JP4360663B2 - エレクトロクロミックミラー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の防眩ミラー、装飾用ミラー、表示素子等として有用なエレクトロクロミックミラー(以下、「ECミラー」と略称する。)に関する。
【0002】
【従来の技術】
ECミラーは、エレクトロクロミックな手段により例えば電磁線に対する反射率を可逆的に変化させて後方車のヘッドライトの眩しさを防ぐものであるが、近年その需要は大幅に伸びており、1997年における全世界の生産量は420万個に達している。
ECミラーに要求される性能として、後方車のヘッドライトの眩しさを充分に防ぐことはもちろんであるが、最近ではそれに加えて軽量化や高耐久性の要求が出てきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ECミラーの重量の大半はガラスであり、軽量化を行うにはガラスの厚みを薄くするのが最適である。しかし、ガラス厚を薄くすると、セルギャップを維持するためにはセル内にスペーサーを含有させる必要が生じてくる。一般的な液晶セルと比較するとECセルはそのセルギャップが厚いため、このようなスペーサーをセル内に配置するとミラーを目視した場合にスペーサーが認識され、非常に気になることがある。
そこで、本発明は、このような実状に鑑みなされたものであり、その目的は、スペーサーを配置してもスペーサーが気になることがないエレクトロクロミックミラーを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のエレクトロクロミックミラーは、透明導電基板と反射性導電基板の間にイオン伝導層を設けたエレクトロクロミックミラーにおいて、上記イオン伝導層中にスペーサーを配置し、かつこのスペーサーの屈折率と上記イオン伝導層の屈折率との差が±0.03以下であり、上記イオン伝導層がカソード性エレクトロクロミック特性を有する構造とアノード性エレクトロクロミック特性を有する構造を併有する有機化合物からなるエレクトロクロミック化合物を含有するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のECミラーには2枚の導電基板が使用される。ここで導電基板とは電極としての機能を果たす基板を意味する。従って、本発明でいう導電基板には、基板自体を導電性材料で製造したものと、導電性を持たない基板の片面又は両面に電極層を積層させた積層板が包含される。導電性を備えているか否かに拘らず、基板自体は常温において平滑な面を有していることが好ましいが、その面は平面であっても、一次、二次又は三次の曲面であっても差し支えなく、応力で変形するものであっても差し支えない。
本発明で使用される2枚の導電基板のうち一方は透明導電基板であり、他方は光を反射できる反射性導電基板である。
【0006】
透明導電基板は、通常、透明基板上に透明電極層を積層させて製造される。ここで、透明とは可視光領域において10〜100%の光透過率を有することを意味する。
透明基板の材質は特に限定されず、例えば、無色あるいは有色ガラス、強化ガラス等であっても差し支えなく、無色あるいは有色の透明性樹脂でもよい。ここでいう透明性樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等が挙げられる。
透明電極層としては、例えば、金、銀、クロム、銅、タングステン等の金属薄膜、金属酸化物からなる導電膜等が使用できる。上記金属酸化物としては、例えば、ITO(In2O3−SnO2)、酸化錫、酸化銀、酸化亜鉛、酸化バナジウム等が挙げられる。透明電極層の膜厚は、透明性を有する値であるならば特に制限されず、通常10〜1000nm、好ましくは50〜300nmの範囲にあり、表面抵抗(抵抗率)は特に制限されず、通常1〜100Ω/sq.、好ましくは3〜30Ω/sq.の範囲にあることが望ましい。透明電極層の形成には、公知の手段を任意に採用することができるが、透明電極を構成する金属及び/又は金属酸化物等の種類により、採用する手段を選択するのが好ましい。通常は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、ゾルゲル法等が採用される。
【0007】
本発明で使用可能な反射性導電基板としては、(1)導電性を持たない透明又は不透明な基板上に反射性電極層を積層させた積層体、(2)導電性を持たない透明基板の一方の面に透明電極層を、他方の面に反射層を積層させた積層体、(3)導電性を持たない透明基板上に反射層を、その反射層上に透明電極層を積層させた積層体、(4)反射板を基板とし、これに透明電極層を積層させた積層体、及び(5)基板自体が光反射層と電極層の両方の機能を備えた板状体等が例示できる。
本発明でいう反射性電極層とは、鏡面を有し、しかも電極として電気化学的に安定な機能を発揮する薄膜を意味する。そのような薄膜としては、例えば、金、白金、タングステン、タンタル、レニウム、オスミウム、イリジウム、銀、ニッケル、パラジウム、クロム等の金属膜や、白金−パラジウム、白金−ロジウム、ステンレス等の合金膜が挙げられる。このような鏡面を備えた薄膜の形成には、任意の方法を採用可能であって特に限定されず、例えば、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等を適宜採用することができる。
反射性電極層を設ける基板は透明であるか、不透明であるかを問わない。従って、反射性電極層を設ける基板としては、先に例示した透明基板の他、透明でない各種のプラスチック、ガラス、木材、石材等が使用可能である。
本発明で言う反射板又は反射層とは、鏡面を有する基板又は薄膜を意味し、これには、例えば、銀、クロム、アルミニウム、ステンレス、ニッケル−クロム等の板状体又はその薄膜が含まれる。
なお、上記した反射性電極層自体が剛性を備えていれば、基板の使用を省略することができる。
また、本発明においては、これらの導電基板周辺部の導電層面に、導電層の表面抵抗値よりも低い抵抗値を有する導電材料からなる電極層を設けることができる。電極層は、導電基板周辺部全域にわたって設けることもできるし、部分的に切断されてもかまわない。
電極層としては、導電基板よりも高い導電性が得られるものであれば特に限定されないが、例えば、金、銀、クロム、銅、タングステン等の金属からなる導電膜や、これらの金属を樹脂に分散させた導電ペーストから作製した導電膜等が使用できる。電極層の幅、膜厚及び表面抵抗(抵抗率)は使用する導電基板の導電層の表面抵抗よりも低いものが得られれば、特に制限されるものではないが、通常、幅は0.05〜100mm、好ましくは0.1〜20mm、さらに好ましくは0.5〜2mmの範囲にあり、膜厚は0.2〜500μm、好ましくは0.5〜100μm、さらに好ましくは1〜20μmの範囲にあり、表面抵抗(抵抗率)は使用する導電基板の導電層の表面抵抗に対して通常1/5以下、好ましくは1/10以下であることが望ましい。電極層の形成には、公知の手段を任意に採用することができるが、電極を構成する材料により、採用する手段を選択するのが好ましい。金属からなる導電膜であれば、通常は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、ゾルゲル法等が採用される。また、金属を樹脂に分散させた導電ペーストから導電膜を作製する際には、スクリーン印刷、ディスペンサー法等が採用される。
【0008】
本発明に係るECミラーのイオン伝導層は、通常、室温で1×10-7S/cm以上、好ましくは1×10-6S/cm以上、さらに好ましくは1×10-5S/cm以上のイオン伝導度を示すことが望ましい。
また、イオン伝導層の厚さは、通常、1μm以上、好ましくは10μm以上であって、しかも3mm以下、好ましくは1mm以下であることが望ましい。
本発明のイオン伝導層は、エレクトロクロミック性を示すものが好ましく、通常、エレクトロクロミック化合物が含まれるものである。なお、エレクトロクロミック層を別に設けてもよい。エレクトロクロミック化合物としては、ECミラーとしての機能を発揮するものであれば特に限定されないが、通常、アノードエレクトロミック性化合物、カソードエレクトロクロミック化合物、アノードエレクトロクロミック性構造とカソードエレクトロクロミック性構造を併有する化合物等が挙げられる。
カソード性エレクトロクロミック化合物としては、電気化学的還元反応により吸収スペクトルの増大を伴うものであれば特に制限されるものではなく、可逆的な酸化還元反応を示し、スチリル化化合物誘導体、ビオロゲン化合物誘導体、アントラキノン系化合物誘導体等が挙げられる。またアノード性エレクトロクロミック化合物としては、電気化学的酸化反応により吸収スペクトルの増大を伴うものであれば特に制限されることはなく、可逆的な酸化還元反応を示し、ピラゾリン系化合物誘導体、メタロセン化合物誘導体、フェニレンジアミン化合物誘導体、フェナジン化合物誘導体、フェノキサジン化合物誘導体、フェノチアジン化合物誘導体、テトラチアフルバレン誘導体等が挙げられる。
またこれらのカソード性エレクトロクロミック特性を有する構造とアノード性エレクトロクロミック特性を有する構造を併有する有機化合物も使用できる。このような化合物において、当該化合物に含まれるカソード性EC構造及びアノード性EC構造の数は、一分子当りそれぞれ2個以下であることが好ましい。この好ましい化合物(A)は、一分子中に1個のカソード性EC構造と、1個のアノード性EC構造を含有する有機化合物、一分子中に1個のカソード性EC構造と、2個のアノード性EC構造を含有する有機化合物、一分子中に2個のカソード性EC構造と、1個のアノード性EC構造を含有する有機化合物及び一分子中に2個のカソード性EC構造と、2個のアノード性EC構造を含有する有機化合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上であることが望ましい。
ここでいうカソード性EC構造とは、ビオロゲン化合物誘導体構造、アントラキノン系化合物誘導体構造等のいずれかを意味し、アノード性EC構造とは、ピラゾリン系化合物誘導体構造、メタロセン化合物誘導体構造、フェニレンジアミン化合物誘導体構造、ベンジジン化合物誘導体構造、フェナジン化合物誘導体構造、フェノキサジン化合物誘導体構造、フェノチアジン化合物誘導体構造、テトラチアフルバレン誘導体構造等のいずれかを意味する。
【0009】
本発明において、エレクトロクロミック活性物質として機能する化合物(A)は、好ましくは、下記の一般式(1)で表されるビピリジニウムイオン対構造と、下記の一般式(2)又は(3)で表されるメタロセン構造を含有する。
【化1】
【化2】
一般式(1)において、A-及びB-は同一でも異なっていてもよく、それぞれ個別にハロゲンアニオン、ClO4 -、BF4 -、PF6 -、CH3COO-、CH3(C6H4)SO3 -から選ばれる対アニオンを示す。ここでいうハロゲンアニオンとしては、F-、Cl-、Br-、I-等が挙げられる。
一般式(2)及び(3)において、R1及びR2はそれぞれ個別に炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基及びアリール基から選ばれる炭化水素基を示す。アルキル基としてはメチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、特に、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。アリール基としてはフェニル基が代表例として挙げられる。
なお、R1又はR2はシクロペンタジエニル環と結合し、環を形成してもよいし、互いに異なるシクロペンタジエニル環を架橋する基を形成してもよい。
mは0〜m〜4の範囲の整数であり、nは0〜n〜4の範囲の整数である。m及びnは0又は1であることが好ましく、共に0であることが特に望ましい。
MeはCr、Co、Fe、Mg、Ni、Os、Ru、V、X−Hf−Y、X−Mo−Y、X−Nb−Y、X−Ti−Y、X−V−Y又はX−Zr−Yを示し、好ましくはFeである。なお、ここでいうX及びYはそれぞれ個別に水素、ハロゲン又は炭素数1〜12のアルキル基を表し、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0010】
化合物(A)として好ましい有機化合物には、下記の一般式(4)〜(7)で表される化合物等が含まれる。
【化3】
一般式(4)〜(7)において、R1、R2、m、n、Me、A-及びB-は、上記一般式(1)〜(3)における定義と同一である。
R3及びR4は同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜20、好ましくは1〜10の炭化水素残基を示す。炭化水素残基の好適な具体例としてはアルキレン等の炭化水素基の他、エステル、エーテル、アミド、チオエーテル、アミン、ウレタン、シリル等が挙げられる。上記エステルとしては一般式-R-COO-R-又はR-OCO-R-(Rは炭素数1〜8のアルキレン)で表されるもの等が挙げられ、具体的には-C4H8-COO-C2H4-、-C4H8-OCO-C2H4-、-C4H8-COO-C4H8-、-C4H8-OCO-C4H8-等が挙げられる。エーテルとしては一般式-R-O-R-(Rは炭素数1〜10のアルキレン)で表されるもの等が挙げられ、具体的には-C4H8-O-C2H4-、-C4H8-O-C4H8-等が挙げられる。アミドとしては一般式-R-CONH-R-又はR-NHCO-R-(Rは炭素数1〜8のアルキレン)で表されるものが挙げられ、具体的には-C4H8-CONH-C2H4-、-C4H8-NHCO-C2H4-、-C4H8-CONH-C4H8-、-C4H8-NHCO-C4H8-等が挙げられる。チオエーテルとしては一般式-R-S-R-(Rは炭素数1〜10のアルキレン)で表されるもの等が挙げられ、具体的には-C4H8-S-C2H4-、-C4H8-S-C4H8-等が挙げられる。アミンとしては一般式-R-NH-R-(Rは炭素数1〜10のアルキレン)で表されるもの、一般式−R−NH−Ph−(R:炭素数1〜10のアルキレン、Ph:炭素数6〜12のアリーレン基や置換アリーレン基を各々示す)で表されるもの等が挙げられ、具体的には-C4H8-NH-C2H4-、-C4H8-NH-C4H8-等が挙げられる。ウレタンとしては一般式-R-OCONH-R-又はR-NHCOO-R-(Rは炭素数1〜8のアルキレン)で表されるもの等が挙げられ、具体的には-C4H8-OCONH-C2H4-、-C4H8-NHCOO-C2H4-、-C4H8-OCONH-C4H8-、-C4H8-ONHCO-C4H8-等が挙げられる。シリルとしては一般式-R-Si(R')2-R-(Rは炭素数1〜8のアルキレン。R'はメチル基又はエチル基。)で表されるもの等が挙げられ、具体的には-C4H8-Si(CH3)2-C2H4-、C4H8- Si(CH3)2-C4H8-、-C4H8-Si(C2H5)2-C2H4-、-C4H8- Si(C2H5)2-C4H8-、等が挙げられる。
R5は炭素数1〜20、好ましくは1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基に例示される炭化水素基、炭素数4〜20、好ましくは4〜10の複素環芳香族基、該炭化水素基又は複素環芳香族基の水素の一部が置換基により置換された置換炭化水素残基又は置換複素環芳香族置換基、炭素数4〜20、好ましくは4〜10の複素環芳香族基を示す。
アルキル基としてはメチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基等が挙げられ、シクロアルキル基としてはシクロヘキシル基等が挙げられ、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基等が挙げられ、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられ、アラルキル基としては、ベンジル基、フェニルプロピル基等が挙げられる。複素環芳香族基としては、2−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピリミジル基、イソキノリン基等が挙げられる。
置換炭化水素残基又は置換複素環芳香族基における置換基としては、炭素数1〜10、好ましくは1〜5のアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ハロゲン、シアノ基(−CN基)、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基等が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられ、アルコキシカルボニル基としてはメトキシカルボニル基等が、アシル基としてはアセチル基等が、ハロゲンとしてはCl、F等がそれぞれ挙げられる。置換炭化水残基としては、メトキシフェニル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、メトキシクロロフェニル基、シアノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、メトキシナフチル基等が代表例として挙げられる。
【0011】
一般式(4)〜(7)で表される化合物の具体例を例示すれば、次の通りである。
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【0012】
イオン伝導層におけるこれらのエレクトロクロミック化合物の濃度は、特に制限されないが、通常、その下限値は1mM、好ましくは5mM、さらに好ましくは10mMであり、上限値は通常300mM、好ましくは2000mM、さらに好ましくは100mMである。
【0013】
本発明におけるイオン伝導層は、液系イオン伝導性物質、ゲル化液系イオン伝導性物質あるいは固体系イオン伝導性物質のいずれかを用いて形成することができるが、特に固体系イオン伝導性物質を使用することが望ましく、これによって本発明のECミラーを実用性に富んだ種々の固体型ECミラーにすることができる。
液系イオン伝導性物質
液系イオン導電性物質は、塩類、酸類、アルカリ類等の支持電解質を溶媒に溶解して調製される。これらの支持電解質は、エレクトロクロミック活性物質がイオン性である場合には使用しなくてもかまわない。
溶媒としては、電気化学セルや電池に一般に使用される溶媒が、いずれも使用可能である。具体的には、水や、無水酢酸、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、エチレンカーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、ジメトキシエタン、プロピオンニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、トリメチルホスフェイト、ポリエチレングリコール等の有機極性溶媒等が使用可能であって、特に、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、トリメチルホスフェイト、ポリエチレングリコール等が好ましい。溶媒はその1種を単独で使用でき、また2種以上を混合しても使用できる。
溶媒の使用量は特に制限はないが、通常、溶媒はイオン伝導層の20重量%以上、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上を占め、その上限値は98重量%、好ましくは95重量%、さらに好ましくは90重量%の値にある。
支持電解質としては、電気化学の分野又は電池の分野で通常使用される塩類、酸類、アルカリ類が使用できる。
塩類としては、特に制限はなく、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩;4級アンモニウム塩;環状4級アンモニウム塩等が挙げられる。塩類の具体例としてはLiClO4、LiSCN、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiPF6、LiI、NaI、NaSCN、NaClO4、NaBF4、NaAsF6、KSCN、KCl等のLi、Na、Kのアルカリ金属塩;(CH3)4NBF4、(C2H5)4NBF4、(n−C4H9)4NBF4、(C2H5)4NBr、(C2H5)4NClO4、(n−C4H9)4NClO4等の4級アンモニウム塩又はこれらの混合物が好適なものとして挙げられる。
酸類としても特に限定されず、無機酸、有機酸等が、具体的には硫酸、塩酸、リン酸類、スルホン酸類、カルボン酸類等が使用できる。
アルカリ類としても特に限定されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等がいずれも使用可能である。
支持電解質の使用量は任意であるが、一般的には、支持電解質はイオン伝導層中に0.01M以上、好ましくは0.1M以上、さらに好ましくは0.5M以上存在し、その上限値は20M、好ましくは10M、さらに好ましくは5Mの値にある。
【0014】
ゲル化液系イオン伝導性物質
ゲル化液系イオン伝導性物質は、上記した液系イオン伝導性物質を増粘又はゲル化させた物質を意味し、このものは液系イオン伝導性物質にさらにポリマー又はゲル化剤を配合して調製される。
これに使用されるポリマーは、特に限定されず、例えば、ポリアクリロニトリル、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオキサイド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリアクリルアミド、セルロース、ポリエステル、ポリプロピレンオキサイド、ナフィオン等が使用できる。
ゲル化剤も特には限定されず、オキシエチレンメタクリレート、オキシエチレンアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリルアミド、寒天、等が使用できる。
【0015】
固体系イオン伝導性物質
固体系イオン伝導性物質は、室温で固体であり、かつイオン伝導性を有する物質を指し、これには、ポリエチレンオキサイド、オキシエチレンメタクリレートのポリマー、ナフィオン、ポリスチレンスルホン酸、Li3N、Na-β-Al2O3、Sn(HPO4)2・H2O等を使用することができる。このほか、オキシアルキレンメタクリレート系化合物、オキシアルキレンアクリレート系化合物又はウレタンアクリレート系化合物を重合することによって得られる高分子化合物に、支持電解質を分散させた高分子固体電解質が使用可能である。
本発明が推奨する高分子固体電解質の第1の例は、下記の一般式(8)で表されるウレタンアクリレートと、上記の有機極性溶媒及び支持電解質を含有する組成物を、固化させて得られる高分子固体電解質である。
なお、高分子固体電解質に関していう固化とは、重合性又は架橋性成分が重合(重縮合)反応又は架橋反応によって硬化し、組成物全体が常温で実質的に流動しない状態になることを指す。この固化によって重合性又は架橋性成分は3次元網目構造(ネットワーク)を形成する。
【化10】
(式中、R6及びR7は同一又は異なる基であって、一般式(9)〜(11)で表される基から選ばれる基を示す。R8及びR9は同一又は異なる基であって、炭素数1〜20、好ましくは2〜12の2価炭化水素残基を示す。Yはポリエーテル単位、ポリエステル単位、ポリカーボネート単位又はこれらの混合単位を示す。またaは1〜100、好ましくは1〜50、さらに好ましくは1〜20の範囲の整数である。)
【化11】
一般式(9)〜(11)において、R10〜R12は同一又は異なる基であって、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。また、R13は炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜8の2〜4価の有機残基を示す。この有機残基としては、具体的には、アルキルトリイル基、アルキルテトライル基、下記の一般式(12)で表されるアルキレン基等の炭化水素残基等が挙げられる。
【化12】
一般式(12)において、R14は炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示し、bは0〜6の整数である。bが2以上の場合、R14は同一でも異なっても良い。
一般式(12)中の水素原子は、その一部が炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基等の含酸素炭化水素基により置換されている基でもよい。
一般式(9)〜(11)におけるR10〜R12の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基等を好ましく挙げることができる。
【0016】
一般式(8)のR8及びR9で示される2価の炭化水素残基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基等が挙げられるが、脂肪族炭化水素基としては、先の一般式(12)で表されるアルキレン基等を挙げることができる。
また、2価の芳香族炭化水素基及び2価の脂環式炭化水素基としては、下記一般式(13)〜(15)で表される炭化水素基等が挙げられる。
【化13】
一般式(13)〜(15)において、R15及びR16は同一又は異なる基であって、フェニレン基、置換フェニレン基(アルキル置換フェニレン基等)、シクロアルキレン基、置換シクロアルキレン基(アルキル置換シクロアルキレン基等)を示す。R17〜R20は同一又は異なる基であって、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。また、cは1〜5の整数である。
一般式(8)におけるR8及びR9の具体例としては、以下に示す2価の基が挙げられる。
【化14】
【0017】
一般式(8)におけるYはポリエーテル単位、ポリエステル単位及びポリカーボネート単位又はこれらの混合単位を示すが、このポリエーテル単位、ポリエステル単位、ポリカーボネート単位及びこれらの混合単位としては、それぞれ下記の一般式(a)〜(d)で示される単位を挙げることができる。
【化15】
一般式(a)〜(d)において、R21〜R26は同一又は異なる基であって、炭素数1〜20、好ましくは2〜12の2価の炭化水素残基を示す。R21〜R26は、直鎖又は分岐のアルキレン基等が好ましい。具体的には、R23はメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、プロピレン基等であることが好ましく、R21〜R22及びR24〜R26はエチレン基、プロピレン基等であることが好ましい。c'は2〜300、好ましくは10〜200の整数である。d'は1〜300、好ましくは2〜200の整数、e'は1〜200、好ましくは2〜100の整数、e''は1〜200、好ましくは2〜100の整数、f'は1〜300、好ましくは10〜200の整数である。
一般式(a)〜(d)において、各単位は同一でも、異なる単位の共重合でも良い。即ち、複数のR21〜R26が存在する場合、R21同志、R22同志、R23同志、R24同志、R25同志及びR26同志は同一でも異なっても良い。
【0018】
一般式(8)で表されるウレタンアクリレートの分子量は、通常、重量平均分子量で2,500〜30,000、好ましくは3,000〜20,000の範囲にあり、1分子中の重合官能基数は、好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4の範囲にある。一般式(8)で表されるウレタンアクリレートは、公知の方法により容易に製造することができ、その製法は特に限定されるものではない。
一般式(8)で表されるウレタンアクリレートを含有する高分子固体電解質は、このウレタンアクリレートに、上記液系イオン伝導性物質で説明した有機極性溶媒溶媒と支持電解質を混合したものを前駆体組成物とし、係る組成物を固化することにより調製されるが、溶媒の添加量はウレタンアクリレート100重量部当たり、通常100〜1200重量部、好ましくは200〜900重量部の範囲で選ばれる。溶媒の添加量が少なすぎると、最終的に得られる高分子固体電解質のイオン伝導度が不足し、多すぎると固体電解質の機械的強度が低下する虞があるため、好ましくない。支持電解質の添加量は溶媒添加量の0.1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%の範囲で選ばれる。
ウレタンアクリレートを含有する高分子固体電解質には、必要に応じて架橋剤や重合開始剤を添加することができる。
【0019】
本発明が推奨する高分子固体電解質の第2の例は、アクリロイル変性又はメタクリロイル変性されたポリアルキレンオキシド(以下、この両者を「変性ポリアルキレンオキシド」と総称する。)と、溶媒と、支持電解質を含有する組成物と、を固化させて得られる高分子固体電解質である。
変性ポリアルキレンオキシドには、単官能変性ポリアルキレンオキシド、2官能変性ポリアルキレンオキシド、3官能以上の多官能変性ポリアルキレンオキシドが包含される。これらの各変性ポリアルキレンオキシドは単独で用いても2種類以上を混合して用いてもよく、特に、単官能変性ポリアルキレンオキシドを必須とし、これに2官能変性ポリアルキレンオキシド及び/又は多官能変性ポリアルキレンオキシドを混合使用することが好ましい。とりわけ、単官能変性ポリアルキレンオキシドと2官能変性ポリアルキレンオキシドを混合して使用することが好ましい。混合使用する場合の混合比率は任意に選ぶことができるが、単官能変性ポリアルキレンオキシド100重量部に対して、2官能変性ポリアルキレンオキシド及び/又は多官能変性ポリアルキレンオキシドを、合計量で0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部の範囲で選ばれる。
【0020】
単官能変性ポリアルキレンオキシドは下記の一般式(16)で表されるもの等が挙げられる。
【化16】
(式中、R27、R28、R29及びR30は、それぞれ個別に水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、g'は1以上の整数である。)
一般式(16)において、R27、R28、R29及びR30のアルキル基としては、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられ、互いに同一でも異なってもよく、特にR27は水素原子、メチル基、R28は水素原子、メチル基、R29は水素原子、メチル基、R30は水素原子、メチル基、エチル基であることがそれぞれ好ましい。
一般式(16)のg'は、1以上の整数、通常1〜100、好ましくは2〜50、さらに好ましくは2〜30の範囲の整数である。
一般式(16)で表される化合物の具体例としては、オキシアルキレンユニットを1〜100、好ましくは2〜50、さらに好ましくは2〜20の範囲で持つメトキシポリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリプロピレングリコールメタクリレート、エトキシポリエチレングリコールメタクリレート、エトキシポリプロピレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、エトキシポリエチレングリコールアクリレート、エトキシポリプロピレングリコールアクリレート、又はこれらの混合物等を挙げることができ、これらの中でも特にメトキシポリエチレングリコールメタクリレート及びメトキシポリエチレングリコールアクリレートが好ましく用いられる。
一般式(16)のg'が2以上の場合、オキシアルキレンユニットは互いに異なるいわゆる共重合オキシアルキレンユニットを持つものでもよく、その重合形態は交互共重合、ブロック共重合又はランダム共重合のいずれでもよい。その具体例としては、例えば、オキシエチレンユニットを1〜50、好ましくは1〜20の範囲で持ち、かつオキシプロピレンユニットを1〜50、好ましくは1〜20の範囲で持つ交互共重合体、ブロック共重合体又はランダム共重合体であるところの、メトキシポリ(エチレン・プロピレン)グリコールメタクリレート、エトキシポリ(エチレン・プロピレン)グリコールメタクリレート、メトキシポリ(エチレン・プロピレン)グリコールアクリレート、エトキシポリ(エチレン・プロピレン)グリコールアクリレート、又はこれらの混合物等が挙げられる。
【0021】
2官能変性ポリアルキレンオキシドは、下記の一般式(17)で表され、3官能以上の多官能アクリロイル変性ポリアルキレンオキシドは、下記の一般式(18)で表されるもの等が挙げられる。
【化17】
(式中、R31、R32、R33及びR34は、それぞれ個別に水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、h'は1以上の整数である。)
【化18】
(式中、R35、R36及びR37は、それぞれ個別に水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、i’は1以上の整数であり、j'は2〜4の整数であり、Lはj'価の連結基を示す。)
一般式(17)において、式中のR31、R32、R33及びR34は、それぞれ個別に水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示すが、このアルキル基としては、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。特に、R31は水素原子、メチル基、R32は水素原子、メチル基、R33は水素原子、メチル基、R34は水素原子、メチル基であることがそれぞれ好ましい。
また、一般式(17)中のh'は、1以上の整数、通常1〜100、好ましくは2〜50、さらに好ましくは2〜30の範囲の整数であり、この化合物の具体例としては、オキシアルキレンユニットを1〜100、好ましくは2〜50、さらに好ましくは1〜20の範囲で持つポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、又はこれらの混合物等を挙げることができる。
また、h'が2以上の場合、オキシアルキレンユニットが互いに異なるいわゆる共重合オキシアルキレンユニットを持つものでもよく、その重合形態は交互共重合、ブロック共重合又はランダム共重合のいずれでもよい。その例としては、例えば、オキシエチレンユニットを1〜50、好ましくは1〜20の範囲で持ち、かつオキシプロピレンユニットを1〜50、好ましくは1〜20の範囲で持つ交互共重合体、ブロック共重合体又はランダム共重合体であるところの、ポリ(エチレン・プロピレン)グリコールジメタクリレート、ポリ(エチレン・プロピレン)グリコールジアクリレート、又はこれらの混合物等が挙げられる。
【0022】
一般式(18)におけるR35、R36及びR37は、それぞれ個別に水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であるが、このアルキル基としては、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。特にR35、R36及びR37は水素原子又はメチル基が好ましい。
また、式中のi'は1以上の整数、通常1〜100、好ましくは2〜50さらに好ましくは2〜30の範囲の整数である。
j'は連結基Lの連結数であり、2〜4の整数である。
連結基Lとしては、通常、炭素数1〜30、好ましくは1〜20の二価、三価又は四価の炭化水素基である。二価炭化水素基としては、アルキレン基、アリーレン基、アリールアルキレン基、アルキルアリーレン基、又はこれらを基本骨格として有する炭化水素基等が挙げられ、具体的にはメチレン基、エチレン基、
【化19】
等が挙げられる。また、三価の炭化水素基としては、アルキルトリイル基、アリールトリイル基、アリールアルキルトリイル基、アルキルアリールトリイル基、又はこれらを基本骨格として有する炭化水素基等が挙げられ、具体的には
【化20】
等が挙げられる。また、四価の炭化水素基としては、アルキルテトライル基、アリールテトライル基、アリールアルキルテトライル基、アルキルアリールテトライル基、又はこれらを基本骨格として有する炭化水素基等が挙げられ、具体的には
【化21】
等が挙げられる。
こうした化合物の具体例としては、オキシアルキレンユニットを1〜100、好ましくは2〜50、さらに好ましくは1〜20の範囲で持つトリメチロールプロパントリ(ポリエチレングリコールアクリレート)、トリメチロールプロパントリ(ポリエチレングリコールメタクリレート)、トリメチロールプロパントリ(ポリプロピレングリコールアクリレート)、トリメチロールプロパントリ(ポリプロピレングリコールメタクリレート)、テトラメチロールメタンテトラ(ポリエチレングリコールアクリレート)、テトラメチロールメタンテトラ(ポリエチレングリコールメタクリレート)、テトラメチロールメタンテトラ(ポリプロピレングリコールアクリレート)、テトラメチロールメタンテトラ(ポリプロピレングリコールメタクリレート)、2,2−ビス[4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシポリイソプロポキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリイソプロポキシ)フェニル]プロパン、又はこれらの混合物等を挙げることができる。
また、一般式(18)のi'が2以上の場合、オキシアルキレンユニットが互いに異なるいわゆる共重合オキシアルキレンユニットを持つものでもよく、その重合形態は、交互共重合、ブロック共重合、ランダム共重合のいずれであってもよい。オキシエチレンユニットを1〜50、好ましくは1〜20の範囲で持ち、かつオキシプロピレンユニットを1〜50、好ましくは1〜20の範囲で持つ交互共重合体、ブロック共重合体又はランダム共重合体であるところの、トリメチロールプロパントリ(ポリ(エチレン・プロピレン)グリコールアクリレート)、トリメチロールプロパントリ(ポリ(エチレン・プロピレン)グリコールメタクリレート)、テトラメチロールメタンテトラ(ポリ(エチレン・プロピレン)グリコールアクリレート)、テトラメチロールメタンテトラ(ポリ(エチレン・プロピレン)グリコールメタクリレート)、又はこれらの混合物等がその具体例である。
一般式(17)で表される2官能変性ポリアルキレンオキシドと、一般式(18)で表される3官能以上の多官能変性ポリアルキレンオキシドを併用してもよい。併用する場合の重量比は、通常、0.01/99.9〜99.9/0.01、好ましくは1/99〜99/1、さらに好ましくは20/80〜80/20の範囲が望ましい。
【0023】
上記した変性ポリアルキレンオキシドを含有する高分子固体電解質は、変性ポリアルキレンオキシドに、上記液系イオン伝導性物質で説明した有機極性溶媒と支持電解質を混合したものを前駆体組成物とし、係る組成物を固化することにより調製されるが、溶媒の添加量は変性ポリアルキレンオキシド全量の50〜800重量%、好ましくは100〜500重量%の範囲で選ばれる。また、支持電解質の添加量は、変性ポリアルキレンオキシド全量と溶媒の合計量の1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%の範囲で選ばれる。
変性ポリアルキレンオキシドを含有する高分子固体電解質には、必要に応じて架橋剤や重合開始剤を添加することができる。
【0024】
高分子電解質に添加可能な架橋剤としては、2つ以上の官能基を有するアクリレート系架橋剤が好ましい。その具体例としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート等が挙げられる。これらは使用に際して、単独で用いてもよく、あるいは2種類以上を混合して用いてもよい。
架橋剤の使用量は、高分子固体電解質に含まれる重合性のウレタンアクリレート又は変性ポリアルキレンオキシド100モル%に対し、0.01モル%以上、好ましくは0.1モル%以上であり、その上限値は10モル%、好ましくは5モル%である。
高分子固体電解質に添加可能な重合開始剤は、光重合開始剤と熱重合開始剤に大別される。
光重合開始剤の種類は特に限定されず、ベンゾイン系、アセトフェノン系、ベンジルケタール系、アシルホスフィンオキサイド系等の公知のものを用いることができる。具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンジル、ベンゾイル、2−メチルベンゾイン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、トリフェニルホスフィン、2−クロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンゾイン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が、単独で若しくは混合物として使用できる。
熱重合開始剤の種類も特には限定されない。過酸化物系重合開始剤又はアゾ系重合開始剤等の公知のものを用いることができる。具体的には、過酸化物系重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等が挙げられ、アゾ系としては、例えば2,2’−アゾビス(2−イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等を、単独で用いても、2種類以上を混合して用いることができる。
重合開始剤の使用量は、高分子固体電解質に含まれる重合性のウレタンアクリレート又は変性ポリアルキレンオキシド100重量部に対して好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上であり、その上限値は10重量部、好ましくは5重量部である。
【0025】
高分子固体電解質の固化は、重合性のウレタンアクリレート又は変性ポリアルキレンオキシドを光硬化又は熱硬化させることによって達成される。
光硬化は、好ましくは光重合開始剤を含有する高分子固体電解質に、遠紫外光、紫外光、可視光等を照射することによって進行する。光源としては、高圧水銀灯、蛍光灯、キセノン灯等を使用することができる。光照射量は特に限定されないが、通常は100mJ/cm2以上、好ましくは1000mJ/cm2以上であり、その上限値は好ましくは50000mJ/cm2、より好ましくは20000mJ/cm2である。
熱硬化は、好ましくは熱重合開始剤をする高分子固体電解質を、通常0℃以上、好ましくは20℃以上に加熱することによって進行する。加熱温度は好ましくは130℃以下、より好ましくは80℃以下である。硬化時間は、通常、30分間以上、好ましくは1時間以上であり、かつ好ましくは100時間以下、より好ましくは40時間以下である。
【0026】
本発明は、上記イオン伝導層中にスペーサーが配置され、かつ、スペーサーの屈折率と上記イオン電導層の屈折率との差が±0.03以下であることを特徴とする。
本発明で使用されるスペーサーとしては、イオン伝導層と屈折率の差が±0.03以下のものを用いるが、好ましくは±0.02以下、より好ましくは±0.01以下のものを用いることが望ましい。
スペーサーの形状は、特に限定されるものではなく、ビーズ状、ペレット状、帯状等、任意の形状のものを使用することができるが、ビーズ状が実用上好ましい。
スペーサーの材質は、基板間を電気的に短絡させないものであり、また基板間隔を実質的に保持しうる機能を発揮するもので、かつ、イオン伝導層と屈折率の差が±0.03以下になるものである限り、特に限定されることはなく、例えば、石英や青板等のガラス材、アクリル系やポリ(プロピレンカーボネート)系やビニルベンゼン系の樹脂材を用いることができる。特にフッ素原子を含有したモノマー又は芳香族系モノマーを共重合させたアクリル樹脂スペーサーは、フッ素原子含有モノマー又は芳香族系モノマーの配合比を変えることで任意にスペーサーの屈折率を制御できるため最適である。このような樹脂スペーサーは乳化重合やシード重合等の方法を用いて作製することができる。
なお、通常は、スペーサーを作製する際に、スペーサーの屈折率を制御してイオン伝導層との屈折率の差が±0.03以下になるようにするが、イオン伝導層の屈折率をスペーサーとの屈折率の差が±0.03以下になるように調製するようにしてもよい。
イオン伝導層の屈折率の調製は、特に限定されないが、例えば、フッ素原子含有化合物や芳香族系化合物を添加し、その添加量を制御することにより行うことができる。
スペーサーのサイズは、特に限定されないが、例えばビーズ状の場合、粒径として、上限値は通常1000μm、好ましくは500μm、より好ましくは200μm、最も好ましくは150μmであり、下限値は通常1μm、好ましくは、10μm、より好ましくは20μm、最も好ましくは50μmである。なお、ビーズ以外の形状の場合についてもほぼ同様のサイズであることが望ましい。
スペーサーの含有量は、特に制限されないが、通常1個/cm2〜100000個/cm2、好ましくは3個/cm2〜50000個/cm2の範囲であることが望ましい。
なお、屈折率の測定は、Abbe屈折計を用いて行われ、本発明ににおいては、光源としてNa−D線を用い、20℃で測定した。また、スペーサーの屈折率については、液浸法とAbbe屈折計を組み合わせることにより容易に行うことができる。
【0027】
本発明に係るECミラーは任意の方法で製造することができる。例えば、使用するイオン伝導性物質が液系又はゲル化液系である場合は、2枚の導電基板を本発明のスペーサーを介して、適当な間隔で対向させ、周縁部をシールした対向導電基板の間に、エレクトロクロミック化合物が分散されているイオン伝導性物質を、真空注入法、大気注入法、メニスカス法等によって注入し、しかる後、注入口を封鎖する方法で本発明のECミラーを製造することができる。また、使用するイオン伝導性物質の種類によっては、スパッタリング法、蒸着法、ゾルゲル法等によって一方の導電基板上に、エレクトロクロミック化合物を含有するイオン伝導層を形成させた後、本発明のスペーサーを介して、他方の導電基板を合わせる方法や、あるいはエレクトロクロミック化合物を含有するイオン伝導性物質を予めフィルム状に成形し、合わせ板ガラスの製造する要領で本発明のECミラーを製造することもできる。
使用するイオン伝導性物質が固体系である場合、とりわけ、ウレタンアクリレートやアクリロイル又はメタクリロイル変性アルキレンオキシドを含有する高分子固体電解質を使用する場合は、エレクトロクロミック化合物を含有して未固化状態にある高分子固体電解質前駆体を、2枚の導電基板を本発明のスペーサーを介して、適当な間隔で対向させ、周縁部をシールした対向導電基板の間に、真空注入法、大気注入法、メニスカス法等によって注入し、注入口を封鎖後、適当な手段で高分子固体電解質を固化させて固体電解質を得るこことにより本発明のECミラーを得ることができる。
【0028】
次に本発明に係るECミラーの基本構成を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すECミラー1は、透明基板2の一方の面に透明電極層3を積層させた透明導電基板4と、透明又は不透明な基板5の一方の面に反射性電極層6を積層させた反射性導電基板7を、両基板4,7の電極層3,6が向き合うよう、スペーサー8を介して、所定の間隔を隔てて対向させ、この間にエレクトロクロミック化合物が分散したイオン伝導層9を配設した構造のものである。
【0029】
図2に示すECミラー10は、透明基板2の一方の面に透明電極層3を積層させ、さらにその透明電極層3上の周辺部に電極層11を設けた透明導電基板12と、透明又は不透明な基板5の一方の面に反射性電極層6を積層させ、さらにその反射性電極層6上の周辺部に電極層13を設けた反射性導電基板14を、両基板12,14の透明電極層3,6が向き合うよう、スペーサー8を介して、所定の間隔を隔てて対向させ、この間にエレクトロクロミック化合物が分散したイオン伝導層9を配設した構造のものである。
【0030】
図3に示すECミラー15は、透明基板2の一方の面に透明電極層3を積層させた透明導電基板4と、透明基板16の一方の面に透明電極層17を積層させ、他方の面に反射層18を形成した反射性導電基板19を、両基板4,19の透明電極層3,17が向き合うよう、スペーサー9を介して、所定の間隔を隔てて対向させ、この間にエレクトロクロミック化合物が分散したイオン伝導層9を配設した構造のものである。
【0031】
図4に示すECミラー20は、透明基板2の一方の面に透明電極層3を積層させ、さらにその透明電極層3上の周辺部に電極層11を設けた透明導電基板12と、透明基板16の一方の面に透明電極層17を積層させ、さらにその透明電極層17上の周辺部に電極層13を設け、他方の面に反射層18を形成した反射性導電基板21を、両基板12,21の透明電極層3,17が向き合うよう、スペーサー9を介して、所定の間隔を隔てて対向させ、この間にエレクトロクロミック化合物が分散したイオン伝導層9を配設した構造のものである。
【0032】
図1〜図4に示すECミラーは、任意の方法で製造することができる。例えば、図1〜図4に示す透明導電基板4,12はそれぞれ前述した方法により作製する。すなわち、透明基板2上に透明電極層3を形成して(さらにその透明電極層3上に電極層11を形成して)、透明導電基板4,12が得られる。
また、図1〜図4に示す反射性導電基板7,14,19,21をそれぞれ前述した方法により作製する。すなわち、透明あるいは不透明な基板5上に反射性電極層6を形成して(さらにその透明電極層6上に電極層13を形成して)、反射性導電基板7,14が得られる。また、透明基板16上の一方の面に反射性電極層6を形成し(さらにその透明電極層6上に電極層13を形成し)、他方の面に反射層18を形成して、反射性導電基板19,21が得られる。
このように作製した透明導電基板4,12と反射性導電基板7,14,19,21とを、スペーサー8を介して、1〜1000μm程度の間隔を隔てて対向させる。そして、注入口を除いた周囲をシール材22でシールし、注入口付きの空セルを作成する。そして、基板間にイオン伝導層の組成物を前述の方法で注入し、又はこの後所望により硬化することによりイオン伝導層9を形成することによりECミラー1,10,15,20が得られる。
【0033】
また、他の方法としては、透明基板2上に透明電極層3、電極層4、イオン伝導層9を、記載順に順次形成して積層体を作製する。別に、反射性導電基板7,14,19,21を前述と同様に作製する。また、透明導電基板4,12を作製し、別に透明導電基板4,12と対向する面にイオン伝導層9を有する反射性導電基板7,14,19,21を作製する。
そして、積層体のイオン伝導層と、反射性導電基板7,14,19,21の電極層6,17とが密着するように、スペーサー8を介して、積層体と反射性導電基板7,14,19,21とを1〜1000μm程度の間隔を隔てて対向させ、周囲をシール材22でシールする方法が挙げられる。
【0034】
以上により、透明導電基板と反射性導電基板の間にスペーサーが配置されたイオン伝導層を設けたエレクトロクロミックミラーが作製される。このように、スペーサーが配置されているため、基板の厚さを薄くしても良好なセルギャップを維持することが可能となる。また、スペーサーは、イオン電導層との屈折率との差が±0.03以下であるため、ミラーを目視してもイオン伝導層の一部として認識されるので、スペーサーが気になることがない(目立つことがない)。
したがって、イオン伝導層にスペーサーを含有させても、スペーサーが目立つことがなく、良好なセルギャップを維持することができるため、使用する基板の厚さを薄くすることができ、軽量化が可能となる。
【0035】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらになんら制限されるものではない。
【0036】
(アクリルスペーサーの合成例1)
撹拌装置、温度計、窒素ガス導入管を有するステンレス製重合容器に水140重量部を仕込み、ポリビニルアルコール(クラレ製クラレポバールPVA-235)0.33重量部を溶解させた後、ベンゾイルパーオキサイド0.6重量部を溶解させたメチルメタクリレート40重量部、トリフルオロエチルメタクリレート55重量部及びエチレングリコールジメタクリレート5重量部を添加し、ゆっくりと一定の撹拌回転数で撹拌しながら75℃で5時間加熱し、懸濁重合を完了した。遠心脱水後、水洗乾燥し製品とした。得られた粒子をふるい分け法により分球して、粒径約120μmのスペーサーを得た。得られたスペーサーの屈折率は1.410であった。
【0037】
(アクリルスペーサーの合成例2)
撹拌装置、温度計、窒素ガス導入管を有するステンレス製重合容器に水140重量部を仕込み、ポリビニルアルコール(クラレ製クラレポバールPVA-235)0.33重量部を溶解させた後、ベンゾイルパーオキサイド0.6重量部を溶解させたメチルメタクリレート50重量部、トリフルオロエチルメタクリレート45重量部及びエチレングリコールジメタクリレート5重量部を添加し、ゆっくりと一定の撹拌回転数で撹拌しながら75℃で5時間加熱し、懸濁重合を完了した。遠心脱水後、水洗乾燥し製品とした。得られた粒子をふるい分け法により分球して、粒径約53〜63μmのスペーサーを得た。得られたスペーサーの屈折率は1.463であった。
【0038】
実施例1
高反射性電極として基板に、2Ω/sq.のパラジウム薄膜の付いた積層板の導電層面周辺部に、ガラスビーズ(粒径約120μm)を混練したエポキシ系接着剤をディスペンサーで線状に塗布した。この導電層面上に上記合成例1で作製したスペーサー(粒径約120μm、屈折率=1.410)を散布した後、この上に10Ω/sq.のITOが被覆された透明ガラス基板をITO面とパラジウム薄膜面同士が向かい合うように重ね合わせ、加圧しながら接着剤を硬化させ、注入口付き空セルを作製した。作製した空セルのセルギャップは約125μmであった。この時点ではスペーサーを十分に認識できた。
他方で、プロピレンカーボネート5.0g、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(CIBA−GEIGY社製 TINUVIN P)0.03gの混合溶液に、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウムを0.5M、以下の式で表されるカソード性エレクトロクロミック化合物を50mM、アノード性エレクトロクロミック化合物を30mMの濃度になるように添加し、均一溶液を作製した(屈折率約1.420)。
(カソード性エレクトロクロミック化合物)
【化22】
(アノード性エレクトロクロミック化合物)
【化23】
この溶液を真空注入により上記空セルに注入した後、注入口をエポキシ系封止剤で封止し、エレクトロクロミック素子を得た。このようにして図3に示す構成のエレクトロクロミックミラーを作製した。
作製したECミラーを目視するとスペーサーはほとんど認識できなかった。
このミラーは組み立てた時点では着色しておらず、反射率は約70%であった。また、電圧を印可すると応答性に優れ、良好なエレクトロクロミック特性を示した。すなわち、1.3Vの電圧を印可すると着色し、3秒で反射率約7%となった。また駆動時にもスペーサーはほとんど視認できなかった。
【0039】
実施例2
10Ω/sq.のITO基板の導電層面とは反対の面にアルミニウムの反射膜及び反射膜の保護膜の付いた導電基板の導電層面周辺部にガラスビーズ(粒径約53〜63μm)を混練したエポキシ系接着剤をディスペンサーで線状に塗布した。この導電層面上に上記合成例2で作製したスペーサー(粒径約53〜63μm、屈折率:1.436)を散布した後、この上に10Ω/sq.のITOが被覆された透明ガラス基板をITO面同士が向かい合うように重ね合わせ、加圧しながら接着剤を硬化させ、注入口付き空セルを作製した。作製した空セルのセルギャップは約54μmであった。この時点ではスペーサーを十分に認識できた。
他方で、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(新中村化学工業株式会社製 M40GN)[オキシエチレンユニット数4]1.0g、ポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製 4G)[オキシエチレンユニット数4]0.02g、プロピレンカーボネート4.0g、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド0.02g、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(CIBA−GEIGY社製 TINUVIN P)0.03gの混合溶液に、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウムを0.5M、以下の式で表される化合物を100mMの濃度になるように添加し、均一溶液(溶液A)を作製した(屈折率=1.440)。
【化24】
この溶液を真空注入により上記空セルに注入し、注入口をエポキシ系封止剤で封止した後、透明基板側から蛍光灯の光を当ててセル内の溶液を硬化させ、エレクトロクロミック素子を得た。このようにして図4構成のエレクトロクロミックミラーを作製した。
なお、溶液Aを同様に硬化することにより得られたイオン伝導層の屈折率は1.440である。
作製したECミラーを目視するとスペーサーはほとんど認識できなかった。
このミラーは組み立てた時点では着色しておらず、反射率は約70%であった。また、電圧を印可すると応答性に優れ、良好なエレクトロクロミック特性を示した。すなわち、1.3Vの電圧を印可すると着色し、約3秒で反射率約8%となった。また駆動時にもスペーサーはほとんど視認できなかった。
【0040】
比較例1
使用するスペーサーをガラススペーサー(平均粒径 60μm、屈折率:1.52)とした以外は実施例2と同様の構成でエレクトロクロミックミラーを作製した。
このミラーのスペーサーは十分認識できてしまい、視覚的に非常に気になった。
【0041】
【発明の効果】
本発明のECミラーは、イオン伝導層にスペーサーを含有させても、スペーサーが気になることがなく、良好なセルギャップを維持することができるため、使用する基板の厚さを薄くすることができ、軽量化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエレクトロクロミックミラーの一例を示す断面図である。
【図2】本発明に係るエレクトロクロミックミラーの他の例を示す断面図である。
【図3】本発明に係るエレクトロクロミックミラーの他の例を示す断面図である。
【図4】本発明に係るエレクトロクロミックミラーの他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 エレクトロクロミックミラー
2 透明基板
3 透明電極層
4 透明導電基板
5 透明又は不透明な基板
6 反射性電極層
7 反射性導電基板
8 スペーサー
9 イオン伝導層
Claims (1)
- 透明導電基板と反射性導電基板の間にイオン伝導層を設けたエレクトロクロミックミラーにおいて、上記イオン伝導層中にスペーサーを配置し、かつ、該スペーサーの屈折率と上記イオン伝導層の屈折率との差が±0.03以下であり、上記イオン伝導層がカソード性エレクトロクロミック特性を有する構造とアノード性エレクトロクロミック特性を有する構造を併有する有機化合物からなるエレクトロクロミック化合物を含有することを特徴とするエレクトロクロミックミラー。
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