業界標準増粘剤と比べて、粘度が9%しか低下しなかった。
【0030】
「同時加工されていない」アルファ化化工デンプンとフラワーからなる対応する混合物で製造した増粘剤(この混合物は、対応する同時加工組成物の化工デンプン成分の「アルファ化バージョン」およびフラワーを、同時加工組成物中に存在しているのと同じ比率で含有している)は、調理済み食品または冷蔵食品に良好な風味を提供せず、その上に、本発明の同時加工組成物が提供する混合物の優れた加工許容性、乳化安定性および永続的な均一性を提供しない。例えば、本発明の同時加工組成物は、調理後、ソースに使用した場合、優れたエマルジョン安定性を示し、かつ調理後、24時間を超えて均一なエマルジョンを維持することができる。対照的に、対応する同時加工されていない混合物または化工デンプンで製造したソースは、そのエマルジョンを失って、調理後直ちにソースの脂肪成分を分離し始める。また、本発明の同時加工組成物は、対応する同時加工でない混合物と比べて、調理されたソース内での粘度の優れた保持を示し、かつ組成物全体にわたって、化工デンプンとフラワーの有利に永続的な均一な分布を提供する。本発明の同時加工組成物の、輸送中に成分のデンプンとフラワーが分離するのを阻止する性能によって、これらの組成物を、使用する前に該混合物を再混合することによって適切な分布を保証する余分の工程を必要とせずに使用することができる。
【0031】
さらに、本発明の同時加工組成物は、優れた凍結/解凍特性で示される優れた低温での安定性を示す。業界標準の未化工デンプンの増粘剤に比べて、本発明の同時加工組成物は、いく種類ものpH範囲を示すソース類で使用する場合、凍結/解凍のサイクルを4回行った後に、その最初の状態に実質的に戻ることができる唯一の増粘剤である。本願で定義される、最初の状態に実質的に戻ることは、テクスチャー、外観および粘度が実質的に変化しない食品を意味する。
【0032】
本発明の同時加工組成物は、結局、未化工デンプンを含有する現在の業界標準増粘剤と異なり、いく種類ものpH範囲を示すソース類に瞬間粘性を提供し、約4分以内でそのピーク粘度の約82%を達成する。したがって、本発明の同時加工組成物は、他の業界標準増粘剤が提供できない「すぐ使用できる」製品として機能する。
【0033】
本発明の同時加工組成物は、未化工デンプン含有増粘剤の優れた風味と外観、および化工デンプンを含有する増粘剤の加工許容性、乳化性、温度安定性および瞬間粘性特性とを兼ね備えて有利である。
【0034】
本発明の同時加工組成物で製造した増粘剤が有用な食品としては、限定されないが、ソース類、グレービー類、ディップ類、ドレッシング類、フィリング類、チーズソース、フルーツトッピング類、ターンオーバーフィリング類、マリネード類、スープ類、薬味類、チャウダー類、前菜(relish)類、パテ、バッター(batter)類、デザート類、グレーズ類、ヴィネグレット類、コーティング類、冷凍アントレ類、乾燥ミックス類、およびクリームスタイルの野菜類がある。
【0035】
本発明のさらなる態様は下記のとおりである。
1.化工デンプンとフラワーを含んでなる同時加工組成物であって、その化工デンプンとフラワーが混合され同時加工されて、優れた不透明性、加工許容性、低温と高温での安定性、乳化性および瞬間粘性特性の組み合わせを食品に付与する増粘剤を提供する同時加工組成物。
2.同時加工が、ドラム乾燥、SIDAまたはEK加工からなる群から選択される態様1の同時加工組成物。
3.化工デンプンが安定化されたデンプンである態様1の同時加工組成物。
4.安定化されたデンプンを架橋するかまたは熱で抑制することをさらに含んでいる態様3の同時加工組成物。
5.安定化されたデンプンが単官能性基で置換されたデンプンである態様3の同時加工組成物。
6.安定化されたデンプンが、少なくとも一つの劣性シュガリー2対立遺伝子を有するワキシートウモロコシ植物から取り出される態様3の同時加工組成物。
【0036】
7.ワキシートウモロコシ植物が、シュガリー2対立遺伝子に対して異型接合型である植物またはwxsu2(同型接合型)遺伝子型ならびにその転座体、逆位体、突然変異体および変異体の植物である態様6の同時加工組成物。
8.化工デンプンが、ヒドロキシアルキル化リン酸二デンプン、アセチル化アジピン酸二デンプンである態様4の同時加工組成物。
9.フラワーが、タンパク質含量が16%未満である小麦粉である態様1の同時加工組成物。
10.フラワーが、タンパク質含量が10%未満である小麦粉である態様4の同時加工組成物。
11.デンプンとフラワーが、それぞれ、約72:28〜約93:7の質量比で存在している態様1の同時加工組成物。
12.デンプンとフラワーが、それぞれ、約80:20〜約90:10の質量比で存在している態様11の同時加工組成物。
【0037】
13.高温加工の許容性が、同時加工組成物を含有する通常のブラウンソースまたはトマトソースの、約71℃で8時間経過する間のそのピーク粘度からの低下が20%未満であるという性能を特徴とする態様1の同時加工組成物。
14.高温加工の許容性が、同時加工組成物を含有する通常のトマトソースの、約100℃で8時間経過する間のそのピーク粘度からの低下が10%未満であるという性能を特徴とする態様13の同時加工組成物。
15.低温での安定性が、同時加工組成物を含有する通常のトマトソースの、一回の凍結・解凍サイクルの後、その最初の状態に実質的に戻るという性能を特徴とする態様1の同時加工組成物。
16.低温での安定性が、同時加工組成物を含有する通常のトマトソースまたはブラウンソースの、二回の凍結・解凍サイクルの後、その最初の状態に実質的に戻るという性能を特徴とする態様1の同時加工組成物。
17.低温での安定性が、同時加工組成物を含有する通常のトマトソースまたはブラウンソースの、三回の凍結・解凍サイクルの後、その最初の状態に実質的に戻るという性能を特徴とする態様16の同時加工組成物。
18.低温での安定性が、同時加工組成物を含有する通常のトマトソースまたはブラウンソースの、四回の凍結・解凍サイクルの後、その最初の状態に実質的に戻るという性能を特徴とする態様17の同時加工組成物。
【0038】
19.同時加工組成物を固形分4%で含有する溶液の22℃における不透明度が、比濁度単位で測定した場合、対応するアルファ化された化工デンプンを含有する溶液の、同じ条件下で測定した不透明度の少なくとも2倍である態様1の同時加工組成物。
20.同時加工組成物を固形分4%で含有する溶液の22℃における不透明度が、比濁度単位で測定した場合、対応する化工デンプンを含有する溶液の、同じ条件下で測定した不透明度の少なくとも3倍である態様19の同時加工組成物。
21.同時加工組成物を固形分4%で含有する溶液組成物の22℃における不透明度が、比濁度単位で測定した場合、対応する化工デンプンを含有する溶液の、同じ条件下で測定した不透明度の少なくとも4倍である態様20の同時加工組成物。
22.同時加工組成物の乳化特性が、同時加工組成物を含有する通常のブラウンソースの、調理後24時間、その乳化を維持する性能を特徴とする態様1の同時加工組成物。
23.ゼロ分時に瞬間粘性を有し、そして4分間以内にそのピーク粘度の約80%を達成する態様1の同時加工組成物。
24.化工デンプンが、そのデンプンを安定化するために使用された酸化プロピレン試薬で約5.7〜6.7質量%程度置換されかつそのデンプンを架橋するのに使用されたオキシ塩化リン試薬で約0.01〜約0.025質量%置換されそしてフラワーがタンパク質含量10%の小麦粉であり、前記デンプンとフラワーが85:15(デンプン:フラワー質量%)の比率で存在し、SIDA法で同時加工された態様1の同時加工組成物。
25.同時加工組成物を食品に添加する工程を含んでなる、実施態様1の組成物を、食品の増粘剤として使用する方法。
26.食品を、ソース類、グレービー類、ディップ類、ドレッシング類、フィリング類、チーズソース、フルーツトッピング類、ターンオーバーフィリング類、マリネード類、スープ類、薬味類、チャウダー類、前菜類、パテ、バッター類、デザート類、グレーズ類、ビネグレット類、コーティング類、冷凍アントレ類、ドライミックス類およびクリームスタイルの野菜類からなる群から選択する実施態様25の方法。
【0039】
下記の諸実施例は、本発明をさらに例示して説明するために提供するものであるから、本発明を限定するとみなしてはならない。特にことわらない限り、部と百分率はすべて質量で表され、温度はすべて摂氏度(℃)で表される。
【0040】
【実施例】
下記成分を、下記実施例全体を通じて使用した。
市販の小麦粉、例えばGeneral MillsからSOFTASILK(登録商標)Wheat Flourとして市販されているもの。
トウモロコシデンプンとして広く市販されているデントコーンスターチ(本願では「コーンスターチ」とも呼称される)。
市販のアロールート粉、例えばNeshaminy Valley Natural Foodsから市販されているもの。
市販のジャガイモデンプン、例えばAvebeから市販されているもの(食品級のジャガイモデンプン)。
市販のタピオカデンプン、例えばNational Starch and Chemical Companyから市販されているもの(タピオカデンプン)。
化工デンプン:デンプンに約5.7〜約6.7質量%の酸化プロピレンが結合して(デンプンの質量%)安定化され、かつデンプンを架橋するために使用されたオキシ塩化リン試薬約0.01〜約0.025質量%(デンプンの質量%)で架橋された、アルファ化されたジヒドロキシプロピル化リン酸二デンプンのワキシートウモロコシデンプン。
【0041】
実施例1:同時加工組成物の製造方法
小麦粉(5.0kg)およびデンプン[28.3kg:デンプンに約5.7〜約6.7質量%の酸化プロピレンが結合して(デンプンの質量%)安定化され、かつデンプンを架橋するために使用されたオキシ塩化リン試薬約0.01〜約0.025質量%(デンプンの質量%)で架橋されたヒドロキシプロピル化リン酸二デンプンES性トウモロコシデンプン]を、バッチタンク内で、十分な水(約170kg)と、ダイラタンシーが起こらないようにゆっくり混合した。得られたスラリーを、次に、Lightnin(登録商標)ミキサーによって機械的に撹拌して均一な混合物とし、これを次に、SIDA噴霧調理法で小規模の加工を行った。
【0042】
空気と流体のキャップを組み合わせた空気噴霧ノズルを備えている1/4Jシステムを使用して、上記噴霧調理を行った。前記スラリーの均一な混合物を、約965kPa(140psi)で空気キャップ中にポンプ輸送し、約931kPa(135psi)の水蒸気によって糊化した。得られた糊化混合物を、次に、生成した水蒸気圧によって前記キャップのオリフィスを通じて噴霧した。その噴霧された混合物を次に、温度236℃の空気によってスプレー塔(前記1/4Jシステムに連結されている)を通じて降下させながら乾燥させて、アルファ化された乾燥粉末として回収した。この粉末の水分含量は、同時加工組成物の約3〜約12質量%であった。
【0043】
その乾燥混合物は、次に、温度20℃の流動床中に該乾燥アルファ化混合物を流動させながら、その乾燥混合物中に、個々の粒子が互いに付着して0.18〜0.35g/ccというゆるいかさ密度が達成されるまで、水を噴霧することによって凝集させた。
【0044】
実施例2:同時加工組成物の不透明度
化工デンプン、未化工デンプン(デントコーンスターチ、アロールート粉、ジャガイモデンプン、タピオカデンプンおよび小麦粉)ならびに実施例1で製造した同時加工組成物(「CPC」)を、固形分4.00%で水と混合し、85℃で加熱し、この温度を10分間保持した。試料を室温(約22℃)まで放冷し、次に71℃まで加熱して、各温度において、試料の濁度を、比濁計[Ratio mode onの比濁濁度単位(「NTU])で測定するために設定された、HACH Companyから入手できるModel2100AN]で測定した。測定結果を下記表1に示す。
【0045】
【表1】
Figure 0004350932
【0046】
表1のデータが示すように、同時加工組成物(「CPC」)の不透明度に相当する濁度は、対応する未化工デンプンで製造した溶液の不透明度よりはるかに高く、かつ化工デンプンの不透明度より不透明で望ましいことであった。
【0047】
実施例3:ブラウンソース調製品の粘度安定性
pHが6.25の通常のブラウンソースを、各デンプン(デントコーンスターチ、小麦粉、実施例1で製造したCPC、タピオカデンプン、アロールート粉およびジャガイモ粉)で、以下のようなビーフブロス90.17%、バター6.20%、デンプン2.76%、食塩0.74%およびこしょう0.13%にて、調製した。百分率はすべて質量%である。各ソースを、ストーブトップ上で迅速に沸騰させ、煮込んで2分間保持した。得られたソースの一部分を、次に、後記実施例4に記載の凍結/解凍試験を行うために区分けした。残りのソースを、スチームテーブルユニット上に置いて、71℃で8時間保持した。粘度の検査を1時間毎に行った。RVT modelのブルックフィールド粘度計(Brookfield Engineering Laboratories,Inc.から入手できる)を使用して粘度を測定した。そのブルックフィールド粘度計は、スピンドル3を使用して20rpm に設定した。粘度はすべて、センチポイズ(cps)で報告している。
【0048】
【表2】
Figure 0004350932
【0049】
表2のデータが示すように、本発明の同時加工組成物(「CPC」)を含有するブラウンソースは、その粘度を、20%低下しただけで8時間維持することができた。対照的に未化工デンプンを含有する諸ソースは、粘度が少なくとも40%低下した。
【0050】
さらに、アロールート粉、ジャガイモデンプンおよび小麦粉の試料はすべて、ブラウンソース調製品内でのバターのエマルジョン安定性が非常に悪かった。これら三つの試料はすべて、約2時間後の時点でバターが完全に分離した。
【0051】
実施例4:トマトソース調製品の粘度安定性
pH4.41の通常のトマトソースを、各デンプンで(デントコーンスターチ、小麦粉、実施例1で製造したCPC、タピオカデンプン、アロールート粉およびジャガイモ粉)、以下のような水64.63%、トマトペースト30.60%、オリーブ油1.97%、デンプン1.50%および食塩1.30%にて調製した。百分率はすべて質量%である。各ソースを、ストーブトップ上で迅速に沸騰させ、煮込んで2分間保持した。得られたソースの一部を、次に、後記実施例5に記載の凍結/解凍試験を行うために区分した。残りのソースを、スチームテーブルユニット上に置いて、71℃で8時間保持した。粘度の検査を1hr毎に行った。RVTブルックフィールド粘度計を使用して、粘度を測定した。粘度はすべてセンチポイズ(cps)で報告してある。
【0052】
【表3】
Figure 0004350932
【0053】
表3のデータが示すように、本発明の同時加工組成物(「CPC」)を含有するトマトソースは、その粘度を、約9%低下しただけで8時間維持できた。対照的に、未化工デンプンを含有する業界標準増粘剤で製造したソース類は、粘度が少なくとも28%低下した。
【0054】
実施例5:凍結/解凍試験
実施例3と4それぞれで製造したブラウンソースとトマトソースを、4オンスのジャー内に入れて、最小期間の24時間、凍結した。24時間の各サイクルの後、試料を室温(約22℃)まで放冷して、目視で評価した。次に試料を71℃まで加熱して目視で評価した。得られた結果を、ブラウンソースとトマトソースそれぞれについて表4と5に示す。
【0055】
【表4】
Figure 0004350932
【0056】
表4に示すように、第一凍結/解凍サイクルの後、本発明の同時加工組成物とアロールート粉の試料だけがその最初の状態に戻った。しかし、アロールート粉の試料は、5回以上の凍結/解凍サイクルに対してその低温での安定性を保持した本発明の同時加工組成物とは対照的に、その最初の状態に戻らなかった。
【0057】
【表5】
Figure 0004350932
【0058】
表5に示すように、本発明の同時加工増粘剤だけが、2回以上の凍結/解凍サイクルの後に、最初の状態に戻ることができた。トマトソースの同時加工増粘剤は、5回以上の凍結/解凍サイクルを通じてその低温での安定性を有利に維持した。
実施例6:瞬間粘性の測定
各デンプンと同時加工組成物(実施例1で製造)の試料を、その初期粘度と加熱中の加工安定性とホールドプロフィル(hold profile)について検査した。すべての試料を、Newport Scientific Series 4 Rapid Visco Analyser(RVA)で検査した。試料はすべて、水中5.00%固形分で調製して検査し、pHを緩衝溶液で調節した3.0と6.0で試験した。前記緩衝溶液は、1.5容積の溶液Aを1.0容積の溶液Bと混合することによって調製した。溶液Aは、クエン酸一水和物(210.2g)を蒸留水(1000ml)で希釈することによって調製した。溶液Bは、蒸留水(1000ml)で希釈したクエン酸三ナトウム二水和物で調製した。
【0059】
RVA配置プロフィールを以下のように設定した。
【0060】
【表6】
Figure 0004350932
【0061】
次にこれら試料を90℃まで加熱して、その温度に10分間保持した。RVA粘度のデータを表6に報告する。
【0062】
【表7】
Figure 0004350932
【0063】
本発明の同時加工組成物(「CPC」)だけが、0分時に瞬間粘性を有利に付与し、そして、4分間でそのピーク粘度の約82.00%を獲得した。これは、本発明の同時加工組成物を、「すぐに使用できる」製品と特徴づけている。対照的に、他の業界標準品のどれも「すぐ使用できる」製品を提供できなかった。
【0064】
実施例7:同時加工組成物と対応する非同時加工混合物の比較
この実施例は、本発明の同時加工組成物で製造した増粘剤の改良された乳化特性を、対応する非同時加工混合物と比較して示す。
【0065】
実施例2に記載の製造法によって、3種類のブラウンソースを製造した。各ソースのデンプンは、実施例1で製造した同時加工組成物(「CPC」)、化工デンプンと小麦粉の対応する乾燥混合物(乾燥混合物)または化工デンプンのみであった。
【0066】
対応する乾燥混合物を製造するため、CPC組成物と同じ比率の量の化工デンプンと小麦粉を手で混合して、均一な混合物を得た。
【0067】
各ブラウンソースの試料(100ml)をメスシリンダーに入れた。次に分離した脂肪またはリング形成(ringing)の量を、各ソースについて、調理直後、調理後の最初の1時間において定期的に、および24時間後に測定した。
【0068】
CPCを含有する試料は、系内で脂肪を分離することなく、24時間を通じて、均一で流動性のままであった。乾燥混合物を含有する試料は、調理してから5分間以内に分離し始めたが、試料全体にわたって均一に分布したバターのポケット内に残留した。化工デンプンだけを含有する試料は、調理直後に分離し始め、試料全体にわたって均一に分布したバターのポケットを生成し、その結果、ソースの表面に凝固したバターの8mlのリングが生成した。
【0069】
この実験は、本発明のCPC組成物が、ソース配合物の脂肪成分が調理後24時間以上乳化したままである優れたソースを有利に提供することを示した。

Claims (4)

  1. 化工デンプンとフラワーを含んでなる同時加工組成物であって、該化工デンプンとフラワーが混合され、次に該混合物を噴霧調理法またはドラム乾燥法により同時加工されて、少なくとも優れた不透明性、粘度安定性および瞬間粘性特性を食品に与える増粘剤を提供する、同時加工組成物。
  2. 該化工デンプンが、架橋されているかまたは熱で抑制されている安定化デンプンである請求項1に記載の同時加工組成物。
  3. 該化工デンプンとフラワーがそれぞれ、72:28〜93:7の重量比で存在している請求項1に記載の同時加工組成物。
  4. 請求項1に記載の組成物を食品の増粘剤として使用する方法であって、該組成物を食品に添加する工程を含んでなる方法。
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