JP4351765B2 - エンジン油用潤滑剤およびエンジン油用潤滑性組成物 - Google Patents

エンジン油用潤滑剤およびエンジン油用潤滑性組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン油用潤滑剤およびエンジン油用潤滑性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在自動車を取り巻く状況は、燃費規制、排ガス規制等厳しくなる一方である。この背景には地球温暖化、大気汚染、酸性雨等の環境問題と、有限である石油エネルギーの枯渇に対する懸念からの資源保護がある。これらの対策としては、現在のところ燃費の向上が最も有効である。
自動車の燃料の消費量を低減する、いわゆる省燃費化を進める上で、自動車本体の軽量化、エンジンの改良等、自動車自体の改良と共にエンジンでの摩擦ロスを防ぐためのエンジン油の低粘度化、良好な摩擦調整剤の添加等、エンジン油の改善も重要な要素となっている。エンジン油はピストン・ライナ間での潤滑剤として作用するが、この部分では流体潤滑が多いため、エンジン油を低粘度化することにより摩擦ロスを低減することができる。このため近年ではエンジン油の低粘度化が進んでいるが、潤滑油の低粘度化に伴うピストン・ライナ間でのシール性の悪化、摩耗量の増大という問題が新たに発生している。又、エンジン油は動弁系、ベアリング等の潤滑においても重要な役割を果たしているが、この部分では混合潤滑、境界潤滑が多いため、エンジン油の低粘度化は摩耗の増大を引き起こす原因になっている。そこで、エンジン油の低粘度化に伴う摩擦損失の低減、摩耗防止の目的で摩擦調整剤、極圧剤等が添加されている。
【0003】
有機モリブデン化合物は優れた摩擦低減作用を有しているため、種々の潤滑油に添加されているが、特にエンジン油においては省燃費化に効果的であり、このため省燃費油には必須の添加剤となってきている。省燃費油は、新油段階で優れた省燃費性能を発揮しても、その性能が長期間維持できなければ優れた省燃費油とはいえない。従って、長期間の使用によっても摩擦低減作用を維持し続けることができるか、ということが現在の省燃費油に求められる重要なテーマである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
有機モリブデン化合物の中に、硫化オキシモリブデンジチオホスフェートがある。硫化オキシモリブデンジチオホスフェートは、例えば、特公平5−14720号公報に記載されているように、三酸化モリブデンと、五硫化リンと、アルコールから合成される。従来、この硫化オキシモリブデンジチオホスフェートとしては、2−エチルヘキシル基等の比較的短鎖のアルキル基を有するものが広く使用されていた。
しかし、2−エチルヘキシル基のような比較的短いアルキル基を有する硫化オキシモリブデンジチオホスフェートは、酸化安定性が良くないという問題点があった。そこで本発明者らは鋭意検討し、比較的長い炭化水素基を有する硫化オキシモリブデンジチオホスフェートが、酸化安定性に優れ、潤滑性基材に配合した場合に長期間にわたってその性能を発揮しうることを知見し本発明に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、次の一般式(1)
【0006】
【化3】
Figure 0004351765
【0007】
(式中、R1〜R4は、炭素数14以上の鎖状炭化水素基を表わし、X1〜X4は硫黄原子又は酸素原子を表わす。)
で表わされる硫化オキシモリブデンジチオホスフェートからなるエンジン油用潤滑剤である。
【0008】
又、本発明は、潤滑性基材に、この一般式(1)で表わされる潤滑剤を含有するエンジン油用潤滑性組成物である。
更に、本発明は、潤滑性基材に、この一般式(1)で表わされる潤滑剤と共に、次の一般式(2)
【0009】
【化4】
Figure 0004351765
【0010】
(式中、R5及びR6は炭化水素基を表わし、aは0〜1/3の数を表わす。)
で表わされる亜鉛ジチオホスフェートを含有するエンジン油用潤滑性組成物である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の潤滑剤は、前記一般式(1)で表わされる硫化オキシモリブデンジチオホスフェート(MoDTP)である。一般式(1)において、R1〜R4はそれぞれが炭素数14以上の鎖状炭化水素基であり、好ましくは炭素数14〜36の鎖状炭化水素基である。鎖状炭化水素基としては、アルキル基又はアルケニル基等が挙げられる。
炭素数14以上のアルキル基又はアルケニル基としては、例えば、テトラデシル、2級テトラデシル、テトラデセニル、ヘキサデシル、2級ヘキサデシル、ヘキサデセニル、ステアリル、オレイル、イコシル、ドコシル、テトラコシル、ヘキサコシル、オクタコシル、トリアコンチル、2―ブチルデシル、2―ヘキシルオクチル、2―ヘキシルデシル、2―オクチルデシル、2―ヘキシルドデシル、2―オクチルドデシル、2―デシルテトラデシル、2―ドデシルヘキサデシル、2―ヘキサデシルオクタデシル、2―テトラデシルオクタデシル、モノメチル分枝―イソステアリル等が挙げられる。
【0012】
上記のR1〜R4は、互いに同一でも異なってもよい。R1〜R4としては、それぞれが炭素数14〜36のアルキル基又はアルケニル基が最も好ましい。
又、一般式(1)においては、X1〜X4は各々硫黄原子又は酸素原子であり、X1〜X4の全てが硫黄原子又は酸素原子であってもよく、4つのX1〜X4がそれぞれ硫黄原子又は酸素原子であってもよいが、潤滑性及び腐食性を考慮した場合、硫黄原子/酸素原子の存在比が1/3〜3/1(個)であるものが特に好ましい。
【0013】
前記一般式(1)で表わされる本発明の潤滑剤は、それ単独で使用することもできるが、一般的には潤滑性基油、基グリース等からなる潤滑性基材に添加し、更に必要に応じてその他の各種の添加成分を加えて構成される潤滑性組成物として使用される。この本発明の潤滑剤である硫化オキシモリブデンジチオホスフェートを潤滑性基材に添加する場合、添加量は特に制限されないが、添加量があまりに少ないと摩擦低減効果が十分でなく、添加量があまりに多いとスラッジや腐蝕の原因になる傾向がある。又、硫化オキシモリブデンジチオホスフェートは、比較的添加量の少ない場合は耐摩耗効果、比較的添加量の多い場合は摩擦低減効果が顕著に表れるといわれている。従って、添加量は、潤滑性基材が潤滑性基油である場合は、潤滑性基油に対して好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.05〜5重量%、更に好ましくは0.1〜2重量%である。潤滑性基材が基グリースである場合は、添加量は、基グリースに対して好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.5〜15重量%、更に好ましくは1〜10重量%である。
【0014】
本発明の潤滑剤は、前記一般式(2)で表わされる亜鉛ジチオホスフェートと併用することにより、酸化安定性及びロングドレイン性(長寿命性)が更に向上する。一般式(2)において、R5及びR6は炭化水素基である。R5及びR6としては、炭素数3〜24のアルキル基、アルケニル基、アリール基等が好ましい。これらの中でも、炭素数3〜14のアルキル基が好ましい。又、R5及びR6の異なる2種以上のジンクジチオホスフェートを併用してもよい。aは0〜1/3であり、a=0の場合、中性ジンクジチオホスフェートと呼ばれ、a=1/3の場合、塩基性ジンクジチオホスフェートと呼ばれる。
亜鉛ジチオホスフェートを潤滑性基材に添加する場合、添加量は特に制限されないが、実用的な摩擦低減効果及び酸化防止効果を発揮させるためにはある程度の量を配合したほうが好ましく、一方あまり大量に配合するとスラッジ発生の原因になる場合もあるため、潤滑性基材に対して好ましくはリン量にして0.001〜3重量%、より好ましくは0.005〜2重量%、更に好ましくは0.01〜1重量%である。
【0015】
又、本発明の潤滑剤は、使用目的に応じて、(D1)金属清浄剤、(D2)無灰分散剤、(D3)リン原子を含有する化合物、(D4)リン原子及び硫黄原子を含有する化合物、(D5)硫黄原子を含有し、金属原子を含有しない化合物、(D6)硫黄系酸化防止剤、(D7)有機金属化合物、(D8)金属原子、リン原子及び硫黄原子を含有しない油性向上剤、(D9)防錆剤、(D10)粘度指数向上剤、(D11)金属不活性化剤、(D12)消泡剤、(D13)固体潤滑剤等と併用することができる。
【0016】
(D1)成分である金属清浄剤としては、例えば金属スルホネート、金属フェネート、金属サリシレート、金属ホスホネート等が挙げられる。金属スルホネートとしては、例えば、(モノ又はジ)アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、(モノ又はジ)アルキルナフタレンスルホン酸金属塩、石油スルホン酸金属塩等が挙げられる。金属フェネートとしては、例えば、(モノ又はジ)アルキルフェノール金属塩、チオビス{(モノ又はジ)アルキルフェノール}金属塩、メチレンビス{(モノ又はジ)アルキルフェノール}金属塩等が挙げられる。金属サリシレートとしては、例えば、(モノ又はジ)アルキルサリチル酸金属塩、チオビス{(モノ又はジ)アルキルサリチル酸}金属塩、メチレンビス{(モノ又はジ)アルキルサリチル酸}金属塩等が挙げられる。
この金属清浄剤の金属原子の種類としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属が好ましく、カルシウム、マグネシウム、バリウムがより好ましい。
【0017】
又、上記の一般式で表わされる化合物は一般に中性塩と呼ばれるものである。これらの中性塩に、二酸化炭素を吹き込みながら金属酸化物又は金属水酸化物等で塩基化処理した塩基性又は過塩基性の金属清浄剤が好ましく使用される。過塩基化生成物は、通常炭酸塩の形で含有されている。これらの塩基性又は過塩基性の金属清浄剤の全塩基価(TBN)は、一般に200〜500mgKOH/g程度である。
これらの金属清浄剤の中でも最も好ましいものは、中性、塩基性又は過塩基性の、カルシウムサリシレート若しくはカルシウムスルホネートである。(D1)成分の好ましい配合量は、潤滑性基材に対して0.5〜15重量%程度である。
【0018】
(D2)成分である無灰分散剤としては、例えば、コハク酸イミド、ベンジルアミン、コハク酸エステル又はこれらのホウ素変性物等が挙げられる。コハク酸イミドとしては、例えば、分子量300〜4,000程度のポリブテニル基等のポリアルケニル基を有するコハク酸と、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリエチレンポリアミンのモノイミド又はビスイミド、若しくはこれらのホウ酸変性物;ポリアルケニル基を有するフェノールとホルムアルデヒドとポリエチレンポリアミンのマンニッヒ反応物等が挙げられる。
上記の無灰分散剤中の窒素含量は、通常0.5〜2.0重量%程度である。これらの無灰分散剤のうちで、好ましいものはコハク酸イミド又はそのホウ素変性物である。(D2)成分の好ましい配合量は、潤滑性基材に対して0.5〜20重量%程度である。
【0019】
(D3)成分であるリン原子を含有する化合物としては例えば、ホスフィン、ホスフィンオキシド、ホスフィナイト、ホスフォナイト、ホスフィネート、ホスファイト、ホスフォネート、ホスフェート、ホスフォロアミデート等の有機リン化合物が挙げられる。これらの化合物は、主に潤滑性、耐摩耗性等を向上させるが、酸化防止剤としても作用する場合がある。
【0020】
(R)3Pで表わされる有機ホスフィンとしては例えば、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフィン、トリノニルホスフィン、トリデシルホスフィン、トリラウリルホスフィン、トリミリスチルホスフィン、トリパルミチルホスフィン、トリステアリルホスフィン、トリオレイルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリクレジルホスフィン等が挙げられる。(R)2P−(CH2)n−P(R)2で表わされるアルキリデンビスホスフィンとしては例えば、メチレンビス(ジブチルホスフィン)、メチレンビス(ジヘキシルホスフィン)、メチレンビス(ジオクチルホスフィン)、メチレンビス(ジ2−エチルヘキシルホスフィン)、メチレンビス(ジノニルホスフィン)、メチレンビス(ジデシルホスフィン)、メチレンビス(ジラウリルホスフィン)、メチレンビス(ジミリスチルホスフィン)、メチレンビス(ジパルミチルホスフィン)、メチレンビス(ジステアリルホスフィン)、メチレンビス(ジオレイルホスフィン)、メチレンビス(ジフェニルホスフィン)、メチレンビス(ジクレジルホスフィン)等が挙げられる。
【0021】
(R)3P=Oで表わされる有機ホスフィンオキシドとしては例えば、トリブチルホスフィンオキシド、トリヘキシルホスフィンオキシド、トリオクチルホスフィンオキシド、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフィンオキシド、トリノニルホスフィンオキシド、トリデシルホスフィンオキシド、トリラウリルホスフィンオキシド、トリミリスチルホスフィンオキシド、トリパルミチルホスフィンオキシド、トリステアリルホスフィンオキシド、トリオレイルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド、トリクレジルホスフィンオキシド等が挙げられる。
【0022】
(RO)3P等で表わされる有機ホスファイトとしては例えば、モノブチルホスファイト、ジブチルホスファイト又はトリブチルホスファイト(「モノ/ジ/トリブチルホスファイト」と記載する。以下同様)、モノ/ジ/トリヘキシルホスファイト、モノ/ジ/トリオクチルホスファイト、モノ/ジ/トリ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、モノ/ジ/トリノニルホスファイト、モノ/ジ/トリデシルホスファイト、モノ/ジ/トリラウリルホスファイト、モノ/ジ/トリミリスチルホスファイト、モノ/ジ/トリパルミチルホスファイト、モノ/ジ/トリステアリルホスファイト、モノ/ジ/トリオレイルホスファイト、モノ/ジ/トリフェニルホスファイト、モノ/ジ/トリクレジルホスファイト等が挙げられる。又、他のホスファイトとしては例えば、ペンタエリスリトールジホスファイト、ペンタエリスリトールテトラホスファイト、アルキリデンビスホスファイト等が挙げられる。
【0023】
(RO)3P=O等で表わされる有機ホスフェートとしては例えば、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート又はトリブチルホスフェート(「モノ/ジ/トリブチルホスフェート」と略記する。以下同様)、モノ/ジ/トリオクチルホスフェート、モノ/ジ/トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、モノ/ジ/トリノニルホスフェート、モノ/ジ/トリデシルホスフェート、モノ/ジ/トリラウリルホスフェート、モノ/ジ/トリミリスチルホスフェート、モノ/ジ/トリパルミチルホスフェート、モノ/ジ/トリステアリルホスフェート、モノ/ジ/トリオレイルホスフェート、モノ/ジ/トリフェニルホスフェート、モノ/ジ/トリクレジルホスフェート等が挙げられる。又、ポリオキシアルキレン基を有するホスフェート、例えばラウリルアルコールエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物のホスフェート等も挙げられる。
【0024】
これらのホスフェートのうち、モノ又はジホスフェートは酸性リン酸エステルと呼ばれ、アルカリ又はアミン等の塩基で中和して使用してもよい。アルカリとしては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物等が挙げられる。アミンとしては、例えばアンモニア;メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、(イソ)プロピルアミン、ジ(イソ)プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、セチルアミン、ヤシアルキルアミン、大豆油由来アルキルアミン、牛脂由来アルキルアミン、オレイルアミン、ステアリルアミン等のアルキルアミン類;モノエタノールアミン、N−メチルモノエタノールアミン、N−エチルモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、アミノエチルエタノールアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン等のアルカノールアミン類又はこれらのアルキレンオキサイド付加物;N−ブチルジエタノールアミン、N−ヘキシルジエタノールアミン、N−オクチルジエタノールアミン、N−デシルジエタノールアミン、N−ヤシアルキルジエタノールアミン、N−大豆油由来アルキルジエタノールアミン、N−牛脂由来アルキルジエタノールアミン、N−オレイルジエタノールアミン、N−ステアリルジエタノールアミン、N,N−ジブチルモノエタノールアミン、N、N−ジヘキシルモノエタノールアミン、N,N−ジオクチルモノエタノールアミン、N,N−ジデシルモノエタノールアミン、N,N−ビス(ヤシアルキル)モノエタノールアミン、N,N−ビス(大豆油由来アルキル)モノエタノールアミン、N,N−ビス(牛脂由来アルキル)モノエタノールアミン、N−ジオレイルモノエタノールアミン、N−ジステアリルモノエタノールアミン等のN−長鎖アルキルアルカノールアミン類又はこれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。ホスフォロアミデートとしては、上記ホスフェートと、上記アミンとを縮合反応させたもの等が挙げられる。
(D3)成分の好ましい配合量は、潤滑性基材に対して0.1〜10重量%程度である。
【0025】
(D4)成分であるリン原子及び硫黄原子を含有する化合物としては例えば、トリチオホスファイト、チオホスフェート等が挙げられる。これらの化合物は、主に潤滑性、耐摩耗性等を向上させるが、酸化防止剤としても作用する場合がある。
(RS)3P等で表わされる有機トリチオホスファイトとしては例えば、モノ、ジ又はトリブチルトリチオホスファイト(「モノ/ジ/トリブチルトリチオホスファイト」と略記する。以下同様)、モノ/ジ/トリヘキシルトリチオホスファイト、モノ/ジ/トリオクチルトリチオホスファイト、モノ/ジ/トリ(2−エチルヘキシル)トリチオホスファイト、モノ/ジ/トリノニルトリチオホスファイト、モノ/ジ/トリデシルトリチオホスファイト、モノ/ジ/トリラウリルトリチオホスファイト、モノ/ジ/トリミリスチルトリチオホスファイト、モノ/ジ/トリパルミチルトリチオホスファイト、モノ/ジ/トリステアリルトリチオホスファイト、モノ/ジ/トリオレイルトリチオホスファイト、モノ/ジ/トリフェニルトリチオホスファイト、モノ/ジ/トリクレジルトリチオホスファイト等が挙げられる。
【0026】
(RO)3P=S等で表わされる有機チオホスフェートとしては例えば、モノブチルチオフェート、ジブチルチオフェート又はトリブチルチオフェート(「モノ/ジ/トリブチルチオフェート」と略記する。以下同様)、モノ/ジ/トリヘキシルチオホスフェート、モノ/ジ/トリオクチルチオホスフェート、モノ/ジ/トリ(2−エチルヘキシル)チオホスフェート、モノ/ジ/トリノニルチオホスフェート、モノ/ジ/トリデシルチオホスフェート、モノ/ジ/トリラウリルチオホスフェート、モノ/ジ/トリミリスチルチオホスフェート、モノ/ジ/トリパルミチルチオホスフェート、モノ/ジ/トリステアリルチオホスフェート、モノ/ジ/トリオレイルチオホスフェート、モノ/ジ/トリフェニルチオホスフェート、モノ/ジ/トリクレジルチオホスフェート等が挙げられる。
又、ジチオリン酸2量体も使用することができる。
(D4)成分の好ましい配合量は、潤滑性基材に対して0.1〜10重量%程度である。
【0027】
(D5)成分である硫黄原子を含有し、金属原子を含有しない化合物としては例えば、硫化ラード、硫化魚油、硫化鯨油、硫化大豆油、硫化ピネン油、硫化まっこう油、硫化脂肪酸等の油脂由来化合物の二重結合を硫化したものの他、単体硫黄、有機モノ又はポリサルファイド、イソブチレン等のポリオレフィンの硫化物、1,3,4―チアジアゾール誘導体、チウラムジスルフィド、ジチオカルバミン酸エステル等が挙げられる。
【0028】
有機モノ又はポリサルファイドは、下記の一般式(D5−1)
R−Sx−R (D5−1)
(式中、Rは炭化水素基を表わし、xは1乃至10程度の数を表わす。)
で表わされる化合物であり、例えば、ジメチルモノサルファイド、ジメチルジサルファイド又はジメチルポリサルファイド(「ジメチルモノ/ジ/ポリサルファイド」と略記する。以下同様)、ジエチルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジプロピルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジイソプロピルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジブチルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジイソブチルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジターシャリブチルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジペンチルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジイソペンチルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジネオペンチルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジターシャリペンチルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジヘキシルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジヘプチルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジオクチルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジ2―エチルヘキシルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジノニルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジターシャリノニルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジデシルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジウンデシルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジドデシルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジトリデシルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジイソトリデシルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジテトラデシルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジヘキサデシルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジステアリルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジイソステアリルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジオレイルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジイコシルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジドコシルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジテトラコシルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジトリアコンチルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジフェニルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジトルイルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジキシリルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジクメニルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジメシチルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジベンジルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジフェネチルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジスチリルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジシンナミルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジベンズヒドリルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジトリチルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジ(エチルフェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド、ジ(プロピルフェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド、ジ(ブチルフェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド、ジ(ペンチルフェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド、ジ(ヘキシルフェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド、ジ(ヘプチルフェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド、ジ(オクチルフェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド、ジ(ノニルフェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド、ジ(デシルフェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド、ジ(ウンデシルフェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド、ジ(ドデシルフェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド、ジ(フェニルフェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド、ジ(ベンジルフェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド、ジ(スチレン化フェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド、ジ(p―クミルフェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド、ジシクロペンチルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジシクロヘキシルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジシクロヘプチルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジメチルシクロペンチルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジメチルシクロヘキシルモノ/ジ/ポリサルファイド、ジメチルシクロヘプチルモノ/ジ/ポリサルファイド等のジヒドロカルビルサルファイド;ジ(エチルヒドロキシフェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド、ジ(プロピルヒドロキシフェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド、ジ(ブチルヒドロキシフェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド、ジ(ペンチルヒドロキシフェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド、ジ(ヘキシルヒドロキシフェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド、ジ(ヘプチルヒドロキシフェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド、ジ(オクチルヒドロキシフェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド、ジ(ノニルヒドロキシフェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド、ジ(デシルヒドロキシフェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド、ジ(ウンデシルヒドロキシフェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド、ジ(ドデシルヒドロキシフェニル)モノ/ジ/ポリサルファイド等のジヒドロカルビルフェノールサルファイド等が挙げられる。
1,3,4―チアジアゾール誘導体は、下記の一般式(D5−2)
【0029】
【化5】
Figure 0004351765
【0030】
(式中、Rは炭化水素基又は硫黄原子を含有する炭化水素基を表わす。)
で表わされる。
【0031】
硫黄を含有する炭化水素基としては例えば、5−チアノニル、2,5−ジチアノニル、3,4−ジチアヘキシル、4,5−ジチアヘキシル、3,4,5−トリチアヘプチル、3,4,5,6−テトラチアオクチル、5−チア−2−ヘプテニル、4−チアシクロヘキシル、1,4−ジチアナフチル、5−(メチルチオ)オクチル、4−(エチルチオ)―2−ペンテニル、4−(メチルチオ)シクロヘキシル、4−メルカプトフェニル、4−(メチルチオ)フェニル、4−(ヘキシルチオ)ベンジル、ステアリルジチオ、ラウリルジチオ、オクチルジチオ、ステアリルチオ、ラウリルチオ、オクチルチオ、N,N−ジアルキルジチオカルバモイル等が挙げられるが、なかでも2〜4個の硫黄原子が連続して結合した基が特に好ましい。
チウラムジスルフィドは、下記の一般式(D5−3)
【0032】
【化6】
Figure 0004351765
【0033】
(Rは炭化水素基を表わし、R’は硫黄原子、2価の炭化水素基又は硫黄原子を含有する2価の炭化水素基を表わす。)で表わされる。
R’としては、−S(−S)n−(但し、nは0又は1以上の数。)で表わされる基、メチレン基、−S(−S)n(−CH2)n−S(−S)n−(但し、nは同一又は異なる0又は1以上の数。)で表わされる基等が挙げられる。Rは炭素数4以上の鎖状炭化水素基が好ましい。
ジチオカルバミン酸エステルは、下記の一般式(D5−4)
【0034】
【化7】
Figure 0004351765
【0035】
(Rは炭化水素基を表わし、R’は水素原子、炭化水素基又はCOOR”で表わされる基を表わし、R”は炭化水素基を表わす。)で表わされる。
(D5)成分の好ましい配合量は、潤滑性基材に対して0.1〜15重量%程度である。
【0036】
(D6)成分である酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert.−ブチルフェノール(以下、tert.−ブチルをt−ブチルと略記する。)、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ステアリル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸オレイル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ドデシル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸デシル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸オクチル、テトラキス{3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオニルオキシメチル}メタン、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸グリセリンモノエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸とグリセリンモノオレイルエーテルとのエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ブチレングリコールエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸チオジグリコールエステル、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)サルファイド、トリス{(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル}イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、ビス{2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル}サルファイド、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラフタロイル−ジ(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジルサルファイド)、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−{ジエチル−ビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)}プロピオネ−ト、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシナミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル−リン酸ジエステル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)サルファイド、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス{3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グリコールエステル等が挙げられる。
【0037】
アミン系酸化防止剤としては、例えば、1−ナフチルアミン、フェニル−1−ナフチルアミン、p−オクチルフェニル−1−ナフチルアミン、p−ノニルフェニル−1−ナフチルアミン、p−ドデシルフェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン等のナフチルアミン系酸化防止剤;N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジイソブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、ジオクチル−p−フェニレンジアミン、フェニルヘキシル−p−フェニレンジアミン、フェニルオクチル−p−フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン系酸化防止剤;ジピリジルアミン、ジフェニルアミン、p,p’−ジ−n−ブチルジフェニルアミン、p,p’−ジ−t−ブチルジフェニルアミン、p,p’−ジ−t−ペンチルジフェニルアミン、p,p’−ジノニルジフェニルアミン、p,p’−ジデシルジフェニルアミン、p,p’−ジドデシルジフェニルアミン、p,p’−ジスチリルジフェニルアミン、p,p’−ジメトキシジフェニルアミン、4,4’−ビス(4−α,α−ジメチルベンゾイル)ジフェニルアミン、p−イソプロポキシジフェニルアミン、ジピリジルアミン等のジフェニルアミン系酸化防止剤;フェノチアジン、N−メチルフェノチアジン、N−エチルフェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン、フェノチアジンカルボン酸エステル、フェノセレナジン等のフェノチアジン系酸化防止剤が挙げられる。
【0038】
硫黄系酸化防止剤としては例えば、ジオクチルチオジプロピオネート、ジデシルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリル−β,β’−チオジブチレート、(3−オクチルチオプロピオン酸)ペンタエリスリトールテトラエステル、(3−デシルチオプロピオン酸)ペンタエリスリトールテトラエステル、(3−ラウリルチオプロピオン酸)ペンタエリスリトールテトラエステル、(3−ステアリルチオプロピオン酸)ペンタエリスリトールテトラエステル、(3−オレイルチオプロピオン酸)ペンタエリスリトールテトラエステル、(3−ラウリルチオプロピオン酸)―4,4’−チオジ(3−メチル−5−t−ブチル−4−フェノール)エステル、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール、2−ベンズイミダゾールジスルフィド、ジラウリルサルファイド、アミルチオグリコレート等が挙げられる。
【0039】
(D6)成分の配合量は、潤滑性基材が潤滑性基油である場合は、潤滑性基油に対して好ましくは0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%、最も好ましくは0.1〜2重量%である。潤滑性基材が基グリースである場合は、添加量は、基グリースに対して好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.1〜10重量%、最も好ましくは0.5〜5重量%である。
【0040】
(D7)成分である有機金属化合物は、耐摩耗性及び酸化防止性を向上させるものである。具体的には、例えば、ヘキサン酸、オクタン酸、ペラルゴン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、リノール酸、リノレン酸等の脂肪酸又はナフテン酸のリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、チタン、亜鉛、鉛、スズ、鉄、カドミウム、コバルト、ニッケル、マンガン、ストロンチウム、チタン、バナジウム、銅、アンチモン、ビスマス、タングステン塩等が挙げられる。脂肪酸としては炭素数12〜18程度が好ましい。
又、ジチオリン酸金属塩、ジチオカルバミン酸金属塩、メルカプトベンゾチアゾール金属塩、メルカプトベンズイミダゾール金属塩、ベンズアミドチオフェノール金属塩等が挙げられる。金属原子は、上記に例示した金属原子である。その他、硫化オキシモリブデンジアルキルジチオカーバメートも好ましく用いることができる。
【0041】
(D8)成分は、金属原子、リン原子及び硫黄原子を含有しない油性向上剤である。例えば、ヘキサン酸、オクタン酸、ペラルゴン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、リノール酸、リノレン酸等の脂肪酸;アマニ油、エノ油、オイチシカ油、オリーブ油、カカオ脂、カポック油、白カラシ油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、シナアット油、シナキリ油、大豆油、茶実油、ツバキ油、コーン油、ナタネ油、パーム油、パーム核油、ひまし油、ひまわり油、綿実油、ヤシ油、木ロウ、落花生油、馬脂、牛脂、牛脚脂、牛酪脂、豚脂、山羊脂、羊脂、乳脂、魚油、鯨油等の油脂或いはこれらの水素化物又は部分ケン化物;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ化油脂;エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル等のエポキシ化エステル;グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸等の二塩基酸;リシノール酸(ヒマシ油脂肪酸)、12−ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシステアリン酸の重縮合物又は該重縮合物と脂肪酸とのエステル;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;
【0042】
ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ベヘニルアミン等の高級アミン;ラウリルアミド、ミリスチルアミド、パルミチルアミド、ステアリルアミド、オレイルアミド、ベヘニルアミド等の高級アミド;ラウリルジエタノールアミド、ミリスチルジエタノールアミド、パルミチルジエタノールアミド、ステアリルジエタノールアミド、オレイルジエタノールアミド、ベヘニルジエタノールアミド等のジエタノールアミド;ヘキサン酸モノ/ジ/トリグリセリド、オクタン酸モノ/ジ/トリグリセリド、デカン酸モノ/ジ/トリグリセリド、ラウリン酸モノ/ジ/トリグリセリド、ミリスチン酸モノ/ジ/トリグリセリド、パルミチン酸モノ/ジ/トリグリセリド、ステアリン酸モノ/ジ/トリグリセリド、オレイン酸モノ/ジ/トリグリセリド、ベヘニン酸モノ/ジ/トリグリセリド等のグリセリド;ヘキサン酸ポリグリセリンエステル、オクタン酸ポリグリセリンエステル、デカン酸ポリグリセリンエステル、ラウリン酸ポリグリセリンエステル、ミリスチン酸ポリグリセリンエステル、パルミチン酸ポリグリセリンエステル、ステアリン酸ポリグリセリンエステル、オレイン酸ポリグリセリンエステル、ベヘニン酸ポリグリセリンエステル等のポリグリセリンエステル;ヘキサン酸ソルビタンエステル、オクタン酸ソルビタンエステル、デカン酸ソルビタンエステル、ラウリン酸ソルビタンエステル、ミリスチン酸ソルビタンエステル、パルミチン酸ソルビタンエステル、ステアリン酸ソルビタンエステル、オレイン酸ソルビタンエステル、ベヘニン酸ソルビタンエステル等のソルビタンエステル;(ポリ)グリセリンモノオクチルエーテル、(ポリ)グリセリンモノデシルエーテル、(ポリ)グリセリンモノラウリルエーテル、(ポリ)グリセリンモノオレイルエーテル、(ポリ)グリセリンモノステアリルエーテル等の(ポリ)グリセリンエーテル;上記の化合物にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ドデカン−1,2−オキサイド等のα−オレフィンオキサイドを付加したもの等が挙げられる。(D8)成分の好ましい配合量は、潤滑性基材に対して0.05〜15重量%程度である。
【0043】
(D9)成分は、防錆剤である。例えば、前記金属清浄剤で例示したスルホネート、亜硝酸ナトリウム、酸化パラフィンワックスカルシウム塩、酸化パラフィンワックスマグネシウム塩、牛脂脂肪酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアミン塩、アルケニルコハク酸又はアルケニルコハク酸ハーフエステル(アルケニル基の分子量は100〜300程度)、ソルビタンモノエステル、ペンタエリスリトールモノエステル、グリセリンモノエステル、ノニルフェノールエトキシレート、ラノリン脂肪酸エステル、ラノリン脂肪酸カルシウム塩等が挙げられる。(D9)成分の好ましい配合量は、潤滑性基材に対して0.1〜15重量%程度である。
【0044】
(D10)成分は粘度指数向上剤である。例えば、ポリ(C1〜18)アルキルメタクリレート、(C1〜18)アルキルアクリレート/(C1〜18)アルキルメタクリレート共重合体、ジエチルアミノエチルメタクリレート/(C1〜18)アルキルメタクリレート共重合体、エチレン/(C1〜18)アルキルメタクリレート共重合体、ポリイソブチレン、ポリアルキルスチレン、エチレン/プロピレン共重合体、スチレン/マレイン酸エステル共重合体、スチレン/マレイン酸アミド共重合体、スチレン/ブタジエン水素化共重合体、スチレン/イソプレン水素化共重合体等が挙げられる。平均分子量は10,000〜1,500,000程度である。(D10)成分の好ましい配合量は、潤滑性基材に対して0.1〜20重量%程度である。
【0045】
(D11)成分は、金属不活性化剤である。例えば、N,N’−サリチリデン−1,2−プロパンジアミン、アリザリン、テトラアルキルチウラムジサルファイド、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、2−アルキルジチオベンゾイミダゾール、2−アルキルジチオベンゾチアゾール、2−(N,N−ジアルキルジチオカルバモイル)ベンゾチアゾール、2,5−ビス(アルキルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(N,N−ジアルキルジチオカルバモイル)−1,3,4−チアジアゾール等が挙げられる。(D11)成分の好ましい配合量は、潤滑性基材に対して0.01〜5重量%程度である。
【0046】
(D12)成分は、消泡剤である。例えば、ポリジメチルシリコーン、トリフルオロプロピルメチルシリコーン、コロイダルシリカ、ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルメタクリレート、アルコールエトキシ/プロポキシレート、脂肪酸エトキシ/プロポキシレート、ソルビタン部分脂肪酸エステル等が挙げられる。(D12)成分の好ましい配合量は、潤滑性基材に対して0.001〜1重量%程度である。
【0047】
(D13)成分は、固体潤滑剤である。例えば、グラファイト、二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン、脂肪酸アルカリ土類金属塩、雲母、二塩化カドミウム、二ヨウ化カドミウム、フッ化カルシウム、ヨウ化鉛、酸化鉛、チタンカーバイド、窒化チタン、珪酸アルミニウム、酸化アンチモン、フッ化セリウム、ポリエチレン、ダイアモンド粉末、窒化ケイ素、窒化ホウ素フッ化炭素、メラミンイソシアヌレート等が挙げられる。(D13)成分の好ましい配合量は、潤滑性基材に対して0.005〜2重量%程度である。
以上の(D)成分は、1種又は2種以上を適宜配合することができる。本発明の潤滑性組成物を内燃機関用潤滑油として使用する場合は、少なくとも(D1)金属清浄剤を配合することが好ましい。
【0048】
本発明に使用することができる潤滑性基材は、鉱油、合成油又はこれらの混合物からなる潤滑性基油、このような潤滑性基油に増稠剤を配合した基グリースを使用することができるが、この他に水性潤滑油として使用する場合は水を使用する。
本発明の潤滑性組成物を潤滑油として使用する場合、潤滑性基油の動粘度は特に限定されないが、好ましくは100℃で1〜50mm2/s、40℃で10〜1,000mm2/s程度、粘度指数(VI)は好ましくは100以上、より好ましくは120以上、最も好ましくは135以上である。
【0049】
潤滑性基油として使用する鉱油は、天然の原油から分離されるものであり、これを適当に蒸留、精製等を行って製造される。鉱油の主成分は炭化水素(多くはパラフィン類である)であり、その他1環ナフテン分、2環ナフテン分、芳香族分等を含有している。これらを水素化精製、溶剤脱れき、溶剤抽出、溶剤脱ろう、水添脱ろう、接触脱ろう、水素化分解、アルカリ蒸留、硫酸洗浄、白土処理等の精製を行った基油も好ましく使用することができる。これらの精製手段は、適宜に組み合わせて行われ、同一処理を複数段に分けて繰り返し行っても有効である。
【0050】
例えば、(A)留出油を溶剤抽出処理するか、又は溶剤抽出処理した後に水素化処理し、次いで硫酸洗浄する方法、(B)留出油を水素化処理した後に脱ろう処理する方法、(C)留出油を溶剤抽出処理した後に水素化処理する方法、(D)留出油を溶剤抽出処理した後に白土処理する方法、(E)留出油を二段或いは三段以上の水素化処理を行う、又はその後にアルカリ蒸留又は硫酸洗浄処理する方法、(F)留出油を水素化処理するか、又は水素化処理した後に、アルカリ蒸留又は硫酸洗浄処理する方法、或いはこれらの処理油を混合する方法等が有効である。
これらの処理を行うと、未精製鉱油中の芳香族成分、硫黄分、窒素分等を除去することが可能である。現在の技術では、これらの不純分は痕跡量以下に除去することが可能であるが、芳香族成分は潤滑油添加剤を溶解しやすくさせる効果があるため、3〜5重量%程度残存させる場合もある。例えば、現在使用されている高度精製鉱油中の硫黄分や窒素分は0.01重量%以下であり、場合によっては0.005重量%以下である。一方、芳香族成分は1重量%以下、場合によっては0.05重量%以下のものもあれば3重量%程度残存しているものもある。
【0051】
又、潤滑性基油として使用する合成油とは、化学的に合成された潤滑油であって、例えばポリ―α―オレフィン、ポリイソブチレン(ポリブテン)、ジエステル、ポリオールエステル、芳香族多価カルボン酸エステル、リン酸エステル、ケイ酸エステル、ポリアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル、シリコーン、フッ素化化合物、アルキルベンゼン等が挙げられる。これらの中でも、ポリ―α―オレフィン、ポリイソブチレン(ポリブテン)、ジエステル、ポリオールエステル、ポリアルキレングリコール等は汎用的に使用することができ、内燃機関油や加工油等に好ましく使用することができる。
【0052】
ポリ―α―オレフィンとしては例えば、1―ヘキセン、1―オクテン、1―ノネン、1―デセン、1―ドデセン、1―テトラデセン等をポリマー化又はオリゴマー化したもの或いはこれらを水素化したもの等が挙げられる。ジエステルとしては例えば、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の2塩基酸と、2―エチルヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、トリデカノール等のアルコールのジエステル等が挙げられる。ポリオールエステルとしては例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、或いはこれらのアルキレンオキサイド付加物等のポリオールと、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸とのエステル等が挙げられる。ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドのブロック又はランダム共重合体のモノ又はジメチルエーテル等が挙げられる。
これらの合成油は、各々化学的に合成されるため、単一物質か同族体の混合物である。従って、例えばポリ―α―オレフィン、ポリイソブチレン(ポリブテン)、ジエステル、ポリオールエステル、ポリアルキレングリコール等の合成油は、鉱油中に含まれる不純物であるベンゼンや多環縮合型の芳香族成分、チオフェン等の硫黄分、インドール、カルバゾール等の窒素分等は含まれていない。
【0053】
本発明の潤滑性組成物をグリースとして使用する場合は、上記の潤滑性基油に増稠剤を配合したものを基グリースとして使用する。増稠剤としては、石鹸系又はコンプレックス石鹸系増稠剤、有機非石鹸系増稠剤、無機非石鹸系増稠剤等が挙げられる。石鹸系増稠剤としては例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、ゾーマリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノレイン酸等の高級脂肪酸とアルミニウム、バリウム、カルシウム、リチウム、ナトリウム、カリウム等の塩基を反応させた石鹸や、上記脂肪酸と塩基に更に酢酸、安息香酸、セバシン酸、アゼライン酸、リン酸、ホウ酸等を反応させたコンプレックス石鹸増稠剤等が挙げられる。
【0054】
有機非石鹸系増稠剤としては、例えば、テレフタレメート系増稠剤、ウレア系増稠剤、ポリテトラフルオロエチレン、フルオロ化エチレン−プロピレン共重合体等のフッ素系等が挙げられるが、ウレア系増稠剤が好ましい。
ウレア系増稠剤としては、例えば、モノイソシアネートとモノアミンを反応させたモノウレア系化合物、ジイソシアネートとモノアミンを反応させたジウレア系化合物、ジイソシアネートとモノアミンとモノオールを反応させたウレアウレタン系化合物、ジイソシアネートとジアミンとモノイソシアネートを反応させたテトラウレア系化合物等が挙げられる。
【0055】
モノイソシアネートとしては例えば、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、ブチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、ラウリルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネートフェニルイソシアネート、トリレンイソシアネート等が挙げられる。ジイソシアネートとしては例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニルジイソシアネート等が挙げられる。
【0056】
モノアミンとしては例えば、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、トリデシルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、フェニルアミン、トルイルアミン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
モノオールとしては例えば、ブタノール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、オクタノール、デカノール、ラウリルアルコール、トリデカノール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、フェノール、クレゾール、シクロヘキサノール等が挙げられる。
無機非石鹸系増稠剤としては例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、シリカエアロゲル、窒化ホウ素等が挙げられる。
【0057】
これらの増稠剤は単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせてもよい。増稠剤の量は特に限定されるものではないが、潤滑性基油と増稠剤からなる基グリースに対して通常好ましくは3〜40重量%、より好ましくは5〜20重量%である。上記基油と増稠剤からなる基グリースの稠度は特に限定されないが、通常100〜500程度である。
【0058】
又、本発明の潤滑性組成物中のアルカリ金属含量は、潤滑性組成物中に含有されるアルカリ金属分総量で0.02重量%以下であることが好ましく、0.01重量%以下であることがより好ましい。潤滑性組成物中にアルカリ金属が混入する場合とは、一般に基油の分離、精製、合成工程において触媒、原料等としてアルカリ金属を用いた場合にこれらの除去が完全に行われていなかった場合が挙げられる。その他、潤滑油添加剤の合成工程においても、原料、触媒としてアルカリ金属又はその塩が用いられる場合が多く、それらが完全に除去されていない場合が挙げられる。硫化オキシモリブデンジチオホスフェートは、その製造工程中にアルカリ金属を含有する無機物を使用することが多い。更に、防錆剤として亜硝酸ナトリウムやナトリウムスルホネートを用いたり、清浄分散剤としてアルカリ金属化合物を添加する場合等も挙げられる。
【0059】
又、本発明の潤滑性組成物中の窒素含量は、潤滑性組成物中に含有される窒素分総量で0.01重量%以上であることが好ましく、0.03重量%以上であることがより好ましく、0.05重量%以上であることが最も好ましい。潤滑性組成物中に窒素が含有される場合とは、例えば、コハク酸イミド系無灰分散剤を使用した場合、硫化オキシモリブデンジチオカーバメート等のジチオカーバメート誘導体を使用した場合、アミン系酸化防止剤を使用した場合、脂肪酸アミドを使用した場合等が挙げられる。
【0060】
本発明の潤滑性組成物は、あらゆる用途の潤滑に使用することができる。例えば、工業用潤滑油、タービン油、マシン油、軸受油、圧縮機油、油圧油、作動油、内燃機関油、冷凍機油、ギヤ油、自動変速機用油(ATF)、連続可変無段変速機用油(CVT油)、トランスアクスル流体、金属加工油等が挙げられる。又、すべり軸受、転がり軸受、歯車、ユニバーサルジョイント、トルクリミッタ、自動車用等速ジョイント(CVJ)、ボールジョイント、ホイールベアリング、等速ギヤ、変速ギヤ等の各種グリースに添加して使用することができる。
【0061】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。尚、以下の実施例中、%は特に記載が無い限り重量基準である。
実施例1:
まず、潤滑性基材として下記の潤滑性基油を使用し、これに本発明又は比較の潤滑剤としてそれぞれ下記の硫化オキシモリブデンジチオホスフェート(MoDTP)を添加して、本発明品及び比較品の潤滑性組成物を調製した。これらの潤滑性組成物について、以下に記載する方法によって潤滑性の評価を行った。尚、各潤滑性組成物の組成の詳細は表1に示す。
【0062】
(1)潤滑性基油
基油1: 鉱油系高VI油。動粘度4.1mm2/s(100℃)、18.3mm2/s(40℃)、粘度指数(VI)=126
基油2: 1−デセンのオリゴメリゼーションにより得られたポリ−α−オレフィン80%、ポリオールエステル20%からなる合成油。動粘度4.0mm2/s(100℃)、16.9mm2/s(40℃)、粘度指数(VI)=138
基油3: 基油1と基油2を1:1で混合した混合基油。
【0063】
(2)MoDTP
MoDTP−1:一般式(1)において、R1〜R4=ペンタデシル基、X1〜X4のS/O=2.0/2.0の化合物。
MoDTP−2:一般式(1)において、R1〜R4=オレイル基、X1〜X4のS/O=2.0/2.0の化合物。
MoDTP−3:一般式(1)において、R1〜R4=ドコシル基、X1〜X4のS/O=2.0/2.0の化合物。
MoDTP−4:一般式(1)において、R1〜R4=2−デシルテトラデシル基、X1〜X4のS/O=2.0/2.0の化合物。
MoDTP−5:(比較用)一般式(1)において、R1〜R4=イソプロピル基、X1〜X4のS/O=2.0/2.0の化合物。
【0064】
(3)評価方法
上記の本発明品又は比較品の各潤滑性組成物(新油)について、シェル式高速四球試験機にて、荷重30kg、室温、回転数1,500rpm、時間5分間の条件で平均摩擦係数及びボールの摩耗痕径を測定した。又、これらの潤滑性組成物をJIS−K−2514に準じ、温度165.5℃、24時間、1,300rpmの条件で酸化劣化させ、得られた各潤滑性組成物(劣化油)について上記の同じ条件で摩擦係数及び摩耗痕径を測定した。
これらの結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
Figure 0004351765
【0066】
この結果から、本発明の潤滑剤を用いた潤滑性組成物は、新油で良好な潤滑性を示すと同時に、長時間の使用後に相当する劣化油においても潤滑性の低下が少なく良好な潤滑性を維持していることがわかる。
又、本発明品の潤滑性組成物1〜3に、更に亜鉛ジ2−エチルヘキシルジチオホスフェートを、潤滑性基油に対してリン量にして0.1%となる量で添加したところ、新油の摩擦係数が0.12〜0.13、劣化油の摩擦係数が0.13〜0.14であり、その添加の効果が認められた。
【0067】
実施例2:
次に、下記の基グリース及び実施例1で使用したMoDTPを使用して、本発明及び比較のグリース組成物を調製し、これらのグリース組成物について以下に記載する方法によって潤滑性の評価を行った。尚、各潤滑性組成物の組成の詳細は表1に示す。
【0068】
(1)基グリース
基グリース1:100℃における動粘度が6mm2/sである精製鉱油に脂肪族アミン系ウレア化合物を均一に分散させた、25℃における稠度が300である基グリース。
基グリース2:100℃における動粘度が6mm2/sであるポリオールエステルに脂肪族アミン系ジウレア化合物を均一に分散させた、25℃における稠度が300である基グリース。
【0069】
(2)評価方法
下記の表2に示す配合の各グリース組成物を、SRV試験機を用いて、ボールオンプレートの点接触状態で摩擦係数を測定した。即ち、上部ボール(φ10mm)をプレート(φ24×6.85mm)上にセットし、往復振動させ摩擦係数を測定した。尚、ボール及びプレートの材質は両者共SUJ−2であった。詳細な条件は以下のとおりである。
<条件>
荷重:200N
温度:25℃
測定時間:2時間
振幅:1mm
サイクル:50Hz
これらの結果を表2に示す。
【0070】
【表2】
Figure 0004351765
【0071】
【発明の効果】
本発明の効果は、酸化安定性に優れ、長期間使用可能な潤滑剤である、炭化水素基が比較的長い型の硫化オキシモリブデンジチオホスフェート及びこれを含む潤滑性組成物を提供したことにある。

Claims (4)

  1. 下記の一般式(1)
    Figure 0004351765
    (式中、R1〜R4は、炭素数14以上の鎖状炭化水素基を表わし、X1〜X4は硫黄原子又は酸素原子を表わす。)で表わされる硫化オキシモリブデンジチオホスフェートからなるエンジン油用潤滑剤。
  2. 潤滑性基材に、請求項1に記載の潤滑剤を含有するエンジン油用潤滑性組成物。
  3. 更に、下記の一般式(2)
    Figure 0004351765
    (式中、R5及びR6は炭化水素基を表わし、aは0〜1/3の数を表わす。)で表わされる亜鉛ジチオホスフェートを含有する請求項2に記載のエンジン油用潤滑性組成物。
  4. 潤滑性基材が、鉱油又は合成油からなる潤滑性基油である請求項2又は3に記載のエンジン油用潤滑性組成物。
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