JP4373676B2 - 復調器 - Google Patents

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Description

本発明は、一般にディジタル信号の検出および復調に関し、より詳細には、搬送波トラッキング・ループがシンボル・タイミング・ループより前に配置されるディジタル復調器に関する。
幾つかのテレビジョン製造業者および研究所の「同盟」により最初に提案された、米国Advanced Television Systems Committee(ATSC)が採用する高精細度テレビジョン(HDTV)放送規格は、1995年9月16日に出版された「ATSC Digital Television Standard」、Document A/53に記載されている。この文書には、HDTVの信号特性に関する全ての要件が記載されている。特に、ATSC−HDTV信号は、残留側波帯変調方式を要件とする。
残留側波帯(VSB)変調は、HDTV信号などのデータをディジタル送信するための周知の変調方法である。ディジタル・ビデオ、音声および関連する情報を含む送信されたATSC−VSB信号からディジタル受信機によりデータを復元するには、シンボル同期のタイミング回復、搬送波の回復またはトラッキング、等化など(但し、これらに限定されない)、幾つかの機能を達成することが本質的に必要である。
タイミング回復は、送信されるVSB信号に埋め込まれたタイミング信号をデコードすることによって、受信機のクロック(時間軸)を送信機のクロックと同期させるためのプロセスである。シンボル同期を達成するために、受信機が決定しなければならない2つの量としては、サンプリング周波数およびサンプリング位相がある。サンプリング周波数は通常は指定されるが、発振器のドリフト(drift)により、指定されたシンボル・レートからの偏差が生じる。サンプリング位相は、シンボルを表すデータ・サンプルを抽出するためのシンボル期間内の正確な時間である。
現実のシンボルのパルスの形状は、シンボル期間の中心にピークを有する。このピークに於いてシンボルをサンプリングすると、最も良好な信号対雑音比(Signal‐to‐Noise Ratio:SNR)が得られ、パルス形状に関連するシンボル間干渉(InterSymbol Interference:ISI)が理想的に解消される。シンボル・タイミング回復ループ(Symbol Timing recovery Loop:STL)の一例は、「TIMING RECOVERY SYSTEM FOR A DIGITAL SIGNAL PROCESSOR」と題する、1999年8月24日付けでKnutson氏外に付与された米国特許第5,943,369号に開示されている。回復したタイミング信号の精度は、送信されたVSBタイミング信号の精度にほぼ等しい。
搬送波トラッキングは、正弦波搬送波信号のドリフトを引き起こす、それらの設計に固有のまたはドリフトに因る、送信機の発振器と受信機の発振器との間の周波数オフセットの問題に対処するものである。送信機では、搬送波信号にデータを表す信号を乗算して、搬送波信号を通過帯域の無線周波(RF)の中心周波数に変調する。受信機では、局部発振器(LO)が生成した正弦曲線を通過帯域RF信号に乗算することによって、通過帯域RF信号を、より低い中間周波数(IF)に、または直接ベースバンドに復調する。理想的には、局部発振器および送信機の発振器の周波数は整合することになるが、実際には、それらの間の何かの差により、復調信号はIF中間周波数またはベースバンドにはならず、ある程度の周波数オフセットが生じてその近傍の周波数になる。このオフセットは、受信信号のコンステレーション(constellation:配置)を回転させ、信号回復を妨げることになる。この「スピン(spinning)」効果を除去しなければ、正確なシンボル決定を行うことはできない。搬送波トラッキング・ループ(CTL)の目的は、この周波数オフセットを除去し、信号を(元のIFまたはベースバンドに近い周波数から)ベースバンドに復調し、受信信号をベースバンドで直接、正確に処理できるようにすることである。VSB送信信号の場合には、実際には元のスペクトルの一部分しか送信されないので、信号を正確にベースバンドに周波数シフトすることにより、全信号スペクトルをRFスペクトルから回復することができる。
等化は、チャネルの欠陥(例えば地上波放送チャネルの多重通路伝搬)、あるいは受信機または送信機におけるフィルタリング処理によって主に引き起こされる、シンボル間干渉として現れる受信信号中の直線歪み(linear distortion)を補正しようとする信号処理技術である。
実際の受信機は、整合フィルタリング(matched filtering)と呼ばれる技術を使用して、受信機での信号対雑音比を最大限に高める。この技術を利用した受信機は、送信信号のパルス形状に「整合(matched)」した形状を有するフィルタで受信信号をフィルタリング処理する。この場合、フィルタの出力は、時間nTでサンプリングされる。ここで、Tはシンボルの時間間隔(time interval)である。整合フィルタのパルス形状は、送信パルスの形状を時間反転したものである。この処理には2つの利点がある。1つの利点は、通常のパルス形状が低域通過応答を有することである。低域フィルタで受信信号をフィルタリング処理することにより、データ信号を含む周波数は通過し、それよりも高い、ノイズしか含まない残りの周波数は減衰する。こうして、整合フィルタは、受信機の後続のステージで処理しなければならないRFスペクトルの量を制限する。第2の利点は、整合フィルタが、基本的に、シンボル(symbol:符号、記号)が存在している期間T(time period)にわたって受信信号と送信パルス形状とを相関させることである。
理想的な信号パルスの形状では、帯域幅が制限され、シンボル間干渉がゼロでなければならない。これらの要件を満たす1つの理想パルス形状は、時間領域のsincパルスである。(時間領域のsincパルスは、U(t)=U*sin(πBt)/πBt で表される。)sincパルスなど、帯域幅の制限された全てのパルスは、持続時間が無限である。実際に実施する際には、これらのパルス、詳細には、これらのパルスを生成するフィルタは、有限長に打ち切る必要がある。パルスまたはフィルタの長さは、指定される信頼性レベルに応じて選択される。この信頼性は、信号中のシンボル間干渉の量に関連しており、これを最小限に抑えなければならない。sincパルスのスペクトルは方形であり、これは周波数領域に鋭い不連続性があることを意味する。シンボル間干渉の量を制限するためには、短縮されたパルスの長さは長くなければならない。sincパルスと同様の性質を持ちながら周波数領域に不連続性が存在しない1つのパルス形状は、レイズド・コサイン・パルス(raised cosine pulse:二乗余弦パルス)である。このパルスは、スペクトルが滑らかなので、時間領域で打ち切ることが容易である。実際の通信システムで使用される最も一般的なパルス形状は、ルート・レイズド・コサイン・パルス(root raised cosine pulse)であり、これは、レイズド・コサイン・パルスのスペクトルの平方根をとることによって形成される。このパルス形状のフィルタは、レイズド・コサイン・パルスのスペクトル特性を送信機と受信機の間で同様に分割するために、送信機および受信機の両方で使用される。2つのルート・レイズド・コサイン・フィルタをカスケード(cascade:直列接続、縦続接続)する(一方のフィルタは送信機にあり、もう一方の整合フィルタは受信機にある)ことにより、ルート・レイズド・コサイン・パルスのスペクトルを方形にし、それにより望ましいレイズド・コサイン・パルスの最終的なシステム応答を生成する。その後、受信機の整合フィルタの出力を、シンボル時間(symbol times)nTでサンプリングする。
通常のHDTV受信機の復調方式は、「SEGMENT SYNC RECOVERY NETWORK FOR AN HDTV RECEIVER」と題する2001年5月15日付けでWang氏に付与された米国特許第6,233,295号に記載されている。この記載された復調器は、21.52MHzでサンプリングを行うアナログ・ディジタル(A/D)変換器と、21.52MHzで動作する搬送波トラッキング・ループ(CTL)と、それに続く10.76MHzでシンボル・サンプルを生成するシンボル・タイミング・ループ(STL)と、それに続く、全て10.76MHzのシンボル・レートで動作する同期検出器、等化器および位相トラッカ(phase tracker)とを含んでいる。
このATSC−HDTV規格によれば、復調器へのIF入力は、ルート・レイズド・コサイン・フィルタを通した信号(送信機でフィルタリング処理された信号)であり、パルス形状による直線歪みおよびシンボル間干渉を回避するためには、これを受信機で同様のルート・レイズド・コサイン・フィルタ(root raised cosine filter)によって整合しなければならない。受信機の整合フィルタは、A/D変換器の前にアナログ・フィルタとして配置するか、または搬送波トラッキング・ループの前にディジタル・フィルタとして配置してもよい。但し、整合フィルタは、搬送波トラッキング・ループの後、またはシンボル・タイミング回復ループの後にディジタル・フィルタとして配置することもできる。実際には、等化器がディジタル・フィルタであるので、理論的には、等化器がチャネル等化および整合フィルタリングの両方を行うことができる。このような場合、両機能が等化器より前に配置される場合には、搬送波トラッキング・ループおよびシンボル・タイミング回復ループで処理された信号は、整合フィルタを介していないことになる。
従って、場合によっては、集積回路チップの形態である汎用HDTV復調器サブシステムの設計において、幾つかの可能性を考慮しなければならない。搬送波トラッキング・ループ入力信号は同相で回転していることになり、この入力信号は、整合している、すなわちそれより前のルート・レイズド・コサイン・フィルタにより十分にレイズド・コサイン・フィルタリングされていることも、あるいは、整合していない、すなわち整合用ルート・レイズド・コサイン・フィルタが搬送波トラッキング・ループより後に配置されることもある。このことと、シンボル・タイミング回復ループの前に搬送波トラッキング・ループを配置することとは、搬送波トラッキング・ループの信号レベルが8−VSBスライサのレベルの1.7倍(整合している場合)または2.0倍(整合していない場合)までになることがあることを意味する。この搬送波トラッキング・ループでより高いダイナミック・レンジが必要になることを考慮する必要があり、考慮しなければ、この条件により、復調プロセスに深刻な非線形性をもたらすオーバフローが搬送波トラッキング・ループで生じることがある。
受信機の整合用フィルタの考えられる様々な配置、並びに様々な復調器ブロックでの様々な信号のダイナミック・レンジを補償することができる復調器を設計することが望ましい。
(発明の概要)
本発明の原理によれば、高精細度テレビジョン受信機の復調器は、第1の構成の場合、第1のダイナミック・レンジを有する出力信号を生成するように動作することができ、第2の構成の場合、第1のダイナミック・レンジとは異なる第2のダイナミック・レンジを有する出力信号を生成するように動作することができる、信号を受信するための第1の回路要素を含んでいる。第2の回路要素は、実質的に所定の固定ダイナミック・レンジを有する信号を最適に処理するように構成されている。利得制御回路が、第1の回路要素と第2の回路要素の間に結合され、前記実質的に所定の固定ダイナミック・レンジを有する信号を生成する。
このようなシステムでは、搬送波トラッキング・ループとシンボル・タイミング・ループの間に可変利得制御装置を含めて、整合フィルタ設計および非整合フィルタ設計の両方に対応し、且つ搬送波トラッキング・ループのハードウェアを減少させることにより、搬送波トラッキング・ループを使用した復調器のデータ・オーバフローの問題に対処する。搬送波トラッキング・ループからシンボル・タイミング・ループへの信号遷移を最適化するために、切換え可能な利得制御装置または適応型利得制御装置をこれら2つのステージの間に配置することができる。このような復調器は、搬送波トラッキング・ループがシンボル・タイミング回復ループ(およびその他の復調器機能)より前に配置される任意のディジタル復調器設計に含めることができる。
図1は、RF同調器14を用いて、所望のRF入力信号を選択する高精細度テレビジョン受信機を示すブロック図である。RF同調器14は、選択した信号を、IF通過帯域出力信号を生成するIFプロセッサ16に送信する。受信される信号は、米国のHDTVシステムで採用されている搬送波抑制VSB変調信号(8または16レベル)である。このVSB信号は、実軸のみが受信機によって回復される量子化データを含む一次元データ・シンボル・コンステレーションで表される連続的なシンボルを搬送する。
プロセッサ16からの通過帯域IF出力信号は、例えば27MHzの周波数でアナログ信号をサンプリングするアナログ・ディジタル(A/D)変換器19によって、オーバサンプリングされたディジタル・データ・ストリームに変換される。この受信VSBデータ・ストリームには基準パイロット搬送波信号が埋め込まれており、この搬送波は、やはり同じサンプル・レート27MHzで動作する位相ロック搬送波トラッキング・ループ(CTL)22によって回復される。この搬送波トラッキング・ループは、送信機の発振器と受信機の局部発振器の間の差によって生じる周波数オフセットを除去して、信号をベースバンドに正確に変換し、ベースバンドで直接処理できるようにするためのものである。搬送波トラッキング・ループは、出力の実数または同相(I)の復調データ・ストリームを生成する。
上述のように、A/D変換器19は、毎秒1076万個のシンボルの入力VSBデータ・ストリームを、27MHzのサンプリング・クロックで、すなわち受信シンボル・レートの約2.5倍の速度でオーバサンプリングすることにより、シンボル当り少なくとも2つのサンプルを与える。シンボル当りのサンプルが1つのサンプリングではなく、シンボル当り少なくとも2つのサンプルを抽出するサンプリングを使用することにより、その後の信号処理機能に於いて利点が生じる。
A/D変換器19および搬送波トラッキング・ループ22の後には、フィールド/セグメント同期およびシンボル・クロック回復回路12が続き、この回路は、シンボル・タイミング・ループ(STL)26および同期検出器8を含んでいる。シンボル・タイミング回復ループ26は、搬送波トラッキング・ループ22に非常に類似したフィードバック・ループである。シンボル・タイミング回復ループ26は、適切に位相同期した10.76MHzクロック信号を再生し、この信号は、サンプリングしたデータ・ストリームからシンボル・ストリームを回復するために使用される。その後、このシンボル・ストリームが、同期検出器8、等化器34、位相トラッキング・ループ36などの後続のステージで処理される。同期検出器8は、フィールド同期信号およびセグメント同期信号を相関によって検出し、この情報を後続の全ての受信機ブロックに供給して同期をとる。
従来技術による或る種のHDTV受信機では、検出した同期信号をシンボル・タイミング回復の基礎として使用する。また、判定指向型やバンド・エッジ・タイミングなどのタイミング回復技術を利用するHDTV受信機もある。ミュラー・ミュラー(Mueller & Muller)判定指向型アルゴリズムなど、両方の技術を同時に、ガードナー(Gardner)・バンド・エッジ・タイミング回復アルゴリズムと共に利用することもできる。本発明は、このような任意のシンボル・タイミング回復方式と共に使用することができるので有利である。
クロック回復回路12を出た後、信号は、ブラインド・モード(blind mode)、トレーニング・モード(training mode)および判定指向モード(decision directed mode)を組み合わせて動作することができるチャネル等化器34によって適応可能に等化される。等化器34は、ATSCのHDTVシステム規格、およびBretl氏外による論文「VSB Modem Subsystem Design for Grand Alliance Digital Television Receivers」、IEEE Transactions on Consumer Electronics、1995年8月に記載のタイプにしてもよい。また、等化器34は、1998年1月27日付けで「MULTI−MODE EQUALIZER IN A DIGITAL VIDEO SIGNAL PROCESSING SYSTEM」と題するShiue氏外に付与された米国特許第5,712,873号に記載のタイプにしてもよい。等化器34はチャネル歪みを補正するが、位相ノイズがシンボル・コンステレーションを無作為に回転させることがあり、また等化済みの信号の振幅が変化することがある。位相トラッキング・ネットワーク36は、それより前の搬送波トラッキング・ループ22でパイロット搬送波信号に応答して除去されなかった位相ノイズも含めて、等化器34からの出力信号中の残留位相および利得ノイズを除去する。次いで、位相補正済み信号は、デコーダ40でトレリス復号され、ユニット42でデインタリーブされ、デコーダ44でリード・ソロモン誤差補正され、デスクランブラ46でスクランブル解除される。前述の処理ステップの後で、復号されたデータ・ストリームは、ユニット50により、音声、ビデオおよび表示の処理を受ける。
RF同調器14、IFプロセッサ16、同期検出器8、等化器34、位相トラッキング・ループ36、トレリス・デコーダ40、デインタリーバ42、リード・ソロモン・デコーダ44およびデスクランブラ46は、1994年4月4日のATSCのHDTVシステム規格および前述のBretl氏外の論文に記載のタイプの回路を利用することができる。シンボル・タイミング回復ループ26は、任意の既知のタイミング回復ネットワークにすることができる。A/D変換器19およびプロセッサ50の機能を実行する回路は周知である。
同期検出器8は、セグメント同期およびフィールド同期の両方を検出する従来の同期検出器である。同期検出器8は、データ・ストリーム中に対応する同期信号が存在することを示す2つの同期信号(セグメントおよびフィールド)を生成する出力端子13を含んでいる。HDTV VSB送信システムは、所定のデータ・フレーム・フォーマットでデータを搬送する。各データ・フレームは2つのフィールドを含み、各フィールドは、832個の多レベル・シンボルからなる313個のセグメントを含んでいる。各フィールドの第1のセグメントは、フィールド同期セグメントと呼ばれ、残りの312個のセグメントはデータ・セグメントと呼ばれる。各データ・セグメントは、4シンボル・セグメント同期文字を含んでいる。各フィールド同期セグメントは、4シンボル・セグメント同期文字と、その後に続くフィールド同期成分とを含んでいる。このフィールド同期成分は、所定の511シンボル擬似乱数(Pseudorandom Number:PN)シーケンスおよび3つの所定の63シンボル擬似乱数を含み、これら3つの所定の63シンボル擬似乱数の真中の1つは、連続したフィールドで反転している。VSBモード制御信号(VSBシンボル・コンステレーションのサイズ、すなわち8−VSBであるか16−VSBであるかを規定する)が、最後の63擬似乱数に続き、その後に、96個の予約シンボル(reserved symbol)およびその前のフィールドからコピーした12個のシンボルが続く。
各同期信号がデータ・ストリーム中で検出されたとき、同期検出器8は同期出力信号13を生成する。この同期出力信号13は、各同期成分の同期イネーブル・パルスと等化である。同期出力信号13は、データ・ストリーム中に同期信号が現れたときに“高”(HIGH)となり、そうでないときには“低”(LOW)のままである。同期出力信号13(またはこの信号から得られる信号)は、後続の処理ユニット34、36、40、42、44および46でも何らかの形態で使用される。
上述のように、A/D変換器19の前または後、搬送波トラッキング・ループ22の後、あるいはシンボル・タイミング回復ループ26の後に、整合フィルタを配置することができる。しかし、図1に示す復調器では、整合フィルタが等化器34より前に配置されることはなく、従って図示していない。その代わりに、等化器34が、整合フィルタ機能を実行する。整合フィルタを置くことにより、搬送波トラッキング・ループおよびシンボル・タイミング回復ループで更に直線歪みが生じる。
シンボル・タイミング回復ループ26により生成された出力信号15および同期検出器8により生成された出力信号13は、共に等化器34への入力となる。
図1には示していないが、等化器34およびクロック回復回路12の内部には、スライサ(slicer)機能も存在している。シンボル時間毎に、スライサは、プログラムされた参照テーブルから、入力シンボル・サンプルに最も近いシンボル・コンステレーション中の点に対応するデータ・シンボルをその決定として選択する。すなわち、スライサは、その決定として、ユークリッドの距離にして最も入力シンボル・サンプルに近いシンボルをそのアルファベットの中から選択する。更に詳細には、スライサは、送信シンボルに対応する実軸に沿った所定の信号点において入力信号があることを予測する。
搬送波トラッキング・ループ入力信号21は同相で回転しており、整合している(すなわち十分にレイズド・コサイン・フィルタを通した信号である)こともあり、あるいは、整合していない(すなわち図1に示すようにルート・レイズド・コサイン・フィルタを通しただけの信号である)こともある。これは、搬送波トラッキング・ループ入力信号が、8−VSBスライサが予測するレベルの1.7倍(整合している場合)または2.0倍(整合していない場合)までのレベルをとることができることを意味する。搬送波回復、スライシングおよび逆回転の動作に関する更なる情報は、Kluwer Academic Publishers社(米国マサチューセッツ州ボストン)から出版されたLeeおよびMesserschmidtによるテキスト「DIGITAL COMMUNICATION」に見い出すことができる。搬送波トラッキング・ループ22のデータ・オーバフローによって復調プロセスに非線形性が生じないようにするために、搬送波トラッキング・ループ22は、シンボル・タイミング回復ループ26の後に続く復調器ステージ8、34、36などより高いダイナミック・レンジを持たなければならない。また、このことにより、A/D変換器19に於いてもより高いダイナミック・レンジが必要となる。
しかしながら、A/D変換器および搬送波トラッキング・ループのハードウェアを節約するためには、復調器全体、例えばデータ・ストリーム中の10ビット・サンプルに対して同じダイナミック・レンジを保つことが望ましい。異なる復調器ブロック(19、22、26、8、34および36)に対して同じダイナミック・レンジを使用する場合には、搬送波トラッキング・ループ信号のダイナミック・レンジが、シンボル・タイミング回復ループ26を通過したシンボル・ストリームのダイナミック・レンジより1.7から2.0大きいことを考慮すると、シンボル・タイミング回復ループ26より先にあるブロックでは、ハードウェアが許容するダイナミック・レンジより小さなダイナミック・レンジを使用することになる。信号のダイナミック・レンジが小さくなると、臨界量子化ノイズは大きくなる。量子化ノイズは、サンプリング時における信号の実際の値と、それに最も近い量子化区間値(quantization interval value)との差である。スライサが入力サンプルに最も近いスライサ・レベルでこの入力サンプル近似するときには、量子化ノイズの1つの源はスライサにより生じる。更に、シンボル・タイミング回復ループがスライサ・レベルに依存し、従って信号レベルがスライサ・レベルに近いときに最適な性能が達成されることもある。また、等化器の収束速度は、信号レベルがスライサ・レベルに近く、等化器が直線歪みを補正する他に利得制御を行う必要がないときに速くなる。理論的には、等化器はある程度の利得制御を行うことができるが、その入力の信号レベルがスライサ・レベルから離れているときには、収束に誤りが生じる危険を冒すことになる。上記の全ての理由から、最も望ましい復調器の解決策では、復調器全体で同じダイナミック・レンジを使用すること、復調器全体で十分なハードウェア・ダイナミック・レンジを使用すること、並びにシンボル・タイミング回復ループ出力および等化器入力の信号レベルがスライサ・レベルに近いことが必要である。本発明は、搬送波トラッキング・ループ信号出力とシンボル・タイミング回復ループ信号出力の間の内部利得の不均衡、並びに搬送波トラッキング・ループの入力で得られる信号のダイナミック・レンジが整合フィルタの様々な配置に因り様々になる可能性に対処するものである。
処理済みIF信号が整合している場合と整合していない場合があるなど、様々な設計が可能であることから、搬送波トラッキング・ループ22とシンボル・タイミング回復ループ26の間の接続を最適にするために、本発明の第1の実施形態では、搬送波トラッキング・ループ22とシンボル・タイミング回復ループ26の間に切換え可能な固定利得制御装置を結合する。
図2は、本発明の原理による固定利得制御を利用した、本発明に係る実施形態のHDTV受信機を示すブロック図である。図2を参照すると、内部利得制御装置10を含むHDTV受信機が示されている。内部利得制御装置10は、図示のように、搬送波トラッキング・ループ22の出力に配置することも、あるいは補間器(図示せず)の出力の後に配置することもできる。補間器は、通常はシンボル・タイミング回復ループ26の内部構成要素の1つである。補間器は、時間的には、A/D変換器19により実際に抽出される27MHzの各サンプルの間に信号サンプルを生成することができる。すなわち、補間器は、27MHzの各サンプルの間を補間して、10.76MHzのシンボル時間サンプルを生成し、好ましい実施形態では、各シンボル時間の合間の時間に更に別のサンプルを生成する。必要に応じてこれらの中間サンプルを生成することにより、補間器は、シンボル・タイミング回復ループ26が、有効サンプリング周波数および位相を調節することができるようにする。
内部利得制御装置10は、信号経路23を介して搬送波トラッキング・ループ22の出力を受信する。搬送波トラッキング・ループ22の出力信号レベルは、信号経路25を介してシンボル・タイミング回復ループ26に入る前に調節される。内部利得制御装置10の絶対利得は、以下の表1に示すように、gain_cntl信号11により制御される。当業者なら、内部利得制御装置10は、表1に示される利得をそれぞれ有する複数の固定利得増幅器で構成することができること、並びにgain_cntl信号により切換え回路を制御し、固定利得増幅器のうち、信号経路25を介し利得調節済み出力信号を供給する所望の1つを選択することができることを理解するであろう。gain_cntl制御信号は、復調器の外部の回路から供給されることもある。
Figure 0004373676
図3に、本発明に係る実施形態の内部利得制御装置の詳細を示す。図3の適応型利得制御ループは、HDTV受信機1内のその他のループと干渉しないように、比較的低い帯域幅(数kHz以下程度)を有する自動利得制御ループである。利得制御入力信号23は、搬送波トラッキング・ループ22(図2)から得られる。利得制御入力信号23は、シンボル・タイミング回復ループ26への入力に結合される出力信号25を有する適応型利得制御装置2で処理される。適応型利得制御装置2によりもたらされる減衰は、利得検出器/アキュムレータ検出器4の出力信号3により調節される。
利得検出器/アキュムレータ4は、制御信号5、基準信号6、および理想シンボルを表す信号を表すスライサ41からのスライス済み基準信号43、の3つの入力信号に応答する検出器兼アキュムレータである。基準信号6は、シンボル・タイミング回復ループの出力信号15であってもよく、その場合には、データ・ストリームまたはシーケンスの全体が評価される。あるいは、基準信号6は、同期出力信号13によりゲート制御されることもあり、その場合には、フィールド同期信号またはセグメント同期信号のみが、同期検出器8によりデータ・ストリーム内で識別された後に評価されることになる。制御信号5は、クロック・レートがシンボル・レートより速い場合には、シンボル・クロック・イネーブル・パルスである。あるいは、制御信号5は、セグメント同期検出器の出力信号および/またはフィールド同期検出器の出力信号13である。セグメントまたはフィールド同期検出器の出力信号13はそれぞれ、上述のように、セグメント同期またはフィールド同期がデータ・ストリーム内に存在することを示すイネーブル信号である。例えば、セグメント同期検出器の出力は、データ・ストリーム中に4つのセグメント同期シンボルが現れたときに“高”(HIGH)となり、そうでない場合、出力信号13は“低”(LOW)である。
利得検出器/アキュムレータ4は、y=x*(xs−x)、または、y=sign(x)*(xs−x)の何れかに従って実施することができる。ここで、yは検出器4の出力信号3、xは基準信号6、xsはスライサ41のスライス済み基準信号43、sign(.)はサイン(sign)関数である。
利得検出器/アキュムレータ4は、上記方程式の何れかから得られたyの値を更に累積し、この累積したものを利得制御信号3として使用してもよい。
高精細度テレビジョン(HDTV)受信機を示すブロック図である。 本発明の原理による固定利得制御を利用したHDTV受信機を示すブロック図である。 図1に示すHDTV受信機と共に使用するのに適した適応型利得制御回路を示すブロック図である。

Claims (16)

  1. 高精細度テレビジョン受信機の復調器であって、
    搬送波トラッキング・ループを含み、信号を受信して、当該受信された信号を処理してベースバンド信号を生成する受信回路であって、当該受信回路は第1の構成または第2の構成を有し、前記第1の構成が搬送波トラッキング・ループに結合された整合フィルタを含み、前記第2の構成が搬送波トラッキング・ループよりも前段に整合フィルタを含んでおらず、前記第1の構成では、第1のダイナミック・レンジを有する出力信号を生成するように動作し、前記第2の構成では、第1のダイナミック・レンジとは異なる第2のダイナミック・レンジを有する出力信号を生成するように動作する、前記受信回路と、
    シンボル・タイミング・ループを含み、予測された所定の信号レベル点を有する信号を処理し、シンボルを表す信号のシーケンスを生成することによって、受信したデータを判定するように構成された、処理回路と、
    前記受信回路と処理回路との間に結合された適応型の利得制御回路であって前記処理回路からの信号に応答して当該適応型の利得制御回路の利得を調節することによって、前記第1のダイナミック・レンジまたは第2のダイナミック・レンジの何れか一方を有する前記受信回路の前記出力信号を処理し、前記予測された所定の信号レベル点を有する信号を生成する、前記適応型の利得制御回路と、
    を含む、前記復調器。
  2. 前記第1および第2のダイナミック・レンジが、前記予測された所定の信号レベル点よりも広い、請求項1記載の復調器。
  3. 前記処理回路が、所定の固定信号レベルを有する判定点に基づいて判定を行う判定指向型回路要素を含む、請求項1に記載の復調器。
  4. 前記利得制御回路が、切換え可能な固定利得を有するように当該利得制御回路を動作させるための利得制御信号に応答する、請求項1に記載の復調器。
  5. 前記利得制御回路が表1に従って動作する、請求項4に記載の復調器。
    Figure 0004373676
  6. 前記利得制御信号が復調器の外部から供給される、請求項4に記載の復調器。
  7. 前記適応型の利得制御回路が、前記信号に応じた利得調節信号を生成し、前記利得調節信号に応答して当該適応型の利得制御回路の利得を調節する検出器を含む、請求項1に記載の復調器。
  8. 前記適応型の利得制御回路が、利得調節信号を累積し、前記累積に応答して当該適応型の利得制御回路の利得を調節するアキュムレータを更に含む、請求項7に記載の復調器。
  9. 前記適応型の利得制御回路が、前記信号としての前記シンボルを表す信号のシーケンスに応答して利得を調節する、請求項1に記載の復調器。
  10. 前記シンボルを表す信号のシーケンスが、一定数のシンボルを含むセグメント同期部分をそれぞれ含む連続したセグメントとして構成され、
    前記適応型の利得制御回路が、前記セグメント同期部分の全てまたは一部に応答して利得を調節する、請求項9に記載の復調器。
  11. 前記処理回路がセグメント同期信号を生成する同期検出器を更に含み、
    前記適応型の利得制御回路が、前記シンボルを表す信号のシーケンスおよび前記セグメント同期信号に応答して、セグメント同期部分に応じて利得を調節する、請求項10に記載の復調器。
  12. 前記シンボルを表す信号のシーケンスが、連続したセグメントとして構成され、更に一定数のセグメントを含むフィールド同期部分をそれぞれ含む複数のフィールドに構成され、
    前記適応型の利得制御回路が、前記フィールド同期部分の全てまたは一部に応答して利得を調節する、請求項9に記載の復調器。
  13. 前記処理回路がフィールド同期信号を生成する同期検出器を更に含み、
    前記適応型の利得制御回路が、前記シンボルを表す信号のシーケンスおよび前記フィールド同期信号に応答して、フィールド同期部分に応じて利得を調節する、請求項12に記載の復調器。
  14. 前記適応型の利得制御回路が、前記シンボルを表す信号のシーケンスに応答して理想シンボルを表す信号の対応するシーケンスを生成するスライサを更に含み、
    前記適応型の利得制御回路が、前記シンボルを表す信号のシーケンスおよび前記対応する理想シンボルを表す信号のシーケンスに応答して利得を調節する、請求項9に記載の復調器。
  15. 前記適応型の利得制御回路中の前記利得検出器が、
    y=x*(xs−x)
    に従って動作し、ここで、yは利得調節信号、xはシンボルを表す信号、xsはxに対応する理想シンボルを表す信号である、請求項14に記載の復調器。
  16. 前記適応型の利得制御回路の利得検出器が、
    y=sign(x)*(xs−x)
    に従って動作し、ここで、yは利得調節信号、xはシンボルを表す信号、xsはxに対応する理想シンボルを表す信号、sign(.)はサイン関数である、請求項14に記載の復調器。
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